ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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今回で出航。この話は沖縄方面に主な視点を当てていきます。

ところでこの作品の主人公って誰だっけ……?


出航

 沖縄の避難船の発進は勇者達の準備次第で行われる事となった。

 避難民と、船を取り仕切る船員達の準備は既に終わっており、あとは護衛を行う勇者達の準備が終わり次第の出発。

 それは、今まで生きてきた土地を離れる事。そして、その地を愛しその地で最後を迎える事を決意した先人達との別れでもあった。

 全員が百パーセント、それに納得しているわけじゃない。中には自分の祖父祖母に泣きついて一緒に行こうと泣く子供も居るし、どうして祖父と祖母は残るのかが十分に理解できず父と母にそれを聞く子供だっている。中には勇者になんとか祖父母の説得を頼もうとして、しかし両親に止められる子供だって。

 全員が全員、納得した状況ではないのが確かだ。家族との永遠の別れを、そう簡単に納得できるような者など早々いない。それは、風と樹がよく分かっている事だ。

 父と母に先立たれてしまった時の絶望。もう二度と家族の暖かさに触れる事ができないという事実は、とても痛く、重かった。だから、二人はどうしても準備ができたの一言が言えずにいた。

 自分達の一言が、もう二度と会えない家族を生んでしまうと思うと、どうしても。

 確かに決意した。決心した。先人達をここへ置き去りとして若き命を未来へと繋ぐことを。しかし、その決心はあれど目の前の光景は簡単に流せるものではなかった。

 

「……船長。こっちは準備ができた。いつでも出航してくれ」

「ちょっ、棗!?」

 

 そんな二人を見て、棗が船長に声をかけた。

 それは、先人達との別れを意味する言葉。家族を引き裂く言葉であり、いつかは言わなければならなかった言葉だ。思わず風が声を上げたが、すぐにこちらに視線を合わせてきた棗の目を見て、風は何も言えなかった。

 棗だって、この決断は辛い。自分がお世話になった人達をむざむざ置き去りにして、四国へと逃げなければならない。本当ならずっと沖縄を守り通したいが、それが難しく、一人でも犠牲者を多くするよりも先に四国へと逃げるという決断をしてしまった以上、勇者として、避難民の代表として、この言葉は言わなければならない。

 

「……ごめん、なんでもないわ。準備、できてるから」

「……すまない。辛い決断だが、しなければならない決断だ。だからせめて、最後の言葉はわたしが言おうと思ったんだ」

 

 一度分かったと首を縦に振っても、いざその時になれば躊躇してしまう。やっぱり嫌だと言ってしまう。そんな人が出るのは、分かっていた事だ。だが、そんな人たちにずっと意見を合わせる事だってできない。

 だから、代表してこれは口にしなければならない事だ。

 棗の言葉に頷き、そして風も改めて覚悟を決める。この場で悪者となる覚悟を。

 

「……ほら、もう船に乗りなさい!! すぐに出航するわよ!!」

「ふ、風?」

「こん中じゃ一番年上で、勇者部の名誉部長よ? せめてこれぐらいの事は言わせなさいっての。ほら、早くしないとバーテックスに食われちゃうわよ!! 早く船に乗りなさい!!」

 

 風の言葉を聞き、続々と先人達と最後の別れを済ませた家族が船に乗って行く。中には泣き喚くが抱えられて船の中に連れていかれる子だっている。

 自分達の時代も、こうやって悲しみがありながらも作られた時代だ。きっと、自分達が居ない過去で。自分達の時代に繋がるこの時代では、棗がこの光景を一人で目に焼き付けた。だから、せめてその悲しみを肩代わりするために。いや、共に抱えるために、風も声を出す。

 樹も風の言葉を聞いてから立ち上がり携帯を見るが、すぐに血相を変えて風と棗の元へと走っていく。

 

「お姉ちゃん、棗さん!」

「どうしたの、樹」

「バーテックスが。大体、三百体くらいがここに来てる。急いで船を出さないと、多分乱戦になるよ」

 

 三百体。

 風と樹からしたら、その程度は木端。数分もあれば片付くレベルだが、ここで戦闘するのはマズい。守る対象が多すぎる。しかし、だからと言って勇者達が船に乗り込んで移動を始めれば、襲ってきたバーテックスは即座に老人たちを襲うだろう。

