ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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今回もかなりシリアスです。前回みたいにコミカルくんが息を止めています。シリアス100%です。

オラわっしーのシリアスを見るんだよ。


ステロイドハゲ(事実無根)でありバーコードハゲ(バーコード無し)

 風が暴走する前。ハゲ丸は一人園子の病室を訪れていた。

 いつの間にか自分の携帯に送られてきていた銀からの連絡。それは、園子の病室を知らせる連絡だった。きっと、来たければ来てくれという事なのだろう。もう一人で考えても埒が明かないと思ったハゲ丸は一人園子の病室を訪れる。

 態々電車で、は面倒だったので勇者に変身して建物の屋上を飛び跳ねてきた。電車の待ち時間やら何やらを考えれば、生身で一直線に向かえる勇者となっての移動の方が楽だし速かったから。

 そうして辿り着いた園子の病室の扉の前で扉をそっとノックしようとすると、横から誰かに肩をたたかれた。誰かと思えば、それは銀だった。

 

「銀……」

「よっ、ズラ。調子どうだ?」

ファッキン(クソッタレ)

「オーケーそれは上々。ほら、入っちまいな」

 

 銀がノックすらせずに病室のドアを開ける。その先には本を片手にベッドに寝る園子がいた。

 だが、その周りには誰かが居たかのような痕跡がある。銀は一瞬それに目を細めたが、すぐに園子のベッドに腰かけ、一つだけある椅子をハゲ丸へと譲った。

 ハゲ丸はそこに座ってから、背負ってきたリュックから小さなクーラーボックスを取り出すと、中からジェラートを取り出して園子と銀に手渡した。

 

「わっ、ズラっちありがと~」

「おっ、醤油ジェラート。わかってんじゃん」

「そりゃな」

 

 園子には、バニラ。銀には、醤油。自分はチョコ。

 そして、もう一人。須美……美森がいたのなら、彼女にはメロン味のジェラートを手渡すつもりだった。いつもそれが、四人で食べるジェラートの味だったから。

 日頃、味の薄い物しか食べれていない園子と、イネスの中のジェラート屋が潰れてしまったので最近ジェラートが食べられていなかった銀がすぐにジェラートを口に運ぶ。それを見てからハゲ丸もそっとジェラートを口に運んだ。

 なんだか懐かしい。こうして園子と銀と共にジェラートを食べる事が。もしもここに美森がいたのなら、その光景は二年前の光景に近い物となっただろう。

 

「……その、さ。銀。この間は悪かった。ちょっと精神的に不安定だった」

「ん? 別にいいよ。ってか、あの時はああやって言われるの分かってたし」

 

 あの時、というのはハゲ丸が記憶をある程度取り戻してから銀と会った時の事だ。その時のハゲ丸は銀に思いっきり当たってしまった。心にもない事を言ってしまったとも思っている。いくら満開の真実が知りたかったとはいえ、その気持ちをそのまま銀にぶつけるのは早計にもほどがあった。

 だが、銀はそれを予期していた。いつか記憶を取り戻したハゲ丸が、満開について自分たちを訪ねてくると。だからこそ、ああやってお道化て見せて、園子という実例と共に満開の真実を告げれる時を待った。

 だから、銀は気にしていない。

 でも、と口を開くハゲ丸だったが、きっと彼女は自分の謝罪を受け取らないだろうと気が付き、やっぱ叶わねぇなと呟きジェラートを口の中に運ぶに終わった。

 

「ねぇ、ズラっち」

「なんだ、園子」

 

 ジェラートを口に運ぶのを止めた園子が、ハゲ丸に問いかける。

 

「もしも、この世界はもう崩壊寸前で、わたし達はそれを延命しているに過ぎなかったのだとしたら……ズラっちは、それでも勇者として戦う?」

「え? それって……」

 

 どういう事か。

 それを聞こうとしたが、園子は黙ってハゲ丸を見つめ、銀に端末を投げ渡した。

 

「……多分、戦うよ。世界が崩壊したら、どっちにしろ死ぬんだしな。なら、醜く足掻いてやる」

 

