ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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テスト期間中だけど更新。息抜きしないとやっていられないんじゃい!!


勇者部内天下一武道会近接戦闘組の部

 切欠は樹のとある一言だった。

 

「そういえば勇者部の中で生身最強って誰なんですか?」

 

 生身最強。それは即ち勇者装束を纏った際の精霊を使った技の強化による多少のチートを完全に撤廃した技術と力のみで一番強いのが誰か、という事だ。

 その言葉にふと美森は愛情やら友奈ガチ勢やらの思考は一旦控えて誰が最強なのかと考え始めた。

まず先代勇者組である自分達。美森はまず唯一の遠距離攻撃の使い手なので遠距離という括りにおいては最強……というかオンリーワンだ。だが近接は園子や銀の武器を借りたら戦えない事もないが二人には劣るので近接は論外。

 次に論外なのはハゲ。彼は防御だけならこの中で随一だが、攻撃面は自分と同じ。つまりはそういう事。

 と、なると残りは樹を除いた近距離、中距離組。

 まず筆頭となるのは友奈、夏凜、銀の三人だ。夏凜と銀は大赦の元で突撃隊長をやるために訓練を受けていたので実力は大人ですら追いつけるかどうか。そして友奈もそんな夏凜がセンスの化け物とか本気なら勝てるか怪しいとか言っているので確実に彼女もトップクラス。

 そして残り、園子と風。彼女達は一撃の威力こそ重いが、素早さに関しては劣る。それに二人とも中衛兼遊撃が役割なので近距離特化の赤トリオに比べれば劣る。

 樹? 彼女がタイマンでこの中の五人に勝てる理由がどこにあるのか。

 そんな風に分析を一瞬で終わらせたところで。

 

『そんなもんアタシ(あたし)に決まって……うん?』

 

 赤赤黄が我先にと立ち上がりながら宣言した。

 特に興味の無い友奈や園子はぽやぽやしているが、どうやら完成型勇者としての誇りがある夏凜、先代勇者組随一の近距離戦のセンスを見せつけた銀、妹の前でカッコつけたい風はプライドが許さないらしく、立ち上がってすぐに目線で火花を散らした。

 

「みんな……武術を、やってる……の?」

「あー……まぁ色々あってな。一応樹ちゃん後輩以外は並みの大人だったらボコれる程度には」

「いろいろ……?」

 

 そして友奈と園子に囲まれてお茶をしばいていた千景が首を傾げているが、その程度でこの火花を止められる訳もなく。

 

『こうなったら勇者部全員で天下一武闘会だ!!』

 

 頭に血が上った馬鹿共の言葉により今日の活動は勇者部全員で適当な公園へと向かい、参加者(一部強制)のみがジャージに着替えて天下一武道会と相成った。

 まず参加者はいつもの赤トリオに加えて風。つまりは四人のみ。美森、樹、園子、ハゲ丸は不参加、千景は論外。参加させようものならハゲ丸と園子がタッグを組んで完全防御特化に守られた園子渾身のチャージが腹に刺さるまで飛んできた事だろう。

 友奈はただ面白そうだからという理由で参加。他三人は互いに火花を散らしている。

 友奈は手を痛めないようにパンチンググローブ……ではなく剣道部からもう使わなくなった籠手を使いやすいように指と手のひらの部分を切り取り手の甲と腕だけを覆う様に改造した物をテーピングの上から装備。そして脛も傷めないようにレガースも装備している。

 そして銀と夏凜は短い木刀を二刀流。ただ銀の方は重い物なのに対して夏凜は軽めの木刀。そして風は普通の木刀だ。

 

「それじゃあ、みんな、怪我はしないようにね?」

「参ったって言うか~、こっちがもう駄目って判断したらリタイアね~?」

「お菓子……美味しい」

 

 呆れた顔の美森と特に何を考えているのかが分からない園子の笑顔、そして特に興味はないのかソシャゲの周回をお菓子を食べながら行う千景。

 そして、やっちまったと言わんばかりの表情を浮かべる樹ととりあえず執事ムーブに徹するハゲ丸。

 

「それでは……試合、開始!」

 

 バトルは乱闘スタイル。なので最後の一人となるまで誰と組もうが問題は無し。

 そのため一旦夏凜、銀、風は互いに互いの動きを見ようとして……

 

「風先輩、隙あり!!」

「げっ!?」

 

 忍者かとツッコミを入れたくなるほどに姿勢を低くしながら両拳を構えて突っ込んできた友奈に反応ができなかった。

 だが、風とて神世紀勇者の中でリーダーを務めた少女。バックステップで距離を取りながら下から上へと木刀を振って友奈の顎を穿たんとする。しかし友奈はそれを片手で握って防ぎ、剣のレンジ外かつ拳のレンジであるほぼ零距離にまでその体を滑り込ませた。

 

「獅子戦孔ッ!」

 

