Phantasy Star Contractors 作:FatherBear
惑星リリーパ地下坑道にて完全に侵食されたトランマイザーを討伐後、俺はレックス達に救出された。
そしてキャンプシップでツナ、アーデ、沙希の女子3人組にこってり絞られた後、ウィンに到着。俺のボディに修復作業が行われた。
「…2個目…か」
刀匠"ジグ"に 謎の武器の破片を集める様に依頼され早2週間程経ったろうか。俺はキャスト用の治療ポッドに収容されていた。モニターごしにではあるが、医師はこう言った。「早く治ったとして1週間だろうねぇ。むしろ話に聞いていたよりひどい損傷だったのに1週間で治る方がおかしいんだけどねぇ」と。
俺の身体には多くの傷が付いていた。刺突、斬撃など様々な傷が俺の身体には付いていた。更に俺は腕を切り飛ばされていた。俺の損傷について報告書を書くなら特筆すべき点はそこだろう。
「しかし、あの破片は…本当に創世器なのだろうか…。特にソレらしいデータは何も…」
今回手に入れた破片は、形容するならば"ロッドを短くした感じの何か"だろうか。そんな物だった。データを見る限りだと、微かではあるがフォトン使用傾向が法撃武器のソレであった。つまり法撃武器であるのは確定的なのだ。だが、ソレが創世器となると話は別である。データが少な過ぎるのだ。創世器ならば膨大なパワーによって放置されるどころか回収に来るだろう。それも来た形跡もない。ちなみに破壊され、放置された武器なのであれば登録者名が武器の内部データに記載されているはずなのだ。ソレがない。
「一体…なんなのだ…。」
すると、治療室の自動ドアが開いた。モニターごしな上に逆光でよく見えないが。その太い体格からして男だろう。
「…で、彼はどこに?」
その太い男が発する。気味の悪い声の高さだった。
「…はい、あちらに…」
後ろから女性が身体を覗かせる。赤髪のセミロングヘアー…ん?
「…フィリアか…?」
なぜフィリアが…そう思っていると、太男がモニターごしにこう話掛ける。
「やぁ…君がエリザベスかな?もっとも…今の君は話せないし、顔はポッドの向こう側だ。顔を合わせて会話出来ない事を許してほしい。」
俺は返答しようとしたが、ここから声は発せない。ので、俺はポッドの外側にある小モニターにこう入力した。
ーHazimemasite.(ハジメマシテ)ー
「おや、話せるようだねぇ君」
ーSonoyouda.(ソノヨウダ)ー
「まぁよい、そのまま話を聞いてほしい…。私の名はナプター…。アークスの最高管理責任者とでもしておこう…フィリア君、席を外したまえ」
「…はい」
フィリアが出ていく。アークスの最高管理責任者だと?
そんな重鎮がなぜ一端アークスの俺に?
「さてさて…さっそく本題から話すとしようか」
……何?"本題"だと?俺は何かしでかしてしまったのだろうか
「君…これを探しているんだってね…?」
……!?!?
「いやぁ…私達もこれを探していたのだよ…よくやってくれた…」
白い装甲の、ロッドの様な形状の"2つ"のパーツをナプターが見せる。
ーKisama…Nazesorewo!?(キサマ、ナゼソレヲ!?)ー
「白錫…クラリッサ…これがこの創世器の名だ…かつて…いや、ここで言うべきではあるまい」
白錫クラリッサ…?創世器と言っていたが、そんなものはデータにはない。なんなんだアレは…!?
「君は、この創世器について…どこまで知っている?」
ー…Shirann.ー
なんだ…何がしたい…?
「そうかそうか…知らん…か…。だが、君は、この武器の存在を…」
…!?
ナプターが俺が収容されているポッドに向けライフルを向ける。
「知ってしまった」
まんべんなく、ポッドに向け銃弾を撃ち込んだ。
※
「………………………。」
俺は…どうなった…ナプターというアークスの最高管理責任者が俺を銃撃した…その後から記憶はない。
「…これは…キャンプシップ?」
破壊され、古く錆びてしまったキャンプシップが倒れている俺の後ろに横たわっている。
「この破損状況…破壊されてから数年は経っているのか?…苔や蔦まで生えている…」
…そもそもここはどこなんだ?澄んだ青色の空が綺麗な…第一印象はそうだった。
だが、それだけだった。"それしかなかった"。地面すらも、鏡の様に俺やキャンプシップが反射して映っていた。
『よォ、ようやくお目覚めか。"エリザベス"?』
「…ッ!?誰だ…………!?!?」
そこには俺がこうなった、"Elizabeth"となった理由の真相の1つ。
『オイオイ、随分な挨拶だな?』
決して解き放たれてはならない。
「お前は…ッ!?」
【蒼鬼】が
『10年振り…くらいか?注射器からみたお前の顔とはかなり違うが、お前がそうなんだろう。あの時の"子供"よ』
そこにいた。
※
「本当に…お前なんだな?【蒼鬼】」
『全く…さっきから見てるだろう?"俺はお前"で"お前は俺"。運命共同体って訳だ』
「全く気持ち悪い話だな」
いきなりの出来事過ぎて何がなんだかわからない。何故だ。何故【蒼鬼】が発現している。ここは何処だ。俺はどうなった。
『…で?お前がどうなったか、だろう?』
…!
「…どうなった…」
『生きてはいる…俺の力でな』
「捕食による再生…ん?待て捕食だと?まさかお前…!」
『安心しろ、お前の考えてる事は起きてない』
「ならなんなんだ!?」
「…お前が喰ったあのトランマイザー、かなり侵食が進んでいたんだろう。ほぼダーカーだった』
なるほど
「…余韻、か?」
『ご名答だ。お前の身体はある程度は保たれている。いくらキャストになったとはいえ生物だ。力は衰退している』
【蒼鬼】を始めとする全ての【鬼】は宿主の命が尽きると、同時に霧散する。その為、【鬼】は宿主に迫り来る危険をなんとしてでも回避しようとする。宿主の身体を奪ってでも、だ。宿主からすれば迫り来る命の危機を【鬼】が守ってくれるので、まさにWinWinの関係なのである。
「現在のアークスの状況は?」
『これは聞いただけの話だが、どうやら最近ダーカーの動きが活発化しているらしい。それもお前の知っているダーカーだけではない。新種のダーカーもだ』
「…どんな?」
『そこまでは知らん、聞いた話でしかない』
「……わかった…。それで、ここはどこだ。明らかに普通ではない」
俺はこの、現実さを欠いたこの"鏡の世界"について聞く事にした。
『ここまでの話を聞いてまだわからんか…言ったろう。"お前の身体はある程度保たれている"と』
「…まさか…?」
『ここはお前の意識の中だ。この世界は"お前"だ』
「俺…だと…?」
俺。俺の世界。こんなに空虚な物であろうか、俺は
『まぁ真に受ける事ではない。気にするな』
「…いや、さっきの話の通り"お前は俺"だ。お前の話は信憑性に足る」
そう、皮肉な話ではあるが。もはや運命共同体とも言える俺達は身体だけではなく心も共有する。その為コイツの話には信憑性があるのだ
「どうすれば出れる?」
『心臓に電気ショックでも与えてみるか?』
「…どうやってだ。真面目に考えろ。このままじゃお前も危ないんだぞ?」
『では…完全に身体を乗っ取って起こしてやろうか?ただしその場合、お前に意識が返る事はない』
「…そうか…」
その時だった。突如として鏡の世界が揺れ始めた。
「なッ…なんだッ!?」
『分からん…だが…これh』
その瞬間、世界は消えた。