 どうせ死ぬのなら。

 どうせ世界が崩壊してみんな死んでしまうんなら。

 藤丸という少年は、精一杯足掻く。怖くて怖くて、死にたくないと叫びながらも惨めに戦うだろう。嫌だ戦いたくないと言いながら逃げるには、いささかハゲ丸は親しい人を作りすぎた。

 勇者部のみんなと、園子と、銀。みんな死んでしまうくらいなら、自分が全力を出してそれを防ぐ。醜く足掻いてそれを防ぐ。

 

「戦いは、男の仕事だ。ハゲててカッコ悪くてもさ、それで美少女数人守れるんなら、守ってやるよ」

「だよね。ズラっちはそういう人だもんね」

 

 藤丸が桂と名乗っていた時期。

 その時も、藤丸は全力で足掻いた。世界を壊させないと弱いながらも全力で足掻き。親友を殺させないと血まみれになりながらも戦い。目の前で戦う少女を見逃せないと記憶が焼却されていく最中、花を咲かせた。そして今も、藤丸は勇者である少女達の負担を少しでも減らそうと、努力している。

 どっちかと言ったら世界よりも友達の方が大切。大切だから、世界も守る。そんな行動原理が、藤丸の勇者である所以であるとも言える。

 

「実はね、わっしーにこの世界の真実を話したんだ」

「この世界の真実……?」

「……っ!? 園子お前!?」

 

 銀が思わず立ち上がり、端末を強く握りしめる。

 藤丸はそれがどういう事なのか分かっていないが、銀はそれだけで分かったらしい。その言葉が、この世界を滅亡の危機にさらしているのだと、分かったらしい。

 

「ねぇズラっち。わっしーはね。今、壁の外を見ようとしてるの」

「壁の、外?」

「うん。きっと、壁の外を見たわっしーは、この世界を壊そうとするよ」

 

 美森が、世界を壊そうとする。

 その言葉の意味を理解するのに数秒かかった。

 だが、どうしてそうするのかが分からない。美森がそんな奇行に走る理由が、見当たらないのだ。

 

「実はね、壁の外……四国の外は、もう火の海なんよ」

「……は?」

 

 サラッと園子の口から告げられたそれは、とてもじゃないが理解できない物だった。

 四国以外は、火の海。

 言っていることが全く持って理解できない。この地球が四国以外火の海? どうして。四国の外は謎の怪ウイルスによって人類が絶滅しただけで、そのウイルスから神樹様は自分たちを守ってくれているんじゃなかったのかと。バーテックスは、そのウイルスが生み出した謎の怪生命体ではなかったのかと。

 だが、園子はそれを否定する。そして、銀も園子の言葉を肯定する。

 

「四国の外は、もうバーテックスに支配されてるんよ」

「そ、れは……」

「もう面倒だから全部言っちゃうけど、バーテックスは通称『天の神』が遣わした、人類を殺すためだけの存在。それがもう四国以外を滅ぼして、火の海にしてるの。今の四国はそれを何とか退けているだけで、人類全滅までは秒読み状態」

 

 天の神。なんだそれは。そんなものが存在するわけがない。

 そう言おうとして、またも口を閉ざす。

 神樹様。あれは、神だ。それが現に存在してるのだから、天の神だってきっと存在する。その神が遣わしているのがバーテックスであり、それが殺人ウイルスの正体。

 バーテックスがどうしてバーテックス(頂点)と呼ばれているのか。それは、人間という今まで生態系のトップに立っていた生命体を絶滅に追いやる程の力を持った、天の神の隷属だからだ。神の隷属に、人間が勝てるわけがない。

 

「それを回避するために作られたのが、勇者システム。バーテックスを退けるために神樹様の、地の神の隷属となるシステム」

 

 人間が、人間として行き過ぎた力を持つためのシステム。神の力をその身に宿し神と戦うためのシステム。それこそが、勇者システム。

 