 老人たちを見捨て即座に避難を開始するか、この場で乱戦を開始するか。状況は、二つに一つとなってしまった。

 だったら。

 

「樹、棗、船に乗りなさい! アタシがそのバーテックスん所に行って全部やっつける!」

「無茶だ! 風一人では、そんな数を海上で相手するなんて無茶にも程がある」

「大丈夫よ。アタシ達には、切り札がある!」

 

 そう。ならば、襲撃が完了する前にこちらから襲撃して、全て倒してしまえばいい。風は自身の満開ゲージに手を当て、エネルギーの残量を確認する。

 十割。満開回数は合計三回である風ならば、大体十分前後と言った所だろう。勿論、戦闘時のエネルギー消費によって満開維持の時間は変わるが、それでも星屑が三百体程度なら、三十秒も有れば事足りる。

 

「星屑はアタシに任せて、今は船に乗って。船長さん、すぐに船を出して! バーテックスが来るわ!!」

 

 風の言葉に、船長は即座に船を動かしにかかる。それを見た棗は暫し風と船の方へ視線を行ったり来たりとしていたが、樹がその手を掴んで無理矢理跳躍し、棗を船に乗せる。

 対して風は一人海の方を見て、方角を確認。このまま待っていたら、五分後には接敵する。

 迷っている暇は、ない。

 

「行くわよ」

 

 一人空を見上げ、呟く。

 決断は済ませた。後は、これで終わらせる。

 

「満開!!」

 

 その言葉がキーワードとなり、風の満開ゲージからエネルギーが溢れだし、風の体を黄色の光が包み込む。そのエネルギーに体が押し上げられ、神にも匹敵する力が与えられたと同時に衣装が変化。風の背後にオキザリスの花弁を模した光が溢れる。

 神々しいとすら言えるその光景に老人たちと、そして船に乗った避難民。そして、棗の視線が光を放ち宙に浮かぶ風へと注がれる。その視線を注がれる風の視線は、海の向こうへ。ポツポツと見えてきた、白いバケモノ達へと、注がれている。

 一匹たりとも、逃しはしない。通しはしない。

 たった数日ではあったが、お世話になったこの土地を、ここに居る以上は蹂躙させない。

 

「ぶッ、潰ッ、れろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 風が叫びながら大剣を構え、先端が雲を突き破る程にまで巨大化させる。大剣と言う括りを。剣と言う括りを完全に超えた、質量の暴力とも言えるソレを風は両手で握り込み、横一文字に振るう。

 大きさゆえに振るわれる速度は普段よりも遅い。だが、その攻撃範囲は星屑の移動速度程度では決して避ける事はできない。剣が通った場所が光り爆発し、空に巨大な花火が打ちあがるが、風は大剣を一度通常のサイズに戻すと、それで自分の体を隠す。

 直後、極太のビームのようなものが空の彼方から飛来し、風の大剣に直撃する。

 

「風!」

 

 ビームが爆散し、煙に包まれる風を見て思わず棗が声を上げる。

 沖縄の民もその光景に思わず悲鳴を上げたり声を出したりと、風がやられてしまったのだと感じ取っている。

 だが、そんな事はない。

 満開した勇者が、バーテックス程度に遅れを取るハズなどない。それを体現するかのように、煙の中から巨大となった大剣が射出され、空の彼方へと飛んでいく。そこから更に飛び出してきたのは、風本人。

 

「ナメんじゃないわよッ!!」

 

 射出した大剣に追いつくほどの飛行速度で風は一気に空の彼方へと消えていく。

 その先に居るのは、棗が見た事無い程巨大なバーテックス。船員から双眼鏡を奪い取るように借りて強化された視力も併用しそれを見つけた棗は言葉を失うが、風は一人それに勇猛果敢に攻め入る。

 射出した大剣が巨大なバーテックス。ヴァルゴの体に突き刺さり、更に突貫していた風がその大剣の柄に膝蹴りを叩き込み、三十メートルもあるヴァルゴの体の三分の一が縦に割れる。その時の衝撃は海を伝わり船を揺らす程であり、どれほどの威力があったのか予想なんてしたくないほどだ。

