ハナトハゲ   作:黄金馬鹿

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今回はわっしーとロリぐんちゃんのお話

おや? タグの様子が……


クソレズの汚染

 もうすぐ月は三月。そろそろ卒業式も間近に控えたその日も勇者部は平常運転だ。

 一番の問題点でもあった風の受験もなんとかかんとか成功し、立つ鳥跡を濁さず……というわけにもいかない。というかしなかったのだが、それ故に勇者部は平常通りの事をする事ができていた。強いて言うならば樹が風の仕事を引き継ぎできるかという不安はあったが、その不安も解消されつつある。

 そんな部室の中に今日居るのは、千景と美森の二人だけだった。

 銀、ハゲ丸の二人がまたまたかめやのヘルプへ向かい、他全員はみんな揃って迷子の猫探し。美森はホームページの更新が仕事としてあったので残り、千景もどうやらそっちの方が気になるらしく、千景も残ったというわけだ。その裏ではもしも千景が迷子になったら……と不安に思った園子が動いていたり動いていなかったり。

 そんな二人は今、パソコンと睨めっこしている。中学生であるのにhtmlにjava、果てにはC言語すら収めている美森にとってホームページの更新と新機能追加は一日あればなんとかかんとか終わる作業であり、千景はその様子を興味深そうに見ている。

 ちょっとやりにくいとは思う美森だが、子供から尊敬のまなざしを受けるのは嫌いではないため美森は特に何も言う事無くキーボードに指を走らせていく。

 ここの文はこうで、こうして、と時折呟きながら一度プログラムを走らせてホームページがどんな感じにできているかを確認し、細かい点を修正していく。

 今日は特に大きな作業をする予定はなかったので新しく勇者部の活動報告を一つ書き上げ、ホームページに載せるだけ。それも雛型のプログラムをコピペしているので大した作業にもならず、一時間もあれば活動報告を一つ追加し、ついでに写真をアップロードしてホームページを少し豪華にして作業は終わりを迎えた。

 

「ふぅ、こんな物ね」

「……すごい」

「千景ちゃん、プログラムに興味あるの?」

 

 思わずと言った感じに言葉を漏らした千景に美森は一つ質問したが、千景は首を傾げて暫し考えて、答えが出なかったのか反対方向に首を傾げて言葉を発する事はなかった。

 興味があるか無いかと言われればあるが、やりたいかと言われると特にそうは思わない。そんな感じなのだろう。

 

「大丈夫よ。答えられないなら答えられないで」

 

 と、言いながら美森はホームページ上にある、勇者部の活動報告の一環としてアップロードしている写真たちを画面に表示した。そこに映るのは、一年間の間三人だけだった勇者部の写真に加え、樹が入った四人の勇者部。そしてハゲ丸も入って五人に入った勇者部。

 そうして徐々に人を増やしていった勇者部の経歴が残されていた。

 まだ車椅子に乗っていた美森の写真も勿論ながら存在する。あまり写真には写りたがらない彼女だが、時折不意打ち気味に撮られてはその写真を発見し、仕方なしにホームページにアップロードするときがある。

 なので思いっきり油断した自分の写真などを見つけ、いつ消そうかと画策していたり。

 そんな写真を見つけた千景はふと美森の足に視線を向けて、一つ質問を飛ばした。

 

「東郷、さん……その……車いすは……」

「ちょっと小学生の時に事故っちゃって、つい半年前まで乗ってたのよ。今じゃもうこの通りだけど」

 

 まぁ事故と言っちゃぁ事故だ。知らなかったが故の満開事故。

 だがそれを思いっきり千景に言うわけにもいかず、そんな感じに適当に誤魔化した。だが千景の中では一度事故にあって車椅子生活だったが、それでも諦めずに努力して歩けるようになったと解釈されたらしく、凄いの一言を頂いた。

 その裏では思いっきり仲間割れとかあったのだが、まぁ言えないのでうふふと笑って誤魔化した。変な事言ったら園子に吊るされかねないし。

 

