いつも聞こえてくるんだ
いつも見えてくるんだ
ねぇ……
「……」
路地裏に入ると、倒されたゴミ箱や散乱されたゴミに積まれた黒色のゴミ袋を見ながらただ歩いている煌遊。
あまりここを通る人がいないせいか、煌遊が動く度にどこからか虫やネズミが動いている。
彼の行く先を邪魔するわけではなくただ自分より大きな者が自分に近づくので死なないために逃げるのだ。
「チューッ!!チューッ!!」
中にはこのように威嚇してくるものもいるが煌遊が近づけば逃げてしまう。
煌遊は全くネズミのことを気にせず路地裏を更に入っていき、ネットフェンスに囲まれた空き地に入る。
「おいボウズここはお前みたいな奴が来るところじゃあねぇんだ。とっとと家に帰りな」
「……ここでデュエルしにきました」
空き地に入った煌遊にガタイのいい男達が10人程で取り囲むと、その中から1人浅黒い肌の外国人が皆より一歩前に出て煌遊に帰るように言うのだ。
その人はタバコを吸いながら煌遊を見定めている。
その人の息はタバコ臭く、グレーのパーカーを着ているが、幅の広さから威圧的に見えてしまい、いかにも危ない感じの身なりであった。
煌遊は、相手を見てしっかりと自分の用件を言うのだ。
彼の黒色の瞳はタバコを吸っている相手を見ているがその目は濁ったりなどしておらず光の届かない深海のような深い深い暗闇のような黒色で只者には感じなかった。
「OKOK。身なりは貧相なガキだが目は一丁前だ。オレはこの地区を治めてるMだ。ようこそオレらの国へ。おいお前らオレらのルールを教えてやれ!!」
「YesBoss!!」
煌遊の目を気に入ったMと名乗る者。
彼が一言言うと、ガタイのいい男達が全員デュエルディスクを起動させる。
「いきなり残念だったなぁボウズ。オレ達の世界はコイツが全てを決めるんだ。お前の金もすっからかんにしてやるぜ」
「……分かりました。ではこちらも皆さんのお金をすっからかんにしますね」
デュエルディスクを起動させた煌遊とガタイのいい男達は、互いにチップとしてお金をMに預けるのだ。
値段は互いに1000円。煌遊からすればローリスクハイリターンな勝負だがあくまで勝ち負けの話で、10人を一度に相手をするのは中々に大変なことなのだ。
それでもまだ余裕があるのか煌遊は、笑いながら皮肉を込めて冗談を言うのだ。
「ボウズが痛い目を見たいのはよーく分かった。じゃあ早速デュエルといこうぜ」
「デュエル!!」
「デュエル!!」
煌遊VSガタイのいいタンクトップな男達10人
「まずはオレのターン。メインフェイズに入るぜ。オレは【レスキューラビット】を召喚して効果発動!!このカードを除外してデッキより通常モンスター【ヴェルズ・ヘリオロープ】を2体特殊召喚するぜ!!」
【レスキューラビット】
効果モンスター
レベル4/地属性/獣族/攻 300/守 100
【ヴェルズ・ヘリオロープ】
通常モンスター
レベル4/闇属性/岩石族/攻1950/守 650
黄色の安全ヘルメットとゴーグルを被ったウサギが、フィールドに出てくると首にぶら下げたトランシーバーを使い誰かに何か言っている。
トランシーバーで連絡をするとレスキューラビットは、脱兎の如く急いでうさぎ跳びをしながら除外ゾーンへ逃げた。
デッキからは暗い緑色の濁ったような鈍い色合いの鎧の戦士がゆっくりと歩いてきて、フィールドに立つと兜の隙間から目が赤色の発光する。
「更に【ヴェルズ・ヘリオロープ】2体でオーバーレイ!!
