遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』 作:femania
後編はいよいよデュエルです。
ハルトVS遊介のデュエルをお楽しみください。
(前編の続き)
ターン1
「僕が先攻だ」
ハルトが宣言し、己のカードを見定める。
ハルト LP8000 手札5
モンスター
魔法罠
(ハルト)
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
「ギャラクシーアイズ、クラウドドラゴンを召喚」
最初に出したのは、以前瑠璃を倒すための最後の1手になった小さな竜。しかし、その竜はすぐに青い粒子になって、槍に姿を変える。
「効果。このカードをリリース。手札、もしくは墓地から、このモンスター以外のギャラクシーアイズ1体を特殊召喚する」
そしてハルトはその槍を天空へと投げ上げる。
「闇に輝く銀河よ。光の化身となりて、我が僕に宿れ! 降臨せよ、我が魂!」
そして現れたのは、瑠璃を徹底的に追い詰めた銀河眼の竜。
銀河眼の光子竜 レベル8 攻撃表示
ATK3000/DEF2500
「僕はカードを2枚伏せてターンエンド」
最初の行動はまだ穏やかだった。しかしそれは瑠璃の時と同じく、容赦なく敵を潰すための準備であることを遊介は分かっていた。
「さあ、来い」
ハルトは遊介を挑発する。
(く……もう来たのか……)
目の前に現れたすさまじい威圧を放つ竜に、遊介の目が険しくなる。
ハルト LP8000 手札1
モンスター ① 銀河眼の光子竜
魔法罠 伏せ2
(ハルト)
□ ■ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ ① □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
ターン2
「俺のターン。ドロー!」
遊介の最初のターン。ハルトを睨み、そして場をしっかりと確認する。緊張しているからか、いつも以上にフィールドを見て、手札を見て、最初の攻撃の方法を丁寧に決めた。
遊介 LP8000 手札6
モンスター
魔法罠
「手札のスタックリバイバーを墓地へ送り、ビットルーパーは手札から特殊召喚!」
遊介の場に最初に現れたのは白い槍を持ったサイバースの騎士。
ビットルーパー レベル4 攻撃表示
ATK1500/DEF2000
「そして、サイバースガジェットを通常召喚!」
そして、ビットルーパーと同じほどの大きさで、似た体形のサイバースが現れる。
サイバース・ガジェット レベル4 攻撃表示
ATK1400/DEF300
「サイバースガジェットの効果! 召喚に成功した時、墓地のレベル2以下のモンスターを守備表示で特殊召喚する。俺は墓地のスタックリバイバーを特殊召喚!」
そして、墓地へ続くゲートが開き、その中から先ほど手札から墓地へ送ったモンスターが現れる。
スタックリバイバー レベル2 攻撃表示
ATK100/DEF600
「現れろ。未来を導くサーキット」
3体のモンスターを召喚してすぐに、リンク召喚の合図を出す。
「召喚条件は効果モンスター2体以上。俺はビットルーパー、サイバースガジェット、スタックリバイバーの3体をリンクマーカーにセット!」
遊介の場にいる3体は、上空に現れたサーキットにむけて飛び立つ。それぞれが、リンクマーカーの上、左下、右下に着弾して、サーキットは輝いた。
「サーキットコンバイン! リンク召喚、来い! デコードトーカー!」
現れたのは、遊介の戦いの先陣を切るにふさわしい、紫の剣を持ったサイバースの戦士。
デコード・トーカー
リンクマーカー 上 左下 右下
ATK2300/LINK3
遊介はその後ろ姿を見て、少し安心する。
その効果もあってか、この先のカード効果を語るときに舌を噛まずに済んだ。
「そして、スタックリバイバーの効果。俺このカードを素材としてリンク召喚した場合、同時に素材にしたレベル4以下のサイバースモンスター1体を墓地から守備表示で特殊召喚する。俺はサイバースガジェットを特殊召喚できる」
サイバース・ガジェット レベル4 守備表示
ATK1400/DEF300
「さらに、サイバースガジェットが墓地へ送られた場合、俺のフィールド上に、ガジェットトークンを特殊召喚できる」
ガジェット・トークン レベル2 守備表示
ATK0/DEF0
しかし、デコードトーカーのリンク先に、今召喚したモンスターを置くことはなかった。
ハルトはそれに驚いた様子はない。
(まあ、この程度で揺さぶりはかけられないか)
遊介は、この戦いに全力を注ぐと決めている。意外な行動をして揺さぶりをかけて、相手のプレイングに影響を与えられるのならば良いと思ったが故の行動だった。
