ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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総攻撃も終わったんで次は璧外調査行きましょうね、と言う事で今回は璧外調査。

またまた暴れます伊予島。段々とここの伊予島がただのヨゴレキャラになっているような……え? いつも通り? そっかぁ。


陽キャな陰キャ共

 総攻撃も終わり、あー平和平和、とはいかないのがこの世界だ。

 何せ人類は絶滅寸前。しかも攻勢に移ろうにも外に出ても居るのは無限湧きの豆腐のバケモノだけ。何をどうしたらこちらの勝利条件を満たせるのかが分からない以上、下手に壁の外にえいえい、怒った? してカムチャッカファイヤーされたらたまったものじゃない。

 大社上層部でそんな頭が悪そうな話があったのかはいささか不明だが、しかし勇者達には暫しの暇が与えられ、千景は自室のベッドで横になりながら借りてきた映画をポテチを食いつつ見ていた。

 

「やっぱニートは最高ね。こうやって何もせずに自分のしたい事を自堕落にする事こそが人間の生きる意味よ。そう思うと勇者なんてブラック企業真っ青の社畜じゃない。バーテックス死ねばいいのに」

 

 なんて言いながらもしゃもしゃとポテチを貪っていた千景であったが、突如自室のドアがノックも無しに開かれた。

 思わずビビッてそっちの方を見れば、そこには野武士の姿が。

 

「千景! 璧外に行くぞ!」

「……は?」

 

 こうして千景はもう一度璧外へと赴く事となったのであった。

 

 

****

 

 

 詳細な事情は勿論あった。

 まず、総攻撃を退けたことにより四国を暫く離れても安全は確保されているという事。そして、もしかしたら生き残りが居るかもしれない本土はいずれ調査しなければならなかった事。

 現在、恐らく人間が生存しているであろう地区は北海道と沖縄の二つ。しかし、それ以外にももしかしたら生存者がいるかもしれない。

 そんな理由から、じゃあ外に行くしかないという結論に至った大社上層部は、勇者とそのお付きの巫女であり、緊急連絡先としてひなた&水都に璧外遠征を命じたのだ。

 それに頷かざるを得ない勇者と巫女達はいそいそと遠征準備を終わらせ、璧外と四国を繋ぐ橋の上に立っていた。

 

「理由はどうあれ、久々のキャンプだ! しかも今度は歌野と水都も一緒の八人キャンプ! わくわくするなぁ、あんず!!」

「タマっち先輩、これは生き残りを見つけるための遠征だから、あんまりそういうのは大きな声で言わない方が……」

 

 全身にキャンプ道具を括りつけて、だ。目がキラキラしている球子に杏(先日の鼻血でまだ勇者装束に赤い部分が残ってる)が自重しろと言う。球子はそんな事聞かず。彼女も立派な勇者なのだ。

 外に行ってこい! でも準備は自前でな、金は出すから。と無茶苦茶言われた勇者達だったが、金を出されてキャンプ道具を買ってこいと言われたら遠慮なく買うのが勇者達。

 若葉も結構いいテントを買い、その他キャンプ用品もいい感じに値が張る物へと買い替え、勇者達のキャンプ用品は新品もあれば使い古されたものもあるが、大体が使い勝手のいい高級な物へと入れ替えられた。

 かかったお金はウン万円。大社にはしっかりと領収書を送っておきました。

 

「ちなみに千景、歌野、水都。お前ら壁の外で生き残りは見かけなかったんだよな?」

「そもそもあの環境で生きている人がいるのなら驚きね」

「えぇ。諏訪に逃げてくる人も、一週間経たない内にいなくなったもの」

「調査するだけ無駄じゃないかなって……」

 

 そして肝心の生き残りに関しては、壁の外を実際に見た千景達から言わせてもらうと、生き残りが居る確率なんてゼロに等しい、という事だ。

 ニート決め込んでいる最中、若葉によってキャンプ用品の買い出しに付き合わされた千景だったが、千景もキャンプできるのならまぁ、という感じで買い物には付き合った。だが、キャンプの先がドキドキ☆バーテックスがいっぱい♡璧外無人シティーなのだから、ちょっと溜め息を吐きたい気分だ。

