ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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暫く……というか、のわゆスタートまで三年近く時間があるので、前日談的な勇者同士の交流の話はしばらく続きそうです。

なるべく早いうちに原作に突入する予定ではありますが、果たしてどうなるやら。自分でもどうなるか分かりません。


新たな生活

 千景と杏の仲が進展した翌日、朝っぱらから軽く五月蠅かった球子は昼に起きてきた千景と杏の仲が予想以上に進展している事に首を傾げていたが、まぁいいやとそれを流した。

 そして食堂には千景と杏。その他にも若葉、ひなた、球子、高嶋も居り、同じ学校の同じクラスメイトが六人そろった事となった。だが、まだ互いに互いの事を知り尽くしては居ないらしく、ちょっとばかり空気が悪い。

 ひなたは若葉にベタベタ。そして若葉はそんなひなたを引っぺがそうと必死。対して球子は妹分を取られまいと杏にへばりつき、杏は苦笑。千景は眠くてフラフラとしており、高嶋はそんな千景の頬を突いたり揺すったりと、千景の意識を現世に留めようと必死だ。

 

「なんやかんやで全員揃ったな。もし揃わなかったら適当にここで食べるつもりだったが、そうじゃないなら案内したい場所がある。ついて来てくれないか?」

「若葉ちゃん、あそこに行くんですね」

「あぁ、あそこだ、ひなた。香川と言ったら、アレしかないからな」

 

 アレ、とは。球子、杏、高嶋の頭にハテナマークが浮かんだが、千景は何となく想像できた。

 千景だってつい数日前まで未来とは言え香川に住んでいたのだ。香川県民が、昼に、県外の人を連れて食事に行くとしたら、恐らくアレしかない。そんな千景の予想は見事に的中した。

 

「ここ、うどん屋さん?」

「そうだ。香川のソウルフード、うどんだ!」

 

 やっぱり。

 千景は予想できていた答えに小さく笑いながら、ドヤ顔で勇者達を先導する若葉の後ろをついて行った。

 店員からの微笑ましい視線を感じつつうどんを頼み、うどんが来て、実際にソレを食べてみれば香川のうどんを知らない高嶋達は目を見開いた。

 

「お、美味しい! 具材もお汁も全部美味しいし、麺の触感も喉ごしも凄い! なのに三百五十円ってコスパも凄いいい! これが本場のSANUKI-UDON!!」

「うっまっ!!? なんじゃこりゃ!!? 思わずぶっタマげたぞ! 大体三万ぶっタマげくらいはぶっタマげた!」

「口の中で麺が! これはまるで――」

 

 友奈は素直に美味しさに驚き、球子ははしゃぎ、杏はもう何言っているのか分からなかった。

 そして千景は唯一、静かに美味しい、と言いながらうどんを啜る。食べ慣れた四国のうどんの味だ。

 

「なんだ、千景はそこまで驚かないのか」

「私は、ちょっと前まで香川に居た……から。うどんも、骨付き鳥も、一通り経験済み」

「そうだったのか。なんだ、少しつまらんな」

「幻滅したかしら?」

「いいや。いつか千景を四国の物で驚かせる事が楽しみになった」

 

 若葉の挑発的な笑いに千景も同じように返すと、ふと視線を感じた。

 そっちを向くと、そこには普通にうどんを食べるひなたが。あれ? と思いつつ視線を逸らしてうどんを食べると、ひなたが神速の構えでどこからか一眼レフを取り出すと、うどんを美味しそうに頬張る若葉を激写。すぐに一眼レフをどこかへと収納した。

 時間的には一秒もかかっていない。しかもそれでいながら、何事も無かったかのようにうどんを食べる。

 彼女からはやはり園子と美森に似た何かを感じた。が、同時に彼女を見習わなければならないとも思った。きっとあの技術は将来的に必要になるから。青いのの教え的な意味で。

 

「……園ねぇや藤にぃと、いつか一緒に来たいわね」

 

 今は会えぬ二人に思いを馳せながら、千景はうどんを啜った。

 二人との再会は、まだ先だ。

 