 だが、ヴァルゴはまだ死滅していない。突き刺した大剣を今度は両手で持ち、更にエネルギーを込める。

 

「さぁ、内側から破壊される気分でも味わいなさい!!」

 

 突き刺した状態での、更なる大剣の巨大化。それは、ヴァルゴの体が一気に縦に裂ける事を意味していた。

 体が内側から砕け裂ける音をヴァルゴは聞きながらも、苦し紛れの爆弾を射出するが風は全て精霊バリアで難なく防ぐ。最早なんの躊躇もなくエネルギーを込め終わった風の大剣は巨大化を終え、ヴァルゴは完全に縦に両断されそのまま虹色の光を放出しながら消滅していった。

 凄い、の一言しか言えなかった。巨大なバーテックスをたった一人で、空を飛んで倒して見せる風の姿は正しく勇者。未来のスペックの暴力と言うのを改めて棗は知った。

 しかし直後に、樹が自分の携帯を確認して棗から双眼鏡を奪い取る。

 

「い、樹?」

「ま、まずい……ピスケスが!」

 

 樹が携帯で確認したのは、残存勢力が残っていないか。確認し終え、高速で接近している赤い点を見て樹は肉眼で迫ってくるものを確認した。

 そこに居るのは、ピスケス。魚座の名を冠したバーテックス。

 地面を潜れるという事は知っているが、まさか海中ですら自在に動けるとは思っていなかった樹はそれに面食らうが、ピスケスが海中から飛び出して船に向かって突進をするのを見て双眼鏡を投げ捨て、右腕に武器を召喚。ワイヤーを飛ばし、一瞬でピスケスを空中で拘束して見せる。

 だが。

 

「くっ、ぬぬぬ……!! スペックダウン、してるから! 力負け、する……!!」

 

 ピスケスはワイヤーに拘束された状態で足掻き、樹のワイヤーから逃れようとする。

 しかし樹もすぐに拘束が解かれぬよう、五本のワイヤーの先端をピスケスの体に突き刺して空中で三十メートルもあるその巨体を浮かせているが、樹の表情はとてもじゃないが大丈夫と言えるものではない。

 何トンもありそうな巨体を、右腕から伸ばした五本のワイヤーだけで支えているのだ。その負担がどれほどのものかなど、考える間もなく分かる事だ。

 故に棗が樹の張り巡らせたワイヤーを足場に、ピスケスへと駆ける。

 

「例え巨大だろうと……! 花により散れっ!!」

 

 そのままピスケスの上に乗り、跳躍。そして落下の勢いと自身の腕力に任せてヌンチャクを叩きつけるが、ピスケスの体には傷一つ付かない。

 

「硬っ……!?」

 

 十二星座の名を冠するバーテックスの硬度は、並ではない。全盛期の風達ですら、その硬度と再生能力によって封印の儀無しでは倒す事が困難なほど。御霊が露出するほどの攻撃。即ち、先代組のように一人が解体に徹し、そして残りが露出した御霊を数秒で破壊する事ができれば倒す事もできようが、それと同じ真似を棗ができる筈も無かった。

 ここに来て感じる、圧倒的なスペック不足。樹の武器は解体向きではなく、雑魚相当と拘束のサポート向き。そして棗の火力も、ピスケスを解体せしめるほどではない。

 詰み。その言葉が一瞬棗の脳裏をよぎったが、それは間違いだ。

 まだ、満開を維持する風が居る。

 

「退いて、棗!」

「風か! わかった!」

 

 風の叫びを棗が聞き、海へと棗が飛び込んだ瞬間、風が空から落ちてきて、樹が即座にワイヤーを回収する。

 

「一刀両断! 女子力斬りぃ!!」

 

 そして、文字通りの一刀両断。三十メートル以上となった大剣を振るい、ピスケスの巨大な体が文字通り中心から両断される一撃は、御霊ごとピスケスを斬り裂いて虹色の光を放たせるに至った。

 

「これが、勇者部終身名誉部長、犬吠埼風の力よ! だから、安心しなさい! このアタシが、この船に乗る人を守ってみせるわ! お代はもう貰ってるから、嫌と言っても無理矢理守ったげるわ!」

 

