前回は予約投稿ミスってメンゴ☆
「で、わたしが足痛めて必死に思い出している間、ズラっちはなんかこう、ぬるんっと思い出したって事~?」
「そうなんすよ。俺なんも悪くないよね? 園子が勝手にやった事だしさ? だからちょっとこの時期に冷蔵庫に収納はやめてほしいなぁって」
「だが断る」
「いやそれもう完全にただの八つ当たいだだだだだだだだ!!?」
園子がいつからか部室に置かれている、使われていない冷蔵庫にハゲ丸を収納するのを背景に、勇者部一同は幼稚園での演劇を無事成功で終わらせた直後に集まり、美森について意見を交えていた。
釈然としないから八つ当たり中の、足をちょっと痛めた園子は特に会話には参加しなかったが、それでも勇者部一同の意見は一致していた。
あいつ、また何かやりやがったと。
「……もうさぁ。この間説教されたばっかりじゃない。何でまたやらかしてんのよ……」
「そ、そんな事ないですよ! 多分やむを得ない事情があったんですって!」
風の本気でもうどうしようもないと言いたげな溜め息交じりの言葉に対してなんとか友奈がこの場に居ない美森を庇おうと口を開いたが、生憎美森は前科ありだ。しかもみんなの記憶や記録、その他諸々から一切合切痕跡を残さず消えるという前代未聞の……それこそ自分たちが今まで触れてきた非日常が発端でなければまず怒らないであろう事件。
記憶が消える前に一言二言残してくれればこんなどうしようもないヤツに対する会議のような物を行う必要なんてなかった。
だが、美森が最後にそんな事を言って消えた記憶はない。つまり彼女はまた自分で自己完結して何かしらの問題に首を突っ込んで帰ってこないのだ。全員が呆れるのも無理はない。
流石の友奈すらそれ以上の擁護ができていないのだ。八つ当たりしている園子の内心も、八つ当たりされて冷蔵庫の中で助けを求めるハゲ丸も、何となくでハゲ丸が収納された冷蔵庫の扉をガムテープで封鎖する銀も友奈以上の擁護……いや、友奈をように擁護することもなく内心ではどうやって説教してやろうかと内心で怒りの感情を抱いている。
「……弁護人友奈さん。それ以上の弁護は」
「忘れられるのが怖いって言っていた東郷さんを忘れたわたしが一番悪いと思いましたが、ぶっちゃけると直前に相談の一つや二つしてほしかったです」
「友奈さん、弁護になってません」
「だって……ねぇ? 樹ちゃんもそう思うでしょ……?」
そして友奈も実の所内心はこれだ。美森の事を忘れてしまったという事実に自分を責め立てたいが、しかしそれ以上に人に相談せず何度目かの特攻をかました美森を庇いきれなかった。
だって相談があれば未然に防げたかもしれない事態だ。そうでなくても、何かしら対処ができたかもしれない事態だ。それをここまで遅延させたのは美森のせいだし、壁の事、国防仮面の事の二回連続でぶっ飛んだ馬鹿が三回目の飛翔を行ったのだ。流石の大天使友奈も三度目の正直、仏の顔も三度までで庇いきれていない。
樹が友奈の言葉に視線を逸らして頷くのを見てから、園子が無事な足でガンガンと冷蔵庫を蹴りながら口を開いた。
「とりあえずわたしは大赦の方に『お話』してくるから、みんなも独自路線で調べてほしいな~。ちょ~っと今回はお話が長くなりそうだから、明日までかかりそうだけどね~」
笑顔でいつも通りの口調だが、態度が今まで見た中でトップクラスの悪さだ。まさか園子がこんなバイオレンスな事をするなんて思ってもいなかったのか、銀を除いた全員が顔を合わせようとしない。
何故なら怖いから。今まで見たバーテックスや両親の怒り。その他諸々よりも今の園子が一番怖い。
「キレてんなぁ……多分マジだなぁ……」
そう呟く銀の言葉に勇者達は察した。
あれがよっぽどの事でない限りしない上にしたらしたであの大赦仮面ですら恐怖したという園子のマジギレだ。だが、銀は手や足が出ている上に八つ当たりをしている時点でガチに近いが、恐らく近いだけで本当にマジギレじゃないと、一応思っている。
なので多分と付けたが、もしかしたらマジギレかもしれない。だが笑いながら冷蔵庫を蹴る園子を見てしまってはどうしてもマジギレとしか思えない。
「じゃあわたし、ちょっと大赦に行ってくるね~……っと!!」
