さてさて、前回で消えてしまった神世紀勇者達は一体どうなったのか……まぁ、大体の人は分かっているとは思いますが。
このまま完結までは結構シリアスに行きますぞ。だってギャグ挟む暇ないし……
あの時消滅した神世紀の勇者達は死んでいなかった。
消滅した神世紀勇者達は、全員が息をのんだあの一瞬、体がどこかへと引っ張られるような感覚に襲われ、それに対抗していたのだが、それを振り切る事ができずに光に呑まれた。
その結果、神世紀勇者達は亜耶も含めてあの地から……西暦の時代から弾き飛ばされた。そして。
「……ここは、あの社ね」
神世紀勇者達は全員、過去に移動するための社へと飛ばされたのだった。
過去への強制送還。あの時園子と藤丸が体験したそれが強制的に成され、神世紀勇者達は成すすべもなく未来へと送還された。
「だったら何度だって過去に行ってやればいいのよ!!」
だが、戻されたのならまた行けばいい。夏凜がそう叫びながら鳥居を抜けるが、夏凜は過去に行けなかった。いつものように鳥居が過去に向かうための門になっていなかったのだ。
鳥居を通り抜けた夏凜は過去に行けなかったことに軽く呆然としたが、すぐに現実を受け入れてクソっ……と言葉を吐き捨て、勇者達の元へと戻った。
「ど、どうしよう……このままじゃ高嶋ちゃん達が……」
「どうしようと言われても……幾ら何でも、私達の力じゃ過去に戻るなんて……」
こうしている間にも、過去で初代勇者達は戦っている。あの絶望を相手に。
しかし、今の神世紀勇者達には単独で過去に渡る力が無い。
何故未来に戻されたのか。何故過去に行けないのか。それが分からず、分かったとしても過去に行くための手段をそう簡単に取れない以上、この状況は詰みと言っても過言ではなかった。
『……若葉ちゃん』
『……そうだな。そろそろ、私達も腹を括るしかないのかもな』
****
四国へと戻ってきた若葉達はすぐに丸亀城へと帰還し、天の神の襲来と共に即座に神託を受けた巫女達と顔を合わせた。
「すまない、ひなた。あれだけ意気揚々と出撃しておきながら、結局は逃げ帰ってきた。しかも園子達は……!!」
「大丈夫です、若葉ちゃん。この作戦で相手が本気を出してくる事は想定内でした。それに、園子さん達に関しても既に神託が来ています」
若葉が口にしたのは、今回の作戦の失敗の謝罪。そして、神世紀勇者達の事。
しかし、元より相手が本気を出してくる……つまり天の神が出現するかもしれないという事は既に最初から勇者達の中で懸念されていた事。そのため、あまり気にする必要はない事だ。
次に未来の勇者たちの事。それに対しては既に巫女達が答えを得ていた。
「神世紀の皆さん……亜耶さんも含めてですけど、どうやら天の神が未来に強制的に送り返したらしいんです。いえ、未来に閉じ込めた、とでも言うべきでしょうか」
未来に送り返した。
その意味が少しわからなかったが、すぐにひなたと水都が説明を付け加える。
「まず前提ですけど、神世紀の皆さんは全員生きています。これは分かっている事です」
「い、生きているのね! そう、ならよかった……」
まず、神世紀勇者達は未来へと強制送還されただけだ。故に、死んではいない。寧ろ傷一つ負っていないと考えて差し支えないだろう。
その言葉に千景や、他の勇者達も安堵の息を漏らすが、送還されたのならすぐに戻ってこればいいだけの話。それが成されていないという事は。
「次にですけど、もう未来からの援軍は見込めそうにありません」
「それはどういう事ですか? さっきも未来に閉じ込めたって言ってましたが……」
「先ほど神樹様からの神託でわたし達もようやく理解したんですが、わたし達が知る神世紀は、言ってしまえば平行世界なんです。いえ、どこかを基点に分岐した時間軸、といった方がいいかもしれません」
「分岐した時間軸……? タマ、そこら辺の難しい話はちょっと分からないぞ……」
「えっと……つまり、今のわたし達が居るこの時間が時間軸Aだとすると、未来のみんなの居た時間軸は、時間軸Aのどこかから派生した時間軸Bなの。世界の修正力じゃ修正しきれないほどに歪んだ結果、独立して進み始めた時間軸。それが、この世界と未来の世界なの」
水都が枝を手にして線を簡単に引いて自分達と神世紀の関係性の説明を簡単に始める。一本の線。つまり、今の自分達が存在する時間軸Aを引き、その途中で時間軸Aから枝分かれして時間軸Aよりも長い時間軸Bの線を書く。
