ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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今回はちょっと話を四国の方へと戻します。

もう暫くは焦点を北海道と沖縄に当てていくので四国組の出番がかなり少ないと思います。

というか普通に十数人もキャラが居るって一場面に出てくるキャラが多すぎて対処しきれないんじゃい!! 一個一個対処してたら簡単に二万文字突破するわ!!

……ところで、この作品の主人公って誰だっけ?


作戦会議

 もっと力があれば、と高嶋は思い続ける。

 あの巨大なバーテックス。勇者全員が力負けするほどのバケモノを相手に、高嶋は何もできなかった。針に拳を突きつけ、踏ん張った。

 この拳には、迫りくるものを打ち倒す呪詛がある。だから、この呪詛ならあんなバケモノを相手にしても、きっと戦える。そう思って、拳を振るった。

 その結果は、一方的な敗北だった。吹き飛ばされ、地面に叩きつけられ、全身を打撲。神樹様からの恵みもあり、傷の回復は常人よりも早いと言えるが、あの時立てなかった時点でそれに意味はない。

 もっと力があれば。

 もっと力が無いと、千景を守れない。あの時傷つけてしまったあの子を、守り通すなんて夢のまた夢だ。

 だから、もっと強い力が欲しい。

 例えどれだけこの身を砕くような残酷な力でも、それを全部利用しきって、敵を鏖殺できる最強の力が欲しい。

 千景を今度こそ守り抜くための、絶対的な力が。

 

「……しゅ、てん?」

 

 あぁ、あるじゃないか。

 大社から確認され、そして絶対に使うなと厳命された力が。その力が強大ゆえに、どれだけ強力な敵が来ても使ってはいけないと言われてきた、最強の精霊が。

 高嶋が歪に笑う。

 そうだ。この力なら。

 この力と呪詛があれば、例えどんな敵だって。

 あの巨大バーテックスだって、一人で。千景を守り、戦い抜く事が。

 

「友奈さん、大変です!」

 

 その時、杏が高嶋の病室のドアを乱暴に開けた。

 すぐに高嶋はいつも通りの表情を浮かべ、杏の方を見る。

 

「どうしたの、アンちゃん。ここ病院だよ?」

「それどころじゃないんですよ!」

 

 杏がここまで興奮しているのは、結構珍しい事だ。いや、最近はあんまり珍しくないかもしれない。

 足の毒がほぼ抜けきって普通に走れるようにもなった杏が高嶋へと詰め寄りながら自分の携帯に来た大社からの連絡を見せる。それを見た高嶋は、最初こそいつも通りの表情を浮かべていたが、すぐに驚いた。

 

「こ、これって……」

「北海道と沖縄から、未来の勇者の皆さんの仲間の通信があったんです。明日、北海道と沖縄の生き残りが四国へとやってきます。現地の勇者と、未来の勇者を三人ずつ。計六人を連れて」

 

 それは、本格的にこの四国が人類最後の拠点となる事を表しているのと、ほぼ同義であった。

 

 

****

 

 

 北海道と沖縄の四国への避難作戦。それは、神世紀勇者達の通信で判明した事ではない。

 八人全員が一度未来に戻って話を合わせようという事で、未来へと戻って直接顔を合わせて話し合った結果、判明した事なのである。

 ちなみに未来への戻り方は単純で、勇者達が過去に出た出口に入れば簡単に戻る事が可能だ。これは千景を始めとした過去の勇者も可能であり、千景は数時間前に一度、この時代へとやってきて園子の部屋から荷物を回収していたりする。あと、千景が若葉を気絶させた状態で引っ張ってきた結果、普通に拉致成功したので西暦勇者が未来へと遊びに来ることは普通に可能らしい。

 

「ゆーゆとにぼっしー組が北海道から~。フーミン先輩とイっつんが沖縄から来るって事だね~」

「えぇ、そうよ。でもまさか、風達と日程が被るなんて……」

「できれば乃木達には避難途中で合流してほしかったのだけど……そうも言ってられないみたいね」

 

 現時点で四国組、北海道組、沖縄組と別れた神世紀勇者達であったが、その三組が合流するために動くタイミングと言うのが、奇跡的に同日に行われる事がこの集まりで判明した。

 友奈、夏凜の北海道組は雪花が人々を動かしたことにより、北海道旭川周辺の人々は皆旭川へと集結し始めており、それに応じて星屑の襲撃も増えてきたため、現在は友奈、夏凜、雪花がローテーションを組んで星屑を迎撃している最中である。

