遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』 作:femania
・小説初心者で、連載小説初挑戦です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品なので、遊戯王アニメシリーズのキャラが登場することもありますが、設定が違うので元と性格や行動が違うことがあります。
・過去にアニメシリーズで使われていたデッキを本人ではなくこの作品のオリジナルキャラが使うことがあります。また、使用されるデッキはエースモンスターはそのままにデッキをアレンジしたものになっていることがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・人物描写はスキップしています。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・オリジナルのカードも使ってます。
・作品はほぼオリジナル展開です。
これでOKという人はお楽しみください!
投稿遅れたことをここでお詫びします。その分頑張りました。
いよいよハルトくんと瑠璃の戦いが始まる!
エクシーズ決戦です!
【15】
次元戦争。エクシーズ世界の戦いはこのように語られている。
デュエルモンスターズを破壊兵器、殺人兵器として扱い、文明を破壊し尽くす敵の大軍との戦い。
敵は白いスーツを着た男女混合の軍団だった。どこの誰か、所属も出身地も名前さえも明かさない兵士たちが、見境なく一般人を殺しつくしていく。
彼らを止めるにはデュエルしかなかった。だからこそエクシーズ世界の人間たちは戦ったのだ。
黒咲隼、瑠璃の兄も。天城カイト、ハルトの兄も。そしてユートも。
しかし、彼らは強すぎた。エクシーズ世界の人間が弱かったのではない。彼らは全員が、全員がエクシーズ世界最強の三銃士と呼ばれた、九十九遊馬、神代凌牙、天城カイトと同等。もしくはそれ以上の力を持っていたのだから。エクシーズ世界のデュエリストは悉く殺されていく。一か月も経たずにたった百人のデュエリスト相手にエクシーズ世界の九割は壊滅した。
それでも百人の軍勢を追い払ったのは、エクシーズ世界の英雄たちの決死の戦いがあってこそだっただろう。アークライト家当主が組織したレジスタンスに実力者が集まり、白スーツの悪魔たちと勇敢に戦ったからこそ、エクシーズ世界の残された人間と、最後の生きた街、ハートランドを守り切ったのだ。
しかし、その代償は大きかった。人々を救うため最後まで戦い抜いたデュエリストも最終的にほとんどがいなくなっただろう。
ハートランドを最後の都市として快く残された人類に開放したドクターフェイカーは暗殺された。その部下として働いていた、ゴーシュ、ドロワは戦死。アークライト家も当主と長男を失った。ミザエル、ドルベ、武田鉄男の3人は神代璃緒を庇い死亡。その後神代凌牙は妹と共に行方不明になった。九十九遊馬は、最後の決戦へと向かい、そのまま帰ってこなかった。
瑠璃の兄、黒咲隼はその戦いの中で瑠璃を庇ってある男と戦って死んだ。そして瑠璃もその後を追うことになるはずだった。
ハルトの兄、天城カイトはある男と戦って意識不明の重体に陥った。
エクシーズ世界の最後の英雄、九十九遊馬もその男と戦った後、帰ってこなかった。その男はエクシーズ世界至高の力として扱われた107枚のカード、『ナンバーズ』をもってしても倒すことはできなかった。
瑠璃はその男の名を覚えている。その姿を覚えている。白のスーツがなぜか似合ってしまう青年だった。
ハルトはその男の戦い方を覚えている。儀式、融合、シンクロ、リンク。見た事のない召喚法を自在に操り、あの兄がライフをたった500しか削れなかったことを。そして、その男が言ったことを覚えている。
「なるほど。なかなか強かった……。僕がLPを削られたのは生涯初めてだ。やはり井の中の蛙という言葉は本当らしいな。僕もまだまだ修業不足だ。次はシンクロ世界。果たしてどれほどの強者と出会えるのか……。パラドックス君が終わらせてなければいいが……」
と、余裕な様子で語った。
そして、瑠璃にも、ハルトにも、その男は律儀に自己紹介をしていた。
「こんにちは。僕の名前はアルター。イリアステルの総帥にして、ヌメロンコードを起動させるために命を搾取する大魔王だ。さあ、勇者よ、僕を倒してごらん?」
【16】
天空の聖域の上。本来戦うべきでない二人が戦うことになったのは、人間の正義という独特の観点があってこそだろう。白の聖域は天井に舞う二人を下から反射した陽光で照らす。
瑠璃 LP4000
ハルト LP4000
「先攻する!」
ハルトのこの一言とともに、お互いは山札から、四枚のカードを引いた。
「僕のターン!」
ターン1
ハルト LP4000 手札4
モンスター
魔法罠
フィールド
(ハルト)
□ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ 魔法罠ゾーン
(瑠璃)
ハルトは手札を三秒見つめ、己の戦いの最初の一手を決めた。
「自分フィールド上にモンスターが存在しないとき、フォトンスラッシャーは手札から特殊召喚できる!」
先陣を切って現れたのは、青い光を見に宿す剣士。
フォトン・スラッシャー 攻撃表示
ATK2100/DEF0
(……いきなり来る?)
