ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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なんか結構長い間ランキングに居座ってたのでいつまでおるねーんと言ってしまった私です。最近はエクバ2でトライバーニング使って遊んでます。N特格前ステN特格連打してくる猿が居たら自分です。自分のオリジナル小説の主人公の名前使ってシャフや固定に潜っております。最近猿の血が覚醒しました。ウッキー!!

今回はくめゆ勢&国防仮面の話。実質登場キャラは亜耶ちゃんだけだけど、まぁいいよね!!


国防仮面とハゲ

「藤丸。あなたを亜耶ちゃん今日限定の防人として任命するわ。異論は認めない」

「……はぁ」

 

 それは園子が転校してきてから暫く後の休日だった。

 今日は園子が犬吠埼家に家庭教師として向かい、銀がそのお供としてついていき、ハゲ丸は今日は来なくても大丈夫ということになったので暇をしていた。なので、最近ちょっとだけ溜まってきた未視聴の特撮だったりアニメだったりを一気に見てしまおうと夜更かしの準備万全、鑑賞会の準備万全で自作お菓子に買ってきたジュースまで用意したのだが、いきなり来た芽吹からの電話に出て呼び出され、ほいほい行った結果がこれだ。

 芽吹はジャージ姿でハゲ丸を待ち構え、その後ろにはおめかしをした亜耶がいた。少し申し訳なさそうな表情をする亜耶といつも通りぶっきらぼうな表情をする芽吹の言葉に思わず溜め息に似た返事が出てしまう。

 別に出かけるのは構わないのだが、ハゲ丸は貴重な家での休日を一応潰されたという形になるため、一応理由だけは聞いておくことにした。

 

「何で俺なんだ? 楠さんが行けばいいじゃないか。そっちのが亜耶ちゃん後輩も気が楽だろ?」

 

 同性と異性では気の許しようが違うだろ、と一言告げた。芽吹はその言葉を聞いてちょっとバツが悪そうに顔を逸らした後、もう一度ハゲ丸と目を合わせた。

 

「私は弥勒さんの強制連行で今から漁に行くのよ」

「どうしてそうなったんだよ」

「弥勒さんが本物のカツオを食べさせてカツオの美味しさを知らせて見せるとか言って暴走したのよ。その結果、防人になってから貰えているお小遣いとは名ばかりの給金で漁船を借りたのよ」

 

 事は本日の朝。急に夕海子が芽吹、雀、しずく、亜耶を呼び出して今日の昼までに船に乗って明日までカツオ釣りに行きますわよ!! だなんて言い出した。その理由は芽吹が言った通りだが、断って今日は暇を……ということはできなかった。何せ、夕海子は四人分の予約を既に入れており、拒否は許さない構えだった。

 その際に発覚した夕海子のミスが、四人分の予約。つまり自分の分の予約をしていなかったというミスだったのだが、亜耶が主に体力の関係やら何やら辞退。その結果、亜耶だけが暇になってしまうという事態が発生した。

 

「弥勒さんって……あぁ、あのお嬢様オーラが溢れてる。大変だなぁ」

 

 思わずハゲ丸が同情の視線を投げる。

 夕海子は何となく、園子とは違ったお嬢様感があって近寄りがたいというか遠巻きから眺めているだけで満足するような少女だったのは覚えているが、マトモに話していないため、名前を言われても一瞬誰か分からなかった。

 だが、そんな彼女が船を借りて漁……というよりも釣りに向かうと言うのは何とも彼女の纏う雰囲気とベストマッチしているとは言えなかった。

 

「没落お嬢様だけどね」

 

 だがこの言葉で何となくしっくり来てしまった。

 話を戻し、そんな経緯があったため体力に自信のある防人四人(約一名現在進行形で芽吹の名前を叫びながら泣いている)がカツオ釣りへと向かう事となった。別に行かなくてもいいのだが、そうすると予約を取ったためにわざわざ準備をしてくれた方々に申し訳が無いため行くこととなった。

 案外しずくが食い気によって乗り気だったのも、芽吹が重い腰を上げる原因でもあった。

 

「没落て……で、亜耶ちゃん後輩は連れて行かないのか?」

 

