イナズマイレブン〜骨の力を手に入れた転生者は骨の髄まで頑張る〜 作:Rêve
「皆さんお疲れ様です」
ベンチに戻ってきたメンバーをスポーツドリンクを渡しながら労う澪。
「…なるほど。これならあるいは…」
監督である桜花は何やら考え込んでいる。さて他のベンチのメンバーはというと。
「剛!最後のあれは仕方ない!切り替えていけよ!」
「わかりました。あの速度計算上なら必殺技は使えました。次は止めます」
「グラウンド10周…10周ならまだ…」
「一元気出して、ね?あなたはまだまだ頑張れるわ」
「狐野!お前あんな技持ってたのか!」
「使うのは初試合って決めてたんです!いいサプライズでしたよね?」
「必殺技は僕たちも使えるからなー。でも、他の人たちは驚いたと思うよ?」
剛を励ます裕輔。何故かへこんでいる一を元気づけようとする字。狐野の必殺技に反応した玲と影人。そんな中刃はというと…
「塵山先輩起きてください!」
「おい刃!?何で寝てるんだよお前!?」
寝てやがる。楓花と龍牙が起こそうとするが起きる気配が一向に無い。やる気ないにも程があるだろう。
「…放っておけ。後半もメンバーを変えずにいく。私からは以上だ」
思考の海から帰ってきた監督により、後半戦もメンバーを変えないことが決まり、全員気を引き締める。…寝ている刃を除けばだが。
『さぁ!後半戦の始まりです!臨界中模無中ともにメンバーの入れ替えは無い模様です!!」
『臨界中は今日の試合を今のメンバーで勝つつもりなんですかね。となると模無中にある程度有利になってしまいますが…』
解説が何かを言っている最中にホイッスルが鳴り後半戦がスタートする。
ホイッスルと同時に鈴木が臨界陣営に切り込んでいく。
「そう何度も通すかったんだ!…あれ?」
龍牙が鈴木から奪おうとするが、これまた簡単に抜かれてしまう。しかし、今回は霊二のカバーにより鈴木からボールを奪うことに成功する。
「すまねぇ!助かったぜ霊二!」
「感謝してる暇があるならさっさと攻めろ!」
霊二からパスを受け、前線に切り込む龍牙。しかし、その前に高橋が立ちはだかる。だが、龍牙には奥の手があった。
「いくぜこっそり練習してた必殺技!『マッドジャグラー』!」
「え?ちょ…うわぁぁぁ!!」
何と相手にボール越しに連続で膝蹴りをした上に最後に明確に蹴りを加えている。普通ならファールとなるところだが…
『りゅ…時雨選手のプレーはファールにはならないんですか?』
『必殺技ですので何の問題もありません。世界公認のルールブックにもそう示されています。但し、まれにファールを取られる可能性もあります』
何の問題もない。流石は超次元サッカーである。…絶対そういう問題では無い。
「このまま一気に切り込んでやるぜ!攻めるのは得意だからな!!」
そのまま、敵陣に切り込んでいく龍牙。模無中のDFである中村が前に立ち塞がるが、喋る事もなく吹き飛ばされる。そのまま、キーパーとの1対1に持ち込むことに成功する。
『な、何て強引なドリブル何でしょうか!!相手を寄せ付けないドリブルであっという間に1対1だーッ!!流石、龍牙!!』
『あれが時雨選手の持ち味何でしょう。あと名前で呼んじゃってますよ本庄さん』
…実況が公正さを失っているが気にしてはいけない。
1対1になった龍牙は迷わずシュートを選択する。…しかし、ノーコンだったためにこのシュートは外れてしまい、ゴールキックになってしまう。
「あ、あれ?上手くいかないもんだな……」
「私にパスを出せばよかったじゃないですか。少なくとも先輩よりコントロールはいいです」
「うっ……すまん……」
龍牙が怒られている間にも試合は続いていく。山田が蹴ったボールは前線の鈴木たちの元に向かう。
「そう簡単にいくか!…って距離感が掴めない!?」
近くにいた斎がカットしようとするも、仮面を付けているがために視野が狭くなり、距離感がつかめずに空振ってしまう。しかし、すぐに近くにいた楓花がカバーしたため、難は逃れる。
楓花はすぐに前線にいる霊二にパスを出す。霊二は難なくそのパスを受けとり、一人二人とドリブルで抜き去っていく。
『博麗選手!凄まじいドリブルだーーッ!!模無中の選手たちを一切寄せつけない!!』
『博麗選手は、臨界中では数少ない経験者ですからね。模無中の選手たちでは、彼を止めるのは難しいです』
