遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』   作:femania

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こちらは前編の続きです。

前書きは前編に書いてありますのでそちらをご覧ください。

後編もお楽しみいただければ幸いです。



14話 帰還(後編)

シンクロ遊介 LP4000 手札4

モンスター

魔法罠

 

遊介 LP4000 手札4

モンスター

魔法罠

 

(シンクロ遊介)

□ □ □   魔法罠ゾーン

□ □ □   メインモンスターゾーン

□   □     EXモンスターゾーン 

□ □ □   メインモンスターゾーン

□ □ □   魔法罠ゾーン

(遊介)

 

 

「選ばせてやるよ。どっちがいい?」

 

シンクロ遊介の誘いに、

 

「じゃあ、先行をもらおうかな」

 

遊介は先攻を宣言した。

 

 

ターン1

 

「俺のターン」

 

先行はドローできないので、初期の手札で内容を考えなければならない。しかし、すでにどのような動きで行くかは決定している。

 

「サイバースガジェットを召喚」

 

最初に呼びだしたのは初期から使っているサイバースモンスター。

 

サイバース・ガジェット レベル4

ATK1400/DEF300

 

「現れろ、未来を導くサーキット!」

 

そしてすぐにリンク召喚の宣言をする。

 

「召喚条件はレベル4以下のサイバース1体。俺は今召喚したサイバースガジェットをリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン!」

 

現れたサーキットに躊躇いなく飛び込んでいく、サイバースガジェット。八方向に分岐した矢印のうち下方向のものに、己の体を捧げた。

 

「リンク召喚! 現れろ、リンク1、リンクディサイプル」

 

槍か杖か、判断しにくい棒状のものを持ったモンスターが遊介が呼び出す最初のリンクモンスター。

 

リンク・ディサイプル 

リンクマーカー 下

LINK1/ATK500

 

「そして、サイバースガジェットが墓地へ送られたことで、ガジェットトークンを1体特殊召喚する」

 

ガジェット・トークン レベル2 守備表示

ATK0/DEF0

 

「まだ続く。現れろ、未来を導くサーキット」

 

再び遊介はリンク召喚の行使を宣言した。

 

「召喚条件は、レベル4以下のサイバース1体、先ほど召喚したガジェットトークンをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン!」

 

呼び出したトークンをすぐに、次への展開の燃料にし、遊介は新たなモンスターを呼んだ。

 

「現れろ、リンク1、リンクディヴォーティー!」

 

謎の曲線を描く危機を携えた、遊介の新たなリンクモンスターが現れる。これは闇の世界で手に入れたカード。遊介は闇の世界で、戦術だけでなく、己のデッキも大幅に強化している。このモンスターもその1つだ。

 

リンク・ディヴォーティー

リンクマーカー 上

LINK1/ATK500

 

「ディサイプルの効果を発動する。このカードのリンク先のモンスター1体をリリース。デッキからカードを1枚ドローし、その後手札のカードを1枚、デッキの1番下に戻す。ディヴォーティーをリリース!」

 

「おいおい、とんだディスアドバンテージじゃないか」

 

シンクロの遊介の言う通り、ここまでこの効果を発動する意味は現状あまりない。しかし、遊介の目的はここから先にある。

 

「相互リンク状態のディヴォーティーがリリースされた場合効果を発動する。フィールド上にリンクトークン2体を特殊召喚!」

 

リンクトークン レベル1 守備表示

ATK0/DEF0

 

「まだ続く、現れろ、未来を導くサーキット! 召喚条件はモンスター2体。俺はリンクトークン2体をリンクマーカーにセット!」

 

このターン3回目のリンク召喚。残念ながらディヴォーティーの効果でこのターンリンク3以上のモンスターをリンク召喚はできないので、最大はリンク2までとなる。

 

「現れろ、スペースインシュレイター!」

 

青い人型のサイバース、これがこのターン、遊介が呼び出す、最後のモンスターだ。

 

