ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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今回からちょっとキンクリ。一気に一年後の話になります。なのでぐんちゃんが中学一年生の夏、わかたかタマが小学六年生、あんずんが小学五年生ですね。

そして今回の話はちーちゃんの話。お供はたかタマです。


過去を断ち切る

 案外月日が経つのは早い物である。

 あの日、七月の末にバーテックスが襲来してから一年近い時が経過した。その間に千景は勇者や巫女と親交を深め、勇者として選ばれた者は基本的に中身が善良で誰に対しても分け隔てなく接する者が多かった事から、不和の種なんて生まれる事無く、既に親友とまで言えるような域にまで親交を深めていた。

 若葉とは親友兼好敵手と言った方がいいか。よくゲームや組手で勝負しては、ゲームでは千景が勝ち、組手では若葉が勝ち。そんな感じで競い合える良き仲間だ。

 ひなたとは、最近はよく料理をしたり、若葉を一緒にからかって遊んだり。彼女自身、あんまり外で遊ぶような質ではなく、部屋の中でマイペースにしている事が性に合うため、杏も引っ張ってきて本を読んだり、若葉、高嶋、球子の写真を共有したり。ちょっとあくどい感じの仲だ。そしてレズ疑惑が徐々に冗談じゃなくなってきている。

 高嶋とは、よく一緒に遊びに行ったり組手をしたりゲームをしたり。一緒に居るだけで幸せな気持ちになれる。それに、彼女自身が千景の趣味に興味を示して近づいて来てくれるため、千景の方からも高嶋の趣味に触れてみたり。そんな感じの気が合う、一個下の親友だ。

 球子とは、一緒に外で遊んだりキャンプをしたり、ロードバイクで一緒に走ったり。球子の趣味に付き合う事が多いが、球子とゲームをする事も多い。なんやかんやで遊び相手として付き合う事が一番多い。あとは、料理の実験台。

 杏とは、夜中に一緒にゲームをしたり本を読んだり。なんやかんやで後輩なのも変わらないので勉強を教えたり。なんやかんやでいい後輩なので、趣味を共有したり一緒に本やゲームを買いに行ったり。あと、ロリコンのレズ疑惑は徐々に球子を見る目がガチになってきているので、マジになりかかっている。

 あとは千景の事だが、あまり変わっていない。既に変わりきってしまったためか、変わらなかった。強いて言うならば、コミュ障が原因で起こっていた、癖とも言える言葉詰まりが解消した事だろうか。あと、話す時の声がちょっと大きくなった。

 そんな濃い少女達――千景は時々、キャラが濃い人間しか勇者には慣れないんじゃないかと思い、自分はそれに相応しくないのではとも思った事があるが、十分に彼女もキャラが濃い人間として周りから熟知されている――と親交を深める千景ではあったが、一つ、気がかりなことがあった。

 それは、一応は生みの親である父と母の事である。

 

「千景様。ご両親様からの手紙です」

「……わざわざご苦労様です」

 

 大社職員から手紙を受け取り、千景はしかめっ面をかます。

 手紙の差出人は、父と母。千景の携帯は、既に父と母と実家の電話を着拒しているので、電話がかかってくることは無いが、手紙だけはどうしても着拒できない。大社職員も、仕事なので手紙が来たら千景に渡さざるを得ない。

 一度、大社職員に手紙が来たら焼いてくれとまで言った事があるが、大社職員はそれを仕事なので……と困り顔で拒否。仕方ない事だった。

 千景は手紙を手に、どうしたものかと溜め息を吐く。燃やして焼き芋でも作ってくれようか。

 

「あっ、ぐんちゃん。何してるの?」

「どうしたんだ、そんなしかめっ面で」

 

 とかなんとか思っていると、結構な荷物を手に持った高嶋と球子が後ろから声をかけてきた。

 昨日からキャンプに行っていた二人だが、どうやら今戻ってきたらしい。

 千景はそんな二人に困ったように笑いながら、手紙を見せた。

 

「それ、ぐんちゃんのお父さんとお母さんからの……?」

「えぇ。性懲りもなく」

 

 溜め息も吐いて見れば、二人の表情は若干面白くない事になった。

 しかめっ面が移るのを見ると、なかなかどうして気分が悪い。

 

「読んだのか?」

「いいえ。どうせ、一度帰って来いって書いてあるだけよ」

 

 内容なんて既に分かりきっている事だ。既に何通も受け取った手紙には同じような文が書かれていたのだから。

 千景の母は、父の元に戻ってきた。バーテックスの襲来から暫くして、千景はそのことを知った。どうやら一緒に居た男はすぐ側でバーテックスに食われてしまったらしく、実家からも干されているため、行く宛を求めて戻ってきたらしい。

 父は馬鹿な事にそれを歓迎した。一度出ていった女がよりを戻しに来たのを歓迎したのだ。母からの愛なんて無いのが分かっているのにも関わらず、父は母を愛している。ほとほと愛想が尽きる両親だ。