「……私にも、それだけ……努力できる、才能があれば……」

「う、うふふふ……」

 

 努力? していませんとも。動かないから諦めてね? と言われて泣く泣く諦めて流れに任せて戦った結果足が動くようになったのだから、努力方面が違う。そんな血みどろな努力を重ねてリハビリが成功したわけじゃないのだ。

 だがそれすら言えないので誤魔化すだけ。こうも隠す事が多いといつかボロが出ないか不安になってしまう。

 

「で、でも、千景ちゃんもゲームに努力はしているのでしょう? 私からしたら凄い事よ」

「……そんなこと、ない。ゲームは、所詮……趣味だから……」

「趣味でもよ。努力できない人間っていうのはそもそも趣味ですら努力しないのよ?」

 

 そう、努力できない人間はそもそも努力する事をしない。例えそれが趣味であっても、表面上だけでそれに触れてその趣味をもっと楽しむ努力をしないのだ。

 千景はゲームの腕なら勇者部の中で一番だ。それこそ嗜んでいるなんていうレベルではなく。

 西暦ではそこそこ有名なゲーマー、Cシャドウとして名を馳せている彼女だが、そこに至るまでの過程では自分の時間のほぼ全てを費やし、どうやったらそのゲームが上手くなるかを模索し、必死に指を動かしてきた。

 それが例えゲームという将来役に立つのか分からない事であっても、夢中になれる事に努力を加えたという事実は紛れもない事で、それは才能だ。本人が笑い話にできれど、他から何を言われる事ではない。

 

「千景ちゃんはもうちょっと自己評価を上げた方がいいわね。ちょっとネガティブよ」

「自覚は……してるわ……」

 

 園子と暮らし始めてから結構改善された根暗だが、やはりまだ人と接する事は得意ではないし、あの村のせいで植え付けられた誰とも比べる事のできない劣等感。自分は人以下のような存在だというネガティブな思考に直結する自己評価は根付いたままだ。

 園子から愛され、愛を知り、愛されることの喜びを知ったからこそ徐々にそれは改善されて行ってはいるものの、何せその何倍以上の時をネガティブな思考で埋め尽くされてきたのだ。そう簡単に振り切ることなんてできなかった。

 

「まぁ、そこは追々ね。そのっちと居れば嫌にでも明るくなっていくわ」

「それもそう、ね」

 

 だが、あんなポジティブの塊みたいな園子と一緒に居れば嫌にでもポジティブな思考が植え付けられていくという物。かつては凝り固まった思考しかできなかった美森も見事に懐柔されて今やこれだ。人間、どう成長するか分からない物だ。

 いや、本当に。どうしてこうなったと言わんばかりの成長をする人間もいるのだから。

 

「あとは……そうね、誰かを好きになるとか」

「好き、に……? 園ねぇと、藤にぃと……勇者部の、みんなは……好き、だけど」

「そうじゃなくて。恋愛的な好きよ」

 

 千景の言葉を聞いて、やっぱり自分をここに連れてきた二人は特別なんだという事を改めて理解した美森は、ついでと言わんばかりに要らない事を千景に教えていく。

 そう、元から千景には同族的な雰囲気を美森は感じていた。

 これは育て上げればきっといい人材になる。いい感じに自分と同じ感性を持った人間を作る事ができると。

 決して変な事を教えていくわけではない。人に恋した時、どんな事をしたらいいのか、予め教えるだけなのだ。やましい事なんて一切ない。

 

「恋愛……」

「そう。私が友奈ちゃんが大好きなように」

「……友愛?」

「いえ、恋愛よ」

「……ビアン?」

「えぇそうとも」

 

 そっと千景が距離を取った。

 

「なんでよ!?」

「……身の、危険を」

「女の子なら誰でもいいって訳じゃないわよ!?」

 

 その言葉を聞いて千景が元の距離にまで戻ってきた。流石に美森もそこまで酷いわけじゃない。酷いのは友奈に対する心だけで、それ以外は芸人という事を除けば大体普通だ。

 大体は。

 