そしてそれはもちろん遊介のプレイングミスではない。
「現れろ、未来を導くサーキット!」
遊介は天空へ受けて手を伸ばす。その先に、新たな召喚サーキットが現れる。
「召喚条件はサイバースモンスター2体。俺はサイバースガジェット、ガジェットトークンをリンクマーカーにセット。リンク召喚、リンク2、フレイムアドミニスター!」
光った召喚ゲートから現れたのはロボットのような見た目の赤いサイバースモンスターだった
フレイムアドミニスター
リンクマーカー 左 右下
ATK1200/LINK2
「デコードトーカーの右下リンク先にフレイムアドミニスターを置いている。デコードトーカーは、リンク先のモンスター1体につき攻撃力が500アップする。さらに、フレイムアドミニスターが存在する限り、自分フィールド上のリンクモンスターの攻撃力は800アップ!」
デコード・トーカー ATK2300→3600
フレイムアドミニスター ATK1200→2000
ハルトは、この連続召喚でも動じない。それもそのはず、ギャラクシーアイズは攻撃力が上のモンスターと戦闘を行っても、自らと相手モンスターを除外する効果で、破壊を免れる効果を持っている。
しかし、それでもフレイムアドミニスターの攻撃で2000ダメージは通る。
しかし、遊介にはこの状況も織り込み済みであった。ハルトを追い詰めるために、デッキに投入したカードがちょうどよく手札にあった幸運に感謝し、優柔不断は無しで徹底的に使っていくことにした。
「攻撃はしない」
「……ほう」
はじめて、ハルトが遊介の行動に興味を示した。遊介は直接次に使うカードを突き出し、そすてディスクで発動宣言を行った。
「魔法カード、『サイバースショック』! フィールド上にサイバースリンクモンスターが2体以上存在するとき、その中で最も攻撃力の高いリンクモンスターの攻撃力分のダメージを与える。俺のフィールド上のリンクモンスターの中で、最も攻撃力が高いのは、デコードトーカーの攻撃力3600!」
デコードトーカーは魔法カードの力を宿した剣を掲げ、紫の斬撃波を放った。その斬撃波はハルトを押しつぶすように直撃し炸裂した。
「ぐ……」
その衝撃はハルトを無理やり五歩分奥まで押し飛ばした。確かに攻撃は通ったのだ。
ハルト LP8000→5400
「このカードの効果を発動したターン攻撃を行うことはできない。俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」
手札0。本来であれば手札に奥の手を残しておくことも考えなければならない。しかし、そんな余裕はないと判断している。
「……先制の攻撃を成功させた程度で思い上がるな」
「思い上がってはない。俺は全力でお前を倒そうとしているんだ」
「そうか。だが、お前は勝てない」
ハルトは一瞬ふらついたが、すぐに体勢を立て直す。
「なぜなら俺は絶対に負けないからだ」
余裕の態度は未だ崩すには至らなかった。
(まだまだ、始まったばかりだな……)
遊介は油断しないように己に気を使いながら、そのターンを終える。
遊介 LP8000 手札0
モンスター ② デコード・トーカー ③ フレイムアドミニスター
魔法罠 伏せ2
(ハルト)
□ ■ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ ① □ □ メインモンスターゾーン
□ ② EXモンスターゾーン
□ □ □ □ ③ メインモンスターゾーン
□ □ ■ ■ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
ハルトの目はまるで遊介を、誰かの仇のように見るハルト。
遊介はふと気になった。ハルトの動機は確かに遊介は頷けなくはないものの、それだけでは語れないような怒りが宿っているように思えたのだ。
「一つ聞きたい。なんで俺をそこまで敵視する?」
「その問いに意味はない。問いというのは情報を得るために行うものだ。その情報を活かすために行うものだ。ここで死ぬ貴様に答えることなど何もない」
「俺はそんなに信用ならない顔か?」
「そんなことは関係ない。僕はこれから先、何も失わないために、あらゆる外敵を差別なく排除する」
ハルトとのまともな会話はもはや不可能なことを示した。
ターン3
「僕のターン!」
ハルトがカードをドローして、デュエルの続きを強行する。それは戦いの中断は許さないという意思表示。
ハルト LP5400 手札2
モンスター ① 銀河眼の光子竜
魔法罠 伏せ2
今引いたカードを確認した瞬間、
「今からお前を潰す」
その殺気を倍加させて、新たなカードをディスクに置いた。