瑠璃はそのデッキのエースモンスターを知っている。最大の警戒とともに、それが来た場合、どう戦うかを手札を見て考えた。
「フィールド上にフォトンモンスターが存在するとき、手札のフォトンアドバンサーは特殊召喚できる! さらにフォトンアドバンサーは、このカード以外にフォトンモンスターが存在するとき、攻撃力を1000アップ!」
フォトン・アドバンサー 攻撃表示
ATK1000/DEF1000
フォトン・アドバンサー ATK1000→2000
「2000以上のモンスター2体……」
「瑠璃、君は僕が呼ぶと思っているのか。だとしたらとんだ計算違いだよ」
「え……?」
瑠璃は『竜』がもう来ると思い込んでいた。しかしそれを否定され、つい驚いてしまう。
一方のハルトは手を休めない。
「フォトンバニッシャーは、僕の場にフォトンモンスターかギャラクシーモンスターがいる場合に特殊召喚ができる」
カードを勢いよくディスクに置くと同時、光の剣士に加え、青い光の戦士が現れた。既に、ハルトのモンスターゾーンは既に己の従僕に埋められている。
フォトン・バニッシャー 攻撃表示
ATK2000/DEF0
「フォトン・バニッシャーの効果。このカードが説く召喚に成功したとき、デッキから、ギャラクシーアイズフォトンドラゴンを手札に加える」
ハルトはデッキからカードを1枚手札に加えた。そのカードを見るとハルトは少しだけ微笑む。
しかし、すぐに笑みを消す。
「そして僕の場にいるレベル4の3体のモンスターで、オーバーレイ!」
ハルトの宣言で、空中に黒い渦が生成された。
「何を……」
瑠璃の言葉を気にも留めず、
「オーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」
渦に黄色の魂が3つくべられ、虹色の光が爆発した。
「光の化身たる白き騎士よ。始まりの剣となり、我に勝利を捧げよ! 現れよ、ナンバーズ10! 白輝士イルミネーター!」
ハルトの傍に、一体、『ナンバーズ』を冠する騎士が駆け付けた。体に刻まれた10の文字が証拠として輝いている。
「ナンバーズ……」
瑠璃は『ナンバーズ』の力を知っている。自身は1枚も持っていないものの、その力を行使する戦いを何度も近くで見てきたからだった。
No.10 白輝士イルミネーター 攻撃表示
ATK2400/DEF2400
「イルミネーターの効果を発動する。オーバーレイユニットを一つ使う。自分の手札を1枚墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする」
宣言した通りの行為を行った。瑠璃にはそれを止める手立ては存在しない。
(どうしてアレを呼ばないの?)
エースモンスターの召喚は、自身を勝利へと導く近道の1つ。通常であれば最短距離で行うべき行動である。
その答えはすぐに判明した。
「僕は……ランクアップマジック ライトニングアセンションを発動!」
「え……? ランクアップ……」
「このカードはエクシーズモンスターを素材に、ランクが1つ高い、光属性のナンバーズを特殊召喚する。僕が呼ぶのは、カオスナンバーズ10!」
下で2人の戦いを見守る人々も驚いた。
ユートは、ハルトの想像を超えた完成されている戦術を悟って。
そしてその他の人間は、その宣言に。遊介の心の中が1番驚きの理由を言葉として示していた。
(イルミネーターのランクアップ……?)
