ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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前回、どこかおかしい個所があるよというのを後書きに書きましたが、その答え合わせは恐らく今回でできるかと。


勇者の章
違和感とハゲ


 十二月頭、勇者部の活動はいつも通りに始まる。

 いつも通り誰からともなく部室に集まり、最終的には部員が七人、部室の中に揃う。二年組である友奈、夏凜、園子、銀、ハゲ丸の五人と風、樹の七人。これが勇者部全員だ。

 

「あ、ハゲ丸。あんたこの間携帯の充電器忘れてったわよ」

「マジで? 予備引っ張り出してきたけど、忘れてたのか。じゃあ今度取りに行くわ」

「持ってきたに決まってんでしょ。ほら」

「サンキュー」

 

 そんな感じで集まってきた勇者部の面々が適当に駄弁ったり教室で伝え忘れた事、他学年の仲間にちょっとした業務連絡をしたりとしている内に時間は過ぎ、そして気が付けば活動の時間となっていた。

 部長の風がみんなに声を掛けてから纏め、ちゅうもーくと若干ふわふわした声を出す。その声に従った面々は風の方を向き、そして依頼を纏めて記載した紙が貼られた黒板を見る。

 

「はいはい、じゃあ十二月期の部会、ちゃちゃっと始めちゃうわよ~。今日は依頼も無いし、これ終わったら終わりだから、パパパッと済ませちゃいましょ」

 

 擬音交じりの言葉で六人のやる気を引き出すと、そのまま風は部会を始める。

 月一の部会だが、基本的には今月の内にもう決まっている依頼やそれ以外のやる事、または他の部活動を交えた部長同士の話し合い等で決まったことなどを伝えるための部会だ。だが、依頼がある日に比べればパパっと終わるため、風も自分の自由時間のために部会の日は早めに部活を切り上げようとしている。

 なんやかんや言ってここに居る七人は多感な中学生。ボランティアで誰かに喜んでもらう事は勿論嬉しい事ではあるが、自分の自由時間が増えるのなら喜んで増やす。仕事に手は抜かないがプライベートも極力守っていくスタイルなのだ。

 

「ほんじゃま、連絡事項だけど――」

 

 連絡事項はそこまで多くはない。今月、強いては近いうちにやる予定である幼稚園での劇の練習状況と小道具の完成状況。風が参考書片手に頭を捻って作ったホームページの運営をしている樹からの報告。その程度だ。それが終われば自然と解散、もしくは劇のための小道具作りとなる。

 風の「今日はこれでおしまい!」の声と同時にそれぞれの軽く息を吐く音が聞こえ、そのままそれぞれの時間に移行する。とは言っても、劇の小道具はほぼほぼ作成済み、既に台本を通してみて完成度を高めるという状況なので、これからは自由時間となる。その自由時間だが……

 

「じゃあフーミン先輩、お勉強しましょ~」

「うっす乃木さん! 今日もお願いします!!」

 

まず風と園子は勉強タイムだ。こういう場で園子と出会う時に少しずつ勉強の遅れを取り戻していかないと、勇者として戦ってきた弊害とも言える物を取り戻す事ができない。

 

「どうして園子が風に教えてんのよ……」

「園子は夜中にササっと教科書読んだだけでその内容を理解しちまうからな。多分、大学生レベルの勉強も一か月あれば覚えちまうんじゃないか? あ、王手。詰みだな」

「あっ!? な、何か抜け穴が……」

 

 そして夏凜と銀は二人してボードゲームに励んでいる。中々ウマの合う二人は結構絡んでいることが多い。友奈とハゲ丸も時々混ざって四人でボードゲームをする事もあれば、二人で外に出てチャンバラというのも時折ある。

 ちなみに、この二人のボードゲームの戦績は銀が八割、夏凜が二割。チャンバラに関しては夏凜が六割、銀が四割だ。そのせいで夏凜はハゲ丸から猪武者とか言われたのだが、その後のハゲ丸は地面に刺さった。

 そんなハゲ丸だが。

 

「ほら友奈、樹ちゃん後輩。ケーキやるから頑張れ」

「ハゲ丸くん、ありがとー……」

「ケーキうまぁ……ハゲもプログラミングできたら楽なのに……」

「ははは、ケーキ没収すんぞテメェ」

 

 持ってきたお菓子やらスイーツを配り、友奈と樹は二人してパソコンを前にして頭を捻らしている。風が組んで樹が改造を施していったホームページを構成するプログラムだが、当時の自分が何を思ってどうやったのか理解できないほど、今のホームページのプログラムは複雑な事になっている。最早理解すら不可能なソレは樹が必要最低限の機能は使えるようにメモを残していたおかげでホームページの機能が完全に停止しているという訳ではないが、これ以上機能を追加することが難しくなっている。

