ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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今回は普通に日常回ですが、かなりギャグ補正に頼った描写が多数あります。まぁ、ギャグ補正が効きまくってんのはいつもの事なので問題ないよネ!!

あと、書いてて何度か思ったんですけど……どうして原作のアレがこうなっちまったかなぁって頭勇者部化の無情を嘆いています。ちょっと大賞用にシリアスなオリジナル書いてから頭勇者部書いたら正気に戻っちまったよ……

なので自分を頭勇者部化させるつもりで書きました(暴論)

P.S
ゆゆゆとは関係ないですけど、ハルヒの新刊出るのマジで驚きました。十一年か……中学の頃に全巻読んだけど、まさか続きが社会人になってから出るとは……


花結いな勇者部の日常

 今日も今日とていい天気。バーテックスの侵攻も無い神世紀勇者達の本拠地とも言える部室に今日もまた、防人組が遊びに来る。

 学校は違うし、雀と夕海子は住んでいる県も違うが、防人システムを常時使用可能となった事で私的にそれを使い勝手に四国に来る事に慣れた二人は、芽吹と亜耶をぬいぐるみのように抱っこしてくるしずくと一緒に讃州中学の勇者部室に遊びに来る。

 最早いつもの事なので適当にノックだけして入ると。

 

「このハゲッ!! よくも須美ちゃんを苛めてくれたわねぇ!!」

「いや、苛めたって、ただゲームで対戦して負けただけですよ東郷さん!!? 未来の私ならもうちょっと落ち着いてください!!」

「んおおおおおおおおおおお!!? 逝くッ!! 逝くッ!! ちょっと洒落にならない位ヤバいからあっ逝きますわよ逝く逝」

 

 ぱきょっ。

 

『あっ……』

「うわ……ズラの体が……」

「過去一で悲惨だね~。まさか対戦ゲームでちょっとリトルわっしーをちょっとボコボコにしたらこんなになるなんて予想外だよ~」

「未来の俺がこんなんなってるの見せられて俺はどうしたらいいんだ……?」

「ど、ドンマイ、ズラ……」

「デカズラっち本当に死んじゃってる疑惑あるよね~。園子先輩、ザオリクかけてあげて~」

「使えないんよ~」

「あちゃ~。じゃあどうする~?」

「隅っこに捨てておこっか~」

「は~い」

 

 入室から十秒も経たない内にハゲ丸の体から謎の音が鳴り響き、その後目も当てられない状態になったので園子&園子(小)の手によって神様達からの規制でモザイクがかけられたハゲ丸が部屋の隅に捨てられた。

 天の神の攻撃を防御した彼もクソレズからの理不尽な攻撃の前では無力だったのだ。まぁ、美森は勇者装束を展開してハゲ丸は生身だったのでこうなるのは当然とも言えるかもしれないが。

 なお、桂は未来の自分が当時はまだ生真面目な部分が多く、暴力も比較的耐えられる範囲だった須美がああなってしまう事にちょっと恐怖している。

 鷲尾須美の未来は東郷美森である。諦めなさい。

 なお、そんな喜劇的光景を見た防人組は特に何も反応せずに適当に椅子を引っ張り出してくつろぎ始めた。アレに付き合うだけ無駄だ。

 

「しかし、何と言うか。この部室もちょっと狭くなってきたわね」

「最初はわたし達三人だけでしたけど、そこに樹ちゃんが来て、ハゲ丸くんが来て、夏凜ちゃんも来てくれて。後は、園ちゃんと銀ちゃんも来て、過去の東郷さん……じゃなくて須美ちゃん達四人に芽吹ちゃん達五人と赤嶺ちゃん達三人が来ましたからねぇ」

「そりゃこんな狭い部室、そっこーでキャパオーバーするに決まってるじゃない」

「そうですねぇ。しかも西暦の皆さんも遊びに来るから、最終的に……あれ? 何人?」

「元々の八人、先代現役組四人、防人五人、72年組三人、西暦組十人だから……三十人? 当初の十倍ね」

「勇者のバーゲンセールね。昔のあたしと芽吹が見たら発狂しそう」

 

