遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』   作:femania

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前編の続きです。
詳しい前書きはそちらに掲載しました。

前編を見てくださった方は、ぜひ後編も楽しんでいただけたら幸いです!


8話 進化する戦い(後編)

(前編の続き)

 

ターン4

 

 

「私のターン!」

 

宿った感情の勢いがカードをドローする動作に現れていた。

 

瑠璃 LP1000 手札2枚

モンスター ② RR-ライズ・ファルコン

魔法罠 伏せ1

 

引き寄せたカードは、新たな攻撃の可能性を証明する1枚。

 

「ランクアップマジック、レイドフォース、発動!」

 

これこそが兄から受け継いだ戦い方。エクシーズモンスターを何度も進化させ、鉄の意志と鋼の心で、何度でも敵に立ち向かう。

 

魔法の影響か、空に雷雲の渦が発生した。

 

「自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を素材にして、ランクの1つ高いレイドラプターズモンスターを特殊召喚できる!」

 

そして攻撃力をほぼ失ったハヤブサは新たな力を求めて、雷雲の中へと飛翔した。

 

「獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けし翼翻し、寄せ来る敵を殲滅せよ! ランクアップエクシーズチェンジ! 現れよ!」

 

稲妻とともに、新たなハヤブサは降臨する。

 

「レイドラプターズ、ブレイズファルコン!」

 

赤い翼をもつ新たなハヤブサ。

 

RR-ブレイズ・ファルコン 攻撃表示

ATK1000/DEF2000

 

「バトル!」

 

瑠璃は開いた手を前に突き出した。

 

「ブレイズファルコンは、オーバーレイユニットが存在するとき、相手プレイヤーへ直接攻撃できる!」

 

ハルトは黙ったまま、防御の体勢をとった。それは攻撃を受けきるという意思表示。

 

「行け!」

 

瑠璃の号令とともに、ブレイズファルコンは突撃する。銀河眼の竜を突風の速さで器用に避けると、ハルトのもとへ翔ける。

 

そして、鋭い爪を突き立てようとした。

 

「トラップ発動! 『光子化』(フォトナイズ)! 相手モンスター1体の攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分だけ、自分フィールド上の表側表示の光属性モンスターの攻撃力をアップ! ブレイズファルコンの攻撃力1000分だけ、俺はフォトンパイレーツに乗せる!」

 

フォトン・パイレーツ ATK1000→2000

 

「くっ……」

 

目を細めたのは、悔しさの表現だった。

 

「瑠璃。君の爪は届かなかったね。ブレイズファルコンのもう1つの効果は、相手に戦闘ダメージを与えたとき、相手モンスター1体を破壊できる効果だからね」

 

「私がブレイズファルコンを使うと分かってたの?」

 

「ライズファルコンが来たときは少し驚いたけどね。でも、フォトナイズを使うとしたらライズよりブレイズだと判断するよ。戦闘ダメージが発生した時に被害が大きいから」

 

「だから最初のライズファルコンの攻撃には使わなかったのね……でも!」

 

瑠璃はデュエルディスクの画面をタッチする。それは伏せていた罠の発動をする合図だ。

 

「トラップカード、リリカルルスキニア、フェザーダンス! 墓地のリリカルルスキニアを除外して発動! 私は墓地のリサイトスターリングを除外する。相手フィールド上の全モンスターの攻撃力を半分にする!」

 

銀河眼の光子竜 ATK3000→1500

 

フォトン・パイレーツ ATK2000→1000

 

「そして、自分フィールド上にエクシーズモンスターが存在する場合、オーバーレイユニット1つを取り除き、相手フィールド上のモンスターの効果をすべて無効にする」

 

「……ギャラクシーアイズの効果を無効にするのか」

 

「まだよ。発動時に除外したモンスターがエクシーズモンスター場合、デッキからランクアップマジック1枚を手札に加える。このカードは公開する必要はないが、このターン使用できない」

 

「ランクアップマジック……」

 

「私はカードを2枚伏せて、ターンエンド!」

 

「速攻魔法のランクアップか……」

 

瑠璃は痛む肩を押さえながら、自分の攻撃の終了を宣言した。否、するしかなかった。

 

瑠璃 LP1000 手札0枚

モンスター ⑤ RR-ブレイズ・ファルコン 

魔法罠 伏せ2

 

フィールド

 

