すれちがい   作:蛍火

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第5.5話

 有利たちが城に泊まった日の夜。

 

 

 「はぁ・・・・」

 

 

 セレシアことリアは、自室の窓枠に座りため息をついていた。

 

 (あれから約20年・・・。もう大丈夫だと思っていたのに

  いざ、目の前に彼がいると全然ダメみたい・・・・・)

 

 

 「なにやってるんだ?」

 

 

 誰もいないと思い無防備なところに声をかけられ、リアは内心飛び上がった。

 それを表に出さずに振り向くと、部屋の入り口でドアに寄りかかっているコンラッドが見えた。

 コンラッドはこちらに気づいたとわかるとそのまま部屋に入ってきた。

 

 

 「勝手に入ってこないでください」

 

 

 それをただ見ていたが途中はっとなってリアはコンラッドを見据えて言う。

 

 

 「ノックはした

  よっぽど考えに耽っていたんだな」

 

 

 リアは考えに耽って周囲を注意していなかった自分を心の中で叱咤した。

 

 

 「リア・・・」

 

 「・・・セレシアよ」

 

 「どうして名前を変えたんだ

  変える必要なんて「あるわ」っ!?」

 

 

 コンラッドを言葉を途中で遮ると鋭い目で言い放つ。

 

 

 「私は変わりたかった

  そんなとき先代の王が自分の名を私に下さったの

  嬉しかった・・・、これでやっと変わっていけると・・・・」

 

 「変わってないよ、リアは変わってない」

 

 「っ!う、うるさい!!」

 

 「君は変わっていない・・・・」

 

 「うるさい! うるさい!! っうるさい!!!」

 

 「そうやってすぐむきになるところも、………ちっとも変ってない」

 

 

 そういいながらコンラッドは徐々にリアとの距離を詰めると、優しくそっと自分の腕の中に

 包み込んだ。

 抱きしめられた瞬間リアの中で何かが壊れそうだった。

 昔大事に大事に鍵をかけ封印した何かが。

 

 

 「リア……、好きだ」

 

 

   ビクッ

 

 

 耳元でささやかれた瞬間体が震えた。

 甘いささやきに何もかもどうでもよくなってしまいそう。

 そんな気持ちになりそうな自分を心の奥深くに隠す。

 

 

 「…………」

 

 「リア、ごめん

  ・・・・・傷つけてごめん」

 

 

 その言葉を最後に2人の間はしばらく沈黙していた。

 

 

 「…ぃ………」

 

 「?」

 

 「……………ら」

 

 「リア?」

 

 「今さら、今さら何よ!!

  私を好きだ何で嘘ばっかりっ!!

  ジュリアが好きなくせに・・・、私なんてこれっぽっちも思ってないくせに!!!

  私をジュリアの代わりにしないでっ!!」

 

 

 リアは瞳に涙をためながら叫ぶ。

 そしてその勢いのままコンラッドを突き飛ばした。

 その瞬間、リアの周りに風が渦巻コンラッドは目を開けていることができなくなる。

 次に目を開けた時には先程まで目の前にいたはずのリアの姿はどこにもなかった。

 

 

 「リアっ!!」

 

 

 コンラッドの目の前からリアは消えた。

 コンラッドはもう誰もいない空間に手を伸ばしたが、手は空気をつかむだけだった。

 

 

 「リアっ…………」

 

 

 コンラッドは力なく壁をたたくと、しばらくの間部屋の中にうずくまっていた。

 

 そんな2人のやり取りを心配で見に来た有利たち3人は部屋の外で聞いていた。

 

 次の日、有利たちが帰るときリアのそばにはリューイがおり、コンラッドが近づくことはおろか

 話しかけることさえできはしなかった。

 そのまま近づくことのできぬままに血盟城に帰ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

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