更にDFも抜き去り、キーパーと1対1に持ち込む。しかし、霊二は燐火に向けてバックパス。燐火もパスを受け取り、シュート体制に入る。それを見て山田も身構えるが——
「なーんてね!」
「な!?ここで更にパスだと!?」
燐火の選択はシュートではなくパス。そのパスの先には字がいた。
「私も頑張らないと…ね?シュートは確か…こう!!」
字のシュートは枠内から少し逸れてしまい、ゴールポストにぶつかり跳ね返る。山田はそれを見て安堵したのか、構えを解いてしまう。
「油断しましたね。ゴールは貰います!」
「ッ!カバーが早い…!間に合わない!」
既にカバーに入っていた桜によって、そのボールはゴールにねじ込まれる。臨界中2点目である。
『ゴォォォォォォォォォォル!!臨界中2点目ェェェェェェェ!!霊二選手の見事な突破劇から、狐野選手の騙し討ち!!それに合わせた一色選手と、最後にボールをねじ込んだ壬生選手も素晴らしいプレーでしたッ!!…けほっ』
『確か狐野選手はクラブチームに所属していた時から、騙し討ちが得意だったと聞いています。情報源は……臨界中の監督ですね。選手の情報を漏らしてもいいのでしょうか?』
桜花からすれば、少し調べればバレることなので、バラしてもいいだろうということなのだろう。…心配する気持ちもわかるけれども。
「壬生ちゃんごめんね〜?私が入れられれば、苦労をかけずに済んだのに……」
「気にしないでください。一色先輩はまだ始めたばかりですしね」
他愛もない会話をしながら、所定の位置に戻る。鈴木がボールを蹴って、試合再開。しかし、鈴木はここで予想外なことを行う。
「グレネードショット!!」
なんと、上空に向かって必殺技を放ったのである。放った先には佐藤がいた。
「あびせげり!!」
ここまでは前半の最後と同じようなシュートチェインである。しかし、あびせげりが放たれた場所には田中の姿が。
「スピニングシュート!!」
何と更にシュートを重ねたのである。弱小校として勝つ方法を考えてきたのだろう。その結果がこのシュートチェイン戦法だった。
「まずいぞ…!必殺技があるとはいえ、3つも重ねられたら剛じゃ「あたしに任せてください!!」って迅雷!?何をする気だ!?」
このシュートを目の前にしても、怯まずに突っ込む楓花。彼女のとった行動は——
「これでどうだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
何とシュートに対して頭で対抗したのである。…しかし、弱いとはいえ3つのシュート技が合わさっているのである。そう簡単に止められるわけも無い。少し持ちこたえたが、弾き飛ばされてしまう。
「山本先輩!後はお願いします!!」
「あぁ…任せろ。『カウンタードライブ』!!」
楓花の体を張ったディフェンスを無駄にはしないと、全力の必殺技をボールに叩き込む剛。そのかいあって、ボールはゴールラインを割るギリギリで止まった。そして——
『ここでホイッスルです!!結果は2対1!!臨界中の勝利です!!潺さん!最後のプレーはいかがでしたか!』
『模無中の最後の作戦にも驚きましたが、あれに真正面から立ち向かっていく迅雷選手にはもっと驚きました。これからの活躍に注目していきたいですね』
『ありがとうございます!!本日の試合の実況は本庄冬斗、解説は潺斗真さんでした!!』
実況が締めのコメントを言っている間に挨拶を済ませ、臨界中の選手たちはミーティングに入る。
「さて…よく勝利した!!これで我々はようやく弱小校という一歩を踏み出した!!」
桜花にしては随分と甘い言葉である。彼も勝ったことは嬉しいのだろう。
「だが、これで満足するな!更なる高見を目指せ!!私からはそれだけだ!!では解散!!」
その言葉を聞き届け、それぞれが帰る準備をしはじめる。キャプテンである一も帰ろうとするが——
「一、君はグラウンド10周を忘れずにだ」
「げっ!?覚えてたのか!?」
結局、グラウンド10周をさせられて帰ることになった。大丈夫かこのキャプテン。
その様子を見ながら桜花はあることを考えていた。
(次の試合は……あそこがよかろう。試合の結果はどうであれ……精神の強さも見たいからな)
…不安しかないが大丈夫なのだろうか。
試合描写が難しい…精進を続けます…