 対して風、樹の沖縄組は既に民衆には避難計画は伝わっていたため、それまではそれぞれの生活をしつつ、避難準備を進めているという感じなので、人が集結する場所に出てくる習性がある星屑はあまり高頻度では出現せず、棗自身も強いためかなり余裕がある状況である。

 しかし、避難は何千人もの人が船に乗り、四国へと目指す。これを護衛するのは、たった三人の勇者。

 いくら何でも不安要素が大きすぎる。そのため、園子達先代組に道中で合流してもらい、共に四国へと向かう事を風が提案したのだが、同時に夏凜もそれを提案したことにより、今回の避難計画ブッキングが判明したのだ。

 風、夏凜、園子の各地域の暫定的リーダーは首を傾げ、悩む。

 しかしちょっと離れた所では。

 

「これ、アイヌって民族の衣装なんだって! どうかな、東郷さん。似合ってるかな?」

「あかん尊すぎて死ぬ」

「えへへ~。北海道の人に貰っちゃったんだ。多分持っていけないし、欲しいんならあげるよって」

「いや、これ何気に凄い貴重なモンじゃね!? だって北海道現地で貰ったアイヌ民族の衣装だろ!?」

「はっ!? そ、そうよ! 友奈ちゃん、その服もっと見せて! そしてあわよくばボディータッチを!!」

「だから自重しろやクソレズ! 樹ちゃん後輩、横格特格派生!!」

「これがわたしの! 赤い一撃(レッドフレイム)だぁ!!」

「ぐげぇ!!?」

「そしてこっちにも! 赤い一撃(レッドフレイム)だぁ!!」

「何で俺まで!!?」

「ウッキー! 今年はサル年!」

 

 あーもう滅茶苦茶だよ。

 青いのにアッパーが突き刺さり青いのが空を舞い、ついでにハゲにもアッパーが突き刺さり空を舞ういつも通りの勇者部が展開されており、参謀ズはとにかくスルー。しかしアイヌ衣装の友奈は可愛いので夏凜が写真を撮った。

 あとで美森に言い値で売りつけ代わりに友奈の写真を幾つか融通してもらう事を決めつつ、とにかくこれからの事を決める。

 

「とりあえず、乃木達にも一応援護には来てほしいのは変わりないわ」

「そうね。こっちも、デカいフェリーが二つもあるし、流石に友奈とあたしと、雪花の三人じゃ守り切れない可能性があるわ。こっちは攻撃範囲が狭すぎるのよ」

「かと言ってアタシ達の方も小回りが利くかと言われれば微妙なのよね」

 

 沖縄と北海道。そこの避難は基本的に神世紀勇者を戦力の中心と置き、雪花や棗は避難民たちの精神安定や神世紀勇者が手を付けられない場所を優先的にどうにかしてもらう遊撃部隊となる。

 しかし、どんな勇者も一人で相手にできる量は限界がある。特に友奈は、火車による超広範囲の放火が海上、船上では不可能なため、圧倒的にリーチが足りない。

夏凜も手数にこそ自信があるが、かといって超大量の星屑を相手に一匹もフェリーと言う大きすぎる的を守り切れるかと言われれば、怪しい。雪花は一応槍を投げては手元に召喚し、と夏凜に近い戦闘方法を心得ているものの、それでも通してしまうものは通してしまうだろう。

 逆に、風と樹は小回りが利かない。大剣という武器であるがために一撃こそ重く、薙ぎ払う事もできる風だが、かと言って夏凜程素早くは動けないので結局は手を付けられない部分が出てくる。

樹だって、唯一の中距離攻撃型ではあるが、ワイヤーの数は五本。ある程度広範囲を薙ぎ払う事は可能だが、小回りが利くかと言われれば怪しい。棗も、今回ばかりは船上での待機が厳命されているうえにヌンチャクと言うリーチがほぼ友奈と変わらない武器を使うため、風と樹の穴をカバーしきれるか、と言えば怪しいの一言に尽きる。

 この穴を互いの得意武器と得意距離でカバーし続けてきたのが神世紀勇者だ。しかし、似たような攻撃方法を持つ二人同士が組んでしまった以上は、穴ができてしまう。

 ならば、それを先代勇者が埋めるしかない。

 

「……それじゃあ、にぼっしー達の方には、こんな感じで。フーミン先輩達の方には、こんな感じでどうかな~?」

「ん、これなら……えぇ、そうね。大丈夫そう。一応聞いておくけど、園子達は満開は使った?」

「使ってないよ~。だから、そっちに合流するときか、合流した後に満開を使ってでも北海道と沖縄の人を守るようには言っておくよ~」

「頼むわ。それじゃあ、アタシ達はこの計画を現地に持って行くから、乃木の方も」

「任せといて~」

「起き上がりに! 赤い一撃(レッドフレイム)だぁ!! からのシャゲダン」

「ぐふぅ……こ、こいつ……マナーわりぃ……」

 

