今回は赤奈ちゃんが書きたくて書いた話になります。もうすぐ四人目の友奈である芙蓉友奈ちゃんのキャラデザとか、彼女の物語が解禁される事ですし、とりあえずその前に三人の友奈でやらかそうと思いまして。
果たしてまだどちらかと言ったら原作寄りな赤嶺ちゃんは二人の友奈ちゃんに巻き込まれてどうなるのか……!!
赤嶺友奈は端的に言えば、今回の催しの案内役であった。
勇者でありながら勇者の力たる勇者システムを持たない少女。それが、赤嶺友奈だ。一応、対人に特化した勇者システムを新たに受け取ったため、勇者としても戦えない事は無いのだが、赤嶺はどちらかと言えば対バーテックスよりも対人を好む。
そういう訓練をしてきたからと言えばその通りなのだが、赤嶺も友奈族の例に漏れず、結構バトルジャンキーだったりする。それ以前はブレイクダンスなんて洒落た物を嗜んでいたが、訓練を受けてからはなんかこう、自分の中の友奈としての血が騒ぎ、対人訓練大好きっ子へと変貌した。
そのついでに筋肉大好きっ子にもなった。
「なるほど、赤嶺さんはわたくし達の過去からやってきた勇者ですのね」
「そうなるね。というか、神樹様が高嶋先輩を取り込まなかった以上、西暦の時代でわたしは産まれないと思うな。産まれたとしても、赤嶺家の誰かさん、だろうね。この顔でも、この名前でもない誰かだと思う」
「あら、そうなんですの?」
「んー、まぁ、簡単に話すと各時代の友奈には共通して魂の祖先こと高嶋先輩がいて、わたし達はその子供って感じなの。だから顔が似てるんだ。ついでに言うと、強制的に逆子になります」
「ふむ……つまり高嶋さんとは魂の姉妹、という事ですわね!」
「なんか違うけどそんな感じだって思ってくれればいいよ。多分これから先の人生で役に立たない知識だから」
そんな彼女だったが、今日は親友であり仲間である蓮華の子孫である夕海子に誘われて優雅にお茶会の最中である。案内役とは言っても、最初にチュートリアルの説明さえしてしまえば、後は勇者側の戦力として頑張ってね、と神様からお告げを貰っているので、戦いが起きないと結構暇なのである。
その陣取り合戦のチュートリアルだが、その一環として香川を勇者側は奪還しており、こんな感じに樹海に入るとこんな感じに戦闘になるからこんな感じで相手を倒したら陣地ゲットだよ、とまるでソシャゲのチュートリアルかのように懇切丁寧に赤嶺が説明した。
まぁ、敵側の陣地に入って変身したらこちら側の進行という形になり、あちら側が攻めてきた場合は樹海化が発生するのでそこら辺は結構シンプルな陣取りではある。
他にも必殺技ゲージこと満開ゲージは全勇者共通であり敵を倒すと溜まっていく仕様だったり、戦闘中はしっかりと全勇者&全防人にエネルギー式の精霊バリアが展開されるが、それが無くなった状態で攻撃を受けると神様パワーでその部分が痛みはしないが動かないようになり、バリアが無い状態で死亡に直結する攻撃を受けた場合は死亡判定となり陣取り合戦には参加できないようになる、というチュートリアルも赤嶺が実際に身を張って行った。
ちなみに、陣取りからリタイアすると樹海に入ると体が半透明になり、勇者側からは姿も声も確認できないようになる。バーテックス側も無視するようになる。半透明勇者は干渉できなくなるなど、一応ハブられはしないように工夫がしてある。
これを聞いた千景は「典型的なタワーディフェンスね……」と呟いたとか。まぁ、神樹様というワンパンでHP全損する紙装甲タワーがないだけ今までよりかはマシだ。
「……ふむ、ところで、なのですけれども」
「ん? なぁに?」
