すれちがい   作:蛍火

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第8話

 

 

 ヒュー    バシッ!

 

 

 

 ヒュー    バシッ!

 

 

 

 

 有利はコンラッドとともにいつものように2人で中庭にてキャッチボールをしていた。

 しかしいつものような楽しさはあまりない。

 表には出さないが心で悩んでいるコンラッドとそれを心配する有利。

 心が別のところを向いていればいつものようにはできないのも無理はない。

 しかし2人ともそんな内面を表に出そうとはしていないので、見ただけでは

 いつもと同じように見えるだろう。

 

 

 

 「ふぅ~

  そろそろ休憩しようぜ、コンラッド」

 

 「そうですね

  お茶でも用意させますか?」

 

 「う~ん…、お茶より水の方がいいかも」

 

 「わかりました、すぐに「失礼いたします!!」

 

 

 

 

 「持ってきます」と続くはずだった言葉は突然の乱入者に消されることとなった。

 声の方を見ると兵士が慌ただしくやって来た。

 

 

 

 「どうした」

 

 

 

 そんな兵士の様子にただ事ではないと感じたコンラッドが問いかける。

 

 

 

 「はっ!

  我が城に先ほど狼がやってまいりまして、「陛下に会わせろ」と、

  しゃ、しゃべったのです!!」

 

 

 

 兵士は狼が来たことよりも、その狼が話したことに驚いているようだ。

 確かに狼が話すなんて誰も思いもしないことだから驚くのも無理はない。

 

 

 

 「コンラッド、それってもしかすると……」

 

 「はい

  間違いなくリューイだと思います」

 

 

 

 2人は頷きあうとすぐさま城門を目指して走り出した。

 

 

 

 城門に着くとそこには息も絶え絶えなリューイが座りながら待っていた。

 見るからに苦しそうだ。

 もしや森からここまで走ってきたのだろうか。

 そんなことを有利が考えていたその時。

 

 

 

 「リューイ!!」

 

 

 

 立ち止まった有利の横をグレタは駆け抜けていった。

 そしてそのままリューイに抱き着いたのだ。

 

 

 

 「どうしたのっ!リューイっ!!

  すごい汗だよ!!」

 

 「ハァ ハァ・・・、大丈夫だ

  森からここまで休まず走ったから少し疲れただけだ」

 

 「も、森からここまでって結構な距離があるだろ!!」

 

 

 

 自分の予想が当たったが、さすがにありえないだろうと思っていた有利は

 驚き叫ぶ。

 

 

 

 「大事ない・・・

  それよりもウェラー卿、私と一緒に森まで来てほしい」

 

 「リアに何かあったのか?!」

 

 

 

 リューイの突然の申し出にコンラッドは驚き、もしかしてリアに何かあったのではと

 リューイに詰め寄った。

 

 

 

 「そうではない

  母上の心を救ってほしいのだ

  そのために私と来てほしい」

 

 「………心?」

 

 

 

 話の内容がよくわからず、コンラッドは問い返す。

 

 

 

 

 「母上はお前たちが来た日から…、いや、ウェラー卿

  お前に会ってからいつも悲しい顔ばかりしている」

 

 「でも俺では・・・・「お前でなければならんのだっ!私では母上を助けることはできん…」

 

 

 

 そういいながらリューイはこう垂れる。

 力ない自分に不甲斐ないというように。

 そして顔を上げると必死にコンラッドに語りかける。

 

 

 

 「しかし、俺は陛下のそばを離れるわけには……」

 

 「だったらさ、俺も一緒に行けば問題ないだろ?」

 

 「ユーリ!?」 「陛下!?」

 

 

 

 いつの間にか来ていたヴォルフラムとギュンターが驚きに声を上げる。

 

 

 

 「じゃあグレタも行く!!」

 

 「グレタまでっ!」

 

 「よっし、行くか!」

 

 「うん」

 

 「しかし、ユーリ・・・」

 

 「いつまでもうじうじしてたら男らしくないぜ、コンラッド

  とっとと心の決着付けようぜ!」

 

 

 

 

 有利は笑いながらコンラッドに向かって言った。

 有利の言うことに賛成というようにうなずくグレタの頭を撫でながら。

 しかし、コンラッドはまだ迷っていた。

 

 

 

 「しかし…「わかりました」ギュンター!?」

 

 「陛下、留守の間はこのフォンクライスト卿ギュンターにお任せください

  それと……、コンラート

  私には何があったのかは知りませんが、自分の成すべきことをしなさい」

 

 

 

 いつになくまじめなギュンターは、コンラッドに諭すように言う。

 

 みんなに言われたコンラッドはとうとう観念したように両手を上にあげて、

 降参のポーズをとり笑った。

 

 

 

 「わかりました」

 

 「よしっ!

  すぐに馬を手配してくれ」

 

 「「はっ!」」

 

 

 

 小さくガッツポーズをとると有利はそのまま近くにいた兵に声をかける。

 兵は王の命を聞くと走って馬小屋へ向かった。

 

 

 

 「リューイ!

  疲れてるところ悪いけど一番早いルートで案内してくれ」

 

 「了解した」

 

 

 

 その日のうちに準備を整えると精霊の森に向かってコンラッドたちは出発したのだった。

 

 

 

 

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