ここでは、勝利こそ全て。オレの力を見やがれぇ!!来い【ヴェルズ・オピオン】!!」
【ヴェルズ・オピオン】
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2550/守1650
鈍い色合いの鎧が、宇宙にある銀河系のような渦の中に光となって入っていく。
ヘリオロープが入ってすぐに爆発して光が溢れ出ると、大きく見上げてしまいそうな氷の柱が出現する。
氷の柱が砕けるとかつて神の槍と同じ名を持ちし龍が、黒色の外装を纏ってフィールドに降りて大きな叫び声をあげる。
【グオオオオオオ!!!!】
氷結界の龍-グングニールと同じ姿のヴェルズ・オピオンは、煌遊の前まで移動して見つめる瞳は赤く口から凍気が漏れていた。
「おっいつもこんな感じだったか?まぁ【ヴェルズ・オピオン】の効果でオーバーレイユニットを1つ取り除いてデッキから【侵略の汎発感染】を手札に加えるぜ。更に手札から【カイザー・コロシアム】を発動してカードを2枚伏せてターンエンドだ」
【カイザーコロシアム】
永続魔法
ガタイのいい男A
LP8000/H1
□■■□カ
□□□□□
▽ □
□□□□□
□□□□□
LP8000/H5
煌遊
ヴェルズ・オピオンの周りに浮遊していた紫色に輝く球体が、1つ消滅するとデッキから1枚のカードが抜き出されてそれをガタイのいい黒色のタンクトップの男性が手札に加えた。
フィールドに何枚か伏せてターンを返す。
「次はオレだぁ!!オレは【連弾の魔術師】を召喚するぜ
そして手札から永続魔法【悪夢の拷問部屋】を発動だ。えへへへ……いい声で泣いてくれよぉ」
次のガタイのいい赤色タンクトップ男は、連弾の魔術師と呼ばれるカラフルな水晶と杖を2本持った男性がフィールドに出てきた。
その後彼の後ろで、呻き声が聞こえてくる蝋燭で照らされるだけの部屋が見える。
この男は、煌遊を見ては気持ちの悪い笑みを浮かべて舐めるようなじっとりとした視線を送るのだ。
【連弾の魔術師】
効果モンスター
レベル4/闇属性/魔法使い族/攻1600/守1200
【悪夢の拷問部屋】
永続魔法
「ここで一気にいってもいいが……オレはじわりじわりといたぶってやるぜぇ。はぁっはぁっまずは1枚目通常魔法【デスメテオ】を発動だ。これにより相手に1000ポイントのダメージを与えるぜ」
【デスメテオ】
通常魔法
デスメテオの発動が承諾されると夜空から星が降ってきた。
それは光の線となって夜空に落書きをすれば10つの星となって仲間諸とも焼いた。
ここ数年で技術が飛躍的に上げたソリッドヴィジョンによる炎が燃え広がる演出は、視覚情報だけならば現実と変わらない。
だがあくまで視覚情報と演出としての衝撃があるだけだ。本当に隕石が落ちてくるわけでもなければ、炎で焼かれているわけでもない。慣れれば驚くこともない。
タンクトップ集団からすれば赤色タンクトップのバーン戦術は、いつも通りなのか誰一人怯えてなかった。
「さらにさらにぃ【連弾の魔術師】の効果と【悪夢の拷問部屋】の効果で更にダメージが入るぜ入るぜ】
燃え広がるフィールドで連弾の魔術師は周りに浮遊しているカラフルな水晶を1つずつ右手で持ってから、対戦相手である煌遊とその他のタンクトップ集団に全力投球してきた。
当たった水晶はその場で割れて爆ぜて、身体に小さな破片が刺さる。
そこに追い討ちとして悪夢の拷問部屋から赤色の蝋燭を持った手が、溶けた蝋をかけてくる。
タンクトップA C D E F G H I J
LP8000→6000
煌遊
LP8000→6000
実際に自分が燃えたりするような事はないが衝撃はあるので、少なからず反応するのだが煌遊は何も反応しない。
「そういうことですか。10対1が出来ないからバトルロワイヤル形式にしたため皆さん味方のバーンダメージを受けているんですね」
「今更気づいても遅いぜ。俺達の10人との同時デュエルで生き残れなきゃここじゃあ通用しない」
