ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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結局今回も国防仮面の話なんよ。

まぁ、あれだけじゃ東郷さんが止まるとは思えないから……ね?


締めの国防仮面とハゲ

「……国防仮面……懐かしい」

「やっぱ山伏さんは知ってるか。まぁ小学校同じだったしな」

 

 翌日のゴールドタワーにハゲ丸は防人達の招待を受けてお邪魔していた。そこで久しぶりに顔を合わせた雀、しずくは結構疲れた顔をしており、夕海子はかなり満足げな顔をしていた。芽吹ですら疲れた顔をしているのに中々体力がある。それほど夕海子のカツオにかける情熱が熱かったのか、それとも彼女がただの体力馬鹿なのか。真相は闇の中だ。

 しかしハゲ丸が向かって見たのは、そんな防人達が根性で釣り上げてきた立派なカツオであり、捌くのに中々手間がかかりそうだった。

 それを疲れた防人達が捌こうとしたのだが、夕海子がマトモに捌ける程度で他三人は包丁片手にどうしたらいいのかワイワイガヤガヤ。結果、お客のはずのハゲ丸が包丁を握り、カツオを捌きなれている夕海子並みの手腕で巨大なカツオを若干悲鳴を上げながら捌いていく。

 そんなハゲ丸を後ろからしずくが観察している。どうやら一応の顔見知りが料理している所が気になったらしい。

 

「あれだけ、派手にやったから……」

「あー……うん、確かに派手にやったな。じゃあ勿論正体も」

「……一応。気づかないわけがない」

 

 防人三人を引き連れてカツオ釣りに行ってきた諸悪の根源は今現在、芽吹達と一緒に優雅に紅茶タイムなんてしている。流石の芽吹も呆れているし雀と亜耶も困った表情を浮かべているのだが、別に料理は嫌いじゃないハゲ丸はそんな夕海子に特に何も言わない。寧ろ厨房を任された事に若干の気合が入っている。

 それに、しずくが見ている手前、あんまり雑な事はできない。亜耶もいるのだから最高に美味しい物を食べさせたい。そんな一心でカツオを捌く。捌きまくる。途中から防人の銃剣の剣の部分だけ借りてきて、星屑を一刀両断できるその切れ味を生かして一気に捌く。しずくの口から思わず感嘆の声が漏れるほど鮮やかに捌く。

 

「うし、まぁ六人前だしこんなもんか。山伏さん、なんか食いたい物あるか?」

 

 剣を片手で遊びながら後ろにいるしずくに料理のリクエストをする。

 まぁ、うどんだろうなぁと思いながら待っているが、聞こえた言葉は。

 

「……ラーメン」

 

 まさかのラーメンだった。それに驚いたが、しずくがもし香川県民でないのならその回答も一応納得ができる。ハゲ丸もうどんを作る準備をある程度していたため少し驚いたが、別にラーメンをここから作ることなんて容易い。カツオ一匹分もあれば事足りる。

 だから聞いてしまった手前、気を引き締めてしずくが渡してきたラーメンの麺を手にする。

 

「よし、任せろ。最高のラーメンを作ってやる」

「……楽しみ」

 

 普段はそこそこ無表情なしずくの目がキラキラと輝き、彼女の外はねの髪が犬の耳のようにパタパタと動く。

 その様子に思わず犬か何かか? と思いつつもハゲ丸は調理にかかる。使わない部分の切り身は血合い骨を取ってから保存。使う分の切り身の用途を考え、うどんとラーメンの具材用にチャーシュー並みの厚さにカツオを切り、途中出た血合い骨やあばら骨などの、食べるのには少し苦労を要する部分を贅沢にダシに使い、カマは切り離して塩焼きに。

