刀使ノ巫女 ~信じた思いは煌めく刃となりて~   作:巻波 彩灯

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 みなさん、どうも巻波です。毎度の事ですが、大幅に更新するのが遅れてしまい申し訳ございませんでした。
 決して、ようやく解禁されたPC版のとじともを遊びまくって遅れたわけではありません。
 ……篝さんのあのプレアブル決定PV良いですよね。マジで引き当てたくなります。でも、石が……。

 そんな事より今回よりアニメやゲーム本編の話に合流します。ただ登場人物が多すぎて、いつも以上に迷文や駄文のタグが働いております。ご注意を。

 では、後書きでまたお会いしましょう。


第6話 刀使

「まだ眠いなぁ~……」

 やや眠け眼な明は豪快なあくびをした後、体を思いっきり伸ばす。

「あんだけ寝てて、まだ寝たりないのー!?」

「お姉ちゃん、流石に寝すぎだよ~」

 美炎と千晶は先程まで爆睡していた明を見ていた為、その様子に呆れていた。しかし、当の本人は寝起きという事もあってまだ眠たそうにしている。

「それにしても人というか刀使がいっぱいいますね」

 千晶は目の前にいる制服姿に御刀を帯刀している女学生達を見て、少し驚いていた。

 ――刀使は警察庁・特別刀剣類管理局に所属しており、彼女達は御刀を帯刀して良い超法規的な公務員である。制服姿に御刀を帯刀している姿はまさしく彼女達の象徴なのだ。

「だって今日は御前試合当日だからね。おまけに鎌倉は会場だからいっぱい人がいてもおかしくないよ」

 美炎は去年も行った事がある為、特別驚いてはいない。だが、この人いや刀使の人数は異常だと思っている。

 明達は現在鎌倉に来ていて美炎が言っていた通り、今日は御前試合当日の為にたくさんの刀使達が来ていた。他にも別の学科の人達も応援に来ている為、鎌倉駅は学生達で賑やかだ。

「こんな中ではぐれたら、大変そうですね……」

 千晶はどこか不安そうな顔つきになる。この人混みの中ではぐれたら、探すのは困難なのは目に見えて分かるからだ。

「まあ、はぐれてもなるとかなるって!」

 明はあっけらんかんに言ってのけた。その状況を分かっているのかどうかは不明だが、彼女らしいなと千晶は思って少し笑う。

「おーい、美炎達! 早くしないと置いて行くよー!」

 さっきまで用事でいなかった友人達が大きく手を振る。それに気付いた美炎と千晶は走りだした。やや遅れて明も走り出す。

「……お腹空いたなぁ~……」

 新幹線で移動中に食事を取らずに寝てしまったものだから、空腹なのは仕方ない。

 

 明達は警備を兼ねて経路案内を担当している鎌府の学生達の案内を聞きながら、会場を目指していた。

 その道中、空腹な明は近くのコンビニに寄って軽食を買って食べながら歩いていく。

 鎌倉は観光地としても有名であり、ましてや今日は御前試合という刀使達にとって大きなイベントだけあって人がかなり多い。

 誰がはぐれてもおかしくない状況下で、明はマイペースに美炎達の後を追う。本当にはぐれてもなんとかなると思っているからだ。

「明! ちょっと離れすぎだよ! 一瞬マジで見失ったから!!」

 先を行く友人の一人に怒られ、明は苦笑いで返す。

 怒った友人はため息を吐くと強引に明の手を引っ張り、合流させる。

「てか、まだ食べてるの?」

 他の友人が明の手にあるおにぎりを見て言う。買ってからそれなりの時間を歩いているから、食べ終わっていてもおかしくはない。

「うん。まだもう少しあるよ」

 と言って、明はコンビニ袋を掲げて見せる。一、二個は残っている様だ。

 その様子に友人達は苦笑いをするだけ。美炎や千晶も特に気にする事もなく苦笑いに留めた。

 尚、明は特別大食いではない。ただ育ち盛りかつ刀使として日々過酷な状況下で戦っているから一般的な女学生達より食べるというだけだ。

 それでも良く食べる方である事に変わりはないのだが……。

 