 だが、そんな細かい理由はつゆ知らず。亜耶が自ら辞退したとは知らないハゲ丸はそんな風に芽吹に聞いた。

 その結果。

 

「馬鹿言いなさい!! この子を海に連れて行って足を滑らせて海に落ちたらどうするのよ!! 鳥にでも攫われたらどうするのよ!! 人類はこの世界に降臨した大天使を失うことになるのよ!!?」

「おいキャラを手放すんじゃない」

「め、めぶきせんぱい……はずかしいですぅ……」

 

 芽吹が自分のキャラを放棄した。

 いきなり天使とか言われて顔を真っ赤にする亜耶。そんな亜耶を見て浄化されかけた芽吹だったが、なんとか息を繋ぎ留め咳ばらいを一つし、改めて亜耶が行かない理由を説明。納得したハゲ丸が更に質問を投げかける。

 

「で、なんで俺が亜耶ちゃん後輩についていく事になったんだ? 中一なんだし別に一人でも大丈夫だろ?」

「何を言っているのよ!! 亜耶ちゃんが誘拐されるかもしれないでしょう!!? それか変なナンパ野郎に声をかけられたり変なオッサンに肩を掴まれたり!! そんな事が起こるかもしれないと考えただけで悍ましいわ!! そんな事で亜耶ちゃんを失うなんて事があればこの世界の終わりすら意味するのよ!!?」

「もうコイツ駄目かもわからんね……」

 

 もう話のスケールがおかしいが、亜耶がリアル天使だと言うのは同意だ。

 それに、亜耶は純粋すぎる点がある。もし大人の男にお菓子あげるからついておいでなんて言われたら、人を疑うという行為を知らない亜耶はほいほいついて行ってしまうかもしれない。

 そんな想像をすると芽吹がここまで必死なのは何となく分かるが、ならば亜耶を他の防人に任せてはどうかと聞いてみた。結果は、防人はそんなに暇ではなく、亜耶の休暇と休暇が被った防人は芽吹、雀、夕海子、しずくの、いつも一緒に居る防人四人組だけだったらしい。なので、異性ではあるが信頼のおけるハゲ丸に頼んだという訳だ。

 

「ってか俺も男だぞ? なんか間違いでもあったら……」

 

 だが。ヘタレでフラグ建築数がゼロなハゲ丸ではあるが、彼も一応生物学上は男だ。だから何かの間違いを犯してしまうかもしれない。そう言おうとして。

 

「間違いってなんですか?」

 

 純粋無垢な亜耶の視線に貫かれてそんな妄想が一瞬で四散。一瞬でもそんな事を考えた自分を殺したくなった。

 

「……ごめん、何でもねぇわ」

「この子でそういう事を考えるだけで死にたくなるわよね」

「それに関してはマジで同意する」

 

 芽吹もそれが分かっているため、男でも顔見知りなら構わないとハゲ丸を選んだのだ。

 それに、彼だって勇者の一人だ。勇者は大前提として神樹様が選ぶ程のとして善人である必要がある。それが防人である芽吹にも十分わかっているため、亜耶の事を任せるに値したのだ。ハゲ丸なら一時の劣情で亜耶に手を出したりはしないと。

 そして話はこの案件を受けるか受けないかになるのだが。

 

「……まぁ、いいか。わかった、引き受けよう」

「よかった。じゃあお礼として明日、釣ってきた魚を食べさせてあげる。ゴールドタワーに来てくれたらご馳走するわ」

「おっ、マジで? じゃあ俄然、亜耶ちゃん後輩に変な虫が付かないようにしないとな」

 

 そんなこんなでハゲ丸は亜耶と出かける事に同意。そもそも断るつもりだったら呼び出しに応じなかったので、元々引き受ける気ではあったのだが。一人で特撮を見るよりは美少女と出かけた方が何となく明日への活力となるし、鑑賞会は帰ってからでもできる。せいぜい一クール分見る時間が削れる程度だ。その程度なら全然耐えられる。

 それに、亜耶のような巫女はあまり外には出ないというのも園子から聞いていたので、せめて精一杯楽しめるように尽力しようとも思えてしまうので、ハゲ丸自身若干テンションが上がっている。

