桃鳥姉の生存戦略   作:柚木ニコ

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九ノ幕.戦上手は謀り上手?

 

 

 並走し始めてから、ミオは改めてルフィの憔悴ぶりに内心驚いていた。

 

 先日のシャボンディ諸島での動きと今では雲泥の差である。最小限の動きで敵兵を倒しているが動きにキレがなく、息切れも目立つ。体力がすでに底を突いて、もはや気力だけで動いている段階に入っているようにも見えた。

 精神力が時に体力を凌駕することは往々にして起こりうることではあるし、戦場でそれはむしろ顕著に出るものだ。

 

 ただ、これは脳内麻薬という自前のカンフル剤をぶち込んでいるようなもので、当然ながら長持ちしない。

 

 麦わらのルフィは止まらないのではなく、止まれないのだと理解した。ひとたび足を止めれば、堰き止めていた疲労が一気に表出して指先一本動かせなくなることは想像に難くない。

 

「ルフィくん(おっそ)いな!」

「んな!? う、うるせえ!」

 

 素直な感想を述べるとルフィは露骨に顔をしかめた。馬鹿にされたと思ったのだろうか。

 べつに責めているわけではないのだが。

 

「? ここまで大変だったってことでしょ? でも僕が先行くと、さっきのバギーさんみたいにとっ捕まえられそうだからなぁ……しゃあない」

 

 ミオは手首を掴んでいたルフィの手を魔法のように外すと、自分から腕の辺りを掴んで引き寄せる。

 

「な、なんだよ!?」

「バランス崩さないことだけ考えて! でないと舌噛むぞ!」

 

 戸惑うルフィにそれだけ告げて、ミオはルフィの腕を抱えるようにしてたんと跳んで、能力発動──地面から僅かに上層の空間を『固定』して滑走開始。

 

「うぉおおお!?」

 

 ルフィは突然の事態で妙な声を上げながら必死でバランスを整えている。体幹は折り紙付きなのでこつさえ掴んでしまえば倒れることはあるまい。「そのままキープ!」とだけ告げてミオは空いている手で鯉口を切り、白刃を引き抜き構える。

 そして進路方向にいる障害物──海兵の群れを嘘のように薙ぎ散らしていった。

 

「こっちにきた──ぎゃあッ!?」

「邪魔だ!」

 

 速度を味方につけ、己の腕の延長のように刀を軽々と振るって海兵が迎撃行動に移るいとまを与えず、鎧袖一触──蹴散らしていく。

 ルフィを狙って飛来する弾丸や征矢はその場で空間を『固定』させ防ぎきる。範囲も狭くガラスのように薄いものだが、それでじゅうぶん。

 氷結させ、粉砕された空気が飛び散り、それは束の間白い濃霧となって二人の姿を覆い隠す。攻撃を防ぐだけでは飽き足らず、その砕けた破片を煙幕として視界を塞ぎ、敵に狙いをつけさせない。

 

「す、ッげぇな! 白いのこんなに強かったのかよ!」

「むかし護衛してたとき思い出すなぁ」

 

 ルフィの感嘆を聞いてるんだかいないんだか、そんなことをぼやくミオだった。かつて守っていたのはか弱い少女たちだったから、対するルフィはそこまで気を遣う必要がないのは楽である。

 

「エース! もうちょっとだからな! 待ってろよッ!」

「……」

 

 どうやら麦わらのルフィは『自分がエースを助け出す』ことに固執しているらしいことが、少し不思議だった。それぐらいの気概と覚悟がなければ今こうして動けていないのかもしれないが、それでも。

 

 ミオとてエースを救い出したいと思っている。何よりも強く、そう考えている。

 

 かといって、自分が必ず手ずから救出したい──というわけでは、ない。

 

 自分でもルフィでもいいし、白ひげでもその傘下でも……極論、(まずあり得ない話だが)海兵がエースを解放してくれるというならそれでもいい。

 