(ハルト)

□ ■ □     魔法罠ゾーン

④ ③ □     メインモンスターゾーン

□   ⑤     EXモンスターゾーン 

□ □ □     メインモンスターゾーン

■ ■ □     魔法罠ゾーン

(瑠璃)

 

その戦いを見守る瑠璃のチームメイト。しかしその顔は晴れやかではない。

 

「押されてるな」

 

「ああ……」

 

心配で浮足立っているユートを少しでも落ち着けようと遊介は何度も話しかけていた。

 

「ユートから見てこの盤面はどうだ?」

 

「押されている……のは変わりない。次のターンが勝負だ。おそらくモンスターがいなくなれば勝ち目が薄くなる」

 

「そうか……」

 

遊介は瑠璃を信じている。

 

そしてハルトの実力の高さに感心していた。自分の信じたモンスターを極めた強者に憧憬の目をもってそのデュエルを見守る。

 

瑠璃の顔は緊張で少し強張っている。

 

それはユートの判断通り、次のターンが勝負であると判断していたからだった。

 

そしてハルトも、未だ前向きな姿勢を崩さない瑠璃を見て考えを巡らせていた。

 

(伏せたカードの1枚はランクアップマジック……。明らかにこちらが有利だが、向こうがランク6を出すとしたら話は別だ。レイドラプターズのランク6以上は1体で勝負を決するレベルのモンスターがそろってるからな……。何を加えたか……。可能性は3つ。その中であいつと相性がいいのは、おそらく、デヴォーションフォース)

 

ハルトはエクストラデッキの残りカードを見る。

 

(デヴォーションフォースはランクアップの後、召喚したモンスターとバトルすることになる。むやみに攻撃を仕掛けられない。ならば時空竜よりは……)

 

そこまで考えて自分のターンを開始する。

 

 

ターン5

 

 

「僕のターン!」

 

ハルト LP2900 手札1枚

モンスター ③銀河眼の光子竜 ④フォトン・パイレーツ

魔法罠 伏せ1

 

引き当てたカードは罠カード。残念ながら、このターンは使えない。

 

(……このターンでは仕留められないことも考えておくべきだな……)

 

ハルトは、まず賭けをすることにした。伏せていたカードを発動する。

 

「俺は伏せていたもう1枚を発動する。マジックカード、ギャラクシーサイクロン。相手フィールド上の伏せカード1枚を破壊する! 俺は真ん中のセットカードを破壊!」

 

瑠璃に光子の竜巻が襲い掛かる。強い風圧で吹き飛ばされそうなところを瑠璃は耐えたが、伏せカードは破壊された。

 

「逆境。ランクアップマジックを破壊できれば1番だったけど、はずれだったな」

 

「残念ね」

 

「いいや。そうでもない。君を守るカードはもうそのランクアップしかない。なら、僕が召喚するモンスターは決まった」

 

手札に来た罠を伏せると、ハルトの目の周りに刻まれた刻印が輝き始める。

 

「スキル発動。ギャラクシーオーダー! フィールド上に光属性レベル8モンスターが存在するとき発動。僕のフィールド上のモンスターすべてをレベル8にして、エクシーズ召喚を行う! フォトンパイレーツのレベルを8にして、オーバーレイ!」

 

瑠璃の顔はさらに険しくなる。

 

(ランク8……)

 

特にハルトが使う恐れのあるモンスターは、すべてが強力な効果を持っている。場合によっては1ターンで勝負を決するほどの力を持っている存在もいる。

 

「瑠璃。勝負だ」

 

「……!」

 

銀河眼の竜のレベルの上がった光の戦死が黒い渦の中に飛び込み、白い光の爆発を起こす。

 

「闇に輝く銀河よ。復讐の鬼神となりて、我が僕に宿れ! 降臨せよ! ランク8、ギャラクシーアイズ、サイファードラゴン!」

 

竜は進化する。光の化身として降臨したのは、光波を自在に操る強大な竜。

 

銀河眼の光波竜 攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

瑠璃はそのモンスターの威圧を前にしてもひるむことはなかった。

 

そしてハルトもまた、その姿を見ても恐れずに攻撃を開始する。

 

「サイファードラゴンの効果! オーバーレイユニットを使い、相手フィールド上の表側表示モンスター1体を対象に発動! そのモンスターのコントロールを得る! サイファープロジェクション!」