「……わかりました。では頑張ります」
「おいおいとんだハリキリボーイだなぁ」
「じゃあ燃やし尽くしてやるぜぇぇぇ……【強欲で謙虚な壺】を発動!!デッキからカードを3枚捲りこの【火炎地獄】を手札に加えるぜ。ここで【連弾の魔術師】と【悪夢の拷問部屋】の効果でダメージをくれてやるぜぇ……今度こそいい声で泣いてくれよぉ」
【強欲で謙虚な壺】
通常魔法
【強欲で謙虚な壺】の強欲な壺の顔がイヤらしく笑うと壺の口から1枚、謙虚な壺の口から1枚、強欲な壺の舌の上に1枚乗っていた。
その3枚のカードは、
【強欲で謙虚な壺】
【火炎地獄】
【昼夜の大火事】
の3枚で、この中で今使えて一番火力の高いカードを選んだのである。
【強欲で謙虚な壺】は1枚のカードが選ばれると、無理やり繋ぎ止めていた金属板が割れて砕けた。
砕けた破片が辺り一面に散らばると、【連弾の魔術師】が水晶を爆破させて水晶の破片も散りばめられる。そこから【悪夢の拷問部屋】から縄が9本出てくるとタンクトップB以外の首に巻き付いて水晶と壺の破片が散らばる地面の上で引きずった。
タンクトップACDEFGHIJ
LP6000→5300
煌遊
LP6000→530
「このままじゃっ……」
煌遊は、【連弾バーン】の戦略に少しずつ焦り感じていた。
だがそれを気づかれては不味いと思いポーカーフェイスでやり過ごそうと少し力んだ無表情でデュエルを続ける。
足下に転がる壷の破片に興味はなく、引っ張られ引きずられても何も言わない。
「畜生っなんで泣かねぇ!!次は【火炎地獄】だ!!てめぇ燃やし尽くしてやるぅ!!」
「…………これで終わりですか?」
「ムキーッ!!くっそぉ【連弾の魔術師】あのガキをギッタンギッタンのバッタンバッタンにしてやれぇ!!」
【火炎地獄】
通常魔法
小さな火の精霊が火種を撒き散らすと火種は大きく燃え広がり、赤色タンクトップB以外のデュエリストを燃やすが煌遊は何も 反応せず、むしろ真剣な表情で真っ直ぐ見つめて、終わりかと確認するのだ。
煌遊の真剣な目が気にくわないタンクトップBは、怒りを爆発させると【連弾の魔術師】に無理難題を言う。
モンスターである【連弾の魔術師】も無茶言うなと言いたげな表情で、とりあえず煌遊に向けて杖を投げる。
それに反応して【悪夢の拷問部屋】から熱した鉄の棒が右目目掛けて飛んできた。
刺さる衝撃でとうとう煌遊は倒れてしまった。
タンクトップB
LP8000→7500
タンクトップACDEFGHIJ
LP5300→3300
煌遊
LP5300→3300
「やったぜ。クリティカルヒットォォォッ!!オレをナメるからこういうことになるんだ。オレはターンエンドだぜ」
タンクトップB
LP7500/H1
□□□□悪
□□□□▽
□ □
□□□□□
□□□□□
煌遊
LP3300/H5
「えへへへ……坊主は起きてこないっちゃ?じゃあわてが進めるっちゃ。わてのターン……わては【終焉のカウントダウン】を発動っちゃ。これでライフを2000ポイント支払うことによりお前の死へのカウントダウンが始まったっちゃ」
【終焉のカウントダウン】
通常魔法
倒れた煌遊に誰も心配せずデュエルが進められていく。
ここは表とは違い、自分の身も自分で守らなければいけない。
倒れようと気を失おうとデュエルが終わるまでは、誰も助けてはくれないのだ。
黄色のタンクトップを着た少し特徴的な口調の男は、気味の悪い笑い声をあげていた。
「えっへっへっへ……わてはカードを2枚伏せて【カードカー・D】を召喚して効果発動っちゃ。デッキからカードを2枚ドローしてターンエンドっちゃ」
【カードカー・D】
効果モンスター
レベル2/地属性/機械族/攻 800/守 400
発動した【終焉のカウントダウン】のせいかタンクトップCの頭上に火の球がゆらぁっと1つ浮かび上がる。
そんな気味の悪い火の玉をものともせず【カードカー・D】が爆音で車を走らせカード2枚をタンクトップCに渡してどこかへ走り去っていった。
