ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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今回からはのわゆまでの幕間です。のわゆ編、下手したら一期並みに長くなる可能性も無きにしも非ずだから暫しチャージ期間を設けさせていただきます。

その間に特典ゲームのAとSの話(体験版で分かる程度)の話とか各キャラとの一対一の短編とかそこら辺書いていきます。
という訳で今回は特に誰かとの短編、という事もなくちょっと変わったハゲ丸くんの日常から。


幕間-勇者の章~乃木若葉の章-
新たなる平和とハゲ


 勇者達が人知れずに救った世界は今日もまたいつもと同じように過ぎていく。

 変わった事と言えば、ニュースやラジオが神樹様と壁外の事で持ち切りとなった事だろうか。

 神樹様はこの世界から消え、地の神の集合体ではなくなった。土地神と呼べる小さな神々に再び別れ散っていってしまった。そうなる直前、神樹様は己の散華によって消えかけながらも天の神が理を塗り替える事で炎と暗闇の星となった地球を、理を書き換える事によって世界が炎に包まれた三百年前へと復元して見せた。

 それに一般人も気が付かないわけがなく、マスコミは壁外へと出ては壁外の様子を撮り、それを報道している。それにより大赦は人々が混乱しない程度に真実を報道した。

 とは言ってもバーテックスの報道は一切せず、四国外を覆っていた殺人ウイルスの浄化に成功したため、神樹様はお役目を終えたと告げ後は人間たちの手でこの世界を維持していく事を望み、消えていったと。三百年にも及ぶ神樹様を信仰し崇拝する教育の成果はここぞとばかりに発揮され、誰も彼もがバーテックスなんて存在に勘付く事無く、世界は慌ただしく日常を送っている。

 神樹様が消えたことによる食料やエネルギー問題。それらの解決の他にも生き残りの存在しない日本列島の扱い。いや、日本列島だけではなく外国の土地などもこれからどうしていくか、四国内の人間が決めていかなければならないのだ。

 そしてそれをしていくのは、今の大人たちではなく子供達。

 バーテックスが消えても問題は山積みも山積み。考える事は多すぎる上に手をつける場所が多すぎてどこから手を付ければいいのか分からないと言う状況。それが今の四国の現状だった。

 そんな四国の状況を知っても今の子供達にはやれる事はない。故に、子供達にとってはいつも通りの日常が待っている。

 

「ほい、俺特製のにぼしラーメンだ。食べてくれ」

「ラーメン……!」

「美味しそうです! いただきます、藤丸先輩!」

 

 戦いが終わってから暫くした藤丸家。ハゲ丸の両親は大赦の方で仕事が修羅場を迎えているためここ数日、姿を見せていない。その代わりにハゲ丸の家には家なき子となってしまったしずくと亜耶が居候していた。

 ハゲ丸の両親は勇者の事を知っている数少ない一般人だ。故に、重鎮達が全員小麦化してしまった猫の手も借りたい状態である大赦は給料を弾むから一時的に手伝ってほしいと勇者達の親にヘルプを要請。大赦内部が落ち着くまで大赦勤めとなる事になった。しかし大赦での仕事は相当忙しく、勇者の事をばらさないために暗躍も必要で、結果的に勇者達の両親は大赦本庁で仮眠と食事を繰り返し働いている状態だ。

 そんな忙しい大赦が防人達の対処をできるわけがなく、金だけ渡してそれで暫くどうにかしてくれという無茶ぶりをしてきた。なので大赦が本格的に対処を決めるまで実家が存在する防人とゴールドタワー在住の巫女は実家に帰ったのだが、実家に帰りたくないしずくと、もう何年も親に会ってないのでどういう顔して会えばいいのか分からない上に、恐らく両親ともに大赦で忙しくしているため結果的に一人暮らしとなってしまう亜耶が平日は一人暮らしを強いられた藤丸家に居候する事となったのだ。

