ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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今回は樹ちゃん後輩&ゆーゆのターン。

やっぱ樹ちゃん後輩、クッソ動かしやすい……やっぱこの子も芸人として目覚めてしまっているんやなって


カラハゲ

 樹にとって声というのは、自分の趣味でもあり夢でもあり。そして希望でもあり願望である。

 自分の声と音が交差して生まれる一つの楽曲で誰かを元気にしたい。姉と並び立つために認めてもらいたい。楽しんでもらいたい。そんな思いが複雑に交差して。しかしそのどれもが前を向きただひたすらに我武者羅に前へ向かって進んでいきたいという彼女の前向きな意思が複雑に交差した意志を一つの綺麗な道へと変え、その道を沿うように樹自身の綺麗な声が通っていく。

 歌のプロになりたい。歌の仕事がしたい。その希望願望夢を叶えるための力が、今の樹にはある。元から上手く綺麗だった歌が、今まで彼女の歌を邪魔する壁であった羞恥心の克服によってより上手く綺麗になっている。

 それ故に。彼女は自身の力を認められて歌のプロになる第一歩を踏み出している。

 

「ふぅ……やっぱり思いっきり歌えるのっていいですねぇ」

「そうだな。思いっきり歌えばストレス発散にもなるし気分もよくなる」

「だね! あ、次わたしの曲だ」

 

 そんな彼女は最早自分の趣味となったカラオケに、ハゲ丸と友奈を連れてきていた。

 というのも。本日はこの三人で勇者部に来た依頼を片付けていたからだ。依頼を片付け終わってさぁどうするか、となったのだが、まだ明るく時間があったためどこかで遊んでいこうという事になった。その結果、樹の提案によってカラオケに行くこととなった。

 それなりに安価で、長い時間暇が潰せて尚且つ全員が楽しいという難解な条件を満たすのにカラオケというのは中々いい物だった。

 かつて勇者部全員で来た時、樹は思いっきり歌を歌うことができなかった。が、今は思いっきり歌える。歌うことができる。だから、あの時も楽しかったが、今はその時と同じくらい。もしかしたらそれ以上に楽しかった。なんやかんやで樹自身、声が出なかった期間はそこそこのストレスが溜まっており、それの解消も込めた今回のカラオケは中々いいリフレッシュとなっている。

 

「ってか樹ちゃん後輩、本気で歌うとこんなに上手いのな。歌上手いのは知ってたけど、まさかここまでとは」

「そりゃ、プロ目指してますから!」

 

 友奈が歌っている横で、ハゲ丸が曲を入れながら樹と会話する。

 無い胸を張りながら自信満々にそう告げる樹は、あの時緊張で歌えないなんて言っていた少女とは思えない位に成長している。

 その自信の裏腹には、彼女が近い将来に新人アーティスト育成プログラムのレッスンに参加することが決まっているというのもあるかもしれない。彼女は、様々な新人アーティストを育ててきた人たちに自分の歌が認められた。伸ばすだけの才能があると見出された。それが今の樹の自信に繋がっているのかもしれない。

 だが、そうやって無い胸を張って鼻を高くする樹はなんとなく生意気だったのでハゲ丸はそっと脇腹を突いた。ぶふっ。と樹は女の子らしくない音を立てながら突かれた脇腹を抑えた。

 

「何すんですかハゲ先輩!」

「生意気後輩へお仕置きだ」

「ハゲのくせに……」

「樹ちゃん後輩、最近俺に対する当たり強くね?」

 

 そんなもの前からですよ、と軽く毒を吐きながら樹がコップ片手に立ち上がり、ついでにハゲ丸の分の飲み物も注いでくると言い一旦部屋から退出した。直後に終わる友奈の曲。

 

「ふぅ。思いっきり歌うと喉乾くよね~」

 

 友奈がサッパリした笑顔で椅子に座り、すぐ前に置いてあるジュースの入っているコップを手にして一口中の液体を口の中に入れ飲み込む。ハゲ丸はそれを見て顔を顰めた。

 

「そりゃな。ってか友奈。お前の飲み物って……何? いや、ホント何その……何?」

 

 何故なら、友奈の飲み物は、単純に言えばコーヒーフレッシュを入れたコーヒーの色だ。薄い茶色と言った方がいいかもしれない。なのだが、それに炭酸の泡が浮かんでいる。炭酸のコーヒーみたいな感じになっているのだ。そんな飲み物はここのドリンクバーには存在していなかった筈だ。

