哀しみも楽しさも怒りも喜びも
寝ている煌遊は珍しく等間隔で穏やかな呼吸を繰り返して当分起きそうになく、静かに二段ベッドの下の階で寝返りをうっていた。
そんな時に彼の聖刻龍デッキが淡く光り出して光が光線となると、とあるカードから溢れだした闇が絡みつきデッキへと光を押さえ込んでしまう。
デッキケースごとカタカタと揺れるが揺れは徐々に弱まり治まってしまった。
「ここがオレの部屋か」
「すー、すー」
「おい。おーい。なんだ寝てんのか?」
がちゃりとドアノブが回り部屋の扉が開くと、一人の青年がげんなりした表情でのそのそと入ってくる。
ある程度隅に寄せられた荷物と、こちらに配送されたまま手付かずの状態で置かれている見覚えのある荷物に、もう同居人はいるのかと挨拶をしようとした。
彼はキョロキョロと辺りを見回すが、誰も見えないので諦めかけた時に等間隔で聞こえる穏やかな呼吸音を頼りにベッドを見ると、全く知らない黒髪の青年が気持ち良さそうに寝ていたので現状確認に声をかける。
だが寝ている青年から全く返事が返ってこないのでこれは起きそうにないなと結論付けて自分の荷物を整理し出した。
「そろそろ歓迎会の時間か。あぁー一応コイツも起こさないとな。おらもう起きろぉ」
「んっ……あと5時間……」
「5時間は寝過ぎだ。おらっとっとと起きろ!!」
「ふんぎゃっ!?!?なんだトラゴエディアっ!!アイツらか!!」
「な、なに寝ぼけてんだ。ほら早く支度しろ歓迎会に遅れるぞ」
「あいっ?……あ、あぁ……ありがとう」
それから少ししてそろそろ寮生による歓迎会の為行くかと思い、脱いでいたブレザーを羽織直す。
寝ている同居人もそろそろ起こしてあげようと何度も身体を揺する。
だが起きないのである。爆睡というかもう永眠なんじゃないかレベルで起きないし、いきなりあと5分のノリで5時間も要求したので思いきり頭を叩いてしまう。
やってしまったと思っていると、起きた相手は寝ている時とは正反対に騒がしかった。
トラゴエディアなんてモンスターカードを呼んでいるようなら大丈夫だと決めつけて、歓迎会の為の身支度を促しブレザーを着せる。
返事をした寝起きの青年こと煌遊は、自己紹介し合うこともなく急いで支度して寮の食堂へと向かうのであった。
────
「私は3年生の寮長の
寮の歓迎会で寮に暮らす在校生が全員食堂で、新入生である煌遊達と向かい合うように立っておりその中の1人が前で自己紹介してくる。
3年の寮長は女子で今1歩前で自己紹介をしている人だ。
薄く腰まで届く緑色の髪を低めの位置でポニーテールのように纏めており、鮮やかな青色の切れ長な瞳は堂々と全生徒を見ている。
だが凛々しい人物でキリッとした雰囲気を纏った彼女を新入生はあまり目を合わせない。
目が合ってなにか厄介事に巻き込まれたり、変な仕事を押し付けられたりしたらたまったものじゃないからだろう。
───
煌遊side
【うげぇオレああいうの苦手】
【確かにあれは嫌でも思い出すな。中学校とやらの受験を台無しにしたあの事件を】
【そういうわけじゃないけど……こう何て言うか……】
【やはり中学校とやらの受験のことを引っ張っているではないか】
いつも勝手に半透明で上半身だけで出てくるトラゴエディアと心の中で話してるが、オレはどうにも中学の頃に厄介事に巻き込まれた人物が頭にちらつくので凛々しい女は好きじゃない。
今ごろになって中学をしっかりと受験できてれば、なんて言う気はないが、それを好き好んで思い出してあーでもないこーでもないと悩みたいわけじゃないからああいうのはあまり見ないに限る。
「面白い話は特にないがあまり羽目を外し過ぎず、節度ある生活と我が校の名を背負っているという責任をしっかりと理解した上での行動をするように」
軽い自己紹介と簡単な注意喚起だけ言うとあの女は上級生の列に戻った。
それを見ていた新入生はおそらくオレを含めてが皆が直感で感じたに違いない。
《あっこれ関わったらめんどいヤツだ》ってな。
