刀使ノ巫女 ~信じた思いは煌めく刃となりて~ 作:巻波 彩灯
第1話 校内予選開始!
刀使――それは古来より人に害を為す異形の存在・荒魂を御刀によって斬って祓う神薙ぎの巫女。それ故に女性にしか務まらず、彼女達の多くは成人前の女子学生である。彼女達は全国五ヶ所にある中高一貫の訓練学校に通い、刀使としての技術を学びながら荒魂と戦い人々を守っている。
この春、全国五校から選りすぐりの刀使達が集まり、各々の技を競う恒例の剣術大会が開かれる事が決まった。多くの刀使がその大会に出場しようと校内で行なわれる予選に臨んでいた――。
「よし、これで準備万端だね!」
少女は身支度を整えると木刀袋を手にした。――彼女の名前は
「キヨマサ、今日頑張ってくるからね!」
明は飼育ケースの中にいるカブトムシに向かって言った。カブトムシは彼女の言葉を理解したかの様に右前足を上げる。その様子に彼女は満足し、笑顔になる。
「お姉ちゃーん、早くしないと置いて行くよー!」
「はーい、今行くよー!」
ドアノックが数回した後に妹の声が。明はキヨマサに「行ってくるよ」と告げ、自室を出た。
武道場に到着するとたくさんの刀使の姿が。道場内はこれから美濃関学院の代表を決める大事な予選を前に緊張や不安、闘志など様々な感情が入り混じり独特な雰囲気になっている。
「いや~、これから始まるんだね~! 楽しみだな~」
「お姉ちゃんは相変わらず緊張していないね」
「私だって緊張ぐらいはするよ。でも、なんとかなるって思えばなんとかなるんだから!」
「あはは、お姉ちゃんらしいや」
明は開会式が始まるまでの少しの間に妹と話していた。話している様子を見ると妹の言う通り明から緊張の色は見えず、普段と全く同じ様子でいるから緊張していない様に見える。
それは彼女の周囲の空気に流されないマイペースさ故にだろう。実際彼女はこの独特な雰囲気は大して気にしていない。予選に関して気にしているとすれば、トーナメント表の組み合わせぐらいだ。今回の組み合わせは、彼女にとってとても意外なものであり、楽しみなものである。
「あ、やっと見つけた!」
「ありゃ、みーちゃん。試合はまだだよ?」
明にみーちゃんと呼ばれた少女は黒をベースに赤のグラデーションが掛かった髪色と黒のオープンフィンガーが特徴的な刀使――
「いや、その前に開会式があるでしょ。もうすぐ始まるから整列しなきゃ!」
「あ、そっか。じゃあ、また後でね、
「うん、お姉ちゃん。また後でね」
明は妹の千晶に別れを告げると美炎に連れられ自分のクラスの場所に整列した。その後、開会式が始まった。
開会式は手短く済まされ予選に出る刀使達は各々の試合場所に向かう。
「それじゃ、明また後でね」
「うん。でも二人とも勝ったらすぐに会えるけどね」
「そうだね。だからこそ、初戦で負けたら承知しないよ!」
「それはこっちのセリフだよ。みーちゃんも負けないでよね!」
明も美炎も自分達の試合場所に向かう。今回の予選は二人共、初戦から負けられないのだ。美濃関の代表として大会に出たいのもあるがそれ以前に初戦を勝ち上がった先が二人にとって重要な事だからである。その為にも初戦は何としてでも勝たねばと明は心の中で燃えているであった。
美炎と別れ試合場所に着いた明は、自分の試合が来るまで先に行なわれている試合を見ていた。
やはり誰もが勝ち上がりたいが故にその太刀筋には気迫が込められている。気合もまた普段よりも大きく道場内に響き渡る。
明はその試合の一つ一つの動作に感嘆な声を上げていた。普段あまり目にしない流派の動き、見た事があるが普段とはまた違った流派の動き、見た事のある普段通りの流派の動きと彼女にとってどれも新鮮に感じられたからだ。
目の前で行なわれていた試合が終わると同時に明の名前が呼ばれ、明は呼ばれた方向に向かう。遂に明の番がやって来たのだ――。
試合場内に立つと空気が一変。妙な静けさが場内全体を包む。しかし、明は気にしていなかった。気にしている程、考えていないといったところだろうか。
緊張で固まっているのではなく、いつも通り何も考えていないからである。要は元から頭が空っぽだから普段と変わらない。