 結果としてエースが助かるのなら、過程は問わない。

 

 この戦争で処刑台に最も早く肉薄したのはミオではあるが、それだってオーズという縁に恵まれたからというだけの話である。

 そういう思考の差異が、あるいはルフィの持って生まれた気質なのかもしれない。

 己の矜持と信念を心の底から信じ抜き、決して折れず、めげず、ひたすらに前を見て立ち向かう。

 

 つまるところ──英雄の器、というやつなのだろう。

 

 そう考えた時、不意に周囲の喧噪が奇妙に歪んだ気がした。どよめきと、少しの混乱。

 

 先手を打ったのは『白ひげ』だが、後手に回ったからといって必ずしも不利になるわけではない。むしろ海軍の策はここからが本領発揮といえる。

 見れば後方、湾頭の辺りに新たな軍艦が現れていた。そして時を同じくして、横一列にずらりと並ぶ同じ顔。戦桃丸をリーダーとして、まるで金太郎飴のように顔から体型、果ては服装までもが『暴君』と寸分違わぬ……『量産型くま』としか形容できない巨体の群れがロボットのように整列していた。

 

「シャボンディ諸島にいたくまみたいな奴ら!! あんなに!!」

 

 ルフィはあの『量産型くま』と交戦経験があるらしい。

 

 ミオは脳内のマリンフォードの地図と漏れ聞こえる海賊たちの言葉から、白ひげと一致をみた予想が奇しくも正鵠を射ていたらしいことを悟る。

 海軍は軍艦をマリンフォードの外周からぐるりとひとまわりさせて湾頭を封鎖。そして伏兵として潜ませていた『量産型くま』による奇襲攻撃で海賊を追い込み、一網打尽にするのが目的だろう。

 

「包囲網を敷く、か」

 

 退路を断たれることへの恐怖、そして伏兵による奇襲攻撃のもたらす心理的衝撃は片方だけでも効果的である。

 過日、青キジがミオへ白ひげの残党を討ち漏らすことがないよう打診してきたくらいだ。海軍は海賊を一人たりとも逃したくないのだろう。

 

 だが、それはすべてが上首尾に運べば、という机上の空論に過ぎない。

 

 現に白ひげはミオと同じ結論に至っていたし、何の対策も講じていないはずがないのだ。

 

 『量産型くま』たちはオリジナルのように能力こそ使えないものの、ビーム兵器でも搭載しているらしくあちこちから光線と爆発が上がり始めている。だが、追い込み漁よろしく中央に海賊たちをせっつくにはバラけすぎていた。

 ある程度の損耗は織り込み済みで攻撃に転じたのは察することができたが、ミオが気になるのは海兵たちの動きだ。

 さっきまで果敢に海賊たちを押しとどめようとしていたのに、今はほぼ同じタイミングで撤退を始めている。否、撤退というより氷上から逃げようとしているような──

 

「余所見なんて余裕だねぇ~」

「ッあぶね!」

「!」

 

 文字通り光の速さであらわれた黄猿の蹴りが咄嗟にミオを押しのけたルフィの腹に炸裂し、すさまじい衝撃とともに二人もろとも大きく真後ろに吹っ飛ばされた。景色がみるみる真横に滑り、せっかく詰めた処刑台との距離が瞬く間にかけ離れていく。二人でもつれ合ってしまっているため、体勢を整えることもままならない。

 

「おっと」

 

 それを食い止めてくれたのは、後続からルフィを追いかけていた『海峡』のジンベエだった。

 ジンベエザメの魚人であるジンベエは水色の肌をした着流し姿の巨漢である。二人の前に、巨体を生かして壁のように飛び出してキャッチしてくれたのだ。

 

「無事かルフィくん!」

「ジンベエ!」

 

 ジンベエはルフィの安否を確かめてから、もうひとりに視線を向けて明らかにギョッとした。

 

「ルフィくんといるからもしやと思うたが、やっぱり()()か!」

「げほっ、親分さんお久しぶりです!」

 