そう。遊介たちの世界に、カオスナンバーズ10は存在しない。
それは無理もない。なぜならそれは、使用者の出身地であるエクシーズ世界にしか存在しなかった可能性だからだ。
「混沌の力を宿し、白き甲冑よ黒く染まれ。死神の証をもって、世界から輝きを奪わん! 現れろ、カオスナンバーズ10! 黒騎士ユニルミネイター!」
再び渦から現れた騎士。しかしそれは先ほどまで輝きを嘘だと言わんばかりに黒い姿となって、禍々しい紫の光を帯びた大鎌を片手で持っている。
黒騎士ユニルミネイター 攻撃表示
ATK3000/DEF3000
「ユニルミネイターの効果! 僕は3つオーバーレイユニットをすべて使って発動する。手札のカードを1枚墓地へ送る。その後使ったオーバーレイの数だけカードをドローする。僕はカードを3枚ドロー!」
驚異の3枚ドローを行使するハルト。そのすべてを、
「カードを3枚伏せて、ターンエンド」
伏せてターンを終了した。
瑠璃の表情はあまり良くはない。
(1ターン目から攻撃力3000……伏せ3枚。さすがカイトの弟ね……)
甘えが許されないことを自覚する。
ハルト LP4000 手札0枚
モンスター ① 黒騎士ユニルミネイター
魔法罠 伏せ3
フィールド
(ハルト)
■ ■ ■ 魔法罠ゾーン
□ □ □ メインモンスターゾーン
① □ EXモンスターゾーン
□ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ 魔法罠ゾーン
(瑠璃)
「瑠璃」
「何?」
「どうして君は彼らと一緒に居るの?」
「どうしてそんなことを聞くの?」
「ふと気になったんだ。慣れ合いとは縁遠い世界だろう?」
瑠璃はその答えに迷いはしなかった。
「助けてもらった。この世界で何も知らない私に居場所をくれた。だからその恩を返したいなって思ったの」
「けど、ヌメロンコードにかける願いは人それぞれだろう。いずれは敵になる。むしろ仲間なんてものは、この世界で足かせになる。せめて、志を同じにする人間と手を組むべきだ」
「そうね……。普通ならそうだと思う。けど、私はこの選択が間違いだとは思わない。私にとってこの出会いは恵まれていた」
「恵まれていた?」
「だって、みんな優しいもの。それだけで十分よ」
ターン2
「私のターン! ドロー」
瑠璃 LP4000 手札5枚
モンスター
魔法罠
瑠璃は引き寄せたカードに満足し、すぐに行動へと移す。
「自分フィールドにモンスターが存在しないとき、リリカルルスキニア、ターコイズワープラーを特殊召喚できる!」
最初に呼び寄せたのは、緑の小鳥。それは天空を舞う鳥たちの先駆けだった。
LL-ターコイズ・ワープラー 攻撃表示
ATK100/DEF100
「効果! このカードの特殊召喚に成功したとき、手札・墓地からリリカルルスキニア1体を特殊召喚する。私は手札の、リリカルルスキニアサファイアスワローを特殊召喚!」
LL-サファイア・スワロー 攻撃表示
ATK100/DEF0
「私は2体のリリカルルスキニアでオーバーレイ!」
2匹の小鳥が、天空に現れた黒の渦へと飛び込んでいく。
「レベル1モンスター2体でオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 現れよ!ランク1 リリカルルスキニア、リサイトスターリング!」
現れたのは夜を表すような漆黒の羽毛を持つ華麗な鳥人。
LL-リサイト・スターリング 攻撃表示
ATK0/DEF0
「リサイトスターリングには召喚時の効果があるけど、今は発動できない」
「なら、何のために出したの?」
「効果を使うためよ。私はリサイトスターリングの効果を発動する。オーバーレイユニットを1つ使って発動する。デッキから、鳥獣族、レベル1のモンスターを手札に加える」
「新しい小鳥を呼ぶためか……」
「小鳥ね……」
瑠璃はデッキを見つめた。
少し昔の思い出が頭をよぎる。
それはこの世界に来てすぐ、ユートに言われた一言だった。