 

「く……」

 

瑠璃の意思に関係なく、広げられた銀河眼の竜の翼から放たれる光。その光を浴び、ブレイズファルコンは無慈悲に奪われた。

 

「この効果でコントロールを得たモンスターの効果は無効化され、攻撃力が3000となり、名前を『銀河眼の光波竜』として扱う」

 

そしてブレイズファルコンの存在は上書きされ、その光の像が竜の形を得た。

 

「デヴォーションフォースもこれでは発動できない。次の1撃で終わりにする!」

 

「そう……ね……」

 

ハルトを睨むその顔も、ハルトには強がりに見えた。

 

「瑠璃。次の1撃は耐えられないだろう。遠慮なく気絶するといい。僕が拾ってあげるよ」

 

「……」

 

反論が返ってこないのは敗北の証明だとハルトは受け取った。

 

「バトル!」

 

最後の宣言。最後の1撃はやはりギャラクシーアイズの名を冠する竜。

 

「ギャラクシーアイズサイファードラゴンで、瑠璃へダイレクトアタック! 殲滅のサイファーストリーム!」

 

ハルトが勝利を確信して微笑むと、叫ぶ。

 

「終わりだ!」

 

それに対し瑠璃は言った。

 

「笑止」

 

「何?」

 

「そう。あなたはデヴォーションフォースを警戒する。だから、あなたは絶対にサイファードラゴンを出す! そして、私のブレイズファルコンを奪う。そう思っていた。思っていたからこそ私はこれに賭けた。貴方相手で何の賭けもなく勝てるほど楽観視はしていない。私の戦いは常にただ勝利のために考え続け、相手を倒すための攻めの姿勢を緩めないこと」

 

そして瑠璃は宣言する。己を勝利へ導く1枚を。

 

「速攻魔法! ランクアップマジック、レヴォリューションフォース!」

 

「な……それは!」

 

ハルトの表情は初めて崩れた。驚きのあまり目を見開く。

 

「相手ターンでは、相手フィールド上のオーバーレイユニットを持たないエクシーズモンスター1体を選択して発動! そのモンスターのコントロールを奪い、ランクの1つ高いモンスターへと、ランクアップさせる!」

 

「まさか……読まれていたのはこちらか……」

 

「私はあなたに奪われたブレイズファルコンを取り戻し、素材とする!」

 

先ほどまで光に囚われていたブレイズファルコンは再び元の姿で主の姿に戻ると、業火に包まれる。

 

「誇り高きハヤブサよ。英雄の血潮に染まる翼翻し、革命の道を突き進め!」

 

そして瑠璃は握り拳を振り上げた。

 

「ランクアップ、エクシーズチェンジ!」

 

業火の中より現れたのは、黒咲隼にもっとも数多くの勝利を捧げた革命の隼。

 

「現れよ! ランク6、レイドラプターズ、レヴォリューションファルコン!」

 

RR-レヴォリューション・ファルコン 攻撃表示

ATK2000/DEF3000

 

「どうする? 攻撃する?」

 

「いや……」

 

ハルトは瑠璃の誘いには乗らない。現れたエースモンスターの驚異の効果を知っていたから。

 

「レヴォリューションファルコンは、特殊召喚したモンスターと戦闘を行うとき、戦闘する相手モンスターの攻撃力を0にする……、サイファードラゴンじゃ勝てない……」

 

ハルトの手札はもうない。これ以上の攻撃は不可能だった。

 

自分の考えを読まれたことで勝利を逃した。そのあまりにも恥ずかしい事実を生んでしまったことが悔しく、拳を握った。

 

「私の友達を殺そうなんて事を言った貴方は許されない!」

 

在りし日の兄ような鋭い目で、ハルトを睨む。そして皮肉を込めて言い放った。

 

「懺悔の用意はできているか?」

 

「く……」

 

ハルト LP2900 手札0枚

モンスター ⑥ 銀河眼の光波竜

魔法罠 伏せ1

 

フィールド

 

(ハルト)

□ ■ □     魔法罠ゾーン

□ □ □     メインモンスターゾーン

⑥   ⑦     EXモンスターゾーン 

□ □ □     メインモンスターゾーン

□ □ □     魔法罠ゾーン

(瑠璃)

 

ターン6

 

「私のターン!」

 

瑠璃はカードをドローした。

 