「どう? これを聞いた感想は? わたしが嘘吐いてると思ってみる?」

「……いや、園子がこんなジョーク言わないやつだってのはよく知ってるよ」

 

 だから、信じられないけど信じる。二割ほどしか戻ってきていない桂として生きてきた記憶が、園子は一切の嘘を吐いていないのだと、説得してくる。

 その説得はヤケにアッサリと藤丸の胸の内に収まり、藤丸の溜め息が一つ、病室に広がる。

 あぁ、面倒だ。でもやらなきゃならない。

 藤丸と銀が同時に立ち上がる。

 

「ちょっくらあのクソレズを止めてきますかね」

「……止めれるかな?」

「止めるさ。どうせあいつ、そんな事ならもうとっとと世界滅ぼして楽になってやるわ!! とか言って世界滅ぼすからさ。それをうるせー馬鹿って言いながら殴って止めるよ」

 

 最も、無駄かもしれないけど。

 藤丸はそれを口に出さず、園子に背中を向けた。

 

「今度さ、園子を連れ出してイネスにでも行こうぜ。頭冷えた東郷と、俺と……銀と園子。先代勇者組のオフ会さ」

「……うん。やくそくだよ、ズラっち」

「応とも。って訳で銀、仕事の時間だぜ?」

「わーってるって」

 

 藤丸と銀が並び立つ。それを園子は見守る。

 藤丸も銀も分かっている。園子は、美森の決定に何も口を挟まないし手を出さない。本人の意思を尊重して、それに懸ける。過干渉は一切しないのだと。

 だが、銀は違う。

 守るものがある。守らなければならない物がある。背負うべきものがある。

 家族という荷物を背負ってそれを力に変えて戦わなければならない。こんなクソッタレな世界で天寿全うするまで笑顔で生きていけるように。守るために。

 この二年間、毎日共にいた園子と銀の、初めての意見の対立とも言える今回。だが、二人とも互いの考えていることは分かっているため、何も言わない。それを察した藤丸も、何も言わない。

 

「んじゃ、とっとと……」

 

 その時だった。

 メールの着信音が鳴り、銀と藤丸が端末を確認する。

 そこには、風が暴走しているためそれを自分たちの精神状態に気を付けながら止めろという、結構滅茶苦茶な事が書いてあるメールだった。

 藤丸の脳裏にはその光景が簡単に浮かんだ。

 樹を溺愛する彼女だ。樹の声が二度と戻らないものだと知った暁には、彼女は絶対に暴走して大赦を潰すだったりなんなり言って暴走しそうだと。

 本来なら自分が行くべきなのかもしれない。

 だが。

 

「銀、頼んでいいか?」

「その心は?」

「弟がいるお前の方が、きっと説得には向いている。樹ちゃん後輩が説得するまでの時間稼ぎでも頼むわ」

 

 きっと、樹がいれば風の説得は容易だ。

 樹もきっと、満開の後遺症については聞かされているとは思うが、それでも彼女は強い子だ。真実を知っても自暴自棄になんてならないし、風の説得のために動いている事だろう。だから、そんな彼女が来るまでの間を、同じく弟がいる銀に任せて藤丸は美森の元へ。

 銀はその言葉を聞き、ため息を吐いて唯一の手で頭を雑に掻いた後、はいはいと一言呟いた。

 

「んじゃ、貸し一つこれで消化な」

「そんなんあったのか?」

「あったんだよ。んじゃ、アタシは行くから」

 

 銀が紫の光を纏いながら病院の窓を開け飛び立っていく。

 それを見送ってから藤丸も自分の勇者システムを起動して窓の桟に足を掛けてから、そっと園子の方へと振り返る。

 

「……また明日、見舞いに来るわ」

「……うん。また明日ね、ズラっち」

 

 そして藤丸は空へと舞った。

 凶行に走ろうとする仲間を止めるために。

 

 

****

 

 

 美森は息を荒くしながら壁の境界線ギリギリで蹲っていた。

 壁の外を見た。

 真っ赤に燃える地球。そこを飛び交う星屑。作られていくバーテックス。それが齎した真実は、このお役目は一生続くものだと言う残酷な真実。延々と戦い続け果てのない苦痛を味わい続けると言う真実。