スペース・インシュレイター

リンクマーカー 上 下

LINK2/ATK1200

 

「ここまでやって1200のモンスターか。正直拍子抜けだなぁ」

 

シンクロ遊介はここまでの動きを見て感想を述べる。しかし遊介は特に興味を示さない。なぜなら準備は十分行ったからだ。

 

「スペース・インシュレイターのリンク先のモンスターの攻撃力は800ダウン。カードを2枚伏せてターンエンド」

 

リンク・ディサイプル ATK500→0

 

遊介 LP4000 手札1

モンスター ① リンク・ディサイプル ② スペース・インシュレイター

魔法罠 伏せ2

 

(シンクロ遊介)

□ □ □   魔法罠ゾーン

□ □ □   メインモンスターゾーン

□   ①     EXモンスターゾーン 

□ □ ②   メインモンスターゾーン

□ ■ ■   魔法罠ゾーン

(遊介)

 

 

ターン2

 

 

シンクロ遊介 LP4000 手札5

モンスター

魔法罠

 

「じゃあ、さっそく俺も始めようか、ドロー!」

 

シンクロ遊介の戦い方は遊介にとっては未知数。遊介は自然と身構える。

 

「……さて、どうしたものか。まずはこれだな」

 

ゆっくりとカードを吟味すること3秒。

 

「俺は、チューナーモンスター、ライティドライバーを召喚!」

 

青い精、というには、右腕のドライバーがなんとも不似合いなモンスターがシンクロ遊介の先陣を切る。

 

ライティ・ドライバー レベル1 攻撃表示

ATK100/DEF300

 

「初手からチューナーか」

 

「まあ、シンクロ使いだからね、俺」

 

シンクロ遊介はニヤリと笑い、さっそく召喚したモンスターの力を発揮する。

 

「ライティドライバーの効果! デッキからレフティドライバーを呼び出す!」

 

この思いっきり短縮された効果の説明と掛け声とともに現れたのは、先ほど呼んだチューナーとは対照的な体をもつモンスター。

 

レフティ・ドライバー レベル2 攻撃表示

ATK300/DEF100

 

「レフティドライバーの効果! 特殊召喚されたこのモンスターのレベルはターン終了時まで3となる。そして、モンスターを通常召喚しているターン、ワンショットブースターは手札から特集召喚できる!」

 

ワンショット・ブースター レベル1 攻撃表示

ATK0/DEF0

 

すぐにメインモンスターゾーンが埋まったところを見て、遊介は警戒する。すでにチューナーは場に存在するため、シンクロ召喚が行われることが明らかだからだ。

 

シンクロ遊介は遊介の予測通りに、シンクロ召喚の合図を送る。

 

「早速行くぜ、俺は場に存在する、レベル3、レフティドライバー、レベル1、ワンショットブースターに、レベル1、ライティドライバーをチューニング!」

 

三体は粒子状となり、同調を示す円環となる。シンクロはレベルの合計のモンスターを呼び出すもの。今回呼び出されるのはレベル5。あまり高くはないものの、シンクロモンスターはレベルだけでは格が決まらない節がある。

 

油断はできない、と遊介は思った。

 

「シンクロ召喚! 来い、レベル5.スカ―ウォリアー!」

 

包帯を巻いた傷を持つ戦士か。しかしそこには強者の雰囲気を漂わせる何かがあった。

 

スカー・ウォリアー レベル5 攻撃表示

ATK2100/DEF1000

 

「来たな」

 

「まあ、このターンはこんなものさ。そもそも、そっちにその程度のモンスターしかいないなら、こっちもそこまで本気を出す必要もないしな。さて……、カードを1枚伏せて、バトルだ」

 

バトルフェイズの宣言。

 

このまま攻撃を通せば攻撃力2100の攻撃を受け、遊介のライフが最悪2100そのまま削れるこのになる。

 

しかし、当然遊介もそこまで馬鹿ではない。

 

「その前に、メインフェイズ終了時に罠を発動させてもらうよ」

 

