刀使ノ巫女 ~信じた思いは煌めく刃となりて~   作:巻波 彩灯

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 どうも、巻波です。7月中に更新しようと思ったら、8月になっていました。
 今回で予選は終了です。予選で4話も使うのは絶対にこの小説だけだよなぁ。しかも主人公は二回戦で負けているので、特にこれといった活躍が今のところないという……。

 まあ、そんな事は置いて本編に入りましょう! では、また後書きで。


第4話 予選終了!

 明は可奈美と美炎の試合を見ていた。

 見た感じ、美炎の方が勢いがある。しかし、可奈美も的確に捌いていた。おまけに笑顔になっている。本当に試合を楽しんでいるだろう。美炎も可奈美につられて笑顔になっていく。

 この二人の剣戟を見て、明は興奮していた。二回戦で負けたのは悔しいところだが、こうして楽しそうな二人を見られるならば負けて良かったとさえ思っている。勿論、自分も戦いたかったという気持ちはあるにはあるが。

 少し経つと美炎の集中力が切れ始めたのか、勢いが急速に落ちていく。たくさん美炎の剣を受けてきた明はそろそろ頃合いだと分かっていた為、大して驚きはしなかった。だが、可奈美や他の刀使達は少し驚いている。ここまで勝ち上がってきたのだから、もう少し長引くだろうと思っていたからだ。

 急速に鋭さを失った美炎の太刀筋はもはや可奈美にとっては敵ではない。それでも美炎は真っ直ぐに立ち向かうが、可奈美の一閃が綺麗に決まり試合はそこで終わった。

 