 しかし、千景はそれでも溜め息を吐かない。

 何故なら。

 

「荒廃した都市のゲームショップに行って当時の最新作や高くて手が出なかったゲーム、プレミアがついたゲームその他諸々! それを璧外調査だから! の一言でパクってこれるなんて最高じゃない! 全品百パーセントオフよ! 百パーセントオフ!!」

「そしてバーテックスに壊されていない本屋にある秘蔵書に高くて手なんて出ない超激レア本! それも百パーセントオフで取ってこれるなんて最高じゃないですか!!」

「お前らに我欲しかねぇのがよーくわかったよ陰キャコンビ」

 

 この勇者共(紅のと白いの)、我欲に満ち溢れている。

 あのバーテックスが襲来した日以降、人類の娯楽用品はかなりその姿を消した。特にゲームと本はこの四国に今まで全国で発売していた分があるわけもなく、もうこの四国には残っていないゲームと本、あるものの数が少ないゲームと本、なんていうのも存在している。

 もう手に取れないと思っていたソレを手に取る機会がこれだ。陰キャ共がそれに興奮しないわけがない。

 特に杏には、一つ行きたい場所があった。

 そう、国立国会図書館。日本で出版された本の全てが納品されている、恐らくない本を探す方が難しいかもしれない図書館だ。

 そこは今や無人スペース。日本政府なんてないも同然。つまり、本を漁り放題持って行き放題なのだ。

 

「あぁ、日本の色んな本が保管されている国立図書館を好きなだけ漁れて好きなだけ気に入った本を持って行ける……! こんなに幸せな事があるのでしょうかうへへへへへ……」

「杏さん、一応言っておきますけど、今回は東京には寄りませんよ……?」

「は?」

「ついでに言うと、そんな本を漁ってる時間なんて無いからな?」

「???????????????????」

「おい待てお前今どうやってそれを発音した」

 

 どうやって発音するのか分からない言語を口にした杏だったが、ひなたと若葉が立てた予定に異議を申し立てたのは千景だった。

 

「ちょっと待って。東京には寄らないの?」

「えぇ。一応、今回は北へ行こうって事になってまして。青森まで行ったら一度折り返す事に……」

「駄目、東京には行くべきよ。首都だった東京にこそ生き残りはいるはずなのだから」

「……確かに千景の言う通りだな。東京をはじめとして名古屋にも、寄る必要があるかもしれんな」

「確かに……生き残りを探すのに北へ一直線、というのも変な話でしたね」

 

 という事で予定変更。

 諏訪へも行けなかったであろう生き残りが居るかもしれない北へ向かうのには変わりないが、しかし生き残りが居るとしたら一番可能性があるであろう首都の東京へと向かうという予定を組んだ。

 ちなみに、この遠征は諏訪にも寄る。これは、歌野と水都きっての頼みであったため、断る理由も無かった。

 予定を改めて組み始めたひなたと若葉を前に千景と杏はハイタッチ。そのままガッシリと握手。

 

「やはり千景さんはわたしの理解者です」

「当然じゃない。代わりに、ゲーム漁りにも付き合ってもらうわよ?」

「当たり前じゃないですか」

「だから物を漁る時間は無いっつの陰キャ共」

『?????????????????????????????????』

「そしてどうやってそれを発音しているのか私に教えてみろお前ら」

 

 そんな茶番を挟んだが、多分この二人は止めてもゲームと本を漁りに行く。

 若葉は溜め息を吐き、しかし東京は一番生き残りを捜索する時間がかかるだろうと言う事で、温情で一日探索する事にした。

 大体時間にしては五日ほど。食料に関しては一番力がある高嶋が両手とバッグいっぱいに用意している上に、移動中に保存食が置いてありそうな場所を見つけたらそこを漁り、保存食を手に入れて食うという、現地調達スタイルで行く事に。

 そんな事を話しあい、そしてルートも決まった事でいざ璧外。

 

「よし行くぞ! 一応、飯時が近づいたら近くの元スーパーとかで食品を漁る。友奈が持っているモノは八人分で二日分程度しかないからな。もしも食料が切れそうならば即撤退。友奈の持つ保存食を一食食った当たりで撤退を考え始める! という事でゴー!!」

