ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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もうサブタイのネタ尽きてんだけど

あと、最近うどんめっちゃ食ってます。一日一食はうどんにしてます。きつねうどんが大好きです。


ウザいハゲ

 結局、夏凜は友奈、美森、ハゲ丸と同じ教室へ配属された。恐らく、これも大赦からの圧力があっての事なのだろう。もしくは、完全なる偶然か。前者の方がまだ考えられるのだが、それを一瞬でも考えたのはハゲ丸くらいであり、友奈は無邪気に夏凜が同じクラスになったことを喜んでおり、美森はそんな友奈を隠し撮りしている。それに戸惑う夏凜も相まって中々にカオスな光景が生まれていた。

 そして時間は過ぎて放課後。友奈達は夏凜と共に勇者部部室まで来た。既に待っていた樹と、全身ボロボロで包帯が巻かれた箇所がある風はそれを出迎えた。風は「おっ、来た来た」なんて言っているが、夏凜の心中はあまり穏やかではない。

 

「……よくもまぁ、こんな大怪我負わせておいて平気で顔出せるわね」

 

 何故なら夏凜とハゲ丸も風同様にボロボロだからだ。しかも夏凜に至っては完全に巻き込まれただけ。上から落ちてきた風とハゲに押しつぶされた結果なのだ。そのせいで夏凜の自己紹介は転入初日で大怪我している奴の自己紹介という何とも個性的な自己紹介となってしまったのだ。

 しかも、昨日の光景を見ていた部活動を行っていた生徒は、あっ、昨日勇者部のゴタゴタに巻き込まれた人だ、だったり勇者部の新しい部員だ、なんて勝手に言うものだから、もう夏凜は勇者部の一員として周りからは見られてしまっている。運動神経抜群、勉強もできて容姿端麗。文武両道を地で行くような彼女が運動部からの勧誘を一切受けなかったという裏話の理由はそれである。

 しかし、夏凜にとってその程度は些細なもの。一番イラついているのは昨日巻き込まれたことによるこの怪我だ。

 

「まぁまぁ、大赦から派遣された勇者様がこの程度で目くじら立てないの」

「いや、立てるわよ。普通なら死んでるから」

 

 自分の真上から総重量が百キロ近い男女が何の抵抗もできずに落ちてきたのだ。むしろこの程度で済んだのならまだ軽い方だろう。ただ、風は帰ってからも樹から色々とお仕置きをくらったようでやつれているようにも見える。

 

「犬先輩、なんかやつれてますよ」

 

 それに気が付いたハゲ丸が指摘する。そして最早風の呼び方が犬吠埼先輩から風先輩に変わったのに犬先輩で固定されてしまっている。風は言い返そうと思ったが、今回の件は完全に風のせいであるため、言いたい言葉をぐっと堪えた。結局樹の手によって削除されてしまった動画は、もう戻ってこないのだ。ハゲ丸のファインプレーを無駄にしたのは彼女なのだ。だから、何を言われてもぐっと堪えるしかなかった。

 

「帰ってから樹のフルコースをお見舞いされてね……」

「え? 樹ちゃん後輩の?」

 

 それならまだご褒美なんじゃ、と思ったが、こそっと友奈がハゲ丸に耳打ちした。

 

「樹ちゃん、お料理下手なんだよ……」

「どれくらい?」

「この前は一緒にレシピ見ながらうどんを作って、うどんが何でか紫になったよ……」

「樹ちゃん後輩錬金術師疑惑」

 

 平行世界で今も振舞われているであろうスペシャルうどんの事を忘れてはならない。しかし、まだ当の本人がメシマズに気付いているだけマシだろう。本物のメシマズはそれにすら気づかない。

 タロットカードを広げている樹をそっと盗み見ながら、ハゲ丸はいつの間にか黒板の前に立っている夏凜に目を寄越す。

 

「まったく、転入生のふりなんて面倒ったらあらしないわ……」

 

 そうボソッと呟いている夏凜の事を友奈は見逃さなかった。

 

「ふり?」

「……まぁいいわ」

 

 ふりじゃないだろ、とハゲ丸は言いたくなったが、一応ここはぐっと我慢する。

 

「何にせよ、このあたしが来たからにはもう安心よ。完全勝利待ったなしね」

 