瑠璃 LP1000 手札1枚

モンスター ⑦ RR-レヴォリューションファルコン

魔法罠

 

「レヴォリューションファルコンの効果! このカードがレイドラプターズエクシーズモンスターを素材にしているとき、1ターンに1度、相手モンスターを対象にして発動する。そのモンスターを破壊し、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える! サイファードラゴンを破壊!」

 

黒い隼は飛翔する。そして空中から炸裂弾を雨のように降らし始める。サイファードラゴンは、ハルトを庇うようにハルトのDボードの上へと飛び、爆撃をすべて受けていく。

 

「1500のダメージを受けてもらう!」

 

爆風がハルトを襲った。

 

「ぐ……ああああ!」

 

ハルト LP2900→1400

 

「あっついな……」

 

しかし、止めは刺しきれていない。その証拠に、爆炎から生還したハルトの近くには再びあの竜が姿を現していた。

 

「墓地のランクアップマジック。ライトニングアセンションの効果。光属性エクシーズモンスターが破壊されたとき、このカードを除外。破壊されたモンスター以外で、墓地の光属性モンスター1体を特殊召喚する。僕はギャラクシーギャラクシーアイズフォトンドラゴンを特殊召喚!」

 

銀河眼の光子竜 攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

しかし、もはや瑠璃は恐れていない。なぜなら、勝利への道筋がすでに整っていたからだ。

 

「スキル発動! 風鳥花月の加護。デッキから、『恵みの風』『天舞う鳥』『彩りの花』『天照す月』のうち、1枚を選択し手札に加える! 私は、天舞う鳥を手札に加え、永続魔法、天舞う鳥を発動!」

 

瑠璃は今でも覚えている。ハートランドでアルターに敗れ、惨めに死ぬしかなかったところに舞い降りた奇跡。柊柚子が己の肉体の中に魂を封じ込めることで命を繋ぎとめたあの瞬間。生きていること、生かしてもらったことに感謝した。

 

「天舞う鳥は、フィールド上に、鳥獣族エクシーズモンスターが存在するときに発動できる! 1つ目の効果。自分フィールドの鳥獣族モンスターの攻撃力を600アップする。2つ目の効果。お互いのバトルフェイズ、相手フィールドで表側表示のカード効果が無効になる! 3つ目の効果。メインフェイズ1に、自分フィールドにモンスターが存在しないとき、墓地のモンスターを素材に、鳥獣族エクシーズモンスターをエクシーズ召喚できる。4つ目の効果。『恵みの風』『彩りの花』『天照す月』が同時にフィールド上に存在するとき、このカードと、その3枚をデッキへ戻す。相手の手札、フィールド、墓地のカードをすべてデッキに戻し、戻したカード1枚につき100ポイントのダメージを与える」

 

RR-レヴォリューションファルコン ATK2000→2600

 

「それが僕の竜への対策というわけか。スキルでいつでもサーチできるからこそ、君はスピードデュエルに勝負を賭けた」

 

「そう。私があなたに勝つための策。これで恐れ入って頂戴。バトル!」

 

革命の道は拓かれた。

 

黒の隼は、真の力を解放し、銀河の力を破壊する。

 

瑠璃は宣言する。

 

「レヴォリューションファルコンで、ギャラクシーアイズフォトンドラゴンを攻撃! レヴォリューショナル……エアレイド!」

 

隼は自らに内蔵されたパワーで突風を発生させた。その風で銀河眼の竜は体勢を崩す。

 

「レヴォリューションファルコンの効果! 特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時、その攻撃力を0にする!」

 

銀河眼の光子竜 ATK3000→0

 

「天舞う鳥の効果で、ギャラクシーアイズは逃げられない! その効果は無効化されている!」

 

真実を受け入れたくないという心と、変えられない己の未熟さに怒りを露わにするハルト。

 

「革命の火に焼かれて、散れ!」

 

瑠璃は自身最高の1撃をこの言葉で飾った。

 

――しかし。

 

ハルトはエクシーズ世界最強のデッキを受け継いだ決闘者。

 

ただでは負けなかった。

 

「僕は負けない。多くを殺してきた。だからこそもう引き返せない。僕は誓った。兄さんを助け、エクシーズ世界を滅ぼしたあいつを地獄に叩き落すまで、情けも、容赦もかけず、どんな罪を背負ってでも勝ち続けると! トラップカード! フォトン・リベンジ・ストリーム!」