 それから彼女達は目的地まで楽しく談笑しながら歩いて行く。明も食べ終わり、途中のコンビニにゴミをあらかた捨てるとその輪の中に入る。

「あれ? あの人達がかなちゃん達の対戦相手かな?」

 明は先を行く少女達に気付き、パーカーを着た小柄な少女を指差す。それに気付いたのか、パーカーを着た少女は不機嫌そうにこちら側を見て口を開いた。

「あん? 何ガンたれてんだよ?」

 慌てて美炎が前に出て話をする。この場合、明が何を言い出すのか分からないから彼女が代わりに話を繋げる事が多い。

「す、すみません。うちのものが失礼しました。あの、その制服って、鎌府ですよね?」

 美炎の言う通り、小柄な少女はパーカーの下に鎌府女学院の制服を着ていた。そして、そのパーカーの裏には短刀が二振りある。

「それで……代表の人ですか?」

 明は直球に聞く。彼女もまた向かっていた方向は同じだから可能性はある。しかし、少女は首を横に振った。

「ちげーよ、アタシはコイツの付き添い。コイツがウチの代表だよ」

 少女は一歩離れた位置にいる白髪の少女を指差す。白髪の少女は無表情で明達を見つめていた。彼女も腰に御刀を佩いている。

「へぇ~、そうなん……!?」

「なんだぁ?」

 周囲の状況が一変。――人々が何かに恐怖して逃げる様に走り出した。

 明達もすぐにその異常な状況に気付く。そして、その混乱の原因を視認する。――古来から人に害を為す異形の存在・荒魂だ。

「みーちゃん達、行くよ!」

 明はそう呼びかけると真っ先に荒魂のいる方向に走り、自分の御刀――同田貫清国を抜刀し写シを張った。同タイミングでパーカーを着た少女と白髪の少女もそれぞれの愛刀を抜く。やや遅れて千晶も同田貫正国を抜刀して構えた。