この時間軸Bこそが、世界の修正力では修正しきれなくなり枝分かれする形で派生した、神世紀勇者部が存在する時間軸だ。
初代勇者の内、四国外の勇者はそれぞれの地で戦い死に、杏と球子がスコーピオンに貫かれ、千景が心を病み若葉を庇って死に、高嶋が神樹様との同化により消滅し、乃木若葉と上里ひなたが大社のトップとなりバトンを託した、時間軸。それが、時間軸B。
「で、未来のみんながこっちに来れたトリックなんだけど……多分最初は、時間軸Aも時間軸Bも一本の時間軸だった。でも、どこかで世界が修正しきれない決定的な何かが入り込んだ結果、時間軸は枝分かれした。多分それが……」
「……園ねぇと藤にぃの過去への干渉」
「うん。それも、勇者っていう世界の命運すらも左右する存在への直接的な干渉。それが起こったせいで、時間軸は枝分かれした」
つまり、園子と藤丸が最初に行ったのは、本当にただの時間遡行だった、という事だ。
とある神が戯れで一度起こした、たった数年の間の時間遡行。それを元に行われた、とある誰かを救済するための時間遡行。彼女が戦い死ぬまでの短い人生を悲しい記憶だけで終わらせないための、優しい時間遡行。
最も、これを水都達は知らないが。
しかし、最初の園子達の過去への干渉は時間遡行による干渉だった、というのはハッキリと分かる。
「その後なんですが、時間軸が決定的に枝分かれした事により、時間の流れが変わる等の弊害が起きました。そして、時間遡行ではここへと来れない筈なんです」
「時間軸っていうのは、言っちゃえば平行世界だからね。でも、未来のみんなはどうやってか平行世界である時間軸Aへと干渉ができたんだ。こんな感じに」
水都が線の長さが不揃いだった二つの線の先端を斜めに引いた線で繋げる。
「世界ごとに時間の流れが違ったり、何か決定的に違う物があるのは当たり前なの。それが時間軸の枝分かれだから。でも、二つの時間軸がこうやって斜めの線でつながった結果、この線が壊れないように時間軸Aと時間軸Bの時間の流れは同じになって、この線は時間軸同士を繋げるトンネルになった。一体どうして時間遡行や時間軸移動をしたのかは不明だけど、これが未来のみんなの時間遡行のトリックっていう事」
時間遡行ではなく、時間軸移動。
未来を改変せずに過去だけを改変した結果起きた、時間軸の分裂による平行世界化。西暦勇者の内半分ほどはそれを理解できなかったが、ゲームと本でそういう時間や平行世界の事を見てきた千景と杏、言葉通りに受け取りそのまま理解した棗、自分の中である程度の仮設は立てていた雪花の四人は未来の勇者たちが起こした奇跡の内容を理解する事ができた。
「……なるほど。で、どうして未来からの援軍は見込めないの?」
だが、それならトンネルは存在している。もう一度そのトンネルを通ってこれば、未来の勇者達は今すぐにでもここに来れる筈だ。
だが、来れないというのは理由がある筈。
その理由を理解しているのかと聞いてみれば、ひなたも水都も頷いた。
「まず、天の神はこのトンネルの進行方向を変えたんです。双方向からではなく、一方通行に。そして、同時にその設定も変えました。誰もが通れるのではなく、未来の存在だけが通れるようにして、範囲もこの世界全体へと。それが終わった後に、トンネルの向きを再び変えられないように出入り口を封鎖した。これだけなんです。これだけで、未来からの援軍は見込めなくなってしまったんです。それに、もしかしたら出入り口が封鎖された事によって時間の流れが異なり始める可能性もありますから……もう、未来からの援軍は天の神をどうにかするまで見込めないと思う他ありません」
トンネルの進行方向、トンネルを通れる存在の選定、その範囲。そして、最後に出入り口。
これを神が片手間に変更しただけで未来の勇者達は自分の意志ではどうする事もできずに未来へと強制送還された。
「だったら、短い間だが抵抗できていたのは……」
「それは分かりませんが……多分、気合じゃないでしょうか。気合でこの世界に留まり、アレと戦おうと立ち上がろうとしていた。でも、このトンネルは神が作った物ですから、それに抗うには人の身では……」
友奈が唯一それにかなり長い間対抗できていたのは、彼女が御姿だからだ。
最も神に近いとも言えるその体のお陰で、神による干渉にも対抗する事ができていた。しかし、そんな友奈でも世界のルールには逆らう事ができずに、強制送還されてしまった。