これだけで顔馴染み同士は、アイコンタクトで連絡しあっているがオレは顔馴染みはあの結城皇餓位しかいない。
つまりぼっちを見せない為にはあのヤンキーに関わるしかないということでそういうのはアイツとあまりしたくない。
結局一人になってしまい、先生のありがたいお話や他の先輩の話を聞く振りをしておく。
───
──
─
先生や先輩のありがたい話を聞いたが、どれもこれも聞いたことあるような物ばっかりで新入生の連中も興味を無くしてた。
「では堅いことはこれまでにして皆さん今日は楽しんでください」
最後にオレの試験相手でもあった高橋先生が、楽しんでくださいと挨拶が終わる。どうやらこの学生寮の監督の先生みたいだ。
【あれは小僧貴様を攻撃した精霊の持ち主か!!ここで】
【ストップストップ。こんな所で堂々と襲えば色々と面倒だし、何よりあの精霊にまた襲われるだろ。あっちがなにもしなきゃこっちから何かする必要はないぞ】
【トラゴエディアよ。貴様はいつも後先を考えぬのは悪い癖よ。少しは頭を使えというのだ】
【ドレッド・ルートぉぉ。我は頭を使っているぞ!!だがお前達が我の作戦は陰湿だの達が悪いだのとケチをつけるからだろう!!】
【当たり前だ。誰が相手を自殺させるまでのプロセスを求めるか】
【トラゴエディア。貴様は程度が分からないからこうなるんだ】
高橋先生を見たトラゴエディアが精神世界から出てこようとするが、それをドレッド・ルートとオレでなんとか足を掴んで抑える。
ドレッド・ルートが注意してもこのバ……じゃなかったトラゴエディアは、自分の作戦を使わせてくれないと言うんだ。
それもそうだ。だってコイツの作戦って相手を悲劇に叩き落とすものばかりで録な物がない……というか加減を知らない。
そんなのはこっちからお断りするに決まってる。
「おーい。齊迪そんな隅っこでなにしてんだよ」
「……」
「おーい齊迪?」
「んっ?あっごめん結城くん」
「お前ボーッとしすぎだぞ」
くっそぉあの
中学の時に変に絡まれてたから、数ヶ月かけて大丈夫だと思ったら今度は別の絡み方をしてきている。
正直こちらは関わりたくない人種に近いので困っているのが現状である。
とりあえず何か言い訳を考え【主言い訳を言っていいわけなのか?】…………!?!?!?
【ど、ドレッド・ルート今なんて!?】
【……二度は言わぬ///】
【ハハハハッ!!ドレッド・ルートも洒落を言うときがあったとはなぁ。だがこれは傑作だ。あの恐怖の根源がこんな陳腐な物を】
目の前の結城の顔を見ながら、相手がまだ答えを待っているのを確認していたら、あのドレッド・ルートが親父ギャグを言ってきたのだ。
聞き返してみればドレッド・ルートは、頬を赤くして照れて顔を背けてしまうのだ。
そんなドレッド・ルートを近くで笑いながら指差しているトラゴエディア。
コイツはいつもうるさいが今回は中々スベらないドレッド・ルートがスベっていつにも増してうるさく笑ってる。
【……うるさい///我輩は少しでも主が肩の力を抜いて皆と話せたらと思ったのだ】
【くくくっだからってドレッド・ルート……ありがとう。お陰でなんとか余裕できた】
ドレッド・ルートが普段言わない親父ギャグもオレを思っての事なので、お礼を言いながらいい言い訳を思い付いた。
だからそれを結城に早速言ってやろうと思うのだ。
「なーなー齊迪ぁーどーしたんだよー」
「あっあうっご、ごめん。ちょっと考え事をしてて」
「考え事?なに考えてたんだ?」
「いやっ……それは」
「ははーん。オレに言えないってことはそれは恋の悩みか?さすが齊迪。お前は学校生活を満喫するためにオレの想像を遥か斜め上を行きやがるな。そこに痺れるし、憧れちまうぜ」
「…え、えっとー恋じゃないかなー」
結城が肩を掴んで頭を揺さぶるが止めてほしい。ガクガク頭が動いて痛いし、何より気持ち悪くなってくる。
とりあえず何とか時間を確保しなきゃこれを止めてくれないのは、ずっと前から使えそうだから考え事という最強の言い訳を言ってやるんだ。