「ギャラクシーウィザードを召喚」
現れたのは、宇宙を思わせるローブを来た魔術師。
銀河の魔導師 レベル4 攻撃表示
ATK0/DEF1800
(レベル4……)
エクシーズモンスターは同じレベルでないと呼ばれない。遊介のその安堵は一瞬で消される。
「ギャラクシーウィザードは、1ターン1度、ターン終了時までレベルを4つ上げる」
「な……」
銀河の魔導師 レベル4→8
「何を驚いている。まさかフォトンドラゴンで長々と戦っていくと思うのか?」
ハルトは手を前に突き出した。それは新たなエースを出す合図だった。
「俺はレベル8のギャラクシーアイズとウィザードでオーバーレイ!」
2体のレベル8モンスターが空中に現れた黒い渦の中へ、黄色の光となって吸い込まれていく。
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!」
渦が収縮し、新たな力が覚醒する爆発を起こす。
「宇宙を貫く雄叫びよ、遥かなる時を遡り、銀河の源より蘇れ! 顕現せよ、ナンバーズ107! ギャラクシーアイズタキオンドラゴン!」
爆発の中から現れたのは新たな銀河眼を持つ竜。青い光子竜に対し紫の光と黒の体躯が特徴の巨大な竜だった。
NO.107 銀河眼の時空竜 ランク8 攻撃表示
ATK3000/DEF2500
「さあ、行くぞ! バトルフェイズ開始時、俺はタキオンのオーバーレイユニット1つを使う。このカード以外の表側表示モンスターの効果はすべて無効化され、その攻撃力、守備力は元々の数値となる!」
「なに……」
遊介のモンスターは一気に弱体化し、その攻撃力は相手の竜の攻撃を通す数値へと落ち込んでいく。
デコード・トーカー ATK3600→2300
フレイム・アドミニスター ATK2000→1200
(まずい……)
遊介はここでデコード・トーカーを失うわけにはいかなかった。ここでモンスターをすべて失っては、次のターンに戦うことが厳しくなってしまう。
「バトルだ! ギャラクシーアイズタキオンドラゴンで、デコードトーカーを攻撃! 殲滅のタキオンスパイラル!」
時空竜の口にすさまじいエネルギーが集約され、そして破壊の咆哮が放たれる。
「トラップ発動。『パラレルポート・アーマー』! 自分フィールド上のリンクモンスター1体の装備カードとして装備! そのモンスターは相手の効果の対象にならず、戦闘では破壊されない」
(勝)銀河眼の時空竜 ATK3000 VS デコード・トーカー ATK2300 (負)
デコードトーカーは剣の腹で圧倒的な破壊の力を受ける。その衝撃が遊介に襲い掛かる。
たった700ダメージ。しかし、
「ぐ……があ!」
全身に電撃が走ったような痛みを遊介は感じる。膝をつきそうになるところを何とか耐えた。
遊介 LP8000→7300
「何とか……」
この程度で済んだ。と言おうとした遊介にハルトは告げる。
「この程度で終わったと?」
「何……?」
遊介は上空にいるはずの時空竜を見る。
その姿は逆三角錐のような形に変形していた。
「タキオントランスミグレイション!」
時空竜の変形後と思われる物体から、七色の放射状の光が放たれる。その瞬間体が凄まじい違和感を訴えるのを遊介は感じる。
その違和感を説明することはなく、ハルトはタキオンドラゴンの効果を説明する。
「バトルフェイズ中に相手のカード効果が発動する度、このカードの攻撃力を1000アップし、このカードは1ターンに2度攻撃できる」
NO.107 銀河眼の時空竜 ATK3000→4000
「2回……!」
「さて……もう一度だ」
光は収まった。そしてすでに逆三角錐の物体はなくなっていて、再び時空竜は攻撃の準備を始めていた。その姿は先ほどと全く同じ動きで、まるで、時を遡ったかのような感覚を遊介は得た。
ハルトは指さす。次は赤い体を持つ遊介のモンスターを。
「タキオンドラゴン。フレイムアドミニスターを攻撃! 殲滅の……」
再び殲滅と言うにふさわしいエネルギーが時空竜に集まっていく。遊介に防ぐ手立てはない。次の攻撃は確実に受けなければならない。
「タキオンスパイラル!」
放たれた破壊光線は、フレイムアドミニスターを軽々飲み込み、光線は遊介へと、流れていく。
(勝)銀河眼の時空竜 ATK4000 VS デコード・トーカー ATK1200 (負)
光に覆われた遊介に待っていたのは、全身を焼き尽くされるかのような想像を絶する痛み。
「が……ああああああ!」
叫ばずにはいられない。叫ばないと神経が焼き切れるのではないかと錯覚するほどの激痛が遊介を襲った。
遊介 LP7300→4500
すでに遊介の残りライフは半分に迫っている。すでに体の限界を示そうと、頭痛がサレンダーを訴えている。
(だめだ……だめだ!)
