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園子IF:園子の妄想
友情関係が崩れるのはあっという間だと言うのは、園子が常に持っている持論だった。
例えば、喧嘩した時。もしそのまま仲違いを決定的な物にしてしまえば、友情関係はその時点で崩れてしまう。例えば、疎遠。中々話すことができず、気が付けば新たな友情関係を作って昔の友情を忘れてしまう。その他にも色々と友情が崩れる瞬間と言うのは存在する。
その中の一つに、恋心が存在する。してしまっている。
恋心をぶつけ、玉砕したならば前みたいな友情関係を作ることは難しいだろう。確実に、ギクシャクした物が間に存在してしまう。だが、いい意味でその友情関係が崩れる時もある。
その関係が友情ではなく、恋愛という物へ移行した時だ。そうなれば、友情という友愛ではなく恋愛が代わりに生まれ、それが二人の関係を更により良い物にしていくのだと、彼女は常日頃から思い込んでいる。
「こうやって一緒に歩くの、久しぶりだね」
「あぁ、そうだな。もう二年になっちまうか」
故に、二年間も音信不通状態だった彼、藤丸とまたこうして共に歩ける日が来るとは園子は思ってもいなかった。
もうあっちは自分の事を忘れてしまっていると思い込んでいてしまったから、再開した日に笑顔で話しかけられるとは思ってもいなかった。そんな思ってもいなかったいい意味での誤算は、二年という長い入院生活の中で暇を持て余した園子のこれからを色づけてくれた。
今日もこうして園子の趣味である読書を満たすための買い物に彼は付き合ってくれて、荷物を全部持ってくれた上で何の憂いもなく隣を歩いてくれている。勝手に買ったんだからちゃんと持つと言っても聞かない彼がどうにも生意気に思えて肩を叩いてしまったのは思考のエラー故だったが、彼はそのエラーを理解できていない。
園子にとって友情はなによりも大切で、なによりも尊いものだ。それを壊さんとする思考のエラーは時折園子の無意識に干渉して咄嗟な行動をとらせるときがある。今回の肩パンもそれが原因だった。
「で、さ。ズラっちは二年間、何してたの?」
「え? 急にどうしたんだ?」
「気になったから」
そしてその思考のエラーは園子の探求心にまで及んでくる。
もっと彼を知りたい。友達として彼の事は知っているが、それ以上に。もっと深く、深く彼の事を知りたいという願望がエラーを介して飛んでくる。それに拒むこともできず園子は何の気もなくエラー故の願望を正直に口にする。
嘘を吐くのは苦手ではない。幸いにも面の皮は笑顔で嘘を吐く程度、何の気もなくさせれる程度には厚くできていた。藤丸は、そんな彼女の笑顔の裏に気が付けない。
「そうだな……中学に入ってからは、ボランティア部に入って毎日忙しかったな」
言われて思い出した。そういえばいつかの会話の中に中学ではボランティア部に入っているというのを聞いたことがある気がする。だがその経緯までは知らなかったため、丁度いい機会だと彼の返答に対して更に質問をぶつけ、話題を深く深く掘っていく。
「そういえばそうだっけ。でも何でボランティア部に入ったの? ズラっちってそんなにボランティア好きだっけ?」
「いや、友奈達に誘われてさ。ほら、園子も会った事あるだろ?」
「……あぁ、うん」
友奈。その言葉に少しばかり園子の胸の内に黒い何かが燻った。
彼の部活仲間である、藤丸とは異性であり園子とは同性である少女の事だ。一度だけ会った事がある園子も彼女とは友情関係を築き、時折メールを送り合う程度の仲ではあるのだが、悪い子ではない。だから話題に出されても特に気にしない。気にしない筈、なのにどうしてか心は黒い燻りを生んでしまう。
それに、彼の入っているボランティア部。それに対しても園子は何だか黒い感情を抱いてしまった。
彼以外の全員が少女で構成されたその部活は楽しそうだと、自分も参加してみたいと思うような部活だったが、その彼以外の全員が異性という所に、黒い何かが燻っていく。
その黒い燻りは更にエラーを生んでいく。