「恋じゃないのか……じゃあなんでボーッとしてんだよ」
「いずれ分かるよ。いずれね」
「難しいこと言ってんじゃねぇーぞ」
「ゆ、揺らさないで」
「てかよずっと気になってたんだけどよ昔みたいに結城って呼ばねーのか?他人っぽくて気持ち悪いぜ」
「そ、それは……また慣れたら、かな」
これを言えば大丈夫だと思っていた時間稼ぎを言ったが、全く通用しないで相変わらず頭をぐわんぐわんって揺らされてるんだ。
コイツはどうやら全く頭を使おうとしないようだ。中学の時の受験勉強の真剣さが嘘みたいだ。
────
「ふふふ中々皆楽しんでくれているようで何より……むっあれは」
凛々しい雰囲気を纏っている倉敷は、新入生達が楽しんでいるか、上級生が変なことをしていないかチェックをしていた。
皆談笑し、料理を楽しんでいるのが、どうにも新入生で部屋の隅でこそこそとしている黒髪の青年と派手な金髪の青年が目に入る。
距離があるのと、周りが賑やかなので会話は聞けないが、どうにもカツアゲしているようにしか見えず、倉敷はそれを無視できずそちらへとゆっくりと歩いていくのだ。
その姿は優雅で、低めポニーテールを揺らしながらカツアゲ現場と思わしき場所まで移動すると、金髪の青年の手首を掴むのだ。
「私はキミの入学と入寮を祝うが、こういうのは認められないぞ?」
「なっテメェなんだよ?離しやがれ」
「彼が嫌がっているだろ。それを無視することはできないと言っているんだよ」
「あぁ?何いってんだ?オレは齊迪と話してるだけだろ?そこに何の問題があるんだよ」
「仲が良いのは大いに結構。だがカツアゲは許せないな」
「あ゛っ?テメェ頭沸いてんじゃねぇのか?」
倉敷と金髪の青年こと結城が言い合いをしていると、結城に絡まれている黒髪の青年齊迪はあーっと完全に面倒なことになったと言いたげな雰囲気で目に手を当てて呆れていた。
「あのぉー先輩。なにか誤解してませんか?」
「大丈夫だキミ。私がキミのことを護るからな」
「あっ!?テメェオレのダチに手出してんじゃねぇ!!」
「……」
倉敷は齊迪が訳を言おうにも彼女の正義感が先行してしまい、齊迪をしっかりと至近距離で目を見ながら護ると言うのだ。
(この人イケメンだなー)と思いながら見ていると、後ろから結城が怒鳴ってきて齊迪はもう考えるのを止めた。
この流れに任せることにしたのだ。
先生や他の寮生が止めるに違いないと思って辺りを見ると新入生の視線が痛い。
(空気読めよ)
(まじで萎える)
(やべっ屁こいちまった)
等と考えてそうなあの嫌な視線や明らかにバレないで欲しそうに切に願っている表情が、目に入ってしまうと居心地が悪くなってしまうものでどうにか早く終わらないかと神様に願う齊迪であった。
【ならば我が【呼んでない】】
【最後まで言わせろ小僧!!】
またろくでもない奴が出てきそうだったので前もって釘を刺しておいた煌遊はため息を吐いていた。
どうしようもないこの状況に疲れてきた煌遊は、ひっそりと逃げようとしたが倉敷がしっかりとYシャツの襟を掴んでいるため逃げれそうになかった。
「まぁまぁ倉敷さんも落ち着いてください。まずは相手の意見を聞きましょう。ほら手を離してあげてはどうですか?」
「高橋先生ですか……。分かりました」
「たくっなんて力だよ。てめぇそれで女なのかよ?」
「キミ。私はれっきとした女だ。むしろこんな場でカツアゲしようとしているキミは男なのかな?」
「だーかーらーちげぇって言ってんだろ!!」
高橋の言葉に倉敷は煌遊と結城の手を離すが、元より喧嘩腰の話し方に決めつけられてストレスを感じている結城は、嫌味な言葉を言うのだ。
それにカチンときた倉敷も嫌味で返すが、カツアゲしているとは決まっている訳ではないので決め手に欠けるがそれでも倉敷の表情は自信満々だ。
こんな二人の状態に学生寮の管轄を任されている高橋は、最終兵器を使うしかないと決断すると二人の間に立つのだ。
「まずは別室に移動しましょうか」
「はい分かりました」
「はい」
