遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』   作:femania

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注意事項

・小説初心者で、連載小説初挑戦です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品なので、遊戯王アニメシリーズのキャラが登場することもありますが、設定が違うので元と性格や行動が違うことがあります。
・過去にアニメシリーズで使われていたデッキを本人ではなくこの作品のオリジナルキャラが使うことがあります。また、使用されるデッキはエースモンスターはそのままにデッキをアレンジしたものになっていることがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・人物描写はスキップしています。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・オリジナルのカードも使ってます。
・作品はほぼオリジナル展開です。

これでOKという人はお楽しみください!

番外編4後編です。

これから始まる予定のシーズン2の行く末が決まる話になっています。
お楽しみください!


番外編4 二度と戻れない道 後編

 水の世界のとある工場跡、そこでリンクブレインズの世界における巨大組織2つのリーダー格による会談が行われようとしていた。

 

 主な内容としては、水の世界で以前行われた解放軍によるエデンメンバーへの集団襲撃。その時のエデンのメンバーは戦闘員を護衛で1人つけただけの食材買い出し組だったのに対し、解放軍メンバーは全員が戦闘員と言っていい。結果は見え透いており、エデンのメンバーは全滅。この知らせを聞いたエデンのリーダー、リボルバーは怒り狂い、解放軍に釈明を求めた。

 

 リンクブレインズに本来は戦闘員、非戦闘員の境はない。故に解放軍が責められる所以はない。なので本体は無視しても問題ないと判断できるのだが、解放軍にはそうもいかない理由がった。

 

 以前のイベントで解放軍とエデンは1位を競い合う中で戦った。結果解放軍は押し負け、エデンに1位を譲ることになったのだが、その後アゼルはエデンの研究を進めるうちに、恐ろしいことに気づく。

 

 エデンは実際戦っている人数は100人に満たない、そしてその他は非戦闘員、つまりただエデンの領地で暮らしているだけの市民ということだった。解放軍1000人近くに彼らはたった100未満で勝利して見せたのだ。予測ではその100人は一人一人が解放軍の幹部に匹敵する可能性も否めないと予測された。

 

 つまり解放軍は、今のままではエデンとの全面戦争になったときに、敗北する可能性は否めないのだ。そして今回の会談を設定したエデンは、解放軍が来なかった場合、自動的に全面戦争を仕掛けるという脅迫をしてきたのだ。

 

 アゼルはいずれはエデンも倒すことを考えているが、今はまだ勝算もたてられていないという状況で戦うことはいけないということで、今回の会談では多少の犠牲を払ってでも戦争だけは避けたいと思っているところだった。

 

 しかし、会談の会場に工場跡を選んだ理由を考えて、アゼルは少し恐れを覚えていた。

 

 

 

 工場跡ではあるものの、中には何もない。ただ広い灰色の空間が広がるのみ。そして、入り口から奥、そこにエデンの使者と思われる3人が立っている。

 

 一方アゼルの後ろには解放軍8人。数だけ見ればだまし討ちということはないと判断しアゼルはリーダー格と思われるサングラスをつけた少女に話かける。

 

「俺は解放軍のリーダー、アゼルだ。そちらのリーダーと話がしたい。

 

 アゼルの見掛け通り、そのサングラスをかけた少女こそが、エデンのリーダー、リボルバーだった。

 

「本日は会談に応じていただき感謝致します、アゼル殿。本来であれば前置きとして優雅に夕食を共にしながらというのが礼儀ですが、今回はこちらもそのような礼を尽くす余裕がないことをお許しください」

 

 リボルバーが一歩前に出た。

 

 サングラスを外すまでもなく、声を聴いて反応を示したのが2人、良助とシンクロの遊介だった。

 

「彩……」

 

「あれは俺らの世界の彩だ。手出すなよ? 殺されるぞ?」

 

「ああ、出しはしないけど。驚いたな、本当にそっくりなんだなぁ」

 