 ミオはこの仁義を大事にする侠気にあふれた魚人の親分が大好きなので、彼が白ひげの元に訪れるたびによくお喋りさせてもらったりしていた。

 

「なんだ、ジンベエも白いの知ってんのか?」

「ああ、ようく知っとる。よくオヤジさんが許したのう!」

 

 白ひげとジンベエが知己ということは当然ミオとも面識があるし、ある程度の事情も察している。彼らとミオの関係を知るからこそ、この戦争に参戦していることが意外だったのだろう。

 ミオは地面に下りるとここぞとばかりに胸を張って笑う。

 

「おとうさ、『白ひげ』は許してないです!」

「は?」

 

 この状況にも関わらず、虚を衝かれたジンベエの表情はぽかんとしたものだ。

 しかし容赦なくミオは追撃する。

 

「よってたかってハブにされたんで無理矢理来ました! そんでさっき勘当されました!」

「あ、明るく言うことかァ! なにやっとんじゃ!!」

 

 ジンベエの至近距離の怒鳴り声がびりびりと鼓膜に響く。

 

「わしゃあ、オヤジさんたちが嬢やをどんだけ大事にしとるかはわかっとるつもりじゃ。なんだってそんなことに……」

 

 白ひげにとっておそらくは最初で最後の『娘』が、その立場を捨てた──否、白ひげ自ら『勘当』したという事実がジンベエには信じられなかった。

 

「? 白いのって『白ひげ』だったのか」

「ちがうよ」

 

 その辺りは複雑なのだ。

 

「でも『お父さん』の子供だった。さっき絶縁されたけどね」

「なんで絶縁されたんだ?」

 

 素直に疑問をぶつけてくるルフィにミオは笑った。

 

 いっそ傲慢にすら見える笑みだった。

 

「エースを助けたかったから、だよ」

 

 たったひとつ、そのために。

 

 それだけが目的で、それだけが理由だ。

 

 ルフィはミオの事情を知らないしあまり知る気もないだろう。だからミオはそれ以上の問答をしようとは思わなかったし、ルフィはルフィで更に問いただすようなことはせずにミオの顔を少しの間じぃっと見つめてから、ただ真顔で頷いた。

 

「そうか。そらしょうがねぇな」

「でしょ?」

 

 だってルフィとミオの目的はそっくり同じなのだ。

 

 物言わずとも通ずるものが、そこにはあった。

 

 そして一方、ある程度の内実を理解しているジンベエはルフィとミオのやり取りから大体の事情を察して片手で顔を覆った。

 

「……そうか、そういうことじゃったか。嬢やを巻き込まんためにオヤジさんはそう言うしかなかったんじゃろうが……エースさんのためとはいえ、思い切ったのう」

 

 両者を知るからこそ、互いの譲れないものをぶつけ合った結果をまざまざと突きつけられたジンベエの言葉は沈痛な響きすら滲んでいた。

 ミオは軽くジンベエの腕を叩いてから口を開く。

 

「僕はね、エースが処刑されるのがなによりいやなんです。親分さんもみんなも、そう」

 

 ジンベエにこんな顔をさせてしまったことは申し訳ないとは思うけれど、後悔はない。ここに来れないよりずっといい。

 

「だから、それさえ阻止できればいいんです。そのためにここにいます。それ以外はぜんぶ後回しで」

 

 他のことはあとで考えればいいのだ。泣いて謝るにしろ、エースに八つ当たりするにせよ、すべては処刑を阻止してからすればいい。

 

 そしてもし、叶うことのない結末を迎えることになろうとも──決して、ここに来たことを悔いたりはしない。

 

「……それも、そうじゃな」

 

 それでジンベエも切り替えたのか、表情が引き締まったものに変わった。ミオは一旦膝に手を置いて呼吸を整え、ぐっと背を伸ばして前を見据える。随分と飛ばされてしまったものだ。

