刀使ノ巫女 ~信じた思いは煌めく刃となりて~   作:巻波 彩灯

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 どうも、巻波です。まさかの短い間隔で更新出来ました。……まあ、1話分の話を分割したので更新の間隔がいつもより短くなったってだけですけどね。
 おまけにかなり端折って書いているので、低クオリティな話がさらに低クオリティになっています。

 それとこのタイミングですが、一人オリキャラを紹介しようと思います。提供されたオリキャラです。

水上 紗夜(みかみ さよ)/14歳/中3/身長:165cm
在籍校:鎌府女学院中等部3年生/刀使
御刀:和泉守兼定
流派・構え:天然理心流、中段の構え
容姿:鮮紅色の瞳で、髪はややウェーブのかかった茶髪のロング。
性格:気配り上手で面倒見もよく、他者への配慮を欠かさない穏やかな性格。本気で怒ったら無言になり、指で身体のどこかをトントンとする仕草を見せる。

 提供者様、本当にありがとうございます。では、後書きにてまたお会いしましょう。


第7話 決路

 三人は会場に到着すると友人達に呼ばれ合流した。そして彼女達は可奈美や舞衣がいる試合場の方へ顔を向ける。これから始まる試合に向けて各校の代表選手がそれぞれ自分のペースを保つようにその時を待っていた。

「可奈美ー! 舞衣ー!」

 友人の一人が可奈美と舞衣に声をかける。すると可奈美も舞衣も気付き、手を振って応えた。明達も手を振って応援の意を伝える。

 その後、アナウンスが会場内に響くと明達は席に着き、試合が始まる瞬間を待っていた――。

 

 最初の試合は可奈美と先程明達と戦っていた寡黙な少女、沙耶香との一戦だ。

 双方、御刀を媒介とし写シという能力で隠世と言われる異世界にか弱い自身の体を預け、エネルギー体へと変換する。

 この能力のおかげで彼女達は真剣での立ち合いも難なくできる上に荒魂との戦いも可能にしている。多少のデメリットはあれど、彼女達刀使にとって必要不可欠な能力なのだ。

 そして構えの号令が入ると各々の構えを取り、始めという合図で二人動き出した。

 迅移という能力を用いて短距離ながらも素早く間合いを取ったり、詰めたりしている。この能力もまた隠世に通じ、時間の流れが速い層に潜って移動する。これも刀使としては基本的な能力だ。

 それを用いての激しい攻防戦の中、可奈美を見失った沙耶香は死角から巻き上げをもらい御刀を弾き飛ばされて写シを解除させられてしまう。

 勝者は可奈美だ。途中、危うく見えたものの崩されず安定して立ち回れていた事から、やはり彼女の実力は相当なものだと言える。もっとも、応援している明達からすれば、心臓に悪いのだが――。

 

 短時間で試合が決する為、トーナメントはあっという間に進んだ。

 準決勝では舞衣と可奈美が当たり、舞衣は居合いで勝負を仕掛けるものの可奈美に阻止されあえなく敗退。決勝へ駒を進めたのは可奈美と平城学館の代表、十条(じゅうじょう)姫和(ひより)だ。

 決勝になると場所が変わり、白州の方へと移動した。空が曇っているせいか、どこか暗い。

 そんな中、明達は可奈美や舞衣と合流し話し込んでいた。話題はもっぱら準決勝で舞衣と可奈美が対戦した事だ。

「まさか舞衣と可奈美が準決勝で当たるとはねー……」

 友人の一人が残念そうに呟く。明や千晶もそれに同意し、頷いた。勝ち進むにつれ同じ学校の生徒同士で当たる事は仕方ないのだが、どうせなら決勝で当たって欲しかったところ。