タンクトップC
LP1300/H3
■■□□□
□□□□□
□ □
□□□□□
□□□□□
煌遊変化なし
「オレのターンだぜ。まずはっとモンスターをセットだぜ。カードを3枚セットだぜ。そして手札から魔法カード【太陽の書】を発動するぜ。これでオレのセットモンスターをオープン!!【メタモルポット】。これにより手札を全部捨てて5枚ドローだぜ」
【メタモルポット】
リバース・効果モンスター(制限カード)
レベル2/地属性/岩石族/攻 700/守 600
【太陽の書】
通常魔法
お次のタンクトップは鮮やかなブルー。
体も筋肉は着いているがマッチョというほどではなく所謂細マッチョの部類であった。
そんなタンクトップDのフィールドに古代エジプトを連想させる書物が出てくると太陽の眩しい光が、セットモンスターに降り注いでメタモルポットが驚いて顔を出した。
メタモルポットはデュエリスト全員の手札を舌で奪うとまた壺の中に隠れてしまう。
「じゃあ更に手札から速攻魔法【月の書】を発動して【メタモルポット】をセットだぜ。そしてまずは【手札抹殺】を使って全員の手札を捨てて捨てた枚数分ドローするぜ。これで【太陽の書】を発動して【メタモルポット】を表にして効果発動するぜ。手札を全部捨ててデッキから5枚ドローするぜ」
【月の書】
速攻魔法
月の書と呼ばれる太陽の書に似た書物から月の淡い光が出ると、メタモルポッドは疲れから壺の中で眠りに着いた。
そのあとに太陽の書がまた出て来てメタモルポットに太陽の眩しい光を当てて表にすると、寝ていたメタモルポットはまた驚きとび起きて舌で全員の手札を奪うのだ。
寝不足か、それとも不規則な睡眠生活のせいか目には隈が出来ており明らかに疲労していたのだ。
「オレはカードを2枚伏せてターンエンドだぜ」
タンクトップD
LP3300/H3
■■■■■
□□□□▽
□ □
□□□□□
□□□□□
変化なし
煌遊
「ボクのターンなら【成金ゴブリン】を発動。これにより相手に1000ポイント回復するけどデッキからカードを1枚ドロー。そしてカードを4枚伏せてターンエンドさ」
【成金ゴブリン】
通常魔法
タンクトップADFGHIJ
LP3300→4300
タンクトップB
LP7500→8500
タンクトップC
LP1300→2300
煌遊
LP3300→4300
次のデュエリストは、モスグリーン色のタンクトップを着ており、身体も細くてひょろっとしており、このタンクトップ勢10人の中では一番貧弱に見える。
そんな相手はカードを4枚伏せただけでターンを渡す。
タンクトップE
LP3300/H1
■■■■□
□□□□□
□ □
煌遊変化なし
「こりゃあそろそろ終わるか?オレのターンまずは【神獣王バルバロス】を召喚するぜ!!コイツぁぁっリリースなく召喚できるがそうすると攻撃力が下がっちまう。そこでオレは装備魔法【愚鈍の斧】を装備させるぜ。これによりバルバロスの攻撃力を下げる効果が無効になって攻撃力が1000して攻撃力4000だ
この最強のバルバロスがいたら怖くないぜ。これでオレはターンエンドだ」
【神獣王バルバロス】
効果モンスター
レベル8/地属性/獣戦士族/攻3000/守1200
攻撃力3000→1900
【愚鈍の斧】
装備魔法
装備対象バルバロス
バルバロスの攻撃力1900→4000
地平に轟くライオンのような咆哮。
雄のライオンのようなケンタウルス型のモンスターが槍と盾を持って現れた。
バルバロスは自身の盾を捨てると間抜け顔を彫られた斧を左手で持って登場時より大きな咆哮を響かせる。
バルバロスを見てかなり満足なのか筋肉でタンクトップがキツそうな次のタンクトップマンは自信満々な表情で煌遊を指差しながらろくに考えずターンエンドをした。
タンクトップF
LP4300/H4
□□□□愚
□□▽□□
□ □
「オレの」
「ボクのターン!!」
「なっオレのターンだろ!?」
「デュエルディスクのランダム機能で割り振られた順番上ボクのターンですよ?」
