突然ですがワンサマーになりまして   作:幻想交響曲

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篠ノ之箒という負けず嫌い

 篠ノ之箒が織斑一夏という少年に出会ったのはそう昔の話ではない。

 

 初めて出会ったのは小学1年の時、一夏が姉に手を引かれるように道場を訪れた時だ。

 自分と変わらない背丈に、日本人らしい黒の髪。

 そして光の宿っていない瞳を見て、どうしようもない嫌悪感を覚えたのを覚えている。

 

 弱そうだとは思った。貧弱そうだと。

 変わらない表情と、言われたことを淡々とこなす姿は人形のように見えた。

 覇気なんて欠片もなく、武道を志す者にはどうしても見えなかった。

 

 認識が少し変わったのがそれから一ヶ月後。

 相変わらず黙々と竹刀を振る一夏に、父である柳韻が試合をしてみないかと提案した。

 

「………相手は?」

 

 手を止め、柳韻を見てそう問うた。

 試合ができるとはしゃぐこともなく、淡々と相変わらず無表情で。

 

「ほら、こちらを見ているあの娘だよ、私の娘なんだ。箒、こっちへ来なさい」

 

 その様子をぼーっと見ていると、柳韻から名を呼ばれた。

 

「ほら、挨拶をしなさい」

「篠ノ之箒だ。よろしく頼む」

 

 ぺこりと一礼。

 相手が誰であろうと礼儀を忘れてはいけない。父に幾度となく言われてきたことだ。

 箒は素直な子であったので、言いつけを守っている。

 

「………大丈夫ですか?」

 

 そんな箒を見て一言。

 箒にはそれが「お前で相手がつとまるのか」とそう言われているような気がした。

 当然箒は憤る。

 竹刀を握って一ヶ月。しかも型すらまだ学んでおらず、ひたすら素振りをしていただけの初心者。そんな少年に馬鹿にされたのだから。

 

「ああ、私の自慢の娘だ。女子だからと気を抜くんじゃないぞ」

「……………わかりました」

 

 たっぷりと間を空け、不満げに了承の意を伝えた。

 声を荒げなかった自分を褒めたいと後の箒は語る。試合で打ちのめせばいいかとなんとか気持ちを鎮めることができたのだ。

 

 

 

 

 

 あれだけ言うのだからと思っていたが、実際は予想通りの実力だった。

 初めこそ手を出してきたものの、中盤からは守るのに手一杯だ。

 表情からは何も読み取れないが、おそらく疲労がたまっているのだろう。現に竹刀を握る手は震え、足元もおぼつかなくなっている。

 期待外れも甚だしい。

 そんな中

 

 –––––は?

 

 不意に、一夏が構えを解いた。

 だらりと腕を下げ、光のない双眸だけを箒に向けている。

 勝負を諦めたのか。

 そう考えると箒はひどく落胆した。

 

 これ以上続けても仕方ない。

 そう思った箒は一気に踏み込んで距離を詰めようとした。

 

 –––––瞬間、眼前に迫る切っ先。

 

 斜め下からの突きではなく、真正面から真っ直ぐ一直線。

 一夏のリーチから考えるとまだ届く距離ではない。では、何故か。

 

(竹刀を投げた!?)

 

 気付いた時にはもう遅い。

 互いにスピードが出ていたので、箒にもそれなりに衝撃がくる。デコあたりに当たったので、頭がかちあげられたように天井を向く形となった。

 当然、一夏が視界から消える。

 

 パシンッ!!

 

 胴に一撃。

 与えた相手はもちろん一夏だ。手にはしっかりと竹刀が握られている。おそらくそこまでが計算だったのだろう。

 理解するまでに数秒。

 理解すると同時に怒りが湧き上がる。

 

「この…………っ!?」

 

 叫ぼうとして、止めた。

 手は震え、今にも倒れそうな一夏。全力を尽くした結果があれだったのだろう。

 確かに剣道としてはルール違反も甚だしいが、全力を出し切った結果に難癖をつけようとは思わなかった。

 

 この日から箒の挑戦の日々が始まった。

 この時、箒にとって一夏は友でも仲間でもなく、倒すべき敵であった。

 

 

 

 