それでも遊介は立ち上がり、体勢を立て直した。
「立ち上がるか。まあ、この程度で殺せるはずないか。薄汚い裏切者と同じ貴様は」
「何の話だ……」
「知る必要はない。俺はこれでターンエンド!」
その瞬間、時空竜の攻撃力が戻るのを遊介は確認した。
NO.107 銀河眼の時空竜 ATK4000→3000
ハルト LP5400 手札1
モンスター ④ 銀河眼の時空竜
魔法罠 伏せ2
(ハルト)
□ ■ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
④ ② EXモンスターゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ ■ ⑤ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
(強い……)
心配そうな目で己を見る瑠璃とユート。それは仕方がないことだと遊介は納得している。この状況は客観的に遊介が不利であることを示している。
「まだ……ここから逆転させてもらう!」
ハルトは意気消沈しない遊介を蔑むような目で見ていた。
ターン4
「俺のターン! ドロー」
体を動かすたびにしびれが走る。遊介はそれを気合で克服しカードを握った。そのカードはまだ遊介に絶望するには早いことを伝える。
遊介 LP4500 手札1
モンスター ② デコード・トーカー
魔法罠 ⑤ パラレルポート・アーマー 伏せ1
「装備魔法カード、『サイバース・アナイレーション』をデコードトーカーに装備!」
このカードは遊介が戦闘力が低い常に言われていたその弱点を補うためにイベント戦対策で入れていたカード。ついに使うことができたことに少しの満足感を得るが、すぐに気を引き締め直す。
「遊介。それは……」
このカードはユートに入れることを勧められたカードでもあり、ユートが反応を示すのも無理はない。
「そうか……そのカードなら倒せるな」
ユートの宣言通り、このカードは攻撃力が高かろうと関係ない。
「この装備魔法を装備したモンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ、戦闘を行う相手モンスターと同じになる」
その説明をした時点で、ハルトには遊介の考えを悟った。
「なるほど。今のデコードトーカーはパラレルポートアーマーの効果で戦闘では破壊されない。つまり、今のデコードトーカーは、戦闘時に攻撃力を同じにして、しかも自分は破壊されないという戦闘では無敵の存在になったわけだ」
「行くぞ! バトルだ!」
伏せカード2枚。しかし遊介にこのこうげきを迷うほどの余裕はない。
「デコードトーカーで、ギャラクシーアイズタキオンドラゴンを攻撃!」
デコードトーカーは装備魔法の力を得て、竜を倒すドラゴンスレイヤーとなった。その一撃は確実に時空竜を葬り去る。
――あくまで、このままいけばの話だが。
ハルトはその攻撃を易々と通しはしない。
すでにこの瞬間を予期していたかのように、伏せたカードを発動する。
「速攻魔法。『RUM-エスケープ・フォース』! 自分フィールド上のエクシーズモンスターが攻撃対象に選ばれた時、その攻撃を無効にする!」
「なに……」
自分の逆転の一手を防がれ、遊介は落ち込む。しかし、それよりも恐ろしいことが起こることも遊介は自覚していた。なぜなら、発動していたのは、エクシーズモンスターを進化させる魔法だったのだから。
「さらに、攻撃されていたモンスターを素材に、ランクが1つ高いモンスターをエクシーズ召喚する! タキオンドラゴン! ランクアップエクシーズチェンジ!」
「く……!」
「貴様に僕のモンスターを破壊などさせはしない。お前は蹂躙される。次に現れる真のギャラクシーアイズの力を宿す僕の切り札によって」
「真の……?」
時空竜は光となって天空へと駆けあがる。そして混沌の渦の中へと飛び込み、この戦闘場を包み込む光の柱を発生させる。
ハルトは叫ぶ。その名を。その竜が何たるかを。
「逆巻く銀河を貫いて、時の生ずる前より蘇れ、永遠を超える竜の星! 現れろ! カオスナンバーズ107! ネオギャラクシーアイズタキオンドラゴン!」
光の柱に塗りつぶされていた遊介の視力が回復する。
その目に映ったのは、時空竜を超える力を持ち、目の前にいるだけで恐怖を感じずにはいられない黄金の三つ首の竜。それはまさしく圧倒的存在だった。
CNo.107 銀河眼の時空竜 ランク9 攻撃表示
ATK4500/DEF3000
「あ……ああ……」
遊介は感じてしまった。
(ヤバい……あいつはヤバい……!)