次のタンクトップがターンを進めようとした時先程まで倒れていた煌遊がぐぐっとゆっくりと起き上がる。
まだ意識が混濁しているのか少し立ち方がぎこちないが手札と墓地を確認するのだ。
そこでメタモルポットの効果で手札を捨ててデッキからドローする効果処理を行う。
「まずボクは手札から魔法カード【汎神の帝王】を発動します。手札の【真源の帝王】を墓地に送りデッキから2枚ドローします」
「ボクはここでリバースカードオープン!!【活路への希望】
このカードの効果でライフを1000ポイント支払い相手とのライフの差が2000ポイントにつき1枚デッキからカードをドローする。このカードは複数人を選べないからBさんを参照にする。
更にチェーンして【ギフトカード】を発動する。これで相手のライフを3000ポイント回復させる。
まだまだ【無謀な欲張り】を発動。ドローフェイズを2回スキップしてデッキからカードを2枚ドロー。最後に【積み上がる幸福】を発動。チェーン4以降に発動できデッキからカード2枚ドロー!!」
【汎神の帝王】
通常魔法
↓チェーン1
【活路への希望】
通常罠
↓チェーン2
【ギフトカード】
通常罠
↓チェーン3
【無謀な欲張り】
通常罠
↓チェーン4
【積み上がる幸福】
通常罠
タンクトップE
LP3300→2300
タンクトップADFGHIJ
LP4300→7300
タンクトップB
LP8500→11500
タンクトップC
LP2300→5300
煌遊
LP4300→7300
煌遊が【汎神の帝王】を発動にチェーンしてタンクトップEが伏せカードを大量に使ってくる。
まずは、【積み上がる幸福】によって山積みになったカードの山に淡く優しい光が降り注ぐと、そこから2枚のカードがタンクトップEの手札に加わる。
次はタンクトップEの目の前に宝箱が出てきて、箱が開くと多くの金銀財宝が入っており中からカード2枚がタンクトップEに向かって飛ぶが同時に毒蛇が飛びかかった。
カードをなんとかキャッチするが飛びかかってきた毒蛇が右腕に噛みついたせいで痛そうに顔をしかめて腕を振り回して毒蛇を離した。
毒蛇とタンクトップEが格闘している間に外国のメッセージカードのような封筒の見た目をしたギフトカードが全員に配られてライフを回復し、タンクトップBとタンクトップEのライフ差が表記されタンクトップEが何枚カードをドローするか表記された。
「っ……Bとボクのライフ差は9200ポイントだからデッキからカードを4枚ドローする。揃わなかったか」
「ではボクは墓地の【汎神の帝王】を除外してデッキから帝王と名のついた魔法カードかトラップカードを3枚を相手に見せます。
そして選ばれた1枚を手札に加えます」
「おい全部一緒のカードじゃねぇか!!」
「どれ選んでも一緒だろ!!」
「ちきしょー右だ右のやつだぁ!!」
煌遊は、タンクトップEが大量ドローをした後にどうしてそこまでドローするのか少し不安を感じたが、とりあえず墓地の【汎神の帝王】の効果を使いデッキから【帝王の烈旋】を3枚見せるのだ。
3種類ではなく、3枚なので確実に欲しいカードを3枚見せる煌遊は何を言っているんだと思いながら選ばれた一番右の【帝王の烈旋】を手札に加えた。
「さてドレッド・ルート……少し借りるよ。
ボクはまず手札から【冥帝従騎エイドス】を召喚して効果を発動します。これによりアドバンス召喚権が1度増えます。そして【帝王の烈旋】を発動します。このカードは1ターンに1枚しか使えませんし、このターンエクストラデッキからモンスターを特殊召喚することはできません。ですがアドバンス召喚のリリースを相手のフィールドから1体補えます!!」
「ならそこにリバースカードオープン!!【侵略の汎発感染】を発動だぁ!!これでオレのヴェルズ・オピオンはマジック・トラップカードの効果を受けねぇ。
恐らくそのカードでオレの【ヴェルズ・オピオン】をリリースしたかったんだろうが惜しかったな。オレの方が1枚上手だったことだ。」