 そこに昆布などを入れて合わせダシを取っている最中にササっと片手間でカツオの切り身を浸けるためのタレを作り、ジップロックにカツオの切り身と一緒にそれを入れてからよく揉んで、冷蔵庫の中で放置。そしてもう一つの切り身を串で刺して持ちやすいように固定すると、そのまま置いてあったバーナーを使い一気にカツオの切り身を焼いていく。そしてある程度火が通ったあたりですぐさま氷水に付けて急冷。かつおのたたきを作って刺身の要領で切る。

 恐らく夕海子やしずくは沢山食べるかもしれない。余ったら他の防人に食べさせればいいと余分のもう一つ、切り身を使ってたたきを作り、同じように切る。そして残りの身は普通に刺身にしてたたきと一緒に並べる。

 そして丁度できあがったダシ汁から昆布やアラを取り出し、黄金のダシ汁を使ってうどんのつゆとラーメンの汁を作る。

 

「ふぅ……中々に手間暇かかるな……」

「藤丸さん、そっちはどうですなって……って、いろいろとできていますわ!!?」

「おっ、弥勒さんか。これがかつおのたたきで、こっちが刺身。あともうちょっと経ったらタレに浸けたカツオも食べれるから、もうちょっと待っててくれ」

「へ、下手するとわたくしよりも料理ができていますわ……」

 

 一応料理方面の女子力なら勇者部の中でもトップクラスのハゲ丸だ。パティシエの道を歩んでいるからと言ってこうした凝った料理が作れないわけではないのだ。

 まぁ料理好きだし、と適当な言葉を返しながらササっとラーメン用の汁とうどんのつゆを作り上げ、これだけだとなんだか心もとないと感じたハゲ丸はダシを取ったかつおのアラの身を骨が混ざらないように身をこそぎ落とし、それをサラダに混ぜたりしてもう一品完成。ついでカマの塩焼きの完成を待つにはまだ時間が早いと思ったハゲ丸はもう一匹、比較的小さめなカツオを一気に捌き、何故か存在した船盛用の船に盛り付けてみる。最初はしずくだけだったギャラリーの中に自然と雀と亜耶も混ざってきたが、ハゲ丸の料理の腕は視線だけでは鈍らない。

 そしてカマの塩焼きができあがる数分前にうどんとラーメンを茹で初め、米をあまり大きくない皿に盛り付けて浸けておいたかつおの切り身を刺身状に切って大葉と共に米の上に乗せ、かつおのづけ丼の完成。そしてうどんとラーメンの麺が茹で上がったところでうどんとラーメンを盛り付け、その上にかつおの切り身を乗せ、ラーメンの方には市販のメンマ等を乗せ、うどんとラーメンの完成。それとほぼ同時にカマの塩焼きも完成。

 

「よし、完成だ! ほら運べ防人諸君」

 

 かつおのたたき、かつおの刺身、切り身が乗ったかつおのダシでできたラーメンとうどん、そしてミニかつおのづけ丼に船盛、そしてかつおのカマの塩焼きにダシに使ったかつおの身を混ぜたサラダ。

 ヘルシー重視の女子からガッツリ行きたいそこの君まで、魚が食べられない人間以外はどれか一つは美味しく食べられる料理をズラっと並べた。これには流石のハゲ丸も疲労困憊だ。

 

「うわ、うわっ!! メブ、これすっごいよ!! どれも美味しそう!!」

「藤丸……あんた、マジで料理が上手かったのね……」

「どれもこれも美味しそうです~!」

「ラーメン、ラーメン」

「このかつお料理の腕……決めましたわ! 弥勒家が再興した後にはあなたを専属料理人として雇いますわ!!」

「あ、俺乃木家の専属パティシエのスカウト受けてるんで」

「えっ、マジですの?」

「マジですの」

「そりゃ勝てませんの……反則ですの。っていうか専属パティシエという事はもしかして、お菓子作りの方が上手なのでは……?」

「ですのですの」

 

 そうしている内に防人の面々が手早く皿や船を配膳し、もう空腹がかなりの物となっていたためすぐさま手を合わせていただきますと言ってからハゲ丸の作ったかつお料理を口に運ぶ。