そんな風に話していた夕海子と赤嶺だったが、ふと夕海子が赤嶺の顔を見て何かに引っかかったように声を出した。
「先ほど友奈さん達と赤嶺さんは魂の姉妹的な物であると仰っておりましたが」
「うん、そーだよ。それがどうかした?」
「いえ。高嶋さんと友奈さんは髪型を揃えてしまえば見分けが付かないほどそっくりでございますのに、赤嶺さんはあまり似ていないと思いまして。顔こそそっくりではありますけれども」
「あー、どうなんだろ。結城ちゃんが規格外なほどに高嶋先輩と似ているのかもしれないし、わたしが一人だけ異常なのかもしれないし。どっちだろーね?」
もしかしたら、神世紀に繋がる世界では高嶋友奈、赤嶺友奈、結城友奈の三人以外にも、友奈の名を持つ少女が居て、その少女は高嶋&友奈にそっくりかもしれないし、赤嶺みたいに名前は同じで顔も同じだが、体格などが全然違う、なんて事があるかもしれない。
「まぁ、わたし達はあくまでも他人だし似てなくても問題はないけど、わたしとしてはあのレンちから夕海子みたいな人が産まれたっていうのがちょーっと信じられないかな」
「え? そうですの?」
「ほら、レンちって天上天下唯我独尊というか、我が道を往くと言うか、天の道を往き総てを司るというか……よくぞレンちの遺伝子がここまでマイルドになったなと人間の神秘に驚いたと言うか……」
初見で自分のブロマイドをばら撒き、奇想天外唯我独尊な振る舞いで周りを文字通り圧倒し、マイペースという言葉が似合わないほどのマイペースっぷりで全てを引っ張っていく蓮華の子孫が夕海子である、と言われたらそりゃあ驚きもする。
あの蓮華の子孫なのだから蓮華バージョン2みたいなのが出てきてもおかしくはなかったのだ。というか、まず蓮華が結婚して子供を産むことを許容するほどの男があの時代に居る事が考えられないし、何だったら二百三十年後の勇者の中にサラッと蓮華が居ても多分赤嶺は何も言わずに現実を受け入れただろう。
それぐらいに弥勒蓮華という人物は濃いのだ。頭勇者部に真っ向から張り合えるレベルで。
だってまず一人称からして既にそのヤバさが際立っているし。
「むっ……ならわたくしもご先祖様のような立ち振る舞いを」
「止めて。レンち一人だけならまだレンちはレンちだからで済むけど、レンちが二人に増えたら流石に濃すぎる。多分キャラの渋滞が起きるから」
「既に起こっているような気がするのですけれども……」
「これ以上酷くなったのを想像してごらん!? このボケに対してツッコミが少なすぎる環境で貴重なツッコミである夕海子がボケに周ったらツッコミ役の胃に穴が空くよ!?」
「そこまで言いますの……? というか、そもそもツッコミって現環境で何人いますの?」
「えっと……須美ちゃんでしょ? 後は………………………………おかしい、あと夕海子と雀とわたしくらいしか出てこない……!!」
「初代と最新にツッコミが居ない辺り、勇者とはどのような存在であるかが何となく想像できますわね」
既に頭勇者部共に絡まれた夕海子にとって、ツッコミとかボケとかはもうどうでもいい事なのである。だってあいつら勝手にボケたと思ったら勝手に自己完結して勝手に話進め始めるから、ツッコミとか不要なのである。
自分達のリーダーがアレに染まってしまっている以上、夕海子はそこら辺はもう完全に放棄して思考回路を下の方に合わせる事を覚えてしまったのだ。
赤嶺も今はそんな事を言っているが、その内彼女も他の友奈みたいにあっぱらぱーな思考回路というか、無邪気に無慈悲な思考回路を身に付ける事だろう。ちなみに彼女がツッコミと判断した須美に関しては、今はまだ芸人ソウルが完全に目覚めてないのでツッコミ側ではあるが、その内芸人ソウルを完全に開花させて立派な頭勇者部となる事間違いなしである。
