ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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さて、今回は……

果たして原作とはどうやって乖離していくのか、お楽しみください


たましい

 遠足の帰りだった。

 園子が未だ遠足の熱が冷めないのかスキップしながら三人の前を歩き、残りの三人はそんなハイテンションな園子を後ろから見守る。こうして前をスキップして歩く園子の背中を見るのも慣れたものだ。基本的にどんなことでもテンションが上がる彼女は人より前を、そのご機嫌を態度で表しながら歩く。

 

「あ、三人とも~! 今度お料理教えてくれる約束、忘れないでね~!」

「はいはい。分かってるわよ」

「どんだけ楽しみなんだか」

「まぁいいじゃねぇか。楽しみにしてくださってるのなら」

 

 園子のご機嫌の理由には、今園子が口にしたイベントも含まれていた。

 料理が得意な銀、桂。そして和食なら一通りできてぼた餅に関しては銀や桂をぶっちぎる須美に料理を教えてもらうイベント。今まで料理という物をしたことのなかった園子は昼食の調理に参加できなかったのを少し根に持ったらしく、今度料理を教えてと彼女から言ってきた。

 勿論それを拒む理由などなく、了承。園子の中のテンションメーターは未来のイベントが決定したことで振り切れそうだった。

 何も、園子は誰かに教えてもらわないと料理を人並みにできないわけではない。寧ろレシピ通りに作るのなら彼女は一人で全部やってのける程度には天才だ。だが、友達と一緒にという一点が。友達と一緒に料理を作って、一緒に食べるという事が、園子のテンションをここまで弾き上げた。

 そんな我等がお嬢様を当日になって落胆させるわけにはいかないと、自然と三人のテンションも上がって当日に何を作るかを考え始めてしまう。

 園子のテンションが良ければ、自然と他の三人のテンションも上がっていく。そして当日になって園子が喜び、三人も喜ぶ。良い事の循環だ。園子の笑顔とテンションは、自然と他の人を笑顔にしてテンションを上げていく。

 それも園子がリーダーとして選ばれた理由であり、園子の持つ才能でもあるのだろう。きっと、須美や銀。そして桂ではこんなに良い事の循環を作れはしなかった。

 

「そのっち、転ばないように気を付けてね。帰るまでが遠足なのよ?」

「分かってるよわっしー! ちゃんと無傷で家に帰るから~!」

「アタシもとっとと帰ってお土産渡さないと」

「ってか遠足でお土産って……何買ったんだよ……」

 

 なんて言ってる側から転びそうになっているのを見て、果たして本当に大丈夫なのかと疑ってしまう。

 が、帰るまでが遠足。その通りだ。このまま帰れないなんて事になってしまったら目も当てられない。だから、ちゃんと怪我しないようにしっかりと気を付けながら帰る。それが遠足を楽しみ抜いた者に発生する義務のような物でもあり、お約束である。

 だが、天の神はそんなお約束が破られる事を望んでいるらしい。

 

「あ、鈴が……」

 

 大橋から鈴の音が響く。

 大橋の鈴の音。それを聞けば、今だ四度目だと言うのに分かってしまう。何が来ているのか。何がこの世界に起こるのか。

 世界の時が止まり、音が無くなる。その中を動けるのは、勇者だけ。小学六年生という、戦うにはまだ若過ぎる年齢の少年少女だけ。

 

「こんな時に……遠足のサプライズイベントってか?」

「そうだとしたらこんな事を考えたバーテックス達にはお仕置きしなくちゃね」

「そうだね~。無傷でバーテックスを追い払って」

「そして帰るまでが遠足、だからな!」

 

 四人がスマホを構え、変身する。

 その瞬間、世界は樹海へとその姿を変える。そこからは話している時間すら惜しい。なるべく早く片付けて、なるべく早くこの遠足をいい思い出にしたい。だからこそ、今までよりも全力で。そして気持ちを引き締めて大橋の向こう側から迫ってくるバーテックスをその目に収める。

 現れたのは、蠍座のバーテックス……だけではなく、蟹座のバーテックスまでもがその隣に追従していた。

 一体でも十分な戦闘力を持つバーテックスが二体も。それが、今にもこの世界を壊さんと進行してきている。

 

