ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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毎週の楽しみだったSSSS.GRIDMANが終わってから毎週の楽しみが一つ消えた私でしたが、今では立派にわたてんを見て引き続きロリコンやってます。毎週の癒やし。

今回はぐんちゃんの誕生日話とにぼっしーの汚染です。


ハッピーバースデー?

 二月三日。つまり節分だが、この日は千景の誕生日だ。

 記念日……というよりかはイベントの日と誕生日が重なっていると結構憶えやすい物だ。故に、千景の誕生日は一度聞くと何となくでも記憶に残る物だ。

 

「という事でハッピーバースデーぐんちゃん!」

『ハッピーバースデー!』

 

 勇者部室……ではなく園子の部屋。この日は学校があったため放課後に千景の誕生日を祝う事になったのだが、祝われている中心にいる、今日の主役と書かれたタスキを身に付けさせられた千景は結構微妙な顔をしていた。

 と、言うのも。

 

「……私の誕生日、今日じゃない……」

 

 実は今日は千景の誕生日、二月の三日ではない。そこから一週間か二週間か過ぎた後だ。ちなみに千景の誕生日の次の日が誕生日のしずくは既に誕生日を防人組に祝ってもらっている。

 本当に今日は千景の誕生日ではない。故に祝われて嬉しいのだが日付が違うので何とも言えないという表情をしていた。

 これについての園子様のお言葉がこちら。

 

「だって知らなかったんだもん」

 

 千景の誕生日を知ったのはこの日から二日前のことだ。

 そういえばちーちゃんの誕生日って? と偶々聞いた園子が千景の誕生日を知り、思わず大きな声をあげてしまった。

 その後、すぐさま千景の誕生日を祝うため勇者部は全力で動き、結果、その日から二日後の今日、千景の誕生日を祝う事となった。夏凜の時と同じように入部届を書いていなかったがために起きてしまった事故もどきなのだが、まぁ仕方のない事だろう。

 一日かけてじっくりと準備をした勇者部によって千景は瞬く間にパーティーの主役にされ、彼女の目の前のテーブルには豪華な料理が並んでいた。

 美森、風、銀、ハゲ丸、園子の五人が全力で料理を作り、その間他のメンバーが園子の部屋の飾りつけなどを行う。その結果、たったの二日で何とか誕生日を祝う準備はできたのだ。

 

「でも……また、誕生日を祝われる、なんて……思ってなかった」

 

 千景が誕生日を祝われた事は今までの人生の中で数回。まだ彼女の父と母が父と母としての義理を果たしてくれていた間は祝われていた。だが、家庭崩壊を起こしてから、千景は友達もできず、それから一度も誕生日を祝われることは無かった。

 故に、千景にとっては本当に久しぶりに誕生日を祝われる事となったのだ。

 

「ふっふーん。ここに居る間は嫌でも祝ってあげるからね~」

 

 と、言いながら園子が千景の後ろから抱き着き、千景も満更ではない表情でそれを受け入れている。髪色も雰囲気も違うが、こんな二人を見ていると本当に姉妹を見ているようだった。

 定番のうどんやら骨付き鳥に加えて様々な料理が並ぶ中、ようやく誕生日会はスタートする。

 

「そんじゃまぁ、みんな手元のジュースを持って乾杯!」

『かんぱーい!』

 

 風の音頭によって全員で乾杯。後はみんなでワイワイとはしゃぎながら料理を食べたり駄弁ったりゲームをしたり。負けず嫌いな夏凜と小学生に負けたのが悔しい銀が千景に煽り付きでぼっこぼこにされたり、そんな千景を園子が抱っこして癒されたり。

 そんな事がある中、ハゲ丸はとりあえず料理の追加をしようとキッチンに立った。

 作るのは牛肉のワイン漬け。料理をし始めた時から既に漬けておいた肉を焼くだけなので特に時間はかからないが、ふとそこでハゲ丸はキッチンに置いておいたはずのワインが無いのに気が付いた。

 

「……あれ? おーい、銀。置いてあったワイン知らね?」

「ワイン!? 知らねぇよ!!」

「クソレズー」

「知らないわよ、ハゲ」

「風先輩?」

「え? 分かんないわよ? 持ってきたのあんただし」

「園子?」

「知らないよ~」

 

 おっとこれは? とハゲ丸の額に嫌な汗が浮かぶ。

 ネットでぽちっと買った料理用のワインだが、勿論飲む事だってできる。そして飲んだら酔う。まさか誰かが間違って飲むなんてテンプレ的な事も無いだろうと思って放っておいたのだが、その放っておいたものが見つからない。

 別に誰かが飲んでも見られなきゃいい。見られても園子様の手で何とでもなる。だが、飲まないのが一番だ。

 

「おねーちゃーん、これあげるー」

「とうごーさーん、これのんでー」

「え? あぁ、ありがと、樹」

「ありがたく頂くわ、友奈ちゃん……あら、これ変わった味ね。…………え?」

 