『おー!』

「本!」

「ゲーム!」

「だからいい加減思考回路を趣味から切り離せ陰キャァ!!」

 

 漫才をした所でいざ出陣。

 ひなたは若葉が、水都は歌野が抱えて橋の上を飛び跳ね、そのまま璧外へと出ていく。

 璧外の空気は案外美味しく、人が暮らしていたころに比べてなんだか綺麗になったような気がしないでもない。

 それも当然だ。大気を汚染するような施設は既に止まっており、自然の空気は徐々に人間が自分達の叡智で穢す前に戻り始めている。ならば、人が暮らしている四国よりも空気が美味しいのは当然の事だ。

 

「空気の味なんて考えてもいなかったけど、改めて吸ってみるととってもデリシャスな気がするわ」

「こっちに来るときはそんなの考えてる余裕、なかったもんね」

「全員、生き残る事に必死だったもの。仕方ないわ」

 

 一度ソレを吸った事がある三人がそんな事を言い、残る五人もそんな気がする、と思いながら移動し続ける。

 ひなたと水都にとって、勇者に抱えられながら移動するというのはジェットコースターにシートベルト無しで乗せられているのとほぼ同じレベルの移動方法なのだが、大丈夫かと聞く前に二人の表情が幸せそうだったので、事情を察した高嶋と若葉以外の勇者は二人の表情をスルーした。レズは強し。

 暫く移動していると、本土は岡山県の倉敷へと上陸した。

 しかし、倉敷の工業地帯は目も当てられない状態となっていた。

 

「……破壊されつくしているな」

「これも、バーテックスが……」

「ここに来る最中に見かけた都市は、大体こんな感じだったわ。だから言ったの、生き残りなんてって」

 

 工業地帯はすっかりと破壊されつくしており、こんな場所で人間が何年も生存できるとは思えなかった。

 ひなたと水都はその光景を写真で撮り、大社への報告用として残す。

 しかし、足を止めてはいられない。勇者達は北上しながら生き残りが居ないかを探すものの、いる筈もなく。倉敷駅を通り過ぎ、勇者達は兵庫は神戸市へと足を踏み入れる事となった。

 大都市として名を馳せていた神戸にも、人の気配はない。

 荒廃しきっている。そうとしか言えない状態だった。

 

「歌野達の言葉の意味を、何となく理解し始めた。とりあえず、神戸は大都市である事に変わりない。二手に分かれて探索するとしよう」

「分け方は……とりあえず、グーとパーでいいでしょうか?」

「それじゃあ適当にそれで」

 

 一応、巫女は若葉と歌野とセットなので、実質的に三人三人で分かれたら決まりだ。

 という事で。

 

「せーの!」

『グーとパーでわかれましょ! ほい!』

「グッとパッ!」

『………………あれ?』

 

 グーとパーで分かれる例のアレ程、地域によって掛け声が違うのは言うまでもない。

 歌野だけがハブられた結果となったが、水都も歌野と同じ掛け声を言うので、後ろで首を傾げていたり。四国民共はグーとパーでわかれましょ、ほいであり、歌野はグッとパッ。

 歌野だけが先行してグーを出す形となり、全員が首を傾げたが、ここは郷に入っては郷に従えと言う事で、歌野が他のメンツと合わせる形となったのだが、違和感は大きかったという。

 

 

****

 

 

 チーム分けは結局、若葉、千景、高嶋、ひなたの四人、球子、杏、歌野、水都の四人となった。四人ずつに分かれた勇者達はちそれぞれが地図で地理を確認して移動し、生存者の捜索へと乗り出したのだが。

 

「酷い物だな」

「全くね」

 

 惨状を包み隠さず言う若葉に同意する千景。しかし、高嶋はあまり気乗りがしないようで、先ほどから俯きがちで何も話していない。

 ひなたも言葉を口にできる程の余裕がないのか、光景の写真を撮っては保存しての繰り返しだ。

 