 

****

 

 

 神樹様。それは土地神の集合体であり、どうやら四国だけに存在しているのではないらしい。それに近しい存在……というよりも光が四国の他に諏訪は長野、北海道、沖縄でも観測されたという。

 学校が始まってからこれを聞いた時、千景は驚いた。自分の知る歴史とはこの時点で少し違っていたからだ。

 つまり、歴史の真実は殺人ウイルスが散布されたのではなく、バーテックスが襲来。四国だけが生き延びたのではなく、他にも長野、北海道、沖縄も当初は生き延びていた、という事だ。

 だが、恐らくこの三つの地域は近い内に再び始まるであろうバーテックスの侵略で。

 

「……どうにか、ならないかしら」

 

 勇者部六箇条、なるべく諦めない。

 死ぬと知っている命が、自分の力で助かるのなら、千景は助けたい。かつて絶望の中に居た自分が助けられたのだから、同じように絶望を迎えようとしている人たちに、今度は自分が救いの手を差し伸べたい。

 だが、切欠が無い。千景は藤丸の忘れ形見でもある神獣鏡を空に放り投げ、浮かせるとその上に腰を下ろした。

 千景の意志一つである程度は収縮、巨大化し、宙に浮く神獣鏡に乗り移動するのが最近の千景のマイブームだった。

 

「……これで、移動する?」

 

 なんて冗談を言いながら、千景は訓練のために槍を片手に神獣鏡に腰かけて移動し、訓練場へと赴いた。

 

「あ、ぐんちゃん! 待ってたよ!」

「お待たせ、高嶋さん。他のみんなも」

「いや、気にしてはいないが……相変わらず面妖だな、その鏡」

「浮いてるもんな……最初に見た時はぶっタマげたモンだ」

「あげないわよ?」

『いらない』

「息ぴったり……あはは」

 

 千景はこの神獣鏡と槍を大社の人間に渡す事を拒んだ。だが使わないとは言っていない。村の神社にあったから使ってまーす、だなんて嘘言って千景はこの二つの武器を携帯している。

 現状、武器を渡されているのは千景以外の全員であり、千景が本来持つ武器、大葉刈は刃の部分しかなかったため、現在柄の部分を製作中。なので千景はそれまで槍と鏡を使った戦い方を学んでいた。

 

「さて、まずは基礎からだ! 走り込み、いくぞ!」

『おー!』

「これだから、根っからの……アウトドア派は……」

 

 最初は勿論体力を作るための走り込み。それに球子と高嶋は元気満々で答えるが、千景は軽く暗い顔。杏はちょっと嫌そうな顔。インドア派の二人にとって走り込みはあまり好ましいものじゃなかった。

 が、走らなければ体力は付かない。せっせせっせと限界になるか、既定の距離走るまで足を動かす。

 大抵最初にダウンするのは杏。次に千景。残る体力馬鹿共はそのままゴール。

 

「徐々に全員、記録が伸びつつあるな」

「それじゃあ次は組手だね!」

「友奈はホント、組手になるとテンション上がるよな」

 

 千景、杏が死んでいる傍らでテンションを上げるコミュ力モンスターこと高嶋。それに球子は苦笑しながらも自身の武器、旋刃版……ではなく、それっぽく作られた木製の盾を手に持ち、友奈も手にグローブを嵌め、若葉は木刀を手にする。

 そして千景は死にそうになりながらも木製の槍と鎌を手に取り、右手に神獣鏡を装着。杏は唯一勇者としての武器、金弓箭を手にした。マシンガンの如く連射できるクロスボウなのだが、今回発射される矢は非致死性の吸盤が付いた玩具っぽい物なので当たったとしても安心。

 

「よし、じゃあまずは若葉ちゃん! 一つお願い!」

「そう簡単に私を倒せると思うなよ、友奈!」

「だったらタマはあんずと組んで千景とだ!」

「待ちなさい。苛めよそれは」

「この前、千景さんには一対一で苛められたから、お返しです!」

「千景。ヒトリデコイヤ」

「……なんなのよ。メイン盾が」

「ヒトリデコイヤ」

「…………やってやろうじゃないのよこの野郎!!」

 