 アカン、とハゲ丸は呟いた。

 今一瞬聞こえた樹と友奈の声は明らかにいつもの物じゃない。なんというか、ちょっとろれつが回り切っていないというか舌ったらずというか。

 しかも樹の声に至っては一度だけ聞いたことがある。

 初詣の日、犬吠埼姉妹が甘酒で酔っ払う事件があったあの日に。

 ハゲ丸は俺しーらね、と呟いてワイン漬けを焼き始めた。直後。

 

「ちかげぇぇぇ!! ほんとおたんじょうびおめでとぉぉぉぉぉぉ!!」

「え? 風さん……泣いて……? え?」

「おいわいよ! これのみなさい!!」

「は、はぁ……ありがとう、ございます……?」

「とーごーさーん、いっきいっき~」

「え? でもこれって……ええいままよ!!」

「ちょっと待とうか!? 流石にそこまでは容認できな……あーあ」

 

 大惨事の引き金が引かれた。

 風が樹と友奈が一緒に飲んでいた液体の入っているボトルから注いだ液体を千景に泣きながら差し出し、友奈は美森の口にそのボトルを直接近づけそのまま飲ませた。ああなったら美森も断ることなんてできない。

 まぁつまるところ、どうやらぶどうジュースか何かと間違った友奈と樹がワインを飲んでしまったようだ。今美森が一気に飲み干しているボトルはハゲ丸が持ってきた料理用ワインだ。

 どうやら中はかなり減っていたらしく、すぐに美森は口からボトルを離した。

 

「……クソレズ、水いるか?」

「あ、ありがと……流石に酔うよりも前にお腹が熱いというか何というか……」

 

 まぁ流されてしまった美森の自業自得なのだが、大天使友奈にあんなことをされたら美森に断れる訳もない。一応心配して水を渡したが、その時には既に美森はちょっと気分が悪そうだった。

 流石に人生初の飲酒でワインをかなり飲んだのだ。すきっ腹にワインという最悪の状態ではなかっただけまだマシだが、それでもすぐに酔いは回ってくる事だろう。

 調子悪そうな美森の横でハゲ丸は惨事をチラッと目の当たりにした。

 

「園ねぇ……あたたかくてきもちいい……」

「ち、ちーちゃんがこんなに甘え……う゛っ!?」

「かりんちゃーん! だっこさせてー!」

「え、友奈!? ちょ、別にいいけどせめて人目のない所で……」

「ぎんパイセンのうでおもしろーい!!」

「うおい急にアタシの義手取んじゃねぇよ!?」

「ぎんんんんんん!! あたしのうたをきけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「聞きたかねぇんだけど!!?」

 

 千景が酔った状態で園子に抱き着き甘えまくり、結果園子が死亡し、友奈に対してはチョロい夏凜が友奈に連れられ客室の方へ。きっと一対一で可愛がられるのだろう。

 そして銀は酔った犬吠埼姉妹に絡まれててんやわんやだ。あそこにだけは混ざりたくない。

 あーもう滅茶苦茶だよ、とハゲ丸が呟いてすぐに。

 

「友奈ちゃん!! 私も抱っこしていいのよ!! 私の方がきっと抱き心地いいから!!」

 

 と叫びながらハゲの横に居た青色が走って客室に突入していった。

 ハゲ丸がワインの管理をしっかりしなかったせいで死者一名、酔った人間にいいようにされているのが一名、酔ったせいで本性を一切隠す事無く突撃したレズが一名、酔っ払いに絡まれててんやわんやが一名。

 なんともまぁ酷い結果だ。死者に関してはその内自動蘇生機能で復活するが。

 ハゲ丸は一人ワイン漬けを完成させると、銀を救出し犬吠埼姉妹同士で勝手に絡ませるようにいい感じに酔った二人をぶつけた後、銀と一緒にワイン漬けを食べていた。

 

「……なぁ、ズラ。なんか客室の方から須美と夏凜のキャットファイトの音が聞こえてくんだけど」

「気のせいだろ。今日はちーちゃんの誕生日会で、俺とお前と園子しか参加しなかった。イイネ?」

「アッハイ。とりあえず、犬吠埼姉妹に関しては甘酒を時々飲ませて慣れさせないとその内大惨事起こしそうだな……」

「そうさな……二十歳になってからやらかさないといいけど……」

「あと死んだ園子はどうする?」

「ほっとけ。どうせその内復活す――」

「藤にぃ……」

「ん? どうしたちーちゃん?」

「……だっこ」

「う゛っ!!」

「あーあ、ズラが死んじまった。でもなんやかんやで膝の上に乗っけるのな。で、千景もそのまま寝るのな」

 

 そして酔った末に寝たのが一名と死者が一名増えた。

 銀は一人寂しく片づけをしたそうな。なお、なし崩しに全員園子の部屋に泊まることとなり、夏凜と美森は全身に傷跡を作り友奈は一人すやすやとベッドの上で寝ていた。

 あと死者はしっかりと翌朝に蘇生した。

 死んだ二人が蘇生した直後に言った言葉は「顔を赤くして甘えてくるちーちゃんヤバイ」だったそうな。どうやら彼女はこの二人に対するリーサルウェポンのようだ。

 