 芽吹はもう時間だと、ハゲ丸の返事を聞いてから走って去っていき、その場にはおめかしした亜耶と普通に私服のハゲ丸が残された。

 

「え、えっと……藤丸先輩。迷惑でしたら帰ってもらっても……」

「迷惑じゃないさ。数少ない後輩と親睦を深めるチャンスだし、俺自身楽しむつもりだ。だから亜耶ちゃん後輩は気にすんな」

 

 ハゲ丸の言葉は本心からの言葉だ。純粋故に亜耶はその言葉が本当に本心からの言葉だと気が付き、笑顔を浮かべた。その笑顔にハゲ丸も浄化されかけて胸を抑えるが、すぐに復帰した。笑顔で死にかけ続けていたら今日一日持たない。

 さて、とハゲ丸が一言呟き、亜耶に声をかける。

 

「どこか行きたい所あるか?」

「えーっと……その、喫茶店とか行ってみたいです。テレビでよく見ていたので」

「オーケー。じゃあ行ってみるか」

 

 テレビでよく見ていた、と言っただけで行ったことはないとなると、もしかしたら喫茶店以外にもたくさん行ってみたい所があるかもしれない。そう思い、ハゲ丸は亜耶と並びながら世間話をしつつ歩く。

 

「それで、その時芽吹先輩のプラモデルが合体したんですよ!! 確かチェイテピラミッド姫路城って言ってました!」

「あの違法建築再現したのか……さすが楠さんだな……」

「それでですね!!」

 

 亜耶が芽吹の事で盛り上がっている最中だった。ハゲ丸と亜耶の横を通っていった同年代くらいの少女の言葉がヤケにハゲ丸の頭の中に引っかかった。

 

「それでその時国防仮面って人が来てくれたんだよ~! なんか凄かったなぁ」

「あ、それって最近話題のヒーローじゃん! 羨まし~」

 

 国防仮面。

 思いっきり聞いたことのある名前だ。というか二年前に自分たちで色々と細かい設定を考えた存在だ。思わずハゲ丸がエライ顔をしてその女子中学生の方を見ていた。

 

「藤丸先輩? どうかしたんですか?」

「いや、な。国防仮面っていう聞こえる筈のない単語が……」

「国防仮面、ですか? それならわたし、聞いたことがありますよ」

「マジ?」

「はい。えっと……」

 

 そして亜耶から国防仮面の情報を聞いた。

 国防仮面は最近巷を揺るがしているヒーロー的存在であり、悪逆悪某を働く者達を許さずとっ捕まえては警察に突き出している謎のヒーローらしい。

 亜耶も存在は知っているが見たことはないらしい。それに、亜耶も防人の一人から又聞きしただけらしく、あまり詳しい事は知らないらしいが、それでも情報としては十分有用だった。というか確信できた。

 それ、身内じゃね? と。というか確実に身内だわと。

 

「あんにゃろー……流石にそこまでアホじゃないとは思ってたのに……」

「知り合いですか?」

「多分。っつか確実に」

 

 十中八九あの国防芸人だ。

 どうやら馬鹿みたいに身体能力が高いらしいが、勇者として訓練をしてきた自分たちなら十分にできる範囲内だ。勇者に対してそこそこの尊敬を持っている亜耶には言いづらいためそこで話を切り上げたが、今度会った時に問い詰めねばなるまい。

 そんな事を話している間に二人は喫茶店、知名度だけなら確実にナンバーワンであるスタバだった。ハゲ丸に行きつけの喫茶店だったり穴場の喫茶店なんて物の知識は存在しないため、亜耶もきっとテレビで見たことがあるであろうスタバに来てみた。

 

「ここがスターバックスですか! 初めて来ました!!」

「スタバに来ただけでここまで喜ばれるとは……じゃあ適当に何か買ってそこのオープンテラスでゆっくりするか」

 

 そうしてスタバに入店したハゲ丸と亜耶は適当にフィーリングでコーヒーを買うと、それを片手にオープンテラスで適当に席を取って座った。

 

「こくっ……甘くて美味しいです!!」

「そうかそうか。やっぱカフェオレで当たりだったか」

 