「四国も、私達が負けたらこうなるのだな。敗者の末路、という物か」

「わ、若葉ちゃん、そんな言い方……」

「だから、私達がしっかりと目に焼き付けねばならない。こんな光景を新たに増やさないように、しっかりと。死んでいった先人達のような無念を四国の物へ抱かせてはならない、とな。友奈、気持ちはわかるが、前を見ろ。これは私達が覚えておかなければならない光景だ。決して、目を逸らすな」

 

 そう。この光景は、もしかしたら四国でも起こるかもしれない光景だ。

 自分達が死んだ後に確実に生まれてしまうであろう光景だ。

 だから、目をそらしてはいけない。この光景を現実と受け止め、そして負ければ最後、これと同じ光景が繰り広げられ、自分達の身内が荒廃した土地に血を染みこませる事になるのだと。

 決して、忘れてはいけない。目をそらしてはいけない、先人達の無念の具現だ。

 

「千景もひなたも、この惨状から目を逸らすなよ。そしてひなた、お前はどれだけ辛い光景があろうと、そのレンズの先を逸らすな。記録しろ、保存しろ、焼きつけろ。これは、私達しか見る事の許されぬ、敗者の歴史だ。私達はその生き証人であり、歴史を残さねばならない者だ」

 

 きっとこの光景は、自分達がバーテックスを殺し尽くしても、一般公開はされないだろう。大社が整理し、片付け、ある程度の痕跡の抹消を行ってからしか、見る事は適わない。

 だから、誰も手を付けてないソレを、自分達が記憶に刻まねばならない。先人たちの無念がそのまま残った、この現状を。

 四人は武器を構えながら歩き、生存者を探す。しかし、生存者は現れない。現れたのは。

 

「……バーテックス、か」

 

 白いバケモノ、バーテックス。それが、がれきの内側から現れ、勇者達に突っ込んでくる。

 それを即座に斬り捨て、安全を確保してからまた歩く。しかし、生存者は現れない。

 

「私、ちょっとあっちを捜索してくるわ」

「ん、そうか。ならば私はそこで食料を漁っていよう」

 

 数分後。

 

「千景、どうだった。こっちはまだ消費期限が切れていない保存食を見つけられたが」

「プレミアがついたゲームソフトが大量にあったわ。私満足」

「お前一度お話しようか。なぁ、ちょっとそこでじっくりとタイマンで話そうか? ん?」

 

 しかし千景は若葉のソレをのらりくらりと躱して結局自分のバッグにゲームソフトを入れてしまった。

 そんなこんなあり、予定していた三時間の捜索が終わって四人は待ち合わせ場所であるフェリー乗り場へと向かった。そして到着した頃には既に歌野達別動隊も待ち合わせ場所に到着していたが、やはり生存者の影はない。

 

「やはり生存者はいない、か」

「言っちゃなんだけど、当然ね。これでサバイバーが居たら本当にサプライズな事よ」

 

 しかし、それは薄々若葉や高嶋も気が付いていた事。仕方ない、と呟き空を見上げると、そろそろ太陽は地表に隠れてお月様の時間となりかけている。

 

「そうだな。じゃあ、今日はここら辺でキャンプといこう。これ以上動くのは流石に危険だ」

「それじゃあタマが目星をつけておいたキャンプ場へとご招待だ! さっき地図を見て見つけておいた!」

 

 そういう事で球子の案内の元向かったのは、六甲山の麓にあるキャンプ場跡だ。既にバーテックスの襲撃により破壊されつくしているが、しかしキャンプ場なのには変わりない。薪代わりの枯れ木と、川が近くにある事から、今日のキャンプ先はここで決定だろう。

 荷物を置き、テントを広げてペグを打ち。既に手慣れた設営を終えてできたー、と両手を広げた頃にはどっぷりと陽は沈んで既に夜中だった。

 

「で、今日の食事だが、私はこれを見つけてきた」

 

 と言って若葉が自分のバッグから取り出したのは、乾麺タイプのうどんだった。

 製造日が四年前の。

 

「おい野武士」

「いや、イケるって。絶対これイケるって。ほら、案外色も大丈夫だしカビも生えていない。平気だって。イケるって」

「お前の頭カチ割って天国にイケるようにしてやろうかオイコラ」

 