「はーい」
高橋がこの場では色々と目立つので別室で話を聞くことにして、3人を別室まで案内する。
3人は各々返事をしては高橋の後に続き歩いて会場を出ていくが、寮生は問題を起こしたと考えられる結城と煌遊のことをひそひそと話していた。
───
──
─
「ふむふむ。では倉敷さんと結城くんには事概ね理解できました。どうやら倉敷さんの勘違いみたいですね」
「ですが先生!!」
「倉敷さん……貴女の言い分も分かります。ですが彼等は中学時代から一緒なのです。彼等のコミュニケーションはこれだと言うことなんですよ」
別室で皆の言い分を聞いた高橋は、う~んと顎に右手を添えながら《考える人》のようなポーズで悩んでから問題なしと言うのだ。
だが正義感が強い倉敷はまだ納得してないのか緩いポニーテールを揺らしながら抗議をするが、高橋の言葉には静かになるしかなかった。
「じゃあボクはこれで」
「オレも戻るかなぁ。あぁ腹減ったー」
「すみません。齊迪くん、結城くん少し待ってもらえませんか?」
「えっ?」
「なんすか?」
煌遊と結城がこの部屋から出ていこうと席から立って歩こうとすると高橋に声をかけられて振りかえる。
お腹を空かせた結城は、少しだけ面倒臭そうな顔で高橋の方を見て返事をする。
「今回の件は倉敷さんに非があります。ほら倉敷さん」
「今回の件は本当にすまなかった……」
「別にこういったことは慣れているので」
「別に何も気にすることはないっすよ。オレと齊廸の仲はそんな簡単に切れねーっすから」
倉敷が煌遊と結城に謝りぺこりと頭を下げるが、煌遊も結城もこの手の勘違いはよくあるので気にしないで今度こそ部屋から出ようと背中を向ける。
「今回の件で分かっていただけたと思いますが、倉敷さんは少し無茶をする生徒で教師としても少し不安でして、斎迪くんと結城くんにも迷惑をかけてしまうかもしれません」
「いえいえ高橋先生大丈夫ですから失礼しますね」
「齊迪が大丈夫ならオレも大丈夫だぜ。じゃあ失礼するな……じゃなくて失礼します」
高橋が倉敷のフォローを入れると、もう一度高橋の方を向く二人は再度返事をしてからニッコリと愛想笑いを浮かべて部屋から出ようとする。
結城の言葉使いがかなり危なかったが、高橋はそこに何も言わずにいたのでセーフだったようだ。
「すいません。もう少し時間を頂いていいですか?」
「えっあの、なんですか?」
「実はですね。ここからは私からの提案なんですが貴方達に1年の寮長をしてはもらえませんか?」
「う、うむ。それはいいぞ。私も他の寮長や副寮長から何かと言われていてな。これも運命のような物だと思って一緒にやってみないか?」
「い、いえボクそういうのは」
「オレも面倒だしパス~」
「そうだろう。そうだろう。やりたくて仕方ないだろう……へっ?今なんて言った?」
「だ、だからボクは辞退しようかなーって」
「ムリムリそういうのオレのガラじゃないし」
一難去ってまた一難とでも言わせたいレベルで面倒事が全力ダッシュをして煌遊と結城を離さない。
二人とも終わったと思ったのに、厄介な物を誘われて断る。
煌遊はおずおずと申し訳なさそうに言葉を濁しながら言うが、結城に関しては面倒だとはっきりと言ってしまうのだ。
倉敷は寮長という物に誇りか何かを感じているのか、煌遊も結城もやりたがっていると思ってうんうんと自信満々に頷きながら、二人を迎え入れようとしたが、二人の言葉に固まってからギギギと間接部が固着した機械のように鈍い動きで彼らを見て聞くのだ。
二人は再度寮長の件は断る。今回は、煌遊は少しはっきりと辞退と言い、結城は先ほど同様に無理と言いきった。
「な、なぜだ?寮長は寮生皆の風紀や相談事など皆のために頑張れる素晴らしい役職だぞ?」
「……ぼ、ボクそういうのに向いてないので」
「たりーからムリって言ってんじゃないっすか……はぁっとりまオレやるつもりないっすから帰るっすね」
「な、な、な……やってくれたっていいだろぉぉぉぉっっ」
「倉敷さんどうどう」