「ああ~! 悔しい!! あと一歩だったのに……!」

 試合が終わってから親友はこんな様子だ。確かに準決勝を勝ち上がれば、代表として御前試合に出られるから、これ程悔しい事はないだろう。

「まあまあ、みーちゃん落ち着いてよ。これから三位決定戦がある訳じゃん!」

「……そうだね、まだ試合は終わった訳じゃない。むしろ、これからだよね!」

「あれ? でも、勝っても負けても補欠になる事には変わりないんだっけ?」

「もう、明ってば! このタイミングでその事を言わないでよ~!」

「あはは、ごめんごめん!」

 明が悪気あって言った訳ではないのを分かっている為、美炎は大して怒っていない。むしろ、いつも通りなのでこれはこれで安心しているくらいだ。

「お姉ちゃん、美炎先輩! 試合どうでしたか?」

 舞衣の試合を見ていた千晶も合流。千晶に先程の試合の結果を伝えると少し苦笑いを浮かべていた。千晶も分かっていた事だろう。

「やっぱり美炎先輩は集中力の持続が課題ですよね。本当にお姉ちゃんと正反対」

「だよね~。みーちゃんと私って本当に相性がねぇ……今回はかなちゃんが相手だったから余計にみーちゃん分が悪かったし」

「くぅ~、もう少し集中力が続けばな……でも、いつまでも引きずっていられないし、次がまだあるから頑張るよ!」

「そのいきだよ、みーちゃん!」

 二人は拳を突き上げ元気良く声を出す。すると、一人の少女が彼女達のもとへやって来た。

「おお、アンタ達は元気で良いね~! その元気を私にも頂戴よ!!」

「っげ、先輩!?」

「親方、どうして!?」

「え、お姉ちゃん達の知り合い!?」

 千晶は先程の見ていた試合で彼女が次の美炎の対戦相手だという事は知っているが、明と美炎の知り合いだという事は知らなかった。

「知っているも何も、その人は私達の部隊長だもん!」

 美炎がその人物の事を指差して話す。少女は美炎達の態度にちょっと怪訝な顔をする。

「それにしては私に対する態度が酷くない!? まるで魔王がやって来たみたいな顔しちゃってさ……」

「いや、事実じゃん……」

 素直に口に出した明に魔王の拳骨が炸裂。明は頭を抱えて蹲った。

「えっと、アンタがあのアホの妹さんね?」

 少女は千晶に顔を向ける。千晶も少し困惑した様子で答えた。

「はい……加守千晶って言います。えっと、あなたは?」

「私? 私は平賀(ひらが)友希緒(ゆきお)、高等部一年でそこの二人が所属している部隊の部隊長をやっているよ! よろしくね!」

「こちらこそ、よろしくお願いします!」

 二人は握手する。友希緒は明とは違って真面目な対応をしている妹に感心した。姉妹と言ってもやはり性格は違うのだなと。

「そう言えば、他に準決勝戦っていた人って誰か知っている?」

「あ、それは……」

 千晶は美炎に視線を合わせる。美炎は友希緒に苦手意識があるのか、少し苦い顔をしていた。

「え、アンタ準決勝まで勝ち上がっていたんだ……ちょっと意外かも」

「でも、その準決勝で負けたんですけどね」

「って事は次の私の相手は美炎って訳か! 手加減は一切しないから覚悟してね!」

「こっちこそ、負けるつもりありませんよ!」

 さっきと打って変わっていつも通りに明るい顔になる美炎。友希緒もその様子に満足して頷くと踵を返して他の場所に行ってしまった。

「あの……美炎先輩、さっき暗い顔をしていましたけど何でですか?」

 流石に友希緒を目の前にして言う訳にはいかない為、彼女の姿が見えなくなってから千晶は気になっていた事を訊いた。

「私ね……あの人の剣術がどうしても苦手で……三位決定戦であの人に当たると考えると少し不安になっていたんだ」

「そうなんですか……って事は向こうは長期戦が得意なタイプって事ですか?」

「うん。だけど、ここまで来たんだから後はなせばなるっ! って思うんだよね!」

「あはは、美炎先輩のそういうところ本当にお姉ちゃんにそっくり」

 美炎を呼ぶ声がした。決勝が始まる前に三位決定戦が始まるのだ。

「美炎先輩、頑張って!」

「ありがとう、千晶。それじゃあ、行って来るね!」

 そう言うと美炎はそのまま試合場に向かって行った。その背中を見送った後、千晶はずっと黙っていた人物に話し掛ける。

「お姉ちゃん、そろそろ美炎先輩の試合が始まるよ」

「魔王から受けた攻撃が……先に行ってて」

 千晶は溜め息を吐いて、明を置いて試合の観戦に向かった。

「流石にあのゲンコツはやばいって……!」

 復活するのにはもう少し時間が掛かりそうだ。

 

 明が立ち直った時には、もう三位決定戦の試合が始まっていた。決勝が近いだけあって見に来ている者も多い。明はその中をするりと抜けて見える場所までに行った。

 試合の状況は美炎がやや劣勢で彼女の剣がいとも簡単に受け流されていた。

 やはり美炎が苦手としているだけあり、友希緒は簡単に崩れそうにない。上手く美炎の攻撃を受け流して、自分の攻撃に繋げている。

 美炎はそれをどうにか受け止めていた。その一撃はとてつもなく重そうに見える。

 美炎は強引に押し返すと、もう一度一閃を走らせる。それは読まれていて弾かれた。しかし、これだけでは終わらなかった。弾かれた反動を利用してもう一太刀。

 その一太刀にあまりにも速く鋭く友希緒は反応が遅れてしまい、一撃を入れられてしまう。勝者は美炎に決まった。

 

 すぐさま決勝になるのだが、その僅かな時間を利用して明は千晶と合流し試合が終わったばかりの美炎とも合流した。

「みーちゃん、おめでとう!」

「おめでとうございます、美炎先輩!」

「ありがとう、二人とも!」

 美炎はとても嬉しそうな顔をしている。決勝まで行けなかったとは言え、美濃関に在籍している数多くの刀使の中から三位になれた事は素直に嬉しい事だろう。その分、悔しさもあるが。

「次はかなちゃんとマイマイか……どっちが勝つかな?」

「多分、可奈美の方が勝ちそうだけど柳瀬さんも強いからね。正直、予想がつかないな~」

 明と美炎が決勝について話をしていた時、決勝を始めるアナウンスが聞こえた。いよいよ長かったこの予選も残すは決勝のみ。当然、三人はその試合を観戦する。場は静かになった。

 

 可奈美と舞衣がそれぞれの得物を持って対峙している。舞衣は木刀を揺らして正眼に構え、可奈美は竹刀持って無形の型と呼ばれる構え方で相手の出方を窺っていた。

 そして、号令が掛けられる。最初に動いたのは舞衣で穏やかな彼女と思えない様な気迫が篭った一太刀に可奈美や試合を見ている明達も驚く。

 しかし、可奈美は冷静に受け止めて距離を取った。舞衣は素早く間合いを詰め、流れる様に攻撃を繰り出し崩すと渾身の突きを繰り出す。

 可奈美はこの時を待っていたらしく、その突きをするりと避けるとがら空きの胴に一閃を入れた。

 僅かな時間だが、その立ち合いに周りの刀使達は賞賛の拍手を送る。長かった校内予選は可奈美の優勝で幕を閉じた。

 