 友奈は自分の飲んでいる物を不思議物体を言われたのが若干意外だったのか。それとも待っていましたと言いたいのか。どっちとも取れる表情で自分の飲んでいる物を説明し始めた。

 

「これ? これね、アイスコーヒーに炭酸水混ぜてコーヒーフレッシュと砂糖入れただけだよ?」

「え? それ美味いの?」

「美味しいよ? 飲む?」

「いや、俺、コーヒーはブラック派だからさ」

「ブラック飲めるの? 大人だね~」

 

 話し合いながらハゲ丸はマイクを手にし、曲が始まるのを待つ。

 少し長い前奏が終わる間、ハゲ丸は友奈が今飲んでいるアイスコーヒー+炭酸水がどんな味なのか想像しほんの少しの時間を潰し、歌い始めの曲調を思い出しながら口を開き、歌い始める。

 友奈や樹のような高いソプラノボイスの声ではなく、声変わりの終わった少年の低い声が響く。普段行くとしたら同性としかカラオケに行かない友奈はそれに若干テンションが上がり時々合いの手を入れたりする。それに気分がよくならないわけがなく、ハゲ丸がテンションを上げて歌う。

 その最中、樹が部屋に戻ってきた。その樹を見た友奈が仰天しているが、何が起こっているのかは分からない。

 そんな視界の端を見ながらAパートとサビを歌い終わり、すぐに来るBパートに備える。

 

「ハゲ先輩。これどうぞ」

「おっ、ありがと」

 

 だが、その間の時間にジュース一口くらいなら飲める。

 樹から受け取ったコップに口を付けその中の液体を口の中に含む。直後。

 

「ごふぅ!!?」

 

 味覚と胃がダメージを負った。

 口に液体を入れた瞬間感じたのは、野菜ジュースの味。だが、そこにコーヒーの苦みが混ざって更にそれがカオスなコンストラクションでエクステンド。最早口にする事すら憚られる味が口の中を蹂躙し、胃というか体がそれを体内に入れる事を拒否するレベルだった。

 思わず半分ほど吹き出してしまい、マイクと仮称野菜コーヒーを机の上に置いておてふきで自分の口回りを拭いてから樹にアイアンクローを極める。

 

「おう樹ちゃん後輩よ。これなんだ?」

「野菜ジュースとコーヒーの組み合わせがこの世のものじゃないレベルでマズいって聞いたので混ぜてみました!!」

「お前よくこの状況でそんな笑顔浮かべれるな!?」

「わたしに何かしてみてください。わたしがそれをお姉ちゃんにチクればハゲ先輩は海の藻屑ですあああああああああああああああああ!!?」

「今回ばかりは誰に聞いても十割お前のせいになるわボケ後輩!!」

 

 歌手が歌う事を放棄した結果、一人寂しく流れる伴奏。後輩の頭を右手で掴んで思いっきり握りつぶそうとする先輩。それに気が付いているのかそれとも気が付いていないのか。よく分からない感じでフライドポテトを頼む天然。

 流石にとんでもない合成飲料を飲まされたハゲ丸は若干キレかけている。その様子は彼の表情を見ればすぐにわかるレベルだ。

 アイアンクローから解放された樹はハゲ丸の指が当たっていた部分を抑えながら携帯を取り出した。

 

「お姉ちゃんに言いつけてやる!!」

「来いよ樹ちゃん後輩。姉なんて捨ててかかってこい!!」

 

 いや、捨ててって。

 ポテトを食べながら友奈は若干呆れる。

 

「へ、へへ……ハゲ先輩を懲らしめるのにお姉ちゃんなんか必要ねぇ。携帯もだ」

 

 あ、これこの間テレビでやってた映画のやつだ。と友奈が気が付いた。

 

「誰がハゲなんか、ハゲなんか怖かねぇ! 野郎オブクラッシャァァァァァァ!!」

 

 そして樹が野菜コーヒーを手に持ちながらハゲ丸に襲い掛かる。あれ、自分たち何しにここに来たんだっけ、と友奈が思うのも束の間。すぐにハゲ丸が襲い掛かる樹に向かって構える。

 

「楠さん直伝! 打点破砕撃ッ!!」

「ごふっ」

「樹ちゃーん!!?」

 

 しかし、樹はハゲ丸の指一本による刺突を腹に受けてダウン。友奈がいきなりの暴力に驚くが、ハゲ丸は残心しながら自分の入れた曲が終わるのを待った。

 

「ふっ……腹がぷにっていたのが仇となったな」

 