 そしてちょっと奥の方では友奈、風、樹、夏凜が暇そうにボーっとしながら談笑している。ちなみに、巫女ーズ四人を抜けば二十六人になるので十倍ではなくなるのだが、そこら辺はどうでもいい事。

 なお、まだ神世紀組が色々と多忙だったことで会えていない巫女の真鈴と美佳の二人もその内参加する予定なので更に二人増える計算になり、もしかしたらこの中の誰もが知らない勇者ではない二人が参加する可能性もあるので、更に勇者部室は手狭になり人口密度がヤバい事になって野郎二人が外に放り出されるかもしれない。お前の席、無いから。

 そろそろ神様に祈って部室の空間を歪めて数倍にしてもらわないとヤバいかもしれない、なんてボーっと考えていると、更に部室のドアが開いた。

 そこから入ってきたのは、新参の72年組だ。

 

「やっほー。来たよー」

「うわっ……なんか端っこにモザイクが置いてあるわね。何かしら」

「あのハゲ君やないん? ここに居ないし、ああなっても生きているんならアイツしか居らんやろ」

 

 一瞬蓮華が部屋の端を見て若干引いたが、すぐにいつも通りに戻った。それを冷静に分析したのは静。静かじゃない静はそのままモザイクの所へ向かって木の枝でツンツンし始めた。その度にびくびく動くモザイクがちょっと面白かったがキモいので、とりあえずズラだけ毟り取ってきた。

 ちなみに、72年組はハゲ丸のハゲの事を知っている。とうとう描写カットである。

 まぁ、何が起こったかと言うと事は単純で、静がツッコミでハリセンを頭にぶちかましたらハゲ丸のズラが吹っ飛んでハゲが露出したという悲しい事件があった、という事だ。

 その時の三人の反応は。

 

「あっ……え、えっと、そ、その内いいことあるよ! ほら、頭の筋肉を鍛えたら多分その内生えてくるよ!! だって筋トレって万能だから!!」

「草」

「ぶっはははははは!! なんやそれ!! 自分そのハゲは流石にギャグやろ!!? いや、やってもうたのは悪いと思っとるけど、それ以上にギャグ過ぎて無理やって!!」

 

 赤嶺は慰め、蓮華は謎の語録をブチかまし、静は大爆笑。正直今まで通り哀れられる程度なら静くらい笑ってくれる方がまだ心地よかった。そのお陰で赤嶺もこっちを哀れむ視線を止めてくれたし。

 ただ、それとは別に流石にここまで笑われるとイラッと来たので静はハゲ丸と桂の手により一度木の下に埋めた。一晩中埋められていたが生きていた辺り、彼女もまた芸人と言う事なのだろう。 

 芸人の基準とは一体。

 

「ほい、かっちん。これプレゼント」

「え? 俺にっすか? 何すかこれ」

「未来のかっちんのズラや」

「返してあげてよぉ!!」

「オーケー!! アカナ、パスや!!」

「えっ、わたし!? えっと……レンち! パス!!」

「受け取ったわ!! 弥勒流スーパーダンクッ!!」

「だからと言ってモザイクに向かって勇者装束纏った状態のダンクしないであげて!!? あぁ、モザイクの濃さが!!」

 

 あーもう滅茶苦茶だよ。

 72年組は赤嶺が筋肉馬鹿ではあるが比較的常識人であり、まだ頭勇者部化はしていないのだが、他二名がすんなりと頭勇者部化……というか元から芸人としての気質があったせいか速攻で頭勇者部の空気に溶け込み、今や立派な芸人である。