 そんな母だが、どうやら天恐にかかっているらしい。

 天恐こと、天空恐怖症候群。あのバーテックスが襲来した日から発症した精神的病であり、空に対して異常なまでの恐怖感を感じてしまうという病気だ。しかも、それは重症であれば重傷である程、外に出る事すらできなくなるという。

 

「やっぱ、千景は顔を見せには行かないのか?」

「もう他人よ」

「でも、産んで育ててくれたんだし、やっぱり……」

「高嶋さんは本当に優しいのね。でも、嫌なの。母なんて何年も前に私を捨てたのよ? それが急に戻ってきて、天恐で、母親面して……調子が良すぎるのよ」

「で、でもでも! やっぱり肉親なんだし! 一度くらいは顔を見せた方がいいと思うの!」

「そ、そこまで言う……?」

 

 高嶋からしたら、両親はとても大事な存在だ。それは球子とて変わらない。

 ネグレクトされてましたなんて言っても、二人からしたら到底想像できないのが現状だ。千景もそれは分かっているので、二人にキツイ言葉をかけたりなんかしない。むしろ、この反応が普通なのだという事は、よくよく分かっているからだ。そして、高嶋のこの言葉は、千景と、その家族を心配しての言葉なのだという事も。

 その上で会いたくない、勘弁してくれと口にし続けてきたのだが、そろそろそれも限界らしい。

 

「……でも、会いたくないのは事実よ。愛想も尽きる程だったのも事実だし」

「苛めの事、なんだよね」

「前に話した通りよ。父は、何度もわたしを見捨てたの。殴られて、蹴られて、切られても、あの人は面倒事を持ち込むなって一言言うだけ」

「な、何か事情があったんだよ!」

「おい友奈、そろそろ……」

「止めなくてもいいわよ、土居さん。高嶋さんは優しいだけだから。でも、事情と言われても……あの人は家族からの反対を押し切って、絶縁されても結婚をして、私を産んだの。その結果、母は浮気して出ていって、周りからの……特に小さな村での評判は最悪だったわ。だから、父は職場でもよく苛められてたらしいわ。馬鹿な話よね、いい歳した大人が、そんな事で人の価値を決めて苛めるなんて……」

 

 確かに、一度手にした職を手放すのは怖いだろう。

 周りから、逃げた男だという評判を付けられるのも怖いだろう。もしかしたら一生、どこへ行っても指を指され続ける生活かもしれないと思うのも怖いだろう。

 だが、それは自分が決めた道だ。こうなるかもしれないという道があったのにも関わらず、それを気にせず突っ切って、わざわざ逃げ場が少ない田舎に行って、自分から最悪の可能性を広げてしまった。

 

「……ごめんなさい。変に暗い事話しちゃって。折角のキャンプ帰りが台無しね」

「そ、そんな事ないけど……」

「まぁ、そんなに高嶋さんが気になるなら行ってきてもいいのだけど」

「えっ?」

「でも、その時はストッパーとして誰かについてきて欲しいわね。キレて殴っちゃいそうだから」

「お前、ホント外見に見合わずアグレッシブだよな」

「虐殺勇者千景ちゃんなのだ☆」

『……』

「ちょっと死んでくる」

 

 なんともまぁ感情の浮き沈みが激しい子である。

 可愛らしい声を全力で作って、決めポーズまでしてふざけた結果、すっごい白けてしまった。これには千景も流石に恥ずかしかったがために窓からフライアウェイしようとした。全力で止められたが。

 慣れない事はするもんじゃない、なんて思いながら千景は槍で心臓を突こうとしたが、また止められた。どうやら世界は黒歴史の忘却を許してくれないらしい。

 数分間の自殺未遂を繰り広げた末、結局三人がそれを記憶の底に封印するという形で何とか解決した。

 

「でも、殴りそうなのは本当。もしかしたら鎌で斬っちゃうかも」

「だからアグレッシブすぎるんだってお前」

「死神勇者千景ちゃんです☆」

『…………ははっ』

「さよならグッバイまた来世」

『わー!!?』

 

 勇者部は失敗から何も学ばないのである。三百年後の勇者から色々な事を学んだ千景が失敗から何かを学ぶはずが無かったのである。

 またまた窓からフライアウェイしようとした千景ではあったが、結局それは高嶋と球子に止められ、結局フライアウェイは失敗したのであった。

 暫く千景が錯乱し、自殺しようとしていたが、なんとか正気に戻って改めて高嶋と球子との話を戻す事に。

 

「そ、それで、どうだったかしら……確か、私が実家に帰るか帰らないかって話だったわね」

「そうだな。でも、ストッパーとしてついてきてほしいとか言ってたな」

「えぇ。私は、あんまりできた人間じゃないから。激情に任せて殴るかもしれないわ。もしかしたら、それ以上の事も……」

 

 勇者が丸亀城から離れる場合は、武器の携帯をするようにと言われている。

 もしも遠方に居る時にバーテックスの襲来が始まった場合、戦えずに死んでしまいました、では洒落にはならないのだ。

 丸亀城から徒歩で移動できる距離ならば、他の勇者が武器を運びに行けるのだが、それができない以上は武器を携帯するしかない。だからこそ、千景は心配しているのだ。自分が携帯している鎌と槍を人間に向けてしまわないかと。