 そして騒がしい組手は無事始まったのだった。

 なお、球子&杏VS千景戦は延々と千景が杏のクロスボウの銃口部分に神獣鏡を張りつけ完全に杏を封殺し、接近戦で「ちょ、おまっ」と言い続ける珠子をひたすら右手の槍と左手の鎌で叩きまくって無事勝利となった。

 やっぱり耐久力が馬鹿みたいに高いシールドファンネルってチート。千景はかつて、樹と共にプレイしたゲームで環境を荒らしていた、緑色の狙撃機の事を思い出しながら、撃沈した球子の上に腰かけ、高嶋と若葉の戦闘を見送るのであった。球子は悔し涙を流し、神獣鏡を欲しがった。千景は断った。

 

「次は絶対勝ってやるからな!!」

「……別に、私の懐に入り込んで……殴ってきたら、それで終わるのに」

「え?」

「鎌と、槍じゃ、拳の距離は渋いから」

「……あっ!!」

 

 そしてこの後、球子は千景を相手に無事勝利を収めたのだった。

 ただ、その後から千景はタイマンで本気モードとなり、鏡を嫌らしく使って距離を詰めさせず、延々と中距離戦闘で球子にチクチクと攻撃を刺し続ける戦法へと移行。そのまま球子を圧倒し、無事球子をもう一度下したのだった。

 

 

****

 

 

 乃木若葉という少女はちょっとばかり堅物すぎる。

 千景の第一印象、というよりは暫く共に過ごしてみての感想はそれだった。何せ、小学生だと言うのにも関わらずにじみ出る武士感。ポン刀片手に素振りする武士感。そして普段の仕草からにじみ出る生真面目感。

 暫定的に……というか、他の誰もやりたがらない上に適任者が居ないため半分消去法的に彼女が勇者達のリーダーとなっているのだが、まぁリーダーとしては申し分ない位には生真面目だ。

 ちょっと前までの千景なら確実にコミュニケーションを取りに行く事を拒否するような人種。それが乃木若葉だった。

 だったのだが。

 

『ひ、ひなたっ。もっと、もっと奥……奥を……』

『若葉ちゃんはこういう時は素直ですよね~』

 

 ちょっと聞きたい事があって若葉の部屋の前に立った千景だったが、中から聞こえる声を聞いて声を失った。

 気まずい所の問題じゃない。若葉の艶っぽい声のせいで、中でちょっとばかり自分達には早い事が起こっているのではないかと千景の頭で妄想を作り出してしまう。これ、明日から二人をどういう目で見たらいいんだろう。

 そんな事を思いながらドアノブにかけた手が完全に硬直している。ついでに千景の顔は熟したリンゴのように真っ赤だ。

 美森がナチュラルに友奈にセクハラしているシーンは何度も見た。だが、大抵そういう時はギャグっぽい感じで、千景が顔を赤くするようなどえらいセクハラはなかった。

 だが、今この部屋の中で起こっているこれは明らかにアレだ。アレなのだ。

 どうしよう。そんな事を思い、引き返そうとドアノブから手を離した瞬間。

 

「ん? 誰かいると思ったら千景だったのか。何か用だったか?」

「うぇっ!?」

 

 中から普通に若葉が顔を出した。

 どうしてこの状況でそんな普通に顔を出せるのか。それが疑問だったが、千景は暫く硬直した後、何とか先ほどまでのコトを聞いていないと説明するために口を開いた。

 

「あ、あの、ちょっと、今、聞きたい事があって……さ、さっきの声とか聞いてないわ!」

 

 はい自爆―。言いきってから千景はなんかこう、死にたくなった。

 だが、若葉はちょっとだけ恥ずかしそうにそっぽを向いた程度で、千景に詰め寄るということは無かった。

 

「あぁ、聞かれていたか……ひなたに耳かきをしてもらってたんだが、ちょっとくすぐったくて声が出てしまってな」

「そ、そう! 耳かきしてる所なんて聞いて……えっ、耳かき?」

 