そして最後に全力で冷蔵庫を蹴り、ハゲ丸が入っているはずの冷蔵庫を蹴りの威力だけで浮かせると、園子はぶつくさ何かを呟きながら荷物片手に部室を去っていった。
その際に聞こえたぶつくさは「どうしてあげようか」とか、「とりあえずお仕置きは」等のあまり穏やかな言葉ではなかった。この瞬間、勇者部員の中で一番敵に回してはいけない相手の第一位が園子になったのだった。
園子が去って暫くして、ようやく風が口を開いた。
「……あー、今日は解散。東郷の痕跡や連れ戻す方法を考える時間にしましょう」
「戻ってきたら市中引き回しの刑か窓から吊るすか……」
風の言葉の直後、ボソッと呟いた実はマジギレしている銀の言葉を最後に勇者部員は誰からともなく荷物を片手に部室を去るのだった。
『……あれ? みんな? 助けてくれないの? え、ちょっと、マジで!? 俺明日までこのまま!!? おいふざけんな誰か出してくれよ俺もキレるぞオイ!!?』
なお、ハゲ丸は放置されていた。
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結局ハゲ丸は夜中の学校で警備員に助けられ、翌日部室に深刻な顔をして集まった勇者部全員に笑顔で正座を申し付けた。
「あのさ、流石に無視はないだろ? せめて最後は出すのが常識だろ?」
『はい、すみません……』
実は全員でただハゲ丸の存在を忘れてしまっただけなのだが、当のハゲ丸は結構ご立腹である。というか八つ当たりで冷蔵庫に収納されたときにキレなかっただけで温情なのに放置されてマジギレではなく少しの説教で済ませる辺りハゲ丸もかなり甘い。
数分の説教を済ませ、元凶である園子の頭に拳骨を落としたところでようやく話は本題に戻った。
「一応、色々と調べてみたけど東郷の痕跡は一切合切残ってなかったわ」
「わたしも、Hi-ν先輩と大赦関連を調べましたけど、特にそれっぽい情報はありませんでした」
「東郷さんの席もなかったよね……」
本題、つまりは美森の行方なのだが現状一切の手ごたえが無い。大赦で調べても、ご近所の情報網を使っても、勇者部のコネを全て使っても美森らしき者を見つける事は叶わず、ハゲ丸も帰ってすぐに藤丸家の座敷童に半分ほどなりかけているしずくと悪友となった芽吹、名誉後輩の亜耶に防人達に美森の事を知っているか調べてもらったのだが、結果は振るわなかった。
まるでこの世から美森に関する全ての情報が消え去ってしまったかのような。そんな状況になってしまっているため、最早権力も何も持ち合わせていない勇者部にとってはお手上げにも等しい状態だった。
だが、それを打開する方法を園子は何とか一日で探してみせた。朝来てからずっと持っていたアタッシュケースを何も言わずに全員の前で開き、打開策を勇者部に示して見せた。
「これ……もしかして勇者システムの……!!」
風がアタッシュケースの中に入っている物……五つの端末を見て忌々し気に呟く。
数か月前まで自分たちが使っていた端末。勇者システムが搭載され、己を勇者としてその存在を昇華させるその端末は、決していい思い出だけではなく、辛い思い出も沢山作ってくれたモノだ。
三つ分、端末が入るスペースが余っているアタッシュケースの中身を見せた園子は懐から既に抜き取っていたらしい端末を取り出し、ハゲ丸も溜め息一つ吐いて端末を取り出して見せた。
「ちょっと大赦の人と『お話』したんだ~。無いよりはマシだと思ったからね~」
「無いよりはマシって……そりゃ、乃木の言う通りあればやれる事は多くなるけど……」
「大丈夫。もう当時程の危険性は無いから。散華機能も無くなって満開もデメリット無しで使えるようになったからね~」
使うと精霊バリア使えなくなるけど、とボソッと呟いた園子だったが、果たしてその言葉は聞こえていたのか聞こえていなかったのか。
しかし、銀がふと気が付いた。この場に居るのは七人。そしてアタッシュケースの中の端末は五つで、中にない……つまり既に誰かの手に取られているのは三つ。美森、園子、ハゲ丸の分だとして、余っている端末四つは今代の勇者達の物だ。
だとしたら、もう一個の端末は何だ?