 いや、言ってる意味わかんないよ。という友奈のツッコミは聞こえなかった。

 友奈のツッコミを無視したハゲ丸が机の上にある樹の飲み物を手に取る。どうやら未だ口の中に残る野菜コーヒーの味を払しょくしようとしているらしい。らしいが、友奈は見た。樹が震える手でそっと自分の飲み物を退却させ、代わりに野菜コーヒーを机の上に置いているのを。

 ちょっと気分がよくなったハゲ丸はそのまま野菜コーヒーを手に取り、そのまま飲んでしまう。そして。

 

「ごぽっ」

 

 変な音を立て、そのまま顔色を真っ青にしてから樹の上に倒れてしまった。

 ぐぇっ、と小さな樹の悲鳴が聞こえる。そしてハゲ丸は白目をむいて倒れてしまっている。恐らく、野菜コーヒーはハゲ丸の意識を奪うレベルでヤバイ代物だという事を友奈は学び、そしてこれからどうしようかと天井を仰ぎ、すぐに携帯を手にした。

 

「あ、もしもし夏凜ちゃん? 今カラオケに居るんだけど夏凜ちゃんも来ない? え、ハゲ丸くんと樹ちゃん? 今気絶してるけど……あ、来てくれる? ありがと~。うん。いつものカラオケだから、着いたら連絡してね。迎えに行くから」

 

 もう樹とハゲ丸の漫才に慣れきってしまった友奈は夏凜を呼び、夏凜が来るまでの間ヒトカラを楽しみ、夏凜が来てからは二人でのカラオケを楽しむのであった。

 ちなみに、樹は風が迎えに来て、ハゲ丸は目が覚めるまでカラオケの入り口付近に投げ捨てられていた。

 

 

****

 

 

 ハゲ丸と友奈の関係、というのは普通の友人、という関係からは少しだけ逸脱している。

 同じ部活の仲間であり、そして背中を預け合って戦った戦友。それを普通の友人関係とは言わないだろう。もし、それを普通という人間がいるのであれば、彼と彼女の関係は普通の友人という間柄になる。もしくは、親友とも。

 つまるところ。恋人という関係にはならないが、それ以下の関係としては上位の関係だ。

 だが、それは二人が思っている間柄の説明であり、他人から見れば。

 

「ほれ友奈。新作のラズベリージェラートだ。食べてみてくれ」

「わーい! いただきまーす!」

 

 餌付けしている飼い主と、餌付けされている子犬とでも言った方がいいような間柄となっていた。

 基本的にハゲ丸は新作のジェラートを作ると友奈に一番に味見をしてもらう。例外だったのは醤油ジェラートとにぼしジェラート(サプリ配合)の二種のみ。それ以外は基本的に友奈の胃袋に収まっている。時々持ってこられるゲテモノとすら言えてしまうジェラートも、だ。

 勇者部の活動前の昼休み。食後とも言える時間にハゲ丸はいつも友奈に対してジェラートを振舞う。最早この半年近くで持っていくのも持って帰るのにも慣れてしまった、愛用という枕詞すらついてしまうクーラーボックスは今日も持ち主の手によって開けられ、中に入っているジェラートが友奈の前に盛り付けられた状態で振舞われる。もうそろそろジェラートを食べるには厳しい季節だが、まだアイスが美味しい時期だ。友奈がそれを拒むことはなく今日も今日とてハゲ丸のジェラートを口に運ぶ。

 

「どうだ? ちょっと酸っぱいかなって感じだったんだが」

 

 ハゲ丸と友奈の味覚には、若干の違いがある。

 その違いとは単純に男と女としての違い。ハゲ丸は濃すぎてこれでもかという程の甘さが苦手だ。対して友奈はそんな甘さは好きだ。他にも辛い物、苦い物、酸っぱい物。それぞれに個人的な、性別的な。色々な違いがある。それ故に、ハゲ丸は友奈に一度味見を頼み、その意見を自分のジェラートに反映する。

 今回のラズベリージェラートも、そうやって意見を反映させるために作った試作ジェラートの一つだ。

 

「んー! 今回も美味しいよ!」

 

 なのだが。今回のラズベリーは友奈の味覚からしたら十分に美味しいと言える出来だったようで。彼女は笑顔でラズベリージェラートを口に運んでいる。

 もしもこの場に美森が居たのなら嫌味か喧嘩言葉の一つや二つがハゲ丸に飛んでいき、最早クラスの見世物と化したハゲ丸と美森の芸人同士のナニかが見れたかもしれないが、生憎美森は現在、夏凜と共に勇者部の部室にちょっとした用事を済ませに行っている。なのでハゲ丸が芸人としてのナニかを友奈ガチ勢の二人に発揮することはない。

