ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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とりあえずキャラに好き勝手させたらこうなった、な園子IFその2です。大変長らくお待たせしました。

どうやって二人をくっ付けてみるかと思い悩んでニコ動でユメ見ノクニを聞きながらCD出ないかな~と思った末の答えがこれぢゃ。とりあえず満足してもらえると嬉しいデス。


園子IFその2:迷いの末に

 恋心というのは案外厄介だ。

 小説やラブコメ。そういった類の物はよくもまぁそれを気づかせない夢を抱かせてくる。園子自身もそんな夢を抱かされた人間の一人であり、そしてその夢は案外簡単に粉砕された。

 小説を書いてから恋心を自覚する。自覚せざるを得ない。そんな特異な状況に至った園子ではあったが、彼女は自分自身、なかなかどうして自分の心を隠すのが得意だと思っていた。大赦の人間を前にしても、友達を前にしても、親を前にしても自分の心を隠し通す事は事実成功していたからだ。

 最も、友達を前にした時のソレは遊びの一環だったので成功していたとは言えるのかは微妙ではあったが。

 故にこの恋心も機が熟すまでは隠し通す事は余裕だと思っていた。

 そう、思っていたのだ。

 机の上に突っ伏し、顔だけを横にして窓の外を見上げれば今日もまた鬱陶しい程に青い空と、今は視界外に存在する太陽が照らす雲が見える。

 あぁ鬱陶しい。胸の内は今もなおこんなにも恋という炎で燃やされているのに、この空は炎の赤とは真逆の青をしている。それが何とも鬱陶しい。

 溜め息。苦笑。入眠。

 今はとりあえず寝てしまって早く授業という私事を考えずに済めばいいのに、なんて思いながら昼間の教室で寝ようとして。

 

「園子、ちょっといいか?」

 

 目の前から声がした。

 鬱陶しい、とは思わないが少し煩わしく瞼を持ち上げれば、そこには想い人のドアップがあった。

 

「……ひょ?」

 

 ひょってなんだ。

 自分にツッコミを入れて冷静になろうとしたが恋心と言うのは厄介だ。

 冷静に自分に対してツッコミを入れて頭を冷やそうとしたのに冷やす速度の倍以上の速度で頭が茹だっていく。

 熱い。熱くて、暑くて、(あつ)い。

 

「いつも味見役の友奈が居ないから園子に試作ケーキ食ってほしいんだけど……園子?」

 

 あ、これ駄目なやつ。

 そう思った直後、園子は真っ赤な顔を隠すこともできないままに意識が遠ざかっていった。

 あれ? こんなにわたしって簡単に気絶するような子だっけ? そう疑問を感じたが、まぁ眠気と恥ずかしさとその他諸々が一気に来たことによる心のパンクだと言い聞かせ、彼女は何とも魅力的な提案への返事をせずに意識を手放した。

 

「お、おい、園子? その……駄目だこりゃ。一瞬起きたのに寝ちまった……」

 

 まさか恥ずかしさで気絶したなんて思いもしない想い人くんは溜め息を吐いてから一度だけ彼女の髪を撫で、クーラーボックスを片手に他の友人の元へと去っていった。

 あぁ、本当に、なかなかどうして。

 恋心とは厄介だ。

 

 

****

 

 

「……って風にちょっといい感じにカッコつけてみたけどさぁ。流石にこれじゃあズラっちの顔も見られないから困るんだけどぉ!」

「いやアタシに言われても」

 

 というのも既に数時間前の話。

 強襲、三ノ輪さん家の晩御飯を無事成功させた園子は唯一この恋心を口にしても揶揄わずに仲間となってくれるであろう信頼できる二年来の親友、銀に自分の想いをぶちまけた。

 具体的にはここまで彼を見ると衝動的に顔が熱くなってパンクしてしまう自分の事をどうにかしてほしいという想いを、だ。

 そんな事を言われましてもとは銀の言葉。

 本当にそんな事を言われましてもとしか言いようがない。

 何故なら銀は未だに恋心の一つも抱いていない少女だ。恋の相談をされた所でABCのAすらアドバイスできないが故に園子のBくらいはありそうな相談を真髄に受け止めて正解を返すなんてできるわけがなかった。