 だからこそ、ストッパーが欲しかった。

 

「まぁ、いいけどな。今夏休みだし、鍛錬も数日サボる程度、許されるしな」

「ぐんちゃんの実家には行ってみたいとは思うけど……」

「いいの? 私、結構無茶ぶりしたと思うのだけど」

「そうか? 一緒に旅行しようって事だろ?」

 

 呆気からんと言う球子にそういう物かしら、と千景が首を傾げる。

 だが、ついて来てくれるというのなら、心強い。もし、また石を投げられても彼女達なら千景自身がもしも完全に理性を失う程キレて鎌を構えてしまった時は、それを止めてくれる力になってくれることだろう。

 球子は元々守りを中心とした戦い方を学んでいるし、高嶋も武術で千景を止める事はできるだろう。

 

「まぁ、ついてきてくれるのなら、構わないわ。一人じゃ寂しいし、変な事思い出すしで気乗りしなかったし。二人と一緒なら暇もしないし。まぁ、ストッパーが欲しいっていうのも勿論本音だったけど」

 

 あんな所に行きたくなんてないのだが、こうも言われてしまっては仕方がない。

 だが、流石に今から行くのでは球子も高嶋も疲れているし、千景自身も準備ができていないしで、行くのは二日後という事になった。

 と、いう事で外出許可はササっと取って、三人はそれぞれの部屋に戻った。

 戻ってからすぐに千景は父からの手紙の封を開けた。あんな風に絶縁宣言をしたと言うのにこんな風に女々しく手紙を寄越してくる。過去の事を忘れたのかなんなのか。

 取り出した手紙に目を通してみると、思わずため息が出た。

 

「千景へ、父さんも母さんも家で待ってます。母さんも勇者になった千景の事を誇らしく思っています。そんな千景に会いたいと何度も何度も言っています。一度くらい顔を見せてください……ねぇ。わたしの事を勝手にしてくれとか言っておきながらこの言いぐさ。都合が良すぎるったらありゃしない」

 

 苛められている時はあれだけ邪魔だとか言っておきながら、人類を守る砦となった瞬間に都合よく父親面だ。都合がいいにも程がある。

 確かに、娘扱いするのは勝手にしろと言った。言ったが、あの流れ的には娘扱いするのもはばかられる流れだとは思うが。勝手に愛した女が戻ってきたから調子にでも乗っているのだろうか。娘もきっと、自分の所に戻ってきてくれると。

 だとしたら馬鹿だ。何年もネグレクトに近い事をしてきて、助けてと声を上げれば逆切れして。大人としてそれはどうなのか。

 

「……ほんっと。ほとほと愛想も尽きるってものよ」

 

 あんなガキいらなかったとも言っていた。産むんじゃなかったとも言っていた。

 そんな事を目の前で言った男が、調子がよくなったら父親面。本当に、本当に愛想も尽きるというものだ。

 あんなことを言ってきた人間を、親だと思う人間なんて居るはずがない。

 それを高嶋と球子に言わなかったのは、優しさか。それとも、高嶋と球子を思いやっての事か。

 

「……本気で絶縁かしらね。わたしの生活は、世界を救うまで保証される。最悪の場合は、勇者の内の誰かに土下座してでも、屋根を貸してもらってバイトか何かで生計を立てる。何も問題はないわ」

 

 鎌を突きつけてあっちから愛想を尽くしてもらうというのもいい。

 だが、槍と鏡は使いたくない。アレだけは一滴たりとも血をつけるわけにはいかない。だから、突きつけるとしたら、鎌だ。

 最も、人を傷つける気は端から無いが。精々やられたらやり返すのが精一杯か。勇者部員としてそんな事をするわけにもいかないから。

 

「……あっ、そうだ。私、もう中学生だった」

 

 もうこっちに来てから一年近く。小学六年生から進学して既に中学一年生だ。毎日勇者として生き残るために鍛錬して、みんなで楽しく笑って、授業は暇だからボーっとして、でも成績は良いから何も言われず。

 神世紀に行くまではあんなに毎日が嫌で嫌で仕方なかったのに、今や明日が楽しみな毎日。あの頃からは考えられない毎日だ。

 

「もし、今神世紀に戻れたら、わたしも正式な勇者部の一員って事になるのかしら」

 

 元々、中学に進学したら讃州中学に行って、樹の一個下として勇者部に入るつもりだった。だから、きっとそうなる。

 だが、神世紀はきっと、同じように時が過ぎて、千景が知る勇者部員はきっと樹だけ。他の勇者部員は高校へ。三つも歳が離れているのだからこうなるのは分かりきっていた事だが、そう考えると何となく悲しい。

 

「……まぁ、まずはあの二人の事ね。どうやって絶縁状叩きつけようかしら」

 