エラーはエラーを生み、そして更なるエラーを生んでいく。あぁ、嫌な悪循環だと思ってしまうのも仕方のない事だったが、エラーに犯された思考と言うのはなかなかどうして自分の本当にやりたい事と被ってくる。
「……じゃあさ、もしだよ? もし、ズラっちがわたしかボランティア部のみんな。どっちかしか選べないってなったら……どっちをとる?」
意地悪な質問だ。
もし藤丸がボランティア部を選べば、自分は間違いなくエラーによって憤怒の感情を植え付けられるだろう。それを察した藤丸が園子を選べば、彼は自分に自分で薄情者のレッテルを張ることだろう。
どちらにしろ藤丸はこの質問を優しさ故にどちらかが傷つくことで終わる言葉でしか返せない。そんな質問を飛ばしてしまう自分の中のエラーが嫌になる。せめて悩んだ挙句話を流してくれればと思った矢先に彼は口を開いた。
「んなモン、どっちもだ」
彼が紡いだ答えは、両方。
選択肢にはない、第三の選択肢……いや、第三はどちらもとらないがあったため、実質三択問題の中から生み出された四択目の……質問の意図に添っていない答えだった。
「……質問、聞いてた?」
だから、もっと意地悪をした。
自分を選んでくれなかったというつまらない意地から、園子の口はそんな意地悪を次々と口にする。
しかし彼はその質問に対して即答で答えを述べる。
「俺にどっちかなんて選べないよ。だから、どっちも選ぶ。どっちも守る。俺はそんな都合のいい展開を一番に望んで、掴んでみせるさ」
彼の答えは、とても都合のいい物だ。それを彼自身も自覚している。
だが、それでもと彼は口を開き、そんな都合のいい物を探す事を諦めないと口にしたのだ。
もう彼はこれ以上詰め寄っても、これ以外の答えを口にしないだろう。彼はそんな都合のいいことが大好きで、それを叶えるためならどんな時だろうと文字通り盾となり守り通すような人なのだから。
思わず園子の拳が彼の肩を叩いた。どうして自分を取ってくれなかったのか。そんな嫉妬と、彼っぽい答えがどうにも自分の中のエラーを擽ってきて少しばかり恥ずかしかったから。そんな八つ当たりを知ってか知らずか、彼は笑いながら止めてくる。
どうして彼はこうも。
こうも、自分の想像の範囲外から自分を照れさせることをピンポイントで言ってくるのか。そんな疑問を持ちながらの談笑は歩を進めながら行われ、気が付けばもうすぐ園子の住む部屋に近い海岸沿いにまで辿り着いていた。
「この時期の海、綺麗だよな」
ふと彼がそんな事を口にした。
思わず園子もいつもは気に留めない海の方を見ると、海は光を反射し青と白で光り輝いている。その光景に一瞬言葉を失う。
いつも見ているはずなのに。どれだけだって見れる光景のハズなのに、海は園子の心を掴んで離さない。心のエラーを、海の光は照らしてくれる。
気が付けば園子は何も言わずに砂浜に降り、靴と靴下を脱いで足だけ海に浸かった。
冷たい海水が足を洗うたびに身震いしたくなるが、それでも間近で見る海はどこか幻想的で、神秘的で。まるで神が起こした奇跡なんじゃないかと思う程だった。
「スカート濡れちまうぞ?」
そんな園子を藤丸は砂浜から苦笑しながら注意しつつも止めようとしない。
そうやって苦笑する彼の顔を見て、園子の中のエラーはまた大きくなっていく。彼に抱くだけの、彼だけにしか抱かないこのエラー。その正体は海に照らされても分からないが、今ならその正体が分かるかもしれない。
詰まらない打算から彼女はロングスカートの裾が濡れるかもしれないと言う事すら忘れて口を開いた。
「ねぇ、ズラっち」
「ん?」
「もしわたしがさ、このまま波に攫われちゃったら……ズラっちは自分が濡れても助けに来てくれる?」
「当たり前だろ?」
ちゃぷちゃぷと音を立てる波打ち際から、そっと園子は沖の方へと歩いていく。いつの間にかロングスカートの裾は濡れて重くなってしまった。まるで先ほどの言葉をそのまま体現するかのように歩を進める園子を、藤丸は同じ速度で追ってくる。
「じゃあさ、もしわたしが殺人鬼に殺されそうになってたら?」
「何があっても助けるさ」