だって彼女の未来は東郷美森なのだから。
「まぁ、そこまでツッコミとかボケとか言っても最終的にはみんなボケに変わるので考えるだけ無駄かもしれませんわよ」
「いやいや、流石にそんな事は」
「芽吹さん」
「……ごめん」
楠芽吹。真面目の権化かと思われていた彼女は既に亜耶に対して何かしら変な感情というか、最早信仰心に近い物を持っているため彼女を例に出されると何も言えなかった。
ついでに東郷美森という名前や乃木若葉という名前を出しても赤嶺はこの反応を返した事だろう。
おかしい、勇者ってもっとこう……と頭を抱える赤嶺に対して夕海子はまぁこうなりますわよね……と同乗しつつお茶を飲む。今日も元気だ紅茶とカツオが美味い。
「あっ、そう言えば」
そしてカツオと紅茶という、絶妙に合いそうで合わなさそうでどこか合いそうな物を食べている夕海子はふと疑問を感じ、声を上げた。
「友奈さんと高嶋さんは本日、丸亀城で何やら模擬戦と言うか訓練というか、そんな物をやると言っておりましたが、赤嶺さんは興味はありませんの?」
今日、友奈&高嶋のダブル友奈は訓練、という名目でいつも通り模擬戦を行おうと丸亀城の方に行っている。恐らく今この瞬間も二人は精霊バリアを利用して顔面セーフを地で行く殴り合いをしている事だろう。
そう、この世界では西暦勇者達も神世紀勇者側に性能を合わせられ、ついでに神世紀勇者達も性能だけは満開をすると散華した時代に合わせられているため、神世紀勇者は全盛期に。西暦勇者もその神世紀勇者に匹敵する力を手に入れている。
それに加えて須美達先代現役組、防人組、七十二年組も全員が神世紀組に性能を合わせられているため、恐らく並のバーテックスなら単騎でも殲滅できるくらいの性能を持っている。
まぁ、今回は陣取りなのでバーテックス……というよりも神樹様に与していた神様の中でも疑似的に作り出したバーテックスで勇者達と遊びたい側が軍略やら戦略を持って陣取り合戦を仕掛けてくるため、恐らく今までよりも別の意味で厳しい戦いとなるだろう。
閑話休題。
「あー、わたしは特に対人戦はいいかなぁ。結構やり飽きたというか……わたし、こう見えても対人戦に特化してるから圧勝しちゃうだろうしなー?」
と、言いながら赤嶺はかなり余裕そうな表情をしている。
そう、赤嶺と蓮華の二人は神世紀七十二年ごろに起きた人間の起こしたとある事件を鎮圧した英雄的人物であり、その際に相手が人間であったことから二人はどちらかと言えば対バーテックス戦よりも対人戦に特化していると言っても過言ではない勇者なのである。
故にバーテックスのみと戦ってきた二人の友奈に対しては余裕で勝てる、と本気で思っている。
何せ一人は本格的に武術を学んだ人間ではあるが、もう一人は素人武道しか嗜んだ事が無い少女だ。力の友奈、技の高嶋だとしたら、赤嶺は自分を力と技のV3……ではなく、友奈だと思い込んでいる。
故の余裕。対人戦においては最強だと自負しているからこその対人戦への興味の希薄。
「あら、そうですの。ですけど、あの二人も十分に強いですわよ? なんやかんやで天の神を殴り飛ばしたお方ですし」
「強いのは分かってるよ。でも、それはバーテックス戦においての話だからね。夕海子さんだってバーテックスとの戦闘と模擬戦、勝手が違うと思うでしょ?」
