スマブラキャラがただ飲んでお話しするだけのお話   作:スマブラ族

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キャラたちが砕けて会話するのを描いてみたかっただけです!


古参飲み

 全員参戦。

 その言葉は、世界中の人間を震撼させた。

 何年かに一度開催される、ゲーム業界の格闘競技「大乱闘スマッシュブラザーズ」の、新たな戦いのプロモーションビデオにて掲げられた言葉に、皆が熱狂し、主催企業を湛える声で溢れていた。

 全員参戦ということはすなわち、過去4回の戦いのうち、やむを得ず主催企業からリストラをされてしまった戦士も復活を遂げる、ということだ。当然、過去に参戦できず失意した戦士は、例外なく感謝するとともに、興奮のあまり咆哮したものも少なくない。

 プロモーションビデオの放映後、すぐに、参戦ファイター全員で近くの飲み屋を占拠し祝杯を挙げ、誰もが嬉しそうにうまい料理や酒に浸った。

 その後は、昔からの大御所ファイターたちが離れて二次会を行うことになり、解散することになった。他のファイターたちもまたそれぞれの場所に戻り、それぞれの時間を楽しんだ。

 二次会に向かった戦士たちは12人。すなわち、これまでの戦いにすべて参加した歴代の戦士たちだけだ。彼らは主催企業の別の作品にて実に多大な功績をあげており、まさに大御所とも呼べる人間である。当然、彼らが向かったのは、高級感あふれるところ――かと思っただろうが、適当な下町の居酒屋を選んだ。格式ばった場所は、あまり好みではないからだ。

「乾杯!!」

「乾杯!!!!!!!!」

「いやぁ、今日はすごい日だったな……まさか全員参戦するとはな」

 主催企業の看板戦士であるマリオが悦極まった表情で呟く。隣に座るリンクもウィスキーロックをチビっと飲みながらうんうんと頷いた。彼も同じく看板クラスの戦士であり、マリオと並ぶほどの人気を持っている。

「そうだよな。しかも俺達にも知らされなかったぜ。ビデオ作る際も復活組も個別に呼び出されてたらしくて、全員参戦自体は知らされてなかったようだ」

「まあ何はともあれ、喜ばしいことだ! あの時にしか戦えなかった戦士たちともまた戦えるんだからな!! ははは!!」

 そうやって豪快に笑うのは、主催企業が誇るレースゲームの主人公、キャプテン・ファルコン。マリオやリンクには劣るが、それでもかなりの人気を秘めている。尤も、彼を認知したきっかけは、本家ではなくこちらの格闘大会が多いようだが。

「でも、僕の仕事が増えるポヨ……」

 はぁとため息をつくのは、主催企業に所属する主催者が生み出した戦士・カービィである。ピンク色で愛らしい一頭身のデザインが人々にヒットし、世界的な人気を誇っている。ただ、格闘大会においては、相手を吸収し、その力の一部を得る能力のせいで、仕事量が半端ではない。参戦戦士が増えるとなおさらだ。カービィはオレンジハイを啜るとまたため息をついた。

「たしかに今の時点で、68人いるピカ。これから増える可能性もあるピカ」

「ポヨォ……」

 落胆するカービィに慰めの言葉をかけるのは、世界で2番目に有名なネズミといわれているピカチュウである。こちらもまた、主催企業の名前を世界規模で知らしめた実績を持ち、彼抜きには、「Pokemon」は語れない。因みに、世界で一番目のネズミの名前は、言ってはならない。

「でもうらやましいよ……僕なんて、もう続編は出ないって言われちゃってるんだ。すなわちスマブラ以外では仕事がないんだよ」

 そうカービィ以上に深いため息をつくのは、PSIと呼ばれる超能力を操る少年・ネスだ。彼の主演作「Mother2」はいまなお人気を誇る名作品であり、人気は高いのだが、3を最期にシリーズは終わってしまった。今は彼は印税と格闘大会のギャラで生活をしているが、もはや失業といってもよいだろう。