【帝王の烈旋】
速攻魔法
【侵略の汎発感染】
速攻魔法
辺りに風が巻き起こると、フィールド全体を風が包み込むがタンクトップAの【侵略の汎発感染】が発動すると【ヴェルズ・オピオン】の周りに黒色の障気が舞い上がると風を防ぐのだ。
風が巻き起こっているフィールドに地下から溢れだした光で照らせない闇の障気が溢れると冥帝の従者が障気から現れる。
「更に手札から【冥界の宝札】を2枚発動します。これで2体以上のアドバンス召喚をした場合デッキから2枚ドローできます。
ボクのフィールドに存在するエイドスと貴方のフィールドに存在する【連弾の魔術師】をリリースして【怨邪帝ガイウス】をアドバンス召喚!!」
【冥界の宝札】
永続魔法
【怨邪帝ガイウス】
効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻2800/守1000
フィールドにいた黒色の鎧を纏った冥帝の従者が跪き自身の身を捧ぐ。
巻き起こっていた風が逃げようとしていた連弾の魔術師を宙に放り投げると、エイドスの近くに落とされると二人が闇に消えた。
2体のモンスターが生け贄として捧げられると怨霊がフィールドを飛び回って悲痛な叫び声を上げているとガチャガチャと鎧が擦れる音が響いてきて前よりも強くなったガイウスが現れた。
「アドバンス召喚に成功した【怨邪帝ガイウス】の効果によりフィールドのカードを1枚除外します。まずはカイザー・コロシアムを除外して皆さんに1000ポイントのダメージです。【ディメンション・バニッシュ】」
ガイウスはフィールドに現れると右手と左手を合わせるととてつもない吸引力で全てを飲み込む黒く禍々しい次元の穴を作り、それでカイザー・コロシアムを飲み込み次元の狭間に送った。
その後次元の穴は破裂して煌遊の敵となるデュエリスト全員にエネルギー弾を放つのだ。
当てられた相手は、顔の前を腕でなんとか守る姿勢になり耐えるのだ。
タンクトップACDFGHIJ
LP7300→6300
タンクトップB
LP11500→10500
タンクトップE
LP2300→1300
「そしてガイウスの効果でもう1枚除外できますので【ヴェルズ・オピオン】には未来ごと消えてもらいましょうか。【ディメンション・バニッシュ・ルイン】これで貴方のデッキ、手札、エクストラデッキ、墓地に存在する【ヴェルズ・オピオン】を全て除外します。
更に【冥界の宝札】の効果でデッキからカードを2枚ずつドローします。」
ガイウスはヴェルズ・オピオンを見るとまず次元の穴を投げつけてから、宙に浮いて相手に急接近する。
次元の穴はヴェルズ・オピオンに容易に避けられ消滅するが、ヴェルズ・オピオンは抵抗すべく凍てつく吐息を吐きながら冷気を口に溜めて一気に氷のブレスをガイウス目掛けて吐くのだ。
勢いよく吐かれたブレスは、辺りの温度を下げていき地面を凍らせるがガイウスには届かなかった。
彼の次元の穴がブレスを飲み込み全て無力化されていた。
そのままヴェルズ・オピオンを怨霊で四股に絡ませて動けなくすると、次元の穴をぶつけヴェルズ・オピオンを消滅させていく。
【グオオオオッ!!】
呑み込まれ分解され無へと帰るのを抵抗するように暴れていたが煌遊を見てはせめて一矢報いる覚悟のような必死さで腕を振り下ろす。
煌遊の方向に振り下ろされた腕は地面を凍らせ砕き、辺りが煙で煌遊の姿が見えなくなる。
「だ、大丈夫か小僧!!」
「おいっこんなことあるかよ」
「わてもこれは普通とは思えんちゃっ」
対戦相手のタンクトップ達もヴェルズ・オピオンの行動に、いつものデュエルではないと察したのか煌遊の安否を思い声をかけたり、このデュエルを止めるべきではと思い始め表情に焦りが見える。
いくらこんな寒い時期にタンクトップを着ている変態でも、夜更けに路地裏に集まるはみ出し者だろうと子ども相手に本気で殺すつもりはない。