 同時に、見覚えのある和服と香と硝煙の匂いが鼻をかすめた。

 

「エースの弟! もう体力切れか!?」

 

 女形のような風体に似合わぬ二丁拳銃の使い手、十六番隊のイゾウを筆頭とした白ひげ海賊団の隊長格が先陣を切るように横を駆け抜けていく。

 

「こりゃあ百人力」

「イゾウさん!」

 

 心強い援軍の登場にジンベエがつぶやき、思わずミオが声を上げるとイゾウはちらっと振り向いて口元をむっすりとへの字に曲げた。

 

「オヤジに縁切りなんかさせやがってこのやろう! まぁ気持ちは分かるけどな!」

「スゲーわかるけど来んじゃねぇよばか! あと助太刀言い出したんだからしっかりこなせアホ!」

「お前エースと仲良かったもんな! あれだけ前に出てたくせになんてザマだ!」

「き、共感するか文句つけるかはっきりしろォ!」

 

 イゾウどころか一緒にいた隊長たちに口々に言われて反射的に噛みついてはみたけど、あれだけ大々的に関係性を破棄したにも関わらず変わらないやり取りが嬉しかった。ちょっとむかつくけど。

 胸が詰まって、おなかの底から力が湧いてくるのが分かる。

 

「揃って『大将』一人に止められてんじゃねェ! 一緒に来い、海兵共が退いてく今はチャンスだ! 一気に突破するぞ!!」

 

 イゾウやキングデュー、ナミュールと続く隊長たちが進撃の速度を上げていく。彼らとてさざ波のように引いていく海兵の動きに不審を感じていないはずがない。

 だが、それでも自分たちを鼓舞して突破することこそが隊長格に課された役目だ。海兵がどんな策を弄そうとも白ひげを倒すことはできない、と仲間たちが心から信じていなければ勝てる戦も勝てなくなる。

 

 人は集団になると個の意識が希薄になり、流されやすくなるという傾向がある。小集団より虚報に騙されやすくなり、それに伴う迷い、混乱、恐怖の伝播が常とは比較にならないほど早くなってしまう。

 

 白ひげ海賊団は船長たるエドワード・ニューゲートをてっぺんに据えた強固な一枚岩だが、傘下の海賊はそれぞれに船長を置いた小さな海賊団が無数に集まって形成されている。

 

 彼らは確かに勇猛な個人の群れだが、完全に統率された軍隊ではない。

 

 海軍のように集団行動を旨として、血肉に混じるほど訓練を重ねてきた正規の軍隊との違いがそこにある。

 

 集団として十全の力を発揮できない、というのが白ひげ海賊団・傘下含めた連合軍が持つ最大の短所といえた。

 

 

──そして、対海賊退治のエキスパートたる海軍がそこに目をつけていないはずがないのだ。

 

 

「行くぞルフィくん!」

「よォし、今度こそ……!」

 

 走り出したルフィたちに続こうとミオも足を出しかけ、けれど何かに引っ張られるように後方に首を向けた。

 

 戦塵で霞む中、『モビー・ディック』号の先頭、堂々と仁王立ちする『白ひげ』の近くにサッチとマルコと……誰かの姿がちらりと見えた。

 己の身長をも凌ぎそうな長刀と、どこか愛嬌のある顔立ちにもじゃもじゃのソバージュ。それは『大渦蜘蛛』スクアードのようだった。ミオはそこまで深く親交を持ってはいなかったが彼も『白ひげ』を深く慕っていて、エースとも仲が良かったと記憶している。

 

 そんな彼がにわかに殺気立ち、突如として鬼気迫る表情で鞘から長刀を引き抜き『白ひげ』の胸元めがけて、その白刃を潜り込ませようとした──その、刹那。

 

 頭上から飛来した投網のような糸の塊がスクアードの全身に絡みつき、本人どころか周囲が戸惑うヒマもなくあっという間に簀巻きにされて芋虫のように『白ひげ』の足下に転がった。

 

