遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』   作:femania

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注意事項

・小説初心者で、連載小説初挑戦です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品なので、遊戯王アニメシリーズのキャラが登場することもありますが、設定が違うので元と性格や行動が違うことがあります。
・過去にアニメシリーズで使われていたデッキを本人ではなくこの作品のオリジナルキャラが使うことがあります。また、使用されるデッキはエースモンスターはそのままにデッキをアレンジしたものになっていることがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・人物描写はスキップしています。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・オリジナルのカードも使ってます。
・作品はほぼオリジナル展開です。

これでOKという人はお楽しみください!

このリンクブレインズでの戦いの真実が明らかに……なるかもしれない。


13話 戦いの真相

【27】

 

 

ブルームガールとマイケル、そしてエリーが戦闘場に現れた。

 

すでに体が動かない、ハルトと遊介を置いてことが進んでいる。ユートがフォトンハンドを解除し、瑠璃を監視する天使2人を始末し、瑠璃は救われた。

 

「遊介……!」

 

ブルームガールに抱きかかえられ、遊介は何とか座る姿勢まで回復する。

 

「ごめん。迷惑かけた……」

 

「勝ったんだね……」

 

「ああ。勝った」

 

「よかったぁ……」

 

ぎゅっと女の子に抱かれるのは遊介には初体験だった。あまりに急だったもので何と言えばいいか、とりあえず、

 

「あ、ありがとう……」

 

と言うのが精いっぱいだったのだ。

 

「こちらこそ。おかげでエリーも、光の世界の子どもたちも救われた。もうこの世界だけでも、デュエルで命を落とす人はいなくなった。だからエリーも助けられたよ」

 

そう。遊介は間に合ったかどうかと心配していたことが1つあった。エリーを助けられればいいと思ったのだ。だからこそ、すぐに倒れたい欲求を押さえてでも、設定を変えたのだ。

 

その結果は、今目の前にいる、妹と同じくらい可憐な少女を見て明らかだった。

 

「ありがとうございます」

 

頭を下げるエリーに遊介は、にっこりとほほ笑んだ。

 

ハルトはユートと瑠璃と話している。

 

「僕は……負けたな」

 

「ああ」

 

「僕は……兄さんの面子を汚した。エクシーズ最強を誇って、この世界で戦っていたのに」

 

「それは……」

 

返答に困るユートに対し、瑠璃は言う。

 

「ねえ。どうしても誰も信用できない……?」

 

それは、ハルトの過激ともとれるリスクコントロールに言及する。

 

「僕は……そうだね。だって、僕が見逃したせいで、誰かが傷ついたりいなくなったりするのが怖いんだ」

 

すでに死にそうな目で瑠璃を見る。

 

瑠璃は慰めるようにして言った。

 

「ハルト。私は、裏切られてもそれでいい。だって自分で信じたんだもん。それは自分のせい。あなたがそこまで非道になる理由が私たちだっていうのなら、これ以上無理はしないで」

 

「無理……」

 

「戦うの辛くない? だって、毎回痛い思いをしてたんでしょ?」

 

「それは……」

 

デュエルをする以上はLPが削られないということはない。ダメージはそのまま痛みとなってフィードバックされるこの世界で、ハルトはただ一人戦い続けた。

 

全ては故郷を救うため。そのために最速で勝利への道を、ヌメロンコードへの道を拓こうとしていた。

 

その代償も当然高かったのだ。

 

「ああ。痛かったよ」

 

「これからは私たちも協力する。全部を拒んで1人で大変な思いをするのはもう終わりにしよう……?」

 

普段のハルトにはこのような説得は通じない。

 

しかし。

 

今は、

 

「……ああ。こんな無様に負けたんだ。きっと、やりかたを間違えていた……かもしれないな」

 

と、静かに語るのだった。

 

戦闘場は穏やかな空気に包まれ、戦いの終わり感じさせる。

 

拍手が聞こえたのその時だった。

 