 

「うまっ……女として負けた気がする……」

「こんなに美味しいかつお料理初めて食べたよ!!」

「藤丸先輩、すごいです!」

「うまうま……うっ!? っしゃあ乗っ取り成功!! ひゃほう!!」

「ぐぬぬ……どうにかして専属料理人に……」

 

 ハゲ丸の料理を食べた防人達の反応は三者三葉。五者五葉と言った方が正しいか。芽吹が複雑そうな表情を浮かべてかつおうどんを啜り、雀は船盛に手をつけて目を輝かせている。亜耶はサラダが気に入ったのか小さな口で精一杯サラダを頬張り、しずくはラーメンを啜る機械となっていたが、途中横から殴られたように体が動いた後にはしずくがシズクにチェンジしていた。そして夕海子はかつおのたたきを味わいながらもハゲ丸を専属料理人にできないか苦悩している。恐らく無理だろう。

 ハゲ丸も自分で作ったかつお料理に手をつける。カマの塩焼きから手をつけたが、油の乗ったかつおのカマはとても美味しい。納得のできに思わず首を縦に振る。

 

「なぁ、これからもラーメン作りに時々来てくれねぇか?」

 

 そんなハゲ丸にシズクが声をかけた。香川に来てラーメンがあまり食べられないしずく&シズクにとって、久々の凝ったラーメンは中々に心揺さぶられる物となったらしい。

 それは構わないのだが、如何せんハゲ丸には時間があまり無い。勇者部の依頼に、犬吠埼家の家事。それらで時間が潰れているのにゴールドタワーまで通うのは少し無理がある。

 

「いやー、ここまで喜んでもらえるならしてやりたいのは山々なんだけどなぁ。こっちにも事情がな」

「そこをどうにか……おふっ!!? ……主導権とりもどした」

 

 ガツガツとハゲ丸に迫ってきていたシズクだったが、その途中でボディーブローを受けたかのように体をくの字に曲げたかと思うとしずくがシズクから体の主導権を奪ったのか元に戻った。一人でもどこか忙しい子だ。

 体の主導権を取り戻したしずくはそのままラーメンを啜り、そのまま麺を食べ尽くした。

 

「……替え玉」

「よく食うなぁ……ちょいと待ってな。硬さは?」

「硬め」

「あいよ」

 

 しずくからの注文を受けたハゲ丸がもう一度台所を借りてササっと替え玉を作りしずくへ差し出す。それを受け取ったしずくは目をキラキラさせながら替え玉を汁に投入し、二杯目のラーメンを楽しみ始めた。

 ラーメンはあまり作った事のないハゲ丸ではあったが、ここまでうまいうまいと言われると気分も良くなってくる。芽吹達の方もうどんやサラダ以外にも色々と手をつけているらしく、結構な勢いで船盛やらカマの塩焼きやら漬け丼が消えている。そして夕海子はもう諦めたのか分からないが精一杯かつお料理を楽しんでいる。

 もしかしてこの子達、自分よりも食っているんじゃないか、とそろそろ容量いっぱいになる自分の胃を摩った。それだけ食べるとちょっとだけ言いたくなることがあったのだが、それを言ったら最後、防人四人に銃剣突撃される未来しか見えないのでグッと堪えた。

 そんな時だった。ハゲ丸の携帯が震えたのは。

 

「ん? 電話か? 誰が……樹ちゃん後輩?」

 

 携帯を取り出しハゲ丸の携帯を震えさせた人物を確認すると、それは樹だった。

 意外ではないが、今日は用事があると言ってからここに来たため電話も来ることはないだろうとは思っていたのだが、その予想は外れた。くだらない用事だったらすぐに切ろうと思いつつも電話に出て携帯を耳に当てる。

 

