ありふれた職業になったのに、異常者認定されてしまった   作:銀花押

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はじめまして、銀花押です。初めての投稿なので、拙いものとなると思いますが温かく見守ってくださると嬉しいです。


プロローグⅠ

 今は互いに相棒と認識してニックネームで呼ばれるほど仲が良くなったクラスメイト、南雲(なぐも) ハジメが迷宮(ダンジョン)の中での戦闘中に底が見えないほど深い穴の中へ落ちた。

 どうあがいても彼が落ちるのだろうと認識した瞬間に俺、虎藤(こどう) 健二(けんじ)は自然と身を乗り出してハジメに声を掛けながら右腕に巻いていたブレスレットを投げた。

 

「ハジメ、お前は生き残れると信じている!すぐに助けに行くから!」

 

 その声が聞こえたからだろうか、彼は軽く頷きながらブレスレットを掴んだ。だいぶ落ちていたから、彼の顔はぼやけてよく見えなかったけれど彼は多分笑っていたと思う。

 今までに俺の作った中でも最高傑作の装備の1つ、”防壁(プロテクション)”を渡したんだ。簡単にくたばるんじゃねぇぞ、ハジメ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 事の発端は数週間前に(さかのぼ)る。

 

 その日は雷がずっと鳴り響く月曜日だった。

 午前中は特別なことは何もなく(雷のせいで先生の声が聞こえないというハプニングはあったが)、昼放課を迎えた。

 

 

 

 目の前で楽しそうに会話をしている奴が二人居る。

一人目は、この高校で優しさとその美貌からアイドルにまでなった女子、白崎(しらさき) 香織(かおり)。クラスの中心にいるメンバーの1人で天然っぽい。

二人目は、クラスにおいて軽いいじめのようなものを受けているアニメ好きの男子、南雲(なぐも) ハジメ。親の仕事の関係上、ゲームやマンガに触れる機会が他人と比べて圧倒的に多かったため、そう言ったたぐいの知識が異常なほどにある優しい奴だ。クラスの奴らはあいつがゲームやマンガ、アニメの知識を異常に持っているというだけで”オタク”と蔑み、嫌っているかわいそうな奴だ。

 

 こうやって並べてみると二人は対照的だ。そんな2人がイチャイチャしているのは珍しいことのように思うだろう。だけど、これは今日に限ったことでは無く、数日に一回見る光景だ。あまりにも頻度が多いことから二人、と言うより印象の違いから南雲だけが白崎に好意を持っている奴ら(自称、香織見守り隊)から日々鋭い視線を向けられている。もし俺があのような視線にさらされ続けたら多分三日くらいで胃に穴が開きそうだな。

 あっ............南雲と目が合った。

 

ーー ぼーっと見ていないで何とかしてくれよ!

 

 アイコンタクトでそのようなことを伝えてきた、そんな気がする。それに対して俺は・・・・

 

ーー 頑張れ

 

 アイコンタクトでそういう意味を込めて返したら、南雲が机の上に突っ伏した。その時に、南雲が何かを呟いたような気がするけど気が付かないフリをする。俺は、他のクラスメイトとは違ってお前をバカにはしないが助けるつもりもない。南雲、強く生きろ。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

虎藤に助けを求めたけど、助けてはくれなかった。

 

「まぁ、あいつらしいかな」

 

出会った当初から彼奴(あいつ)は誰とでも分け隔てなく接していた。高1の最初、クラスメイトからいじめられたり、オタクと(ののし)られる中で普通に接してくれた数少ない知り合いだ。

そんな関係から始まったせいで、僕は彼のことをそれはもう盛大に勘違いしていた。

............まぁ、そんなことは今はいい。それより、この状況を打開する方が先だ。

 

「南雲君?」

 

白崎香織、こいつは何故か僕に構ってくる変なやつだ。ただ、最近はその行動が裏目に出ている気がする。彼女が僕に構うことが彼女を好いている人たちから余計なヘイト(憎悪)をかき集めることになっているんだ。

はぁ............。この状況、どうしたものかな?


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