 ハゲ丸のモザイクが濃くなったが、基本的にハゲはサンドバッグであり何をしてもギャグ補正で死ぬことはないので割とみんな好き勝手している。

 そんな光景を見た桂はなんか泣きたくなってきた。

 将来的にこんなにも美少女に囲まれながらサンドバッグにされる未来の自分に。未来に希望は無かった。毛髪的にも、将来のパートナー的にも。

 これが主人公の扱いである。

 

「新参共も結構元気ね」

「最初はご家族の事もありどうなるか少しばかり懸念ではありましたが、どうやら杞憂だったようですわね」

「わたし達は普通に実家暮らし継続してるけど、あの七人は親元離れている物ね。いや、内三人くらいは実家暮らし継続してるけど、時代が違うからどこか違和感はあるでしょうし」

 

 当初、勇者達から先代現役組と72年組は環境の急激な変化や家族の事などで少しばかり精神面への心配が懸念されていた。 

 だが、案外先代現役組は精神が図太かったらしく、実家暮らし継続組は案外普通に溶け込んでいるし、そうじゃない一名こと園子(小)も園子と一緒に暮らして何やら夜中にやっているので楽しそうだ。

 72年組も元々親元を離れ寮暮らししている鏑矢としてのお役目を行ってきたので、特に困ってはいない様子。三人のために作られた寮という名のシェアハウスは既にこっちに来てから買い込んだ私物で溢れているとかなんとか。

 

「まったく、レンちとシズ先輩は……こっちに来てから更にはっちゃけ始めたから困ったものだよね」

「赤嶺ちゃんも乗ってる辺り人の事言えないの自覚してる?」

「ねぇ、なんで結城ちゃんって時々こうも人の心を抉る言葉をブチかましてくるの?」

「ま、まぁまぁ……友奈も悪気はないから」

「そういう所が友奈ちゃんの良い所なのよ! 時々来る無邪気で無慈悲な言葉にゾクゾクしちゃう!!」

「ごめん、東郷さん。その表情はちょっと気持ち悪い……」

「首吊るわ」

「日常での命の価値が軽くない……?」

 

 ちょっと人様に見せられない表情をしていた美森だったが、友奈の一言で首吊るわ、と言いながら即首を吊り、死体となった。

 これにてモザイク付き死体が一つと首吊り死体が部室に一つ。死因を作った友奈は特に何も言わずに美森が作ってきたぼた餅を食べているし、美森も首を吊った状態で友奈に美味しい? と聞いて美味しい! と返され浄化されているので大丈夫だろう。

 コイツの首には鋼鉄の何かが仕込まれているのか。ホラー映像かな?

 

「勇者部じゃこれくらい日常茶飯事よ。諦めなさい、赤嶺」

「言う割には結構笑顔なのはどういう事? なにそのムカつく笑顔」

「あたしも通った道なのよ」

「意味わかんないんだけど。いや、もうこの部室内で起きている事の八割以上は意味わかんないけど」

 

 決して常人ではいられない空間、勇者部室。赤嶺が頭勇者部となるのはいつになるのか。

 赤嶺的にはこいつらが本当に天の神を討伐したのか最早疑わしいというか、有り得ないと言いたかったが、実際にこいつらは天の神を倒してこの世界を取り戻している。赤嶺も、二人の友奈が自分の思っていた以上に強かったのは身に染みた。

 身に染みたが、かと言ってこんな頭あっぱらぱーな馬鹿野郎共が神様ぶん殴って撃破しました、なんて言われても信じられない。思わず溜め息。

 そんな部室に。

 

「うーっす。遊びにきたぞー」

「インタビューおサボりに来たとも言えるわ」

 

 赤嶺も知っている初代勇者の面々がやってきた。

 赤嶺が知っている歴史では、初代勇者は乃木若葉を残して戦死した。若葉と直接出会ったことはあるが、こうして全盛期とも言える頃の若葉と、その仲間達を見ると、自分は天の神が打倒された後の世界に来たのだと理解せざるを得ない。

