刀使ノ巫女 ~信じた思いは煌めく刃となりて~   作:巻波 彩灯

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 こんばんは、巻波です。とじみこ最終回の日に滑り込む事が出来ました。とはいえ、物凄く拙い描写は相変わらずです。いや、今回はもっと酷いかも……。


第2話 親友対決! 美炎VS明

 校内予選はまだ一回戦だが、各試合場所で熱戦が繰り広げられている。

「あ、あれ千晶だ」

「え!?」

 明と美炎はようやく千晶を見つけた。もうすぐ試合が始まろうとしている。千晶の相手は上級生だ。

「うわー、いきなり上級生とか~……しかも、相手は高等部の人だよね? 大丈夫かな?」

 美炎は不安を零した。それもそのはず、千晶はまだ入学した間もない新入生で相手は彼女より何倍も経験を積んできた上級生だ。普通に考えたら、勝ち目は薄い。

「大丈夫だよ、みーちゃん。千晶ならなんとかなるよ」

 しかし、姉は心配していない。一番近くで見てきた彼女の意見に美炎も頷き、試合を静かに見守る事にした。

 

 試合開始の号令も掛けられ、両者間合いを詰めた。そして同時に初太刀を入れる。木刀同士がぶつかり、乾いた音が鳴り響いた。

 鍔迫り合いに発展したが力は互角。しかし、僅かな差で千晶が押し負けた。好機と見た相手は渾身の一撃を放つ。

 千晶は体勢を崩されても動じなかった。相手の一撃を冷静に捌きつつ素早く相手の間合いに入り、喉元に突きを瞬時に決める。――勝負はそこで付いた。

 試合を見ていた刀使達は動揺している。理由は単純に新入生である千晶が格上の上級生に勝ったからだ。

 下級生が上級生に勝つ事は有り得ない訳ではない。しかし、相手は経験もあり腕も確かな実力者を入学したての千晶が倒したのだ。驚かない訳がない。

 そんなどよめきを余所に千晶は試合場を後にした。何事もなかったかのように。

 

「お疲れ様~、千晶~!」

「あ、お姉ちゃん! それに美炎先輩まで!」

 相手との挨拶の済んだ千晶の元に明と美炎が合流した。

「試合、凄かったよ! 千晶がこうスパンと相手に突きを決めてさ!」

 美炎は興奮を抑え切れないといった様子で話す。

「あはは、ありがとうございます。それはたまたま出来ただけなので次は決められないと思います」

「そんなに謙遜しなくて良いってば! まあ、千晶らしくて良いけどね」

 真面目な後輩の姿に美炎は苦笑い。自分や姉とは違うなと感じて。

「いや~、千晶はもっと素直になっても良いんだよ?」

「嬉しいには嬉しいよ。だけど、これがそうそう簡単に決まるわけじゃないんだし、次の相手はもっと強い筈だから気を引き締めないとなって」

「変に真面目だな~」

 お調子者のところがある姉の背中を見てきた故にか、千晶が真面目なのはと美炎は二人を見て改めてそう思うのだった。

「あ、そういえばお姉ちゃんと美炎先輩の試合っていつですか?」

「あれ? いつだったけ、みーちゃん?」

「いや、私に聞かれても……」

 二人ともすっかり忘れていた。しかし、運が良い事に彼女達の名前を呼ぶ声がした。試合の準備を促す様な事を言っている。

「ああ、もう試合じゃん! 行くよ、明!!」

「へっ、ちょっ、みーちゃん!?」

 開会式前と同じく明は美炎に連れて行かれるのであった……。

 

 二人は試合場に入り、向かい合う。明はこの日を楽しみにしていた。

 入学当初から切磋琢磨してきたライバルが今目の前にいる。正直に言えば、それだけで十分だ。しかし、やっぱり負けたくないという気持ちが溢れる。

 その気持ちは試合開始の号令が掛けられた時にすぐに吹き飛んだ。いや、そう考える事を止めたという方が正しい。

 明は一撃一撃を静かに打ち込んでいくのに対し、美炎は炎の様に激しく剣を振った。

 剣撃のタイミングはどちらも同じ。小手先の技など一切使わないただ純粋な力と力の勝負に観戦している刀使達は興奮していた。勿論、二人も楽しくて仕方がない。

 やがて激しい攻防を繰り返していく内に美炎の集中力が切れ始め、終わりが近づいていた。

 終盤になればなる程、明の一太刀が徐々に鋭くなる。美炎も負けじと打ち返した。そして同時に最後の一閃が放たれる。

 ――相討ちに見えたが僅かな差で美炎の得物が先に明の身体を捉えていた。

 

「あ~、負けちゃったな~」

 試合が終わった後、明は負けた後とは思えない程の笑顔で言う。全力を出し切ったから、悔いはない。

「ふう、流石に危なかったぁ。集中力が切れかけていたから、あと少し明がノッていたら負けてたよ」

「確かに、エンジンが掛かるのがもう少し早かったら美炎先輩に勝っていたかも」

「ええ~!? 今日は結構早めにエンジンが掛かっていたと思っていただけどな~……ま、いっか!」

 明はさして自分の弱点を気にしていない様だ。彼女はマイペースなところが原因なのか、スロースターターなところがある。それが原因で短期決戦には弱い。

 勿論、長期戦に持って行ける程の確かな剣術の腕前と集中力、体力はある……のだが、やはり美炎の様な短期決戦型を苦手としている。

「お姉ちゃんのそういう能天気なところは相変わらずだよね……」

「だって、くよくよしたって何の良い事ないもん。なら、前を向かなくちゃ!」

「あはは、明らしいや」

 明の前向きというよりか能天気的なところに千晶は呆れ、美炎は笑う。落ち込むという事は明の頭の中に入っていない。

「まっ、負けちゃった事には変わりないけどね。でも、その分二人の事を応援しているよ!」

「なら、私達は明の分も勝ち上がらなきゃね!」

「はい、そうですね! 私も頑張ります!」

 千晶と美炎は次の試合に向けて気合十分。明自身の予選は二回戦敗退という結果で終わってしまったが、校内予選はますます熱を帯びていく。




 まさかの主人公が二回戦敗退です。もう少し勝ち上がっても良かった気がしないでもないけど……。
 とじともの第二部のメインストーリー早く来ないかな……それによってはこっちもかなり変わるんだよな……ゲーム出来ないけど。あ、ちなみに私はアニメ・ゲーム通して一番好きな子は美炎ちゃんです。「なせばなる!」その言葉と彼女の真っ直ぐで前向きなところが大好きです。
 それと今回もキャラクターのプロフィールを載せておきます。今回は明の妹・千晶です。

加守 千晶(かもり ちあき)/女性/12歳/中1/身長:153cm
在籍校:美濃関学院中等部1年生/刀使
御刀:同田貫正国
構え:八相
容姿:明るい茶色のポニーテール。下ろすと肩甲骨辺りまでに届くくらい長い。こげ茶の瞳。
性格:明るく社交的で活発でありながらも結構真面目でとてもしっかりしている。

 千晶も明と同じ流派です。これで動きは良いのかと悩みながら剣戟のシーンを書いています。素人ながらにですが……。
 では、今回はここら辺で筆を置きます。感想をお待ちしています。

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