ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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一週間空いてしまったのでちょっと短いですが更新。

今回はわすゆ三話の将来の夢を笑いながら語るあの話。


将来もハゲ

「あー、ひどい目にあった」

「それで済むのか……」

 

 神威の断頭台をマトモに受けたハゲ丸ではあったが、いつもの超回復(ギャグ補正)を見せつけ銀に軽く呆れられていた。そんな二人ではあるが、もうこれ以上美森から暴力を受けるわけにもいかないので真面目に昔の事をチラホラと口にしながら作業をしていた。

 美森も園子もまだ体が自由になってから長い時間が経っていない。故に負担の大きい所は義手に慣れた銀が三割。残りはハゲ丸が担当するような感じで先ほどから作業していたのだが、何せ三ノ輪家はそこそこ大きい。昔ながらな家ではあるが、三ノ輪家の家もそこそこの格があるのを示すかのように、乃木家、鷲尾家、桂家よりは小さいが、普通の感性からしたら十分に大きいと言える。

 故に、朝から作業してもうすぐおやつを食べるには丁度いい時間帯になるのだが、まだ時間はかかりそうだった。

 

「昔地獄の断頭台受けたからかね。後は……部室や夏凜の部屋から落とされたり投げ飛ばされたりしたからかな。生身で」

「お前の体おかしいよ……」

 

 ははは、とハゲ丸は笑うが、ふと思った。どうして部室から投げ飛ばされたんだっけ、と。暫く考えたが思い出すと何か酷い目に合うというのがどうしてか分かってしまったのでハゲ丸はそれ以上の思考を止めた。

 その代わりにと、ハゲ丸はかつての何気ない日々を思い出した。

 

 

****

 

 

 とある日の休み時間。

 桂は仲良し三人組が休み時間を使って黒板に落書きしている様子を後ろから眺めていた。桂が参加しなかったのは、単純に絵心が無いのと後で消すのが面倒だったからだ。断じてグリッドマンを描こうとしたら謎の怪人ができあがって断念したわけではない。

 対して三人の絵は、須美の絵はどうしてそれをチョークで書けるんだよ、とツッコミを入れたくなる程精巧な駆逐艦電。そして銀は恐らく金太郎なのであろう絵。そして園子は彼女の大好きなサンチョ……から長い手足が生えた、とてもじゃないが直視し続けたくないような謎の生命体だった。

 

「須美のソレは何だ? 軍艦?」

 

 そうしている間に銀が須美に口を挟んだ。どうやら銀はもう書き終わったらしい。

 その言葉を聞いて須美は仕上げをササっと終わらせて質問に回答する。

 

「特Ⅲ型……通称暁型駆逐艦の四番艦、電よ」

「電……? 大和とか長門とかなら分かるけど……なんで駆逐艦?」

「さぁ……何でかしら? 最初は瑞鶴を描こうとしたのだけど、なんだか急に日本海軍の船なら電を描けって電波が……」

「おっ、とうとう頭の病気かな?」

 

 そんな桂くんの頭にスコンッ。と軽い音を立ててチョークが生えた。

 手持無沙汰になった須美はどうした物かと、ふと園子の書いている絵を見た。そして軽くSAN値が減りそうになったが、正気を失うような真似は何とか気力で止めてから何それ、と聞いた。

 彼女はそれに対してサンチョだよ、と答えたが、須美の中のサンチョ像はそんな正気を削りに来るようなとんでもない外見はしていない。というか今も園子のロッカー、鞄、机の中にミッチリと詰まっている彼女の枕兼ぬいぐるみのサンチョしか記憶にはない。

 

「ってか須美の書いてたのって電だったのか……俺は秘書艦はいつも山風だったからなぁ」

「……? ハゲは何を言っているの?」

「え? 昔の軍艦を美少女化したゲームのだな」

「邪道!!」

 

 スコンッ。ともう一個桂の額からチョークが生えた。須美からしたら、どうやら擬人化ゲームはあまり好ましくないらしい。そこから興味を持ってくれるのは良い……いや、嬉しい事ではあるが、ひっきりなしにそっちの話題を振られるのはついて行けないのもあり若干控えてもらいたいと思っていた。

 

「お前はそういうの駄目な感じか……ってか、駆逐艦ってゲームだと安く生産できるけど弱いんだよなぁ」

「そんな事はないわよ? 適材適所で……」

「俺、いっつも戦略ゲーは大和とか武蔵を大量生産して質と数の差でボコしてるからなぁ」

「それこそ邪道!!」

 

 もう一個桂の額からチョークが生えた。これで銀と園子の手の中にあったチョークも消えてしまった。

 ちなみに、桂はいつもそうやって性能のいい戦艦を大量生産するが、その後その運用中に資源を切らして一方的に殴り殺されるのがいつものお約束となっている。

 そんなハゲ丸は放っておき、須美は思っていたことを口にした。

 

「で、そのっち。それってサンチョ……なのよね? 私の記憶のサンチョとはちょっと違う気が……」

「このサンチョはわたしの小説に出てくるサンチョなんよ~」

「小説?」

「うん。実は書いてネットに投稿してるんだ~。将来の夢も小説家の予定だし、今から練習しておかないとって思ってね」

 