――……隼の意志を継ぐ覚悟は立派だと思う。けど、だからと言って全く同じ戦い方をする必要はない。きっと君にしかできない戦い方だってある。……僕も考えた。このカードを使ってくれ。開発には苦労したが、君専用のカードになるはずだ――
手渡された10枚のカードは付き合い始めて初のプレゼントとなった。ロマンチックなものを送られることを夢見た頃もあったが、瑠璃はそれでも嬉しかった。自分のことを考えてくれていることが分かったから。
「ユート。私、頑張るね」
そして、デッキから引いたのは、兄から受け継いだカード。
「私は、レイドラプターズ、ラストストリクスを手札に加える。そしてこのカードを召喚する!」
その鳥は先ほどまでの麗しきことりとは違う。鳥を模した機械のような体躯を持つ猛禽類。
RR-ラスト・ストリクス 攻撃表示
ATK100/DEF100
「レイドラプターズ……隼兄さんの形見だね」
「ええ。あなたに向けるとは思わなかったけど」
「僕も、君がそれを使うとは思わなかった。てっきりユートが持ってると」
「これは私の覚悟。私の復讐を遂げるという覚悟の証拠のつもりよ!」
そして瑠璃はさらにハルトを驚かせる宣言をした。
「現れて。新たな力を呼ぶ、サーキット!」
「リンク召喚も使うのか……」
「召喚条件は、鳥獣族モンスター1体。私はリサイトスターリングをリンクマーカーにセット。リンク召喚。いでよ、リリカルルスキニア、トパーズラーク!」
黄色の小鳥が元気にサーキットから現れる。
LL-トパーズ・ラーク リンク1
リンクマーカー 下
ATK100/LINK1
「本当なら、この子にも効果があるけど、リリカルルスキニアがリンク先にいないと効果が発動できない。けどこれでラストストリクスの効果が使える。このカードをリリースして、エクストラデッキから、レイドラプターズエクシーズモンスターを守備表示で特殊召喚する。私は、レイドラプターズ、デビルイーグルを特殊召喚!」
RR-デビル・イーグル 攻撃表示
ATK1000/DEF0
そして瑠璃は、ユートから託されたカードを手にとる。兄の戦いの真似ではなく、瑠璃のレイドラプターズを実現させるためのカード。
「私はランクアップマジック、L-Rコネクションを発動!」
瑠璃はそのカードを堂々と相手に見せびらかし、そして思い切りカードを発動した。
「このカードを発動時、私はリリカルルスキニアモンスターをリリースすることができる。リリースした場合、このカード発動は無効化されない効果が付与される!」
瑠璃はトパーズ・ラークを墓地へ送り、その効果を行使する。ハルトは特に動じなかった。
(伏せてあるカードはどうやら、マジックを無効にできるカードじゃないようね)
そのような分析を行いながら、続きを言った。
「そして、フィールド上の鳥獣族エクシーズモンスターを素材に、ランクが1つ高い鳥獣モンスターをエクストラデッキから呼ぶ! 私は、デビルイーグルを素材に、ランクアップ、エクシーズチェンジ!」
デビルイーグルは魔法に寄って現れた進化の渦へと飛び込んで行く。
「雌伏のハヤブサよ。逆境の中で研ぎ澄まされた爪をあげ、反逆の翼で飛翔せよ! ランク4、レイドラプターズ、ライズファルコン!」
現れたのは瑠璃の兄が最も愛用していたエースモンスター。鋭い爪ですべてを斬り裂く大きな鳥獣。
RR-ライズ・ファルコン 攻撃表示
ATK100/DEF2000
ハルトの表情が一瞬曇る。それはレイドラプターズの効果にある。攻撃力が総じて低い傾向にあるレイドラプターズだが、その効果は強力なものが多い。
「L-Rコネクションによって特殊召喚された鳥獣族の攻撃力は1000アップする」
RR-ライズ・ファルコン ATK100→1100
「そして、ライズファルコンの効果! オーバーレイユニットを1つ取り除き、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を対象に発動する。このカードの攻撃力は、対象モンスターの攻撃力分アップする。私は貴方のフィールドのユニルミネイターを対象にする!」