 リボルバーこと彩も、解放軍の中に、遊介によく似た奴と良助がいるのに気が付いたが、状況もあり、さすがにすぐには声を掛けない。

 

「私たちの要求は分かっていますか?」

 

「ああ、手紙を拝見させてもらった。今回はあなた方に我が解放軍の一員が凶行に及んだ事、委細承知したうえでここまで来た。まことに申し訳ないと思っている。これについて、このようなことが起こった原因を、解放軍のシステムと照らし合わせながら説明したい」

 

「その必要はありません」

 

 リボルバーの隣にいる秘書が一礼をして話し始めた。

 

「チームエデン、三波と申します。すでに事の調査はこちらで済ませています。解放軍は基本的に4000のデュエルポイントを稼ぐことをノルマとしており、それ以外は自由に各々のすべきことをさせるという最低限の管理による放任主義の組織であり、今回の事件も、水の世界に来た構成員が独断で行ったことであり、止める理由と、抑止力がなかった。と我々は結論付けました」

 

「いかがでしょう?」

 

 リボルバーの問いにアゼルは反論する余地はなかった。

 

「確かに、間違いはない」

 

「そうですか。では、これに対する解放軍の考えをお聞かせいただきたいです」

 

 アゼルは一瞬迷ったが、すぐに口を開いた。

 

「結論から言うと、我々のチームスタイルでは起こりうることであり、今回の事件は確かに人道に背くことを認めるが、それでも我々に非は少ないと断言できる。もとより、リンクブレインズに非戦闘員という概念はなく、外出とはそれこそ命を落とすリスクを許容することであることは明らかだ。今回の事件の謝罪とは別に、今後も解放軍はこのスタイルを崩すことは考えられない」

 

「考えられない……ですか」

 

「呆れてもらって結構。しかし我々にも理念がある。結局解放軍とは、イリアステルを倒し、この世界を終わらせるという一点のみで協力関係にあるだけの集まりだ。リーダーである俺の命令にも絶対に従わなければならないという規則はつけていない。各々がイリアステルに迫り、そして妥当するための最善の行動をする。そのために時には協力し、時に競い合う。我々はそれこそが、イリアステル打倒への最善の道だと考えているからだ」

 

「反省はしないと?」

 

「いや、今回のようにあなた方のようなイリアステル打倒を協力できるかもしれない組織とことを荒立てるつもりはない。あなた方の要求する慰謝料は必ずお支払いし、今後はあなた方と、事を荒立てないために、あなた方の我々に対する要求はすべて飲むつもりだ。非戦闘員に今後、デュエルを挑まないことは団員に徹底させる」

 

「団員に言うことを聞かせる権力もないリーダーがですか?」

 

「それは、そうだな。だが、可能な限り俺は努力をする。守れない団員はそちらの手で処分してくれても構わない。情けないが、解放軍のシステム的に、俺は努力義務という形でしかあなた方との盟約には答えられない。おそらく最大2割の人間は従わないだろう。だが、どうかこれで妥協いただけないだろうか?」

 

「……分かりました。では今度はこちらの考えも申したいと思います」

 

 リボルバーは、一度深呼吸をして、そして語りだす」

 

「今回の事件は、解放軍とエデンの相性の悪さが決定的に明らかになった結果だと思われます。我々エデンの戦闘員は、候補生入れても現在170名。それに対し、我々が保護し、非戦闘員は1000人を超えます。当然彼らにも行動の自由が保障されるべきであり、安全保障のため完全解放とは言えなくとも、外出をすることを禁止することはできません」

 

 隣でエデンの幹部である、リゼッタがディスクを操作する。

 

 その後すぐに、この場に来た解放軍の全員に、今回の会談のために用意したと思われるデータが送られてきた。

 

「しかし、そこで解放軍であるあなた方の襲撃を受けてしまうのでは、保護もなにもないんですよ。今回のように戦闘員でない人たちが殺される。我々としては今回犠牲になった数名の為にも再発防止をしなければいけません」

 

「それは、その通りだな」

 