 小学生の内から小説家を目指して。銀と須美からしたら意外ではあったが、何だか園子が小説家というのは違和感がなく。寧ろ乃木家の一人娘としてビシッとした感じに成長するよりは、小説家のように自由気まま……とは言わないが、何かを笑顔で作っている様子の方がシックリと来た。

 だからか。二人が同時にあぁ~。と納得したような声を漏らしたのは。園子はえへへ~、と照れている。

 

「わっしーの将来の夢は歴史学者さんだっけ?」

「えぇ! 仕事と趣味の両立よ!!」

 

 と目をキラキラして叫ぶ須美。須美の夢に関しても当時は全く違和感が無い。

 今、美森がそんな事を言ってもハゲ丸辺りが「どうせ友奈を嫁にするか友奈の嫁になるかだろ?」と真顔で返してきて、全員がそれに納得するため須美こと美森が歴史学者にピッタリな感じがするのは小学生までの期間である。もっとも、友奈が絡まなければ美森は学者としては結構違和感がないのだが。

 そして最後。銀の夢は。

 

「え? ア、アタシ!? いや、アタシは……」

 

 園子に話を振られて顔を赤くしながら俯く銀。

 恥ずかしいのかもじもじとしているが、小さな声で自分の夢を口にした。

 

「そ、その……お嫁さん……」

「ミノさんが可愛すぎる件」

「いいわ! その表情いいわ、銀!!」

 

 顔を赤くしながら勇気を出して口にした将来の夢は、彼女の普段は男勝りとも言える性格、行動のギャップ故にかなりの破壊力となり園子と須美。ついでにハゲ丸に直撃した。

 結果、園子は銀に抱き着き、須美は鼻血を出しながら銀を写メりまくる。そして桂はぶっ倒れており、鼻血なのであろう床に広がる血で「友人のギャップ萌え」と書いていた。なんとも間抜けなダイイングメッセージである。

 

「うわぁ!? 抱き着くな写真を撮るなぁ!!」

 

 そんな親友たちに囲まれた銀が解放されたのは昼休みが終わって安芸先生が桂を保健室に叩き込んでからだったりする。

 

 

****

 

 

「……なぁ、銀。お前の将来の夢ってまだお嫁さんなのか?」

 

 そんな出来事を思い出したハゲ丸は唐突に銀に質問を飛ばした。

 その質問を聞いた銀は足を滑らせて自分がまとめた荷物の中にダイビングした。思わずハゲ丸が心配したが、彼が動く前に銀が荷物の中から顔を出し、真っ赤な顔でハゲ丸に掴みかかった。

 

「お、おま!? なんでそんな事まで思い出してんだよ!?」

「いや、ふと思い出してさ」

「思い出さなくていいんだよそんな事! 恥ずいから忘れろ!!」

「無理。いやぁ、可愛いですなぁ、銀ちゃんは」

「死ねッ!!」

「アッー!!?」

 

 桂が銀の剛腕によって家の外へと放り投げられた。

 そのままどうやら園子と美森の元へと飛んでいったらしく、二人の悲鳴が外から聞こえてきた。いつまでもどこまでも扱いが悪いハゲ丸くんである。

 ハゲ丸を始末した銀は真っ赤な顔をどうにか落ち着けて荷物の整理を再開する。

 勿論、あの時から将来の夢は変わっていない。結婚願望はあるし彼氏が欲しいと常々思っている。だが、その思いを叶えるには彼女の腕を。二の腕の半ばから無くなってしまった片腕を受け入れてくれる人でないといけない。少し、夢を叶えるためのハードルが高い。

 ハゲ丸なら、と考えるが、それでも銀にとっては。

 

「まぁ桂はないや」

 

 やはり好みのタイプではないし、何よりハゲているので付き合いたいとか結婚したいとか、そういう思いは一切合切沸かないのであった。それに、ハゲ丸のような人間とは親友の関係を続けた方がこの先ずっと楽しいし、その方が自分たちは合っているのだと思っているのも、ハゲ丸とは付き合いたくない結婚したくないと思う要因だったりする。

 

「やっぱ結婚するならイケメンで性格のいいヤツとがいいよなぁ」

 

 ついでにちょっと面食いでもあったりする。




この後のわっしーは次回とかに余裕があれば。そしてちょっと面食いな銀ちゃん。ついでに告白してもないのにフラれ続けるハゲ丸くん。大丈夫。きっといつかフラグは建つよ()
ハゲ丸くんもハゲていなかったらなぁ……

FGOのzeroイベ始まりましたが、自分は一回目のzeroイベ走りまくった人間なので礼装がもう揃いきっているので周回が楽々。確かどこかのクエストでQPが一周100万近く彫れる場所があったと記憶しているので走らないと。今回はアンリもいるので大分楽です。孔明マーリン天草もいるので新しい高難易度来ても楽勝でクリアして見せますよ

ってか、そろそろゆゆゆいもストーリー進めないと……ってかFGOも二部二章進んでないから進めないと……

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