ユニルミネイターの紫の光を奪ったハヤブサは、己を焼くような炎を纏い強大化する。
RR-ライズ・ファルコン ATK1100→4100
「く……厄介な効果だ」
ハルトはライズファルコンを評するが、それを聞くことなく瑠璃は仕掛ける。
「バトル! ライズファルコンで、黒騎士に攻撃! ブレイブクロ―・レヴォリューション!」
炎を纏ったハヤブサがその爪を黒の騎士に突き立てる。黒の騎士はその甲冑事斬り裂かれ、無残にも破壊された。
(勝)RR-ライズファルコン ATK4100 VS 黒騎士ユニルミネイター ATK3000 (負)
破壊とともに爆発が巻き起こり、その炎がハルトを包み込んだ。
ハルト LP4000→2900
瑠璃はバトルフェイズを終了し、
「カードを1枚伏せ――」
カードを伏せようとした。
しかし、爆発が収まり、煙の中に消えていたハルトが姿を現す。その手には、青い十字型の槍のようなものを握っていた。
「それは……」
瑠璃はそれが何か分かっている。それは、ハルトが使うエースモンスターが顕現する合図である。
「ユニルミネイターが破壊されたとき、墓地から攻撃力3000以下の光属性モンスター1体を特殊召喚できる」
ハルトは槍を上へ投げた。槍は回転しながら上昇し、空中で止まる。そして槍には光の粒子が集まり、形を形成していく。
「闇に輝く銀河よ、光の化身となりて、我が僕に宿れ! 降臨せよギャラクシーアイズフォトンドラゴン!」
槍の輝きは最高潮になり、竜の姿に変化した。その竜は、存在するだけで空気を震わせる。
「来た……!」
瑠璃が警戒していたのは、この竜だった。エクシーズ世界のカイトを常に支え、最強たらしめていた竜。
銀河眼の光子竜 攻撃表示
ATK3000/DEF2500
「さあ、ここからだ。瑠璃」
瑠璃は厳しい目をしながらも、魔法罠ゾーンにカードを1枚伏せ自らのターンを終了した。
瑠璃 LP4000 手札1枚
モンスター ②RR-ライズ・ファルコン
魔法罠 伏せ1
フィールド
(ハルト)
■ ■ ■ 魔法罠ゾーン
□ ③ □ メインモンスターゾーン
□ ② EXモンスターゾーン
□ □ □ メインモンスターゾーン
□ ■ □ 魔法罠ゾーン
(瑠璃)
「私も訊きたいことがあるの」
「何?」
「あいつと戦うの?」
「うん」
「お兄さんでも勝てなかったんだよ? それでも1人で」
「もちろん。僕の問題には僕が決着をつける。それに新しい問題も1つ増えてしまったしね」
「何?」
ハルトはそれに答えることはなかった。
「ハルトくん……!」
ターン3
「僕のターン、ドロー」
ハルト LP2900 手札1枚
モンスター ③ 銀河眼の光子竜
魔法罠 伏せ3
「フォトンパイレーツを召喚!」
光子の名を冠する海賊姿の存在が現れる。
フォトン・パイレーツ 攻撃表示
ATK1000/DEF1000
「フォトンパイレーツの効果。フォトンモンスター1体を墓地から除外し、このカードの攻撃力を1000ポイントアップする。僕はフォトンスラッシャーを除外!」
フォトン・パイレーツ ATK1000→2000
「そしてフォトンパイレーツの効果は1ターンに2度発動できる! 墓地のフォトンアドバンサーを除外!」
フォトン・パイレーツ ATK2000→3000
レベル3で攻撃力が3000。しかしこれでは、ライズファルコンの攻撃力には届かない。
下で戦闘を見ている観客の思い込みは、ユートのこの一言によって崩された。
「まずい……」
「何がまずいの?」
「ブルームガール。君はこの盤面をどう見る?」
「君はギャラクシーアイズの効果を知っているか?」
「効果って……」
しばらく考え込み、記憶が復活する。
「そうか……」
ブルームガールの恐れた事態は今から実行される。瑠璃はそれが分かっていたからこそ次の一手を伏せカードに仕込んでいる。
しかし、ハルトはそれを見越していたように、
「罠カード、トラップ・スタンを発動する。このターン、このカード以外の罠カードの効果は無効化される!」