むしろこのデュエルも煌遊が望まなければ今回はそのまま家に帰すつもりだった。
非道になりきれない中途半端が集まったタンクトップ達にとってこれはあまりにも衝撃的な出来事であった。
「ボクは手札から【
煙がなくなる頃には、無傷の煌遊が壊れた機械のように淡々とデュエルを続ける。
彼の周りの地面はヴェルズ・オピオンの手形がくっきりと残るように地面が陥没して辺りがひび割れていた。
煌遊の立ってる位置は丁度指と指の間である。
「うっそだろ?無傷だろあの野郎」
「これはボクも驚き」
「ってまだデュエル続けてやがる」
「あ、アイツ……脳ミソっイカれて、んじゃねぇか?」
まだ続く煌遊のデュエルにタンクトップ達は不気味に感じた。
あんな非日常な出来事を目の当たりにしてもまだデュエルを続けている彼がイカれて見える。
こんな奴にオレ達がいくら束になっても勝てねぇとタンクトップ達の心から諦めが滲み出てきた。
「ボクは墓地の【冥帝従騎エイドス】の効果を発動します。このカードを除外して攻撃力が800ポイント守備力が1000ポイントのモンスターを墓地から特殊召喚します。現れてください【天帝従騎イデア】
イデアの効果によりデッキから攻撃力が800ポイント守備力が1000ポイントのモンスターを守備表示で特殊召喚します。【トランシケーダ】を特殊召喚します。【トランシケーダ】が特殊召喚されたので自分のフィールドに【ヌケガラトークン】を守備表示で特殊召喚します」
【天帝従騎イデア】
効果モンスター
レベル1/光属性/戦士族/攻 800/守1000
【トランシケーダ】
チューナー・効果モンスター
レベル3/地属性/昆虫族/攻 800/守1000
フィールドに全身白銀の鎧を纏った女性型のモンスターが出てくると手を広げると、目の前に環が出来て機械のセミが出てくる。
トランシケーダがフィールドに現れるとセミの幼虫の脱け殻が煌遊の目の前に降ってきた。
「そろそろ頃合いでしょうか。手札から【神縛りの塚】を発動して、フィールドのイデア、トランシケーダ、ヌケガラトークンの3体をリリースします
其は力
其は恐怖。
其は根源。
万物に終わらぬ恐怖を与えろ
アドバンス召喚【邪神ドレッド・ルート】!!」
地面が盛り上がり、路地裏に塚が出来ると鎖が岩から出てきて絡み陣を作り神の降臨する準備が整った。
イデアとトランシケーダ、ヌケガラトークンの3体が足元に広がる闇の中に消えていくと、闇はどんどんと広がり路地裏の広場の地面を容易に覆った。
闇は粘性のある液体のようにドロッとしておりタンクトップ達の靴底に着いており、彼らは先ほどのモンスターが暴走した事件のこともあり、完全に血の気が引いている。
こんな召喚エフェクトは今まで見たことがないのである。
【邪神ドレッド・ルート】というカード自体は世界中にあるが、それは遺跡から発掘された遺物の複製品であり、召喚しても普通のアドバンス召喚となんら変わらない召喚エフェクトだったのだ。
それなのに目の前のイカれた少年が使うドレッド・ルートは、タンクトップ達の人生を振り返ってもこんな演出はなかったのだ。
闇が地面を覆ってから灯りに照され揺れる影が1つ増えている。
誰もがその影の先を見れず歯をガタガタ震わせながら、座り込むのだ。
「お、オレはサレンダーだっこんなのやってられるか!!」
「おれもだっこんなの命がいくつあってもたりねぇよ」
「ボクも」
「わてもだ」
どんどんとデッキの上に手を置いてサレンダーをするタンクトップ達。
誰もが先ほどのバーン戦術やモンスター暴走の仕返しをされると思いデュエルを放棄した。
なにせ只のデュエルとは言えないような現象が起きていて自分の身に何が降りかかるか分からないので、そうなる前に負けを認めるのである。
「そうですか……」
少ししゅんと残念そうな煌遊は、勝敗が決したのでデュエルディスクの勝敗判定が勝ちになるのを確認してから、デュエルディスクの電源を落としてカードを片付ける。
「坊主中々スゲーもん見せてもらったぜ」
「あの……」