「そうでしょうか? 案外対人戦で通じる部分もありますわよ? 赤嶺さんはバーテックスと戦っておりませんからまだ分からないでしょうけれども、寧ろ対人戦よりも慎重にならねばならないのがバーテックス戦ですの」
「あー……なるほど。確かにそう言われると。ドスとかチャカはまだ一発程度なら……ってなるけど、食われたら一発KOはちょっとクソゲー極めてる疑惑あるね」
「現にクソゲーでしたの。あれを再現したゲームを出したら九割はクソゲー評価叩き付けてGE〇に売り払いますわよ」
「ふと思ったんだけど、夕海子さんって話し方の割には色々と庶民だよね。G〇Oとか」
「勇者と一緒に居たらこうもなりますの」
夕海子の中の勇者像って一体……と、まだ各時代の勇者達と交流を始めてから日が浅い赤嶺が苦笑する。というか二百年後も〇EOって存在するのか、と驚いた。
しかし、そう言われるとちょっとは興味が出てくる。
赤嶺もあの二人と同じ友奈である以上、そこら辺の趣味趣向は多少似ているし、何よりも対人戦と対バーテックス戦。どちらに特化した勇者が強いかは純粋に気になるところだし、自分の祖先とも言える高嶋友奈の実力がどのようなものかと測りたくもなる。
そう思ったのなら。
「……じゃあ、わたしも丸亀城に行ってこようかな。ちょーっと、対人特化の勇者として呼ばれたわたしの実力、見せつけて上げないと」
「一応、わたくしとしては盟友である赤嶺さんの仲間感覚なので助言いたしますと……割と相手は容赦なく顔面を狙ってくるので、注意した方がよろしいかと」
「だいじょーぶだいじょーぶ。わたしは力と技のV3……じゃなくて赤嶺だから」
「お怪我だけはなさらぬように。ところでその力と技のV3とは?」
「ほら、たった二人の男の子の……えっと、藤丸君だっけ? 未来の方。彼がこの間そんな事を言いながらゲームでボロ負けしてた時に聞いたの。なんかカッコ良くない? 力と技のV3って」
赤嶺友奈十四歳。既に中二病を発症済みである。
既に一年早く中二病を脱している夕海子はその光景に何となくほほえましさを覚えながら、手を振って丸亀城へと向かう赤嶺を見送った。弥勒夕海子は察しのいい女なのである。
そんな夕海子の元を離れ、社のゲートを通って西暦の世界へと移動して丸亀城に来てみれば、そこには二人の友奈と、監督役なのであろう若葉と棗の姿が居た。しかし、二人の友奈は勇者装束に身を包んでこそいるが、水を飲んだり汗を拭いたりとしているので、恐らく休憩中なのであろう。
「やっほー。今休憩中?」
それを確認しがてら、ついでに模擬戦に混ぜてもらおうと思い手を上げて声をかければ、四人ともすぐに反応した。
「あぁ、赤嶺か。そうだ。丁度二人がダブルノックアウトで一回目が終わってな。今は休憩中だ」
「中々いい試合だった。赤嶺も混ざりに来たのか?」
「はい、お姉さま! 対人特化勇者なので、ちょっと腕試しがてらにと!」
棗に声をかけられた赤嶺のテンションが上がる。
どうしてかと言えば、赤嶺家というのは元は沖縄にあった家であり、棗に守られて四国へと逃げてきた沖縄の民の一つだったからだ。故に、赤嶺にとって棗という存在は命の恩人とも言える勇者であるため、赤嶺はそんな棗を慕ってお姉さま、なんて呼んでいる。
棗の方もそんな赤嶺に対しては悪く思っていないようで、時折犬をかわいがるかのように撫で回したりしている棗の姿を見る時がある。
「そうか。赤嶺もそうだが、怪我はしないようにな」
「お気遣いありがとうございます、お姉さま!」
「赤嶺ちゃんも混ざるの?」
「じゃあ三人で模擬戦だね!」
ダブル友奈が赤嶺の参戦にテンションを上げ、棗の言葉によって更にテンションが上がった赤嶺がスマホを取り出し、勇者システムを起動する。