 だが、彼女がここまで困る理由と言うのも分からないでもない。何故なら彼女は彼を見て気絶しようがいつもの昼寝で済まされてしまい、相手にされることは無い。つまりはアウトオブ眼中となってしまうのだ。

 心配してくれて保健室にでも連れて行ってくれるのならまだしも、そんな生産性のない気絶は求めていない。

 

「そんなん慣れろとしか……」

「したよ! でも最近じゃ写真見るだけでトリップが……」

「妄想癖まで嫌な方向に傾いていらっしゃるよこのお嬢様」

 

 もう放っておいた方がいい感じに済むんじゃないかとすら思えてしまう。

 だってここまで拗らせた感じになっているのは流石の三ノ輪さんも予想外。これじゃあ告白してこいと言っても告白直前で気絶するのが目に見えている。

 いつもは頼れるお嬢様も今回ばかりはポンコツもポンコツでいい所。さてどうした物か。

 

「……もう告白しちまえよめんどっちい」

「ミノさんってそこまで薄情だっけ!?」

 

 考えたがいい案なんて出なかった。

 少女漫画だったら何かこう、イベントがあって徐々に距離が縮まって、最終的には告白が成功して……というドラマがあるものの、既に自分達のそうしたドラマは終わってしまった。

 バーテックス戦を利用していい感じに距離を縮めるという、勇者ならではの戦術が効かないのだ。

 

「でも、最終的にはそうしなきゃならねぇんだぜ? ズラだってお前みたいな美少女に告られたら何も言わずに首を縦に振るっての」

「いや、ズラっちは絶対にしないよ。好きでもない子と付き合うなんてその想いに失礼だ、なんて言って~。それでそれで~」

「お前の中のズラ、五百パーセントくらい美化されてね?」

 

 いやんいやんと言いながら頬に手を当ててくねくねする親友なんて見とうなかった。

 これが少女漫画ならいつも気づけよ鈍感! なんて思いながら男キャラの方にモヤモヤを抱かない事も無いのだが、生憎彼女はそうした素振りを見せる前に気絶だ。気づけなくても仕方がない。

 はてさて、この頭の中お花畑とあの馬鹿をどうやってくっ付けたらいい物か。

 くっ付けたらくっ付けたで何かこう、自分達に対する特攻兵器になりそうだが、親友の想いをこのまま無視して自分本位に動くわけにもいかない。

 

「でもよ、園子からズラに対する好感度上げの方法とか思いつかねぇんだよ」

「へ? そ、そんな事ないよ~。例えば手料理とか~」

「アタシとか須美、それから風先輩の手料理を普通に食うし自分で振舞うアイツにか?」

「……い、家に押しかけて掃除してあげたり~」

「あいつが常日頃からしてないとでも?」

「…………い、いっしょに登下校~」

「お前リムジンだろうが」

「じゃあどうしたらいいの!!?」

「知るか!!」

 

 なんてこったい。定番とも言える好感度上げの方法を全部自分と周りの環境が潰してしまっていた。逆切れする園子と知るかの一言で突っぱねる銀。彼女も彼女なりに考えて知るか! の言葉に至ったのだ。

 もうどうしたものか。園子が頭を抱えて銀のベッドにダイブしたのを尻目に、ふと自分の部屋の片隅で充電してある園子の携帯を見つけた。

 

「おい園子。お前、今週末用事あるか?」

「え? 無いけど~」

 

