城の中に入ると、そこは幻想的な空間になっていた。
通路の横には壁はなく、その代り澄んだ水の滝が通路の先までずっと続いている。
天井は泉の生き物だろうか、その生き物が元気に泳ぎ生きている姿が見え、外からの太陽の光によって
水が反射してキラキラと輝いて見える。
「「・・・・・」」
有利とヴォルフラムはあまりのことに言葉を失っていた。
というか目の前の光景のきれいさに言葉が出なかったのだ。
「すっごくきれぇ~~~!!」
グレタは城に入ると、周りを見渡しながら飛び回っていた。
「ありがとう
この城は私もすごく気に入っているの」
「グレタ、こんなにきれいなところ見たことないの!!」
「そう」
グレタのはしゃぎぶりにリアはうれしそうに笑った。
2人が話しているとようやく有利たちが復活し会話に加わった。
「ホントにすげぇ~よ
俺もこんなにきれいな城見たことねぇ~よ」
「あら、ユーリにもお城があるじゃない」
「う~ん・・・、でも、ここまですごくない
(ボソ・・・・・・名前はすごいけど)」
「ユーリ!自分の城のことだろう!!」
「え!?
じゃあ、ヴォルフラムは思わないのか?」
「思わないに決まっているだろう」
絶対に魔族の美的感覚は間違っていると、有利は強く心に思った。
そんな中、コンラッドはじっと静かに様子を見ていた。
コンラッドの視線を感じながらもリアは有利たちと楽しく歩いていた。
そして、一つの扉の前で止まると、その扉はかってに開いた。
「どうぞ、遠慮せずに中へ入ってください」
中に入るとそこには小さな森があった。
周りは木でおおわれ、小川が流れて、花まで咲き乱れている。
そして、中央にはテーブルとイスが並べられていた。
テーブルの上にはすでにポットとお菓子が用意されている。
「ホント、すごいな
俺もこんな部屋ほしいなぁ~」
「ではみんなに言って作らせますか」
「え?
いいよ、いいよ
これ以上、仕事増やしたらかわいそうだよ」
「そうですか
みんな、陛下のためなら喜んですると思いますよ」
「陛下って呼ぶなよ、コンラッド」
「すみません」
ズキ
すっかりいつも通りに戻ったコンラッドを見て、リアは心が痛んだ。
所詮自分は彼にとってその程度だったのだろう。
(いいのよ、これで
こんな思いは早く忘れてしまわなければいけないのだから)
「どうしたの?」
リアが心の中で自分に言い聞かせていると、心配したグレタガリアの服の裾を
引っ張った。
即座にリアは、なんでもないかのようにグレタに笑顔を向けた。
「何でもないのよ」
と言いながら、グレタの髪を撫でた。
グレタは納得のいかない顔をしていたが、リアの悲しそうな笑顔を見ると、
頷いてお菓子を食べだした。
それから、楽しくティータイムを過ごして1日が過ぎていった。
そして、城に一泊すると有利たち一行は何事もなく血盟城に帰って行った。