「ほう?」

 

「罠カード『聖遺物からの目覚め』。俺はフィールド上のモンスターを使ってリンク召喚をする」

 

シンクロ遊介は感心したように少しだけ口を開けた。

 

「まじか、それで黙ってたわけね」

 

「防ぐか?」

 

「無理。好きにしろ」

 

「じゃあ、遠慮なく。召喚条件はサイバースモンスター2体以上。俺はリンク1のリンクディサイプルとリンク2のスペースインシュレイターをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン!」

 

シンクロ遊介の余裕の顔に若干の不安を覚えつつも、遊介は予定通りの動きで展開する。

 

遊介の最近の戦闘スタイルはデコード・トーカーを始動にすることにはあまりこだわっていないが、コード・トーカーを召喚することにはこだわっている。今回は手札に加える術がなかったが、コードトーカーをサポートするカードを多数、デッキに投入しているからだ。

 

「来い! リンク3、エンコードトーカー!」

 

呼び出したのは、ハルト戦の直前で手に入れたものの、使うことができなかった光のコードトーカーだった。

 

エンコード・トーカー

リンクマーカー 上 下 右下

LINK3/ATK2300

 

「2300……!」

 

シンクロ遊介は、自分が呼び出したモンスターよりも高い攻撃力を持つモンスターが現れ、

 

「マジか……こんなら別の奴呼ぶべきだったな……」

 

と、一瞬だけ眉間にしわをつくりながら言った。これ以上、自分がこのターンできる事はないと諦めた。

 

「しょうがない、俺はこのターンは終わりだ」

 

遊介はここぞとばかりに煽る。

 

「おいおい、粋がってた割に無様な初手じゃないか」

 

ちなみに、これは闇の世界のデュエリストが使う常套手段らしく、相手がこれで怒りを覚えれば攻撃的になり、精神的変化からミスを誘発する高度なテクニックと遊介は教わっている。最も真偽は定かではない。

 

「生意気な口だな」

 

少なくともシンクロ遊介には効果は薄いようだった。

 

シンクロ遊介 LP4000 手札2

モンスター ③ スカー・ウォリアー

魔法罠 伏せ1

 

(シンクロ遊介)

■ □ □   魔法罠ゾーン

□ □ □   メインモンスターゾーン

③   ④     EXモンスターゾーン 

□ □ □   メインモンスターゾーン

□ □ ■   魔法罠ゾーン

(遊介)

 

 

「少し驚かされたぜ、リンク版『緊急同調』とはな」

 

「こういう使い方はこっちとしても不本意なんだけど、結果オーライ」

 

「まったく、こんななら、もっと攻撃力の高い奴を召喚すべきだったな。手札をケチった俺がいけないんだけど」

 

お互い序盤はあまり動きの少ない流れとなった。

 

「そう言えばお前、闇の世界から来たようだが、どうだった隠居生活は」

 

突如として始まったデュエルとは関係のない話。しかし、こういう会話も、この世界を生きていく為には重要だと遊介は知っている。

 

相手の情報をいかに引き出すか、自分の情報をいかに偽装して守るか。嘘100%では嘘飛ばれるので真実を織り交ぜながらいかに上手に話して相手を乗せるか。相手の仕掛けてくる誘いに気づき、それにどう対処していくか。

 

手に入れた情報は、この世界ではどのような形で役に立つか分からない。どんな情報でもいつか何かの役にたったりする。

 

遊介は最初の頃は気持ちに余裕がなかったものの、そのような事情も考えるようになってからは、雑談にも積極的に応じるようにしている。

 

「最悪だったよ。デュエル漬けだ」

 

「さぞ恐ろしい世界だったんだろうな?」

 

「ああ。行くなら大軍で行った方がいいぞ。少人数だとボコボコで門前払いかも」

 

「けどお前はそこに身を隠していた。いい判断だな。雑魚のエリアマスターとしては、居心地も良かっただろう。自分が弱いのが露呈しなくて済むから」

 