 今のような関係になるきっかけとなったのは小学二年の時。

 当時、箒はいじめられていた。

 幼い頃から武道に身を置き、神社の神主の娘として生まれた箒は、子どもにしてはあまりにも堅い存在だった。

 言葉遣いも周りとは違うし、雰囲気も相まって彼女は周りから浮いてしまったのだ。

 

 小学生というのは往々にして幼稚だ。

『個性』というものを理解していない彼らは、少し自分たちと違えばそれをすぐに馬鹿にする。

 無邪気な悪意。

 彼ら自身はそれが悪いことだと認識していないのだがら、余計にたちが悪い。

 

「やーい、男女!」

 

 その日も箒はいじられていた。

 彼女を揶揄する言葉『男女(おとこおんな)』。

 クラスの中心、いわゆるガキ大将と呼ばれるようなものが言ったために、その言葉は瞬く間に広がった。

 

「おい、聞こえてんのかよ男女!」

「耳までおかしくなったのか?」

 

 耳障りな声が聞こえる。

 聞かないようにしても聞こえてしまう、悪意の塊。

 反応はしてはいけない。殴りかかってやろうかと思いながらも、箒はそれがいじめを助長するだけだということを理解していた。

 

「無視してんじゃねぇよ!!」

 

 しかし、どうやら彼らはそんな箒の態度が気に入らなかったらしい。

 気に入らないことは暴力で。

 これまでもそうしてきたのだろう。いじめの中心であった一人の男子生徒が拳を振り上げた。

 反射でぎゅっと目をつぶる。

 

 ドンッ!!

 

 教室の一角から大きな音がした。

 音の発生源を見てみればそこには一夏がいた。おそらく机を蹴ったのだろう。体と机の間に妙な空間がある。

 

 ゆっくりとした動作でいじめっ子たちへと顔を向ける。いつもより濁った瞳がいじめっ子たちを貫いた。

 

「………静かにしてくれないか」

 

 ぞっとした。

 底冷えするような声が地響きのように低く響いた。それほど大きな声でないにも関わらず、喧騒を突き破るようにしてしっかりと耳に届く。

 

 誰だお前は………?

 

 気温が急激に下がった錯覚すら覚える。

 いつもは覇気を一切感じさせない置物のような人物。

 そんな一夏がこの空間を作り上げたなど、どうしても受け入れることができなかった。

 

「お、おう、すまん」

 

 そんな一夏に気圧されて、拳を握っていた手を緩めて素直に謝る。

 否、それしか選択肢が残されていない。

 未だ発達しきっていない精神で、一夏の圧を真正面から受け止めるのは中々に難しいことだったのだろう。

 

「………頼むぞ」

 

 –––––手を煩わせないでくれ。

 

 そう言外に続けられているような気がした。

 いじめっ子たちもそれを感じ取ったのだろう。頭がとれるかというぐらいブンブンと振っていた。

 

 それ以来、一夏がいる前で騒ぎを起こさないというのが暗黙の了解となった。

 賑やかなのは構わないが、邪気が混じることは許されない。一夏も楽しげに話すものたちを害することはなかった。

 それに習うように、箒へのいじめもなりを潜めていくことになる。

 

 一夏が何を思っていたのかはわからない。今聞いたとしても、何の話だ? と誤魔化される。

 しかし一夏がどんな理由で行動を起こしたのであれ、箒は確かに救われた。そしてその強さに憧れた。

 

 あの試合以来、箒は一夏に勝ったことはない。

 いつのまにか正攻法でも自分より強くなり、今の箒ではおそらく勝つことはできないだろう。

 

 そんな彼が暴力に頼らずに場を収めてみせた。

 それは少なくとも彼女に衝撃を与えた。力の振るい方を学んできた少女はこの時、力の使い方を学ぶことになる。

 

 それから一夏と友好な関係を築くようになる。友として、そしていつか超えるべき目標として。

 雰囲気も柔らかくなり、逆上気質も抑えられるようになった。

 

 毎日が満ち足りた日々だった。

 

 –––––しかし、そんな日々は長くは続かない。

 

「篠ノ之さんが転校することになりました」

 

 運命とはいつもプラスに傾くとは限らない。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 俺が箒ちゃんと交流するようになったのは剣道を始めて一ヶ月くらいの頃、大悪魔柳韻さんに無茶振りをされたことがきっかけだった。