「あれ? みーちゃん、どうしたの?」

 明は美炎があまり話題に入っていないのに気付き声をかけた。美炎の顔は少し険しい。

「え? ああ、あそこのスタンドにちぃ姉がいて――」

 と美炎は指差す。明はその方角へと目を向けると先には長船の制服を着た青い髪の少女がいた。

 少女からは随分と大人びた印象を覚える。恐らく、彼女が美炎の言うちぃ姉だろう。その証拠に彼女もこちらに気付いて微笑んでいる。

「酷いよ、ちぃ姉! 何で黙っていたのさ!」

 美炎は少し不機嫌になっていた。明は美炎が立腹している理由が大体の予想が付くとどうにかして彼女をなだめる。

 すると、突然会場の空気が一変する。明と美炎は奥の屋敷の方へと視線を切り替えた。

 そこには彼女達が所属している刀剣類管理局の局長にして、全ての刀使を統べる折神家の当主である折神(おりがみ)(ゆかり)がいた。

 彼女は二十年前に起きた“相模湾大災厄”を鎮圧した部隊の部隊長であり、今尚刀使としての力は衰えず刀使の頂点に君臨する程の実力者である。

 その威厳に満ち溢れた若々しい姿に感嘆のため息を吐く者も少なくない。彼女が宣言した後、椅子に座ると観客は皆も礼を解き席に着いた。

 そして、決勝に残った者が中央で対立する。号令に従い、両者、写シを張っては各々の流派の構えをする。

 可奈美は無形の位という構え方で相手の様子を窺い、姫和は車の構えと呼ばれる大きく脇を見せる攻撃的な姿勢で合図を待つ。しかし、姫和の意識は可奈美に向いておらず、どちらかというと踊り場の方にいる折神紫の方に向いている。

 その事は対峙している可奈美以外は気付いていない。いや、気付いたとしてもそこまで気に留めていない者が多いとも言える。

「――始め!」

 号令と同時に姫和が消えた。観客のほとんどは彼女の姿を視認できない上に突然いなくなった事に困惑する。

 明も正直、目で追えていない。目の前から消えたと思った。しかし、直感で彼女の向かった先に顔を向ける。――その視線の先にあったのは御刀を両手に持った折神紫と攻撃を弾かれた十条姫和の姿だった。

 急いで駆け付けた親衛隊第一席――獅童(しどう)真希(まき)によって姫和は写シを剥がされ、事が終わるかと思われたが寸前で可奈美が獅童の一撃を防いで助けてしまった。そして、可奈美はそのまま姫和を連れて会場から逃げ出して行ったのだ。

 あまりにも突然すぎる出来事で会場全体が困惑と不安で混乱する。その一部始終を見てしまった明はいても立ってもいられず、可奈美達を追う為に走り出した。

「お姉ちゃん、どこ行くの!?」

 千晶は血相変えて飛び出していく姉に酷く驚いた。

「かなちゃん達を追いかけてくる! 千晶はここにいて!」

「いや、お姉ちゃん会場内にいてってアナウンスが――」

「後は頼んだよ!」

 妹の制止も振り切って明はそのまま会場の外へと出てしまった。千晶は明の親友である美炎に助けを求めようと思ったが、彼女もまた会場外へ行ってしまったらしくその場にはいなかった。

「……お姉ちゃんも美炎先輩も行っちゃったよ……」

 千晶はただただこの状況に困惑するばかり――。

 

 明は会場の警備に当たっていた刀使達に引き止められるが強引に迅移で突破し、全力で走り出す。同じ様に美炎と彼女の幼馴染である瀬戸内(せとうち)智恵(ちえ)も迅移で刀使達を抜いたが、明はその事を知らないまま走るペースを上げた。警備の刀使達も迅移を用いて明を追うが、思ったよりも距離が遠い為、追い付けない。その代わりに彼女よりもやや遅れて走っている美炎と智恵が追い付かれてしまったが……。

 親友がまさか追いかけているとは思っていない明の頭の中は怒りで一杯だ。十条姫和が折神紫にしようとしていた事を理解した上に彼女が許せなかった。さらに彼女に加勢した可奈美の真意も知りたい。その思いだけが明を突き動かしていた。