 恐らく最も頭を使っているであろう友奈、樹、風に対してスイーツを先に配り、その後に残りの三人にスイーツを配る。甘い物を得た少女達は疲れた頭を動かすなり、今までの負けを取り返すためなり、自分たちのやっている物に躍起になる。

 

「……あー、また一個余分に作ってきちまった」

 

 だが、そんな少女達を見て、ハゲ丸はクーラーボックスの中に視線を落として溜め息を吐く。

 持ってきたケーキが一個だけ余っている。自分の分は既に確保してあるため、本当に偶然ポカをして何故か多く作ってきてしまったのだ。だが、この偶然は今日だけではなく、ここ最近ずっとしてしまっている。

 七人分のケーキを作れば十分なのに、八人分のケーキを作ってきてしまっている。どうして連日こんなミスをしてしまうのか理解できず、首を捻ってから余ったケーキを風に差し出す。

 

「あら?」

「頑張ってる先輩にご褒美です」

「おっ、気が利くじゃない。これならあと何時間でも頑張れそうだわ」

 

 笑顔でケーキを受け取る風にもう一度だけ激励をしてから、ちょっと不満げに唇を尖らせている園子と視線を合わせる。

 

「ズラっちはわたしの専属パティシエなのに~……」

「まだ雇われてないだろうが。ちょっと家庭科室で道具借りてきてなんか作るから待っててください、お嬢様」

 

 幸いにも、ハゲ丸は最近になってから調理部とのパイプができた。というのも、単純にハゲ丸がよく調理部が使っている家庭科室に入り浸ってぼた餅やらお菓子やらを作っていたから、いつの間にか不定期に来るメンバーの一人として受け入れられてしまったからなのだが。

 なのでハゲ丸は追加で何かを作るために部室を出てから家庭科室へ……ではなく先に近くのスーパーへと向かう。小走りで向かったスーパーで適当に何か無いかを見て回り、大食らいの勇者部に作るには少し不安だが、タルトを作ろうと思い生地の材料と、それからりんごだったりカスタードだったりをかごの中に入れてから、後は何を作ろうかと思いスーパーをぶらぶらと歩きまわり、餡子を見つけた。

 

「……やっぱぼた餅? いや、まず餅が無いから却下だな」

 

 どうして餡子を見てすぐにぼた餅が頭の中に浮かんできたのかは自分でも分からない。だが、勇者部に配ると言えば、と思うとどうしても最初にぼた餅が浮かんでしまう。それどころか、ぼた餅は昔から食べていたような気がする。

 確かにハゲ丸がぼた餅を作って振舞う事は時々あったが、ハゲ丸が作った事は数少なかったと記憶している。なのに、それ以上に食べた記憶がある。

 

「……最近おかしいな。調子悪いんかな」

 

 ズラの上から頭を掻いて、ふと牛乳を目に入れてから、それをかごの中に入れた。

 

「今日はクッキーとスムージー。それから……紅茶は備品であるから大丈夫か。とりあえずスムージー用に幾つかちっちゃな果物だけ買っていこう」

 

 そんなこんなで材料を買い揃えてから家庭科室へと走って向かう。

 構内に入り、吹奏楽部の演奏を聞きながら家庭科室へ入ると、顧問の先生に一つ机を借りる許可を得て機材を用意し、ミキサーを持っていく許可も同時に得る。この時間までに返しに来るなら、という条件の元、ミキサーの持ち出し許可を得てからハゲ丸はりんごタルトを作るため、大急ぎで生地から作り始めた。

 

「藤丸くんって、お菓子作り上手いよね~」

「ん? あぁ、家でもよく作ってるし。慣れりゃこの程度簡単だよ」

「今日はタルト? 勇者部のみんなにあげるの?」

「おう。あ、多分材料余るしもう一個作って置いていこうか?」

「いいの!? やったー!」

「藤丸くんの作るお菓子、美味しくて好きなんだよね~」

「流石乃木さんの専属パティシエ!」

「もうそこまで知れ渡ってんのかい……」

 

 着々と園子の手によって外堀が埋められているのを理解させられながら、急ぎながらも丁寧にタルトを生地から作っていく。その周りにはちょっと暇していたらしい調理部の面々に加えて、その後ろからは顧問の先生がハゲ丸の手元を覗いている。

 大人気だなぁと思いつつタルト生地を一つ、そして調理部の面々が食べられるようにもう一つ、小さなタルト生地を焼きながら、今度は上に盛り付ける果物をカットしていく。とは言ってもリンゴを見栄え良くなるように頭の中で想像しながらカットするだけなので十分もかからない。

 そして後は生地が焼きあがるのを待ち、焼きあがってからすぐにカスタードを塗りつつりんごを乗せて見栄えを良くしてからもう一度タルトをそのまま焼く。そして暇な時間は。

 

「えっと、スムージー用にこいつをカットして、それから砂糖を用意しつつ……」

 

