刀使ノ巫女 ~信じた思いは煌めく刃となりて~ 作:巻波 彩灯
話を本編の方に変えますが、先日加守姉妹の御刀について質問があったので改めてこの場で説明します。
まず、二人の御刀を改めて紹介しますと主人公・明の御刀は同田貫“清国”で、妹・千晶の御刀は同田貫“正国”です。見間違いしやすいですが、同じ御刀ではありません。ただ、同田貫自体は刀工集団で尚且つ量産された刀なのでたくさんあっても不思議ではないと思います。後、二人の御刀を見て分かる通り、この作品は刀剣乱舞の様に習合させて一つとして扱っていないので様々な同田貫の刀工が作った御刀があるとしています。
とりあえず、以上が質問の返答とさせていただきます。まだ何かありましたら個別にメッセージを送信していただけると嬉しいです。
前置きがかなり長くなりましたね……では、本編へどうぞ!
美炎と千晶は順調に校内予選を勝ち上がっていく。やはり、勝ち上がるにつれ対戦する相手の実力も生半可なものではない。美炎は危うい場面をいくつか切り抜けながら勝ち進み、千晶は危な気なく勝ち進んでいた。
明はその二人の応援をしながら、もう一人気になる人物の試合を見ていた。
その人物はギリギリで立ち合いながらも安定して勝ち上がっている。また相手の剣術を見る度に目を輝かせ、楽しんでいる様にも見えた。いや、楽しんでいると言い切った方が正しいか。
とにもかくにも他の刀使と比べて抜きんでいるのが良く分かる。明はトーナメント表が映し出された手元のスマホを確認し、彼女が次の千晶の対戦相手になるかもしれないなと思っていた。
「明、どうしたの? そんな難しい顔をしてさ」
「うん? ああ、トーナメント表を確認してたら……」
明は美炎にトーナメント表が映っている自分のスマホを見せた。すると、美炎の表情が少し暗くなる。
「まあ、初めて見た時から思っていたけど……高い壁が目の前に迫って来たね」
「でも、なんとかなる、よね?」
「いや、そこはなせばなるっ! でしょ!」
「あはは、その通りだね」
結局二人には問題ない様だった。前向きで楽天的なところがある二人だからこそだろう。
「ようやく見つけた!」
「千晶、お帰り。っで、友達はどうだったの?」
「一つ上の先輩に負けちゃった……」
「そっか……」
三人が次の試合に向けて少し話をしていると千晶の名を呼ぶ声がした。
「千晶、頑張ってね~!」
「なせばなる、だよ!」
「うん、分かりました! 行って来ます!」
明達は千晶の試合場に行くと千晶と相手が向かい合っていた。彼女の相手はかなりの長身で上段に構えている。
ここまで千晶の試合を見てきた明は心の底である事を考えていた。
それはこれまでの千晶の対戦相手がほとんど上級生で尚且つ確かな実力を持つ者ばかりだという事。勝ち上がれば上級生と当たる確率は高くなっていくから仕方ないが、千晶の場合は最初から上級生と戦っている。
おまけにそのほとんどが高等部の先輩達だ。今回の彼女の運はかなり悪いと言って良いだろう。
しかし、それでも勝ち上がってきているのは千晶の腕が相当なものだと言える。
「ねえねえ、明ちゃん。向こうで試合しているのは誰?」
隣から小声で誰かが話しかけてきた。美炎とは違うものの聞き覚えのある声だ。
「私の妹と高等部の人が戦っているよ」
「明ちゃんの妹って、あのポニーテールの子?」
「うん、良く分かったね。あ、でもかなちゃんなら剣術で分かるか」
「あはは、そうだね。何だか、明ちゃんと似た様な立ち回りしている子がいるな~と思ったから」
それから二人は試合の方に集中した。
千晶は相手の立ち回りが上手く今まで以上に苦戦している。相手もまたそれなり勝ち上がってきた実力者であり彼女にとって格上の存在。しかし、千晶も負けてはいなかった。
要所要所で相手を崩して攻めていき、次第に相手の顔に焦りの色が見え始める。それは観戦している明達にも目に見えて分かった。
遂には相手のペースが崩れ、その隙を見逃す筈もなく千晶は得意の突きを決めて勝利を収める。またもや新入生の千晶が腕に覚えのある上級生を倒したのだ。
この事実に見ていた観戦者達は動揺する。やはりあの新入生はただ者じゃないと。
その中で明と美炎は千晶の勝利に喜び、彼女達の隣にいるショートヘアーの少女は千晶に対してとてつもなく目を輝かせていた。