「二体も……っ!」

「ちょっと間が空いたから埋め合わせってか?」

「余計なお世話だな!」

 

 銀と園子が前に出て、桂がその後ろに。そして須美が更にその後ろで構える。

 例え二体いようと戦い方は変わらない。一体ずつ倒して鎮花の儀を発生させて、そして終わりだ。何も難しい事はない。この四人が不可能な事なんて存在しない。

 

「わたしとわっしーで気持ち悪い方を叩くから、ミノさんとズラっちで気持ち悪い方を!!」

『どっちだよ!!』

 

 司令塔の園子が指示を出し、銀と桂がツッコミを入れながらもその言葉の意図を、彼女の行動から察して蟹座の方へと飛ぶ。

 ツーマンセルに分けた理由は、単純に戦力のバランスを考えての事だった。

 もし桂と園子が組めば、銀と須美の方は防御が手薄になってしまう。かといって園子と銀が組めば、桂と須美が力押しで各個撃破されてしまう可能性がある。故に消去法で、なおかつ最も安全な策を園子は取った。

 銀と桂の二人なら、桂が銀を守り、銀がゴリ押しで蟹座を仕留める事ができる。対して園子と須美は若干火力が不足しているが、園子にも火力は十分あるし、何より銀と桂がゴリ押しですぐに蟹座を倒してくれれば、すぐに四体一に戦いを持っていく事ができる。

 だからこその判断だった。

 

「銀、速攻で仕留めるぞ! 俺の事は考えず、ゴリ押しで仕留めろ!!」

「自衛は任せたぞ!!」

 

 その意図を二人はしっかりと汲み取る。

 自分達が蟹座を相手にする時間が増えれば、その分、須美の盾と攻撃役を兼任する園子の負担が大きくなる。何よりあの蠍座の攻撃は直撃しようものなら簡単に人間の命を持っていくだけの火力があると見ただけで分かる。

 故に、時間的猶予はあまり無い。園子の防御が失敗する前に加勢に入る。

 

「悪いけど今のアタシ等はちょっとイラついてんだ!!」

 

 銀が叫びながら蟹座に切りかかる。

 しかし蟹座はそれを自分の周りに浮遊させている板のような物で防ぎ、そのまま銀を押しのける。

 硬い、と思うのも束の間。その板で殴られでもしたらかなりのダメージを受けると判断し、桂の鏡が一瞬で銀の前を陣取るのを見てから自分でも双斧を構え防御の体制に移行する。

 だが攻撃は来ない。銀の頭の中に困惑を生みながらも、何とか銀は着地。桂に向かって鏡を蹴って返してから二人で並んで武器を構える。

 

「なんだアイツ、気味が悪い……」

「全くだ。銀、片方貸せ。挟撃で仕留めるぞ!」

「分かった!」

 

 銀が斧の片方を桂へと渡し、桂は鏡を自分の方へ寄せてから、一気に二人で挟撃に入る。

 桂も銀と何度か斬り合う訓練をしているため、斧は一流程度には使うことができる。

 しかし、二人の攻撃は届かない。蟹座の硬い浮遊装甲が二人の攻撃の一切を許さないのだ。次代の勇者達はそれを封印の儀によって真正面から相手せず、御霊だけを破壊し勝ったが、先代勇者である四人はこの硬い装甲を突破しない限り勝機はない。

 

「何つー硬さだよ! ついでに攻撃してこないから気味悪い!!」

 

 だが、未だに二人は無傷だ。蟹座が一切攻撃してこないがために。

 桂は最後に一度切りつけ着地し、銀と合流する。このままじゃダメだと分かってはいるのだが、これ以上のやり方が見つからない。もしも園子と須美がこちらに居れば、須美の精密射撃で相手の体勢を崩し、園子のチャージを叩き込んでから鏡で万が一を防ぎながら銀が解体にかかるのだが、如何せん今は手数が足りない。

 斧を銀に返し、二人で悩む。

 今、園子は蠍座の攻撃をその槍で受け止めながら須美の矢を隙を見ては押し込んで攻撃を当てている。が、それでもジリ貧の状態。

 