 美炎は友人達に避難を呼びかけてから加州清光を抜き放ち写シを張り、その場にいた刀使全員が臨戦態勢に入る。

 周りの反応が早かったおかげか、周囲の避難はある程度終わっており荒魂が出現した場所の周辺は民間人は誰一人もいない。

「千晶は大丈夫なの?」

 美炎が千晶に声をかける。明も心配そうに彼女へ視線を送る。いくら千晶が実力があるとはいえ、刀使としての経験はまだ浅い。無理はさせたくない

「私も刀使ですし、何度か荒魂と戦った事があります。サポートぐらいは出来ると思います」

 そう答える千晶は特に気負う事もなくかといって怯える事もなくただ真っ直ぐに荒魂を見つめていた。

 彼女のその真っ直ぐな瞳に明は大丈夫だと確信し、改めて目の前の荒魂に目を向ける。

「分かった。じゃあ、千晶は後ろで私達のサポートをお願いね!」

「はい!」

 背後で行われていたやり取りが終わったと同時に明が迷いのない太刀筋で荒魂を斬り祓った。

 それに続いて美炎も千晶を次々と荒魂を斬っていく。また鎌府の二人も難なく倒していった。

「やるじゃねぇか、美濃関のお前ら! お前らの名前は?」

 パーカーを着た少女は明達の動きに対して素直に賞賛。そして名前を聞いた。

「え? 名前ですか? 私は安桜美炎、二年!」

「私は加守千晶って、言います!」

 二人は襲ってくる荒魂を対処しながら自己紹介をする。しかし、明の声だけが聞こえない。

「おい、あそこで沙耶香みてえに黙々と斬っているヤツは誰だよ?」

 声が届いていない事も考慮して少女は美炎に聞く。

「あそこに、いるのは私と同じ二年の加守明! 千晶のお姉ちゃん、だよ!」

「なるほどな、どおりで顔が似ているワケだぜ。……まぁ、いいや、アタシは七乃里(しちのさと)呼吹(こふき)。中等部三年だ。それでそこにいんのが……」

 と言って、白髪の少女に話を振る。少女は言葉数少なく言った。

糸見(いとみ)沙耶香(さやか)……中等部一年」

 淡々と標的を斬っていく。機械の様に的確に何度も同じ様に。

「って事だ。一つ言っていくが、アタシの取り分を横取りするんじゃねえぞ?」

 呼吹はそう言うと両手に持った短刀を振り回し、荒魂を次から次に切り伏せていく。

「アイシテイルぜっ! 荒魂ちゃん達!!」

 他の刀使達とは違う感性の持ち主だが、その実力は折り紙付きという事が分かる。また沙耶香も千晶と同年代とは思えない程に恐ろしい剣の冴えを見せる。

 それでも美炎や千晶は負けない様に各々の御刀を振るった。千晶も美炎も校内予選でそれなりの結果を残しているだけあって、危なげなく一閃を走らせる。

 そして明はというと相変わらず一言も声を発せないまま事を為していた。その太刀筋は校内予選で見せたものよりも鋭く速い。

 

 しかし、彼女達がいくら倒しても荒魂の数は減らない。それどころか手強いものが増えてきていた。

「……駄目、このままじゃ……」

 違和感に気付いた沙耶香はポツリと言う。表情も厳しくなっている。

「えっ、と、それは、どういう、意味?」

 近くにいた千晶が聞く。途切れ途切れになっているのは荒魂を斬りながら聞いているからだ。

 しかし、沙耶香は答えず目の前の荒魂を斬っている。それには千晶は困惑するばかり。

「ったく、ちゃんと説明しろよな、沙耶香。……アイツが言いたいのはこのパターンはマズイって事だよ」

 フォローする様に呼吹が話す。彼女が言うには少しずつ荒魂が強くなり、数で押してくる事がここ最近多いとの事だ。

 しかし、呼吹はあまり気にしていない。むしろ、そんな状況を楽しんでいる。

「……呼吹、先に行く」

 沙耶香は状況的に更に前へ出た方が良いと感じたのか、そう言って先へ進んだ。その移動速度はこの場にいる刀使達の中で最も速い。

「おい、待てって! アタシの荒魂ちゃんを横取りする気かよ!」

 呼吹も続いていく。その場に残ったのは美濃関の刀使達だけだ。

「連携もあった何もないですよね……」

 千晶はその様子を見て呟く。美炎も同意し、少しため息を吐いた。

「でも、これだけの人数がいるからなんとかなるって」

 ようやく明が口を開く。緊迫とした状況ではあるが、普段とは変わらぬ呑気な声音で話しながら冷静に一閃を走らせる。誰よりも動揺せず、自分のペースを保っていた。

「確かに……明や千晶がいるからなせばなるっ!」

 美炎は相変わらずな親友の様子を見て調子を取り戻す。千晶も同様に落ち着きを取り戻し、正国を振るう。

 明は落ち着いて荒魂の攻撃を捌き、死角となった箇所から容赦なく斬る。荒魂は自分の体が保てなくなり、その存在を消失させた。そしてその場に残ったのは荒魂の元となる物質――ノロと呼ばれるものだけ。