 四国民のほぼ全員から敬愛され、同時に何を成した人間なのか、勇者と言う称号は一体何故付けられたのかという理由が徐々に人々の間で周知の事実ではなくなってきた乃木若葉という老婆。

 赤嶺を最初に見た時、驚いて。同時に悲しそうに笑いながら撫でてきたしわくちゃな手は、赤嶺の記憶にも新しい。

 

「ん? どうした赤嶺。私の顔に何かついているか?」

 

 そんな全盛期若葉様をじっと見ていると、ふと若葉がそんな事を。

 

「あ、ううん。ちょっとボーっとしてただけ」

 

 赤嶺は自分がちょっと特別な存在としてこの時代に呼ばれた、なんて思っていた。

 神様から直々のナビゲート役に抜擢され、西暦の終わりから神世紀三百年近くまで存在していなかった勇者の称号を持つ少女の一人として認められて。

 なーんて思っていたのに、結果はこれだ。

 何と言うか、気合入れていたのが馬鹿らしい。こいつら相手に気張って対面するのは無駄と言うか、真面目にやるだけ無駄と言うか。蓮華&静もそれに早々気が付いて四六時中ふざけ始めているし。

 

「っつか、いい加減ふじもんを元に戻さんとあかんな」

「それならいいのがありますよ」

「ん? なんやロック」

「弥勒が直々に作り上げた56億7千万の甘味を詰め込んだパイン飴よ。これをこのモザイクの口らしき場所に入れてやれば……」

 

 蓮華がモザイクにパイン飴、という割には無色透明な丸い物を取り出し口らしき場所に入れると、モザイクが急に痙攣を始めた。

 そして完全に動きを止めた。

 

「おい死んだが?」

「まぁ、人間が56億7千万パイン飴に耐えれるわけもないので」

「確信犯やんけ」

「最近フラストレーションが溜まっていて……八つ当たりしたかったんです」

「最低やんけ」

「さっきあなたにした事、全部ただの八つ当たりだから」

「キ〇アェ……」

「八つ当たり大成功」

 

 そして赤嶺はちょっとだけドヤ顔ダブルピースをする蓮華と一瞬作画が変わった静とは他人の振りをする事にした。56億7千万パイン飴バズーカにショゴスと化したハゲ丸は耐えられなかったようで本当にモザイクがピクリとも動いていないが、無視する事にした。というか人間にモザイクがかかるなんてあり得ない光景にさっきからずっと赤嶺はドン引きしている。

 もしも防人組が頭勇者部化していなかったら少しはツッコミに参加してくれたかもしれないが、既に汚染済みである防人組は呑気にしている。

 芽吹は樹の横でガンプラ組んでるし、雀は球子に後ろから抱き着いてじゃれついているし、夕海子はどこからか取り出したテーブルでティータイム決め込んでいるし、しずくは亜耶を膝の上に乗せて一緒にお茶飲んでるし、亜耶は抵抗せずにしずくに背中を預けてお茶を飲んでるし。

 なんかもうフリーダムすぎる。

 

「どうしたの赤嶺ちゃん。さっきから難しい表情してるよ?」

 

 そんな光景に思わず溜め息を吐いた赤嶺だったが、そんな彼女に高嶋が声をかけた。

 

「高嶋先輩……ううん、大丈夫。ちょっとなんというか……現実に疲れた……」

「ほ、本当に大丈夫!? 何かしようか!? 組手する!?」

「何もしなくていいから……ちょっとこう、ギャグ補正が効いた現実に引いてるだけだから……」

 

 とは言う赤嶺だが、きっと彼女も一ヵ月もしたらこのメンツでの振舞い方というか、ギャグ補正の効いた現実をどうしたらいいか理解してくるので、きっと大丈夫。

 と、そんな風に赤嶺があんまりな現実に溜め息吐いた時だった。

 巫女達の携帯を除いた全勇者の携帯から聞き慣れたアラートが鳴り響く。

 樹海化警報だ。

 