 そんなの、耐えられるわけがない。そんな中に友奈が放り込まれるのが、たまったものじゃない。生贄と同じ扱いを友奈がされるのが、我慢ならない。

 狂っている。この世界は狂っている。

 

「……あぁ、そうだ」

 

 視線の先には神樹がある。

 そうだ。あれを壊してしまえば。

 あの神樹を破壊してしまえば、この世界は崩壊してこの生き地獄から解放される。

 

「ふ、ふふ……ははっ」

 

 笑いながら神樹へ向けて弾丸を放つ。

 弾は、掻き消される。神樹のエネルギーを使って戦う勇者の攻撃では、効かないのだろう。

 なら、バーテックスを呼び込むだけ。

 

「そうよ、こんな世界壊してしまえばいいのよ。そうしたらみんなこの生き地獄から解放される。もう二度と苦しまなくて済む!! 友奈ちゃんが苦しまなくて済む!!」

「でもさ。それ、全員死んじまってるよ。友奈も含めてさ」

 

 美森の叫びに、第三者の声が介入する。

 その声の主を、美森は視線と共に銃口を向けて確認する。

 

「よぉ、東郷。ちょっとその無理心中は止めてくれないか?」

 

 そこに居たのは、藤丸だった。

 勇者装束のポケットに両手を突っ込んで、偶然出会った友達に話しかけるかのようなノリで美森へと話しかけている。その手には武器である鏡はなく、表情も険しい物ではなく、どうしようもない友達へ向ける呆れを含んだ笑顔だ。

 予想通りだったなぁ、と呟く藤丸を、美森は躊躇なく撃つ。その弾丸は藤丸が呼び出した鏡が弾き飛ばした。

 

「邪魔しないで。神樹を破壊したら、みんなこの生き地獄から解放されるのよ」

「かもな。でもそれは死と同義だ」

「だとしても、苦しみ続けるよりはマシよ」

「それを友奈が言ったのか? 誰かが頼んだのか?」

 

 藤丸の言葉に美森は言葉を返すことができない。

 そうだ、これは誰かに言われた事ではない。望まれた事ではない。美森の独りよがりだ。

 果ての無い戦いを、苦しみながら戦い続ける。それを終わらせる方法が見つかったのだ。身体機能をこれ以上喪失せずに済むのだ。だから、この世界を破壊する。

 そう言っているのに、藤丸は引かない。それが間違っている。それはただの無理心中だと告げている。親愛なる友奈すら巻き込んだ物なのだと、言っているのだ。

 歯噛みする。

 黙れと言いたい。この気持ちが分からないのかと、叫びたい。だが、ここに彼が立っている時点で和解はできないのだと、既に美森は分かっている。

 

「もうこの世界に未来はないの。友奈ちゃんが苦しまずに済む未来はないの。だから、壊す。この腐った世界を」

「だからって友奈を殺すのか」

「……そうよ。それなら、もう誰も傷つかない」

「それを友奈が許すのか? 東郷さんありがとう、もうこれで苦しまずにそのまま死ねるよって。笑顔で言ってくれるか?」

「……うるさい」

 

 言う訳がない。

 友奈がそんな事、言う訳がない。それこそ友奈の精神が木っ端微塵に崩壊してしまわない限り、彼女はそんな事を口が裂けても言う事はないだろう。彼女の笑顔は、自分の心中に向けてくれるような物では決してないと。

 でも、これしか方法がない。

 こうすることでしか、この生き地獄を変える事は出来ない。

 死こそが終局であり、死こそが最早救いとなってしまっているのだ。この無限に湧いてくるバーテックスに襲撃され続ける世界というのは。最早四国以外が燃え尽きた世界というのは。

 

「……なぁ、もっとやりようはあるだろ? 考え直そうぜ」

 