「お前さ。同じ顔でそういう事言うのか。自己嫌悪でもしてないとなかなか言えないと思うぞ?」

 

「俺の顔を使っていい人間はこの世で一人だけ。他は殺す。そうすればわざわざ変なニックネームつけなくて済む。お前を殺したいのはそういう個人的願望もあったりするんだ」

 

そんなことで殺されてたまるか。

 

遊介は今の話を聞いて改めて決意する。

 

「まるで、俺以外にも遊介くんを見たことあるみたいな。なんと言うか驚きがないよな、俺を見ても」

 

「ああ。実際エクシーズ世界の遊介には会ったことあるし」

 

「どんな奴だった?」

 

「それはあってからお楽しみだ。まあ、向こうも向こうで面白いと思うぜ」

 

値千金の情報を引き出すことができた。エクシーズの遊介、ハルトやユートから聞いていたものの、シンクロ遊介が会っているということはこの世界に、そのエクシーズ世界の自分が来ている。

 

遊介はそう確証を得た。いずれ会う可能性がある以上、警戒をしておいて損はない。

 

シンクロ遊介の雑談は続く。

 

「しかし、お前、前情報にはないカードめっちゃ使ってるな」

 

「そりゃ、ハルトと戦ったのだって、結構前だぞ。俺も成長する」

 

「ほう、そりゃ、良助君も喜ぶだろうぜ」

 

良助。意外な人物の話が出たことに遊介は驚いた。しかし、シンクロ遊介の言い草から、

 

「お前、良助と知り合いなんだな」

 

と予想を立てることもできる。

 

「元気だぜ良助は、まあ、お前は会えないんだけど」

 

冗談じゃない、と遊介は思う。遊介がこの世界に来たのは親友が無事かを確認し、助けになるためだ。

 

「会えない?」

 

「だってあいつ、今光の世界にいるし」

 

それが示すのは、良助が解放軍と一緒に光の世界で戦っているということ。つまり、自分の敵であるということだ。

 

現実世界ではずっと仲良くしてきた。そんな良助が敵に回るということが、今いちピンと来ない。

 

「でも、なんで会えないんだ? って愚問か」

 

「ああ。愚問だな」

 

それ以上をお互い口にはしない。シンクロ遊介は遊介の帰還を阻むためにここにいる。つまり、デュエルに遊介は敗北するという絶対の自信を暗に示しているのだ。

 

遊介は、むやみに挑発に乗るつもりもないが、このまま黙っているのも格好悪いと考え、それに対抗するための宣言をする。

 

「その予想。裏切ってやるよ」

 

遊介の宣言に、

 

「無理だ」

 

と言いつつも、シンクロ遊介は心底嬉しそうに言葉を返す。

 

 

ターン3

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

宣言した以上、遊介は気合を入れた。絶対に勝つと。

 

そのための手段を残りの手札と、フィールドから考える。

 

遊介 LP4000 手札2

モンスター ④ エンコード・トーカー

魔法罠 伏せ1

 

「リンクインフライヤーは、フィールド上のリンクモンスターのリンク先になる自分フィールド上に特殊召喚できる!」

 

呼び出したのは凧のような形をした、風属性のサイバースモンスター。

 

リンク・インフライヤー レベル2 守備表示

ATK0/DEF1800

 

「さらにスワップリーストを通常召喚!」

 

続けて、新たに杖を持った魔術師を思わせるモンスターを呼ぶ。

 

スワップリースト レベル2 攻撃表示

ATK500/DEF1000

 

「モンスター2体、来るか?」

 

シンクロ遊介が遊介に訊く。

 

「いいや、まだある」

 

彼の問いに対しこう答えた遊介は、さらに伏せていたトラップを発動した。

 

「トラップカード、『リビングデッドの呼び声』を発動。自分の墓地に存在するモンスター1体を対象として、特殊召喚する。俺は墓地のサイバースガジェットを特殊召喚!」

 