「あ、ミノさん。これミノさんの分ね」
「あー……そうなる?」
そう疑問に思った瞬間に園子がその疑問を解決すべく、アタッシュケースから誰の物でもない端末を一つ抜き取って銀へと投げ渡した。
かつて自分が使っていた端末は夏凜へと受け継がれたが、まさか新しく勇者システムを配給されるとは、と驚愕しつつ銀は何も言わずに端末を受け取る。これで先代勇者組は完全に復活したことになる。だが、それを良く思わないのが今代勇者達だ。
「いや、いや。ちょっと待ちなさいよ。いきなりすぎてちょっとフリーズしてたけど、何も勇者システムを使わなくても……」
「でも、このアタッシュケースからはわたしとズラっちの分以外にもう一個、消えてたんです。つまり、わっしーは端末を持ってどこかに居る。端末を持っているのなら、端末で探せる」
いつの間にか独特な喋り方が消えた園子の言葉に風は何も言い返せなかった。
こういう時の園子はあまり余裕を持っていない。戦闘中に頭を動かしながら同時に体を動かしていた時の物だ。だからこそ、この中で最も過酷な戦いを指揮してきた園子の言葉に誰も言い返す事はできない。唯一見つけた痕跡を、唯一存在する手掛かりで探ることを止める事は、もしかしたら手遅れを生むかもしれない事だから。
恐らく、勇者システムを使えば確実に美森を見つける事は可能だ。だが、この中の最年長として。勇者部部長としてまたみんなに勇者として動けと口にする事が怖かった。
また樹の時のように希望を丁寧に手折られる事が起ころうものなら、今度こそ風は何をするか自分でも分からない。もしかしたら美森のように血迷う可能性だってある。そんな恐怖があるからこそ、自ら手を伸ばせない。
「……東郷さんを見つけるには、これしかないんだね」
「うん、現状はね」
だが、友奈は違った。
もしかしたらを考えず、最善の結果だけを想い、その間にある困難だって乗り越えられると信じている。だからこそ、勇者よりも勇者らしい彼女は何の憂いもなく端末へと手を伸ばす。
その手を、風は無意識の内に掴んで止めていた。
あの半年以上の戦いの中で最も強かったのは、恐らく友奈だ。一度希望を手折られても立ち上がった彼女は、恐らくこの中の誰よりも強い。だけど、そんな彼女ですら手折られてしまう現実が待っているのだとしたらと考えると、自然と手は動いてしまっていた。
「……悪いけど、見過ごせない。乃木も、銀も、ハゲ丸も。あんなことがあったからこそ、おいそれと見過ごせないの」
何も意地悪で言っているのではない。ただ、彼女はこの中で最年長で、みんなを戦いにかつて招いてしまった責任があって、誰よりも怖がりで恐怖するからこそ、おいそれとこの行為を見逃せなかった。
また何かあったら。また誰かが不幸になったら。そうなってしまうのが嫌だからこそ、こんなシステムには頼りたくなかった。頭の中ではこれを使う事でしか美森を見つけ出せないと分かっていても、使わせたくないという気持ちが大きかった。
「……でも、フーミン先輩。このシステム自体は悪い物じゃないんだよ? 大赦のやり方が控えめに言ってクソだっただけでね~」
「アタシ、あんたの口からそんな汚い言葉聞きたくなかったわ」
サラッと漫才する二人だが、風も控えめにクソという言葉の部分は激しく同意だった。
「今ハゲって言われた気がする」
『ちょっと黙っていようか、ハゲ』
「うっす」
そして謎の電波を感じ取ったハゲであったが、怒らせると怖い二人に凄まれて何も言い返せなかった。
一瞬空気が変な方向……というよりもいつもの方向に持っていかれかけたが、改めて空気は変わる。
「確かに今までの大赦の対応はクソオブクソというか、そびえ立つクソというか、人間の屑というか、ゲロ以下の存在というか、まぁそんな感じだったけども~」
「言いたい放題だなオイ」
だが事実なので誰も訂正しない。
「でも、今回はちゃんと一から十まで話してくれた。わたしはそれをちゃんと聞いて、信じてみようって思った。だから、今回は前みたいに強制されるんじゃなくて自分の意志で行く」
「……もし、騙されてたら?」
「わたしが代表して大赦潰すよ!! 一度更地にして新しい組織立て直した方が絶対にいいからね!!」
と、いい笑顔で園子が親指を立てた。
だが、そうやって笑顔で冗談を言える程、園子は信頼したのだろう。昨日の『お話』の最中に一体何があったのか。誰が園子と会話したのかは不明だが、彼女は会話した相手の言葉をしっかりと嚥下し、それが信頼に足るモノだと納得したうえでこうして勇者システムを持ってきた。
だと言うのに、彼女の持ってきた打開策を手に取らないのは、園子を信頼していないという事と同義だ。
だったら、友奈の手も放して自分から端末を手に取るしかない。
「アタシは大赦を信頼していない。でも、大赦を信頼する乃木を信頼するわ」
端末を片手でプラプラと見せつけながら、笑う。