「今ここでわたしが死んでって言いながら拳銃を突きつけたら?」
「お前のために死んでやるよ」
「わたしがズラっちの事、嫌いって言ったら?」
「何も言わずに離れてやる」
じゃあ。
「もしわたしが、ズラっちの事大好きって言ったら? ズラっちが女の子と話すたびに嫉妬しちゃうくらい、ズラっちの事が大好きで大好きで……ボランティア部のみんなを捨ててわたしと付き合ってって言ったら? ズラっちは、わたしを選んでくれる?」
その言葉を口にした瞬間、エラーが氷解した。
無意識下の質問だった。無意識下でそんな事を質問して、園子はようやく自分が抱えている思考に介入してくるエラーの原因が理解できた。
このエラーは。この、彼に対する友愛とは違うエラーは。
もう二度と彼との関係を元通りにできない、恋心という致命的なエラーだ。
そのエラーに、藤丸は気が付いているのか。思わず足を止めてしまった藤丸は、今にも波に攫われて行ってしまいそうな自分の手を取ってくれるのか。
「……無理だよね。そんなの、できっこないもんね」
でも、無理に決まっている。そんな言葉が期待する心の裏腹として出てきてしまった。
そんな重い事言われて笑顔で頷ける人が居るわけがない。だから、園子はそっと手を下ろした。多分、家に帰ったら瞳からは海のようにしょっぱい物を流し続けるのだろうと。もう藤丸と今日みたいな関係にはなれないだろうと思い、海から出ようとして。
「言っただろ、園子」
藤丸は、掴む手が無いのにも関わらず靴すら脱がずに海に入ってきて園子の事を抱きしめた。
「俺はお前もボランティア部も、どっちも取る。でも、もしお前が俺の中の一番をお前にしてくれって言うんなら、俺はそれに従うよ。乃木園子って女の子は、二年経っても忘れられないくらいには魅力的な女の子だったんだから」
男らしいとは思わない、優しい抱擁。そして聞こえてきた優しい言葉。
それを聞いて、適わないなと園子は呟いた。
彼はこういう人だと分かっているはずなのに、それを理解できていなかった。そして、二年という空白がありつつも自分との友情を覚えていてくれていた彼は、自分と同じようなエラーを抱えていたという事も。
普通、二年も会わなかったら顔も声も忘れるだろう。だが、彼は覚えていた。再開してすぐにまた友情関係を再開できる程に。
それぐらい、藤丸という少年の中に園子は強く残っていたのだ。園子という少女を強く思っていたのだ。それをようやく理解して、園子はそっと彼の胸板に顔をうずめた。
「……月が、綺麗ですね」
「……死んでもいいよ」
****
「そして二人は光指す海でようやく一番となれた……っと。書き終わった~!!」
既に深夜帯になった部屋の中で園子はようやく一本かき終わった短編小説を保存してから椅子の背もたれに全体重を乗せて背筋を一気に伸ばした。
心地よい音と感触を感じ、今回の話は結構な難産だったと改めて理解した。
読者から適当に短編のリクエストを貰った所、いつも通りの百合ではなく少年少女の恋愛の話が読みたいと言われるとは思ってもいなかった上に書いた経験が無かったのでかなりの難産となったのだが、どうにか形にはなった。
モデルとして勝手にハゲ丸を使った上に友奈達まで使ったのは少しばかり申し訳ない事をしたと思ったが、まぁバレたとしても許してくれるだろう。後は自分の名前と知り合いの名前を適当な名前に変えるだけだ。
「じゃあ検索からの置換で一気にぽんっと~」
パパっと全ての名前を当たり障りのない物にしてから園子は明日の朝に投稿されるように予約投稿。そのまま眠気も限界だったので特に何もせずに眠りについた。明日が休日で良かったと思いながら。
そして翌日の昼。遅い起床をした園子は今朝に予約投稿された小説についた感想を読みふけった。
「えっと……なんだか本当にありそうなシチュエーションでドキドキしました。うーん、そうなのかな~?」
事実は小説より奇なりとも言う。恐らくこれ以上のシチュエーションもこの世にはあるのだろう。感想への返信は後回しにして次、と呟き次の感想を目にした。