 

「ならよかった。今回は三個分しか作ってきてないから食っちまいな」

「うん! ありがと、ハゲ……藤丸くん!」

 

 ハゲ丸、と教室で呼ぶのは流石にダメだという友奈……というか勇者部の暗黙の了承があるため友奈はハゲ丸の事を教室ではちゃんと藤丸と呼ぶ。美森だけは躊躇なくハゲと呼ぶが、ただの罵倒だと教室のみんなは受け流している。受け流してくれている。誰もハゲ丸の頭がその名の通りハゲているとは思っていない。

 新作ジェラートを食べ終えた友奈は一息つきながら美森がいつでも飲んでいいと言って置いてくれていた、魔法瓶に入った温かい緑茶を飲んだ。

 

「ハ……藤丸くん、最近になってからジェラート作るの上手くなってるね」

「お? 分かる? 分かっちゃう?」

「うん。なんかね、いつもよりも味に深みがあると言うか……なんていうんだろう」

「いや、無理に言葉にしなくてもいいよ。ありがとな」

 

 友奈が自分の語彙力では表せていないが、ハゲ丸としてはそんな言い表せていない内心を聞けて満足している。

 ジェラート作りが上手くなったその理由。それは、記憶を取り戻したからだ。

 今までのハゲ丸は、何となく分かる。何となく知っている物を、レシピを見ながら形にしていっただけだった。だが、その何となくの部分を思い出した結果、過去の自分が。桂が作っていたジェラートのレシピを思い出し、それに藤丸に戻ってから養った料理の腕による工夫を加えた結果、ハゲ丸の料理を作る腕。そしてジェラートを作る腕はかなり上がったのだ。

 

「しっかし……やっぱ友奈は美味しそうに食べてくれるから俺も嬉しいよ」

「そう? わたしは普通に食べているだけなんだけど……」

 

 趣味で作ってきた物を喜んでもらえる。それだけでハゲ丸にとっては嬉しく思える。美森がずっとぼた餅を友奈のために作ってくる理由というのも分かる物だ。

 食べるだけでここまで人の喜の感情を動かすのも一種の才能と言えるだろう。

 

「ホント、樹ちゃん後輩も友奈くらい素直ならなぁ……」

「あ、あはは……」

 

 ハゲ丸のボソッと漏らした言葉に友奈は目を逸らして小さく笑った。

 彼が来てから樹は今までとは違って活発になった、というのは良い言い方だ。悪い、というよりも歯に衣着せず言えばキャラが濃くなった。きっとハゲ丸の中の芸人としての素質が樹の中にあったナニかを刺激した結果、あんなことになったのだろう。

 昔から毒舌の気があった樹だったが、その毒舌とそれに繋がる物が開花してしまったのはきっとハゲ丸のせいでもありお陰でもあるだろう。

 

「ってか、友奈は素直すぎるよなぁ。ピュアすぎるとも言えるけど」

「え? そう?」

「そうそう」

 

 そしてハゲ丸の思考は樹への物から友奈へ。

 

「だってお前、クソレズの隠し撮りの事知ってるんだろ?」

「隠し撮り……? 寝ている所を撮っていたりしたこと?」

「そうそう。お前、よくそれを知ってクソレズと仲良くできるよなって……」

 

 同性が自分の寝顔を撮っていて。ついでに着替える所まで撮っていた。もしも親しい同性の友人が自分に対してそんな事をしていたと知れば、ハゲ丸はその友人とは距離を置くことを決意するだろう。というかしないと確実にこれから先何かしらの被害が発生してしまうだろう。

 だが、友奈はそれを知っても普通に美森とは仲良くしている。むしろもっと仲良くなろうとしている。相手からの好感度メーターは振り切れているのに、更にオーバーフロウさせようとしている。

 

「うーん……でも、写真を撮られるの嫌いじゃないよ?」

「いや、そうじゃなくて……まぁ、そうやって考えれるのが友奈のいい所なんだろうけどさ」

 

 友奈からしたら、美森はただ写真を撮りたいから撮っている。その中の一つが、自分の着替えや寝顔なのだろうと。そう思っている。

 人からの好意には敏感で。しかし人からの邪な感情には鈍感な上にその邪すら好意とも受け取ってしまう。本当に勇者となるべくして産まれたような少女だ。しかも、最近になってからそれがより敏感になっているような気すらする。