 どうやら中で起こっていたのはそういうコトではなく耳かきだったらしい。思わず目が点になる千景。

 

「そうだが……それ以外に何かあるか?」

「てっきりレズセげふん! 何でもないわ」

 

 ちょっと言いかけたのはご容赦。千景だってお年頃なのである。まぁ、シていたらシていたでご馳走様なのだが。

 だが若葉には千景の言いかけた言葉がよく分からなかったようで、首を傾げている。だが、その後ろで千景の言葉を聞いていたひなたは頬に手を当てあらあら、なんて言っている。彼女もきっと耳年増というよりはお年頃なのだろう。

 

「で、千景は私に何の用だ?」

「えぇ、ちょっと。乃木さんって反射神経はいいかしら?」

「反射神経か? まぁ、刀を振る身だからな、人よりは良いとは思っているが……どうかしたのか?」

「ちょっとやってほしいゲームがあるのよ」

 

 と、言いながら千景はとあるゲームを取り出した。

 一応千景もフレーム単位の攻防を繰り広げる身。反射神経には自信があるのだが、どうしてもそれは対人戦での読み合いの末になる。

 小足見てから昇竜余裕とまでは言えないが、対戦格闘ゲームならガチャプレイでもされない限りは読み合いで勝利を収めれる自信はあるが、しかし読み合いが存在しない単純な反射神経での勝負の戦績について、千景はあまり好スコアを叩き出せていない。。

 なので、今現在千景がやっている、単純な反射神経を競うミニゲームが収録されたゲームの最高難易度が中々最高スコアでクリアできず、四苦八苦していたのだ。もう二時間ほどは頑張ったのだが、どうしても最高スコアの一歩手前で止まってしまい、ゲーム機を壁に投げつけて壁ドンしそうになった。

 別にクリアしなくてもゲームに支障はない。だが、最高難易度で他のミニゲームが全て最高スコアを叩き出している手前、一つだけそうじゃないのはどこかモヤモヤする。

 なので反射神経が良さそうな知り合いを頭の中で思い浮かべ、いの一番に出てきた若葉に話を聞きに来たのだ。

 

「ゲームか? 私はあまりゲームはやらないが……」

「合図が出たらボタンを押すだけでいいのよ。それ以外は特に何も無いわ」

 

 これはただのゲーマーとしての感覚のアレコレなので別に誰がクリアしたかはどうでもいい。その内自分が最高スコアを取れるまで、画面上に最高スコアを示す称号が出ていればそれでいいのだ。

 若葉は千景の提案に、複雑な操作を必要としないなら、と了承。ひなたはそれを後ろから見る事になった。

 若葉の部屋に入り、三人でベッドに腰かけ、まずはお手本を見せるため千景がゲーム機を手に実際に一度だけミニゲームをプレイする。

 

「この画面で、急にカットインが、出てくるの。それに合わせてこのボタンを押して……そのタイムが早い方が高得点。簡単でしょう?」

「それはそうだが……あ、今出たな」

「でもスコアはSランクですね。十分じゃないんですか?」

「このゲーム、最高スコアはSSランクなの。カットインが出てからどれだけの時間で押せばいいのか、正確な時間は分からないけど……私はちょっと前に、これと似たようなゲームで……押しミスしたらなんか0秒を叩き出せたわ」

「そうか、ならここは私がやってみよう。これだけならできそうだ」

 

 と、いう事でここからは若葉にバトンタッチ。

 ベッドに腰かける若葉の両サイドに腰かけ、若葉が手にするゲーム機を覗き込む。リトライを押して、ゲームが始まる。

 千景でも押しミスが化けなければ叩き出せないようなスコア。それを若葉が叩き出せるのか、見守っていると、カットインが出現。若葉はそれをほぼ同時にボタンを押した。

 

「あっ」

 

 なんか変な声を出しながら。

 あっ、て何? と聞こうとしたが、その前にゲーム画面にスコアが出る。そのスコアは、最高スコアであるSSランク。詳細な記録もその下に出ているが、そこに表示されている秒数は何と0秒。