 ふふん、と鼻を高く告げる夏凜だったが、そこに向けられるのは美森の怪訝な目。このままじゃまた呪詛の一つでも吐きそうだと思いながらハゲ丸が適当に夏凜へと質問を飛ばす。

 

「で、何でこのタイミングなんだ? 最初から参加してくれりゃよかったのに」

 

 特に、一か月前の戦いがそうだ。

 あの時は美森が土壇場の覚醒をしてくれたからいいものの、それがなかったら友奈はあのままバーテックスの玩具にされていただろうし、風も樹もあそこから動けず、その内じり貧で負けていただろう。美森が参加したからこそそれは逆転できたが、最初から夏凜が居たのならもう少し戦闘がスムーズにできたのは事実だ。

 それに対して夏凜は少しバツの悪そうな顔で答えを口にした。

 

「あたしも、最初から出たかったわよ。でも、大赦から万全を期してから出ろってね」

「万全?」

「そう、万全。最強の勇者を完成させるという万全よ」

 

 最強の勇者。それが夏凜なのだろう。

 確かに、あの戦闘力には目を見張るものがあった。バーテックスに対する完全なる奇襲からの一切の無駄ない封印の儀、御霊の破壊。勇者部の誰よりもバーテックス戦を想定した戦いを訓練し、誰よりも勇者であれと言われ続けてきて、その期待に応えた。それが三好夏凜という事だろう。

 

「あなたたち先遣隊の戦闘データを使って完璧に調整された勇者よ。それが最強でなくてなんなのかしら?」

「……俺たちが試作機なら、量産機?」

「量産型勇者!!」

「そうそう。安全性を高めて誰であろうと使いこなせるようにチューンアップされた……ってバカか!!」

 

 どうやらそういう事ではないらしい。

 ハゲ丸と友奈がえーっ。と声を合わせ、夏凜の怒りを買いそうになるが、夏凜はぐっと堪えた。流石完成形勇者だ。どこぞのレズとは違って堪忍袋の緒は早々に切れない。

 

「ふん。まぁ、大船に乗ったつもりでいなさい」

「え? 泥船?」

「大船よ!!」

「戦艦長門みたいな?」

「それは軍艦!!」

「あぁ、寿司屋で出てくる」

「それも軍艦じゃボケ!!」

「ポン! カン!」

「加槓って言いたいのかアンタは!!」

「今の夏凜のこと?」

「あんたらに遺憾の意を……って何言わせとんじゃ!!」

 

 おー、と勇者部の拍手を受けて息が切れている夏凜は本気で遺憾の意を示したくなってくる。

 どうして完成形勇者の自分がこんな芸人みたいなやつらと一緒に居なきゃならないのかと。そう思うとムシャクシャしてくると同時になんだか呆れてくる。

 もういいや、なんて思いながら夏凜は部室から出ようとする。

 

「帰る」

「え? まだ部活は始まったばかりだよ?」

「は? なんでそれにあたしが居なきゃダメなのよ」

「だって夏凜ちゃん、勇者部に入部するんでしょ?」

「誰もそんなこと言ってないでしょ」

「え? 違うの?」

 

 友奈の言葉に本気で頭を抱えたくなった夏凜。

 夏凜にとって、勇者部というのは風が作ったトーシロ勇者の集まりで、そこに夏凜が入る義理と義務は一切ない。だというのに、友奈は勇者だから勇者部に入部する、と思っている。

 どうやら根底から意識の差があるようだとようやく気が付き、夏凜は少し苛立ちを感じながらも振り返りながら、自分は勇者部には入らない。ここに来るのは監視のためだと言おうとして。

 

『ショギョームジョー……』

 

 自分の精霊である義輝が友奈の精霊の牛鬼に食われているのを目撃した。

 

「ギャーーーーーーッ!?」

 

 叫びながら義輝を救出する夏凜。友奈はダメだよ? と優しく注意するだけで牛鬼を自分の頭の上に乗せた。

 

「何すんのよこのすっとこどっこい!!」

『ゲドウめ……』

「すっとこどっこいって今日日聞かないわね」

 

 その後にも色々と夏凜が叫びまくるようなことが続き、結局夏凜は疲れた表情で勇者部の部活には参加せず帰っていったのであった。

 しかしその時、夏凜はサラッと風によって入部届を書かされており、それに気が付くのは翌日となる。

 

 

****

 