 

これがハルトの最後の1枚。今のハルトが出せる最後の力。

 

「自分フィールド上のドラゴン族、光属性モンスターが戦闘を行うダメージ計算前、戦闘する相手モンスターと攻撃力を同じにする! これにより下げられたギャラクシーアイズの攻撃力はレヴォリューションファルコンと同じになる!」

 

銀河眼の光子竜 ATK0→2600

 

「迎え撃て、ギャラクシーアイズ!」

 

竜は放った。その光子を凝縮したレーザーを。

 

黒い隼はその中に迷いなく飛び込む。

 

外装は徐々に光に侵食し破壊されていく。しかし隼は止まらない。なんとしてでもあの竜を倒す。その鉄の意志と鋼の強さをもって。

 

朽ちてゆく体で、それでもなお進むことをやめない隼。ついにその欠けた翼は、光子の奔流を斬り裂き、竜へとぶつかった。

 

隼には最早攻撃を行うだけの力はない。竜に激突した瞬間。己の最期の力をもって、自爆を選択した。

 

次の瞬間大きな爆発が起こった。お互いのエースモンスターがともに散った瞬間だった。

 

(引き分け)RR-レヴォリューションファルコン ATK2600 VS 銀河眼の光子竜 ATK2600 (引き分け)

 

爆風によりバランスを崩した二人だったが、何とか耐える。

 

しかしハルトにも、瑠璃にも、もはや次の1手は残されていない。

 

「く……」

 

「……兄さんが、隼と戦うと毎回辛勝だったって言ってたけど、身をもって体感したよ……」

 

「とど……かなかった……」

 

瑠璃は俯いた。通らなかったことに愕然としている。それだけ、瑠璃にとっては勝負を賭けた1撃だったのだ。

 

「ターン……エンド……」

 

そしてハルトは瑠璃に対して非情な一言を告げる。

 

「リベンジフォトンストリームを発動したターンのエンドフェイズ。僕はデッキからギャラクシーと名のつくカードを1枚手札に加える。僕はギャラクシークラウドドラゴンを手札に加える」

 

「く……!」

 

瑠璃の手札には、魔法カード、『RUM-デヴォーションフォース』が握られていた。

 

瑠璃は言いようのない絶望を味わっていた。

 

瑠璃 LP1000 手札1枚

モンスター 

魔法罠 ⑧永続魔法『天舞う鳥』 

 

フィールド

 

(ハルト)

□ □ □     魔法罠ゾーン

□ □ □     メインモンスターゾーン

□   □     EXモンスターゾーン 

□ □ □     メインモンスターゾーン

□ ⑧ □     魔法罠ゾーン

(瑠璃)

 

 

ターン7

 

 

「僕のターン、ドロー」

 

幕引きは静かに。ハルトは先ほどまでの荒ぶる心を押さえて静かにカードを引いた。

 

ハルト LP1400 手札2枚

モンスター

魔法罠

 

「ギャラクシークラウドドラゴンを召喚」

 

現れたのは、竜の赤子だった。

 

銀河眼の雲篭 攻撃表示

ATK300/DEF250

 

「効果。このカードをリリースして発動する。手札、墓地からこのカード以外のギャラクシーアイズ1体を特殊召喚する。僕は、ギャラクシーアイズフォトンドラゴンを特殊召喚」

 

赤子は強力な光を放ち、墓地への扉を開く。そして中から、その竜は現れた。

 

銀河眼の光子竜 攻撃表示

ATK3000/DEF2500

 

「あ……あああ……」

 

「瑠璃。デュエルで勝った方が正義だ。僕は僕のやり方で兄さんを、そして故郷を救う」

 

瑠璃を指さし、ハルトは勝利宣言を行った。

 

「バトル。ギャラクシーアイズフォトンドラゴンで、黒咲瑠璃へダイレクトアタック!」

 

竜の口元に光が集まっていく。

 

「瑠璃!」

 

悲鳴のように叫んだユートの声は、もはや瑠璃には届いていなかった。

 

「破滅のフォトン……ストリーム!」

 

圧倒的な光の奔流が、瑠璃を飲み込んだ。

 

瑠璃は受けた攻撃、そこから発生する痛みに耐えきれず意識を失った。それは言葉を出す暇もない一瞬のことだった。

 