 亜耶はシンプルに甘めのカフェオレ、ハゲ丸は適当なフラペチーノをフィーリングで頼んだ。これなら自分でも似たようなのを作れるかもしれないと思いながら飲みつつ、笑顔でカフェオレを少しづつ飲む亜耶に癒される。これを見るだけで今日外出した意味があったと思える程だ。

 

「藤丸先輩はよく来るんですか?」

「いやいや。よく行くのはうどん屋で、こういう洒落た場所には来ないな」

「そうなんですか? テレビとかだと若い人に人気ってよく言ってたんですけど」

「まぁ、人気っちゃ人気だけどな。ただ、男だけじゃあんまり来ないんだよ」

「どうしてですか?」

「男はこういうとこ来るよりはゲーセンとか行ってるもんさ」

 

 ハゲ丸は亜耶からの質問にしっかりと返事をしながら、ちょっと口の中が甘すぎるため一旦一息吐くためにカップを机の上に置く。だが適度に時間を置けばまた飲めるので、今は一旦亜耶との会話を楽しもうと、机の上に片肘を付く。

 その瞬間だった。オープンテラスから見える歩道のかなり近くを二人乗りのバイクが走っていったのは。

 危ないな、なんて思いながらそのバイクを視線で追った瞬間、そのバイクに乗っていた内の一人が、歩いていた女性の鞄をひったくったのは。

 

「ひ、ひったくりよぉ!!」

「マジかよ……! 亜耶ちゃん後輩、警察に電話頼んだ!!」

「え、あ、はい!」

 

 それを見た瞬間、ハゲ丸は立ち上がって走った。すぐさま歩道に出てバイクのナンバーを確認。それを暗記したのち、すぐに鞄を奪われた衝撃で倒れてしまった女性の元へと駆けつける。

 

「大丈夫ですか、怪我は!?」

「だ、大丈夫……だけどバッグが……」

 

 どうやら女性に怪我はないようだ。だが、バッグをひったくられてしまったと言うショックで茫然自失になってしまったようだ。無理もない、と思いながらもバイクのナンバーを忘れる前にスマホのメモ帳機能でバイクのナンバーをメモする。

 神樹様への信仰によっていじめや犯罪はその数を大幅に減らしたが、それでも数少ないだけで起こるときはある。その数少ないが降りかかってしまったこの女性は災難だったと思いながら、この人の私物が全部返ってくるように祈る。

 

「ふ、藤丸先輩。警察の人、すぐ来るみたいです」

「あぁ、ありがとう亜耶ちゃん後輩。俺は一応ひったくり犯が近場で止まってないかだけ確認してくるから、この人の事を……」

 

 もしかしたらどこか近くで止まって戦利品確認しているかもしれないと、バイクの去っていった方へと視線を向け走り出す……その瞬間だった。

 

「その必要はありません。何故なら、その人の鞄は私が取り戻しました」

 

 声が聞こえた。

 どこに、と思い視線を巡らせると、その言葉を発した人物はいつの間に現れたのか分からないが、オープンテラスの無人の机の上に立っていた。しかも壊さないようにかなり慎重にだ。

 その姿はまるでかつて存在した旧日本帝国軍の軍服のようで、腰には軍刀を吊るしていた。勿論、素顔がバレないように赤色の鉢巻きのような物に目の部分に穴をあけた状態で顔に巻いている。

 

「国を守れと人が呼ぶ。愛を守れと叫んでる! 憂国の戦士、国防仮面! 見参ッ!」

 

 それは国防仮面……というか。

 

「……おい何やってんだよトーゴー」

 

 美森だった。

 

「何を言っているのかしら。私は東郷などという……ってげぇっ!!?」

 

 そして美森が女性の側に居たのがハゲ丸だと気が付いたのか、完全にキャラ崩壊した声を上げる。いきなりキャラ崩壊した国防仮面に周りの視線が向くが、美森はすぐに咳払いをすると何事もなかったかのようにキメ顔をした。

 別にここで美森に追及の言葉を投げてもよかったのだが、ハゲ丸はヒーローのお約束は熟知している。まさかマスクヒーローの正体を、本人が無かったことにしているのに追及することはできない。一応やれやれと言わんばかりに溜め息を吐き、亜耶と一緒に若干女性から離れる。

