すれちがい   作:蛍火

4 / 11
第3話

 

 

 有利たちは森に入ってすぐの野原にアオたちをつないだ。

 

 

     ガサッ

 

 

 

 「誰だっ!」

 

 

 ヴォルフラムは叫び、コンラッドは剣の柄に手をかけた。

 すると、森の中から一匹の大きな狼が現れた。

 有利たちは固まって動けなかった。

 怖かったからではない、狼の毛の色があまりにも美しい銀だったからだ。

 

 

 『お前が魔王か…』

 

 「しゃ、しゃべった!

  コンラッド!こっちの世界じゃ狼もしゃべるのか?!」

 

 「いいえ、聞いたこともありません」

 

 『もう一度聞く…、お前が魔王か?』

 

 「そ、そうだけど・・・」

 

 

 有利は警戒しながら答える。

 

 

 『ならば、ついて来い

  我らが精霊の主がお前らに会いたがっている』

 

 「(コンラッド。精霊に主っているのか?)」

 

 「(はい

   多分、精霊王のことだと思います)」

 

 「(精霊王?!)」

 

 『案内するから、ついて来い』

 

 

 コンラッドが精霊王について説明しようとした時、狼の姿をした精霊が森の奥へ歩いて行った。

 

 

 「ちょっ、待ってくれよ!」

 

 

 有利は狼の後を追いかけて森の奥に入って行く。

 なぜかついて行かなければいけないと思ってしまったのだ。

 

 

 「「ユーリ!!」」

 

 

 その後をコンラッドとヴォルフラム、そしてグレタが慌てて追いかける。

 しばらく歩くと、ヴォフラムは有利の頭をはたいた。

 

 

 「痛っ(何すんだよ、ヴォルフ!)」

 

 「(このへなちょこ!!

   むやみやたらについて行くな!!)」

 

 「(だってさ、会ってみたいじゃん

   同じ王様なんだからさ)」

 

 「(だからお前はへなちょこだというんだ!)」

 

 「(へなちょこ、へなちょこ言うな!!)」

 

 

 有利のヴォルフが小声で口げんかをしていると、グレタが前を歩く狼の精霊に近づいて行った。

 

 

 「こんにちは。私、グレタっていうの

  オオカミさんはなんていうの?」

 

 「「グレタ!?」」

 

 『・・・リューイだ』

 

 「よろしくね、リューイ」

 

 『あぁ』

 

 

 子供が好きなのか、リューイがグレタを見る瞳が優しくなった。

 有利たちがそんな2人(?)の様子を見て目が点になっていた。

 

 そうこうしているうちに森の最奥だろう場所に来た。

 とてもきれいな泉が見える。

 

 

 「リューイ、あそこに精霊王がいるの?」

 

 『あぁ、そうだ』

 

 

 いつの間にかグレタはリューイの背中の上に乗っていた。

 

 

 「(なぁ、精霊って子供好きなのか?)」

 

 「(そのようですね)」

 

 

 「リューイ…」

 

 

 その時、泉の方から女の声が聞こえた。

 

 

 「陛下。魔王を連れてまいりました」

 

 

 狼の姿をしていたリューイはグレタをおのれの背から降ろすと人の姿となり跪いた。

 

 

 「うえ!?」

 

 

 突然姿が変わったリューイに、有利は驚きのあまり変な声を上げてしまった。

 

 人の姿となったリューイもまた美しい勝った。

 狼の時と同じ銀の神は膝元まで伸び、腰のあたりで一つに結んでいる。

 服装は大きな布をまとって腰元でまとめたような神話の神々の服装みたいだ。

 目の前の女性も同じような、リューイのものよりもゆったりとしている感じのものをまとっていた。

 

 

 「ごくろうさま

  それと、そんなに畏まらなくてもいいのよ」

 

 「はい、母上」

 

 「…よくおこしくださいました

  私は精霊王のセレシアと申します」

 

 

 セレシアの言葉に有利はようやく立ち直った。

 

 

 「ええぇぇ~っと、俺は渋谷有利原じゅkじゃなくて!!

  ユーリでいいや、そう呼んで」

 

 「よろしく、ユーリ陛下」

 

 「やめてくれ!!

  ユーリでいい!ぜひとも呼び捨てで!!」

 

 「わかりました、ユーリ」

 

 

 セレシアは、ユーリの慌てる様子を見ながら優しく微笑んだ。

 そんな中、今だにかたまってセレシアを凝視していたコンラッドは、

 

 

 「まさか……、リア…なのか……!」

 

 

 いつもは冷静な名付け親が取り乱しているのを見て、有利は驚きの目を向けていた。

 それほどいつものコンラッドとは言えない姿だったのだ。

 

 

 「なぜ君がこんなところに・・・」

 

 

 そんな有利の様子にも気づかず、コンラッドは精霊王・セレシアに近づいた。

 

 

 

 

 「お久しぶりね

       コンラッド」

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。