 三人は頷き、そしてそれぞれのチームメンバーを連れて西暦の時代へと再び戻った。

 そして園子は即座に二人と通信を繋げ、大社に各地に散った仲間たちがこの日に合流するために船でやって来るから、自分達はその援護に向かうと告げ、その報告が入院中の杏達にも伝えられ、今に至る。

 大社としては、生き残りを拒むわけにはいかない。もしもそれがどこかにリークされた場合は、勇者の運用どころではない信用問題が発生するからだ。

 それに、自分達の指示を聞く勇者は、少なくとも二人合流する。園子達出自が不明な勇者とは違い、北海道と沖縄の勇者は西暦の勇者システムを使わざるを得ない。無茶な命令をする気は勿論ないが、それでもメディア露出をさせる事ができる勇者が増え、沖縄と北海道の避難民を収容するのは決して悪い事ではない。

 

「一応、大社側はわたし達を動かす気はないみたいです。園子さん、でしたっけ。あの人達がやるから、わたし達はここで待ってろって」

「で、でも、わたし達も一緒に戦った方が!」

「大社曰く、特に友奈さんと若葉さん達はとっとと傷を治せとの事です」

 

 流石の高嶋もこれにはぐうの音も出なかった。

 そりゃそうだ。全身打撲で動けない勇者が一人追加されても介護要員が一人増えるだけだ。千景も関わっていないので特に高嶋は何も言うことは無かった。

 

「わたし達は待っていましょう。大丈夫です、あの巨大バーテックスすら倒した勇者の皆さんがいるんですから」

 

 杏の言葉に頷き、高嶋はベッドの上から窓の外を見た。

 未来の勇者達が不在の時、もしまた戦闘があれば。

 その時は、あの力で。

 

 

****

 

 

 先代勇者達の出陣は、あっという間だった。

 なにせ、移動には時間がかかる。途中で合流とは言っても、あっちが動き出したタイミングで先代勇者が移動を始めたとしても、恐らく合流にはかなりの時間がかかる。

 故に、先代勇者達は青森と鹿児島にて先に待機し、他の勇者達と避難民を乗せた船が見え次第、即参戦する事となった。

 

「本当に、私も行かなくていいの? 私の七人御先なら、園ねぇ達の手助けだってできるのに」

 

 しかし、それを行うのは先代勇者だけ。

 唯一無傷である千景は園子について行こうとしたが、園子がそれを拒否。千景には四国に残るようにと告げた。

一応、千景は自身の切り札の事を話しており、自身が七人に増えて戦闘を粉う事ができるという、物量戦に関してはピカ一の性能をしているとアピールした物の、やはり却下された。その前に一応若葉が口にした後遺症が不明、というのが元々却下しようという思考を後押しした。

 

「ちーちゃんは四国を守ってて。今、満足に戦えるのはちーちゃんだけなんだから」

「そうよそうよ。千景は四国に残ってなさい。こっちはアタシ達だけで大丈夫よ! なにせアタシ達よ?」

 

 と、言うのを実は未来の勇者部室にて話していた。

 なんやかんやで千景も未来へと戻る事が可能になったのだ。なら、未来で先にみんなと顔合わせだけしておこうという事で、勇者部達からしたら一日ぶり。千景からしたら三年ぶりに勇者部のメンツと再会する事となったのだ。

 千景も精神的に成長しているので、みんなと会っても久しぶり、程度にしか言わなかったが、心の中ではまたここに戻ってこれた事を喜んでいた。

 ついでに。

 

「夏凜さん、あの時は本当にサンキュー! アレが無かったらわたし、多分ここにはいなかったわ!」

「そ、そこまで感謝されることかしら……? まぁ、礼は受け取っておくわ。どういたしまして」

「未来のうどんもあまり変わらないんだな。藤丸、おかわり」

「はいはい。園子のご先祖さんもなんやかんやでうどん好きだったんだなっと」

「未来もあまり変わらないんですねぇ。あ、この園子さん、ちょっと若葉ちゃんみがありますね」

「キリっとする時はキリっとんだよなぁ、園子のやつ」

「……そば屋がほとんどない」

「だってここはうどんの聖地だもの」

 

 若葉と歌野とひなたと水都。半ミイラ状態の二人と巫女ンビなんやかんやで未来に遊びに来ていた。まだ入院している三人は来れなかったが、千景、若葉、歌野の三人の勇者と巫女ンビは自由に動けるので、大社に内緒で未来へと来ていたのだ。