 

****

 

 

「……誕生日会で何があったのか、覚えてないわ……」

「まぁ、あれは思い出さなくてもいいんじゃないかしら……?」

 

 とある日の部室。今日は千景と夏凜が部室で待機をしていた。他のメンバーは軒並み出払っており、あまり一対一では話したことのない夏凜と千景がペアで残る形となった。

 先日の誕生日会は……まぁ色々とアレだった。偶々翌日が休みだったのでよかったが、もしもそうじゃなかったら最悪のコンディションで登校する羽目になっただろう。

 そして酔った人間の一人だった千景は最後ら辺をあまり覚えていないのか夏凜と一緒の部室の中でそんな事を呟いていた。まぁあれは思い出すと千景が恥ずかしさで死ぬかもしれないので思い出さない事が一番なのかもしれない。

 そんな事を夏凜は思いながら携帯を弄りつつにぼしを齧っていると、千景がこっちをジッと見ているのに気が付いた。

 

「どったの?」

 

 袋からにぼしを取り出しては口に運びながら聞くと、千景はそれ、といいながら夏凜の持っているにぼしに視線を向けた。

 

「にぼしよ?」

「……なんで単品で?」

「にぼしは完全食よ。食べない理由が無いわ」

 

 その言葉に千景が首を傾げたが、夏凜的にはどうしてそれで通じないのかが不思議だった。

 そんな言葉で何となく伝わっていた勇者部の方が異端なのだという事を夏凜は気が付いていないらしい。だが夏凜の中ではにぼしは完全食。サプリはその完全食の中でも足りない部分をサポートしてくれる素晴らしい物。

 それが分からないなんて子供ね、なんて思いながらにぼしを齧り始めたが、ふと思った。

 勇者部は個性がアレでにぼしとサプリの素晴らしさを布教する事はついぞ叶わなかったが、千景ならきっとにぼしとサプリの素晴らしさに気が付いてくれるのではないかと。

 特に千景はネグレクトを受けていたからか不健康な体つきだ。最近でこそ太り気味なのではと思い始めているようだが、それでも夏凜からしたらまだまだ不健康もいい所。

 それをこのにぼしとサプリならどうにかする事ができる。

 つまりwin-winなのでは?

 そう考えた夏凜はすぐにありったけのサプリとにぼしが詰まった鞄を片手に千景に詰め寄った。

 

「よし、千景。今からアンタにこのにぼしとサプリの良さをとことん教え込んであげるわ」

「か、夏凜、さん……? というか、この、流れ……前にもあった、ような……」

「あたしの話を聞けばアンタもきっと完成形勇者になれるほどの素質を持つことができるわ! ということでまずはこのサプリを――」

 

 

****

 

 

「ふぃー、今日もハードだった~! お待たせちーちゃーん! …………ちーちゃん?」

 

 今日も今日とてボランティアを終わらせて戻ってきた園子。部室で待っている妹を迎えに来たわけだが、どうやらその妹の様子がまた少しおかしい。

 彼女の横には満足げな表情をした夏凜が居て、こちらに気が付くと顔色を青くした。そして千景はまたお目目グルグル状態になってにぼしを口に運んでいた。

 

「にぼしは完全食……サプリも完全食……にぼしは完全食……サプリも完全食……」

「そ、園子? これはその、違って……」

「OHANASHIしようか」

「やべぇ逃げなきゃ」

 

 いつかの美森の時の様に夏凜は窓からスタイリッシュに飛び立ち、魔王と化した園子がどこからか取り出した槍っぽい杖を片手に夏凜を追った。

 この日から千景はよくにぼしを食べるようになりサプリを飲むようになった。まだ美森から受けた汚染が除去しきれていないと言うのに新たな汚染。これはもう矯正は無理かもしれないと園子は久しぶりに大きな溜め息を吐いた。

 ちなみに夏凜は部室の冷蔵庫にお片付けされていた。ちゃんと生きてます。




まぁこの勇者部でまともにお誕生日を祝えるわけがないよねって。

そんな話を書きましたが一日遅れでお誕生日おめでとうぐんちゃん! そして今日誕生日なしずくちゃんもおめでとう!

なんやかんやぐんちゃんとしずくちゃんって誕生日一日違いなんですよね。自分の誕生日も同じ月にあるのでちょっと嬉しかったり。

で、後半はにぼっしーからの汚染。ぐんちゃんはにぼしとサプリを嗜むようになりました。これにてクソレズとにぼっしーからの汚染が完了、次は果たして誰に汚染されるか……

実は時系列的にこの話を先に書きたかったので先に投稿しましたが、次話は既に書きあがっています。なので明日投稿です。
ぐんちゃん可愛いよぐんちゃん。しずくちゃんも可愛いよしずくちゃん。
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