 そして友奈が剣を手放し、ほぼ零距離状態での震脚を行い、直後に両手を使った虎爪掌を風の腹に叩き込んだ。友奈の細腕からは想像できない程の威力を孕んだソレは風の体を浮かし、数メートル吹き飛ばして一瞬にして風の意識を刈り取る。

 

「……えっ? 獅子戦孔……?」

 

 千景が思わず呟いたが、もちろん闘気が獅子の形をして出ていたりはしないので獅子戦孔とは名ばかりの掌打である。

 しかし風の意識を一撃で刈り取る程の友奈の一撃。恐らく銀と夏凜ですら防御をしなければ一撃で戦闘不能寸前まで持っていかれるだろう。というかいつの間にか八極の技まで習得しているセンスの化け物に近距離戦闘組全員が驚愕している。

 

「だから友奈は敵に回したくないのよ……!!」

「っつか人一人をあそこまで吹っ飛ばすとか化け物かよ!?」

 

 コミュ力モンスターの技を見て思わず戦慄する赤コンビ。というか柔道柔術空手八極拳の技を使いこなす人間なんてまず存在しないのでどう対処したらいいのは本気で分からない。友奈的には齧った程度の技しか使えないのだが、センスでどうにかしている辺りスペックがバグっている。

 思わず赤コンビが友奈に対して揃って武器を向けるが、友奈は気にしない。むしろニコニコしながら拳を構えている。どうやら彼女、今日は相当殺る気が高いらしい。組手ではなく天下一武道会というのが少しばかりテンションを上げているのか。

 

「じゃあいっくよー!」

「構えなさい、銀! 気を抜いたら一瞬で殺られるわよ!!」

「お前が友奈だけは認める理由が分かった気がするよ!!」

 

 気が抜ける声を出しながら拳を構える友奈と割と本気で戦う準備をする赤コンビ。そして友奈が二人へ向けて駆けだした直後、夏凜と銀が同時に左右へと散開。互いに友奈を挟み込むように動き、友奈と自分達が直線状に並ぶように誘導した後、そのまま二人同時に友奈を挟み込むように友奈へと迫った。

 遠慮は無し。痛いだろうが構わずに一撃で友奈の意識を刈り取る。そんな二人の剣は正に当たれば怪我は免れない本気の一撃。

 だが友奈はセンスと齧った技だけでそれを凌駕する。

 二人が同時に振るった剣。それを籠手の部分で防ぎ、そのまま受け流す。それにより二人は急ブレーキをかける事ができず友奈の方へと自ら移動していく。

 剣のレンジ外かつ、拳のレンジ内へと。

 

「崩撃ッ!」

 

 受け流しながら空いたスペースに足を踏み込んだ友奈が打開を繰り出し、左右に居た夏凜と銀の腹に掌打を叩き込み吹き飛ばす。

 だが、吹き飛んだのは夏凜だけ。銀は何とか踏ん張り手痛い仕返しを叩き込もうとした。が、その前に友奈が銀の裏へと回り込んでいた。

 

「雲身ッ!」

 

 鉄山靠。八極拳の中でもかなり知名度の高いソレを銀に叩き込み、銀の姿勢を崩す。そして最後は。

 

「双虎しょー!!」

 

 両手を同時に銀へと叩き込んでそのまま吹き飛ばして意識を刈り取り終了。

 崩撃雲身双虎掌。友奈がどこぞのゲームで一度目にした技なのだが、勿論西暦生まれの千景はその元ネタを知っている。まさかリアルでそれを使う人間を目にするとは思わなかったためか千景は飲んでいた水を思いっきり吹き出していた。

 顔面スライディングをしながら気絶した銀を捨て置き、夏凜は改めて双剣を構える。

 これだからセンスの化け物は。明らかに天の神戦よりも成長を果たしている。

 

「ふぅ。これで一対一だね、夏凜ちゃん!」

「い、一対一でも負けないわよ!!」

「わたしも負けないから! じゃあいくよ!!」

 

 あかんこれ。明らかにあっち側に流れが傾いている。

 そんな確信と共に夏凜が迫ってきていた友奈へと剣を振るう。しかし友奈は勿論それを防いで肉薄してくる。

 ならば、と友奈の拳を今度は夏凜がもう片方の木刀の腹で防ぎ、受け流しながら友奈の後ろへと回り込んでもう一度剣を友奈の後頭部へと振るう。だがそれを予知していた友奈が受け流された反動をそのまま使って倒れ込み、逆立ちをしてから前方へと転がり込む。

 その際に打ち上げた両足で思いっきり夏凜の顎を狙ったのだが、夏凜もそれを何とか躱していた。

 転がり込んだ友奈が反転と同時に起き上がり回転しながら裏拳を夏凜へと仕掛ける。それを夏凜が木刀で防ぎ、代わりにもう片手の木刀を友奈の腹へ向かって突き出す。が、しかしそれすら予知していたらしい友奈が夏凜へと叩き込んだ拳を支点に回転。勢いをそのまま飛び上がり、夏凜の後頭部へと回し蹴りを叩き込む。