 とりあえず手紙を寄越してきたのだから、あっちに行ったら顔面殴りつつ絶縁と大きく書いた紙でも叩きつけるのがいいかもしれない。

 そのために、まずは若葉の元へ筆と墨を借りに行くのだった。多分彼女ならそれぐらい持っているだろうと思って。

 

「なんだ、筆と墨? あぁ、持ってるが。使うのか? なら墨を擦ってやるが」

 

 マジで持ってた。しかも結構本格的で高級なやつ。

 

 

****

 

 

「ねぇ、ぐんちゃん。それなに?」

「絶縁状よ」

「絶縁状って大きく絶縁って書いた紙の事なのか? タマには分からんけど」

「さぁ」

「っていうか、すごい達筆だね」

「結局上手く書けなかったから、乃木さんに代筆してもらったの」

 

 まさか若葉が毎年毎年書初めとかやっているとは思わなかった。しかもそれでこんなに達筆で絶縁だなんて書けるとは思わなかった。

 最も若葉自身、なんで千景が絶縁だなんて書いた紙を必要としているのか理解できていなかったが。

 三人は既に千景の故郷の村へ向かって走る電車に乗っており、電車内で結構暇をしていた。

 ゲームをしようにも、千景だって同じゲーム機を幾つも持っているわけではない。だから、誰かがゲームをすると誰かが暇になる。と、いう事で駄弁っているワケだが、電車でも一時間以上はかかる場所。話のタネなんてちょっと経ったら尽きてしまう。

 そもそも毎日軽い事で喋っているのだから、ずっと一緒に居たら喋る事なんてなくなってしまうのは致し方ない事。無限に話題を持っているわけではないのだ。

 

「……ぐんちゃんさ」

「どうかした?」

「その、故郷の村で苛められてたんだよね」

「そうね」

「……ごめんね。よく考えずに行った方がいいなんて言っちゃって。嫌な事思い出しちゃうし、辛いよね……?」

「……まぁ、辛くないと言えば嘘ね。変な事思い出しちゃうし」

 

 高嶋は本当に優しい子だ。

 誰かを想って傷つくことができるなんて、そうそうできる事ではない。それは、優しい人であるという証拠だ。

 しかし、千景にとってはそれは気にする事ではない。

 もう吹っ切れた事でもある。

 

「でも、どうでもいいわ。あんな塵芥共」

「ち、塵芥……?」

「えぇ、塵芥。どうせもう、二度と関わる事が無い奴らよ。それに、あいつらはこれから一生、私に頭を垂れるしかなくなるのよ。私に……いえ、私達に頼らなければ生き残る事なんてできない。だから、いつか言ってやるのよ。お前らが苛めてきた子が世界を救ってるんだぞって。お前ら、何か言うことは無いかって。そうしたらきっと面白いわよ?」

 

 ちょっとふざけてそんな事を言ってみたが、高嶋も球子もなんだか表情が暗い。どうやら本気でこれを受け取ってしまったらしい。

 昔の自分ならそんな事を思っていたかもしれないとは思うが、すぐにそんな事は考えず、必要とされる自分に価値観を見出し始めると考えを改めた。あいつらに認めてもらうなんて心地悪い事、今さら考えたくない。

 

「……冗談よ? 別にそんな事言う気は無いわ。言わなくても、いつか思い出すでしょうし……って思ったけど、あいつらの頭の中、都合のいいように事実を捻じ曲げるし分かんないわね。まぁ、気にしなくてもいいわよ? タマ握ってると思えばどうでもよくなるわ」

 

 シレっと黒い事を言ってのける千景であったが、高嶋と球子は苦笑するだけ。流石に友人のここまで黒い面を見るのは慣れていなかったか。

 勇者部内で黒い話題なんてよくある事だったし、黒い話題で笑う事だってあったので千景は特に気にした様子はなし。勇者部がどれだけ畜生集団だったかのかがよく分かる光景である。

 そんな畜生集団勇者部に汚染された千景は二人と共に電車に揺られ、暫く黒い事で笑ったり揶揄ったりとしている内に地元に到着した。

 代り映えのしない偏屈な村である。

 

「あー……ほんっとド田舎」

「ド田舎って……」

「事実よ。というか、こんな所、いい思い出も無いのだから好き勝手言いたくもなるわ」

「……お前、ほんっと、外見と内面でのイメージの差が激しすぎるよな。色んな意味で」

「外見も内面も大和撫子なのに同性愛者で思考回路のネジが数本外れている人とか、外見内面共にゆるふわなのにその実は暴君お嬢様とか、外見は内気そうで将来はアイドルなのに中身はガノタのやべー人とか。そういうのよりはマシだと思うのだけど?」

『その比較対象はおかしい』

 

 最も、いい思い出が一個も無いわけではない。

 あの二人と出会った場所がここなのだから、いい思い出がソレに当たるっちゃ当たるのだが、如何せん悪い思い出が九割近くを占めているので好きになれるわけがない。

 笑い、二人と共にバス停から離れて村に入る。一年前から何も変わっていない。

 一応、父には友達二人を連れて家に向かうとだけは言っている。大社の職員を通して、だが。直接話なんてしたくもなかったのだから当たり前と言えば当たり前なのだが。今日来たのだって、高嶋に一度くらいは顔を、と言われたからだ。だから、無事な顔を見せて、一日泊まって、明日には寮に戻る。