「リビングデッドって、お前、さっきからサイバースと関係ないカードばっか使ってんな。サイバース使いじゃないのかよ」

 

デッキに何を入れようと、この世界では特に反則ではないので、そのような言われようは遊介にとって心外だったが、遊介は、

 

「俺はお前が言う雑魚だから。なりふり構ってられないのさ」

 

と先ほど言われた雑魚という言葉を使い嫌味のように返す。

 

「この野郎」

 

一本取られた、と言わんばかりに苦笑するシンクロ遊介を横目に遊介は墓地から先ほど先陣を切ったサイバースを呼び戻した。

 

サイバース・ガジェット レベル4

ATK1400/DEF300

 

フィールド上に再び3体のモンスターが揃う。

 

「現れろ、未来を導くサーキット!」

 

遊介は迷いなく、新たなモンスターの召喚を宣言した。

 

「召喚条件はサイバース族モンスター2体以上。俺はリンクインフライヤー、サイバースガジェット。スワップリーストの3体をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン!」

 

メインモンスターゾーンにそろった3体のモンスターは、上空に現れたサーキットに突撃する。そして中央が光り輝いた。

 

呼び出されるのは、遊介の新たなコード・トーカー。

 

「現れろ! リンク3、シューティングコードトーカー!」

 

腕に大きな矢を装備した、青い体をもつ水属性コードトーカー。闇の世界で戦っている最中、ストームアクセスで手に入れたモンスターである。エンコードトーカーの下のリンク先に呼び出された。

 

シューティングコード・トーカー

リンクマーカー 上 左 下

LINK3/ATK2300

 

(……前情報にはなかったモンスターだな)

 

その存在を見て、口には出さないものの、シンクロ遊介にはいくつかの確信が生まれた。

 

これまで闇の世界にいたことも事実であり、そこでデッキを強化したという話も事実であると。

 

闇の世界については、遊介に聞かなくてもシンクロ遊介は調べはついている。そして以前、ハルトとの戦いから、公式のデュエル記録には一切登場していなかったその時間。その闇の世界で自身の強化に専念しているとしたら、と考える。

 

(もしかすると、あながち侮れない相手になってるかもな)

 

という結論をシンクロ遊介は出した。

 

そんなことを考えていることも遊介は知るはずもない。

 

「スワップリーストの効果! リンク素材になったとき、このカードを素材としたリンクモンスターの攻撃力を500ダウンさせる! その代わり、俺はデッキからカードを1枚ドロー!」

 

今出したシューティングコード・トーカーの攻撃力を下げる意味は見た目上ない。シンクロ遊介は遊介の戦術に首を傾げる。ただの1ドローの為なのかと。

 

シューティングコード・トーカー ATK2300→1800

 

「さらに、サイバースガジェットの効果」

 

「トークンを召喚するんだよな?」

 

「そうだ。2度目だし、お前が了承しているのならわざわざ説明はしないぞ」

 

「ああ」

 

遊介はそのトークンを、シューティングコードトーカーの左のリンク先に特殊召喚する。

 

ガジェット・トークン レベル2 守備表示

ATK0/DEF0

 

そして今ドローしたカードをセットする。

 

「バトルフェイズ! シューティングコードトーカーの効果を発動する。このバトルフェイズ、このカードのリンク先のモンスターの数プラス1回、相手モンスターに攻撃できる! このターン相手モンスターが1体のみの場合、このカードの攻撃力はダメージ計算時のみ400ダウンする」

 

わざわざ召喚した新たなエースも攻撃力1400.