戦闘場の中央、いつの間にかそこに立っている白いスーツの男。

 

遊介はその男を知っている。奴は、自分をこの世界へいざなった男。

 

ハルトはその男を知っている。奴は己の故郷を滅ぼし、兄を倒した男。

 

アルター。

 

「素晴らしい戦いだった」

 

ハルト、瑠璃、ユートの目にすさまじい殺気が灯ったのが分かった。

 

遊介はその瞬間に分かった。エクシーズ世界の人間が持つ恨みの大きさを。

 

しかし、そんなことを気にも留めない彼は、

 

「君たちも僕に用があるのは知っているが。これはホログラムでね。ここに本来の僕はいない」

 

「何の用だ!」

 

「この戦いを楽しませてもらったお礼に、勝者である彼にこの戦いの真実を教えてあげようと思ってね?」

 

とだけ言うと、遊介に近づいていく。

 

「久しぶりだね?」

 

遊介は立ち上がれない。しかし睨みながら、その男との久しぶりの対談に臨む。

 

「お前……」

 

「俺が言ったこと。今では本当だと実感しているかな?」

 

それはリンクブレインズに入る前の夢の話をしていることはすぐにわかる。

 

「お前のせいひどい目にあった」

 

「楽しくはなかったか?」

 

「楽しいもんか。何度も死にかけた」

 

「ははは。充実しているようで結構結構」

 

「お前……」

 

話すのは2度目ながら、やはりこの男とは分かり合えないことがはっきりと分かる、

 

「まあ、そう言うな。今日はエリアマスターになった君に、とっておきのお知らせがあってな」

 

すると、遊介のデュエルディスクに二人の人間を映し出す。

 

「これは?」

 

「彩ちゃんと良助くん。良助君のプレイヤーネームは『まっつん』。彩ちゃんのプレイヤーネームは……聞いて驚くなよ? 『リボルバー』」

 

「リボルバー?」

 

遊介は一瞬だけ考えて、その名前がなんであるかに気がづく。

 

「1位の巨大組織のリーダー……」

 

「そうだ。2人はまだ生きている。まずは勝利の証として、2人の姿と生存を君に伝えよう」

 

それを聞いて一安心の深呼吸をした。

 

「良かった」

 

「良かったか……そう思えればいいのだがね」

 

「何が言いたいんだよ」

 

「いいや。それはいずれ知ることになるさ。今はまだ語るべき時ではない」

 

アルターはにこにこ笑って遊介に言う。

 

ブルームガールとマイケルが口を出した。

 

「この戦いの真実って?」

 

「ああそうか。まあ、チームメイトとして君にも伝えてあげよう。この戦いはそもそもなんのために行われているかは知っているか?」

 

アルターはじっとマイケルを見る。マイケルは慌てて目を逸らした。

 

「なんだよ……つれないなあ。まあいいや。では少し長い話になるから、心して聞いてくれ」

 

アルターは、ほぼ透明なカードの映像を出した。

 

「この戦いは何のために行われているか。それはヌメロンコードという、捧げられた供物に相応なあらゆる願いを叶えてくれる神の恵みと言うべき力を求めるための戦い。それは今映し出されている1枚のカードとして視認できるものでね。今はこの世界の天空の城、アーククレイドル、我がイリアステルのこの世界における本拠地に幽閉されている」

 

再びアルターは映像を見せた。二枚目は古代人がデュエルをしている光景。

 

「古来よりヌメロンコードはあらゆる平行世界のいずこかに現れて、その世界の使用者を求める。その世界で、最も己を使うにふさわしい人間を見極め、その使用者の願いを叶え、次の世界へと飛んで行く。それの繰り返しさ。ヌメロンコードの力はまさしく神の所業を成し遂げる。死者蘇生、時間渡航、過去事項への干渉、未来予知。あらゆる力をその世界の人間に与えることができる。では、ヌメロンコードは誰を使用者に選ぶか、そして供物とは何か?」