 けど、なるべく村の人に見られたくはない。そう思いこそこそ移動したいとは思うものの、三人とも持っている物が持っている物だ。

千景は専用のケースに鎌を分解して入れているが、かなり目立つ。しかも、それに加えて槍を入れたケースも別途抱えており、鏡に関してもケースに入れて担いでいるので一人だけ持っている物の量が多すぎておかしい子状態になっている。

 高嶋は鞄から籠手を入れたケースをぶら下げているだけなので、あまり目立たない。しかし、球子の旋刃盤もかなり目立つ。

 彼女、思いっきりそれを入れたケースを背負っているのだ。ボストンバッグに服やら何やらは入れているが、旋刃盤を入れたケースなんて円状のドデカいナニかだ。そんな物を持っている小学生なんて目立ちすぎる。電車内でも思いっきり変人奇人を見る目で見られていたし。

 

「ねぇ、わたし達、何も知らない人が見たらどんな人に見えると思う?」

「コスプレイヤーのコスプレ前。凶器抱えてるやべーやつ。これからテロ起こしそうなやべーやつ。馬鹿」

「半分くらいやべーやつね」

「そ、そうかな……?」

 

 実際、何も知らない人が見たらただの凶器を手にしたやべー集団である。

 そんな事を話しながら歩いていると、ちょっと遠くから、あら。という声が聞こえてきた。その瞬間、そっちの方を見ずに顔を思いっきり嫌そうに歪める千景。その顔を見てそこまで嫌な顔するか、と苦笑する二人。

 しかし、そんな顔をするのも仕方がない事。苦虫を噛み潰したような顔を何とか引き攣った笑顔程度に治し、声が聞こえた方を見る。

 

「あなた、千景ちゃんね? 帰ってきてたのね!」

「え、えぇ。でも、移動で疲れてるんです。友達も居ますし、失礼します」

「まぁまぁ。ゆっくりしていきなさいね? あなたは私達の誇りなのだから」

 

 引き攣った笑顔の下で千景は唾を吐き捨てる。

 何が誇り、だ。散々苛め散らしておいて、威光を背負ったとたんに媚び諂う。それで昔の事をすべて忘れたとでも思うのか。

 事故を装って鏡をぶつけてしまいたい衝動に駆られるが、後ろでは高嶋と球子の二人が見ている。何とかその怒りを抑えて咳ばらいを一つ。それでは、となるべく平常な声を出してから鏡をケース内から取り出し、その上に腰かける。

 

「……その、ぐんちゃん?」

「どうかした?」

「……やっぱり、来ない方が良かった、よね」

「……そうね。違うと言ったら嘘になるわ」

 

 どうやら私怨というのは時間でどうにかならない物らしい。

 もう二度と訪れないのなら、忘れる事ができた。だが、訪れてしまった以上は思い出してしまう。あの時、痛みに喘ぎ、苦しみに泣き、理不尽に枕を濡らしたあの日々を。反抗する術を持たなかったが故に体のいいサンドバッグになっていたあの日々を。

 バーテックスがここにピンポイントで襲撃しに来たら、果たして自分が戦えるのかと聞かれたら、すぐに首を縦には振れないと思う。

 どうして、こんな奴らが生き残っているのか。

 高嶋は、あの運命の日に四国へと家族で旅行に来て、その先で勇者となったと聞いた。彼女は両親こそ生き残っているが、彼女が幼少の頃から共に過ごしてきた土地も、人も、友人も、みんな死んでしまった。

高嶋友奈という優しすぎる少女を作り上げた環境は、殺されてしまった。

 だと言うのに、郡千景という歪んだ少女を作り上げようとした環境は生き残っている。

 理不尽だ。理不尽にも、程がある事だ。

 

「……高嶋さん、気にしなくていいわ。最終的に決めたのは私よ」

「…………」

「もし、千景から苛めの事を聞いてなかったら、タマ達はあのおばさんの事、ただの人柄が良い人って思ったんだろうな」

「そうね」

 

 こんな奴らのために戦う意味はあるのか。

 今残っている人類から、善良な人間だけを囲って、それ以外の人間を間引いてしまった方がいいのではないか。

 神世紀は、人の悪意という物が殆どなかった。実在する神を信仰し、守ってもらっているからこそ、その恩義に答えるために毎日を笑顔で、清く正しく生きていた。直接的に返せるものが無いからこそ、そうした生き様で神に感謝を示していた。

 だが、西暦は違う。人の悪意なんてそんじょそこらに転がっている。インターネットを見れば闇は簡単に目にする事ができる。

 バーテックスに身内を殺された人がバーテックスを恨んでいる。神樹様が出てくるのがもうちょっと早かったら、と神樹様に謂れのない悪意を向ける人も居る。バーテックスに負けた自衛隊を無能だと馬鹿にする者もいる。バーテックスを地球に現れた新たな生命と見て対話をしろという頭のおかしい人間もいる。むしろバーテックスを神と見て、信仰する者すらいる。