「以前から注意をしていましたが今回の事件を経て確信しました。解放軍のそのシステムを私たちは許すことができません。仮に、一度は最速でアーククレイドルに迫ったという、実績があったとしても。それは戦えない人々の犠牲を軽く見て、蔑ろにしてまで、打倒を求めるものではないと考えます」

 

「なるほど……しかし、イリアステルを倒さない限り、真に死なない世界は訪れないと思うが?」

 

「だとしても、誰かを犠牲にしてまで、デュエルポイントを稼ぐ必要はない。運営を名乗るイリアステルは、現在もデュエルポイントを稼ぐ手段として、週1回のイベントを用意しています。それを積み重ねれば、いずれは、500000ポイントの獲得、そしてアーククレイドルへの道を拓く第1階層最後のデュエルに挑むことも可能になる。故に、あなた方が犠牲を生み出す必要はあまりありません」

 

「日を追うだけでも、犠牲は増える。我々が仮に動かなくても」

 

「数は少ない方がいいという考え方は一般的だと思いますが?」

 

 だめだ、と、解放軍の全員が考えたのはこの瞬間だった。

 

「良助、お前のところの彩、なかなか肝が座ってるな」

 

 シンクロの遊介の声に良助は頷く。良助も知っているが、彩は一度決めたらてこでも態度を変えない女だ。

 

 彩の考えは解放軍と全く異なる。エデンの理念はこの世界の永続。それはつまりこの世界を終わらせないことだ。

 

 しかし、この世界の永続とイリアステルとの戦いは別だ。イリアステルはこちらが拒絶しても向こうからやってくる災害のような存在に近い。この世界で死なないためにはいずれはイリアステルを倒すことも考えなければならない。

 

 エデンは、そのイリアステルとの戦いに対するスタンスを、いずれ機が来る時まで備えて戦うというスタイルだ。解放軍の、最速で積極的に潰しに行くというスタイルとはわけが違う。機会が来るまでは、徹底的に命を救い守ることを優先するというのだ。

 

 どちらも考え方は間違っていない。解放軍は最初こそ犠牲を多く出すが、短時間での決戦で済む分、戦いの後の命が保障される。対してエデンは、可能な限り犠牲は少なくし、備えるだけ備えてから戦う。それも戦いまで、そして戦いの最中の犠牲も少なく済む。どちらがより犠牲が少ないかなど、終わった後でなければ分からないので、間違いかどうかが分かるはずもない。

 

 アゼルもこの決定的な意識の差を感じた。しかし、それにはあまり恐ろしさを感じなかった。アゼルが恐れたのはこの後だ。

 

 そしてそれは現実になってしまう。

 

「私は、解放軍をエデンの敵とみなしました。よって、私たちは解放軍との和解をするつもりはありません。ですが、解放軍の皆さんには2つの選択肢を与えましょう」

 

 急に、リボルバーの声が冷たくなったように思えた。

 

「1つ目。解放軍の解散、そして幹部の皆さんには我々エデンに入っていただきます。それが飲めないというのなら2つ目」

 

 リボルバーのこの言葉を待っていたかのように、倉庫の入り口に、エデンのメンバーが現れた。

 

「私たちに倒されるか。です」

 

 入り口には戦闘部隊、そしてその一番前に、エクシーズ世界の遊介が立っていた。

 

「悪いがあんたら幹部はここから生きては返さない。俺と、直属の部下でおもてなしだ」

 

 アゼルは急いで他の解放軍に連絡を取った。

 

 しかし、その基地からも流れてくるのは、解放軍のメンバーの悲鳴ばかり。たまに断末魔も入っている。

 

「うちらの姫も悪い女だ。まさか、まさか、全面戦争なんてなぁ。俺としては昂るけど」

 

 嵌められた。もとより、エデンは和解をする気などなかったのだ。待ち受けているのは戦争という結末ただ一つ。すぐには向こうも全面戦争を仕掛けないだろうという考えが甘かった。と、アゼルは思わざるを得なかった。