「気味悪いのは分かるが……銀、もしも。もしもだ」

 

 しかし桂の中には一個だけ疑問があった。

 あの蟹座のバーテックスが、もしも自分と同じ完全防御特化型のバーテックスだったらと仮定した場合だ。

 

「もしあのバーテックスが俺なら……絶対に須美みたいな遠距離特化を置いて、園子と銀みたいな近接特化と一緒に動かす」

「いきなり何を……」

「いいか、銀。俺達みたいに、相手よりも地力が負けてる完全防御特化ってのは、防ぐ以外にも弾く、曲げる、反射するって事ができないと話にならないんだよ。じゃないと、いつか力だけで全部叩き潰されるからな」

 

 例としては、桂が時々見るVRMMOのアニメに出てくるタンク、そして片手に盾を持ったアタッカーだろうか。

 タンクは、基本的に相手の攻撃を踏ん張って防ぐのが役目だ。その役目を果たすのは、誰よりも高い防御に傾向が寄ったステータスと、スキル。自分たちよりも格上のステータスを持つであろうボスモンスターの攻撃を真正面から防ぎきるだけの工夫を尽くした装備とスキルだ。

 しかし、桂にはそれがない。故に、桂は片手に武器を持っていない、片手に剣を持ったアタッカーのようなポジションだ。前に出て、攻撃を弾く。そこに一発でも大きな攻撃を受け止めてしまっては吹き飛ばされて攻撃のチャンスを逃してしまう。故に、弾き、受け流し、反射するリアルスキルが少なからず必要となる。

 そして、それらのサポートを受け、攻撃の隙を作り出すのはロングレンジアタッカー。つまりは須美のような人物だ。それかタンクが隙を作りだし、アタッカーが攻撃する。それがMMO等でよく見る定石だ。

 

「じゃあ何が言いたいんだよ!」

 

 地力だけではいつか押しつぶされる。タンクとアタッカーだけでは絶対にいつか限界が来る。

 ならば、それを打開するのは。タンクの回復の時間とアタッカーが切り込む時間を作るのは。

 

「つまり、俺なら絶対にもう一人を後方に配置するんだよ!! ジリ貧になった状況を打開するための、遠距離アタッカーを!!」

「遠距離……!? ってことは!!」

 

 遠距離アタッカーの攻撃だ。

 それが、大橋の向こう側から降り注ぐのが、銀と桂には見えた。いや、気が付けた。

 

「ズラァ!!」

「頼んだ銀ッ!!」

 

 直後、桂が巨大化させた鏡を地面に突き刺し、それを銀が支え、桂を自分の後ろにやる。

 そして桂の鏡に大量の矢が降り注ぎ、とてつもない衝撃が銀の腕を襲う。

 

「こなっ、くそぉぉぉぉぉぉ!!」

「蠍座、蟹座だからこれは射手座だ! 純粋な近距離アタッカーに、純粋なタンク! そして、純粋な遠距離アタッカー!!」

「こいつらにそんな知識があるってのかよ!!」

「少なくとも俺がトレースできるレベルの知恵だがな!!」

 

 矢が鏡に当たる音が轟音となり、最早二人は大声でないと会話ができない程にまでなっていた。

 しかし、防げている。当たれば確実に大怪我どころの問題では済まないような致命の一撃を、なんとか二人だけで防ぎきっている。そして、そんな二人を見た園子と須美が、園子の槍を傘のようにして矢の雨の中を突き進み二人に合流した。

 

「馬鹿! なんで来た!!」

「でもこの状況を打開しないと!!」

 

 だが、ここで桂と園子の思考が割れていた。

 桂が園子に望んでいたのは一刻も早くどれか一体の気を引き付ける事。対して園子が考えていたことは、三対目というイレギュラーが現れた事に対する作戦会議。つまりは作戦の練り直しだ。