瑠璃 LP1000→0

 

瑠璃は落ちていく。

 

それを捕まえようと、瑠璃が仲間と言ったチームメイトたちは全員がDボードで駆け寄っていく。しかし、その墜落を受け止めるのには間に合わない。

 

次の瞬間。

 

瑠璃のブレスレットが光を放ち、目をくらませた。

 

そして、次の瞬間。

 

そこに瑠璃はいなかった。そこに居たのは、桃色の髪をした瑠璃によく似た少女だった。

 

「柚子……!」

 

ユートが語る。

 

しかし、

 

「危ない!」

 

遊介の警告は一瞬遅かった。後ろから迫ったハルトに捕まる。

 

「あなたは……」

 

驚く柚子に対して、

 

「お前も殺す。だがしばらくの間は、人質になってもらうぞ」

 

と穏便では済まない脅迫を行うと、ハルトは遊介に対し、

 

「今日は疲れた。退かせてもらう。……お前が本当に瑠璃の仲間だと言い張るのなら、取り返して見せろ。ユグドミレニアスのセブンスターズの間を近いうちに手に入れる。お前をそこで待っていることにする」

 

宣戦布告をした。

 

「次はお前だ!」

 

そう言い残し、柚子を持って、神殿へと向かって行った。

 

「ユート……遊矢……!」

 

柚子は、自分の救世主と信じた彼らの名前を確かに言った。

 

「柚子……柚子!」

 

ユートは去っていくハルトを追いかける。そして遊介たちもユートについて行く。

 

しかし、不幸というものは重なるものだ。

 

街の生命が狩りつくされているという状況を見た天使たちが、ユグドミレニアスの住民以外を抹殺するべく天界から降りてきたのだ。

 

その数100、それもハルトではなく遊介たちのみを狙い始める。

 

「柚子!」

 

ユートはそれでも進もうとするが、100人の壁が立ちふさがった。

 

「ユート! このまま行くのは無理だ!」

 

「だが! 俺は!」

 

「突っ込んで双にかできる数じゃない。助ける機会もなく死ぬぞ!」

 

「だが俺は柚子を!」

 

理性が飛んでしまっているユートを止めたのは、いかつい頼れるお兄さん。マイケルはユートの前に来ると、ユートを無理やり持ち上げた。

 

「撤退だぁ!」

 

「離せ!」

 

「暴れんなよ、小僧!」

 

マイケルの言葉に異を唱える人間はユート以外存在しない。マイケルは思ったよりも力が強く、ユートを力づくで抑え込んでいた。

 

「遊介! ブルームガール! 何人か来るぞ!」

 

「分かった!」

 

「任せて!」

 

天使の襲撃に遊介は構える。しかし、実際その心の中は、とんでもない責任感の重圧を感じていた。

 

(信じて送り出した。その結果瑠璃を痛い目に遭わせた……。そして次は俺。俺が行かないと瑠璃が、そして、ユートが柚子と呼んでいた少女が死ぬかもしれない……。全部俺が……)

 

遊介はこれまでの戦い、否、これまでの生涯において最大級の壁が現れていたことを今実感したのだ。

 




????「瑠璃ィィィィィ!」
今回の結果は、????さんが見たらどんな反応をしてしまうのか。そんな決着になりました。
ハルト、そして瑠璃の戦いはいかがだったでしょうか。楽しんでもらえたら1番だと考えています。ちなみに、ところどころ原作と口上を少し変えている召喚もあります。それは意図的に行っているものなので、ご安心ください。

お互いが実力者であることを示すにはどんな戦いにするべきか非常に悩んだ結果が今回のデュエルの展開です。残念ながら作者の遊戯王に関する知識とデュエル展開能力が追いついていない場面がありました。オリジナルカードは普段多くても2枚程度にしていたのですが、今回は作者の力不足を補うためにたっぷり登場してしまいました。これからもっと精進していきたいと思います。

イベント戦がとんでもない展開になりましたね。
作者的に、この遊戯王は12、13話につき、ボスを1人置いていくスタイルになっています。最初のボスはハルト君です。遊介がどのようにして彼と戦うのか注目です。

そんなことを言いながら次回は別の人が出ます。
宣言通り、次回こそはエクシーズではない人が出る予定です。
次回9話「誇り高き王者」お楽しみに!
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