 

「おいおいおいおい、アゼル! こりゃヤバいんじゃねえか?」

 

 沢渡が言う必要もない現状確認をした。しかし、そんなに焦ってはいない。

 

 一方で心穏やかではいられない人間が解放軍にも2人いた。

 

「お前、俺らの世界の遊介だな?」

 

「トーマス! 会いたかったぜ、友よ」

 

「フ……俺も会いたかったぞ遊介。エデンにいるお前と確実に戦うチャンスが来るこの時を、俺は待ってたんだ」

 

「へえ、俺と」

 

「お前がエデンにいることは伝手で聞いている。お前とこうして相対するために、窮屈な敵対組織に身を置いた。だがこれでお前を仕留めれば、俺もようやく自由になれる。イリアステル潰しに専念できるってもんだ」

 

 不敵な笑みを浮かべながら、恐ろしい殺気を持って、エクシーズの遊介を見るトーマス。その理由はすぐに判明する。

 

「あの時は悪かったよ。俺が隠れ家を密告したんだっけか。イリアステルに。いやあ、おかげで俺は命乞い成功だ。アルターに出会ってもう死んだと思ったけど、命乞いはしてみるもんだなって思った。でも後で聞いたよ。そこには、クリスさんがいたんだよな。本当に悪いと思ってるんだぜ」

 

 にこにこと語るエクシーズの遊介を見て、トーマスの怒りは最高潮に。

 

「四の五の言わず構えろ。お前は俺がファンサービスで地獄に送ってやる。その運命に変わりはねえ」

 

「そう怖い顔すんなよ。お前が怒るのは仕方ないことくらい分かってる。けど、今は生き残って無様に逃げることを提案するぜ? 命は大切に……な?」

 

「俺はお前へのファンサービスで頭がいっぱいなんだ。気にするな?」

 

「はははははは! やっぱそうなるよなぁ。やっぱそうじゃなくちゃあな。安心しろ、俺は逃げも隠れもしない。だが、以前の俺じゃあないことも覚悟しておけよ?」

 

 さらに万丈目は、目の前に見えた自分の知り合いに

 

「丸藤亮」

 

「万丈目準。生きていたとは」

 

「簡単には死なんさ。俺はアゼルと再起を図っているだけだ。それに、鮫島理事長がいなくなって以来行方が知れなかったお前には言われなくないな」

 

「お前はそちら側か」

 

「俺は意外だ。お前が誰かの下につき戦っているなど」

 

「自分でもそう思っている。だが、この道は間違いではなかった、とも思っている」

 

「お前にそう思わせるだけの何かが、エデンにはあったと?」

 

「そうだ」

 

「……あいつの言葉を借りるつもりはないが、お前も一目おいた『奴』なら言うぞ。なんで翔の想いを継いでくれないんだってな」

 

「……そうか」

 

「ここまで言っても、何も言い返さないとは、腑抜けたな。カイザー。見るに堪えん。オベリスクの恥はここで始末してやりたくなった」

 

「勇んでいるところ悪いが俺は戦えない。ここにいる代わりで我慢しろ」

 

「逃げるのかカイザー!」

 

「好きに言え、今の俺には戦う必要のない相手と戦うほど、『余裕』はない」

 

 解放軍の幹部9人で、この場に集まったエデン50人近くと戦うのは無茶だ。

 

 アゼルにはそれが分かっているが、それを止めるすべを、アゼルは持っていない。命乞いをしてでもとめるべきだとも思ったが、それもこの状況では止めようがない。

 

 もはや自分たちの生存は絶望的だ。

 

 そう考えたアゼルは、覚悟を決めた。

 

「リボルバー! デュエルだ! 俺と、8000のライフを賭けろ!」

 

 その宣言を聞き捨てることは、彼女の秘書である2人にはできず前に出る。しかし、リボルバーはそれを制止して、

 

「せっかくのリーダーのお誘いだもの、私も少し遊んでいくわ」

 