 翌日。夏凜は結局もう一度勇者部部室へと訪れ勇者として友奈達に不足している知識を教えていった。

 まず、バーテックスについて。

 本来は周期的に訪れるものだったらしいが、それが乱れに乱れている。それは異常な事であること。また、その異常故に一か月前のような二体以上の襲撃は容易に考えられるという事。

 そして、それに対抗するため。というよりも元よりあったシステムなのだが、勇者のパワーアップ手段として『満開』というシステムがあるということ。これは使えば使うほど勇者としての力が増していくシステムである、夏凜もまだ未経験であるということ。

 

「こんなことも知らないなんて……」

 

 それに一々初めて聞いたようなリアクションをする勇者部面々に夏凜はもう昨日今日で何度目か分からないため息を吐いた。

 

「そう気にしたらハゲるわよ?」

「ハゲないわよ!!」

「また髪の話してる……」

「黙ってなさいハゲ!!」

『このハゲめ……』

「義輝、貴様だけは許さない。I kill you」

「人の精霊を苛めんなハゲェ!!」

「アッー!!?」

 

 もう疲れた、とため息を吐く夏凜。いきなり義輝に掴みかかったハゲを処した夏凜だったが、ため息を吐いてすぐに自分の肩に誰かの手が乗った。

 それに気が付き振り向けば。

 

「ため息ばかり吐いてたら幸せが逃げるぜ?」

 

 ハゲがいた。

 

「死ねっ」

「ごふっ!?」

 

 なので腹にミドルキックをぶち込んでご退場願った。

 なんなのこの部活……と思わず天を仰ぐ夏凜。天井はよくある学校の天井だった。気が晴れるわけがない。

 額を抑えやれやれと首を振り、そして、こんな馬鹿どもしかいないなら、あたしが頑張らないと。と、気合を入れなおして顔を上げて。

 

「へいへい、そんなしかめっ面してたら気分最悪になるぜ」

「そうよそうよ、ここは元気の一つや二つ出さないと」

 

 ハゲとレズがタンバリンを叩きながら全く同じタイミングで体を左右に揺らしていた。しかもものっ凄いウザい表情を浮かべて、更にものっ凄いウザい感じのリズムで、ものっ凄いキレッキレな無駄のない無駄なタンバリン裁きを見せていた。WorkingのOP的な事をしていた。

 額に青筋が浮かぶ夏凜。もういっそ殺してやろうかとスマホを取り出して、風にそれだけはダメだと手を抑えられる。そして、そんな夏凜の肩に、友奈と樹が手を置き、一言。

 

『諦めよう?』

 

 笑顔でそう言った。

 半分心が折れかけていた夏凜は、思わず頷いて二人に抱き着いた。直後、風から飛び蹴りを食らった。

 

「何すんのよ!!」

「人の妹に手ェ出してんじゃないわよ!!」

「何よこのシスコンっ!!」

「うっさい豆腐メンタル!!」

 

 そして始まる風と夏凜のキャットファイト。BGMはハゲ&レズでタンバリン演奏。実況は友奈&樹でお送りしております。

 そうして最早収集が付かなくなり、結局この日は下校時刻の数分前まで誰かがボケ倒し、誰かがツッコミし、誰かがキレるという勇者部ならではのテンションで時間が過ぎていったのだった。




話が全然進まねぇ!! って思ったけど、そりゃこんだけ好き勝手やったら進まねぇわなと。それと、この作品は基本的に頭の中で思い浮かんだ物を書き写すという後先を全く考えないやり方で書いております。

それと、この話書きながらゆゆゆいでガチャしたら、水着東郷さんが被りました。花嫁銀ちゃんとか欲しかったのにダブってくれたお礼にこれからもっとキャラ崩壊させてやろうと思います。

あと、関係ない話ですけど。どうして長野県民、沖縄県民、北海道民はうどん玉からラーメンやらそばやらを錬成できるのでしょうか。気になって仕方ありません。あと樹ちゃんのスペシャルうどんは食ってみたい感がある。


P.S
銀ちゃんのSSR(魂の輝き)の制服着てる絵、めっちゃ可愛くて驚きました。わすゆだとイケメンに見えたのに、ゆゆゆいだとこうも可愛いとは……なんだか鼻が熱くなると同時に制服姿に目頭が熱くなりました。おう二つの器官を同時に攻撃するのを止めいいぞもっとやれ。

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