 ちなみに、ハゲ丸が二人を拾う事となった経緯は、戦いの後にシズクを含めた防人達が安芸先生を吊るしている所を目の当たりにした際、シズクが思いっきり安芸先生にどこ行けばいいんだよと毒を吐いていたのを聞いたからだ。亜耶については芽吹が保護しようとしたが、親に流石にもう一人増えるのは部屋的にもキツいと言われたので藤丸家に預けられた次第だ。ちなみにハゲ丸両親は部屋余ってるしハゲ丸が二人に手を出すとは考えられないので好きにして構わないとの事で普通に居候が許可された。

 そんな感じでハゲ丸、しずく&シズク、亜耶の三人の奇妙な同居生活は幕を開けていたのだ。

 

「うまうま……」

「山伏さんは相変わらずラーメン好きだな……どうだ、亜耶ちゃん後輩。量とか問題なかったか?」

「はい! すっごく美味しいですし量も大丈夫です!」

「これが天使か……」

 

 仮にも同年代の少年少女が一つ屋根の下……ではあるのだが、ハゲ丸に二人に手を出すような気力があるわけもなく、しずくも亜耶も特にハゲ丸を異性として見ていないので間違いも起こらない。結構普通に同居生活を送っている。

 既に同居が始まってから数日経ったが、当初は借りてきた猫みたいだった亜耶も今ではすっかりいつも通りの天使っぷりを取り戻し、元々藤丸家の座敷童となっていたしずくは特に問題なく藤丸家での居候に慣れた。というかゴールドタワーと藤丸家の往復が無くなっただけだった。

 

「しっかし、ゴールドタワーが天の神に飛んでいくなんてな……ほんと、ご愁傷様」

「……服とか、全部なくなった」

「わたしも着ていた巫女服以外なくなっちゃいました……」

 

 ちなみに、爆発四散したゴールドタワーだが、大赦の方で実は防人の私物を運び出していたとかそういう事は一切なく、出撃前に着ていた服以外の私物が全て消し飛んでしまい、しずくはまだ防人の装束を私服の上から展開していたためその日の服だけはあったが、亜耶が巫女服しかないと言う状況になってしまい、色々とてんやわんやしていた。

 ちなみに今は亜耶も普通に私服を買い揃え、特に学校も行っていないので毎日楽しそうに趣味である掃除をしながら過ごしている。

 しずくはラーメンばっかり食っている。彼女は無趣味な少女だ。

 

「そういえば藤丸先輩は今日、特に用事とかないんですか?」

「……最近忙しそうだった」

「流石に毎日部活ってのも疲れるからって事で数日は特に無しだ」

 

 そして、ハゲ丸は勇者部の一員として今日までかなり多忙な生活を送っていた。

 何せ、今この世界には猫の手も借りたい人達で溢れかえっている。そういう人が勇者部に対してヘルプを出すまでにそう長い時間はかからなかった。

 たった八人しかいない勇者部では流石に四国中から来る依頼を捌ききる事は叶わず、かと言って香川だけに絞ってもとても無理があり、勇者としての力を無くした勇者部は人の身で何とか依頼をこなしていた。が、それをずっと続けていたらいつか体を壊すと新部長樹が疲れた顔で告げたため、暫くは休憩という事で一旦依頼を捌くのを止めるという事になった。

 

「とりあえず今日は適当に家事でも……」

 

 ラーメンを食べながら今日の予定を適当に決めていると、ハゲ丸の携帯に着信が入った。

 食べている途中だが、誰からの電話なのかを一応確認すると、それは園子からの着信だった。なんだか嫌な予感がすると思いながらも一言しずくと亜耶に謝ってからハゲ丸は園子からの電話に出た。

 

「はいもしもし」

『あ、もしもしズラっち~? ちょっと今大赦にまだ残っていた汚物の処理を考えているんだけどね~? どんな感じで追放したらいいかアイデアが欲しいな~って』

 