 とディスクを構えた。

 

「リーダーさん。私も命がけだもの、憂いをなくすためにもそこの良助と話をしたいのだけど。お許しくださる?」

 

 アゼルは警戒をしつつも、

 

「もちろん、その間は戦いを始めるなんて野暮なことはしませんわ」

 

 という言葉を聞き、良助に会話をバトンタッチした。

 

 良助は現実世界でもいつもやっているように彩に手を振り、彩はそれをいつものように返す。

 

「なんか久しぶりって感じね」

 

「ああ」

 

「良助、解放軍にいたんだ」

 

「ちょっとした縁があってな。そっちこそ、まさか巨大組織のリーダーとは驚いた」

 

「すごいでしょ。私が実力と運でつかんだ財産よ」

 

「ったく、お前は本当に。付き合ってて飽きない人間だぜ」

 

「すごいでしょ、もっと褒めていいのよ」

 

「ああ、今回ばかりは脱帽だ」

 

 2人はいつものように笑いながら、話を続ける。

 

「ねえ、良助。あなたも今からエデンに来てほしいんだけど?」

 

「強欲だなぁ。お前、まるでほしいカードよこせ見たいなノリだぞ?」

 

「ええ、結構真剣にお願いしてるんだけどなぁ……」

 

「そうか、悪い悪い」

 

 シンクロの遊介とアゼルは、良助が裏切ることを危惧する。そうなった場合、どう動くべきかを考える。

 

 しかし、本人はあっさりと、

 

「すまん。俺には無理だわ」

 

 と、断ったのだ。これには、彩ももちろん、この場の解放軍も驚いた。良助には、確かにエデンに寝返る理由もないが、逆に、解放軍に絶対に居なければいけないという理由もないはずだと、周りの人間は思ってた。

 

「なんで? 何か恩でもあるの? それとも、脅迫されてるの? あなただって解放軍のやり方は間違ってるって思ってるんでしょ?」

 

「まあな。正しいっていうにはちょっとやることも過激だ」

 

「薫ちゃんだって、解放軍に殺されかけた。そっちが最悪な組織なのは明白よ!」

 

「そうなのか。それは妹ちゃんに悪いことしたな」

 

「だったら!」

 

「まあ、聞けよ」

 

 良助のその答えに迷いはなかった。一字一句つまらないのは、この世界で良助が得た答えであることを示している。

 

「エデンはいい奴らだ。それは俺も分かる。命は大切だ。戦えない人を保護して、必死に守りながらも明日を目指しているお前らは確かに正しい。けど、それじゃあ、全然足りない。俺はお前らの知らないところで死んでいく奴らを見た。この世界のルールのせいで、イリアステルのさじ加減で、まるで玩具のように弄ばれて、死んでいく奴らだ」

 

 良助はディスクを構える。それは戦いの合図。

 

「お前はお前で正しい。けど俺はそういう奴らを知ってるから、そういう、被害者を少なくするために、いち早くイリアステルを倒すべきだと思っている。ということは俺は解放軍の味方だ。俺だって、何人もこの手で殺してきた。もう、お前らと一緒に居るべきじゃあないくらいに」

 

「でも!」

 

「ごめん。俺は最後までこっちにつく。俺は俺の正義を持つ。俺がその方が格好いいと思う方を選ぶ。まあ、もうそんなこと言えないかもしれないけどな」

 

「……格好いいとか、遊介じゃないんだから……」

 

「悪いな。それに、いつかお前が万が一間違った道に行き始めたら、それを止めるには、俺はそっちにいない方がいいだろ」

 

「私が間違えるとでも?」

 

「お前、思い込み激しいし、頑固だし。言うこと聞かなくなったときは、それを止めてやるのは、俺の仕事だ。ほら、向こうでもそうだっただろ? お前は暴走、遊介は中立、そして俺は、お前へのツッコミ担当だ」

 

 彩の顔が曇った。

 

 今の宣言は、良助が完全に敵対するということを示している。

 