 スムージーを作るための材料を揃えつつ、それを持っていくために袋に入れながらタルトを持っていくための皿、スムージーのためのコップを先に準備。そしてタルトが焼きあがってからすぐにそれを皿に移して落ちないようにラップをしてからスムージーの材料とミキサーを手に家庭科室を出る。

 

「ミキサーと皿は後で返しに来ます。後は場代として一個タルトを余分に焼いたんでどうぞ」

 

 既にタルトを食べて笑顔を浮かべている調理部の方々に礼を言ってから走って勇者部の部室へと向かう。まだ園子から誰かが帰ったとは聞いてないのできっと全員いるだろうと確信しつつ、どうやってタルトをカットするか頭の中で決め、ちょっと騒がしい勇者部部室に入る

 

「ちげーよ夏凜! ペガサス流星拳はこうしてこうだろ!?」

「銀のそれはペガサス彗星拳よ! 流星拳はこうして、こうよ!」

「ばっか、それは廬山昇龍覇だろ!」

「いやお前ら何してんの」

 

 そしてすぐに目に入ったのはペガサス流星拳と言いながらペガサス彗星拳に廬山昇龍覇をする銀と夏凜だった。この赤色コンビ、いつの間にここまで仲が良くなったのだろうか。

 思わずハゲ丸が溜め息を吐いてしまうが、二人とも特に見られても気にしない様子。

 

「違うよ二人とも! ペガサス流星拳はこうしてこうだよ!!」

『それだ!』

 

 そこに混ざる友奈にも溜め息。樹の方を見ると、彼女はパソコンを前に今日も白旗を上げていた。

 

「お前らなぁ……とりあえず、りんごタルト作ってきたから食うか?」

『食べる!!』

 

 ハゲ丸の言葉に甘い物には弱い中学女子六人が反応した。はいはい、と苦笑しつつその言葉を聞いてからタルトをササっとカットしていき、全員にタルトを配った。

 配ったのだが。

 

「……また一個余分に切っちまった」

 

 皿の上にはタルトが二個余ってしまった。

 ハゲ丸の分で一個はあるが、もう一個は本当に余りだ。今日のケーキといい、なんだか最近は変だ。だが、こうして一個余らせてしまったことには変わりないため、これはじゃんけん大会でもして勝った人にあげようと決め、今度はミキサーを机の上に置く。

 

「これよりスムージーを作る! 飲みたい者はこっちへ来い!」

『はーい!』

 

 そして今度はスムージー。パパパッと全員のリクエストを聞いてから全員分のスムージーを作成する。その間に残ったタルト争奪戦のじゃんけんが開催され、結果友奈と園子が勝ったらしい。

 それを見つつ、作った甘いスムージー(夏凜だけサプリ配合)を配り、自分もりんごスムージーを飲む。

 

「……やっぱ何か、もう一個作らないといけない気がするんだよなぁ……」

 

 そう呟きながら、ふと友奈達を見た。

 

「やっぱドラゴンボールで一番カッコいいのは未来悟飯だよ!」

「確かにカッコいいわ。でも、あたしの中のナンバーワンはタピオンよ!」

「アタシは人造人間十七号かなぁ。樹は?」

「バーダックです。バーダックを殺したフリーザ様は許さない……!! でも結局仲間になった理想の上司フリーザ様もいい……!!」

 

 いや、やっぱクリリンだろ、と四人の会話に心の中で茶々を入れながら自分の分のスムージーを飲んだ。

 結局、勇者部はすぐに自由時間になっても下校時刻ギリギリまで、ハゲ丸を含めた全員が部室で屯しているのだった。ちなみに、帰る直前、樹や風、銀が食べ過ぎて体重が……とか呟いていたのはどうでもいい余談だ。




正解は東郷さん、実は前回から消えているでした。
前回の内に勇者部は七名と地の文で書いてありますし、スタイルがいいキャラの中に東郷さんが入っておりません。実際には原作六人+銀+ハゲで八人存在するので前回の内から一人減っておりました。

というわけで今回から勇者の章突入じゃい! ラブレターの話入れ忘れたけど、まぁ勇者の章終わったら書けばいいよネ!!

で、今週のグリッドマン談義。まさか天井がコンピューターワールドのアレとは……このリハクの目w(ry
あとアカネちゃんがあからさまに態度悪くなっていく所とか、アレクシスがサラッと店に入ってくる所とかちょっと笑いました。でもやっぱり、アカネちゃんってアレクシスに利用されてるだけだよなぁって。そしてアンチくんの明日は如何に。
これは最後にアカネちゃんが武史ポジションになってハイパーグリッドビームをアレクシスに撃つ流れと見た。あと、コンピューターワールドって電光超人だと空に現実世界っぽい光景が浮かんでいたようななかったような。記憶違いかな?

では次回からは勇者の章に本格的に突入。まずはブラックホールトウゴウさんからだ……!!
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