 そして全力で走っている明の前方に追いかけていた人物の姿が見えた。――可奈美と姫和だ。

「かなちゃん!!」

 明は出せる限りの大声で呼ぶ。可奈美はその声に反応し、隣で走っていた姫和に一声掛けて立ち止まった。

「はぁ……はぁ……かなちゃん……」

 明も立ち止まり、呼吸を整えながら可奈美の方をじっと見つめる。その瞳は怒りの炎が静かに燃えていた。

「ごめん、明ちゃん。だけど、この子にも事情がきっとあると思うんだ……だから」

「それぐらい分かるよ!」

 強い語気で遮る。可奈美が庇っている少女に何かしらの事情があるのは察せられる。よっぽど少女が狂っていなければ、理由も無くあの場で折神紫を殺そうとしなかっただろう。

「明ちゃん……」

「かなちゃん、その子に……十条さんに何かしらの事情はあるのは分かるよ。けどさ、私は許せないんだよ。刀使の力を人殺しに使うのなんて……!」

 その表情は普段の彼女から想像が出来ないぐらいに怒りで歪められていた。正義感の強い明には事情があるとしても姫和のした事はとても許せないのだ。

「……それでも私はこの子を、姫和ちゃんを捕まえさせたくない」

「そっか……なら」

 言葉で止められないと判断した明は抜刀し、写シを張っていつもの構えを取る。可奈美も千鳥を抜いて写シを張り、切っ先を明に向ける。

 ――遠方から反逆者を捜す者の声が聞こえてきた。あまり時間は残されていない。それは会話に入っていない姫和の顔にも表れていた。

 一陣の風が通り過ぎ互いが切っ先を合わせようとした瞬間、人や動物とはまた違う声が響く。荒魂が突如目の前に現れたのだ。だが、彼女達の実力なら一人でも対処できる数だ。

 明はすぐさま意識を切り替え、可奈美の隣を通り過ぎて荒魂の方へ一直線に動き御刀を振るう。瞬く間に荒魂は祓われ、ノロへと還っていった。

 目の前に現れた荒魂全てを斬り祓った後、明は周りを見渡す。可奈美も戦っていたのか、明が戦っていた場所から少し離れた場所にノロが地面に広がっていた。

 しかし、彼女達の姿はない。明は恐らく彼女達が逃げたと思われる方向に目を向け、清国の柄をただ強く握り締めていた。

 

 

「お前の方こそ、あれで良いのか?」

 姫和は小さな神社の境内に辿り着くと隠していた自分の荷物を取り出しながら可奈美に訊ねる。

「美炎ちゃんの事?」

 可奈美は周囲を見渡し誰もいない事を確認してから答える。

 明と出会った後に美炎達にも会い、一悶着を起こしていた。しかし、美炎の幼馴染のフォローもあり無事に和解出来た。

「いや、その前の奴だ」

「……明ちゃんの事か……」

 可奈美は珍しく落ち込んだ顔をする。剣を重なり合わせれば理解出来ると、話が出来ると思っていた。だが、切っ先は触れ合う事が無かった。

 自分の思いを伝える事が出来ず、彼女の真意を感じる事も出来ないまま別れてしまった。わだかまりは残したままだ。

「大丈夫だよ、明ちゃんにだって分かってくれると思う……」

 きっと思いが向く先は同じだからと可奈美は信じていた――。




 さて、物語も一つの分岐点に差し掛かってきたかと思います。少なくとも作者的にはそう思っています。
 どのルートへ向かうのかは予想出来る方もいるかもしれませんが、明や千晶がこの先どうするのか温かい目で見守っていただけたら幸いです。

 後、この話が更新されている頃には恐らく新しいオリキャラ募集の活動報告欄が上がっているはずです。
 そちらも興味がありましたら、ぜひ気軽に提案していただけたら嬉しい限りです。


 では、この辺りで筆を休めます。感想や活動報告の方もお待ちしています。
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