「えっあのぉー大丈夫ですか?」
「ちょっ泣くなよ」
(早く終わらないかな……)
(あぁー面倒くせー飯の時間が無くなっちまう)
倉敷は、煌遊と結城が断ったせいで目尻に涙を溜めてから一気に爆発したかのように泣き出してしまった。
それには煌遊も結城も驚いてしまって困惑してしまう。
二人は心配そうに言いながらもいきなり泣き出した倉敷にげんなりしていて、これじゃあ逃げようにも逃げれないので早く終わることを祈っているのだ。
高橋は倉敷が落ち着けるように背中を擦りなが煌遊達が逃げないように見張っている。
「ひぐっぐすっ……1年生の、寮生にはどんな生徒がいるか、分からないけど、今まで話を聞いて君達なら任せられるって思ってぇっ言ったのに」
「おかしいだろ!!オレを散々疑ったってーのに寮長になれだー。休みも休み?休みに言えよ」
「それを言うなら冗談も休み休みにってヤツなんじゃ……」
「それだ!!ナイス齊迪」
相変わらず頭の悪さに頭を悩ませながらも、煌遊は中学の頃のように結城に教えてあげた。
ナイスと笑顔でサムズアップをしながら言うがおそらく倉敷はこのやり取りが名コンビとしてイケると思ったのだろう。
「ぞれは悪がったっでぇぇっっ私がでぎるごとはなんでもずるからぁぁぁゆるじてぇぇぇっっっ」
「……」
「な、なぁ齊迪」
「何も言わない……言ったらこっちの負けだよ」
「うわぁぁぁん」
先輩で格好いい姿が特徴だった倉敷は泣き崩れており、何でもするとまで泣いたまま言う。
悪い男ならぐっと来るだろうが、ケンカバカであった結城と全て面倒だと思っている齊迪にとっては面倒な女位にしか認識できず助け船を求めて高橋の方を見るが高橋も首を左右に振っている。
どうやら倉敷と2人の根比べとなったようだ。
───
──
─
「というわけでよろしくな。齊迪と結城」
「え、えぇっよろしくお願いします」
「……よろしくっす」
「話がまとまったみたいで良かったです」
握手をする3人を見ながら高橋は上手くまとまったと思い微笑んでいるが、どう見ても2人の男の表情はやつれて疲れていたが気にしてなかった。
結局このままでは埒が明かないので、デュエルで決めることになり、二人ともボコボコに負かされて仕方なく寮長になったのだ。
そこで解放された2人はとぼとぼと歩いていくがすでに会場は盛り上がっていた為入る気にならず部屋へと帰っていったのだ。
「じゃーな齊迪」
「あぁっ……これから頑張ろうか」
それだけ言って部屋へと入る斎迪は軽くシャワーを浴びて夜風を浴びるために窓を開けるのだ。
すでに疲れがピークに達していたせいか、齊迪が中学の頃のように結城に対して言葉使いがフランクになっていることに気づかないでいたのだ。
齊迪side
「たくっ面倒な事を押し付けやがって……さて誰も居ないしとっとと組むかぁ」
オレは、自分の部屋に誰もいないことを確認すると、頭をガシガシと掻いてしまいながらさっきの事を思い出して愚痴を吐き出す。
こうやって誰もいない時にこそ愚痴をどんどんと出した方がいい。そうしないとこのストレス社会と戦えないからな。
さてさて誰も居ない時だからこそ、オレは新しいデッキを組もうとカードを机に広げる。
カード資産はあんまりだが、Mさんの所で小遣い稼ぎの成果とかもあるからなんとかなるか。
「あれがあーで、これがこーで……あれ?これ枚数足りなくないか?えーっとあのカードはっ、ぐぅぅぅ~……腹減ったなぁ」
そういえば開幕早々オレは、別室送りになったから飯食いそびれたな。
さて何かを食べたい所だが、生憎食べ物を持ち合わせて無いためどうしようもなかった。
全くこれは朝まで断食か……
コンコンというノック音が聞こえてそちらの方に意識が向くと、結城がドアを開けて立っていた。
そして妙にニヤニヤしてる顔を見るとロクなことに巻き込まれかねない。
「よっさっきぶりだな。齋廸」
「あ、うん。そうだね。どうしたの?」
「よっと。いやぁオレ達メシ食えてないだろ?オレも寝るかとか思ってたんだが、どうにも腹が減っちまってな」