 そして、恐らく。勇者の事が世間一般に公表された瞬間、その悪意は勇者達にも向く。

 目に見えるのだ。

 バーテックスを撃退しても、撃退だけかと言ってくる人間。早くバーテックスから地球を取り戻せ、それが役目だろと無茶を言う人間。もしも勇者が死ねば、死んだ勇者は無能だとイキり散らす人間だって現れるだろう。

 もう目に見えているのだ。悪意の矛先が。

 

「……移動で疲れたでしょう? 鏡に乗っていいわよ。ちょっと大きくするから」

「いいの?」

「重量オーバーとかないみたいなのよ。土居さんも、乗って」

「んじゃ、お言葉に甘えるか」

 

 そこまで考えて溜め息を吐いた。

 そういうのは現れてから考えればいいのに。

 そう思いながら、千景は鏡をゆっくりと動かして実家へと移動した。移動したが、家の前に何人かの人間が立っていた。明らかに、その表情は千景を歓迎する表情ではない。

 舌打ちをして鏡を下ろし、槍を入れたケースの締め口を少し緩める。

 ちょっと、アレは言葉でどうにかなる人種ではなさそうだ。

 

「ねぇ。人の家の前で何をしているのかしら。退いてほしいのだけど」

 

 千景は高嶋と球子を下がらせ、人垣に声をかける。

 だが、人垣は黙ったまま。その奥では困り顔の父が見えた。イラッとした。

 

「……お前のせいで」

「何よ」

 

 一人が声を上げた。だからこそ、すぐに声を出した。

 

「お前が去年、すぐに戦わなかったから俺の妹が死んだんだ!」

「……はぁ?」

 

 言われて、自分は戦ってないけど、と一言声を出したかったが、そう言えばあの時は姉と兄が戦ってくれていた。

 しかし、その時に二人だけでは間に合わず、数人が犠牲になったのを千景も聞いたことがある。だが、普通なら全員死んでいてもおかしくない。いや、それが普通な状況だった。それから村の人を助けた千景は救世主であり、神に選ばれた勇者という立場となった。

 だから、村の人は千景に対して好意的になった。

 一部を除いて。

 

「ウチの夫も! あんたがすぐに戦わなかったから!」

「俺の娘もだ!」

 

 そして、最初の声に続いて人垣から声が漏れ、怒声が響く。

 やれ、息子が死んだ。父が死んだ。妻が死んだ。自分以外の家族が死んだ。バーテックスがこの村で暴れた時間は五分未満程度だ。だが、その五分未満で大体二十人ほどが死んだらしい。

 その二十人の家族がどうやら千景に文句を言いたいらしい、というのはこの声で何となく分かった。

 

「……で?」

 

 だから、千景は馬鹿にしたような声を返した。

 

「私に何をしてほしいの? 疲れてるのよ。簡潔に言いなさい。私も雑多の声を聞いて心を痛めているほど暇じゃないのよ」

「ん、だと……!?」

「言いなさいよ。金が欲しいの? なら大社に言っておくわ。そういうのは大社の仕事らしいし」

 

 至極どうでも良さそうに髪を弄りながら千景は言葉を返した。

 だが、村の人が期待していた物はそうじゃないらしい。

 

「お前がすぐに戦わなかったせいで人が死んでんだぞ!! もうちょっと誠意を込めて謝るとか、そういうのを見せろって言ってんだよ!!」

 

 どうやら謝ってほしかったらしい。

 誰が? 千景が。今ここで喋るだけの未来を与えた千景が、謝るのが筋だとこいつらは言っている。

 呆れた。同時に、笑える。

 

「ふふっ。ふふふふふ」

「な、何笑ってんだよ!!」

「いえ、別に。それを私に言うのは筋違いだと思っただけよ。私、自衛のために戦っただけよ? アンタ達の家族も、村の人間全員も、どうでもいいわ」

「そ、それが人を見殺しにした人間の言葉か!!」

「よくもまぁ、自分達がサンドバッグにしたか弱い女の子にそういう事が言えるわね」

 

 言いながら、槍を抜いた。

 殺す気は無い。だが、脅しはする。

 

「言っておくわ。私はね、アンタ達全員死ねばいいと思ってるのよ。いえ、アンタ達だけじゃない。この村の人間全員ぶっ殺してやりたいとまで思っているわ」

 

 槍の矛先を構えれば、人垣は徐々に千景から距離を取っていく。人を責めておきながら、反抗されたら距離を取って顔を青くする。

 何ともみっともない。群れて言えば何とでもなるとでも思ったのか。

 千景があの時と同じ、言われて殴られるだけのサンドバッグとでも思ったのか。

 

「やらないのは、やったらあの二人にもう顔見せをできないからよ! だけど、言っておくわ。アンタ達の事を私は一生許さない! 突っかかるって言うのならかかってきなさい、全力で捻り潰すわ! それでも文句言いたい奴から声を出しなさい。石を投げなさい。その瞬間鏖殺よ! アンタ達が今こうして生きているのは私のおかげだという事を噛みしめてそれを恥と思って生きなさい! それが嫌なら死になさい!!」