 ダメージを貰った夏凜だったが、先ほどの友奈と同じように自ら前へ倒れ込んでいた事により無傷とは言わないが立てない程のダメージは貰わなかった。

 

「凄いね、夏凜ちゃん! お父さんだったらもう沈んでるのに!」

「いや、戦闘訓練を積んだ人間相手にここまで一方的にやれる事の恐ろしさをアンタは自覚しなさいよ!?」

 

 無邪気な天使と必死な形相の二刀流剣士。

 対してギャラリーはぽかんと口を開いたまま。

 

「ねぇ、ズラっち。あそこだけバトル漫画になってない~?」

「ちょっと違う世界に迷い込んだみたいですねぇ……」

「っていうか友奈さんってあんなに強かったんですね……」

「……格ゲー?」

「流石友奈ちゃんだわ」

 

 あーもう滅茶苦茶だよ。そう言いたげな勇者部五人。だがそんな会話は今の元祖赤コンビ二人には聞こえていない。

 夏凜が改めて剣を構え、友奈も拳を構える。

 そして夏凜の突貫。それと同時に友奈も同時に突貫し、夏凜が神速の剣を振るう。だが、夏凜の剣はそれをわかっていたと言わんばかりにその前に飛び上がっていた友奈避けられ、代わりに友奈の空中回し蹴りが炸裂する。

 が、夏凜もそれを腕で何とか防ぎ、振り切った剣を打ち上げて空中で身動きの取れない友奈へと攻撃。しかし友奈はそれを空中でキャッチ。

 

「圓明流、旋ッ!」

 

 更になんと空中の回転の勢いをそのまま使った二段目の空中回し蹴りを夏凜へと叩き込んだ。

 流石の夏凜も二発目を受けきる力は無く防御の上から弾き飛ばされる。

 そんな夏凜を友奈は追撃。苦し紛れの夏凜の攻撃をパリィで弾いた友奈の顎を撃ち抜く拳をマトモに受けて夏凜の意識が一瞬飛ぶ。だが、意地だけで意識を繋ぎとめた夏凜。お返しに友奈の側頭部に木刀を叩き込んだが、友奈はそれに歯を食いしばって耐え、足を振り上げて今度は下から夏凜の顎を撃ち抜いた。

 流石の夏凜も意識を半分以上飛ばし、後は倒れるだけに思えたが、念には念をと思ったのか直後に友奈が振り上げた足をまた顎に貰い、一撃目で足が浮いていた事もあってか夏凜の体は空中で回転しながら吹き飛んでいき、そのままKO。

 

「やったー!」

 

 結果は武器を持っていた夏凜、銀、風ではなく無手の友奈の一人勝ち。一撃を側頭部に貰ったが実は夏凜の最後の一撃はあまり腰が入っていなかったのでほぼほぼダメージは無かった。

 つまり友奈はほぼ無傷。対して他三人は満身創痍。特に夏凜はよく頑張ったが、流石に友奈の拳と蹴りをそう何発も耐えられるほど耐久度は高くなかったらしい。

 

「……と、とりあえず優勝者の友奈にはこのケーキを進呈しよう」

「わーい!」

 

 無邪気に笑う友奈だが、この日、改めて勇者部内での友奈に対する本人は知らない掟が一つ決まった。

 友奈に物理的な喧嘩を仕掛けてはならない、という掟が。

 流石に神をワンパンでぶっ飛ばした少女の拳は一味違った、という訳なのであった。




という訳でお送りしました天下一武道会。友奈に勝てる赤赤黄がイメージできなかったので友奈さんの一方的な暴力により三人ともダウンしてもらいました。
友奈さんの使った技の元ネタはテイルズより獅子戦孔、バーチャファイターより崩撃雲身双虎掌、修羅の門より陸奥圓明流、旋でした。あと最後の蹴りは鉄拳のシャオにこんな技あったよなぁとか思いながら。

そんなワケで樹の一言により起こった天下一武道会は友奈さんの優勝で幕を閉じました。多分誰が参加してても友奈さんが優勝してた。

それと、現在活動報告にて本作にて書いてほしいネタを募集しています。採用するかはランダムだったり自分のその時の心情から変わってはいきますが、頭勇者部な勇者部達のこんな一幕が見てみたい、という方が居ましたらどうぞ活動報告にて適当に書きなぐってください。

さて、この調子で汚染を後で後でにしていたらのわゆ編はいつになるのか……
もうこのままのわゆ編やらずにロリぐんちゃんを交えた勇者部は仲良くワイワイやりました、でいいのでは……? いえ、冗談ですけど。あんたま助けたいので。

IFだけを纏めてアンケートします。書いてほしいIFがありましたらアンケートに回答をお願いします

  • 銀IFその2
  • 須美IFその2
  • 美森IFその3
  • 園子IFその3
  • 友奈IFその2
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