 

 

 

 

 

 

 剣道を始めて一ヶ月。

 俺はまだ素振りしかやっていない。

 俺はいつまでこの作業を繰り返さなければならないのだろう。もう飽きてきたんだけど。

 これが千冬姉さんの紹介じゃなかったら道場を燃やしてるところだ。命拾いしたなくそじじい。

 

「一夏くん、試合をやってみないか?」

 

 柳韻さんが思い出したかのように、そう提案してきた。

 何言ってんだこいつ、そう思った俺は正常なはずだ。

 

 もう一度言うが、この人が教えてくれたのは剣の振り方だけ。型すら一つも教えてもらっていない。

 初心者に毛が生えることすらこの人は阻止してきているわけだ。

 そんな俺に試合をさせるなんて、さてはてめー、俺を辱める気だな。

 

「………相手は?」

 

 まさかあんたじゃないだろな。俺と同じ初心者だよな。

 でなければ俺は本当にこの道場を燃やすぞこのやろー。

 

「ほら、こちらを見ているあの娘だよ、私の娘なんだ。箒、こっちへ来なさい」

 

 とことこと近付いてきたのはおそらく俺と同い年の少女。

 

「ほら、挨拶をしなさい」

「篠ノ之箒だ。よろしく頼む」

 

 oh………。

 その娘めちゃくちゃ強いじゃないか。誰かが天才だってはしゃいでたのを聞いたことがあるぞ。

 

「………大丈夫ですか?」

 

 俺の身体は大丈夫ですか? 無事に乗り切ることができますか? おそらく打ちのめされて終わることになると思うのですが。

 踏み込みの音が破裂音のような音だし、竹刀の風切り音も俺が振るよりも重たかったんだけど。

 貧弱な一夏くんボディが粉々になる未来が見える……。

 

「ああ、私の自慢の娘だ。女子だからと気を抜くんじゃないぞ」

 

 なるほど全力でやって負けて娘の糧となれと、そうおっしゃるのかな?

 やってられるかボケェ!!

 何であんたの娘のために俺が滅多打ちにされにゃならんのだ!!

 

「……………わかりました」

 

 そう、言えたらよかったんだけどなぁ。

 残念ながら、俺の体がそれを口にすることを許してはくれない。俺の口も滅多打ちにされることを望んでいるようだ。

 俺はマゾじゃないって言ってるだろいい加減にしろ。なんで俺の体は言うことを聞いてくれないんだ!!

 

 箒ちゃんは何故かめっちゃ睨んできてるし、柳韻さんはどこか満足げだ。

 この悪魔め、俺をいじめてそんなに楽しいか。弱いものいじめはいけないって学ばなかったのか。

 

 箒ちゃんがアップを始めました。

 俺を威圧するようにブンブンと竹刀を振っている。あれが俺に当たんの? ダメージが防具を貫通してきそうなんだけど。

 

 ところで、誰か俺の震えを止めてくれませんか?

 

 

 

 

 

 箒ちゃんの鬼、悪魔!! なんでそんなに強いんだ、ふざけんな!!

 

 初めこそ竹刀を振り回して押していた俺だが、中盤になって体力切れになると途端に攻めれなくなった。

 現在、予想通りの滅多打ち状態である。

 防御はなんとか間に合っているものの、竹刀を合わせた時の衝撃が半端じゃない。

 というより人、動くものに当てる練習なんてしてないんだから試合になんてなるはずがなかったのだ。むしろここまで頑張っている俺を褒めて欲しい。いや、褒めろ。

 

 あ゛あ゛、じん゛どい゛。

 度重なる衝撃で手は小刻みに震え、足元はおぼつかなくなってきた。最後の力を振り絞って箒ちゃんを押しのけて距離を取る。

 

 もう無理だ。

 腕がもう限界だ。これ以上構えを保っていられない。

 だらりと腕を下げ、でも悔しいので視線だけは箒ちゃんから逸らさないようにする。

 

 というか何で俺はこんなことをやってるんだっけ。

 師からは素振り以外させてもらえず、突然試合をやれと言われ、挙げ句の果てには自分の娘の糧となれと。

 

 ………やってられるかこんちくしょう!!