 園子たちだけでは蠍座を倒せない。しかしこのままにしておけば桂と銀はジリ貧となり動けず、蟹座は好き勝手してしまう。しかし桂は現状は何とか持たせることができるから、一刻も早くこれを仕掛けている射手座を対処するためまずは蟹座か蠍座を倒してほしかった。何も攻撃の雨の中を進んでまで作戦会議をする必要はないと考えていた。

 

「ぐっ……じゃあどうする!? こうなっちまったからにはお前に任せる!!」

 

 だが、そんな思考の分裂で仲間割れなんてしていられない。

 やってしまった物は仕方ない。少し合わなかった程度じゃ動じない。きっと園子ならば自分の考えている事よりも遥かに上手な作戦を考えてくれると信じているからこそ、桂はすぐに園子に指示を求める。

 

「……わたしとミノさんであっちを倒す! すぐに戻ってくるからわっしーとズラっちでこの矢を引き付けて!!」

「蟹座は!?」

「今はそれどころじゃない! このままじゃ全員封殺される!!」

 

 そして園子が取った手段は各個撃破。

 火力を一点に集中し、各個撃破を繰り返す。桂が封殺されているというこの状況を遠距離からの攻撃が一切飛んでこない物だと理解し、桂と須美を放置して各個撃破していく。

 それが恐らく一番勝率が高く。そして、安全でもある作戦なのだと園子は判断した。

 現状を十割理解せずに、だ。

 

「じゃあ私はあの蟹座を……みんな、横!!」

 

 そしてその通りに動こうとしたその瞬間だった。須美の悲鳴にも似た声が響き、銀と。そしてハゲが横を見る。

 そこには矢が刺さりながらもこちらへ向かって薙ぎ払われる蠍座の尾があった。

 

「なっ!?」

 

 声を出せたのは、桂だけだった。

 桂は咄嗟に銀が手放していた双斧を掴み銀に渡す。そして、自分の右手に巨大化させたままの盾をドッキングさせ、精霊バリアに頼り園子の前に出て最低限の防御姿勢だけを取る。銀は渡された双斧で防御を取り、園子は槍を傘状に展開して自分と須美を守ろうとする。

 しかし、蠍座の攻撃は強かった。

 

「このっ!!」

「なんとしても!!」

「しまっ――あぐっ!!?」

「その――がはっ!!?」

 

 蠍座の尾は園子の防御の上から槍をそのまま吹き飛ばし、園子と須美の全身を打つ。対して銀は持ち前のセンスで矢を防ぎながら尾の衝撃を逃がしつつ飛び、直撃を免れた。そして桂は幾分か精霊バリアで衝撃を逃がせたものの、少なくない衝撃を受けつつ、盾で矢を防ぎながら飛んだ。

 空中で身動きの取れない四人の内、無事だった銀と桂はなんとか着地をするが、須美と園子は空中で意識が明白しており、地面に何の抵抗もなく打ち付けられた。いくら勇者とはいえ、何の受け身も取れずに地面に叩きつけられればそんじょそこらの大怪我と変わらないくらいの大けがを負ってしまう。

 

「ぐっ……須美、園子!!」

「銀、一旦撤退だ!! 二人を連れて下がるぞ!!」

「言われなくても分かってる!!」

 

 全身から血を流し、更に血を吐く須美と園子を銀が回収し、桂が両手で四人分の武器を抱えてバーテックスの射線から逃れ、物陰に隠れる。

 小さな怪我は今までもあったが、ここまでの大怪我は初めてだ。

 

「ぎ、ん……」

 

 だが、須美だけは意識がまだ残っていた。

 地面に寝かされた須美は銀の名を呼びながら立とうとするが、体がいう事を聞かないのか起き上がることができない。銀はそんな須美の頭をそっと撫でた。

 それでもう須美は限界だったのか、気絶してしまった。

 そして桂も武器を地面に置き、表情を顰めて膝をついてしまう。園子のガードが吹き飛ばされ、その身で二人を守ったのは良いが、結果的に園子と須美は大怪我を負ってしまい、桂も暫く立てそうになかった。

 

「ぐ、はぁ……銀、少しだけ待ってくれ……」

 

