最近になってゆゆゆ全部見たんで衝動に任せて書いた結果がこれだよ。ちなみに主人公くんの名前は適当に決めた。
不毛地帯
神樹様に、拝。なんて言葉と共にクラス全員が、神樹様の方角を向いて両手を合わせ礼をする。恐らく、その行為に対して何かしら、面倒だと思っている人間は一人もいない。毎時間ごとに神樹様への信仰を示し、今、自分達を守ってくれていることに礼をする。これが当たり前であり、三百年近く前はまるで考えられなかった光景だった。
だが、そうして帰りの挨拶が終わればそこからは三百年前の、西暦の時代によく見られた光景をそのまま見ることができる。
男子が騒がしく、女子が姦しく。ワイワイと騒ぎながら教室の中で話すか、外へ飛び出していくかしていき、部活のある人間はそのまま部活へ。それが無い人間はそのまま帰る。そんな時間となる。
「東郷さん、部活行こ?」
「えぇ、行きましょう」
そんな時間の中。教室の中で一人だけ車椅子に座っている少女、東郷美森と、その親友、結城友奈が姦しい教室の中で目立ちきらない程度の声で会話をしてから、友奈は美森の車椅子を押すためにハンドルを握る。彼女らの友達が教室を出て行ったのを確認してから、教室の外へ出ようとして。
友奈はふと美森の視線が教室の中へ向いているのが分かった。友奈はその視線の先を少しだけ見て。あぁ。と小さくうなずいた。彼女がその方向を。いや、そこで帰る準備をしている彼を見つめるのは、この学校に入学して、彼女と彼が同じ教室になってからはお約束だったから。最も、彼の方はその視線に気が付くことはないのだが。
「また藤丸くん?」
「……ちょっと、ね」
冴えない顔をした、黒髪の少年。藤丸という苗字こそ友奈と美森は覚えているが、下の名前を聞かれるとちょっと戸惑う程度にはあまり親交の無い少年。それへ向けて美森は視線を向けていた。
どうしてか、と言われると、美森はわからないと。自分でやっている事なのにそれを理解できずに口にするだろう。だが、友奈はもしかしたら、と考えている推論がある。
「やっぱり、記憶をなくしちゃう前の知り合いなんじゃないの?」
ここ二年近くの記憶がない美森。そして、同じように二年近くの記憶がない藤丸。確か、藤丸の苗字はこの学校に入学する前に親の都合で変わったのを覚えている。
だが、この空白の二年間で美森と藤丸が深いのか浅いのか。どちらか分からないが親交を交わした結果、今の美森の態度に至るのではないかと。美森も藤丸も、記憶を失った原因は事故によるものと。そう言われているのもどこか二人が知り合いだったのではないかという疑問を加速させる。
だが、それに対して美森は首を横に振る。
「親に聞いても、男の子の友達なんていなかったって言うのよ? そんなことないわよ」
それが、彼女の持つ唯一の情報。
親がそう言ったから。ただそれだけ。
もっとも、彼女は親を信用しているし、嘘をついているとは思いもしていないためその情報を疑っていない。そして、それを聞かされた友奈も。だよねぇ、と、何度も聞いたその情報を噛みしめ笑い、車椅子を押して部室に顔を出すために歩を進め……
「あら?」
そんな美森の言葉を聞いて。
「なぁ、ちょっといいか?」
いつの間にか近づいてきていた藤丸に友奈がちょっとびっくりして。
ちょっと顔を赤くしながら、何かな? と言葉を返した友奈に対して藤丸は、少し逡巡した。どうしたものかと。どうしようかと。そんな感じで悩んで、迷って、やっぱり何でもないと言おうとして。ぐっと堪えて、もしかしたら、と小さく呟いてから。そっと口を開いた。
「……勇者部に、相談があるんだ」
友奈達の所属する部活。勇者部に対して、助けを求めた。