「あぁ言わなくても分かってるぜ。これは誰にも言わねぇし、そのカードを奪う気なんてねぇよ。触らぬ神になんとやらだ。お互いに詮索は止めようぜ」
Mがデュエルの一部始終を見ていたのでどちらが勝ったか分かると、煌遊へ賞金を渡しながら先ほどの事は誰にも言わないことを前もって言ったのだ。
「すいません。ありがとうございます。あのまたこちらに来ても?」
「おいおい何を遠慮してんだ。お前はオレたちの洗礼を乗り越えたんだ。オレたちはもう立派なチームだ。よろしくな坊主」
「はいっ!!」
煌遊がお礼を言った後にこれだけのことをしたので出禁にならないか心配していたが、Mが仲間と認めてくれたので嬉しくなって時間も考えず元気よく返事をしたのだ。
「さてもう一戦と言いたいところだが今日はこんな時間だ。オレたちはいつでもここにいるからまたにするか」
「……もうこんな時間!?はい。ボクも明日のために帰らせていただきます」
「おうじゃあな坊主」
Mは腕時計で時間を確認するとそろそろ煌遊も帰った方がいいと言いながら煌遊に時計を見せて時間を確認させる。
煌遊もまさか一試合でここまで時間を使うとは思ってなかったのか驚き、すぐに帰宅の準備をするのだ。
煌遊が帰る前にMが彼の頭を少し乱暴に撫でると別れを告げるのだ。
「よかったんですかボス?」
「あぁっありゃあ下手に刺激すると奴さんはオレたちを容赦しねぇだろよ。あんなカードに認められるなんて器も、潜ってきた修羅場もはかり知れねぇ。下手したらこっちがやられかねん。それにな。オレは子どもが好きだからよ……あういう坊主は応援したくなっちまう」
「分かりました」
先程の戦いに参加しなかったタンクトップの1人がMに煌遊を帰らせてよかったのか聞く。
あれほどカードは売れば一生遊んで暮らせる。
それにこれではこのチームの威厳に関わるのではと思うが、ボスであるMが、手を出さない理由を恥ずかしそうに照れ笑いしながら頭を掻いて言うのでこれは無理に言ってもダメだと判断したのだ。
デュエルしていたタンクトップ達も尻をパンパンと叩いて砂埃を払うと、煌遊の背中を見守っていた。
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「……」
煌遊が受験を終えて何日が経った頃、彼宛にデュエルアカデミアから封筒が届く。
受験結果のお知らせだが、デュエルの結果を知っている煌遊は怖くて中々開けれずにいる。
【おい小僧早く開けぬか】
【主開けねばどうか分かるまい。それに結果も変えられんぞ】
【何言ってるんだ二人ともこの封筒を開けなければ合格と不合格の2つの可能性が内包されてんだぞ】
【何を訳のわからんことを言ってる。開けるぞっ】
いつもの煌遊の闇に覆われた精神世界でこの封筒を開けるか闇のカード2枚と煌遊で会議していた。
トラゴエディアとドレッド・ルートは早く開けろと言うが、煌遊はあの散々なデュエル結果を知っているせいで、現実を突きつけられる気がして、開けたくないのだ。
そんな風に開けれないでいるとトラゴエディアの我慢の限界になり、煌遊の右手と左手を支配して思い切り封筒を開けた。
受験結果は………………
合格と書かれていた。
「よっっっっっっっしゃああああああああああ!!!!!!」
合格になった喜びか施設全体に響きそうな大声で喜んでいると、同じ部屋でくつろいでいた陽介もビックリしていた。
「うるせぇよ煌遊。どうしたんだよ」
「ご、合格したんだ……デュエルアカデミアに」
「それはめでたいなぁ♪やったな煌遊!!」
煌遊の合格にはしゃぐ陽介は、跳び跳ねながらめでたいと連呼していた。
そこから煌遊と抱き合ったままその場で回りながらやったと跳び跳ねてはしゃぎ先生に叱られるのであった。
煌遊の新たな1歩が踏み出された。
皆様お久しぶりです
最近職場で異動やらなにやらで忙しくて更新ができないでいました
すみません
新しいパックも買う余裕もなくて早く落ち着かないかなってずっと思ってます