 

3枚目。2枚目に出てきている人間から魂のようなものが消えていく画像を見せられる。

 

「ヌメロンコードが求めるのは人の命。命を吸えば吸うほど、与える力は増大し、叶う願いの種類も多くなる。だが、命を吸うとはどういうことか。命とは不可視の存在であり、贄として捧げようにもどう捧げればいいかなど分かるはずもない。しかし、この世界にはある。命を数値に見立て、戦うことで命を放出するゲームが。そう、デュエルだ。デュエルによって削られたお互いのLPは供物となってヌメロンコードへと送られていく。デュエルとはヌメロンコードを起動させるための供物として命を捧げる儀式に他ならない」

 

4枚目。多くの人間が倒れているその先に立っている1人の人間が、ヌメロンコードを手にしている画像。

 

「そしてヌメロンコードとは、その世界で最優の戦士を使用者に決める。そして、その最も優れた戦士を決める為に。ヌメロンコードはあらゆるところから人間を集め、競い合わせる。今君たちがいるこの世界はまさにヌメロンコードの使用者を決めるための戦いの舞台。デュエリストが競い合い、生き残った者のみがその万能の力を手にする」

 

5枚目。そこにはアルターと同じ髪色をしている女の子の画像。

 

「我々イリアステルはその真実を知る者。そして、ヌメロンコードを手にし、願いを叶えるために、あらゆる世界に参上しては、その世界に現れたヌメロンコードを手に入れるために、戦争を起こした。イリアステルの誰かが最優の戦士であることを証明するために、その世界に戦争を仕掛け、命を供物として捧げるために、デュエルで命を落とす世界に変貌させ、その世界の人間に戦争を起こした。ユート、瑠璃、ハルト、君たちのエクシーズ世界、そしてそこにいるんだろうが……、ユーゴ、リン、そしてジャックのシンクロ世界、そしてユーリ、セレナの融合世界、そして、榊遊矢、柊柚子がいた、ペンデュラム世界、そこを滅ぼした次元戦争の真実は、我々イリアステルがヌメロンコードを手にするための戦争なんだよ。事実、その世界に現れたヌメロンコードはすべてこの俺が回収している」

 

6枚目に画像を変えようとしたアルター。

 

しかしその前にユートが叫ぶ。

 

「ふざけるな! 俺たちの世界はそんなことのために壊されたのか! 多くの人間はお前らの欲望のために壊されたのか!」

 

ハルトも何かを言おうとしたが、先ほどのデュエルの反動で何も言えなかった。しかし、その目は憎むべき敵に向けられるものだった。

 

「そうだよ」

 

アルターはにっこりとほほ笑んで答える。

 

「貴様……!」

 

「そう怒るな。だからこうやって君たちにもチャンスを与えているんじゃないか。厄介なことにヌメロンコードは一度使用されると次の世界で最も優れた人間を決めるまで何の反応もしてくれなくてね。我々イリアステルがこの世界のヌメロンコードの場所を知って城を構えたんだけど。結局儀式が終わるまで手は出せないし、万が一にも他の人に決まったら城にあっても俺には拒絶反応を起こされてしまうからね、城を構えた意味もない。君たちにもこの世界でヌメロンコードを手に入れるチャンスは十分にあるよ。もちろんヌメロンコードは動かないから、君たちがアーククレイドルに来る必要があるがね」

 

「そういう話をしているんじゃない! お前は俺達の世界のなんの罪もない人間を地獄に叩き落したんだ!」

 

「そうだよ。それが?」

 

悪びれようともしないアルターに殴りかかろうとするユート。しかし、ホログラム映像を殴ることなどできなかった。

 

「くそ……!」

 

「なんでそんな怒ってるんだ。あの世界では君たちにもチャンスがあった。ヌメロンコードを手に入れるチャンスが。あれはゲームだよ。単に命がかかっているだけで、報酬を手にするために戦うゲーム。退屈なんかしない最高のエンターテインメントじゃないか。俺は独善的に願いを叶えたりはしない。ゲームはやはり平等に権利があるべきだからね」