「いつもわたしの作品にはモチーフが存在するみたいだから、この男の子と感情も何かモチーフが……って!?」
そんな物はない、と言いたかった。ついでにいつも書いてる百合小説だって元にした感情は存在しない。
だが、園子の作品にモチーフ有りの話が出る時は大抵リアリティがあるとよく言われるし、モチーフにした人が居るのかと聞かれるときがある。秘密と言ってはいるが、モチーフは勿論身内だったり何だったりで存在はする。
そんな園子が今回ばかりは誰かとハゲ丸のカップリングではなく、自分とハゲ丸のカップリングをモチーフ……というよりも妄想して書いた今回の小説。その中にある本編中の園子が持っていた感情の元は……
「い、いやいや! ズラっちとかいつも論外って言ってるじゃん!」
そう叫びながら自分の書いた小説を見直す。そして、ようやく気が付いた。
これ、ハゲ丸の事を知っている前提で書いている。つまり、ハゲ丸に恋愛感情を抱いているという事を大前提として話を構成していた。つまるところ、これはリアルの園子の感情とハゲ丸を骨組みとして肉付けしていった話な訳で……
「こ、今回の話はまるで女の子が本当に恋しているみたいに書いてあって凄くよかったです……もしかして先生の実体験ですか……!!? い、いやいや違うから! 確かにズラっちはわたしの事をいつも守ってくれるしわたしの好きなお菓子とか作ってくれたりするし、時々イケメンだし……」
ここまで言っていて園子はようやくハゲ丸の事を悪く言えない自分に気が付いた。
そして小説の最後の部分。抱き合う自分とハゲ丸を妄想してみて……
「ち、違うからぁ!! わたしがズラっちになんて……そんなの認めないからぁ!!」
満更でもない……というよりも本当にされたら嬉しいなぁ、なんて考えて盛大に自爆するのだった。
もちろんIFの話です。
そういう訳で今回はもしもハゲ丸くんに無意識の内にフラグを建築されていたそのっちが自分とハゲ丸くんの妄想小説を書き上げてしまい恋心に気付かされる……的な感じの話でした。
最後らへん雑だなぁ……と思いましたが、恋愛とか書けない人(依存を除く)なので勘弁してもらいたい……依存なら書いた経験あるんで何とかなりそうなんですけど……
という訳でもしそのっちにフラグが建っていたらな話でした。もしかしたら次はミノさんとのフラグが建っていたらとか書くかも。
あとは人たらしゆーゆの暴走とか?
ここからはネタバレ注意のグリッドマン感想。
まさか新世紀中学生、アンチ君と一緒にアクセスフラッシュとかそんなモン燃えるに決まってんじゃないですかやだー!! とか思ってたらグリッドマンの中からグリッドマンが出てきてしかも夢のヒーロー流れるとかそんなの興奮しないわけがないでしょうが!!? 更にフィクサービームをあんな使い方するとか誰が想像できるかよ!?
結局六花ママとかは取り越し苦労だった訳ではありますが、あの世界はやはりコンピューターワールドで、アカネちゃんはリアルに帰還。コンピューターワールドのみんなはコンピューターワールドで生きていくと……グリッドマンはしっかりと全てを救っていきましたね。流石だよグリッドマン……!! 流石夢のヒーロー!! あとサラッと出てきた初代アノシラスにも鳥肌。更にアンチ君の片目が青くなってたのにも鳥肌。怪獣でありヒーローである……そういうことですよね。
あと、ツイッター見てたらあのコンピューターワールドは電子ピアノのコンピューターワールドで、アノシラスが居たのもそのためっていうのを見てなるほどなぁ……と思いました。実写シーンにも電子ピアノありましたしね。だからいろんな場面で音楽が流れていたのかぁとすっごく納得。
で、結局裕太が記憶失う前に六花に言ったこととかは回収されずに終わりましたけど、きっと告白したんだろうなぁと自己完結。
ほんと、電光超人グリッドマンを知らない人でも面白く思えて、なおかつ知っている人ならその数倍は面白く見れるいい作品でした! これからも色んな人にグリッドマンを布教し続けます!!
あ、明後日から一週間ほど外国に飛ぶので更新速度落ちます。というか更新できない可能性高いです