 桂はそう言うが、明らかに桂の体内のダメージは平気で立ち回れるほどではないと銀は分かっている。

 アレを、生身で受けた。バリアみたいなものが張られたのは見たが、それでもそれがすぐに割られたのは見えたし、それによって桂が表情を顰めたのも見えた。

 きっと今すぐにでも気絶してしまいたいような痛みが今の彼を襲っていると顔を見れば理解できる。だけど、そうしないのは彼のプライドだった。

 女の子だけを死地には送り出せない。そんな事、俺の中のヒーローは絶対にしない。どんな時も立ち上がり戦い、そして守り切るのがヒーローだ。

 そんなプライドがあるからこそ、桂は今も立ち上がろうとしている。ギリギリの中で。

 だけど、銀は一人立ち上がり、斧を手に取った。

 

「んじゃ、行ってくる」

「ま、待ってくれ! 待ってくれよ……」

「ズラ。あんまイキんなよ。見りゃ分かるっての」

「でも!!」

 

 ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張って。でも立つことができない。

 

「放っておいたらアレは世界を壊しちまう。誰かが行かなきゃダメなんだよ」

「だから、もう少し待ってくれれば!!」

「無理だ。我慢してるけど相当痛いんだろ?」

「っ……」

 

 本当は怖い。本当は辛い。本当は寂しい。

 でも、今すぐできる事は何だろうと思ってみれば、それは一人でもあのバーテックスと戦う事だ。もう須美と園子は動けない。桂が気絶するのも時間の問題だ。だから、悲しみなんかなくて、誰もが笑える世界を作るために今は涙を流して、平和な世界で涙が渇くのを待つ。

 だから、今は戦わないといけない。

 

「またね」

 

 銀は笑顔でそう告げると、バーテックスへ向けて飛んでいった。

 

「銀……銀っ!!」

 

 桂の叫びが聞こえるが、銀は何も言わない。

 夢を守るために。夢を諦めないために戦う。例え一人でも、きっと大丈夫だからと自分で強がって。走ってバーテックスを追い抜き、その少し先で銀は地面に線を引いて構える。

 

「さぁてお三方。少々足を止めていただきやしょうか」

 

 正面には頂上の存在が三体。対して自分は一人。

 上等。

 

「ここからは一切合切通さない。これからの日々の未来を……平和を繋ぐために、お前らを倒す」

 

 目の前に立つのは、死だ。

 あぁ、この死はどうしてこんなに早く来てしまったんだろうと思ってしまう。こんな日が来るなんて、思っても居なかった。きっと、四人で一緒に戦って、そして勝って、そして平和な毎日を過ごすんだって。そう思っていた。

 でもこんな形で終わりが来るなんて思っても居なかった。

 さようならの時が、こんなにも無常に、そして早く来るなんて思っていなかった。

 でも、これは明日への道しるべなんだ。

 この道しるべを残すために。永遠のように思えた幸せと、たましいに痛い程刻まれた幸せを武器にして。

 

「人間の……アタシ等勇者が持つ無限の可能性をッ! お前らみたいな終わりがナメんじゃねぇぞッ!!」

 

 あの時、小さな小鳥を手に乗せた。

 やらかくて、でも小さくて……そして、死んでしまったあの小さな命。

 この世界をそんな事にはさせない。

 そのために勇者は一人でも立ち向かう。きっと、彼女のような少女を、人は勇者と呼び。

 ヒーローと呼ぶのだろう。




桂くんはほぼ立ち上がる事が不可能なダメージを負いました。果たしてここからどうやって巻き返すのか。

原作だとここの絶望感、ヤバかったですよね。ミノさんがゆゆゆで出てないからもしかしたら……と思ったら案の定ですから。本当にこの話は見てるだけで痛かったし泣きました。これ、小学六年生に課すような試練じゃないだろ、とも思いましたね。

でもこの話を見て、ふと思ったんです。もしもここにあと一人勇者が居て、銀を守りながら戦ったとしたなら、銀は生き残れたんじゃないかって。その結果生まれたのが完全防御特化型勇者の桂くんです。元々この話は一番最初に考えていて、この話を考えたからこそハナトハゲは生まれました。

さて、銀は右手を失いながらも生きる運命ではありますが……それはまた次回。
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