 

これには何かある。シンクロ遊介は今から繰り広げられる戦術が少し楽しみになり、唇の端っこを吊り上げる。

 

「何かあるんだろ? 来いよ」

 

遊介は挑発ともとれるその言葉に、

 

「当然だ、遠慮なくいくぞ!」

 

と堂々宣言し、

 

「シューティングコードトーカーで、スカーウォリアーを攻撃!」

 

シューティングコードトーカー ATK1800→1400

 

(何……自爆特攻? 何を)

 

矢をつがえ、攻撃を仕掛けようとする青い弓使いに、シンクロの戦士は急襲。矢を放つ前に間合いを詰め、手に装備した剣で襲い掛かった。

 

そのまま、剣で青い弓使いは斬り裂かれ、その命を奪われる。

 

本来であれば、そのような流れで、せっかく召喚した青の弓兵は消える運命にあるのだ。

 

しかし、当然遊介はその悲しい結果を求めてこのような決断をしたのではない。

 

「エンコードトーカーの効果! このカードのリンク先の自分のモンスターが、そのモンスターより攻撃力が高い相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算前に発動できる。その自分のモンスターはその戦闘では破壊されず、その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。そのダメージ計算後、このカードまたはこのカードのリンク先の自分のモンスター1体を選び、その攻撃力をターン終了時まで、その戦闘を行った相手モンスターの攻撃力分アップする」

 

包帯を巻いた戦士の衰えぬ剣戟を、光のコードトーカーは、弓兵の前位に割り込み、持っている立てて弾き飛ばす。

 

「この戦闘でシューティングコードトーカーは破壊されず。俺の受けるダメージは0になる。そして、シューティングコードトーカーは、スカーウォリアーの攻撃力2100分の攻撃力をアップする!」

 

シューティングコードトーカー ATK1800→3900

 

「なるほど……!」

 

ここまでの説明で、その先に何をするのか、シンクロ遊介は読めた。

 

本来、エンコード・トーカーの効果を自発的に使うと、せっかく攻撃力を上昇させたモンスターはそのターン攻撃をすでに終えてしまっている。これでは攻撃力を上げるだけ無駄だ。

 

しかし、攻撃回数を増やせばその限りではない。例えば以前遊介が使った『パラレルポート・アーマー』などを使えば、攻撃力を上昇させたモンスターでそのまま攻撃できる。

 

このシューティングコード・トーカーはそういう意味で、エンコードと相性がいいのだ。故に攻撃力を下げても、十分活用は可能である。

 

「なるほどってことは、俺の戦術、分かったんだな」

 

「癪だが、今回はマジで一本取られたぜ」

 

「なら、そのままダメージも食らってくれ」

 

シューティングコード・トーカーはこのターン、リンク先に2体モンスターが存在することにより、3回の攻撃が可能になっている。

 

シンクロ遊介はさらに自分でも、厄介な状況を作り出していた。本来次の攻撃でスカーウォリアーは破壊され、モンスターに限定したシューティングコード・トーカーの攻撃は終わる。というのが本来の流れだが――。

 

「行くぞ!」

 

遊介の容赦ない攻撃が始まる。

 

「シューティングコードトーカーで、スカーウォリアーを攻撃! シューティングコンプリート!」

 

シューティングコードトーカー ATK3900→3500

 

不本意ながらもシンクロ遊介はスカーウォリアーの効果を宣言した。

 

「スカーウォリアーは1ターンに1度、戦闘では破壊されない」

 

「ならば、ダメージは受けてもらうぞ!」

 

青い弓兵の渾身の一射が、シンクロの戦士に襲い掛かった。戦士はその一撃をもろに受けるが、なんとか生存する。

 

(勝)シューティングコード・トーカー ATK3500 VS スカーウォリアー ATK2100 (負)

 

しかし、その戦いの衝撃は、シンクロ遊介に襲い掛かる。

 

「ぐ……」

 

シンクロ遊介 LP4000→2600

 

そして、スカーウォリアーはフィールドに残った。否、残ってしまった。

 

モンスターが居るこの状況、それはつまり、シューティングコードトーカーが再び攻撃できるということ。

 

「運がなかったな。俺はもう一度、シューティングコードトーカーで、スカーウォリアーを攻撃!」

 

スカーウォリアーの戦闘破壊に対する耐性は1ターンに1度。

 