 彩もさすがに現実世界で友達だった良助と敵対することは考えていなかった。だから想定外の敵対者が生まれたことを、本当に残念に思ったのだ。

 

「リボルバー様……」

 

「大丈夫。大丈夫だよ」

 

 良助は申し訳なさと裏切った罪悪感を若干抱えつつも、

 

「いいのか?」

 

 シンクロの遊介の問いに、

 

「ああ。俺はこれでいい」

 

 と、しっかり返答する。

 

 リボルバーの落ち込みタイムは終了した。

 

「もう知らないんだから。三波、リゼッタ、幹部と戦うわよ。解放軍はここで殲滅する」

 

 ここからは無慈悲なエデンのリーダーとして、解放軍の敵としての指示を始めた。

 

「手始めに、あの偽者遊介を倒しましょう。見ててムカつくから」

 

 リボルバーの無慈悲な選択がシンクロ遊介を襲う。

 

「え……おれぇ⁉」

 

「残念だったな、俺は先に逃げるぞ」

 

「良助、手伝えよ!」

 

「こんなところで死んでやるつもりはない。俺は出口確保組に加勢するからさ」

 

「おおーい!」

 

 そして、アゼルはリボルバーの前に立った。

 

「さて、戦争を仕掛けた以上、こちらも容赦はしない」

 

「ええ。エデンと解放軍。今後の命運をかけた戦いになるでしょう」

 

 解放軍とエデンと戦争の火ぶたが切られた瞬間となった。

 

 

 

 この倉庫での戦いは、解放軍の幹部が3人死亡、エデンの戦闘員が15人死亡し、幕引きを見せた。しかし、それは解放軍とエデンの全面戦争の始まりに過ぎなかった。各地の解放軍のアジトは壊滅し、エデンが占領下においた。解放軍はこの未曾有の危機に、遂に団結を始めエデンへの逆襲を始めていく計画を立てている。解放軍の残りの幹部は、あの戦力差の中を奇跡的生き残り無様に敗走。残った兵力を一か所に集め、身を隠し、力を蓄えることになった。

 

 しかしエデンは情け容赦なく追撃を入れるため、その行方を必死に追っている。見つかるのも時間の問題であり、新たな戦いが始まる時期も近い。

 

 二大組織の全面戦争の事実は瞬く間にリンクブレインズに響き渡り、この戦争の開始を見たイリアステルの介入――賭けデュエルができない安産地帯でも、賭けデュエルを強制できるレアアイテム『ルールブレイカー』を、イベントでさらに1000個配布した――により、やがてリンクブレインズ全土が、血で血を洗う大戦争へと発展していくことになる。

 

 この世界で安心できる地域はどんどんと減っていく。そして、命懸けのデュエルをする必要のない安全地帯にも、その戦いの影響は伸びていく、残された安全地帯の奪い合いを始まることになった。

 

 当然、シンクロでもエクシーズでもない、本物の遊介が手に入れた光の世界もまた例外ではない。

 

 一応は平穏を手に入れた、光の世界のチーム『players』にも、徐々に、戦いの足音は近づいてきていた。

 




アゼルと彩のデュエルは、泣く泣くカットしました。
本当はデュエルを書いても良かったのですが、番外編と言うこともあり、そんなに長く1つの話を書くのもどうか、と判断した結果です。

もちろん内容は考えているので、見てみたいという声が聞こえたら、後ほど時間ができた時に書き残したいと思います。

案外編は元々、物語進めるにあたっての今後の基盤を作る目的もありました。
そしてそれは一応、ここまでで達成され、これでシーズン2を憂いなく始められそうです。が、もうちょっとだけ、番外編にお付き合いください。

最後の番外編は、前後編に湧けず1話でやります。
ここまでは物騒な話が多かったので、次の番外編は日常感マックスで書きたいと思っています。たまには、そういう話も書きたいという、作者の願望です。

なのでデュエルは次回もお休みです。シーズン2の最初の話までお待ちください。
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