 

 嘘までついて、人を脅す。

 ちょっと情けないなと思った。あの二人が見たら、お説教の一つや二つが飛んでくるかもな、とも思った。

 これでこの人垣も無くなるだろう、なんて思って息を吐いたが、次の瞬間に石が一つ飛んできた。それを見切って槍で斬り捨てて見せれば、石を投げたらしい同級生であろう男子があり得ない物を見る目で千景を見ていた。

 あの男子は知っている。千景とかつて同じクラスで、千景の事を何度も殴ったり蹴ったりしてきたガキ大将みたいな奴だった。

 

「……いい度胸ね」

 

 千景はそれだけ言い、その男子へと近づいた。そして、拳を握ってから思いっきり振りかぶり、それを男子の顔面へ向けて振るい、寸前で止めた。

 手を出したらこいつらと同じになると思った。だから、出さなかった。

 

「弱い物苛めはみっともないものね。だから、寸止めで許してあげる。でも、次に石を投げたら自分から当たるわ。そして石を投げられた分と、苛められた分、殴って蹴るわ。あなたが例え病院送りになろうとも関係なく殴って蹴るわ。一発は一発。それは過去の分も変わらないのよ」

 

 言いたい事を言いきってから、他の大人や子供を見る。

 もし、このまま声を出したら本気で殴りに来る。それが何となくわかったのか、人垣はすごすごと解散していき、殴られかけた男子は何度も千景を恨めしく見てきたが、いい加減鬱陶しいので、石突で岩を砕き、手ごろな石で遠投の距離を測ってみたら、顔を青くして逃げていった。

 ちょっと自分の遠投記録を測っただけなのに。

 

「……ぐ、ぐんちゃん?」

「千景……その、大丈夫か?」

「平気よ。ったく、こちとら移動で疲れてるってのに面倒ったらありゃしない」

 

 とは吐き捨てるが、明らかに高嶋は千景がここに来る原因を作ってしまった事に罪悪感を抱いているようだ。

 球子も、この村の人間の汚い所を見たからか、表情が暗い。

 二人とも本当に優しい。槍を取り出して脅すなんていう人としてどうなのかというレベルの事をしたのにも関わらず、それを責めずに千景の事を心配しているのだから。

 

「高嶋さん。別に気にしてないわよ。アレだと、その内私の所に直々にクレームに来たでしょうし」

「で、でも! ぐんちゃんに一回帰った方がいいって言ったのはわたしだし! わたしが、あんな事言わなかったら、ぐんちゃんにあんな顔……!」

「全くもう……私が気にしてないって言ってるのだから、あんまり自分を責めないで? じゃないと田んぼに埋まりに行くわよ? 顔から」

「顔から!?」

「つまり窒息死するわよ」

「窒息死!?」

「死因は……高嶋さんが自責を止めなかったから」

「自分を人質にした!?」

 

 これぐらい言っても、高嶋は自責を止めないだろう。だが、少しは気分が晴れてくれるといいのだが。

 自分が原因で、自分が悪いからと思い込んでしまえば、人というのはなかなか立ち直れない物だ。特に、高嶋のように優しい子からしたら。だから、千景が笑顔を見せて、本当に気にしていないという事を暫くは見せなければならない。

 だがしかし、高嶋の表情が曇ると心がもにょる。どうしたものかと考えていると、球子が千景の肩を叩いた。

 

「ちょっと、本気で止めようか悩んだぞ」

「どうして止めなかったの?」

「千景なら人を無暗に傷つけない。そう思ってたから」

「そう……ありがと、土居さん。信じてくれて」

「ん」

 

 球子の表情も、やはり暗い。

 人の悪意をああまでして感じた事は、そうなかったのだろう。人が悪意を持って集団で、小さな少女を傷つけようとする。そんな光景が衝撃的だったのだろう。

 高嶋も、球子も、とてもいい子だ。そんな少女達を構成した環境というのは、こんな人の悪意が形を成すような環境ではない。だからこそ、衝撃的であり、表情も暗くなるのだろう。

 二人をここに連れてきた事が間違いだったかもしれない。自分の考えの甘さに溜め息を吐き、とりあえず先ほどの人垣を前にうろちょろしていた父の元へ。

 

「それじゃあ、明日まで友達と一緒に泊まるから。ご飯はどこかに食べに行くわ。荷物置いて、屋根と布団を貸してくれればそれでいいから」

「そ、そうか。しかし、俺は嬉しいぞ! あんな事を言ってくれるなんて!」

「……あんな事?」

 

 はて。千景は父の事を褒めてはいないはずだが。

 

「ほら、言っただろ。人を傷つけないのは、傷つけたら俺達に顔を見せられなくなるって……」

 

 どうやら勘違いがまた発生したようだ。

 この勘違いは、早急に正さねばならない。

 