 電話の先の園子の声はいつも通りだったが、いつも通りな言葉でそんな事を言ってくるが故に彼女は今結構ヤバい所までキレているのが軽く分かった。

 今、大赦を何とか動かしているのは四国最大権力の保持家である乃木家と上里家だ。その令嬢である園子は元から進めていた大赦叩き直し計画を水面下での行動から表立っての行動に切り替え、乃木家上里家の力を存分に使いながら胃痛を抱え込んでいる。どうやら今日はようやく洗い出せた膿の処分に困り果てているのだろう。

 最近学校や部活で会うと笑顔のまま腹を抑える園子と銀をよく見ていたので、もうかなり限界が近いんだろうなぁと思いながらそっと電話を切った。

 直後、もう一回かかってきた。

 

「はい」

『次無断で切ったら削ぎ落すよ』

「うっす」

 

 どこを、とは言わなかったが間違いなく人間の男として生きていくためには一番重要な部分を削ぎ落されるという事だけは確かだった。どうやらラスボス園子様からは逃げられないらしい。

最近の園子、キツイや……と天井を見上げた後、会話がしずくと亜耶に聞こえないように私室にラーメンを片手に入ってから園子の愚痴に付き合う羽目になった。

 

『それでさ、大赦の思考に染まっていた人がわたし達は勇者だから今の大赦をそのまま復興させる事に手伝ってくれる~とか思い込んでいるみたいで~……』

「あー、うん、そりゃ大赦だし……」

 

 大赦だしの一言で勇者と防人なら今までの大赦の事なんて簡単に把握が可能だ。この大赦だし、を悪い意味ではなくいい意味に変えるべく動いているのが今の園子なのだが。

 時折聞こえてくる何かを叩くような物音を聞きつつ、流石にこのままずっと園子の愚痴を聞いていたら自分の時間が全部潰れてしまうのでどうした物かと頬を掻く。どうやら園子は本当にストレスがかなり溜まっているらしく、この調子じゃ昼である今から夕方までは軽く愚痴り続ける事だろう。

 本当にどうした物か。

 

『おい園子。お前さっきからずっと電話してサボってんじゃねぇぞ』

 

 と思っていたら電話口から銀の声が聞こえてきた。声的にも結構ご立腹らしく、銀の声が聞こえてすぐに指の骨を鳴らす音が聞こえてきている。

 

『げぇミノさん!! いや、その、これはね? 色々と……』

『お前がアタシにヘルプ求めたんだから来てやってんのにサボるとか良い身分だな?』

 

 どうやら園子はサボってハゲ丸に愚痴っていたらしい。そりゃねぇっすよお嬢さん、というハゲ丸の心の呟きは聞こえる筈もなく、園子と銀の漫才は続く。

 

『実際えらいもん』

『けどアタシにゃ無意味だ。ほらとっとと行くぞド阿呆』

『どうして中学生なのにこんな事しなきゃだめなのぉ~!!?』

『お前が始めた事だろうが!! あ、ズラもすまんな。適当に電話切っといてくれ』

「お、おう……お前も頑張れよ、銀。今度なんか作って持ってくから」

 

 とまぁ、こんな感じで園子からの愚痴は強制的に終了させられ、ハゲ丸は未だにごたごたしている電話先に両手を合わせて合掌してからそっと電話を切った。これで園子もハゲ丸のナニかを削ぎ落しにかかりはしないだろう。

 既に中身が無くなったラーメン鉢を手に自分の部屋から台所へと持っていくと、しずくと亜耶は居間でドラマを見ていた。西暦の頃にやっていたドラマの何度目かの再放送だが、何度も再放送されるほど面白いらしく、二人はテレビの前に座って完全にテレビの虫になっていた。

なんだか犬がお座りして指示を待っているみたいでその後姿をじっと見ていたい気分になったが、流石にそういう訳にもいかないので芽吹に送る用の写真を撮って芽吹に送信してから冷蔵庫から今朝の内に作っておいたクラッカーと作り置きしてある手作りのりんごジャムやいちごジャムといったクラッカーに付ける用のジャムを取り出すと、お洒落にクラッカーを盛り付けてジャムを塗りやすいように瓶からちっちゃなボウルに移し替えてスプーンを用意し、ついでに紅茶を淹れてから机の上に置いた。