これ以上は耐えられない。

 

「シューティングコンプリート!」

 

再び放たれた1射は、戦士の身体を確実に貫いた。

 

(勝)シューティングコード・トーカー ATK3500 VS スカーウォリアー ATK2100 (負)

 

「クソ……」

 

シンクロ遊介 LP2600→1200

 

遊介の攻撃はまだ終わっていない。

 

「エンコードトーカーで、ダイレクトアタック! ファイナルエンコード!」

 

盾から出した刃による一撃。これが決まれば、勝負が決する。

 

しかし、当然、シンクロ遊介もまた、無策でいるわけがない。

 

「手札の、速攻のかかしの効果。相手のダイレクトアタック宣言時にこのカードを手札から墓地へ送り、その攻撃を無効、このターンのバトルフェイズを終了する!」

 

シンクロ遊介は手札からカードを墓地へ送り、バトルを強制終了させる。これで、遊介の攻撃は終了。スピードデュエルなので、そのままエンドフェイズに移行した。

 

「シューティングコードトーカーの効果。このターン戦闘で破壊した相手モンスター1体につき、カードを1枚ドローする。俺はカードを1枚ドローして、ターンエンド」

 

「アフターケアもばっちりか。驚いたな、一気に俺ピンチ」

 

それでも余裕の態度を崩さないシンクロ遊介。

 

「という割には、ずいぶん余裕に満ち溢れている顔だな」

 

「なあに、この程度追い詰められることは結構ある。俺のデュエルはいつだって……ここから逆転するのさ」

 

ニヒルな笑みを浮かべるシンクロ遊介の闘志はいまだ尽きていない。

 

遊介はその様子を見て、

 

(格好いい決め台詞だなぁ……今度真似してみようかな)

 

と腑抜けたことを考えていたことは、シンクロ遊介には知る由もない。

 

遊介は後ろを見る。

 

エリーが解放軍の一人とデュエルを続けていた。

 

(エリーのLPはまだ4000。もうしばらくは大丈夫か)

 

と、現状を確認し、自分のデュエルに意識を戻す。

 

 

遊介 LP4000 手札1

モンスター ④ エンコード・トーカー ⑤ シューティングコード・トーカー

      ⑥ ガジェット・トークン

魔法罠 伏せ1

 

(シンクロ遊介)

■ □ □   魔法罠ゾーン

□ □ □   メインモンスターゾーン

□   ④     EXモンスターゾーン 

□ ⑥ ⑤   メインモンスターゾーン

□ ■ □   魔法罠ゾーン

(遊介)

 

 

ターン4

 

 

「俺のデッキは常に、下準備さえあれば1枚から逆転の一手を打てる。刮目して見てろよ。かつて、キング、ジャックアーロンをも超えた、俺のデッキのポテンシャルを!」

 

長い口上を述べシンクロ遊介はデッキからカードをドローした。その姿に遊介はプロデュエリストを重ねた。遊介が目指す将来の職業においても、口上というのは客を引き付けるために必要な演出だ。それをシンクロ遊介はまるで実践しているように見えたのだ。、

 

シンクロ遊介 LP1200 手札2

モンスター

魔法罠 伏せ1

 

遊介はドローしたカードを見たシンクロ遊介に、自信が満ちたような雰囲気を感じる。

 

「光の世界への道、諦めてもらうぜ。俺も、ここからがフルスロットルだ!」

 

遊介に指さし、シンクロ遊介の戦術の披露が始まる。

 

「墓地のレフティドライバーの効果。このカードを墓地から除外し、デッキからライティドライバーを手札に加える」

 

「2枚目?」

 

「当然。この右左セットは3枚ずつしっかり入ってるぜ。そして今手札に加えたライティドライバーを召喚!」

 

遊介の前に再び、シンクロ遊介の最初のモンスターが現れる。

 

ライティ・ドライバー レベル1 攻撃表示

ATK100/DEF300

 

「またか」

 

