遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』   作:femania

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注意事項

・小説初心者で、連載小説初挑戦です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品なので、遊戯王アニメシリーズのキャラが登場することもありますが、設定が違うので元と性格や行動が違うことがあります。
・過去にアニメシリーズで使われていたデッキを本人ではなくこの作品のオリジナルキャラが使うことがあります。また、使用されるデッキはエースモンスターはそのままにデッキをアレンジしたものになっていることがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・人物描写はスキップしています。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・オリジナルのカードも使ってます。
・作品はほぼオリジナル展開です。

これでOKという人はお楽しみください!

戦いは続く……。

AFW(アーティフィシャルウォリアー)・プリズムフォース レベル8 ATK2500/DEF2000

チューナー1体+シンクロモンスターを1体以上含めたチューナー以外のモンスター2体以上。
①の効果は相手ターンでも使用できる。① 1ターンに1度、相手がモンスターの効果、魔法、罠カードのいずれかをフィールド上で発動した時、その効果を無効にする。その後、この効果で無効にした効果を使用したカードの種類によって以下の効果を発動する。・モンスター そのモンスターを次のスタンバイフェイズまで除外する。さらに、自身の攻撃力を700ポイントアップする。・魔法 そのカードをフィールドにセットする。このターンそのカードの効果は発動できない。さらに自分はカードを1枚ドローする。 ・罠 そのカードをフィールドにセットする。このターンそのカードの効果は発動できない。さらに相手プレイヤーに1000ポイントのダメージを与える。② 自分のライフが1000以下で自分フィールド上にモンスターが存在しない時、墓地のこのカードを除くレベル5以上のシンクロモンスター2体を除外することで、このカードを墓地から特殊召喚する。この効果はデュエル中1度しか使用できず。使用したターン、『AFW』と名のつくモンスターをシンクロ召喚する以外の特殊召喚はできない。

訂正 シンクロ遊介のターン4の手札は3枚からです。


15話 すべてを封じる光(前編)

シンクロ遊介 LP1200 手札3

モンスター ⑦ AFW・プリズムフォース

魔法罠 

 

遊介 LP4000 手札1

モンスター ④ エンコード・トーカー ⑤ シューティングコード・トーカー

      ⑥ ガジェット・トークン

魔法罠 伏せ1

 

(シンクロ遊介)

□ □ □   魔法罠ゾーン

□ □ □   メインモンスターゾーン

⑦   ④     EXモンスターゾーン 

□ ⑥ ⑤   メインモンスターゾーン

□ ■ □   魔法罠ゾーン

(遊介)

 

 

光輝の翼。そう言い表すにふさわしい翼が、白い鎧を装備した人型のモンスターの後ろに浮いている。

 

「さて……」

 

そして、勝利を確信しているシンクロ遊介は、いよいよ攻撃を始めようとしている。

 

遊介には、目の前に現れたモンスターに見覚えはない。つまり、この世界の独自のオリジナルカードなのではないかと予想する。本来は、これはシンクロ世界にしかないただ1枚のオリジナルカードなのだが、それは今の遊介には関係のない問題だ。

 

シンクロ遊介は、エースの召喚に使うことがなかった手札から、

 

「俺はカードを2枚伏せて、バトルフェイズに突入する」

 

カードを伏せた後、逆襲の狼煙をあげた。

 

「バトル! 俺はプリズムフォースで、エンコードトーカーを攻撃!」

 

翼は発行し、さらに周りに漂うエネルギーを光に変換し集約させる。そのエネルギーは戦士の正面に送られ、白い球体へと変貌する。

 

遊介はアフターケアの効果を発動し、相手の思惑通りにならないように誘導する。

 

「トラップカード、『ドップラー・フェーズ・コーティング』発動。このカードは、フィールド上のサイバースモンスター1体に装備し、装備モンスターは戦闘では破壊されない!」

 

これでエンコードトーカーを守れれば、次のターンで再び、シューティングコードトーカーの攻撃を放てる。攻撃の主軸であるエンコードを失う分けにはいかない遊介。

 

しかし、それを聞くと、シンクロ遊介は、ハハハハ、と笑う。

 

「何が可笑しい?」

 

「残念だったな」

 

そしてシンクロ遊介は攻撃準備に入っているエースを指さした。

 

「本領発揮だ。プリズムフォースは、1ターンに1度、相手がフィールドで発動した、魔法、罠、モンスター効果を無効にする!」

 

「何……?」

 

「つまり、お前が今発動したカードは不発だ!」

 