対戦相手はそんな明を不気味に思った。明は勿論、そんな事を気にしていない。ただじっと相手を見つめて肘を張り木刀を担ぐ様に構えているだけだ。
「始め!」
審判の声が聞こえると相手は裂帛した気合と共に上段に構えた木刀を明の上段目掛けて振り下ろす。明は避けられないと判断すると自分の得物で受け止めた。それでも相手の猛攻は続き明は防戦一方。
しかし、明の顔からは焦りの色はなかった。むしろ笑ってさえいる。その様子に相手はますます明の事を不気味に感じ、一瞬の迷いを見せ太刀筋にブレが生じてしまった。その瞬間を見逃さなかった明は体を右手側に捌き、相手の間合いに強く踏み込んで喉元に突きを決める。実際に突くと危ない為、寸止めではあるが確実に入ったと誰もが分かった。
「そこまで」
審判の号令で元の位置に二人は戻り、判定を待つ。
「勝者、加守明」
誰もが分かっていた通り、明に軍配が上がった。そして二人は挨拶した後、試合場から退いた。
「あの、ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました。加守さんがあんなに強いと思わなかったよ」
明は試合が終わった後、対戦相手に礼を言っていた。対戦相手も穏やかに礼を言う。
「そんなに強くないですよ~。ただ今回は絶対に1回戦目は勝たなきゃと思っていただけですから」
「へえ~、加守さんも勝ちたいって思う時があるんだ。ちょっと意外かも。やっぱり御前試合に出たいから?」
「それもありますけど……主な理由は他にありますね」
「そっか。じゃあ、頑張って!」
「はい!」
対戦相手はその場を去った。明も他の試合を見に行こうとした時、聞き覚えのある声に話し掛けられる。
「あ、明。そっちはどうだった?」
「あ、みーちゃん。もちろん、1回戦は突破したよ!」
「だろうと思った。私も突破したからいよいよだね!」
「うん、いよいよだね」
美炎も初戦を突破した事を知り、明は嬉しく思う。何故なら次の対戦相手が目の前にいる美炎だからだ。
美炎とは入学当初からの仲で共に切磋琢磨した良きライバルであり、良き親友である。だからこそ、今回の予選での対決が楽しみで仕方ないのだ。
「早く試合にならないかな? 明にはこの間の手合わせで負けたから早くリベンジしたいだよね!」
「ふふ、そうだね。私も早くみーちゃんと試合がしたいな~! でも、今回も私が勝つからね!」
「いやいや、今度は私が勝つから! 絶対に負けないから!」
「こっちもだよ!」
二人はそう言い合って笑い合った。互いに負けたくないライバルだからこそでもあり、信頼出来る親友だからこそでもある。
「あ、そうだ。これから千晶の試合を見に行こうよ。私達の試合はまだ先なんだし」
「それ良いね! じゃあ、見に行こう!」
二人は千晶がいると思われる試合場所まで向かって行った。まだ予選は始まったばかりである――。
如何だったでしょうか? あまり文章力、知識がないので拙いかもしれませんがこんな感じでやっていきます。
それととりあえず、キャラ紹介をします。今回は主人公のみです。
加守 明(かもり あかり)/女性/14歳/中2/身長:159cm
在籍校:美濃関学院中等部2年生/刀使
御刀:同田貫清国
構え:八相
容姿:こげ茶のセミショートにハーフアップでまとめ、こげ茶の瞳。少しおっとりとした顔立ち。
性格:呑気でマイペースな楽天主義者。でも、根は正義感が強く人情に厚い。口癖は「なんとかなる」
明の体得している流派は実際にある流派に設定していますが、伏せときます。ちなみに彼女の流派が分かった方はこっそりとメッセージにてお伝えして頂けると嬉しいです。ただあまりにも多くの人にバレてしまったら出す予定です。まあ、当分は伏せたままになると思いますが。
後、1名分だけですがオリジナル刀使の募集もしています。元々事前に募集していましたが、現在でも受け付けていますのでアイディアがある方はお気軽に当活動報告までお願いします。
では、一旦ここら辺で筆を置きます。感想もお待ちしています。