 風の大剣を掲げながらの叫びに、船からは歓声が溢れる。そして、港から船を見届ける老人たちも、頷く。

 この人なら。勇者達ならきっと、どんな敵が来ても勝てる。この光景は、そんな希望を与えるには十分な光景だった。

 

「風にあんなことを言われたら、こっちも頑張らないとな」

「そうですね。お姉ちゃん、もう満開が使えないのに大口叩いてるし、わたし達でなんとかしないと……」

「そうなのか?」

「あれ、数日に一回十分だけ使える時限強化武装です」

「なるほど、道理で強いわけだな」

 

 そして、もう満開が使えないのに大口を叩く風に対し、樹は溜め息を吐き、棗はその強さの理由に納得する。

 だけど、大丈夫だ。この調子なら、二日間にも及ぶ船旅をきっと無傷で終わらせられる。

 棗の死の運命も、二人の尽力によって変わるのだった。

 

 

****

 

 

 北海道のフェリーが出発してからのバーテックスの襲来は、十分に考えられた。

 天の神が人間の避難をそうやすやすと見過ごすわけがない。そんな神世紀勇者の想定が外れる理由が無かった。

 北海道のフェリーが出発し、大体三十分ほどか。空を埋め尽くすほどの星屑が太平洋の方からやってきたのは。

 

「バーテックスは人の多い所を優先的に襲う傾向がある……とはあたしが分析した事だけど、まさか空を埋め尽くす程なんて……」

「ちょっとばかり骨が折れそうね。行くわよ、友奈!」

「うん!」

 

 しかし、友奈と夏凜はそれに対して全く怯えず怯まず。フェリーの上で構え、夏凜は両手に剣を。友奈は両手両足に炎を纏わせ、雪花にフェリーの方を任せて友奈が先に空へと飛び立つ。

 両手両足から火車の力で炎を噴出し、その力で空中を駆ける。ぶっつけ本番の友奈なりの飛行だったが、それは上手くいき、若干バランスはとりにくいものの友奈はしっかりと空を飛んだ。

 

「爆炎! 勇者キック!!」

 

 空中で友奈が蹴りを放ち、その軌跡にそって炎が飛び、炎が一瞬光ったと思えば今度は大爆発を起こし、空を埋め尽くす星屑の中に空洞ができあがる。

 しかし星屑は数によってそれを即座に埋め、友奈を真っ先に食らわんと迫ってくる。

 雪花が遠方から槍を投げてはその手に新たな槍を生み出し、と友奈を援護するが、敵の数からして焼け石に水状態。援護すらまともにできない自分に歯噛みする雪花であったが、友奈は追われれば再び空を駆け、そしてちょっと距離を取れば炎を再び放出して一気に数十体の星屑を屠っていく。

 

「友奈、下がり過ぎ! 一度斬り込むわよ!」

「うん!」

 

 それでもじり貧となりかけた時、夏凜が船の上から大跳躍を行い星屑の上に乗り、星屑そのものを足場にして空を駆けて星屑を斬り裂いて行く。

 なるべく一発でも攻撃は食らいたくない。掠る程度ならすぐに満開ゲージのリチャージによって即座にエネルギーは満タンになるが、しかしその瞬間だけは咄嗟に満開を行う事ができなくなる。一度食らい付かれれば、恐らく回復までには数分を要する。その数分間、咄嗟に満開を使えないのは痛すぎる。

 そのため、なるべく満開をいつでも使用できるようにするためにヒット&アウェイを、満開を使わない空中戦によって行う必要があった。

 しかし、分が悪い。地上に勇者キックを放ち、広範囲を焼き尽くす事ができない以上、友奈の攻撃はどうしても拳と足を震える範囲を燃やし尽くすのが精いっぱい。夏凜だって星屑を足場に空を駆けているが、対処できるのは両手の剣が届く範囲。

 雪花だって二人が頑張っても、どうしても抜けていく星屑の対処に忙しい。

 一応、フェリーの方は出入り口を完全に封鎖しているため万が一はないだろうが、それでも三人で守るには的が大きすぎる。

 文句は沢山出てくるが、それでもやらねばならない。

 

「十文字! 勇者キック!!」

「ちょこまかとぉ!!」

 