 明はその存在に目もくれず次に襲いかかって来た荒魂の対処に意識を集中させた。そしてまた荒魂をノロへと還す。

 しかし、事は順調とは言い難い状況へとなっていく。疲労が彼女達を襲ってきたのだ。

「くっ……集中力が……!」

 長時間の戦闘の影響により、この中で一番集中力がない美炎は動きを乱していた。次第に太刀筋も鈍くなっていく。

 そして彼女の死角から荒魂が襲いかかる。反応が遅れた美炎は直撃する事を覚悟した。

「みーちゃん!」

「美炎先輩!」

 助けに行きたいが明は他の荒魂達に行く手を阻まれ助けに行く事が出来ず、千晶もまた荒魂の対処に手間取って救援に行けない。

 万事休すかと思いきや凄まじい雄叫びと共に一閃が走り、美炎に襲いかかろうとした荒魂が真っ二つになった。

「大丈夫か!?」

 斬ったのは平城学館の制服に身を包んだ長身の少女。雰囲気からして高等部の者に見える。

「大丈夫です。助けてくれてありがとうございます!」

「なら、良かったぜ。……んで、そこの美濃関の奴らもお前の友達か?」

 少女は遅れて駆け寄って来た加守姉妹を指差す。美炎は指差した方へ顔を向けると二人の安堵した顔を認める。

「良かった。美炎先輩が無事で」

 千晶は本当に安心したと言った声音で言った。明も無言で頷くと、目の前の荒魂を斬る。

「この人が助けてくれたから、何とかね。それよりも早く荒魂を……!」

「そうだな、なら先陣は頂くぜ!」

 少女は荒魂を目にすると真剣な顔つきに戻り、大上段――いわゆる、蜻蛉の構えを取っては勇猛果敢に斬るべき相手を向かって銀色を一筋走らせる。

 その速さはまさしく雲耀。為す術もなく荒魂は二つに分かれてはノロに還った。

「は、速い……!」

 それを見た三人は驚愕する。今まで見た刀使の中で恐らく最も速い太刀筋だったからだ。しかも、全て最初の一太刀で倒している。

「あれでも予選三位なのよ……上には上がいるものよね?」

 落ち着いた声音が聞こえた。同時に洗礼された銀一文字が閃き、彼女達の近くにいた荒魂が倒される。

「まあ、それでも凪沙が強い事には変わりないの確かだわ」

「あの、あなたは?」

 突然、目の前に現れた少女に困惑しながら美炎が訊ねる。少女は柔和な笑顔で答えた。

「私は平城学館高等部二年の佐原(さはら)すみれよ。そして向こうで暴れているのは藤川(ふじかわ)凪沙(なぎさ)、同じ高等部二年」

 それを聞いた後、美炎と千晶は向かって来る荒魂を斬り伏せながら明の分も含め自分たちの事を話す。

 互いの自己紹介を終えるとすみれは彼女達を指示し、的確に荒魂を対処していく。

「おい、アタシの獲物を横取りしてんじゃねーよ!」

 呼吹が不満そうな声を上げる。彼女が狙っていた獲物を狩ってしまった人物が口を開いた。

「んな事言うなよ……こういうもんは早いもん勝ちって言うだろ?」

 先程美炎を助けた少女――藤川凪沙は強気な物言いで返す。早い者も何も荒魂は早急に斬り祓われれば、それに越した事はないのだが。

「……お前、面白い事言うじゃねえか。なら、どっちが多く荒魂ちゃんを狩れるか勝負しようぜ」

「いいぜ、勝負なら負けねえ!」

 根が似ているのか二人はすぐさま意気投合し競争を始めた。

 呼吹からすれば、横取りしてくる凪沙の行動には不満があるが、彼女の言った言葉は納得出来たから勝負を持ちかけたのだ。

 対して凪沙は勝負というものが大好きな為、断る理由もない。だから、成立した。

 そんな二人を見て、残りのメンバーは呆れながらも御刀を振るっていた。

 

 荒魂と戦闘を繰り広げている明達を少し離れた場所から見つめる者が二人。両者共に長船女学園の制服を着用し、御刀を帯刀している。

「なあ、エレン……俺達が加勢しなくても良いと思うんだが……」

 ピンクの髪にツインテールの小柄な少女は多少の問題はあれど上手く事が進んでいる現状を見て冷静に言う。しかし、金髪の背の高い少女は納得せず反対した。

「何を言っているですか、薫! こういう時こそ、助け合いの精神デス!」

「ねねー!」

 自分の頭の上にいる守護獣にも言われると小柄な少女は諦めて賛同する。

「はぁ……仕方ない、働くか……。まぁ、数が多いに越した事はないしな」

 彼女達は各々の愛刀を抜刀し、己の使命を為す為に戦地に向かう。

 