大赦は信じられない。だけど、園子は信じられる。だからこそ、端末を手にする。その答えは予想外だったのか、それとも照れ臭い物だったのか園子は顔を赤くして小さく笑ったが、風の言葉は心の底から出た真実だ。撤回する気は一切ない。
「それに、もし何かあっても乃木が責任取って大赦潰してくれるんでしょ? つまりまたアタシが暴走して殴り込みしかけたら乃木も一緒に殴りこんでくれるって訳で」
「先代勇者隊長と今代勇者隊長のダブルパンチですね~」
「そーゆーこと」
勿論、この言葉も冗談ではあるが。しかし、風はそんな冗談を口にできるほどには園子を信頼している。絶対に無いと信じているからこそ、絶対にやってはいけない行為を上段として口にできるのだ。
二人でハイタッチして笑いあえば、先ほどまでの空気は完全に溶けきって、友奈も夏凜も樹も、己の端末を手に取り全員でレーダーを起動させた。
しかし端末に美森の居場所は映らない。
「……あれ?」
「まぁつまり、わっしーはとっても遠い所にいるんだよ~」
「とっても遠い所……四国の外……もしかして壁の外?」
「なんつー面倒な場所に行ってんのよ……」
樹と夏凜の言葉に全員が激しく同意したが、しかし行かないわけにもいかない。
そしてこうなった以上、最早足踏みしているつもりはない。
「んじゃ、行きましょうかね!!」
風が机の上のアタッシュケースを邪魔だと言わんばかりに放り投げながら勇者装束を展開する。変身は一瞬で完了したが、アタッシュケースはいつかのリプレイのようにいい軌跡を描いて窓をぶち割り、そのまま外へとすっ飛んでいき外から困惑の声だったり怒号が聞こえてきた。
風が青い顔をして部員達を見る。しかし部員達はそっと視線を逸らした。
「さぁ、みんな行こう!! 六人ならどんな事があっても大丈夫だよ!!」
「まって友奈。サラッとアタシを居ない人にしないで」
「お姉ちゃんは良い人だったよ……でも、学校にとっては良い人じゃなかったんだ……」
「樹、アタシをそんな故人みたいに扱わないで。ねぇ」
「勇者部部長? それって樹の事よね?」
「夏凜、アタシを元からいなかったみたいに言わないで」
思わず変身すら解いて勇者部員たちに助けを求める風だったが悲しいかな。庇って説教とか冗談ではないので全員が全員視線を逸らす。
そうして風が全員に命乞いのように助けを求めてそっと拒否られた後、部室のドアが乱暴に開かれた。
「勇者部の皆さん。先ほどアタッシュケースを投げた方は誰ですか?」
そしていつかのリプレイのように全員がそっと風を指さした。
「ま、待ってください今回も事故なんです!! 前回の事は反省したうえで今回も事故ったんです!! お願いですから話を聞いてくださいみんなもきっと事故だって言ってくれますから!! おいお前らこっち見ろよなんで全員で明後日の方向見てんだよサッサとこっち向いてアタシを助けなさいよ部長よアタシ!! 内申点の事もあるし受験もあるからこんな時期に問題起こしたくないのよお願い助けて三百円あげるから誰か一言弁明してアタシを助けなさいよこの裏切り者共ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
悲しいかな。風はドナドナされていった。
一人ほど人数が減ったが、多分その人は元から存在していなかったんだと思う。そんな気持ちを胸に、悩んだら装弾して暴れん坊照準故にどっか変な所にぶっ飛んでいった阿呆を助ける計画は即座に実行に移されたのだった。
なお、風は結構早いうちに戻ってきた。
ハゲ丸、冷蔵庫に収納されて数時間放置されるの巻。どんな感じで収納されていたかは皆さんのイメージにお任せします。そしてクッソ口が悪いし足癖も手癖も悪いそのっち。でも本編でもこれぐらいブチギレしててもおかしくなかったと思うの。そしてまたドナドナされるフーミン先輩。最早お家芸。
デレマス6th行ってきたんですけど、すっごく良かったです。ただよしのん&日菜子Pなので二人とも出てる一日目に行きたかった……!!
グリッドマン九話、パワードゼノンと聞き頭の中にウルトラマンパワードとウルトラマンゼノンが出てきたのは自分だけではないはず。でもゴッドゼノンを受け継いでるって感じがしてすごく良かった。
そして夢の中で精神攻撃もよくある事ですよね。ああやって夢の中に侵入してくる感じの演出、好きっすわぁ。そんな中でストーリーもいよいよ大詰め。敵すら助けるグリッドマンはしっかりとアカネちゃんを助けることができるのか……!! あとやっぱり裕太は記憶喪失前は立花ちゃんと付き合ってた、もしくは告白したってのが正解っぽいですねw
あ、ゆゆゆいのストーリーの方をちょっとずつやっているんですけど、やっぱ相手の属性に合わせて勇者を出さないとキツイですかね? SRの勇者も各属性毎に育てておくべきか……
次回は東郷さん救出作戦……ですけど友奈視点は原作と完全に同じで書く意味ないので外で待っている組の話になりますね。