 美森はヤケにスタイリッシュな動きで女性の元へと馳せ参じると、バッグを手渡した。

 

「私は国防仮面。人々が悪の脅威に晒されたとき、できる限り現れます」

 

 なんて宣伝しながら美森はバッグを手渡してすぐに去っていった。

 嵐のように現れ嵐のように去っていった国防仮面さんだったが、ハゲ丸はそれを見て溜め息しか出ない。お前、また黒歴史作ってんのかよ、と。

 

「あ、あの、藤丸先輩? 結局国防仮面さんって……」

「うん、知り合いだったわ。けど頼むから亜耶ちゃん後輩は何も言わないであげてくれ。俺が後で話ししとくから」

「は、はい……」

 

 思わず亜耶が若干困ったような声を出してしまったが、ハゲ丸の言葉はそれだけ重かった。というか疲れ果てていた。

 まさか二年間の腐れ縁を続けていた親友があんな黒歴史を生産しているなんて思いもしなかったため何というか。精神的に疲れてしまったのだ。亜耶はなんとか笑顔を作りハゲ丸を励まし、なんとか元気を取り戻したハゲ丸は亜耶と共に途中まで飲んでいたコーヒーを飲み、やってきた警察に事情を説明してから改めてスタバから出て次なる目的地へと向かったのだった。

 

 

****

 

 

 その後は亜耶と共にスタバを出て、亜耶がゲームセンターに行ってみたいと言ったため、ハゲ丸が時々行っているゲーセンに向かい、ゲーセンに預けていたメダル、千枚くらいを亜耶に手渡し、四桁ものメダルを受け取ったがために困惑してハゲ丸にメダルを返そうとする亜耶に対してお手洗いに行ってくると言い、一度ゲーセンから出たハゲ丸はスマホを取り出して国防仮面こと美森へと電話をかけた。

 あまり亜耶を待たせるわけにはいかないので一度無視されればすぐに亜耶の元へ戻るつもりだったが、美森は電話に応じた。

 

『……なによハゲ』

「あのさぁ……お前馬鹿だろ?」

『きゅ、急に何を……』

「惚けても無駄だぞ国防仮面。俺が分からないと思ったか? ってか園子や銀でも名前聞くだけで分かるっての」

 

 珍しく反論できない美森に対して溜め息を吐くハゲ丸。

 どうやら勇者部達にはあまり噂が届かないように色々と根回しをしていたようだが、亜耶という外部からの情報提供者を得てしまったハゲ丸にとってその根回しは無駄だった。

 

「別に責める訳じゃないけどさ……流石にこれは」

『そ、それは……でもハゲもヒーロー好きじゃない! 何が悪いのよ!!』

「いや確かに好きだけどさ。それに悪い事でもないけど……一人で突っ走りすぎだ。ってかヒーローするんならあそこまで露骨なのは止めろっての」

 

 せめてもうちょっと正体隠せ馬鹿、と加えたハゲ丸の言葉に対して美森は何も答える事ができなかった。

 

「何考えてこんな事し始めたのかは分かんないけどさ。でも、またお前なんか悩んでんだろ?」

『そんなこと……』

「悩んでも誰にも相談せずにどっか行っちまう。東郷美森に戻ってからの悪い癖だぞ」

『……』

 

 悩んだら相談、ではなく悩んだら装弾。そして発射して一人でどっかに行ってしまうのが美森だ。隠し事で悩み続けたハゲ丸が言えた事ではないかもしれないが、流石に今回の件は目に余る。

 別にやっている事は決して悪い事ではない。むしろいい事だ。だが、褒められた事でもない。

 彼女は自分の身を危険にさらしている。今の彼女は勇者ではないため精霊バリアなんてものはない。逆上した相手から攻撃をされて当たったらと考えれば、ああやって犯罪者に対してコスプレして挑むなんて褒められた事ではない。彼女はもう勇者でもスーパーヒーローでもないのだ。

 

「ったく、須美の頃はもうちょい素直だったのに……まぁいい。あんな事は止めておけ。お前が危険だ」

『……あなたに心配されたくなんてないわ』

「心配されたくない奴に心配される事してんだろうが。完全なハッピーエンドをつかみ取ったのに自分から手放す気か」

『完全……じゃないわよ。私は、壁を壊して……』

 