「それをいったら私だってそうさ。もう最期の作品から10年以上たっているんだ」

「でも君はファルコン・ランチで仕事貰ってるじゃんか!!」

「あれは私じゃない! ファンが勝手にやってるだけだ!」

「でもそれだけ君が人気ある証拠だよ……はぁ」

 ネスは再びため息をつくと、くいっと日本酒を煽った。子どものような見た目をしているが、お酒は強いようだ。あるいは、やけになったか。

「ネスってやっぱりお酒強いんだね。僕はお酒飲めないワポ……」

「ヨッシー! それ僕の卵焼きだよ!!」

 ヨッシーと呼ばれたドラゴンは、隣に座る哀れな男、ルイージの卵焼きを長い舌でペロンと飲み込んでしまった。ルイージはガクッと項垂れながら、近くにあるビールを煽った。

 ヨッシーは、マリオの出演する作品でデビューを飾ったが、後に自分が主演のシリーズを確立し、多大な人気を得た。ただ、鳴き声や乗り捨てられる様が話題にもなり、いろんな意味で愛されている。

 いろんな意味で愛されているのは、ルイージも同じである。彼はマリオの実弟であり「永遠の二番手」と呼ばれている。気弱で影が薄く、マリオと違って割と不幸な目に遭っているが、それでもやはり血が繋がっているのか、彼も世界的な人気を持っており、彼が主人公のシリーズも勝ち取ることができ、兄とは違った路線での人気獲得を果たしている。

「ルイージ、俺のバナナ食べるウホ?」

 そういうと、ルイージの正面にいる大きなゴリラ・ドンキーコングが一本のバナナを差し出した。ルイージはありがとうといいながらそれを受け取った。

 ドンキーコングは一応マリオと同時期にデビューをしているが、今同席しているのはそのドンキーコングではなく、息子の方である。しかし、父親の方は早々にその名を息子に譲り、現在はクランキーコングと名乗っている。ドンキーコングという名前を継いだ彼は、数々の名作品を主演し、独自のシリーズを確立して人気を得た。余り知られてはいなかったが、アニメにも出演しており、彼を知らない人は、マリオやリンクと同様にいないであろう。因みに、彼のアピールの仕草もまた、有名である。

「……その表現って少し卑猥だ、ドンキー」

「おいサムス。お前のその発想卑猥だぞ。というかそのパワードスーツ脱げよ」

 サムスと呼ばれた、パワードスーツを身に纏った女性に話しかけたのは、キツネのエリートパイロット、フォックス・マクラウドである。サムス・アランはこの場では希少な女性だが、戦闘を生業としているのと、フォックスが指摘したように、滅多なことではスーツを解除しないため、あまり女性視はされていない。現に「メトロイド」でデビューした際は、女性だと気付かれることはなかった。彼女は、主に明るい世界を描く主催企業にしては珍しくダークなものの作品に出演したものの、世界的に有名で人気を獲得し、ついこの前続編が出た際には大きな話題となった。

 フォックスは、宇宙で戦うパイロットとして「スター・フォックス」と呼ばれる作品に出演したが、彼もまたサムスと同様につい最近続編が出た。その時も話題になり、世界クラスで有名な狐の仲間入りだろう。最近だと、秘密結社が発表した作品の狐がフォックスの脅威になるとかならないとか。

「フォックス、脱げよっという方が卑猥プリ。独身ってキモイプリ」

 そんな会話に口をはさんできたのは、風船ポケモン・プリンである。カービィと同じく一頭身であり、ピカチュウに負けず劣らずの人気を誇るマスコットである。スマブラにおいても皆勤賞であり、番狂わせな戦い方を好むようだ。またここにいるプリンは人型ではないが、女性である。

「違う、そういう意味じゃない! それに俺は結婚してるぞ!!」

「あらそうだったプリ? 最新作出てなかったからてっきり別れてるのかと思ったプリ」

「たしかにクリスタルは出演しなかった。だけど全然夫婦円満だぞ」

「夫婦といえばルイージ、お前の奥さん参戦したじゃん、よかったな!」

 そういってルイージの肩を叩くのは、右隣に座るリンクだった。華奢な美青年に見えて力は強いためルイージは肩を抑えつつこくこくと頷いてありがとうといった。

「デイジーもすごく喜んでいたよ。今ごろピーチと女子会してるらしいね」

「ああ。ピーチもすごく喜んでいたしもう俺じゃなくて彼女に話しかけていたよ。妬けちゃうぜ」

 マリオはビールを煽りながらルイージを軽くどついた。

「まあそれも仕方ない。それに新規参戦に素直に喜べるのはいいことだと思う……」

「もしかして、リドリーのことポヨ?」

「もしかしてもしなくてもそうだ」

「あぁ……確かに……奴とボスとして戦ったことがあるからわかるピカ。ドンキーもファルコンもピカ」

「ああ、派生系だがな」

「ウホウホ!」

 リドリーとはサムスとの因縁のある相手であり、これまでに幾度となく激闘を繰り広げていた。その相手が今回の格闘大会に参戦することが決まり、多くの熱狂的なファンは盛大な拍手で迎えたが、サムスとしてはやはり複雑だろう。