「……助太刀に、なったかな」

 

 サッチが簀巻きにされたスクアードの首辺りを掴んでがくがく揺さぶってるのを遠目に見つつ、ミオはぽつりとつぶやいた。

 自分ではないけれど、相棒が助けになったのならちゃんと役目を勤められた、気がする。

 

 ここは戦場で、我々が身を投じているのは紛れもない戦争である。

 

 そしてそれは、なにも鉄火を以て行うものだけが全てではない。

 

 舌鋒を弄し、(はかりごと)を巡らせ、持てる全てを駆使して相手の凋落を狙うことこそが目的であり、本懐である。

 

 とりわけ詭弁と詐術を用いて敵の内部崩壊を誘発させる、なんてのは常套手段といえる。

 

 白ひげ海賊団は傘下含めて一枚岩だと、誰もがそう思っているだろう。だから、新世界に名だたる四皇たる『白ひげ』として君臨しているのだと、信奉しているに等しい。誰も獅子身中の虫がいるなど夢にも考えない。

 

 

 ()()()相手はそこを突こうとした。まったくもって正しい、戦における常道ともいえる戦術である。

 

 

 戦争には情報戦としての側面がある。おそらくスクアードには過去エースに類する何らかの瑕疵があり、そこを海軍の誰かにつけ込まれたのだ。

 

 この戦争における要はエースと『白ひげ』。どちらかが斃れれば海賊サイドの敗北が決定してしまう。なんとしても守らなくてはいけない。

 まして『白ひげ』は先日まで病床の身だったのだ。彼が現在本調子ではないことをミオは知っている。護衛としてマルコたちが付かず離れずにいるのはそういうことで、万が一に備えるのは当然だった。

 

 ミオと軍曹は二人しかいない。だから分けた。エース奪還の助力にはミオ、『白ひげ』の護衛として軍曹を配置して最低限の安全を確保できるように。

 

 そして、その保険は功を奏した。

 

 それだけに安堵を覚え、改めてミオは走り始めた。スクアードの悲痛な哀訴が途切れ途切れに聞こえてくる。

 内容は、傘下の海賊を生け贄にして最終的にエースが助かるように『白ひげ』は海軍とすでに密約を交わしている、という……まぁ、よくあるやつだ。どうも『赤犬』の仕業らしいが、詳細はよくわからない。

 

「スクアードさん『海賊王』と因縁あったのかぁ……」

 

 そりゃ海兵も狙うわ。すごくそそのかしやすい。

 

「馬鹿野郎! 担がれやがったなスクアード! なぜオヤジを信じない!?」

 

 マルコの鞭のような声がびりびりと空気を打撃する。

 そのまま走っていると、先ほどのイゾウたちに追いついてしまった。一様に足を止め、船へと首を向けたまま『白ひげ』とスクアードのやり取りから目を離せないようだ。

 視界の隅に映ったのかイゾウが一瞬だけミオへ視線を向ける。

 

「ミオ、お前の相棒のあの蜘蛛、ずっとオヤジに付けてたのか?」

「そりゃ付けますよ。心配だもの」

 

 あっさり頷くと、イゾウは「そうか。……よくやった」とぼん、と一回だけミオの頭に手を置いた。次いでナミュール、キングデューもぼん、ぼん、と続いた。

 もぐら叩きみたいで釈然としないが、褒められているのはなんとなく分かるのでどうにもむずがゆい。

 

「ミオと軍曹のおかげで、スクアードのやつはオヤジを刺さずに済んだ」

「忠義立てしてるオヤジに刃傷沙汰まで起こしちまったら、あいつは自責の念でそれこそ死んじまうよ」

 

 ナミュールとキングデューがそう言って、イゾウが嘆息してから「ちげぇねェ」とだけつぶやいた。

 

 

 マリンフォード中の視線が一点に集中する中で、『白ひげ』がスクアードを胸の中へと抱えながら力いっぱい抱きしめていた。

 

 

 


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