 ふーん、と言いながら銀は園子の携帯のロック画面で彼の誕生日を入力していとも簡単に携帯のロックを解除。勝手にSNSを開いて彼との連絡画面に行きつき、すっすっすっ、と文字を入力。し終えて送信してからポイっと園子に携帯を投げた。

 

「今週末デートの予約しといたから。あと頑張れ」

 

 その瞬間、銀の額に園子がマジでぶん投げた携帯が炸裂した。

 

「いってぇ!!? 何すんだお前!!?」

「サラッと何してんの!!? 勝手に携帯開いてデートの予約ってホントに何してんの!!? ってか何でパスワード分かったの!?」

「もどかしいんだよお前!! っつか恋愛相談とかされても知るかボケ!! こちとら自分の相手を探すのに忙しいんだよ!! あとパスワードはお約束だから一発じゃい!!」

「だからってデートの予約とかおかしいでしょ!? 普通はもっとこう、しっかりと入念な準備をしてから……」

「園子! デートって今さ!!」

「知るかぁ!!」

 

 そして始まる銀と園子のキャットファイト。鉄男の溜め息が小さく消えていく三ノ輪家の騒動の中、園子の携帯には一つ返事が来た。

 いいぞ、と。

 

 

****

 

 

 どうしてこうなった。

 最早何度口にしたか分からない言葉を口にしてから園子は自分の服装にどこかおかしい所が無いか、再三の確認を行っていた。

 まさか銀の手によってデートの約束を取り付けられ、ヤケに淡白な彼の返事を見つつも決めた詳細なる予定はドタキャンしようものなら後で怒られるレベルになっていた。

 だからドタキャンはできない。全然眠れず結局一時間前後の睡眠を経てから必死に化粧で隈を隠し、おしゃまとも言える位に気合を入れたオシャレをして、今は待ち合わせ場所で彼を待っていた。

 緊張を通り越す程の緊張と心臓の高鳴り。あぁもう駄目だ帰りたい。どうしてこうなった。

 またどうしてこうなったが一つ増えた。勘弁してほしい。

 

「園子、お待たせ」

 

 そんな事を考えている間に後ろから声を掛けられドキッとした。

 心臓が口から飛び出てしまったのでは? そう思える程の心臓の高鳴りを感じてから振り返ると、そこにはいつもよりも少しだけお洒落を決めた想い人である彼がそこにはいた。

 

「待ったか?」

「そ、んにゃことない……よ?」

 

 心の奥底にあるまだ冷静な自分が噛みすぎ!! と叫んでいるが、どうやら彼はその程度では園子の違和感に気が付かないようで、ちょっと首を傾げた物のそうか、とだけ返した。

 そろそろ今まで通りにしないと。そう思いながらも心臓は未だにバクバクと爆音を奏で、彼はデートという事に何の気も無いのかいつも通りな顔を浮かべていた。

 これじゃあこんなに緊張している自分がバカみたい。そう思いながら園子はちょっとだけ彼を小突いてやろうと手を出しかけたが、その前に彼から手を伸ばされた。

 

「……へ?」

 

 ナニコレ? という意味を込めた変な言葉。

 

「今日はデートだろ? なら手、繋ごうぜ。お嬢様」

「……ふぁ、ふぁい」

 

 あれ? この人ってリアルだとこんなにキザな事言える性格してたっけ。そう思いつつ、どこへやったらいいか分からない右手はそっと彼の手を取るに収まった。

 気絶しなかったのは、妄想で相当練習した成果……だと思いたい。

 

 

****

 

 

 歳相応のデート、というのは大人のデートと比べればちょっとだけ微笑ましくなる。何せ行ける場所が行ける場所、想像する場所が想像する場所だ。結局いつも行くようなショッピングモールに行ったりするだけ。

 遠出するにも行きたい所なんて思いつかないし、彼と一緒ならどこでもいいとすら思える。だから結局は彼の好意に甘えて服を見てもらうことにした。

 

「じゃーん! これなんてどうかな~?」

 