 そして歌野は夏凜と再会し、あの日助けてもらったお礼をし、若葉はなんで未来と過去が繋がる道があるのかとか、未来がなんでもっとSFチックな事になっていないのかとか、いろんなことを考えた結果、考えるのを諦め、結果ハゲ丸のうどんを貪る事に。

 ひなたは園子の写真を見て、あらあらまぁまぁ。水都は未来のそばが食べたかったのだが、そば屋が殆ど存在しない事に絶望していた。

 

「それじゃあ、話も纏まったし、西暦に戻りましょうか。千景、西暦の四国は頼んだわよ」

「……えぇ。頼まれた以上は、成し遂げるわ。にしても今の私、もう風さんと同い年なのね」

「最年少だった千景が同い年なんて、人生分かんないものねぇ。一日見ないだけで大きくなりおってからに、このっ、このっ!」

「ちょ、風さん、くすぐったいわ」

「……なぁ、アレ、本当に千景か? 私の知ってる千景はもっとこう……少なくとも私がアレをやったら倍の威力でやり返される自信があるぞ」

「まぁ、千景さんも三年半ぶりの再会ですし、こうもなりますよ」

 

 なんやかんやで勇者部最年少ポジションだった千景は勇者部からしたら愛されマスコット枠なのは変わりないので、千景も当時に戻った気持ちで勇者部の面々と触れ合っているのだが、やべー奴となった千景しか知らない若葉達からしたらちょっと違和感が凄い。

 しかし、それ以上に若葉達はとある人物に視線を引かれていた。

 

「……しかし、結城だったか。友奈とそっくりにも程が無いか?」

「瓜二つよね」

「三百年後にこんなにもそっくりな方が……」

「髪型と髪留めを交換したらもう分からないんじゃ……」

「んー?」

 

 そう、友奈である。

 高嶋の方の友奈を知っている西暦組からしたら、友奈の存在は結構信じられないモノだった。何せ、三百年の時を経ているのに自分達の知り合いとそっくりな少女が勇者として戦っていた。

 若葉に関しては友奈に掴みかかってどうしてお前がここに居るんだ!? と叫んだほどである。何も知らない友奈からしたら初見の人に詰め寄られるという、若干怖い体験だった。

 

「いや、まぁ、私達の仲間にお前とそっくりさんな上に名前まで同じ奴がいるんだ。まぁ、実際に会ったら分かるか。その時は紹介しよう」

「へぇ~。じゃあその人と会うのを楽しみにしておこっと」

 

 まぁ、友奈と高嶋の関係性に関してはよく分からないので、偶然だという事で始末するしかない。とりあえず、先代勇者組はすぐにでも西暦に戻って青森と鹿児島へと向かわなければならないので、細かい話は実際に西暦で出会ってからという事にし、一同は未来から過去へと戻り、それぞれの作戦のために動く事となった。

 沖縄と北海道の合流は、もう少しである。

 

 

****

 

 

 ちなみに。

 

『あ、あれが私なのか……!? もっと当時の私はこう、クソ真面目というか真面目に生きる事しか能がないみたいな奴だっただろ!? なんでこんなにはっちゃけているんだ!?』

『チラッとあっちの方見てきたけど、わたしなんて闇落ち寸前なんだけど……? 明らかにやべー思考回路してるのが目に見えてるんだけど……? そりゃぐんちゃんの事は大切だけど……』

「……珍獣も大変なのね」

 

 牛鬼っぽいのと青い鳥がなんか若葉達を見てなんか愕然としていたが、まぁどうでもいい事だろう。

 もしここに牛鬼っぽいのと青い鳥っぽいのの仲間である三人が一緒に居たら何を言っただろうか。きっと、紅のは相当取り乱したことだろう。




未来でのアレコレはもうちょっと経ったら一気にバーッとやるので、今はちょっと放置というか、軽く触れる程度に。

最近、シンフォギアとゴジラがコラボするという事で、とりあえずスぺゴジ辺りからまたゴジラを見たんですけど、やっぱゴジラ面白いっすね。特撮見ている時が癒しと言うかなんというか。けどメガニューラは普通にキモかったので若干トラウマ。

あと、ガメラもかなり昔に見てもう記憶に残ってなかったんで見たんですよ。ガメラもカッコ良かった。
で、ガメラ3の最後に使った右腕犠牲にして放ったバニシング・フィストが個人的に一番好きだったんですけど……これ、火車の力を使ったゆーゆなら使える……? とか思っちまいました。

今度活動報告やアンケートで皆さんが一番好きなゴジラ作品と最強のゴジラを聞いてみるのも面白いなーとか思いました。それではまた明日。
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