「樹海化って事は……」

「こっちからあんまり攻めないから奴さんから来たって事ね」

「まぁ、それならいいだろう。とっとと片付けるか」

「二十六人も勇者が居るんだから、勝てない訳が無いのよね……」

 

 いくらバーテックスを強化してきても、こちらには総勢二十六名もの勇者が居る。それにバーテックスが勝てるわけがない。

 という事で即樹海化。同時にハゲ丸が回復してモザイクを掴んでぶん投げて元に戻り、全勇者が一斉に変身。最早花弁が吹き荒れるどころか花吹雪で前が見えなくなるほどだが、そんな中で勇者達は決めポーズをしながら変身。忘れているかもしれないが、勇者達の変身バンクは普通に外からも見えているのだ。全身が光に包まれて裸なんて一切見えないが。

 そして全員が決めポーズをしながら変身完了すると同時に樹海の先から大量の星屑と進化体バーテックス、そして星座型バーテックスが三体沸いてきた。

 

「よっしゃ行くわよ!!」

「アイツら倒すとうどんを落とすからな。全部狩り尽くしてうどんぱーちーだ!!」

「馬鹿共ゴーゴー!! 作戦? ンなもん必要ないわよ殺せ潰せ轢け!! 蹂躙しろボケ共!!」

『ゴーゴー!!』

 

 が、作戦なんていらない。

 何故ならこういう状況の馬鹿共(勇者)に作戦なんて言ったところで全員好き勝手やって蹂躙するのだから好きにさせておけばいいのだ。芽吹さんの指揮権放棄イケイケゴーゴーは皆さんの性格を把握したうえでの素晴らしい作戦です。

 え、あの……と冷静な赤嶺が声を出すが、そんなのお構いなしに全勇者がバーテックスに突っ込んでいく。約一名が後ろに向かって走ろうとしていたが、芽吹に首根っこ掴まれてメブー!! と叫びながら前に連れて行かれた。悲しいなぁ。

 んで。

 

「満開ゲージ確認!! 何人切り札か満開使える!!?」

「多分二人!!」

「恐らく二人!!」

「大体二人!!」

「メイビー二人!!」

「よし適当な事言った奴は死ね!! 強化装束展開!!」

「んじゃあたしもサモン桂蔵坊っ!」

 

 なんか知らないが勇者一人一人に割り振られた謎のアビリティにより満開ゲージが初期状態から結構溜まっていたので、ツッコミというか暴言ぶちかました芽吹とそれに続いた雪花が強化装束と切り札を展開した。

 強化装束を身に纏った芽吹が空を飛び、切り札を使った雪花が右腕の超巨大な手甲の後部に取り付けられた蛇腹のような形で稼働する巨大な槍の矛先をブンブン振り回しながら突撃する。

 

「雑魚が何体集まろうと所詮勇者には勝てないのよ! 一度やってみたかった事その一、敵陣のド真ん中でローリングツインバスターライフル!!」

「ここに巨大な槍があるじゃろ? これが蛇腹になるじゃろ? これを増やして空からこうじゃ」

 

 そして芽吹が即座に敵陣のど真ん中に割り込み、そこからローリングツインバスターライフル。更にその上から雪花がとりあえずポンポン増やした超巨大な槍を空から大量に降らして星座型バーテックスを串刺しに。

 狩り残しを残りのメンツがプチプチと潰し、大体五分ほどで殲滅が完了した。

 こりゃひでぇや。

 という事で相手を殲滅し終えたのではいおつー……とはいかないのがこの戦いだ。

 何故なら。

 

「よし、どこかのバーテックスがうどんを落としているはずよ! 拾いなさい!!」

「あっ、こっち見つけた!!」

「こっちもよ! しかも最高級うどん!!」

「そば……そばどこ……?」

「ラーメン……ラーメン……」

 