 だが、それでも藤丸は美森の考えを否定する。

 彼女が友奈中心に考えているのだから、自分も友奈中心に考える。そして、その結果がこれ。美森の行動の全否定だ。

 彼女はそれを望まない。彼女は生きる事を望む。みんなで生きて笑っていくことを望むのだ。無理心中なんて、彼女は望まない。死ぬときは一人で引き摺って死ぬような子だ。

 だから、美森を止める。

 

「……黙れ。黙れ黙れ黙れェ!!」

 

 しかし、その言葉を届けるには些か遅すぎた。

 美森の狂乱と共に放たれた弾丸が藤丸の反応を超えて額に炸裂し、藤丸が吹き飛ばされる。

 もし精霊バリアが無かったら即死だった。冷や汗を少し掻きながら藤丸は改めて鏡を構えた。これで、もう撃たれても何とかなる。

 

「私の邪魔をするな! 私の友奈ちゃんへの気持ちを踏みにじるな!! 私の事が分かったみたいな口を挟むなッ!! これしかないのよ!! これしかみんなを救う方法はないのよ!! 友奈ちゃんを助ける方法は無いのよ!!」

 

 ――あぁ、やっぱり駄目だ。

 藤丸は空を仰いだ。やはり彼女はもう人の話を聞いて考えを改める段階に思考を置いていない。もうやることはやると決めてしまっている。

 昔から。須美のころから彼女は両極端だった。両極端すぎるがゆえに、時々彼女の言動と行動は笑いを生んだ。そしてその両極端な思考が今、災いを齎そうとしている。

 

「……わかった。じゃあ俺を倒してから」

 

 この世界を壊すんだな。

 そう言おうとした瞬間だった。

 

「オルァッ!!」

「ぐへぇ!!?」

 

 美森、まさかの不意打ち。ライフルをぶん投げるという藤丸が一切予想していなかった不意打ちによってハゲ丸の顔面にライフルがめり込み、そのまま吹き飛ぶ。

 対する美森は邪悪な笑顔。ここに芸人VS芸人のバトルの開催が決定された。

 

「くくく……ははははは!! ぴーちくぱーちく喚いている暇があるのならとっとと私を黙らせるべきだったわねクソハゲェ!! 私があなたの話なんて聞くと思ったのかしら!!?」

「ちょ、おまっ、この流れはシリアスにバトルするもんだろうが!!?」

「黙りなさい平和ボケハゲ!! こっちは目的遂行のためなら卑怯もラッキョウも酸いも甘いも気にせず障害は排除する所存なのよ!!」

「こいつ恥もせずにとんでもねぇ事言ってやがる!!?」

 

 立ち上がろとする藤丸であったが、その前に美森が跳躍して藤丸の上を陣取ってそのまま両手を触腕で押さえつけて馬乗りになる。

 あかんこれ。こいつ、さっきまでの空気全部ぶっ壊してでも俺を先に始末する気だと。ハゲ丸がなんとか鏡を美森にぶつけるが、美森の精霊バリアはその程度じゃ抜けない。

 

「先手必勝!! 甘かったわねクソハゲェ!!」

「こ、この腐れ外道が!! お前絶対にいい死に方しねぇぞこのクソアマァ!!」

「外道で結構閻魔様大歓迎よ!! 私には友奈ちゃんだけいればいい!! オラ死ねェ!!」

「ぶへっ!!?」

 

 馬乗りになった美森が思いっきりハゲ丸の顔面を殴る。しかもその拳がどうしてか精霊バリアを貫通してくる。

 ちょ、やめ、と言葉を発するハゲ丸であったが、美森はそんなハゲ丸の言葉を一切合切無視して思いっきり殴り続ける。きっと彼女の両足が健在だったならハゲ丸はなんとか両腕をフリーにして防御に回ったかもしれない。だが、彼女の服の装飾から伸びる触腕は彼女の体を思いっきり飛ばせるほどの力を持っている。それが思いっきりハゲ丸の腕を押さえつけているのだ。

 もうこの時点で勝者は美森だ。ここからはムッシュムラムラ(私刑の時間)だ。

 