 更衣室に入ってカーテンを閉める度にしっかりと気持ちを落ち着かせればちゃんと落ち着いて彼と話す事ができた。

 自分のセンスに任せて試着した服を見せれば、彼はしっかりと反応を返してくれる。

 

「うん、園子のちょっと活発な感じがいい感じに表に出てると思う。すっごく似合ってるよ」

「むふふ~。じゃあ次着るからちょっと待ってね~?」

 

 褒められれば褒められるだけ気分は有頂天。あぁもうたまらない。

 気分上々。ルンルン気分で着せ替え人形をしていけば彼はしっかりと予め決めていたテンプレートではない言葉で返してくれる。

 

「今度は姫系~」

「うおっ、もっこもこだな。でも園子特有の柔らかい感じが出ててすっごく良いと思う」

「えへへへ~」

 

 ここ最近は久しく貰えなかった彼からの純粋な褒め言葉。それを噛みしめて笑えば彼も嬉しそうに笑ってくれる。

 試着室で笑いを隠さなきゃならないような難儀な性格をしていないからこそ出せる笑い。それを浮かべ嬉しさをアピールしていく。

 でも、気が付いているのだろうか。この笑顔は彼でなきゃ作れないという事を。例え他の友達に褒められても、親から褒められても、例え勇者として世界中から賞賛されようと浮かべる事のできない、恋心が作り出す彼女の中では最上級とも言える笑顔だという事を。

 きっと、気が付いていない。

 気が付くわけがない。

 この気持ちを共有する術を知らないから。共有できないから。できるわけがないから。

 そう思うと、ちょっとだけ心が痛んだ。

 

「……じゃあこれとこれ、買おっかな」

「もういいのか? 俺はとことん付き合うけど」

「ううん、いいの。わたしばっかり楽しんでもつまらないでしょ?」

 

 その心の痛みがこれ以上自分を着せ替えにする事を拒んだ。

 彼は何も悪くない。悪いわけがない。

 でも、自分のこの嬉しさを、恋心から来る嬉しさを十全に彼に伝える事ができないから。

 褒めてもらった服装の中で自分も気に入った物をチョイスして買うために手に持った。

 

「そうか? 俺は楽しいよ。いつもとは違う園子を自分だけが見れてるみたいで、すっごく楽しいし嬉しい」

 

 その言葉に園子は顔を真っ赤にして口を開いたまま服を床に落としてしまった。

 予想だにしていなかった場所からの攻撃。それに思わず彼女は心を射抜かれてしまったわけだが、果たして彼はその言葉を矢として射った自覚は果たしてあるのか。

 

「……可愛いな、園子は。ほんと」

 

 そして追撃を聞いた瞬間、園子の超低空ドロップキックが彼の脛に直撃した。

 

「予想以上にいてぇ!!?」

 

 照れ隠しだ。許してほしい。

 

 

****

 

 

 デートはその後も順調だった。

 彼と一緒に買い物して、色々な物を見て、食べて、楽しんで。彼の趣味にも付き合って、自分の趣味にも手伝ってもらって。そうして気が付けばもう帰る時間だ。

 楽しい時間はあっという間と言う。本当に、本当にその通りだと思う。

 銀が勝手に約束したデートだったが、本当に楽しかった。デートしている時間は彼を独占できているみたいで。彼と時間を共有できているみたいで。

 本当に、本当に楽しかった。

 でも、そんな夢の時間はもう終わりだ。繋いでいた手を離して迎えの車が来る、人気のない路地でお別れ。

 

「ありがとね、ズラっち。今日は楽しかったよ」

「俺も楽しかった」

 

 その言葉に嘘偽りはない。

 でも、もっと一緒に居たい。そんな気持ちはある。

 彼は夕暮れに照らされながらもどこか複雑そうな表情をしている。

 その複雑の中には楽しいという物が入っているのはすぐにわかる。でも、そこに混ざっている表情は?