 そう、バーテックスを倒すと何故か奴らはうどん玉(レベルアップ用アイテム)を落とすのである。大体一回の戦闘で五、六玉ほどだろうか。五、六人前程度にしかならないが、その程度でも勇者達にとっては死活問題レベルで重要な問題だ。なので一部の別の麺類を崇拝していたり、他の物が好きだったりする勇者達以外の全員がうどん玉を全力で回収し始める。

 その熱気と真剣度合いは赤嶺が最初からこうしていればいいのに……とドン引きするレベル。あの芽吹ですらうどんを探す事に躍起になって強化装束を纏ったまま空を飛んでうどん玉を探している。

 しずく、歌野、雪花がラーメンとそばを求め彷徨っているのを尻目に全力でうどんを回収した勇者達はうどん玉を抱え、樹海化の解除を待つ。

 大体樹海化の解除は戦闘終了から五分後くらいだ。これは神様達からのアイテム回収タイムというか剥ぎ取りタイムとして与えられた時間なので、時間経過でしっかりと元の場所に帰される。

 やがて七色の花弁が吹き荒れ、場所は部室へと戻った。

 

「よし、戻ってきたわね。今回のうどん玉は合計で六玉ね」

「そんじゃ、この中の最高級うどん玉は今回活躍した芽吹と雪花にやるか。後は部室に買い溜めてあるうどん玉と混ぜてうどんぱーちーの材料としよう」

「わたし達だけ悪いわね。ありがたく最高級うどん玉はいただくわ」

「そしてうどんはラーメンへと変わる……!!」

 

 戻ってきた勇者達は今回の戦いで入手できた最高級うどん玉を、切り札を使い戦闘の時短を図ってくれた芽吹と雪花に渡し、他のメンツは雑多のうどん玉を買い溜めておいたうどんとごちゃ混ぜにしてうどんパーティーの準備を始める。

 そして雪花はうどん玉をその場でラーメンへと錬成した。これにはしずくもにっこりと笑顔。二人は別途ラーメンパーティーの準備を始めた。そして長野県民は雑多のうどんの中から幾つかうどんを拝借し、そばへと錬成して、勝手にそばを作り始める。

 とうとう錬金術までギャグ補正でやり始めやがった。

 赤嶺はその光景に笑いながら一人窓際へと向かい、窓を開けて空を見上げ、呟いた。

 

「……なにこれ」

 

 勇者部の日常です。

 なおうどんは赤嶺も美味しくいただいた。




流石にキャラクター三十人近くいると全員描写しきれない。ここまでキャラが多いの、初めて! こんなに大変な事はない!!(マミさん)

割とマジで今回部室に三十人の勇者&巫女が揃ったわけですけど、ここまでキャラが多いと全員平等に出番とか与えられないっす。そろそろ今まで出番が少なかった雀&夕海子に主役張らせたいんですけどね……
実は赤嶺友奈の章がしっかりと全話公開とかされていたら、のわゆ後にちょっとだけ雀&夕海子を今まで出番が少なかったお詫びにハゲと一緒に72年に放り込むとかしてあげて主役にしてあげられたんですけどね……

あと、G'sマガジンを芙蓉友奈は勇者でないのためだけに買ってふゆゆ一話を読みました。ネタバレ回避のためにあまり多くは喋りませんが、リリ奈ちゃんポンコツ中二病可愛い。柚奈ちゃんは苦労人ポジションなんやろな……

それと、勇者であるシリーズのアレコレと言えば、Twitter見てたらゆゆゆのパチンコ出るという情報を見て、もしやまたパチスロで初公開された六人分のキャラソンみたいに長い間CDに収録されない幻のキャラソンが出てくるんじゃ……と恐怖しました。パチンコのための新規楽曲とか新規映像はそれでしか見れない、聞けない可能性が十分に出るからやめて欲しい……

次回は未定。もしもゆゆゆいの石紡ぎの章とかでいい感じの話があったらそれやるかも。

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