 怒りに身を任せ、竹刀を足元に思いっきり叩きつけようとして–––––

 

 ––––––すっぽ抜けた。

 

 箒ちゃんの方へと一直線。

 抜け方がよかったのか、ブレのない綺麗な直線軌道を描いている。

 それは吸い込まれるように箒ちゃんの面に当たり、弾かれた竹刀はくるくると俺の手元に戻ってきた。

 

 何という忠犬っぷり。

 投げ捨てられても俺の元に帰ってくるとは。

 これも一ヶ月間を共に過ごした成果というものか。はっ、まさか柳韻さんはこれを見越して………。

 さっすが柳韻さんやでぇ!!

 

 箒ちゃんは突然の出来事に驚いているのか、顔を天井に向けたまま戻ってこない。

 ここしかない!!

 震える足に力を込め、箒ちゃんの胴に一撃。強さも速さもない一振りだったが、呆然としている箒ちゃんに当てるには十分だった。

 

 フハハハハッ!!

 やってやったぞこんちくしょう。

 ずるだと言うのなら好きなだけ罵るがいい。俺も狙ったわけじゃないから心が痛むだけだ。

 

 

 

 

 

 

 その日から箒ちゃんに追いかけられる日々が続く。

 試合をしろ、試合をしろって、俺はサンドバッグではないということをちゃんと教えてあげたかった。

 

 で、今みたいに常識的な頻度に収まるようになったのはいつかと言われると、それがよくわからない。

 強いて言うならば、二年生の頃のある事件辺りから箒ちゃんの雰囲気が柔らかくなった気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 眠たい。

 俺はここ最近で最大の睡魔に襲われていた。

 頭の中では天使と悪魔の戦いではなく、悪魔二匹がひたすらに誘惑してきている。しかも悪魔二匹は魔王並みの強さで、対する俺の精神力は農民レベルだ。

 

 原因は普通に寝不足。

 昨日は千冬姉さんの仕事が長引き、夜遅くに帰ってきた。

 そうなると千冬姉さんは何もせずに寝てしまう。服は脱ぎっぱなしにするわ、風呂にも入らないわで本当に年頃の女子なのかと疑うことはこれまでに多々あった。

 

 仕方なく俺はそんな千冬姉さんの世話をしているのだ。

 二人家族でお金のあては千冬姉さんに任せっきりになっているのだから、これくらいはしなくてはならないとは思っているが、この年齢では寝不足とは死活問題だ。疲労は溜まるし、成長もしない。

 ちびになるのは嫌なので、出来るだけ寝不足は回避したいところである。

 

 なんとか午前中を乗り切り、ついに昼休みに突入する。

 周りを見れば多くの者が遊びに行こうと教室から出て行くが、あいにく俺にそんな気にはならない。

 睡眠という大事の前に、遊ぶなどという行為に及べるわけがない。

 

「おーい、一夏、遊ぼうぜ」

 

 だからすまんな。我が友、五反田弾よ。

 私には為すべきことがあるのだ。

 

「無視すんなよー………て、あれ? 寝てんのか?」

 

 そうだ、だから静かにしてくれ。

 人が寝ているときに騒がしくしないというのは当然のマナーだろう?

 

「おーきーろーよー」

 

 バッカお前、揺らすんじゃねぇ!! 寝れないだろうが!!

 絶対起きてやらないからな。鋼の意思で断固として起きないからな。俺を起こしたければ相応の覚悟をしやがれってんだ、べらぼうめ。

 

「………ちぇっ、しゃあねぇ。グラウンドにでも行くかぁ」

 

 微動だにしない俺を見て流石に諦めたのか、弾は不満げな声を上げて去って行く。

 罪悪感に押しつぶされそうだが、睡眠と友を天秤にかけて睡眠が勝ったのだから仕方あるまい。友よりも自分の体の方が大事なのだ。

 

 最近では世界を救う勇者も自分の体を大切にしろと怒られる始末。だとすれば貧弱な俺は体をより大切にすべきではないだろうか。

 むしろ正しいことをしてるとも言える。うん、何も問題ない。オール・イズ・ジャスティス。

 