 迷い。迷いの表情だ。それが、楽しいという表情に混ざっている。

 一体何に迷っているというのだろうか。

 

「……あぁ、やっぱ言わなきゃだよな」

 

 彼はその迷いを消した。

 まるで何かを決心したかのように。誰も居ないのを念入りに確認して、夕暮れに照らされながら。

 

「園子、俺と付き合ってくれ。買い物とかじゃなくて、恋人として。俺と付き合ってくれ」

「…………………………ほへ?」

 

 さぁてどういうことだこれは。

 園子様の頭の中でちっちゃい園子様が脳内緊急会議を始める。

 きっとまたデートしようという誘いだ、と誰かが言ったが違う。恋人として付き合ってくれなんて言っているんだからそんな事は無い。というかもう緊急会議を開く間もなく答えは出ている。

 脳内会議解散。

 

「デートに誘われた時さ、もしかして園子に好かれてるんじゃないかって思ったんだ。その後に、何というか情けないけど銀から言われてさ。女の子がデートに誘ってるって言う事はそういう事なんだって」

 

 あの親友余計な事しやがった。今度会った時に一発ぶん殴ろうと決めるが、園子は一つだけ聞きたい事があった。

 

「……その言葉って、わたしの事が好きだから? それとも、変な責任感から?」

 

 もしもここで好きにさせたんだから責任を取る、なんて言ったら彼への恋心は霧散するだろう。

 そんな中途半端な覚悟で告白されたのなら。それは百年の恋も冷めるという物だ。

 

「好きだからだよ」

「……ほんとに?」

 

 当たり触りの無い答えを出してきた彼に対して、その理由を求める。

 これに応えられないのなら、この恋心は――

 

「まず当たり前だが全体的に可愛くて好みだ。それで髪形もすっごく良い。リボンの柄も可愛らしくてすっごく似合ってる。それからお嬢様だってのにそれを振りかざさない性格も好きだ。普段はおっとりしてるのに中身はしっかりしている所も大好きだ。服のセンスも可愛らしくて好きだ。人の気遣いがしっかりできる所も好きだ。誰よりも友達思いなのも大好きだ。それから――」

「恥ずい!!」

 

 園子様、本日二回目の超低空ドロップキック。

 もう夕暮れの中でもわかるレベルで顔を赤くした園子の照れ隠しは彼の脛に激突し、彼は思わずその場で蹲って自分の脛を抑えた。そして園子も超低空ドロップキックを当てた時に受け身に失敗して顔面から地面に落ちた。

 折角の告白の場なのにもう滅茶苦茶だ。

 座り込んで顔を抑えていると、急に両肩を掴まれる。

 

「と、とにかく! 俺は銀に気付かされた!! お前から向けられる好意に! それに気づいた瞬間、お前との今までの思い出が愛らしさになったんだ! もうカッコつけずに言うけどお前マジで可愛い! 惚れない理由が無いだろ!!」

「ちょ、そんな急に言われても~……」

「お前の寝顔に何回ドキッとしたと思ってる! お前の無防備な所に何回胸が高鳴ったと思ってる! 今日の笑顔だって見た瞬間に惚れ直した!! もう無理なんだよ、お前を考えずに生きていく事が!」

 

 どうしてこうなった。

 今日何度目だ。

 だが、このどうしてこうなったは初めてだ。

 まさか告白する気も無くとりあえずデートで好感度を稼ごうとしたら既に好感度が上限を突破している状態だった。しかも恋心が作った笑顔まで彼は分かってくれていた。あの笑顔が彼にしかいかないという事が。

 嬉しさと恥ずかしさと。やっぱり恥ずかしさで顔は赤くなる一方。だけど、彼の顔も夕暮れの中で分かる程には赤い。

 そんなになるんならもっとムードがある所で告白してくれれば、なんて思ったが、きっと彼だって必死なのだ。そして今日彼自身、その想いを告げようと思ってここまで来たのだ。多分、心臓の高鳴りは園子の比ではなかったと思う。

