翌日、有利たち一行は朝早くに城を出発し、精霊の森に向かった。
『陛下
魔族たちがこの森に来るよ』
「ええ、そうね」
『どうする?』
「魔王が来るのだもの
歓迎してあげてね」
『は~~~い!!』
「さて、どんな王なのかしらね・・・、ジュリア」
太陽が真上に来るころ、ようやく有利たちは森の近くまで来ていた。
精霊の森が近づくにつれてだんだんと木の数も増えてきている。
「なんだかここら辺って空気がいいな」
「はい
森に近づくにつれて景色も少し変わってきていますね」
人の手を加えられていない自然は生き生きとしていた。
きっと地球ではここまできれいな森は探しても見つからないだろうと
思うほど。
「あっ、そうだ
ヴォルフラムは森に行ったことあるんだろ?」
「ああ
しかし、あの時はそんなに森には近づかなかったな」
「え、何で?」
「何だかわからないのだが、森の奥まで入る気になれなかったんだ」
「へぇ~・・・、なんか少し不安になってきた」
「大丈夫ですよ、ユーリ
精霊たちが魔族に危害を加えたことは聞いたことがありませんから」
「そ、そうか」
「そうだよ、ユーリ
きっと妖精さんたちは、優しい子たちなんだよ」
グレタが有利の馬『アオ』とタンデムしながら嬉しそう言う。
「どうしてそう思うんだ?」
「だってね
風が優しいの
優しくグレタを包み込んでくれるの」
「そっか・・・
よかったな、グレタ」
「うん!」
はしゃぐグレタを見ながら有利はうれしそうに目を細めた。
そして、そうこうしているうちにだんだんと森の姿が見えてきた。
「す、すっげぇ~~~~!!」
そこは見渡す限り一面の森、森、森だった。
木々の葉も青く生い茂り、地面には様々な花が咲き乱れている。
ところどころには、おいしそうに熟した実をつける木もあった。
日の光をいっぱいに浴びてどの木や花、ありとあらゆる植物が
生き生きとしてその場にいた。
「こんなに大きな森見んの、俺、はじめてだわ・・・」
「はい、この世界でも一番広い森とされていますから」
「何をしている!
とっとと行くぞ!!」
有利がぽーっと森を眺めていると、ヴォルフラムがずっと先の方に行って
いた。
「ちょ、ちょっと待てよ!ヴォルフラム!!」
急いで有利はアオを走らせた。
その後ろでコンラッドが微笑みながらついていく。
その光景を森の奥から誰かが見ていた。
そして、有利たちは気づかぬままに森の奥へと入って行った。