 思わず野武士の胸倉を掴んだ千景だったが、件の野武士はイケるって、としか言わない。

 しかし、歌野は乾麺の袋を破って中を取り出すと、うん、と一言呟いた。

 

「千景さん、これ普通に食べれそうよ?」

「えっ」

「ほらな?」

「まぁ、茹でてみて駄目なら捨てましょう?」

 

 という事でそれぞれ分かれてうどんを食べる事となった。汁に関しては高嶋が持ってきた物を水で割って使う事となった。

 ちなみにそれを切り出した時、野武士が明らかにやばい状態となった出汁をすっ、と取り出したので無言で取り上げて捨てた。明らかに腐ってそうな色していたから。しかし、出汁なら結構大きい物をいくつか持ってきたので、うどんを茹でたまま食べるという事はないだろう。

 とりあえず、竈を作って薪を入れてライターと着火剤でファイヤーしてお湯を作ってうどんを茹でて。できあがったうどん(製造日四年前)を恐る恐る食べてみると。

 

「案外イケる……!!?」

「ふーん!」

「くっ……殺したい、このドヤ顔……!!」

 

 まぁ、案外食えた。

 特に変な味もしないし腹を壊しそうな雰囲気もない。強いて言うならばちょっと味が落ちていたりしていたが、まぁその程度は誤差だ。悔しいと言わんばかりにぐぬぬ、と言いつつもうどんを食う千景。

 そしてうどんからそばを錬成して食う長野県民。

 

「って待ちなさい。なんでうどんからそばが作れているのよ」

「え? だってうどんよ? そんなのそばにできるに決まってるじゃない。ね、みーちゃん?」

「うん、うたのん。こんなの常識ですよ、千景さん」

「え? いや、でも……え? ……え?」

 

 世の中にはうどんを使ってラーメンを作れる人間だっているので、気にしてはいけない。

 とりあえずうどんとそばを食らった勇者達が次にする事は、体の汗を流すための水浴びだ。覗きをするような男なんて居ない……というか、もし居たとしたら誰も見ていないのでそのまま屠るのだが、一応バーテックスが襲ってくるかもしれないという事で数人見張りを立て、残りは水浴び、そして時間経過で交代という事にした。

 という事にしたのだが、最初に水浴びするのは千景と球子の独断により、ひなた、杏、歌野、水都となった。

 その理由とは。

 

「巨乳に囲まれたらタマは憎しみで暴走してしまう……!!」

「ついでに私も。あと、藤森さんは白鳥さんと一緒にしておけってガイアが囁いたわ」

 

 との事。

 という事で後から水浴びをするのは、絶壁組である球子と千景、かつて無理矢理貧乳連合に入れられた若葉と高嶋という事になった。

 ちなみに、この状況は一部の人間がwin-winになるようにしてある。

 ひなた、杏は水浴び後に若葉と球子の脱衣を見る事ができ、水都と千景は歌野と高嶋の脱衣をその目で見る事ができ、ついでに裸も合法的に見る事ができる。

 win-winである。誰が何と言おうとwin-winである。

 貴重な勇者と巫女の半数がレズと言うのは果たして大丈夫なのかと聞きたくなるが、まぁそこら辺はどうでもいいのである。

 

「と、とにかく、最初はわたし達が水浴びしてしまいますね?」

「とっとと浴びて変わっちゃいましょうか。そしてわたしはタマっち先輩の……うへへへへへ……」

「う、うたのんと混浴……でへへへへ……」

「み、みーちゃんからちょっと変なオーラが……」

 

 うへへへでへへへと笑うやべー奴らはそのまま水浴びしに行き、残りの四人は川の周囲で警戒態勢。

 もしもバーテックスが襲ってきたら即座に仕留める気ではあるが、その心配は杞憂だったようで、結局数分程度の水浴びの間、バーテックスが襲ってくるということは無かった。一応、巫女二人以外は武器を持ち込んでいたが、それを使う時は来なかった。

 

「それじゃあ、後はタマ達だな」

「えぇ。ゆっくりと汗を流しましょうか」

「そうだな。っていうかなんか視線を感じるんだが……」

「気のせいじゃない? わたしは何も感じないよ?」

 