 

「……いや、なんかこう、間違って押してしまったんだ! もう一回やらせてくれ!」

 

 どうやら若葉の反射神経が人間を凌駕していたわけではなく、ちょっと力み過ぎてボタンを誤って押してしまっていたらしい。

 そんな若葉に千景とひなたは苦笑しながら、若葉のリトライを許す。

 そして始まる若葉の珍道中。どれだけ頑張っても若葉ですら千景と同程度のスコアしか出ないようで、時折千景よりもいいスコアを出せるが、それでも最高ランクにはギリギリ届かない。

 ムキになってリトライし続ける若葉。そんな若葉の写真を撮ったひなたは満足げに頷いた。

 

「ゲームに必死になる若葉ちゃんはどこか新鮮ですね。いつもは刀を握ってキリっとしている感じですから」

「抜き身の刀、みたいな人……なのかしら?」

「知らない人からすると、ですね。わたし目線ですと、ちょっと違うと言いますか」

 

 そう言うひなたの言葉は何となく分かる気がする。

 今の若葉を見ていると、先ほど千景が何となく口にした抜き身の刀という例えはちょっと違うような気がする。

 なんかこう、シリアススイッチのオンオフが激しい人。シリアスな時はカッコいいがそれ以外だとギャグキャラとかドジキャラとか。そんな感じな気がする。

 

「なんとなく、分かるわ。それに近い人も……知ってる、から」

 

 例で言うと園子や夏凜がそれに相当するだろうか。

 二人とも、普段はちょっとギャグキャラだったりツッコミキャラだったりと、芸人っぽい所があるが、シリアスな時はキチっと決める。そんな感じのイメージ。

 

「ふふ。も、って言ったという事は、千景さん、実は交友関係が広いんですね」

「深く、狭いのよ。広くは、無いわ」

 

 ただ、キャラというか性格の違いが各個人で凄すぎるだけで。

 きっとひなたが勇者部のメンバーに会ったらそのキャラの濃さに驚くかもしれない。西暦勇者も何気にキャラが濃いのが集まっている故、断言できないのが少しばかり寂しいと言うか情けないというか。

 真剣な顔でゲームをプレイする若葉を見て、なんだかその様子がおかしくて二人で笑いながら、一旦ベッドから腰を上げて座布団の方に腰を下ろす。

 

「そう、言えば。上里さんは、乃木さんとは、どういう関係……なの?」

「関係ですか? 幼馴染ですよ。今の所は、ですけど」

「……つまり?」

「IPS細胞って知ってますか?」

 

 千景はそっと耳を塞いだ。

 やっぱり園子って。

 

「ふふふ。冗談ですよ」

「冗談に聞こえないわよ……」

 

 それにひなたの笑顔もどこか隠し事を秘めていそうな笑顔なので、否定しきれないのが何とも。もし笑顔の裏で、実は冗談が冗談ですよ、とか思われていたらとか思うと。

 こういう、普段おっとりしているがちょっとキツイ冗談を言うような人はその冗談の中に本当が混じってそうで怖い。ゲームをやっていると、そうやって闇を隠すキャラは相当数いるので、ひなたもそれなのでは、と思ってしまう。

 

「伊予島さんは腐女子で、私も同じようなので、上里さんは……レズ。濃いわね」

「濃いですねぇ」

 

 さぁて、否定が飛んでこなかったぞぉ。

 もうこれ以上色々と根掘り葉掘り聞くのはちょっと怖くなってきた。青いのというマジのレズ……それも行き過ぎたレズの存在を知っているので、ひなたが同性愛者でも何もおかしくないと思えてしまう。

 内心では結構なキャラ崩壊を起こしている千景だが、表面は冷静沈着。年上としてのレッテルを何とかそのまま維持しようとする。

 

「でも、杏さんももしかしたら、ただ腐ってるだけじゃないかもしれませんよ?」

「……それって?」

「杏さんの読んでる本。GL物は大抵片方が……言ってしまえばロリっぽいキャラばかりなの、ご存知ですか?」

「ろ、ロリコンのレズ……」

「業が深いですよねぇ」

 