 予選を終えた明達は寮へと向かっていた。今日は明の部屋で祝勝会をやる事に。祝勝会をやると言い出したのは、その部屋の主だ。

「あれ? あの人は……」

 美炎が指を差すとそこには女子寮の出入り口に美濃関の制服に身を包んだ青年が立っていた。美炎と明とってはかなり見知った顔だ。

「あ~、ケンケン先輩! どうしたんですか?」

「ああ、お前達か」

 明にケンケン先輩と呼ばれたかなり背が高く大きい青年はとても落ち着いた声音で話す。

「実は衛藤に呼び出されてな……この場所に来いと言われた」

「ここに来て平然としている先輩が凄すぎる……」

 美炎の言う通り、ここは女子寮の出入り口前だ。平然としている青年はどこか感覚がズレている。

「お、お姉ちゃん、その人は?」

 まだ彼の事を知らない千晶は声を震わせながら聞いた。明が答える代わりに青年が言う。

「俺は剣持(けんもち)正樹(まさき)だ。柄巻師を専門にしている」

「でも、ケンケン先輩は柄巻師としてだけじゃなくて研師の事も勉強しているんだよ」

「親父が刀匠だったからな」

「そうなんですか……でも、やっぱりここにいるのはおかしくないですか?」

 当たり前の事を言う。しかし、剣持はあまりピンと来ていない様だ。千晶がドン引きの表情を浮かべた瞬間、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「剣持先輩!」

「衛藤か。少し遅かったな」

「ちょっと色んな人と話していて……」

「そうか」

 剣持の表情が先程よりも穏やかになっていた。可奈美もどこか楽しげな表情。察した三人はニヤけるのを我慢しながら二人を見る。でも、空気に耐え切れなくなった明は話に割って入った。

「そうだ、せっかくかなちゃんもケンケン先輩もいるだからこの人数で祝勝会しない?」

「しゅ、祝勝会?」

 突然の提案に驚く剣持。慌てて美炎が説明する。

「今日、校内予選があったの知っていますよね。その打ち上げで元々三人だけでやる予定だったんですけど……」

「へえ、そうだったんだ。私も参加したい! それに舞衣ちゃんも呼ぼうよ」

 可奈美は参加する気満々だ。そして剣持に視線を送ると彼も二つ返事で了承した。どうやら可奈美には敵わない様子。

「じゃあ、私ちょっと準備してくるから待ってってよ。かなちゃん、マイマイに連絡よろしく!」

「あ、待ってお姉ちゃん! 私も行く!」

 姉妹は共同の食堂がある所に向かった。剣持は一旦女子寮を離れて、お菓子やジュースの買い出しに行く。その後、クッキーを焼いて持ってきた舞衣が合流し男女共通の食堂にて全員集まり祝勝会が行なわれると、途中から他の生徒が何名か参加しとても賑やかな打ち上げとなった。




 ふぅ、これで予選は終了。次から御前試合の話になります。ようやく話が動き出しそうです。また事前募集で提供していただいたキャラクター達もチラホラと姿が……?
 後、まだ気が早いですが舞草に所属しているオリキャラを募集しています。気が向いたらで良いので、ご提供してくださると嬉しい限りです。

 あ、ついでに最後に出てきたキャラクターの紹介です。
剣持 正樹(けんもち まさき)/男性/15歳/高1/身長:190cm
在籍校:美濃関学院高等部1年/柄巻師
容姿:黒髪に前髪を上げた短髪、黄色い瞳。精悍な顔立ちをしている。かなり大柄な体をしており体格にかなり恵まれている。制服はきっちり着こなす方。
性格:一本気で真面目で頑固。基本的に頼まれたら断らないタイプでついつい色んな人物に頼まれては断らずにやり通す(それが原因でぶっ倒れる事もしばしば)。女子に対して紳士的な態度は心掛けているが色々とズレている。しかし、不慮の事故に遭った際には奇行に走りやすい。

 では、ここら辺で筆を置きます。モチベーション向上に繋がりますので、感想の方もお待ちしています。最後に一言、ひよよんはBカップ()。
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