「まあサムス。俺やリンクもずいぶん前の話だが、宿敵と顔を合わせたときはそういうものになったさ。だけど今じゃ普通に話せるし飲みにだっていける。気にするな」

 マリオはサムスをなだめるべく言葉を放った。しかし逆効果だったようで、机を強打された。

「ふざけるな。リンクはまだわかるがマリオは全く違うケースだろう? お前とクッパは宿敵というよりライバルーーいや、腐れ縁が適任だ。一緒になってボードゲームやレースやスポーツなんてする間柄なのによくそんなことが言えるよな、ったく」

「まあ確かにマリオが言えたことじゃないな。俺だってアンドルフと遊ぶなんて考えられないね」

 そうサムスが捲し立てると、ぐいっとビールを一気に飲み干した。

「しかし、あんなにでかいのによくリドリーが参加できたよな。ガノンだって巨大化した姿は最後の切り札になってるだけだ」

「確かにリンクのいう通りだね。モグモグ……」

「……まあシェイプアップでもしたんでしょう? 親の仇のことなんてあんまり知りたくはないけど」

「そ、それより新しく参戦といえばあの子が参戦したプリ!!」

 これ以上は場を悪くするだけだ。そう判断したプリンが話題を転換させた。一同はほっとしつつ口を動かした。

「あの子って、もしかしてイカちゃんのことかな?」

「イカちゃんいうなよネス。気持ちはわかるけどな」

「イカポヨ!?!?」

「違うよ本当のイカじゃないよカービィ。ああ、カービィいかげそ食べる?」

「ポヨ!!!!」

 ネスに差し出されたイカゲソをあっという間に口のなかに入れて美味しそうに食べるカービィをよそに、話は進んでいく。

「確かインクリングっていうんだったな……こいつの参戦はまあちょっと前から告知されていたが」

「あの子もけっこうすごいピカ……ここで飲んでる奴でも勝てないくらいの実績を持ってたりするピカ」

「お前がいうな電気ネズミ。まあでも、あいつ一次会の時私たちに対して物凄く下手に出ていたよな」

「特に兄さんやリンクに対しては、もう怯えているんじゃないかってくらいの態度見せていたよね」

「まあ無理もないぜ。ティザービデオの時、明らかに威圧していたもんな。それも、《大御所》二人ににらまれちゃぁな」

「フォックスみたいにみんなそれいってるけど、あれは……監督に演技でやってくれって言われたんだよ。なあリンク?」

「……ああ。まあぶっちゃけると少し妬みもあったけど」

「おいおい……先輩として失格だウホ!」

「だって考えてみろよ。俺はGOTY賞受賞しているのに、売り上げじゃあいつの半分にも満たないんだぜ? しかも売れないって言われてるナンバリング続編でだ」

「でもリンクは他で売れているからいいウホ!」

「まあそれがあるからセーブはできたけどさ」

 リンクは静かに紅茶ハイを啜り、つまみを口に含む。

 途端、サムスが席を立ち上がった。皆がサムスに視線を向け、首をかしげる。

「ああ、ごめん。私今女子会の誘いを受けてるの。新しく入ったデイジーと、女の子のポケモントレーナーの歓迎もかねてね」

「……悪いがそれ、このキャプテン・ファルコンにも参戦させてはーー」

「ウホウホゥ!!!」

「お前らのようなむさ苦しい独身野郎共はお呼びじゃないんだ。プリンはいくか?」

「いいプリ。私もいくプリ!」

「そういうわけだから、お先失礼するわね。またやりましょ、古参飲み」

「ああ、道中気を付けろよ!」

 そういうと二人はいくらかお金を残して消えていった。




今回は古参で書きました。他のキャラも出す予定です!
ツッコミどころしかないですがよろしく ✌
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