 その言葉を聞き、ハゲ丸の頭の中で美森がどうしてこんなことをしたのかがようやくわかった。

 彼女は、自分の手で世界に危険を与えたことを悔いている。許されても、許さない。だから罪滅ぼしに国防仮面なんて物を引っ張り出してきた。いや、思い出したがために利用したとでも言うべきか。美森の理想とも言える国防仮面を。

 

「はぁー……理由は分かった。でも、流石に突っ走りすぎたボケ」

『……満開の秘密を知ったのに黙ってたハゲには言われたくないわよ』

「はいはいそうですか」

 

 珍しくハゲ丸が美森の言葉を受け流した。

 

「まぁ、なんだ。せめて誰かに相談しとけ。お前は気負い過ぎだ。須美の頃からの悪い癖だぞ」

 

 ハゲ丸の言葉を聞き、美森が息をのんだ音が聞こえた。

 須美の頃からの悪い癖。自分の中に溜めこむだけ貯めこんでおいて誰にも相談せずに突っ走ってしまう癖。それが災いした事の最たる例が隊長が決まった時の事だが、心当たりのある美森はそれに対して言い返せず、適当な言葉でお茶を濁した。

 

『……けっ。ロリコンめ』

 

 その言葉がこれである。色々と台無しである。

 これには流石のハゲ丸も焦った。

 

「おい待て。至極真っ当な事言った俺に対してなんだそれは。ってかどこが情報源だ」

『あんなちっちゃい子を連れまわして。あなたから縄で縛るべきだったかしら?』

「あの子は後輩だっての。勇者関連のな。ってか俺が手を出せるほどの男と思うか?」

『………………ごめんなさい』

「そこは謝んなよ。俺がチキンだって認めないでくれよ。ってかこれ肯定されても否定されても俺詰んでるじゃねぇか」

『やーいチキン!! 所詮は日本男児失格のへなちょこハートね!!』

「黙れやクソレズゥ!! っつか急に元気になりやがってお前!!」

 

 こうしてまたまたいつもの口喧嘩が始まったが、声を聞く限り先ほどまで沈み込んでいたのが嘘のようだったので、まぁいいかとハゲ丸は一息ついた。

 これ以上は流石に亜耶に怪しまれるのでハゲ丸はここら辺で電話を切ることにした。

 

「んじゃ、俺も後輩待たせてっから。あんま溜めこむなよ?」

『分かってるわよ。善処はしてみるわ』

「おう……ん? おい待て。善処ってお前……切られた……」

 

 まさかまだ厄ネタを抱え込んでいるのではと思ったが、流石にそれは無いだろうと再び電話をかけるのではなくスマホをポケットにしまい、ビギナーズラック故かプレゼントしたメダルを倍近くに増やしている亜耶の元へと小走りで戻ったのだった。




勇者部にバレる前にハゲ丸くんが亜耶ちゃんから国防仮面の情報を得てしまった結果、まさかのブッキングといった感じの話でした。

どうしてこんな話にしたかと言われたら……亜耶ちゃんが書きたかったんです。だって、勇者の章始まったらくめゆ組混ぜられないじゃないですか。だから今の内に書いておこうかと。

あと、ゆゆゆいでしずくの出番とかセリフ少ないなぁとか思ってたんすよ。で、自己紹介があるのに気が付いて見てみたら……子犬? って感じがしました。くめゆ本編ではしずくよりもシズクの方がインパクト強かったので、なんだか知ってるキャラなのに新鮮に思えました。やっぱしずく可愛い。そろそろ本編に普通に出したい。勇者部所属のオマケ漫画に出てたしずく可愛かったし。あとゆゆゆいの亜耶ちゃんミノさんの誕生日ストーリーで女捨てた悲鳴あげてる夕海子に爆笑しました。

で、結局FGOは約八十連ノー金鯖フィニッシュでしたが私は元気ですクソが。元気だけど悪態をつかないとは言っていない。
もうこんなキャラゲーなのにキャラが出ないゲームやめて全ストーリーフルボイスで可愛いが沢山なゆゆゆいやろうぜ!! 亜耶ちゃんとしずく可愛いよ!!
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