『あ、もしもしハゲ先輩?』

「おうどうした生意気後輩」

『実は国防仮面って名乗ってた東郷先輩をとっ捕まえたので事情聴衆の手伝いお願いします』

「んー。ちょっとお兄さん急展開すぎて頭がついていかないなぁ」

『いいから来いハゲ』

「お前ぶん殴っから覚えとけよ」

 

 だが、言われた以上は行かないとまずいだろう。美森のアレが昨日の今日でバレたというのは流石に看過できない。もしも周りから色々と言われたらフォローの準備だけでもしておかなければならないだろう。

 しかし、そうなるとこの場を途中退席してしまうことになる。少し申し訳なさを感じつつも防人達にそれを伝えると、それなら仕方ないとすぐに事情は呑み込まれた。それなら行く以外の道はない。私物を鞄に詰めて食堂から出ようとした時、しずくがハゲ丸の肩を掴んだ。

 

「……最後、替え玉」

 

 そしてハゲ丸はもう一つ替え玉を作った。

 

 

****

 

 

「トーゴー。俺さ、お前はもうちょっと賢いやつだと思ってたよ」

「……」

「なんで昨日の今日で身内バレしてんだお前。お前もうちょっと工夫とか考えなかったの? ってか何で同じ事してんの? もしかして今日だけでもとか思った?」

「……はい」

「はいじゃないが」

 

 思わずハゲ丸の溜め息が部室の中で響いた。同じ部室内にはそこで予め作業をしていたらしい制服姿の風と頭を押さえる樹。そして私服姿で何を考えているのか分からない笑顔の園子と、苦笑する銀。呆れて物も言えない様子の夏凜。

 なんともまぁ度し難いというか苦笑するしかないカオス空間ではあったが、物珍しいハゲがレズに説教するという風景が見られている以上、本当にこの空間はかなりのカオスを纏ってしまった。

 最初はある程度擁護しようと思ったハゲ丸ではあったが、美森が「私は悪くねぇ!!」とでも言いたげな態度に流石のハゲ丸も擁護から説教へとその態度を変え、現在進行形でガミガミと説教している。ちなみに樹は入ってきて早々かつおの骨で作った骨せんべいが大量に詰まったタッパーでぶん殴られたため未だに頭を押さえている。

 

「で、お前。事情は話したのか?」

「……一応」

「なんて言われた」

「……気負い過ぎと」

「昨日俺が言ったことそのまんま返されてんの分かる? ってか俺の言葉通じなかったのか? せめてもうちょっと時間置こうとか思わなかったの? 時間置いて相談してから続けるかどうかとか考えなかったのか、お前」

「……いや、でも。それでも贖罪をしなきゃと」

「だからそれを先に相談しろっつってたの。悩んだら相談じゃなくて悩んだら装弾してんじゃねぇよ。そのままどこ飛んでくつもりだお前。真っ暗闇か? お先真っ暗な街道まっしぐらの予定か? 猪でももうちょっとマシな思考しとるわ」

「……はい」

「だからはいじゃないが」

 

 ちなみに、美森は今日も懲りずに悪党を捕まえていたらしい。国防仮面のうわさを聞き、偶然近くを通りがかった風がそんな美森を捕縛し、今に至る。

 お前が危険だと忠告したはずなのに昨日の今日だ。流石のハゲ丸もそれに加えて変な態度を取られたらプッツンする。それが分かっているから美森もあんまり下手な事が言えない。特にハゲ丸のような人種は何してくるか分かった物じゃないので下手な事が言えない。

 これには流石の銀も助け船を出せなかった。銀も大体ハゲ丸と考えていることが同じだからだ。

 だが、園子が口を挟んだ。

 

「まぁまぁズラっち。その辺にしてあげたら~?」

「とは言うがな。こいつ昨日言ったことすら守ってねぇんだぞ?」

「わっしーはそんなどうしようもない人だから仕方ないよ~」

 