 

最高の笑顔で嬉しそうに語ったアルター。ユートの怒りがさらに倍加していく。

 

「おっと、話の続きをしなければね」

 

6枚目に現れた画像は、少女がアルターの腕に嬉しそうにしがみついているところだった。

 

「イリアステルの目的はただ1つ。かつて死んでしまった姫に幸せな人生を送ってもらうこと。姫と言っても俺の妹なんだけどね。これがとってもかわいいんだ。まさに天使。いや天使を超える愛らしさ。おっと、シスコンアピールはここまでにして、我々イリアステルは、病気のせいで3年しか生きられなかった彼女に、ヌメロンコードを使い多くの願いを叶えた。生き返らせ、病気をなかったことにし、たくさんのお友達を提供した。最近はホセのおじいちゃんが寿命を迎えてしまったのを見て、誰も死なない世界を作って欲しいと来た。全く我が儘なことだ。だから我々イリアステルはまたヌメロンコードを探した。そしてたどり着いたのがこの世界さ」

 

7枚目。誰もいない都市。

 

「しかし、そこは滅びた世界なのか、人間がいなかった。これではヌメロンコードを使用することはできない。供物がないからね。だが、俺はこれをチャンスだと思った。この世界を我々イリアステルの世界として、調整し、あらゆる世界から人間を呼び寄せることで、最大規模のゲームを開始できるのではないかと。だからこそ、すでに滅びた世界の生き残りにも招待状を送った。そして遊介くんたちの世界では、VR世界としてこの世界を紹介し、この世界に招き入れた。目論み通り、すでにこの世界は1つの世界として十分なほどの人が集まったよ。さらに盛り上げるために高精度のAIプログラムを搭載した疑似人間をこの世界の原住民として設置して、この光の世界のように、あらゆるところをファンタジーっぽく世界を改造してみたんだが、それでよりゲームらしくなったということだ。おかげで最高の世界ができた。広告に魅了されて今日も1万人がこの世界に来てくれたよ」

 

「まだ増えているのか……?」

 

「そうだよ遊介君。ゲームに途中参戦が禁止されているのはつまらないだろう?」

 

「お前……これ以上の被害者を増やす気か?」

 

「被害者、やめてくれよー。正しい言い方は参加者だ。そもそも人の命が大切という道徳観は、君たちの世界のものであって、平行世界にはそんな道徳観がない世界がある。道徳観の押しつけは何の面白みもない争いにしかならないからね」

 

アルターはまるで簡単な問答をしたかのように、なんの深刻さも見せないまま、8枚目を出す。そこには白いスーツの人間と、遊介に見える少年が戦っている様子があった。

 

「これは我々イリアステルとの競争だよ遊介くん。この世界から脱出して元の世界に帰還するためには、我々を倒し、他を蹴落とし、ヌメロンコードを手にする必要がある。君はこれから先も多くのデュエリストと戦い、勝ち残り、まずはアーククレイドルを目指さなければならない。アーククレイドルに至る条件は2つ、デュエルポイントを個人、もしくはチームで500000以上溜める事、そしてエリアマスターになる事。その2つの条件を満たしたら、バトルシティで最も高い塔を上りなさい。そこにいる最後のセブンスターズを倒すことでアーククレイドルへの道は拓かれる」

 

「アーククレイドルはイリアステルの本拠地だと言ったな……」

 

「今回も精鋭の姫護衛隊99人を用意して君たちを待っているよ。……本当は100人だったんだけど、トラブルが起こってねぇ。ちょっと半端だけど、まあ許してくれ」

 

遊介は話が小休止に入ったことを見計らって、ここまで話のまとめを一言で行った。

 

「つまり、何もかもがお前のせいで、お前らは俺が倒すべき敵ってことだな」

 