試合が終わった後、急いで明達は千晶の元へ向かう。事を終えた千晶も明達を探していたからすぐに合流出来た。
「さっすが、千晶~! 今回も勝ったね!」
明が陽気な口調で千晶を褒め、頭を撫でる。千晶は少し苦笑いを浮かべた。
「でも、流石に今回は怖かったよ。やっぱり、ここまで勝ち上がっている人だから油断はしていなかったけど……」
「それでも千晶が勝ったって事は千晶もそれだけ強いって事だよ!」
「あはは、美炎先輩ありがとうございます!」
「そうそう、みーちゃんの言う通り千晶は強いんだからさ、胸張っても良いんだよ!」
「お姉ちゃんも……ありがとう!」
若干照れながらも快活な笑顔を見せる千晶。やはり姉妹と言うべきか、その笑った顔はどこか明と似ている。
「ところで……お姉ちゃん? 美炎先輩の後ろにいる人は誰?」
「って、事で喋って良いよ。かなちゃん」
明の雑すぎる合図に呼ばれた少女はいきなり千晶に迫るともの凄い勢いで話し出す。
「ねえねえ、明ちゃんの妹だよね? やっぱり流派は明ちゃんと同じなの? それとあの剣捌きは……」
「あ、えっと……そ、その~」
少女の勢いに千晶はタジタジ、すかさず姉に助けを求めた。
「かなちゃん、ちょっと落ち着いてよ~。千晶が追い付いていないって」
「あ……ごめん」
「というか、
「いや~、かなちゃんがここまでがっつくとは思わなくてさ~」
呑気な明の言い訳に千晶や美炎は呆れた。流石にそれは分かっていただろうにと。
「じゃあ、気を取り直して自己紹介するね。私は
「私は加守千晶です。知っての通り、そこにいる呑気な人が私の姉です」
隣にいる明に指差す。指差された本人は至って気にもしていない様だ。流石の可奈美も苦笑い。
「衛藤先輩……話はお姉ちゃんから聞いていましたけど、本当に剣術の話になるとグイグイ来ますね……」
「えへへ~。あ、私の事は可奈美って呼んで良いからね」
「じゃあ、お言葉に甘えて可奈美先輩で。それでさっき質問したのは流派とかの話でしたよね?」
ようやく可奈美が話したかった本題へと話が進む。やはり剣術の話になると可奈美の目の色が変わった。
「うん! やっぱり明ちゃんと同じ流派?」
「はい、そうですね。お姉ちゃんと同じ流派です」
「やっぱり、そうだと思ったんだよね! ちょっと独特な八相の構え方とかシンプルな立ち回り方を見て明ちゃんに似ているな~って思っていたんだよ!」
楽しそうに話す可奈美。そんな彼女につられ千晶も楽しそうに話す。
「あはは、それが私達が使っている流派の特徴ですからね。確かに八相の構え方はちょっと独特かも」
と可奈美達が楽しそうで話している一方で明と美炎は別の話をしていた。
「いやあ~、千晶この事知ったら驚きそうだな~」
「それで私も勝ち上がったら、この二人のどちらかに当たるだよね。結構厳しいところに当たるな~」
「あははは、ここは踏ん張りどころだよ! みーちゃん」
明がそう言った後、千晶とその対戦相手の名前が呼ぶ声がした。
「あ、かなちゃん達の名前が呼ばれたよ」
「え、もしかして次の対戦相手って……可奈美先輩!?」
「うん、よろしくね! 千晶ちゃん!」
場内はざわめいていた。実力ある上級生達を次々と倒して勝ち上がってきた千晶と美濃関最強と噂されている実力を持つ可奈美の対決に注目しないはずがない。
「凄い盛り上がっているね。可奈美ちゃんと千晶ちゃん。どっちが勝つのかな?」
「あ、マイマイ。マイマイの試合は?」
明にマイマイと呼ばれた落ち着いた雰囲気の少女――
「それなら、さっきやって何とか勝ったよ。決勝戦に行くまでは負けられないからね」
「やっぱり、柳瀬さんも代表目指しているんだね! って、あれ? 何で柳瀬さん、千晶の事を知っているの?」
美炎が疑問を口にすると舞衣は穏やかな口調で話した。
「部隊が一緒なの。だから、千晶ちゃんの事を知っているし、今回可奈美ちゃんには悪いけど後輩の応援をしようかなって」
最後辺りはかなり申し訳なさそうな顔で話す。友達想いな舞衣らしいところだ。
「そっか、だから柳瀬さんも千晶の事を知っていたんだね。あ、試合が始まるよ」
美炎の言葉を最後に三人は会話を止め、可奈美と千晶の試合を静かに見守る。
千晶と可奈美は互いに向き合って構えた。号令が掛かった同時に千晶は一気に可奈美の間合いに飛び込む。可奈美は迎え撃つかの様に竹刀を振った。