 横と縦に体そのものを回し、炎で星屑を焼き払い、夏凜も空を駆けてなんとか星屑を掃討していくが、やはり手数が足りない。まだ星屑は大量に居る。それを倒すには、どうしても二人だけでは手数が足りない。

 樹か美森のどちらかが居ればそれも解消されるのだが、ない物ねだりはできない。

 故に。

 

「夏凜ちゃん、わたしが最初に使うよ!」

「わかったわ!」

 

 満開を使う。

 

「久々の! 満開ッ!!」

 

 空中の友奈から桜の花びらをかたどるような光が溢れだし、友奈の勇者装束が変化する。

 神世紀勇者の切り札、満開。それを使い、友奈の両手には巨大な腕が装着される。それを握り込み、満開時の機能の一部である飛行能力を存分に使い、空中を友奈が駆ける。

 

「あ、あれが満開ってやつ……? 確かにアレなら白玉程度どうにかなるわけですわ……」

 

 その様子を見た雪花は、思わずそんな事を呟いた。

 話には聞いていた満開。そのスペック向上がどれほどの物かは今まで想像するしかできなかったが、しかしその目で見れば満開がどれだけ強大な力なのかが理解できた。

 アレは、確かに決戦機能足る力だ。

 

「この満開で、全部倒す!!」

 

 満開してからエネルギーのリチャージ完了は、約五日。一日に花びら一枚がリチャージでき、それが五日間でようやくリチャージ完了。満開は一応、満開ゲージがマックスでなくても使用は可能だが、最低でも花びら一枚は必要となる。

夏凜が当初こちらに来たときは一枚当たり一分程度しか満開は使えなかったが、急遽入ったアップデートにより一枚につき二分。最低でも計十分の満開が使用可能となっている。恐らく最も満開経験が豊富な園子なら、十五分は満開できると思われるが、しかし連続での使用はできない。

 そのため、本当に切り札中の切り札となった満開であったが、それを出し渋る理由はない。

 空を飛び、片っ端から星屑を撃破し、三分も経たない内に友奈は空を埋め尽くすほどだった星屑を倒し終わる。残り満開時間は七分。

 

「雪花、船内の人にどこでもいいから掴まるように指示しなさい!」

「えっ、なんで!?」

「最初から決めてたのよ! 友奈が満開したら!」

 

 七分もあれば、十分。

 友奈は精霊バリアに物を言わせて海中へと潜り、腕を遠隔操作。そのまま船の底を掴み、全力で力を込める。

 

「船を持ち上げて、空中を移動するって!」

「それって……うわわわわわ!!?」

 

 そして、船が持ち上がる。

 二隻の船底近くでは満開状態の友奈。彼女の巨大な腕は、何トンもありそうな二つのフェリーを片腕ずつで持ち上げ、しっかりと空中を浮遊していた。しかし、それの保持は友奈が自らの腕に込める力と、気合次第。火車の力も借りて炎で移動力や保持力などをブーストしながら、船は本来の海路をかなりショートカットする。

 が、船内は警告が遅れたためにかなりの大パニックが起こってしまっている。そこら辺はご愛敬と言う事で。

 

「やった、上手くいったよ!」

「絶対に手を離さないでよ、結城っち! 多分これ落としたら船が壊れるからね!?」

「はーい!」

「の、呑気な事で……」

 

 急に呑気な事を言ってくる頼もしい仲間に雪花は息を吐きつつも、なんやかんやで空中の旅を数分間だけ楽しむのであった。




流石のなっちも今回ばかりは火力不足で若干スペック不足を感じる物の、仲間が心強いので特に気にせず。沖縄方面は明らかにヤバい感じの襲撃があったものの何とか無傷で切り抜ける事ができました。

で、北海道の方は出航してからすぐに星屑だけの襲撃があったものの今さらゆーゆ達には……と思いきや、攻撃範囲と護衛対象、戦闘区域の問題から満開を使用。倒すだけなら特に問題は無くても、水上での戦闘をしながら足場に一切の攻撃を向かわせる事無く戦わなければならないのでゆーゆ達は相当苦戦した模様。

次回も北海道方面の話となります。
まぁ、今回が結構沖縄方面でのあれこれでしたしね。それでは次回お会いしましょう。
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