 

「じゃあさ、友奈。もしもクソレズから好きです、付き合ってくださいって言われたらどうする?」

「え? そう言われるのは嬉しいけど……」

 

 ちょっと照れるかなぁと呟いた。どうやら満更でもないようで。

 

「じゃあ俺の場合は? 好きです付き合ってください!」

「冗談は頭だけにしよう?」

「お前時々無意識に言葉の矢を人に向けて射るの止めよう?」

 

 勿論、二人ともその言葉は冗談なのだが。

 

「だって、ハゲてる人とはちょっと……ねぇ?」

 

 しかし友奈は続ける。友奈の無邪気で無慈悲な言葉はハゲ丸の心臓にぶっ刺さりまくっている。

 

「うん。分かってるから。分かってたから止めよう」

「ハゲ丸くん、性格はいいけど頭がね」

 

 ハゲ丸の性格は、勇者として選ばれるだけあっていい方だ。

 だが、その性格の良さも頭がハゲている。ついでに顔が普通という点が潰してしまっている。主にハゲているという点が八割方潰している。ついでに芸人という点も。

 

「もう止めて! 俺のライフはゼロよ!!」

「大丈夫! その内なんとかなるよ!! きっと何とかなるよ!!」

「多分とメイビーでゴリ押しするの止めようぜ!?」

 

 ハゲ丸自身、それは分かっているが、グッサグサ面白いように刺さる言葉の矢はハゲ丸のハートを矢達磨にしてK.Oするには十分だった。

 

「いいもん……大人になったらスキンヘッドって言ってカッコつけるから……別にいいもん……」

「でもスキンヘッドが似合う顔じゃないよね、ハゲ丸くんって」

「まだ成長期だから! 渋いオッサンに成長予定だから!!」

「でもそれでスキンヘッドになるともっと女の子寄ってこないと思うよ? 怖いかもしれないし」

「もう俺にどうしろって言うんですか!!」

「チェックメイト!」

「打つ手無しかよぉ!?」

 

 結論から言えば、ハゲが好きな変わり者な女の子が寄ってくるのを待つしかないという事だろう。ついでに、勇者部の全員がハゲ丸は好みのタイプじゃない。ハゲてるから論外。まずあり得ない。BL小説書くモデルとして重宝してるんよ~と言われるだろう。

 美少女に囲まれながらもその誰からも男として見られていない。そんな可哀想な男こそがハゲ丸なのだ。

 ハゲ丸がハートに刺さりまくった矢による傷を何とか気合で癒してから突っ伏していた机の上から顔を上げ、さて。と一言口にしてから友奈に一つ聞いた。

 

「どうしてこんなに話が飛躍したんだっけか?」

 

 どんな話からこんな話になったんだっけと。

 もう次の授業の時間が迫る中、友奈は自分の記憶を漁って、そして。

 

「ごちそうさま、ハゲ丸くん!」

 

 まだハゲ丸にジェラートを食べ切った際の言葉を言ってない事を思い出した。

 結局、この二人は餌付けする人とされる人の関係からはこれから先変わらないという事だけが、このどうでもよくて。されど尊い日常の会話で発覚したのだった。

 だから、それを教えてくれた友奈、ハゲ丸はこう返す。

 

「お粗末様でした」

 

 さて、明日はどんなジェラートを作ってこようか。自分たちが勝ち取った明日の事を考えながら、ハゲ丸は昼食後の一番眠い時間帯の授業についてを考えるのであった。




なんか東郷さんと樹ちゃん後輩を動かす時、美少女キャラとして一切考えていない自分がいる。東郷さんならまだしも、どうして樹ちゃん後輩はこんな事になってしまったの……

っていうか、ゆゆゆのオリ主物でここまでキャラ崩壊した樹ちゃん後輩やオリ主と物理的に殴り合う東郷さんって居るんですかねぇ……あとオリ主を好みのタイプじゃないってバッサリ斬り捨てるゆーゆとか。

さてさて。恐らく次回からはわすゆ編に入ります。くめゆ編同様、そこまで長くはしない予定ですし、回想という形でわすゆ編をやる予定なので、あまり細かいところまではやらない予定でもあります。
あと、最初に言ったようにコレは基本的にプロットなんて存在していないので基本的にノリと勢いだけの某アンツィオ的な感じで書いていきますぞ。多分、勇者の章の後ののわゆ編だけじゃないかな。プロットを考えるのは。
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