 勿論茂みの奥で紫のと白いのが覗いています。そして諏訪組が半裸状態でくんずほぐれつしています。

 川には浸かるというよりも、本当に汗を流すためにササっと体を流し髪を洗う程度で、すぐに体を洗って着替え、勇者システムを起動する事で勇者装束を身に纏った。サッパリとした体で戻れば、鼻血を流すひなた&杏と、汗を流したばかりなのに汗をかいて息を切らしている歌野と、ぶー垂れている水都がそれを出迎えた。

 

「戻ったぞ……って、なんで二人は鼻血を流してるんだ?」

「いえいえ。最近は見れていなかったとてもいい物を見させていただきましたから」

「そうですそうです。偶にはああいう感じなのも背徳感があって実にいいですね」

「二人はかなりお楽しみだったようね。ちなみに私もとてもいい時間を過ごせたわ」

「え? なんでぐんちゃんはわたしの方を見ながらそう言うの?」

 

 盗撮プレイみたいな事をして実にいい時間を過ごした紫のと白いの。そしてガッツリと高嶋の脱衣と裸を見て心がとても清々しい気持ちとなった紅の。

 結局その三人がどうして満ち足りた表情をしているのか、被害者三人は理解する事ができずそのまま就寝の時間へ。

 テント内は前回と同じ配置+歌野&水都が参加するような感じで、水浴びを終えて暫く談笑したらすぐに眠気を感じて寝る事になった。一応、見張り役として二人が起き、一時間ごとにそれをローテーションして八時間ほどの睡眠を予定している。

 一組三時間が二回の六時間睡眠だ。これだけ寝れば勇者は全然戦える。

 

「それじゃあ、最初は私と高嶋さんペアが起きているわ」

「で、その次はタマとあんず」

「三組目は私とひなただな」

「で、フォースペアがわたしとみーちゃん。最初に一番長く寝れるけど、最後は寝れないのが四番目の辛い所ねぇ」

「厳正なじゃんけんで決めたんだ。仕方ないさ」

 

 と、いう事で最初は千景&高嶋ペアが起きて火を囲みながら一時間見張りをする事となったのだが。

 

『やっぱりこんな密室で二人きりなんて我慢できません! 若葉ちゃん、今日こそは!!』

『こんなに無防備なうたのんが悪いんだよ!! だから今日は見張り交代まで情熱的な夜を!!』

『『うるさい寝ろ!!』』

『『ぎゃふん!!?』』

 

 またレズによるレ〇プ未遂が起きかけたが、割と真剣に寝て体力を回復させておきたい野武士と農業王の怒りの手刀により、無事朝まで就寝コースとなり、野武士と農業王は一人で見張りをする事となったのだが、それはどうでもいい事だ。

 ちなみに、杏の方はというと。

 

「うへへへへ……ちっちゃいタマっちの抱き心地さいこうだよぉ……うへへへへへ……」

「zzzzzz……お、おもちが……zzzzzzz……」

 

 レ〇プ未遂は起こさなかったものの、怪しい笑い方をしながら球子を抱き枕にしていた。とても抱き心地が良かったとか。

 おまわりさん、こいつです。

 そして一度だけ襲撃があったのだが、その時は寝ぼけて杏の膝の上で横になっている球子と、そんな球子を膝の上に乗せてよだれを垂らしそうになっている杏の番だったので。

 

「うへへへへへ……ってうるさいハエだなぁ。死ね。よし、静かになった。うへへへへへ……かぁいいよぉうへへへへへ……」

 

 と、こんな感じで一人で勝手に処理したので、他のメンツはバーテックスが襲ってきたことに気が付かなかったとか。

 完全に杏の行動が不審者のソレである。

 こうして遠征一日目の濃い時間は過ぎていくのであった。




もう伊予島がただのロリコンで草生えますよ。そして安定の思考回路が巫女のソレじゃない巫女ンビ。おい誰だよこいつらを無垢な少女とか言った奴。思考回路が完全に変態のソレだぞ。

そしてここでも安定のうどんからそばを作り上げる長野県民共。うどん玉があるんだから茹でたらそばができるのは当たり前だよなぁ!?()
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