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「ゆ、友奈と東郷が男を連れてきたああああああ!!?」
「うひゃあ!!?」
そんな声が響いたのはつい五分ほど前だ。
藤丸の、尋常じゃない表情で言われたそれに、美森はともかく友奈が断れるわけがなく、彼女は即座にその言葉に対して頷いた。美森も、それに続いて、もしかしたら自分が視線を向ける理由がわかるかもという打算の元、頷いた。
そして勇者部の部室へと彼を連れてきて、部長である犬吠埼風と、その叫び声を聞いて思いっきりタロットカードをぶちまけてしまった犬吠埼樹を宥めて、そして今に至る。
部室の真ん中で、椅子に座った藤丸を怪訝な目で見る風。その背中に隠れながらそっとタロットカードで占いを行う樹。困ったような笑顔の友奈とパソコンを打っている美森。
「で、藤丸だっけ。勇者部に何の相談かしら?」
基本的に依頼は来るもの拒まずの勇者部。なので基本的にはあまり暇ではない、のだが。今日は先日、幼稚園にて行った人形劇の反省会等を行うため部室内での部活動だったのが幸いし、全員が教室に集結していた。
藤丸は多少の居心地の悪さを感じながらも、しかし自分の悩みを、もしかしたら他人にぶちまける事でいい方向へ持っていけるかもしれない、という思いの元、静かに口を開いた。
「依頼……というか、お願いなんです」
一応、目の前に立っているのは先輩。故に敬語を使う。
風はうむ。と何故か武将っぽい返事をして、軽くだが空気を紛らわそうとする。そしてくるしゅうないぞ、なんて言ったものだから後ろから樹のツッコミが飛んでくる。
しかし、藤丸の悩みはそう簡単には口にできないこと。もしもバレたら一生弄られる。いや、もう中学校を不登校のまま終わらせるまである程の大きな悩みだ。それをぶちまける事はあまり簡単なことではなく。挙動不審な藤丸に対して友奈と風は首を傾げ。
そしてタロットカードの占いの結果が出た樹は小さく声を出した。
それと同時に。藤丸は覚悟を決めた。
「俺の……俺のッ!!」
藤丸はそっと、自分の頭……というよりも髪の毛を掴む。
何を? と思った矢先。
藤丸の頭がズルっと剥けた。
真っ黒の髪の毛が藤丸が手を動かすと同時に動き、頭の上からその姿をスライド移動させる。
そして現れたのは、肌色の球体。
綺麗な不毛地帯と成り果てている彼の頭。
それを見た勇者部は目を点にして固まった。というか、動けなかった。
笑いたい。でも笑えない。というか見事なツルッパゲ過ぎてもう何とも言えない。言葉を選ぼうとしても頭の中には、いいツルッパゲですね、とかじゃあ今日から君はハゲ丸くんだとか。確実に藤丸から一発殴られても文句言えない言葉しか出てこない。
それを知ってか知らずか。藤丸は口を開いた。
「俺のハゲを、治してください!!」
「……びょ、病院行けやァ!!」
風の苦し紛れのツッコミが飛ぶ中。樹はそっとタロットカードに目を落とした。
つまるところ。彼のツルッパゲはよく当たると噂の樹のタロットカードでは治らないと太鼓判を押してきたのだった。
キャラの適当な解説。原作キャラは崩壊部分の解説。
藤丸くん……主人公。ハゲ。なんか過去にあった。某運命に出てくる主人公とは一切関係ない。ハゲ芸人
ゆーゆ……天使。だけど無慈悲な無邪気でぶん殴ってくる
みもりん……ゆーゆ好きのやべーやつ。国防芸人
フーミン……唯一の良心かつツッコミ。胃痛役
いっつん……天使その2。だけど毒舌で無邪気で無慈悲
個人的にはゆーゆといっつんと園っちが好きです。バンク最高なんじゃあ……
他のキャラは出てきたら適当に紹介します。