「やっぱり好きな人にカッコ悪い所なんて見せられないじゃない? だから自然にカッコよく振舞おうって思ってくるのよ」

「……東郷さん、も?」

「そうね。私は元から生真面目にしなきゃって思ってたけど、それをいい感じにそのっちや銀に解されて、その後会った友奈ちゃんの前では明かるく真面目に決めるようになったわね」

 

 鷲尾須美の頃の自分を思い出して、客観的に言ってみれば、あの時の自分は少々生真面目が過ぎた。それでも園子や銀、桂のおかげでその生真面目を解してもらって、記憶を失ってから友奈と出会った。

 記憶を失っても心は変わらず。三人に解された生真面目と与えられたポジティブはいいように働いて友奈と笑って接し、初対面の頃から好きでしたと言わんばかりにやらかした。それはもうやらかした。それを隠して友奈の前ではニコニコ大和撫子をやって、ついでにカッコいいところを見せては友奈から褒められて鼻を天狗にして。

 今もその鼻は折られていない。折られていないとも。本性はバレたが。

 

「私もいつか……誰かを、好きに……」

「きっとなるわ。だって女の子ですもの」

 

 特に千景は。

 何故なら美森の同族感知センサーには今も千景が思いっきり反応しているのだから。いい感じに自分とタメを張れる愛の狩人になると本能が告げているから。

 

「と、いう訳で誰かに恋した時のためのいろはを千景ちゃんに授けるわ」

 

 故に、ちょっとばかし余計な事を植え込むことにした。

 

「い、いえ……必要、ないわ……」

「いいえ、立派な大和撫子になるのなら必要よ。と、いう訳でまず最初に――」

 

 この日、千景は美森に余計な事を教え込まれた。

 汚染の第一歩である。

 

 

****

 

 

 暫くすると園子達が帰ってきた。

 

「ただいま~。ちーちゃん、わっしー、留守番ご苦労様~」

 

 ちょっとばかり汚れた部員達が入ると、そこでは美森が何やら千景に余計な事を吹き込んでいた。耳元で思いっきり吹き込んでいた。

 

「……わっしー?」

「な、何も言ってないわよ? ちょっと内緒の話を……」

「園ねぇ」

 

 まさか余計な事を、と園子の雰囲気が一気に怖い物に変わるが、すぐに千景の言葉を聞いてその雰囲気を一旦収めた。

 そして。

 

「私……誰かに、恋をしたら……まずは、その人の部屋の間取りとか……外堀を埋めたり、とか……とにかく、東郷さんみたいに……頑張って、みる」

 

 ぐるぐる目になって洗脳が完了された千景を他所に美森が部室の窓を乱暴に開けてそこからスタイリッシュに飛び降り、それを修羅と化した園子が追った。

 こうして千景の愛を向ける方法はクソレズのせいで余計な方向へとぐんにゃりねじ曲がってしまったのだった。千景の矯正がしっかりと終わりマトモな恋愛ができるようになってからその相手が現れる事を願うばかりだ。

 ちなみに、美森は数分後、プールの中に重りを付けられた状態で沈んでいた。まぁ生きているので問題はない。瀕死だが。




という事で、勇者部全体からの汚染により図太くなっていたぐんちゃんでしたが、新たなる汚染によりクソレズの呪いがかかりました。何嶋何奈ちゃんへの愛情がトンデモなく重い物になってクソレズの問題行動を行うような汚染が成されましたが、まぁ何奈ちゃんならきっと受け入れてくれるでしょう(適当)

今回から本格的にぐんちゃんを汚染していきます。という事でまずはわっしーからの呪いでしたが、次は誰からの汚染を書こうかなあ。

とりあえず全員から悪い部分を一個ずつ継承させたい所。

書いてほしい話

  • 銀IFその2
  • 須美IFその2
  • しずくIF
  • 修羅場時空
  • 本編書けってんだよ、このポンコツが!
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