 そんなことを考えていると、再び心地よい眠気が帰ってきた。

 ああ、これだよ、これ。この心地よさね。何事にも代え難い素晴らしい時間だよね。

 ゆっくり、ゆっくりと意識が薄れていき、いざ夢の世界へ–––––

 

「やーい、男女!」

 

 –––––夢の世界が崩壊した。

 

 ここ最近よく聞くお調子者の声。名前は………何だっけ? よし、仮称大将くんだ。

 いつも子分のようなのを引き連れて、我が物顔をしながら学校生活を送るという、社会を知っているものからすれば滑稽なこと限りない少年だ。

 

 いつもならば「いつになったら現実見るのかなぁ」と微笑ましく見るのだが、今この時ばかりは勘弁してほしい。

 まじでその口を閉じてろ。閉じて自分の席に戻れ。ハウスだぞ大将くん。

 

「おい、聞こえてんのかよ男女!」

「耳までおかしくなったのか?」

 

 お前らは目が腐ってんのか!?

 よく周りを見てみろ。机に突っ伏して眠りたそうな少年がいるだろう? 少しは静かにするとかいう気配りをしろや。

 

 というかなんだよ男女(おとこおんな)って。

 それは男女(だんじょ)と読むんだよ。恥ずかしいから大声で叫ぶんじゃない。

 

「無視してんじゃねぇよ!!」

 

 ドンッ!

 

 び、びっくりさせるんじゃありません。

 突然大声を上げられると俺の心臓に悪い。

 驚きのあまり机を蹴ってしまった。突然声かけられた時のビクッてやつの強化版みたいな感じ。

 

 はっ、みんなが俺を見てる。

 めっちゃ恥ずかしいんだけど。すぐさま教室から逃げ出したい。

 

「………静かにしてくれないか」

 

 と、とりあえず伝えたいことだけを伝えておく。

 怒る必要はない。注意するだけで大丈夫だ。あんな子でもきっといい子なはずなのだ。

 大将くんのせいで羞恥プレイをさせられているが、寛大な心で許してやろう。うん、後で大将くんの上靴に画鋲を仕掛けるつもりだが、それでも許しているのだ。

 

「お、おう、すまん」

 

 ほら、怒らなくたって大丈夫。

 聞き分けのいい子は嫌いじゃない。

 ただ、俺の睡眠を邪魔しないこと。言葉遣いを正すこと。漢字は正しい読みをすること。

 とりあえずこれを守ってほしい。

 

「…………頼むぞ」

 

 ほんとお願い、寝させて。

 元気なのは構わないから。

 

 周りが何故か静まり返っているが、これはみんなが俺に配慮してくれたということだろう。

 何という一体感。

 ありがとう。君たちのおかげで俺はようやく眠ることができる。

 そして再び顔を伏せ、改めましていざ夢の世界へ–––––

 

 ––––––キーンコーンカーンコーン。

 

 …………控えめに言って死んでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんな事件があったのだが、何故かこの日から箒ちゃんの態度が柔らかくなった。

 それからは魔王から鬼程度には厳しさがなくなったような気がする。

 まだ鬼だけど。

 

現在小学四年生。小学一年の初めからなので、かれこれ三年の付き合いになる。

 多分この先もずっと腐れ縁のように続いていくんだろうなぁ。

 なんて思っていたが、別れはいつも突然に訪れるもので。

 

「篠ノ之さんが転校することになりました」

 

 ………寂しくなるなぁ。




篠ノ之箒

一夏くんの幼馴染。
この作品では小学一年生の時に初めて会うことになった。
少々感情が表に出やすい。表の一夏くんとは逆に位置するので意外と良いコンビかもしれない。

原作では力に振り回されている感があったが、今作品では力の使い方を覚えた模様。
すぐに暴力には走らないし、慢心もしない。

一夏くんに恋愛感情はない。
良き友、良きライバルとして認識している。




五反田 弾

一夏と箒の友人。
原作では中学からの友人だが、箒以外にも話す人が欲しいという作者の勝手な都合により小学校からの参戦。
というより一夏と仲良くなれそうなのが弾ぐらいだった。

無愛想な一夏と直情タイプの箒の間を上手く取り持っている。
ムードメーカーの役割を果たしているので、周りから見ればおちゃらけた奴に見えるかもしれないが意外と苦労人。

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