 

「お茶と茶菓子用意したから腹に余裕あるなら食っちまってくれ」

「あ、はい。いつもありがとうございます、藤丸先輩」

「……今日も美味しそう。それにおしゃれ」

「菓子作りは趣味だし、将来の仕事だからな。遠慮せずに食ってくれた方が俺も嬉しいよ」

 

 小学六年生の頃はジェラートだけで精いっぱいだったのに今やお茶に合う菓子なんて物も作れるようになってきたし、園子に雇われるのだからもっと極めなければと盛り付け技術まで身に付け始めたハゲ丸。しかも紅茶やコーヒーと言った飲み物すら最近は凝り始めているのだから最早留まるところを知らない。

 だが、まだ彼も中学生。菓子作りが上手くてもまだ盛り付けや飲み物の淹れ方は未熟なのでそこら辺はプロ以下と言った感じだ。しかし、しずくと亜耶を楽しませながら美味しく召し上がってもらうには十分らしく、テレビを見ながらお茶とお茶菓子を食べる二人の顔には自然と笑顔が浮かんでいる。

 こうして美少女に食べてもらえて笑顔になってもらえるのならパティシエ明利に尽きるという物だ。洗い物を水に浸けたハゲ丸も自分の分の紅茶を淹れてから二つ埋まっている椅子の一つに座りドラマを見ながら優雅なティータイムとなった。

 

「……ちなみにこれどういう話?」

「主人公の女の人が自分をフッた男の人とその人と付き合った女の人に対して復讐するって話です」

「予想以上にドロッドロな話だった」

「でも、わたしには難しくてあんまり理解できなくて……」

「亜耶ちゃん後輩はそのまま純粋なままでいてくれ……!!」

 

 そんな感じで居候二人を新たに迎え入れた藤丸家の休日は優雅に過ぎていくのであった。

 ちなみにこの二時間後。

 

「ズラっちもう疲れたよお菓子食べさせてぇ~!!」

「……わり、もうアタシも限界だわ」

「だからって俺ん家まで来るか……さっき食ったクラッカーとかまだあるからちょっと待ってな。今ケーキも作ってるからそれも食わせちゃる」

「ありがとズラっちぃ~!!」

「やっと糖分が確保できる……」

 

 ボロボロになった園子と銀が藤丸家に突撃し、しずくと亜耶がびっくり仰天して目を見開いたプチ事件があったのだが、それは特に何事もなくハゲ丸がお菓子を提供し五人でおしゃべりする事で難なく過ぎていったので割愛。




藤丸家の座敷童兼居候となったしずくちゃんと亜耶ちゃん、ストレス性胃潰瘍発病寸前のそのっち&ミノさんでした。かつてここまでしずくに出番が与えられたゆゆゆ二次がかつて存在しただろうか……あとしずくの口調むずいっす。

同年代の女の子二人と一つ屋根の下……これなんてエロゲ? しかし何事が起こるわけもなく毎日は過ぎていくのであった。しずくちゃんからはラーメンまで作ってくれる異性の友達兼恩人、亜耶ちゃんからは親切で頼もしい先輩としか見られていないので残当である。一応居候している身として料理系以外の家事はちゃんと手伝っております。今後もちょくちょくこの二人は登場予定。

あと、ゆゆゆいと勇者部所属で樹ちゃん後輩を見て、やっぱ天使だなぁ……と思った後に自分の書いた樹ちゃん後輩見ると、こいつさては樹ちゃん後輩の皮被ったオリキャラだな? って感じになりました。どうしてアレがこんな事になった……!! まぁイマサラタウンなので気にしません。

次回はまた適当に誰かとの短編か、前回ちょっと話題に出したIFですかね。一応原案はもうできている。
……のわゆ終わったら累計何話になっているんだろう……ちょっと怖くなってきた……

あと、ゆゆゆいの襲来イベントはやっぱり相手の属性に合わせてパーティ変えないとキツイんですかね……?
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