 服の買い物に付き合ってくれた時。彼の口にした褒め言葉は、その全てが恋心から来る言葉だったのだ。

 恋に気が付けていないのは、自分だった。恋に盲目で、恋に気が付けなかった。

 

「だから……だから!」

「ちょ、ちょっと待って! わたしだって言いたい事あるから!」

 

 もうエンジンフルスロットル、ブレーキなんて置いてきたと言わんばかりの彼に真正面からぶつかって一旦彼を止める。

 こうなったら言うしかない。元々いつかこっちからするつもりだったのだ。

 だから、言ってやる。

 

「わたしだって、ズラっちの事が大好き! 愛してる! だから……だから、わたしと――」

 

 その言葉の先は、言うまでもない。

 そして彼の返事も、言うまでもない。

 ちょっとシリアスに振舞って始まった急な告白も結局はグダグダになったけど。

 でも、これぐらいが自分達には丁度いいんだと。互いに想いを伝えあった二人は笑いながら思うのだった。

 

 

****

 

 

「……いや、まさかズラから告白が飛ぶとは思わなかったわ。お姉さんビックリだ」

「けしかけておいてよく言うよ~。っていうかお姉さんって。同い年でしょ~?」

 

 またある日の三ノ輪家。出会い頭に腹パンを決められた銀は若干不服そうに園子を部屋に迎え入れた後、デートの事やらを聞かされた。話している間ずっと惚気てくるから何度顔面をぶん殴ってやろうかと思ったか。

 それを我慢してとりあえず告白まで聞けばまさか彼の方から告白が飛んできたという。彼女が無意識に見せていた女の子としての面を理解した瞬間、彼女に恋をしたとか何というチョロさ。だが最終決戦では彼女と一緒に戦っていたし、その他の場面でも彼女と一緒に居る事が多かった彼だ。きっと心の奥底ではずっと彼女に恋していたのだろう。

 そう思いたい。

 

「むふふ~。それで、今週末はデートの後にお泊りなんだ~。いや~、初恋は実らないって迷信だったんだね~」

「あーはいはい」

 

 とりあえず別の事を考えて園子に苛立ちを見せないようにしていた銀ではあったが、そろそろ我慢の限界だった。

 こいつ、無意識の内に惚気てきてやがる。

 それからそれから~、と口にする園子に対してちょっと待て、と制止をかけて彼女の肩をそっと掴んだ。

 

「……彼氏いない歴=年齢のアタシに対して嫌がらせか!!」

「うんッ!! 惚気をぶつけるって気持ちいいよね!!」

「っしゃ買ったぞその喧嘩ァ!!」

 

 まぁなんやかんやで乙女な少女達ではあるが、結局残念な所は変わらないようだった。

 園子と銀のキャットファイトのドタバタを聞き、鉄男がドアを蹴破って鎮静させるまで、残り五分。




と、いう事で。なんか藤丸くんを短編で惚れさせるのはちょっと難しいかな~と思ったのでミノさんに協力してもらって焚き付けてもらいました。まぁ結果は藤丸くんがそのっちの好意を自覚した瞬間、思い出が愛おしさに変わって落ちたという今までにない形。

とりあえず今回の話を書く上で決めてたのは藤丸くんから告白させる、という事です。ただちょっとギャグテイストになったのは勇者部の呪いだと思ってくれ。

やっぱそのっち可愛い。そんな言葉で今回のIFは締めくくりたいと思います。

次回はどうしましょうか。誰かのIFその2を書くか、それともゆーゆやフーミン先輩、にぼっしーのIFか。座敷童とのIFとかも有り?
いや、とっとと本編を進めなければ。とりあえずこの話も一週間ほど経ち次第、上の方に移動して纏めます。
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