「勘違いよ。わたしが指したのは、園ねぇと藤にぃよ。わたしの事を邪魔者扱いした男の事でも、わたしを捨てて男の所へ行った女の事でもないわ」

 

 素知らぬ顔でそれを言い、千景は高嶋と球子を連れて家の中に入った。

 さて、空気が最悪だが、これはどうしたらいいのか。修復不可能じゃない? なんて思いながら、千景は食事はどこでしようかと頭を悩ませるのだった。

 

 

****

 

 

 結局、食事は村から離れた場所にあるファミレスで済ませた。

 家では父が若干歪んだ笑顔を見せていたり、母も同じような笑顔を見せていたりと色々とあったが、まぁ千景は悉くを無視した。

 顔を見せろ、と言われたから顔を見せた。それだけ。別に今出ていけと言われたら出ていってどこか適当なホテルに泊まるし。それをしないのは、それをしたらマズいとか思っているのか。

 とりあえず千景は元自室に布団を三人分敷いて、銭湯帰りのほかほかな体のまま、寝転がった。

 

「……落ち着かないわね、実家」

「普通、落ち着くものじゃないのか?」

「ここを実家だとは思っても、いい思い出が無いのよ。全く……口を開けば二人を暗い顔にする話題しか出ないわね」

「そ、そんな事は……」

「まぁ、否定できん」

 

 高嶋はまだ千景をここに連れてきてしまった事に負い目を感じているみたいだが、球子は案外吹っ切れている。千景にとってここはそういう物だから、ここに居る以上は話題が暗い方向に寄ってしまうのは仕方ない、と。

 だが、それでも暗い顔をしてしまうのは事実。否定はしないと答えるのが球子がこの場を一番何事もなく収めるのに一番な言葉だと思っただけ。

 

「土居さんのそういう、歯に衣着せぬ言い方、私は好きよ」

「そうか? まぁ、否定しても仕方ないしな。千景がここにいい思い出が無いって言うのは聞いていたし。タマが同じ境遇だったら、すっごい捻くれていたんだろうなって」

「誰でも捻くれるし荒れるわよ、こんな環境。はー、キャンプに行ってリフレッシュしたいわね」

「なら来週あたりに行くか? 丁度いいキャンプ場見つけたんだよ。友奈も一緒にどうだ?」

「え? あ、うん。いいけど……」

 

 球子が明るい話題を投げかけたが、高嶋はやはり暗い顔。

 千景に暗い話題を喋らせている元凶が自分で、千景の心を傷つけているのではという考えが高嶋の表情を濁らせている。

 こういう時、勇者部員ならどうするのかと考え、暫く天井を見上げてから、一つこれを解決できるんじゃないかという方法を思い出し、高嶋に声をかける。

 

「なら、高嶋さん。今度のキャンプ、一緒に楽しみましょう?」

「え?」

「今日の嫌な思い出、キャンプで忘れちゃうくらいに楽しみましょう。どうせ高嶋さん、私が条件を付けて許すって言わないとずっとその表情のままでしょう? だから、今度のキャンプで全部チャラよ。いい提案でしょ?」

 

 その言葉に暫く考えた後、高嶋はようやくいつも通りの笑顔を見せてくれた。

 やっとこさ重い空気とはこれでお別れだ。後は年頃の女の子らしく、パジャマパーティーという事で色々と話し、高嶋が寝落ちしたのを切欠に千景と球子も眠りに就くのであった。

 翌日は父と母に軽く声をかけてからすぐに家を出て、村を出たため、特に問題は発生せず、電車の中は翌週のキャンプの事で持ち切りだった。

 きっと、もう訪れることは無いであろう故郷を離れながら。

 

「あっ」

「どうしたの、ぐんちゃん」

「絶縁状、突きつけ忘れたわ……折角乃木さんに書いてもらったのに……」

「まぁ、いいんじゃね? ずっとあんな態度取ってたんだし、あっちから連絡が来るなんて相当肝っタマがデカいか、馬鹿じゃない限りしないだろ」

「……そうね。その馬鹿の一人じゃなきゃいいのだけど」

 

 結局、若葉作の絶縁状は暫く鞄の中で眠ることとなったのだった。




と、いう事で一年経った後の村の内事情でした。ちゃっかりとバーテックスはここにも降りてきていたので、数人が犠牲に。そしてその責任をぐんちゃんに押し付けようとして無事失敗。こいつらなら絶対こういう事するって思ったから書いた。反省も後悔もするわけがないんだよなぁ!!?

そして親父は……まぁ、うん。少しは人垣をどうにかするために自分で何とかしろや、と書いてて思いましたが、あんな事言う大人が何かできるわけもないよなと。
書いててコイツ正気か……? って思う程度には現実感の無いキャラ書いた気分です、はい。

でも、これで暫くはこの村の事は放置。多分物語が動くまで触れる事はないでしょう。

あと、ぐんちゃんの喋り方を変えたのは……はい、ちょっと書くの疲れるんすよ、あの口調。なので普通にさせてもらいました。まぁ、コミュ力上がって毎日西暦勇者と一杯話してたから……ね?
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