神世紀七十二年では勇者システムは大赦が封印していたため赤嶺はついぞ使う事が無かった勇者システムだが、この世界においては赤嶺も勇者システムを纏う事で正真正銘の勇者となる事ができる。
右腕にまるでパイルバンカーのような装飾が付いた、どこか敵側っぽくもデザインの勇者装束。まるで戦隊ものの追加戦士のような雰囲気を纏うそれに身を包み、赤嶺は二人の友奈の前に立った。
「さて、高嶋先輩と結城ちゃん。手合わせ、受けてくれるよね?」
「勿論! 何でかみんなわたし達とは模擬戦をあまりしたがらないから、バッチ来いだよ!」
「先輩として一つ、お相手してしんぜよう!」
タオルとペットボトルの水を投げ置き、二人が赤嶺ともう一人の友奈から距離を取り、三人が三角形を組むように立って相対する。
「あー……一応言っとくが、顔面は控えろよ? 今回は精霊バリアがあるとはいえ、アレって偶に仕事サボるから、顔面は極力控えるように」
「それと、怪我はないようにな。あまり酷くなりそうならこちらで止めるが、そうはならないように」
「大丈夫ですよ、お姉さま。怪我する前に倒しちゃいますから!」
若葉と棗の言葉が聞こえてすぐに、三人の友奈が構える。
高嶋はまだ隙のないしっかりとした構えだが、友奈の方はやはりどこか素人染みた物が見えてしまっている。
これなら勝てる、とほくそ笑み、赤嶺は対人用に学んだ構えを取る。
「……火色、舞うよ」
そして、自分の中のスイッチを切り替え、後ろから聞こえる始め! の言葉に従い、まずは素人である友奈から仕留めるために足に力を込め。
『勇者パンチッ!!』
全く同時に友奈と高嶋が、赤嶺の反応速度を超えた速度で赤嶺の方へと突っ込んできた。
「きゃっ!?」
それに思わず驚いてしまった赤嶺は一歩下がりながら、二人の拳を両手でガードする。
しかし、その威力に思わず足が浮きかけ、焦りながらも二人から距離を取るために全力で一度後ろに飛び、着地と同時に地を蹴って友奈の方へと突っ込む。
「このっ! 勇者パンチ!!」
スペックは完全に同一。だと言うのに反応できなかった攻撃に油断しただけだと自分の中で言い訳をして、それでも先に友奈を仕留める事を変えずに拳を構えて突っ込む。
が、友奈はそれを予期していたと言わんばかりに横に居た高嶋の手を掴んで無理矢理引っ張り、高嶋を盾にした。
そして盾にされた高嶋は一瞬で後ろを向いて友奈の腹に拳を一発叩き込み顔を蹴り飛ばすと、向かってきていた赤嶺の拳を避けてそのまま抱え込む。
「あ、あれっ……?」
「いい拳だね、赤嶺ちゃん。でも、ちょーっと勢いが足りないかな?」
そのまま赤嶺の腕を中心に、高嶋は自分の体を動かして一瞬で赤嶺に対して腕ひしぎ十字固めを極めた。
「いたっ!?」
「このまま腕折ってあげっ……!?」
地面に倒された赤嶺と、そんな赤嶺の腕を全力で折ろうとする高嶋。しかし、精霊バリアのお陰で腕を折るには至らず、赤嶺も腕ひしぎ十字固めを極められた時の衝撃位しか痛みは走らなかった。
だが、地面に倒されてすぐに高嶋が空を見て顔色を変え、同時に赤嶺も上を見て顔色を変えた。
何故なら自分達の真上に炎を纏った友奈が居たのだから。
「勇者火柱キィーーーーック!!」
あれはヤバい。それを直感で覚った高嶋は赤嶺の腕を離して即座にその場を離れ、赤嶺も解放された瞬間に何とかその場を離脱。
直後に着弾した友奈から火柱が舞い上がり、目の前に炎の壁が生まれた。
「ちょっ、ちょぉっ!? こ、殺す気!!?」
「大丈夫、勇者はこれぐらいじゃ死なないから!!」
「死ぬ!! 死ぬから!!」