そして、天の神はトンネルの出入り口を破壊し、未来からの援軍の可能性を完全に潰した。
潰されて、しまった。
「……わたし達ができる事は、あの神と戦う事だけです。既に大社の方では色々な案が飛び交っていますが……結局は直接対決になると思います。結界の方を見てください」
残された道は、抵抗か、死か。
死を選ばない以上、戦うしかない。
だが、ひなたの言葉に従い振り返れば、そこには絶望があった。
「……結界の中からでも、見えてしまうのか」
自分達が逃げ込んできたときには見えなかったはずの天の神。それが、結界の中からでも見えてしまっているのだ。更に黙り込んで少し耳を澄ませてみれば、街の方からの様々な声が聞こえてくる。
天の神を見てしまったことによる困惑の声や悲鳴などが。
結界で見れるものを選定したとしても見えてしまう程の存在……いや、神樹様の力が及ばない敵、と言った方がいいのかもしれない。
「今は、神樹様が天の神を神同士の見えない領域で押し留めてくれています。ですが、神樹様は力を残さないといけない以上、長くは持ちません。バーテックスだって恐らく攻めてきます。きっと、樹海だって出す余力は、残ってません」
「天の神を押し留めていられる期間は、土地神様に海の神様。それから、カムイ様を含めても、多分――」
――一週間。
それが、西暦勇者達に残された時間だった。
「……一週間。それまでにアレと戦い勝つための手段を講じる、か」
若葉の言葉に勇者達が頷く。
全員が、直感で感じた。
勝てない、と。
一度見た満開という力よりも遥かに次元が違うあの存在を相手に、自分達の全力が通じるかと言われれば、否。絶対に通じない。
通じるわけがない。
でも。
「……やるしかない、か。いいだろう。勝ち目のないギャンブルに勝ってこそ勇者という物だ。偶には物語の主役らしく、ジャイアントキリングを果たすとしよう」
状況は絶望的。手札は既に無く、守るべき存在達の暴動すら考えられる。
だが、それでも。
勝てないと確信した戦いでも、きっとこの仲間達とならば、ジャイアントキリングを成し遂げられる。天の神だろうと、殺して見せる。
「いきなり来た正念場だが……やるぞ。奴はあそこに存在している。ならば、斬れる。殴れる。撃てる。奴がナメ腐った人間という矮小な種族の力……見せつける時だ!」
若葉が生太刀を抜き、構えたその瞬間、結界に歪みが生じる。
その歪みから現れたのは、バーテックス。それも、完成型の巨大なバーテックスだ。
「守るぞ、人を! 殺すぞ、神を! 来い、義経!!」
「あの神をぶっ殺してもう一度みんなに会うために……みんなで笑いあえる明日のために……! 行くわよ、七人御先!!」
「みんなの未来を翳らせないために、苦しい思いをさせないために! 力を貸して、一目連!!」
「よく分からんがとにかく倒せばいいんだろ! 敵を倒せば全部が終わる! だったらやりきるだけだ! そうだろ、輪入道!!」
「わたし達は、未来を諦めない! 諦めたくない! 平和な時代をまた歩みたいから……だから! 一緒に行こう、雪女郎!!」
四国の勇者たちの姿が変わる。
風を纏い、炎を纏い、氷を纏い、力を纏う。超常の力を纏った勇者達だが、それでも一人では立った一体のバーテックスにすら及ばない。
だが、この場に居る勇者は一人じゃない。
「ここを諏訪みたいにはさせないわ。出し惜しみをするつもりはないけど……交代要員程度にはパワーを残しておかなきゃね。パワーを貸している以上は、みんながフリーダムに動けるようにサポートするわ!」
「ったく、一人でも生に縋りついて生きるって決めてたのに……この四国にラーメン信仰の宗教でも作ってもらうくらいしないと釣り合わないっての。まっ、それをやる前にこの世界を潰されちゃたまんないから、やっちゃりますか!」
「わたしの手には、みんなの祈りが詰まっている。助けてほしい、守ってほしいという祈りが。それを叶えるために……天の神よ。花達により散れッ!」
そして、一週間にも及ぶ最終決戦が今、始まった。
マキオン楽しいFOOOOOOOOって感じでマキオンやってますが何故かアケコンが高騰していて中指立ててファ〇クって言いたくなる。給料入ったら即新品のアケコン買おうと思ってたのに……!!
社会人になってから平日にゲーセンに行くとかできなくなったので、ガンダム欲を家で消化できるマキオンは神。はっきり分かんだね。
それではまた明日、お会いしましょう。