「そう、さっきと同じだ」

 

その宣言通り、デッキからレフティドライバーが蘇る。

 

レフティ・ドライバー レベル2 攻撃表示

ATK300/DEF100

 

「このカードの効果でレフティドライバーのレベルを3にする。さらに罠カード『ロスト・スター・ディセント』を発動。墓地のシンクロモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはレベルが1つ下がり、効果が無効化、守備力は0となる」

 

先ほど遊介が破壊した、スカーウォリアーがほぼ無力の状態で引き揚げられた。

 

スカーウォリアー レベル4 守備表示

ATK2100/DEF0

 

しかし、それはあくまで単体としてみればの話だ。

 

「レベル8……」

 

遊介はその意味をよく理解している。今から呼び出されるモンスターがおそらくシンクロ遊介のエースである強力なモンスターであること。

 

シンクロのレベル8。このキーワードだけでも、恐ろしいモンスターをたくさん想像できる魔境のようなレベル帯。

 

それが今から敵として現れようとしているのだ。

 

「行くぞ、サイバース遊介。今度は俺が、お前に一泡行かせてやる番だ」

 

シンクロ遊介は、遅くなったがようやく呼べるな、と独り言をつぶやいたあと、

 

「俺はレベル4となったスカーウォリアー、レベル3のレフティドライバー、レベル1のライティドライバーをチューニング!」

 

再び、モンスター3体が同調を行う。シンクロ召喚を特徴づける円環が、今後は8つ。

 

そしてその円環を包むように空から注いだ光。

 

その中から現れた存在が、シンクロ遊介のエースモンスター。

 

数多の戦場を、シンクロ遊介とともに駆けたであろう、シンクロ遊介にとって至高の存在。

 

「現れろ! レベル8 アーティフィシャルウォリアー・プリズムフォース!」

 

白の甲冑を纏う人型で、透明度の高い水晶をアクセントのように身に着け、甲冑には細い青のラインが走り、背中に六枚、ダイヤモンドの翼を携行させている戦士。

 

AFW・プリズムフォース レベル8 攻撃表示

ATK2500/DEF2000

 

「あれは……!」

 

遊介は、攻撃力数値、姿を見て、特別な何かを感じた。自分の持つファイアウォールドラゴンと同じ、何かの力に溢れているような威圧感のような、すべてを救う英雄が持つ輝きのような。他とは違うという何か。

 

「さて、遊介。さっきまでは侮って悪かったな」

 

シンクロ遊介の様子が一変する。先ほどまではへらへらと笑みを浮かべるばかりだったが、それが、今は笑顔こそ変わっていないものの、

 

「こいつを出した以上……光の世界への帰還は諦めてもらう」

 

というその顔には、絶対的な勝利への自信がにじみ出ていた。




遂に始まりました第2シーズン。
いきなり多少の波乱の中始まりました。
第2シーズン最初の相手は、まさかの自分自身、とまではいきませんが、シンクロ世界の遊介くんです。

番外編で語った通りに、彼は解放軍所属のデュエリストで、本文中にもありましたがフォーチュンカップにおいては、ジャックを破り優勝しています。ちなみに、シンクロ世界のジャックことアーロン君は、ジャックアトラスには一歩譲るが、引けを取らない実力という設定なので、それを倒したシンクロ遊介君は、そこそこの実力者なのです。

デュエルは次回に続きます。
今回最後に出したオリジナルモンスターとそれ関連の設定裏話は次回のネタにとっておきたいと思います。
次回もお楽しみに!

(アニメ風次回予告)

かつてこう呼ばれた。光の軍師。その名の通り、傍らに降り立った戦士を使役することからついた異名。光の戦士と共に、相手の優勢を一気に突き崩すその姿こそ、かつての栄光であり、デュエルに懸ける唯一の誇り。

次回 遊戯王VRAINS ~『もう1人のLINKVRAINSの英雄』~

   「全てを封じる光」

   イントゥ・ザ・ブレインズ!
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