「よくまとまっているな。そう、理解はそれで十分。80点をあげよう」

 

「100点じゃないのか」

 

「なあに、今に分かるさ。君が倒すべき相手は、俺達だけじゃない」

 

アルターはまるで未来を予知していたかのように、デュエルディスクに警報が鳴ったのはその時だった。

 

『侵入者。侵入者。海堂コーポレーションのデュエリスト1名、エデンのデュエリスト300名、解放軍のデュエリスト230名が光の世界に侵入。現在エデンと解放軍の半数が下界で戦闘をはじめ、残りの人間がこちらにまっすぐ迫ってきています。狙いはマスター、あなたである確率が70%オーバー。すぐに対処を行ってください』

 

「うそでしょ……、こっちはもうへろへろなんだけど!」

 

ブルームガールがそういうのも無理はない。もっとも、それを1番言いたいのは遊介だったが。

 

「アルター。分かってたのか?」

 

「ああ。さあ、どうする少年。ここでエリアマスターの座をはく奪されたら、ここはまた戦場と化すぞ?。君が倒されなければ、このエリアのマスターは君のままだ。逃げるが吉だと思うぞ。これから先、君はエリアマスターとしてこんな風に命を狙われることが多くなる。気をつけなさい。君にももっと英雄譚を紡いでもらいたいとおもっているからね」

 

アルターのホログラム画像が消える。

 

しかし、この状況でそれに文句を言う人間はいなかった。

 

「どーしよー!」

 

焦りと疲れで今回ばかりは混乱を起こすブルームガール。

 

「どうするも何も……どうすっか」

 

と意味のない独り言ってしまうマイケル。すでにこの戦闘場から迫る軍勢が見える。

 

ユートと瑠璃は、ハルトを抱えて脱出の準備をしていた。

 

「悪いがハルトを守らなければならない。俺達はこいつを逃がす」

 

「ひどい置いてくのユート! ちょっとー瑠璃、遊介は!」

 

「ごめんなさい。ブルームガール。これでも大切な私たちの仲間だから。遊介は……その……」

 

言いにくそうにしている瑠璃に遊介が助け舟を出す。

 

「いいよ。行ってくれ」

 

「いいの?」

 

「大切な友達なんだろ。だったら助けるべきだ」

 

「ありがとう……このお礼は必ずする。だから、生き残って!」

 

エクシーズ世界の実力者で、ここまで遊介を支えてくれた2人は戦場から離脱した。

 

「あーん。もう……」

 

最早やけくそになっているブルームガール。遊介をマイケルに持たせて、

 

「こうなったら玉砕よ! 全員ぶっ飛ばして、遊介君だけでも」

 

しかし、遊介はそれに反対した。

 

「ダメだ。そんなの。死にに行くようなものだぞ!」

 

「だって、じゃあ、どうすれば!」

 

「マイケル、いい案はないか?」

 

「ないな。俺は肉体派で作戦たてるのは不向きだ」

 

最早話し合う時間はなく、すでに最初の1人がこちらに迫っていた。

 

「チームエデン。リゼッタ。遊介殿、あなたを頂きにまいりました。私のもとへ来てください!」

 

実は『命を頂く』とは一言も言っていないのだが、それを判断できる脳を持っている人間は今は1人もいなかった。

 

「ああ。もうだめぇ。もうやけよ!」

 

と、特攻を仕掛けようとするブルームガール。

 

その時。

 

「滅びのバーストストリーム!」

「ブラックフレイム!」

 

リゼッタと名乗った人間を攻撃した人間がいた。

 

白い竜と、黒い竜の上に1人ずつ乗っている。

 

白い竜には、

 

「見ていたぞ」

 

「海堂セイト……!」

 

「貴様に前に言ったな? 俺に享楽をよこせるほどには強くなっとけよと。貴様とはもう一度戦う。これは俺の決定だ。今すぐ戦え」

 

「むりだっつの」

 