千晶は鋭利な一太刀を木刀で受け流して一閃に繋げる。が、可奈美もその一閃を防いだ。
それを機に両者目回るしく激しい攻防が始まる。千晶が振り下ろせば可奈美が受け止めて返すと千晶が躱してまた次の一手へと続けた。その繰り返しに観戦している者達は興奮している。
そんな中、可奈美は笑っていた。千晶の剣術に心躍らせ、その一撃一撃に込められた想いを感じ楽しんでいる。
一方の千晶は可奈美の笑っている姿にどこか姉と重ねていた。明も立ち合い中に笑う事がある。だからこそ、変に緊張しなかったかもしれないと思っていた。
この立ち合いに終止符を打つ為、千晶は強く踏み込み渾身の突きを繰り出す。可奈美は咄嗟に避けたが少し体勢を崩した。千晶は当然その隙を狙っていく。しかし、この瞬間を可奈美は狙っていたのだ。
可奈美は体を向かって右手側に捌き、一撃を放つ。だが、千晶も強引に剣の軌道を変え相討ち覚悟で打ち込んでいく。ほぼ同タイミングでの剣撃。
僅かな差で可奈美の一撃の方が早かった。この瞬間に場内は最高潮に盛り上がり、興奮に包まれた。
試合が終わり、明達は先程まで試合をしていた二人に話し掛けた。
「お疲れ、可奈美、千晶!」
「可奈美ちゃんと千晶ちゃん、お疲れ様」
「お疲れ~、千晶、かなちゃん!」
「三人とも、ありがとう!」
「ありがとうございます!」
二人とも激戦だったのにも関わらず、あまり疲労している様子はなく元気だ。話は試合の話になっていく。
「流石、可奈美と言うか……千晶のあの攻撃を笑顔で受け止めるんだからさ……」
「だって、あんな凄い攻撃が来て……しかも、流れる様に繋げていくんだもん! それでワクワクしないはずがないって!」
「可奈美ちゃんらしいね。でも、確かに千晶ちゃんの剣捌きは凄かったね」
「だって、千晶。やっぱり千晶は強いね、お姉ちゃんの自慢の妹だよ!」
可奈美や舞衣に賞賛されて明の方が自慢げになる。一方の千晶はかなり照れている様だ。
「いや、私の腕はそんなでもないですって……」
「もう照れちゃって……可愛いな、千晶は!」
美炎にからかわれてますます顔を赤くする千晶。明も便乗して言う。
「そうそう、こういう時素直に照れるから千晶は可愛いよね!」
「もう、お姉ちゃん達これ以上からかわないでよ!」
抗議する妹を可愛いと言いながら頭を撫でる明に千晶はもっと抗議する。そして調子に乗りすぎた明は妹に撫でていた腕を極められるのであった。
「ふふふ、本当に明ちゃんと千晶ちゃんは仲良いね。でも、ほどほどにね」
「わ、分かっていますよ!」
舞衣がそう言うと千晶は明を解放する。明はそれなりに痛かったらしく極められた腕を擦る。調子に乗った彼女が悪いので自業自得とも言える。
「話を戻すけど、千晶ちゃんの実力ならもっと上に行ってもおかしくないって思ったよ!」
可奈美が先程千晶が言っていた事に対して明るい口調で言う。
「あはは、ありがとうございます! でも、ここで負けたって事はまだまだだと思います」
「もう千晶は真面目だな! 可奈美相手にあれだけ立ち合えたんだから自信持って良いって!」
「そうだよ、千晶ちゃん。謙虚なのは良いけど、もう少し自分に自信を持って」
「美炎先輩に舞衣先輩……ありがとうございます!」
その時、準決勝を始める声がした。呼ばれた三人は各々の試合場所へ向かう。
「って、私の次の対戦相手は可奈美!?」
「よろしくね、美炎ちゃん!」
「舞衣先輩、頑張って来てください!」
「ありがとう、千晶ちゃん」
彼女達の背中を見届けた後、明と千晶は応援の事について話す。
「千晶はどうするの?」
「う~ん、可奈美先輩と美炎先輩の試合も見たいけど舞衣先輩のも見たいかな」
「なら、行っておいでよ。私はみーちゃん達の試合を見ておくからさ」
「うん、ありがとう! じゃあ、舞衣先輩の所に行って来るね」
千晶は舞衣の所へ向かい、明もまた親友達の試合を見る為に足を進めた。
この後の校内予選を書くとしたら結構あっさりになるかなと思っています。ほぼアニメ本編と変わらないので。まず、剣戟シーンは端折りそう……。
後、またオリキャラの募集をしようかなと考えています。でも、出番は当分先になるし、活躍させる事も出来るかどうか分からないけど……。
では、この辺で筆を置きます。感想をお待ちしています。