と、瑠璃にとって非常な宣言を行った。
「な……!」
バトルフェイズに発動できる罠カードを伏せていた瑠璃は、困惑の表情を浮かべる。
「まずはそのライフの4分の3を貰い受けるよ。バトルだ!」
今の瑠璃に、ハルトの攻撃を止める術はない。
「僕はギャラクシーアイズフォトンドラゴンで、レイドラプターズライズファルコンに攻撃!」
光の竜はライズファルコンに接近し、ライズファルコンの爪の射程内に入った瞬間、その輝きを増す。
「この瞬間、効果を発動! このカードと戦闘する相手モンスター1体を除外する!」
光子の塊が拡散するたび、戦うはずだった2体がいるその場所は白く塗りつぶされていく。そして次の瞬間には、2体はこの世界から消えていた。
そして、その光は目くらまし。すでに海賊のような機械仕掛けが肉薄していた。
「フォトンパイレーツでダイレクトアタック!」
剣は確実に瑠璃の殺すための斬撃を繰り出した。剣先は一瞬で、瑠璃の右肩を大きくえぐった。
「ぐああ!」
痛みに悲鳴を挙げる。
この世界は戦いの世界。その痛みは体に外傷は残さないものの、痛みを確実にフィードバックする。
瑠璃 LP4000→1000
「瑠璃!」
下のユートが叫ぶ。守ると決めたはずの愛しの人が悲鳴をあげているのだから。
瑠璃にはその声は聞こえない。
「……くぅ」
片目を閉じ、歯を食いしばって意識が消えるのを防いだ。
「僕はこれでターンエンドするよ」
そしてその瞬間発動する効果を知っている瑠璃は代わりにその現象を説明した。
「バトルフェイズ終了時に、除外された2体はフィールド上に戻ってくる……」
「ただし、ライズファルコンの攻撃力は元に戻っているけどね。そしてエンドフェイズ、フォトンパイレーツの攻撃力はともに戻る」
フォトン・パイレーツ ATK3000→1000
ハルト LP2900 手札0枚
モンスター ③銀河眼の光子竜 ④フォトン・パイレーツ
魔法罠 伏せ2
フィールド
(ハルト)
□ ■ ■ 魔法罠ゾーン
④ ③ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ ② □ メインモンスターゾーン
□ ■ □ 魔法罠ゾーン
(瑠璃)
「瑠璃。僕たちは志は同じだ。エクシーズ次元で失われたすべてを、ヌメロンコードで取り戻そうとしている」
「ええ。それが?」
「あの誰か分からないような仮の味方よりも僕についてきて欲しい。僕はエクシーズ世界同士で戦っているこの状況はおかしいと思うんだ。ユートと一緒に、僕と戦おうよ」
「……あなたは、エクシーズ世界が勝つためなら、あの子を殺すんでしょ……」
「もちろん。僕は理想の為なら手段は選ばない」
「なら……私はあなたについて行けない」
「どうして?」
「私は、ハルト、あなたと違ってこの世界で生きる人も大切にしたい。私の復讐は、他人を不幸にしてまで行うことじゃない。あの白スーツと同じことをするんじゃ復讐にならない!」
やはり二人は折り合わない。
ハルトは残念そうにため息をつきながら、
「……それは君が他の人格に影響を受けているからだ。僕らが受けた屈辱は、悲しみは、理性や善性で制御できるようなものじゃない」
怒りでなく、哀れみの目で瑠璃を見る。
「あの日。君はやはり死んでしまったんだね。柊柚子に魂を宿したと思っていたけど、完全じゃないんだ。ペンデュラム世界の生ぬるい感情が君を侵しているんだ」
「柚子は関係ない!」
「決めたよ。僕は柊柚子、そして他に宿っている魂を狩らせてもらう。フォトンハンドの応用でおそらく可能だろう。そうすれば、君を侵す感情はなくなる。その時にまた、僕の提案の答えを聞かせてもらう」
「ハルト! あなたでも柚子やセレナ、リンを殺そうというのなら……」
瑠璃の目に激しい怒りが宿ったのはその瞬間だった。
「私はあなたを許さない!」 (後編に続く)
例によってデュエルが長くなってしまったので今回もデュエルは前後編で分けています。
後編もぜひお楽しみください。