 パワーワードにも程があるだろう。いや、杏自身が世間一般的にはロリではあるので、自身を投影している疑惑もあるっちゃあるのだが、杏は同年代で見ても成長は早い方。

友奈や若葉と比較しても杏は背も二人よりは高いし、胸もある。球子と比べるのが可哀想な程度には成長しているし、年上の千景とほぼほぼ身長は並び、胸も千景よりはある。

 千景がスレンダーな体系だとしたら、杏はグラマラスな体系。その片鱗が既に彼女からは出ているのだ。

 なので球子みたいな小っちゃい子が好きで、そういう子が出てくる本を買い求めているのだとしたら、ちょっとばかり彼女は業が深い人間という事になる。まぁ、自身に毒牙が飛んでこなければそれでいいのだが。

 

「でも、私的には千景さんもちょっと怪しいと思うんですよね」

「怪しい? 私が?」

「えぇ。私や杏さんと同じ道に来るんじゃないかなって、思ってます」

 

 つまりは、美森の同類行きでもある。

 恋愛の形は人それぞれだとは思っているが、自分が同性愛者となるのはちょっとばかり考えられない。

 だが人生、どうなるか分からない事を千景は身を持って体験している。故に否定しきれないのが少しばかり。

 

「私としては若葉ちゃんを一緒に愛でる同類になってくれても……」

「よし! やったぞ千景! 自力で最高ランクを取ってみせたぞ!!」

 

 なんかひなたがちょっとばかり怪しい事を言いだしたが、その直後に若葉が千景にゲームの画面を見せつけてきた。そこには確かに最高ランクのSSランクが表示されており、若葉は褒めて褒めてと言わんばかりにドヤ顔。

 そんな若葉とゲームの画面を見て。

 

「……なんだか乃木さんって、可愛らしい所もあるのね」

「いや、なんでそうなる!?」

「そうなんですよ。一緒に居るとそれがよく分かるんですよ~」

「ひなたまで!?」

 

 とりあえず、頭でも撫でておこうか。なんて思ってゲーム機を回収してから若葉の頭を無意味に撫で、ついでになんかわしゃわしゃしてみた。

 若葉は困惑しまくっていたが、ひなたの方は即座にどこからか一眼レフを取り出しパシャリ。その光景を目に収めながら、千景は何となくこの二人ともしっかりと仲良くやれそうだという確信を持ったのだった。

 




しばらくはこんな感じの話が続きます。神世紀勇者参戦のタイミングは、西暦勇者達がマイナス方面への展開へと歩き始めてしまったタイミングにしようと思ってるので、暫く先です。

それと、最近ハガレン見終わったんですよ。二期の方。今まで見てなかったのが馬鹿だと思える程度には面白かったです。
で、次何見ようかなー、何か二週目するかなー、とか思ってたら、弟とオカンから鬼滅の刃をもうプッシュされたんですよ。アレ面白いんですかね? 二人とも前半は微妙で後半から面白いとか言ってるんですけど、微妙な展開に一クール近く付き合わされるのは……って感じで見てませぬ。
アレって今一番ハマってるのはシンフォギアとゆゆゆ! 他に好きなのはFateとテイルズと特撮! な自分でも面白いって思えるんですかね……ジャンプ系、DBとジョジョと銀魂とNARUTO以外ほぼ駄目な人なんですけど……


変な話をしてしまったついでに、キャラ崩壊要素は以下の通りとだけ書いておきます。

若葉……実はひなたの耳かきではアヘ顔晒してる。野武士。
ひなた……やはりレズ。残像は基本。紫の。
高嶋……コミュ力モンスター。ほぼ友奈。
球子……西暦勇者内では結構マトモな方。多分苦労人。
ワザリングハイツ……ロリコンのレズ。白いの。
ぐんちゃん……言わずがな。ぐんちゃんの色って何だろう。群青の? 赤いの? 緋色の?
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