「ならば今は許す。この俺に殺されるまで生き残るがいい。乗れ! 下までは送ってやる」

 

そして黒の竜に乗っていたのはヴィクターだった。

 

「無様なもんだ」

 

「ちょっとヴィクターくん」

 

「お前が仲間のブルームガールか。……よく似ているが。まさかな。それより遊介は預かっていく。こいつは俺がリベンジする予定でね。悪いがここで死なれたら困るんだ。だから預かっていくぜ。あんたらは適当に逃げな。あいつら、なぜか遊介を狙ってやがる。いや、光の世界を狙っているんだろうがね」

 

「でももう光の世界は」

 

「保有ライフの賭けはできないんだろう? 知ってるよ。だがあいつらが動けない遊介を別の世界に持っていったら話は別だろ?」

 

「あ。そっか」

 

「頭が回っていないな。だがいい。お前らの戦いっぷりは公式放送で見た。今日だけは情けをかけてやる。いくぞ」

 

近くに居たエリーをそそくさと竜に乗せる。

 

「あの……私、新しい光の世界のマスターと……」

 

「そうか。ならお前は向こうだ」

 

と、少女を軽々しく投げ飛ばすヴィクター。ちなみにキャッチをミスしたら下へ真っ逆さまである。

 

「お前……!」

 

今回は海堂がしっかりとキャッチしたため事なきを得た。

 

「エリー……」

 

アルターの話では、エリーはAIであることになるが、

 

「ますたぁ……光の世界の従者として、これからお供致します……」

 

と、嬉しそうに笑うエリーは人間そのものだと遊介は思う。

 

「これからは君たちにこの世界を守ることは強制しない。命を張る必要はもうないよ。みんなにメッセージで伝えといてくれ」

 

「え……でも……」

 

「いいから……。そうしないと、あの日君を庇った意味がないだろ」

 

「……はい!」

 

エリーはこれまで見せたことのない笑顔を新しいマスターに見せた。

 

遊介は思う。たとえこの戦いが正しいものでなかったとしても、戦った意味はあったと。

 

柄の悪い2人の竜に、マイケル、ブルームガール、そして遊介は乗せられ、戦闘場を後にした。

 

海堂セイトのブルーアイズに乗せられ、下界に向けて下っていく遊介。しかし、いつの間にかブルームガールとマイケルが乗るヴィクターの竜と離れ離れになっているのに気が付く。

 

「おい……どこに連れていく気だ」

 

「闇の世界。お前にはそこで俺のエリア攻略を手伝ってもらう」

 

「なんでだよ!」

 

「無償の慈悲など俺がすると思うか? 闇の世界は実力者のごろつきも多い。腕を磨くにはぴったりだし、お前を狙う奴らからお前はしばらく姿を隠さなきゃならん」

 

「なんで……あ、エリアマスターで狙われるからか……」

 

海堂セイトは頷く。

 

遊介はすでに光の世界のエリアマスター。ヌメロンコードに至るには、エリアマスターかそのチームメイトにならなければ、ヌメロンコードへの道は拓けない。この世界に来た人間が

 

「闇の世界は世俗に疎い馬鹿どもだらけで、しかもデュエルさえできれば、賭けなし万歳構わず襲い掛かってくる、戦闘狂いのバーサーカーだらけだからな。だが今のお前はむしろ、賭けがない方が気が楽だろう」

 

「痛みは来るだろ。もう痛いのは御免だよ……」

 

「ふん。せいぜいきっちり働くことだ。顔隠しの仮面かローブくらいは用意してやる。お前のけがが治るまでは、海堂コーポレーションが庇ってやるさ。その代わり、治ったら俺とデュエルしろ」

 

「お前も十分バーサーカーじゃないか……」

 

遊介とエリーを乗せたブルーアイズホワイトドラゴンは、そのまま光の世界から飛び去って行く。

 

 

 

 

この戦いはリンクブレインズの転換点だった。

 