何とかしなければ確実に負けてしまうと、言葉にならずとも感じ取った。しかし、今の遊介にあのモンスターを倒す方法はない。
「た……ターンエンド……」
不本意にも、そう宣言するしかないのだ。
「愚かな顔だな……」
「く……」
「今にも血反吐を吐きそうな顔だ。そろそろ理解した方がいい」
何を、という問いは遊介から生まれなかった。
黄金の竜が出た時点で、希望を持って遊介を見守っていたユートも瑠璃も、焦りを隠せない。
「遊介……」
瑠璃は今にも泣きそうな顔をしていた。
遊介 LP4500 手札0
モンスター ② デコード・トーカー
魔法罠 ⑤ パラレルポート・アーマー ⑥ サイバース・アナイレーション
(ハルト)
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
⑦ ② EXモンスターゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ ⑥ ■ ⑤ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
ターン5
「僕のターン。ドロー!」
ハルト LP5400
ハルトは引いたカードを見て、一応の納得を示すと、遊介を睨む。
「今からネオタキオンの真の力を解放しよう。それで、お前の戦いを支えるそのモンスターを消し炭にしてやる」
(まじか……)
遊介はここで傲慢におのれのカード効果を信じたりはしない。ネオタキオンの真の力を遊介は知っているからだ。
(大丈夫……大丈夫……まだ負けてない……恐れるな!)
しかし遊介は体の震えが止まらなかった。
(まだ負けない。まだ負けない! 何をそんなに怖がってるんだ俺!)
必死に自分を元気づけても、震えは止まらなかった。
ハルトはそんあプルプル震える遊介を見て、
「……雑魚め」
と蔑むだけだった。そして、黄金の時空竜の力を解放する宣言をハルト行う。
「ネオタキオンの効果! オーバーレイユニット1つを取り除き発動する。このカード以外のフィールド上の表側表示のカード効果はターン終了時まで無効化される。そしてこのターン相手はフィールド上の効果を発動できない。タイムタイラント!」
黄金の竜から、先ほどの時空竜を超えるほどの光が放たれる。そして遊介は自らの恐怖が増していくのを感じる。
(あ……)
その巨大な体ももちろん恐ろしい。しかし、何より恐ろしいのは、4500という攻撃力を持つ竜からの攻撃を受けたら、それはどれほどの痛みをフィードバックするか?
遊介はそれが怖かった。無意識に恐怖を感じていたことに今気づいた。
光の放射が終わり、攻撃の体勢に竜が変わっていく。
「これで、お前の罠も装備魔法も効果を使えない。バトルだ」
戦闘の宣言が来た。遊介の呼吸が荒くなる。
(来る……来る……)
それ以外、頭の中で遊介は考えられなかった。
「破壊するのに時間がかかったが、これでデコードも破壊される。ネオギャラクシーアイズタキオンドラゴン、アルティメットタキオンスパイラル!」
三つ首から放たれたのは黄金の炎。すべてを破壊する究極の一撃。
(勝)CNo.107 銀河眼の時空竜 ATK4500 VS デコード・トーカー ATK2300 (負)
デコードトーカーは焼き尽くされ、勢い衰えぬ破壊の濁流は遊介を巻き込んでいった。
初日。ブルーアイズホワイトドラゴンの攻撃を受けた時、全身を焼き尽くされるような感覚を感じたのを遊介は覚えている。
しかし、この攻撃はそれをも超えていた。
「が……ああああああああ!」
自分が溶かされバラバラになるような感覚を遊介は抱え、叫ばずにはいられなかった。
『死』を本気で意識した。
遊介 LP4500→2300
今回はここまでです!
遊介VSハルトの戦いは次回まで続きます。
裏話を少しすると、ハルト君は自分のことを『僕』と言いますが、いつもの癖で『俺』と書くことが多く執筆中その修正が大変です。
間違いが無いように意識していますが、ありましたら随時訂正していきます。
あとがきは短めで。語りたいことは、デュエルの決着がついてからにしたいと思います。
今回はアニメ風次回予告でお別れしたいと思います。次回12話もお楽しみに!
(次回予告)
命を賭けて。誇りを賭けて。この世界では何かを失いながらでしか生きられない。しかし彼は違う。なにも失わないために、世界、迫る敵と戦い続ける。運命に立ち向かい続ける勇者を守るため、その竜は舞い降りた。
「俺には、絶対に負けられない理由が3つある!」
次回 遊戯王VRAINS―もう一人の『LINK VRAINS』の英雄― 「英雄の守護竜」 イントゥ・ザ・ブレインズ!