 そして園子の言葉の矢が美森のハートに突き刺さった。

 あの園子に笑顔でどうしようもない人扱いされた美森は倒れそうになるが、何とか気力で持ちこたえた。これが友奈だったら恐らく心臓が文字通り止まって死んでいただろう。危ない所だった。

 

「こうしてバレた以上、わっしーも反省するはずだしね~」

「……で、どうなんだ、トーゴー」

「……ちっ反省してまーす」

「おい園子、こいつ窓から捨てるぞ」

「そうだね、捨てようか」

「ごめんなさい嘘です本当に今回ばかりは反省してますふざけすぎましたごめんなさい!!」

 

 美森が肝心な所でボケた結果、額に青筋浮かべたハゲ丸と青筋を浮かべながらも笑顔の園子が窓から美森を投げ捨てようとしたが、これ以上ふざけたら本当に捨てられると理解した美森は精一杯謝った。一応園子なりの助け舟のつもりだったのだが、それにふざけて返されたら流石の園子様も頭に来たのだろう。謝られたのにも関わらず今にも美森を窓からハゲ丸と共に投げ捨てようとしている。

 それを銀がなんとか止め、美森が誠心誠意頭を下げたことによってハゲ丸の割とマジな怒りと園子の笑顔の下の怒りは収まった。流石に場を弁えなかった美森が悪いのだが、それを本人は一から十まで理解しているのか。

 

「はぁ……まぁいいや。銀に感謝しろよ、須美」

「次ふざけたら本気で窓から捨てるからね」

「すみませんすみませんすみません……」

「ったく……どうして須美はこうなっちまったんだよ……」

 

 園子の語尾が伸びていない上に彼女の軽い声色が形を潜めているため、園子が割と本気で怒ったのが目に見える。最も、本当に本気で怒ればもっと酷い事になるためマジ切れというわけではないのだが。

 風、樹、夏凜の信号機トリオも何も言えないのか後ろで溜め息を吐いている。今回ばかりは美森が悪い。

 そうして空気を一応改め、風や樹、夏凜、銀では少し手心を加えてしまうかもしれないと、キレているハゲ丸と園子が説教を続ける。

 

「ってかさ、俺言ったよな? お前が危険だから止めろって。で、その言葉聞いた後にお前マジで何考えたの? 俺の言葉だから聞かなくてもいいやとか思った? それだったら護国思想以前に人としてどうかしてるよな?」

「そもそもわっしー、贖罪やら何やら言う前にいう事あるよね? 心配かけてごめんなさいとか言った? 言ってないよね? しかも隠れてやっていてごめんなさいとも言ってないし。勇者じゃなくなったわっしーが悪い人に捕まったらどうなるかなんて分かるよね? それすらも分からないかな? どうなの? わたしわっしーの頭が心配になってきたよ?」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

 

 二人の口撃に流石の美森も完全に参って反省したようだ。

 これ以上は美森のハートをマジでブレイクしかねないと銀が急いで止める。にっこり笑顔で邪魔をするなと言外に言われたが、ここで止めないと二人はこのまま何時間でも説教をするだろうからここら辺が本当に止め時だ。じゃないとソレを聞いている信号機トリオ&銀まで時間を食われてしまう。

 それを理解した二人は銀の言葉に免じて美森を解放した。少なくとも美森はふざけていい時とふざけてはいけない時を完璧に理解した事だろう。

 溜め息と共に二人が予め用意されていた椅子に座る。

 

「風先輩、すみません。お説教代わります」

「いや、あんたが全部言ったからもういいわよ」

 

 そして風にお説教を変わろうとしたが風はソレを辞退。というか風が言いたい事を大体ハゲ丸が言ったのでそれ以上言うのは酷だろうと思った風は追い打ちをしないための辞退した。

 だが、それなら話は一応ながら進む。最初は擁護してあげようと思っていた園子まで敵に回っている以上、美森の味方をする者は数少ない。

 