それはこの世界に、プレイヤー同士が争い合い、ヌメロンコードを求める戦争であることを強烈に印象づけた戦いとして人々に影響を与えた。

 

ここから先、リンクブレインズの世界の各地で、デュエリスト同士の戦いのが苛烈になっていったのだ。

 

1日の使者は日にちを増すごとに増えていき、今まで増えるばかりだったこの世界の総人口はついに減少を始めてしまったのだ。

 

デュエリストには大きく3つの選択肢が与えられた。

 

1つは個人で、自分で自分の命を守っていくこと。

 

2つ目は、どこか巨大な組織、もしくは小規模でもチームに入り身を守りながら生きること。

 

3つ目は、この世界で唯一、賭けデュエルを公式に禁止している光の世界に逃げ込むこと。ただし、ここはキャパシティの関係で、デュエルが初心者だったり、まだ子供だったりと、理不尽に命を奪われる可能性がある人間が優先される。

 

この戦いから4か月。リンクブレインズは、この3グループに分かれる、新たな戦いの前の移行期間に入ったのだ。

 

********************************************

 

チーム『エデン』本拠地にて

 

「にい……」

 

「大丈夫カオリン?」

 

「彩さ……ごめんなさい。リボルバー様」

 

「いいのよ。薫。あなただけはその名前で呼んでも」

 

「にい……」

 

「大丈夫。遊介は絶対に私が助けるから」

 

ポニーテールにサングラスをかけた彼女は後ろにいる男に声を掛ける。

 

「ね。エクシーズ世界の遊介君?」

 

「……ああ。任せてくれ。姫」

 

********************************************

 

チーム『解放軍』バトルシティ支部にて

 

「ほお、あっちの世界の遊介も面白いな」

 

「同じ顔でそんなこと言うなよ」

 

「そんな事言うなって。ノリ悪いぞ、まっつん」

 

「うう。やっぱ調子狂うな。なんかちがうんだよなー。同じ顔のくせに」

 

********************************************

 

遊介は公式放送のデュエル以来、公に姿を現さなかった。その行方は誰にも知れなかった。

 

それは光の世界に本拠地を移した遊介のチームメイトも同じ。

 

断片的な噂は何度かでるものの、遊介は消えてしまったかのように、いなくなってしまったのだ。

 

「もう……どこ行ったのよ。寂しいじゃない……」

 

光の世界に残されたエリーが守っていた子供たち、彼らのお守りを自主的に継いだブルームガールは、光の世界のエリアマスターの代行を務めながら、とっても寂しそうに時折月を眺めている姿が目撃された。

 

(第1シーズン 終)




これで遊介の戦いも落ち着――いては全然いませんが、ここまでが第1シーズンです。

第1シーズン終了というよい機会なので、皆さんのここまで読んだ感想を頂けると、今後の参考になります。よろしければ一言お願いします。

ちなみになぜシーズンを分けているかというと、途中で番外編を入れるからです。
番外編は主人公が交代して物語が繰り広げられていきます。番外編の概要に関しては小説の情報を更新していますのでそちらをご覧ください。
ちなみに、ヴィクターとセイト君が一緒に来たのも偶然ではありません。それも番外編でお伝えできればと思います。

さて気になる第2シーズンですが、第2シーズンはエリーとヴィクターを仲間に加え戦いはさらに激化していきます。
遊介はいったいどこへ行ってしまったのか。そして光の世界に迫る、二つの巨大なチーム。『エデン』と『解放軍』を巻き込んで、光の世界を守るため、そして、ヌメロンコードを手に入れるための戦いを繰り広げます。

お盆が終わってからしばらく、執筆の時間が取れませんので、番外編をお届けするのは少し先になってしまいそうですが、お楽しみにお待ちください。

さて、第2シーズンに関しては、番外編の最後に次回予告を乗せますので。よろしくおねがいします。ここまでのご閲覧、ありがとうございました。今後もよろしくお願いします!
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