 また助っ人が来るとは知らずに明達は御刀を振るっていた。

 呼吹と凪沙、今まで黙々と動いていた沙耶香が先陣を切って進み、明とすみれが彼女達の背中を守る様にフォローし、千晶と美炎で弱った荒魂を一匹たりとも逃さずに仕留める。

 すみれの的確な指示もあってスムーズに数を減らす事が出来ていた。また呼吹と凪沙が勝負をしている為、加速的に減っているものもある。

 その中で明は目の前の荒魂を斬り伏せ、その奥の荒魂も一突きで倒していた。その剣の冴えは戦闘が始まった頃と比べて鋭くなっている。

 再び目の前の荒魂を斬った時、明の死角となるところからもう一体が襲撃。予想外の位置からの攻撃に明は反応が追い付かず無防備な状態になってしまう。

 しかし、荒魂は何者かの攻撃によって遠くへ吹っ飛んでいった。蹴り飛ばしたのは金髪で背の高い少女だ。

「危ないところでしたネ。お怪我はありませんカ?」

 背の高い少女は明るい笑顔で明に問いかける。

「大丈夫です! えっと、あなたは……?」

「長船女学園高等部一年、古波蔵(こはぐら)エレンと益子(ましこ)(かおる)! 義によって助太刀致しマース!」

 金髪で背の高い少女――古波蔵エレンは朗らかに名乗りを上げると同時に、体を荒魂の方へと向け自分の御刀――越前康継を両手で握って構えた。

「ねー!」

「そうだな、ねねも助太刀に参上だ」

 小柄な少女――益子薫は気だるげながらも自分の家の守護獣である“ねね”の存在を付け加える。彼女の御刀は三尺以上もある大太刀――祢々切丸だ。小柄な体格とは裏腹に尋常じゃないパワーを兼ね備えている事が見て分かる。

 そして彼女も蜻蛉と呼ばれる凪沙と同じ構えを取って間を待つ。

「薫の一撃に巻き込まれない様に、皆さん注意してくださいネー!」

 そう言ってエレンは荒魂のところへ一直線に駆けていくとその体格とは見合わぬ軽いフットワークで相手を翻弄し、正拳突きや回し蹴りを繰り出してから斬っていく。

 エレンの攻撃を受けて足が止まった荒魂は薫の猿叫と共に放たれる一撃によって葬りさられる。

「うおい! 危ねえ!!」

 後、一歩で薫の一太刀に巻き込まれるところだった凪沙。彼女はその太刀が誰のものかというのを確認すると相手に向かって声を荒げた。

「そこの野太刀使い、危ねえだろうが!!」

「知るか。一応警告はしたんだから、そっちが悪いんだろ」

 薫は気だるげながらも正論を言う。

 凪沙は理解すると気を取り直して、己の獲物を倒す。何せ、勝負をしているのだから出来る限りの範囲で全力を尽くさねば面白くない。そう思うと一層気合が入り、猿叫がさらに大きくなる。

「まだまだ遊び足りねえんだ……もっと遊ばせてくれよ、荒魂ちゃん達!!」

 一方の呼吹は嬉々とした表情を浮かべながら荒魂を薙ぎ祓っていく。その様子に薫は小声でねねに隠れるように指示したのは言うまでもない。

 