「ははははは!! さいっこうよ!! このクソハゲを全力でボコれるなんてね!! ここまで来たら顔の毛も頭の毛も全部剥いであげるわ!! 感謝しなさいハゲ!!」

「あ、ばかおまっ、それだけは、ちょ、やめ、ヤメロー!!?」

「ざまぁないわねステロイドハゲ!! 所詮はバーコードハゲ(バーコード無し)よ!! 私に勝ちたいならヒットマンになって暗殺以外何でもできるようになってからかかってくることね!!」

「お前それマジのバーコードハゲだろうが!!? くそっ、どうすんだよこのままじゃ俺がギャグ的にボコられるだけで終わっちまうぞ!? 主人公だぞ俺!!?」

「第四の壁破壊する前に私に泣いて命乞いする方が先決だったわね!! オラグリップエンドの味を思い知れェ!!」

「ぎゃーす!!?」

 

 とうとう美森がハンドガンのグリップエンドで付け毛もカツラも全部剥いだハゲ丸の顔面を殴打し始める。

 最初は精霊バリアで多少威力が軽減されていたが、ハゲ丸の精霊バリアを張るためのエネルギーが尽きてしまい、そのままハゲ丸の顔面に思いっきりグリップエンドが突き刺さり始める。

 飛び散る血。最早笑顔が殺人鬼のソレとなった美森。被害者ハゲ丸。勇者としてあり得ない初手不意打ちからの十割コンボによる美森の奇襲はハゲ丸に防げるわけもなく。たっぷり一分ほど顔面を殴った美森はハゲ丸の顔面が倍近くまで腫れ上がり、ついでに白目を剥いて気絶するのを見てから最後に思いっきりグリップエンドで頬をぶん殴って血を吐かせてから立ち上がった。

 

「ペッ!! この雑魚が。喧嘩を売る相手は選ぶべきだったわね!!」

「こ、このアマ……いつかころす……」

「あらまだ意識があったのね。死ねオラァ!!」

「あんぎゃー!!?」

 

 最後のグリップエンド殴打により本当にハゲ丸が気絶した。

 全身に返り血を浴びた美森はやり切ったと言わんばかりの表情でハゲ丸の上に立ち、そのまま壁に視線を向ける。

 そして。

 

「さぁ、世界の終わりよ。SEKAI NO OWARIの方がいいかしら? そっちの方がかっこいいものね。あ、でも世界は尾張なんてどうかしら。織田信長もファイヤーされて死んだんだし。ということでエンチャント・ファイア!! 世界よこのまま燃え尽きてしまえレッツ本能寺!! 全世界本能寺チャレンジの開催よ!! オラ全部燃えちまえバーニンッ!! レッツバーニンッ!! 世界にエンチャント・ファイヤー!!」

 

 美森が壁を破壊し、この世界は樹海に包まれた。

 こんなセリフで壁を破壊された神樹様の身にもなってあげてください。




芸人と芸人が出会ってシリアスが息するワケないだろいい加減にしろ!!

あ、説明部分にちょっと間違いあるかも。だってにわかだから仕方ないよネ

そして完全に外道な東郷さん。もうコイツも原作の面影消えてんよ……
それにフルボッコにされたハゲ丸くん。第四の壁は破壊しましたが意味はありませんでした。

にしても……いやー、これは酷い。完全に東郷さん蛮族だよこれ。元から犯罪者予備軍……というか犯罪者って言われてるのにそこに蛮族混ざってるよこれ。途中までのシリアス全部放り投げてハゲ丸くんを私怨でボコっちゃったよ。ちなみにムッシュムラムラの本当の意味はお仕置きの時間だ、です。詳しくはお父さんお母さんに聞いてみよう!! ダチョウ倶楽部の方じゃないぞ!!

ということで次回から最終決戦。外道にボコられたハゲなど放っておけい。

あ、最後の東郷さんは今までの鬱憤晴らせて精々した結果だと思ってください。彼女もちょっと人並みにストレス溜まってたんです。
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