「とりあえず、須美。お前自分がどれだけ危険な事したか分かってるよな?」

「……はい」

「だったらちゃんと反省して国防仮面は暫く自粛しろ。何も止めろつってる訳じゃないんだから大人しくしとけ」

「……はい」

「とりあえずわっしー。わたし達を頼って。じゃないと……今度こそ本気で怒るからね~?」

「……はい」

「え? あれで本気じゃないの……?」

「マジギレした園子、あれ以上に怖いっすから。実際、大赦仮面が一度逆鱗に触れた時は……おーこわっ」

 

 園子がマジギレすると、まず態度が変わらない。口調までもが変わらないが、声が完全に平坦な物になり、そして口が多少悪くなる。そして相手が突いてほしくない部分を意図的に思いっきり抉る様に突くようになる。そして自分の意見を相手に遠回しに伝えて理解させてから凍り付くような笑顔を向けてくる。まだ態度と声に現れているだけマシという物だ。

 銀ですら一度しかそれは見たことが無いが、その一度以上を体験したくはないと思っている。恐らく、同年代の少女がしていいキレ方ではなかったと銀は記憶している。しかも平坦な声の中で時々感情が籠るので、底冷えするような言葉が時々聞こえてくるというオマケ付き。

 滅多に……というかまず本気で怒らない人が本気で怒るとこうなるのか、と銀はあの時学んだ。

 

「……まぁ、いいか。これだけ言えば大丈夫だろ。それでも駄目なら……」

「ゆーゆを一か月くらい引き離そうか。ちょっと大赦パワーでゆーゆ一家には県外に旅行でもご案内して」

「そんなご無体な!!?」

『なら反省する事』

「……はい」

 

 そんなワケで、一応国防仮面騒動は幕を閉じたのであった。

 幕を閉じたのだが……

 

「国防仮面が来てるってホント!!?」

 

 と叫びながら教室にダイナミックエントリーした友奈によって先ほどまでのちょっとふざけづらい雰囲気が一瞬で緩和され、そのまま全員が笑顔に包まれたのは言うまでもないだろう。

 ちなみに、今回のバツとして友奈は大赦からの指示という事で三日ほど県外に旅行に行ってもらった。授業も公欠扱いで後で園子が授業の内容を分かりやすく教えるという感じでフォローをする事になったのだが、その三日間友奈と会えないのがかなり響いたらしく、美森は二日目あたりから死人レベルで色々な部分がヤバかったのは言うまでもない。

 ちなみにこの日から三日後、ハゲ丸の家にしずくがラーメンを作れと突撃しに来た。




東郷さん、その身をもって空気を読むという言葉を学ぶの巻。

キレるとわっしーの事をクソレズじゃなくて須美と呼ぶハゲ丸くんと三分の一くらいキレたそのっちとそれを止めるミノさん。ミノさんいなかっただノーブレーキで説教地獄が進んじまいそうだぁ……

マジギレしたそのっちとか相手したくないです。絶対にトラウマになりますって。ゆゆゆいの話でもキレたそのっちが出ましたけど、普通に声を聞いてて寒気しました。怖すぎんよ~……

そしてそんな国防仮面とはまた別にワイワイガヤガヤな防人組。どうしてかここで文字数がかなりかさんでしまった。しずくちゃんが藤丸家の座敷童化待ったなしな感じですが、どうなるかはこれから適当に考えます(考え無し)

次回は特に何も無ければ勇者の章に行っちゃうかなぁ。特典ゲームのシナリオ見てみると気になる話とか色々とあったんですけど、ゲーム持ってないんで話分からないから書けないという。もう勇者の章に行くしかないじゃない!!(マミさん)
とりあえず適当に色々考えてみますゾ


P.S そろそろFGOの金鯖無しが九十連超えそうです。ちなみに、八十連で金鯖一体も出ないのって十%以下らしいですよ。

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