 さらに人手が増えた事によって、荒魂の数が目に見えて減ってきた。そしてようやく機動隊が到着する。

「機動隊二十四名、現場に急行しました。刀使の皆さん、遅れてしまい大変申し訳ありませんでした」

 小隊長らしき隊員が丁寧な言葉遣いで報告。代表してすみれが答える。

「いえ、問題ありません。むしろ丁度良いタイミングでした。早速ですが、誘導の方をお願い出来ますか?」

「はい、これだけ減っていればなら包囲可能です。すぐさま開始します!」

 そう言うと彼は機動隊の隊員達に指示を出し、手際良く荒魂達を包囲していく。

「チッ、面白くねえ……」

 率直に呼吹は不満を漏らす。聞こえた美炎は苦笑いを浮かべた。

「ここは私達に任せて、他の子は会場に向かって良いわ」

 順調に誘導され、包囲されていく様子を見てすみれは他の刀使に声をかける。

「ええ、ワタシ達はそうしマス。薫、急いで会場に向かいマスよ!」

「マジか……走りたくねえ……」

 薫はぶつぶつと文句を言いながらエレンに連れて行かれる。沙耶香も呼吹に言われ、大急ぎで会場に向かって行った。

 彼女達と入れ替わりに数人の刀使達がやって来る。皆、鎌府の制服を着ている。

「遅れてすみません、特祭隊の水上紗夜です! 報告にあった荒魂の集団はどこに?」

 代表として長い茶髪の少女――水上紗夜は隊員から包囲した場所を聞く。そして場所が分かると礼を言い特祭隊のメンバーを連れてその場所へと急行する。

 これで一段落するとある二人を除いて誰もが思った。しかし、隊員から予想もしない事を告げられる。

「あの、大変申し訳ありませんが……どうやら包囲する際に取り逃がしてしまったものがいたらしく、数がそう多くありませんが皆さんご協力頂けないでしょうか?」

 やや歯切れの悪い隊員に対して呼吹と凪沙は顔を明るくする。

「そういう事は早く言えっての! まだ荒魂ちゃんと遊び足りねえんだからよ!」

「ははっ、危うく勝負がチャラになるとこだったぜ! 続行だな!」

 それぞれ理由は違うが、それでもまだ荒魂がいる事に喜び隊員から向かった先を聞く。

「はぁ……こういうところ凪沙の悪い癖よね……」

 凪沙の事を良く知るすみれは彼女の勝負が大好きな性格に頭を抱えながら、先へ行った彼女達の背を追った。

「みーちゃんと千晶はどうする?」

 明は二人に荒魂を追うか聞く。千晶や美炎が疲労している事が分かっているからだ。

「私は行くよ。明だけ行かせるなんて性に合わないもん!」

「私も刀使だから行く」

 二人の意見を聞くと明は特に止める様な事もせず、彼女達と共に逃げた荒魂の行方を追う。

 

 取り逃してしまった荒魂はすぐに見つかり、あっという間に鎮圧した。

 事を終えると呼吹はすぐさま姿を消してしまった為、凪沙は少し不機嫌になる。だが、ここまで戦ってきた美濃関の三人に目を付けると快活な笑みで話しかけた。

「おい、お前らの中で誰でも良いけどよ……この後、手合わせっいでででででで!!」

「駄目よ、凪沙。許可もなしにやってしまえば、また学長に怒られるわよ。それに御前試合間に合わなくなるわ」

 と、相方に止められ耳を引っ張られながら彼女もそのまま立ち去った。

「あー!! 急がないと御前試合が始まっちゃう!!」

 美炎は思い出したかの様に言うと千晶も気付き、急いで走り出す。

「まあ、そんなに急がなくても……」

「いや、急がないと間に合わないから!」

 美炎と千晶に引っ張られ明も会場へと向かって行った。




 今回もオリジナルキャラクター増し増しで登場いたしました。そして前回に引き続き一名だけオリジナルキャラターを紹介したいと思います。

藤川 凪沙(ふじかわ なぎさ)/女性/16歳/高2/身長:173cm
在籍校:平城学館高等部2年生/刀使
御刀:長曽祢虎鉄
流派:示現流
容姿:ややボサボサとした紺色のショートヘアーに橙色の瞳。やや中性的な顔立ち。制服の袖を七分まで捲くっている。
性格:短気で乱暴なところがあるが、面倒見が良い姉御肌。細かい事はあまり気にしない。勝負事が大好き。

 他にも紹介したいと思っていますが、それは次回以降となります。ご了承お願いします。

 それとお知らせを一つ、この場でしたいと思います。
 現在募集している舞草のオリキャラ以外にももう一つオリキャラを募集する欄を設けようと考えています。(またオリキャラ募集するのかよ……)
 この話が更新されている頃だと恐らくまだ設けていないはずですが、次の話を更新するまでには設けたいと思っています。
 どういった内容になるのかは……その活動報告欄が上がってからのお楽しみで。

 では、この辺りで一旦筆を休めます。感想や舞草のオリキャラの案などお待ちしています。
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