「あぁボクもお腹は減ったね。食べるものもないし、朝まで我慢しようかなって思ってた」
どうやら結城の奴腹が減ったからここまで来たみたいだ。
悔しいがオレも腹は減ってるがまぁ1食抜いた位で死なないから、食わずにいようと思ったのだがコイツは違うみたいだ。
何処かコンビニで買い食いか、購買でも行って食料を探すか……出来れば後者がいいが「きゃああああああ!!」
「なんだ!?」
「結城くん急ごう!!」
いきなり外から悲鳴が聞こえたから、すぐに結城に声をかけて寮を飛び出した。
夜だが、そんなに遅い時間ではないのと月明かりが明るいから良く見える。
こっちから悲鳴が聞こえたはずだ。
「ケッケッケッケこの程度で楯突くなんてなぁ」
「さてどーしてやろーか?カードを1枚ずつ破くか?」
「いっそのこと海にでもカードを捨てるのも良さそうだ」
明らかにイカれてる男が3人。それに絡まれてる女が1人。
「結城!!」
「おうよ!!」
オレが走りながら結城を呼べば返事をした後に、走った勢いのまま、3人の内の1人の顔面にドロップキックを当ててた。
「ぐへぇぇぇ!?!?」
ドロップキックをくらった相手は後ろへと吹っ飛んでいき、情けない声をあげてはそのまま意識を失う。
顔面には、結城の靴跡がくっきり残ってた。あれ生きてるよな?
「てめぇら何もんだ!!!!」
「顔面ドロップキックなんて人のすることじゃねぇ!!!!」
吹っ飛んだ不良の仲間が結城を見ると、各々叫ぶが、ドロップキックを決めた結城はゆらぁっとゆっくりと立ち上がって制服に着いた砂を払ってた。
「お前らこそ人間のすることじゃねぇよ。女1人に、男3人で寄って集ってるなんてよ」
「大丈夫?すぐに離れよう」
「あ、あの私のカードがっ」
オレは、近くで座り込んでいた女の子の近くに屈んで離れようと言うが、カードを取られたみたいだ。
「カード?お前らこの子のカード奪ったのかよ?」
「何言ってやがる?しっかりとアンティールールで勝ち取った報酬だぜ?それにそれは、そこの女も納得してやったデュエルだ」
「あれは貴方達がっ!!!!」
両者が同意の上なら、アンティールールをすること自体はさして問題ではない。
だが互いの言葉を聞いて上手く噛み合わない。
しっかりと、お互いの話を聞いた方がいいな。
「そんなに気に食わねぇなら、デュエルで話をつけてみろや!!!!まっ負けたらお前らのカードも1枚残らず貰っちまうけどなぁ」
下品な笑いをしながら不良達はデッキをデュエルディスクに装着する。
ドロップキックを食らってノックアウトしてた奴も、立ち上がってデッキを入れた。
どうやら数に物を言わせた戦術で、彼女からカードを奪ったんだろう。それにあのデッキから微かに感じるこの感じ……
「結城くん。その子を連れて、下がって……ここはボクに任せてよ」
「だが齋廸。この数はいくらなんでも」
「大丈夫。ボクこういうの慣れてるから」
『バトルロイヤルモード起動』
結城に女の子を任せるとデュエルディスクのシステムを起動させる。
別に正義感が……とかいう物はオレの中にない……
でも、目の前の困ってる人の助けくらいにはなってもいいと思う。
あの子も生きてたらそうしたはずだ…………
「「「デュエル!!!!」」」
皆様お久しぶりです
急に戻ってこれました。
仕事が忙しすぎて、全然更新できずすみません
実は遊戯王自体にもほとんど触れなくなってしまったので、皆様を満足できるデュエルが出来るか、新改訂で、主要キャラのカードがダメージがあるがどうするかとずっと悩んでました。
とりあえずは禁止改訂で崩れたデッキがありますので、そちらはそのキャラだけ使う形にしようと思います
あとデュエル内容ですが、自分が燃え上がっていたのが、5D'sとZEXALの頃なので、ブレインズとアークファイブを見てその頃位のデュエル内容にしようと考えております。
なので環境の動きじゃないとか、そのカードよりこっちの方がいいとか色々とあると思いますが、お付き合い頂けたらと思います