笑顔でヤバい事を言いだす友奈がそのまま突っ込んでくる。それに対応しようと赤嶺も構えるが、その瞬間、横から高嶋が突っ込んできて友奈の顔面に向かって拳を振るった。
しかし、友奈はそれを避け、首を掴み上げるとそのまま首を持って高嶋自身が付けていた勢いをそのまま利用してぶん投げ、地面に叩き付ける。更にその追撃に腹に勇者パンチを叩き込み、もう一撃を顔面に叩き込もうとしたところで高嶋が友奈の首を掴み返して顔面に拳を叩き付けた。
「結城ちゃぁん……よくも首根っこ掴んでくれたねぇ……?」
「そっちこそ、さっきはよくも蹴っ飛ばしてくれたねぇ……?」
二人の友奈が笑顔でにらみ合ってバチバチと視線の間に火花を散らせる。
そして。
「火車!!」
「一目連!!」
とうとう二人が精霊の力を使い、友奈が零距離で高嶋の顔面を燃やし、高嶋が零距離で友奈の顔面に竜巻級の風の力を叩き付ける。
それにより友奈が天高く吹き飛び、高嶋の顔面が燃えるが、二人とも精霊バリアで無傷。だが友奈が着地しても二人の頭には血が上っているのか狂暴性が増したのか同じ顔面相手だから手加減不要の五文字が頭の中に浮かんでいるのか、止まらない。
「灼炎暴撃!!」
「絶風轟撃!!」
『勇者ァ!! パァンチッ!!』
そして、風と炎を纏った勇者パンチが炸裂。その瞬間に二人の友奈の間で近づく事すら憚られる程の熱風が吹き荒れた。
それを赤嶺は遠い目をしながら見ていた。
「…………なにあれ」
「精霊バリアがあるからと遠慮も何もなくなった二人の友奈だな。ああなると止めるのには苦労する」
「赤嶺は混ざらないのか?」
「すみません、わたしまだ人間卒業試験はクリアしてないので……」
「まぁ、あの二人に関してはあれぐらいがデフォだから混ざる時は覚悟しておくといい。手加減してたら割とマジで狩り尽くされるぞ」
「あははは……もう二度とやらないよ」
しかし、ああなった手前どうにかして止めないとマジでぶっ倒れるまであの二人は戦いかねないので、若葉、棗、赤嶺の三人は勇気を持って現在進行形で顔面だろうが腹だろうが首だろうが遠慮なく殴る二人の友奈の制裁に向かったのであった。
ちなみにその結果は、赤嶺が最終的に高嶋の一目連勇者パンチで吹き飛ばされ気絶。若葉が友奈の火車勇者パンチで地面に埋められてKO。棗がヌンチャクを二人の首にかけてチョークを仕掛ける事で止まったとか。
今回は赤嶺が混ざった事でテンションが上がったためこうなったが、いつもはもうちょっとマイルド……なのかもしれない。
そして赤嶺はもうあの二人に対して模擬戦を仕掛けるのはやめましたとさ。
最早模擬戦っつーか決闘。同じ顔面相手故に手加減なんて一切合切消し飛んだダブル友奈相手には頭勇者部じゃない赤奈ちゃんじゃ勝てなかったよ……
精霊バリアのせいでとうとう相手を燃やす事も竜巻級の一撃を叩き込むことも躊躇なくなったダブル友奈。文字にすると相手を殺す気満々ですが、こう見えても殺す気は一応ない模様。ただ全力の攻撃をぶつける的として見ている疑惑はありますが。
ちなみに、今回ゆーゆは火車を使っていますが、牛鬼(Not高奈神)を使用する事も可能です。なのでゆーゆはマジで全盛期100%。でもたかしーも切り札使えばそれにスペック上は並ぶのでこの二人がマジで喧嘩すると多分ハゲをサンドバッグにしてもらわないと止まらない。
赤奈ちゃん? 彼女はまだ頭勇者部度が足りない。
後日談こと花結い編ではこういう話や、他にも先代現役組と銘打ったわすゆ組も混ぜて色々と書いていきたいと思っています。
そして二人に増えたのにセリフすらないハゲよ……