戦士にエネルギーを送った六の翼が、今度は戦士と罠カードの間に円状に並び、凄まじい光を放射する。

 

「プリズムリフレクション!」

 

光を受けた罠はその効果を発揮せず沈黙した。

 

遊介にとってはまさかの、モンスター効果による封印を見て、あっけにとられている。

 

しかし、これで終わりではなかった。シンクロ遊介はエースの続きを宣言した。

 

「この効果により、無効にしたカードの種類によって、効果を発動する。トラップカードを無効にしたとき、そのカードを再びセットし、そのカードおよび同盟カードの発動をこのターンの間封じる。さらに、相手に1000のダメージを与える」

 

「な……に」

 

どこから発生したのか、凄まじい電撃が遊介を襲う。

 

「ぐ……ぅぅ!」

 

遊介はこのデュエルで初めてダメージを負った。

 

遊介 LP4000→3000

 

そして、シンクロの戦士の攻撃は続行される。

 

「行け、プリズムフォース、エンコードトーカーを消し去れ! アーティフィシャルレイ!」

 

先ほど戦士の前に集められた光が、破壊光線となって、エンコードトーカーに襲いかかる。

 

盾で防ごうとするが、エンコードトーカーはその圧倒的な光量に体ごと飲み込まれ、そのまま存在が消失した。

 

その余波によるダメージを当然遊介は受ける。

 

(勝)AFW・プリズムフォース ATK2500 VS エンコード・トーカー ATK2300(負)

 

遊介 LP3000→2800

 

守りの盾として用意していた策が剥がされ、未だライフポイントは優勢に見えるだけの、実質主導権を奪われた形になってしまう。

 

「たった1枚で」

 

「言ったろ? お前に勝たせるつもりはない」

 

シンクロ遊介の攻撃はこれで終了したが、次に向けて、不安を隠せない状況であることに変わりはない。

 

シンクロ遊介 LP1200 手札1

モンスター ⑦ AFW・プリズムフォース

魔法罠 伏せ1

 

(シンクロ遊介)

□ ■ ■   魔法罠ゾーン

□ □ □   メインモンスターゾーン

⑦   □     EXモンスターゾーン 

□ ⑥ ⑤   メインモンスターゾーン

□ ■ □   魔法罠ゾーン

(遊介)

 

 

遊介は先ほどのダメージよりも今後を心配する。後ろを見ると、すでに大天使クリスティアの力で、敵を倒しかけているエリーの姿。この様子では彼女の心配をする必要がないことがわかり遊介はこのデュエルに再び集中した。

 

(このままでは負ける……)

 

次に来るカードにすべてを託さなければならない。

 

未だこのような運任せのデュエルをしているあたり、まだまだだと自分では思ってしまうが、目の前のシンクロモンスターを相手に、四の五の言ってはいられなかった。

 

 

ターン5

 

 

「マスター、大丈夫ですか!」

 

エリーの心配の声に、

 

「なんとかする。心配するな!」

 

と強がりを返しながら、デッキの一番上のカードを引き抜いた。

 

遊介 LP2800 手札2

モンスター ⑤ シューティングコード・トーカー

      ⑥ ガジェット・トークン

魔法罠 伏せ1

 

遊介は先ほどのモンスターの効果を見る。この世界では、一度も見たことないカードや効果はモザイクで隠されてしまうため、相手の効果の宣言を待たなければいけないが、それ以降は判明しているカード効果の確認をすることはできる。

 

「……厄介な」

 

と、大きな独り言を言ってしまう程度には今目の前にいる敵は脅威だった。自分の行動を1回は確実に阻害される。現れたシンクロ遊介のエースによって。

 

「どうだ?」

 

得意げに話しかけてくる自分と同じ顔の人間。

 

いつかはあんな風に余裕を持ったデュエリストにもなってみたいものだと少し思いつつ、

 

「お前、こんな行動阻害とか、性格悪いぞ」

 

と、喧嘩を売る。しかし、現状、戦いの流れは向こうにある状況で、遊介のこの言葉も意味はほとんど為さない。

 

「光の軍師。それが俺の異名でね」

 

「異名?」

 

「これでもシンクロ世界ではプロデュエリストを経験していた身だ。その絶頂期につけられた異名だ。戦うのは戦士、そして俺はこの光の戦士を最大限まで活用するためにあれやこれやの策を出す。その様子を見た誰かが言い始めてから、こんな名前がついちまった。まあ、気に入ってるけど」

 

プロデュエリスト。

 

それは遊介が将来なりたい理想の姿。その理想をすでに目の前の人間は叶えているという。

 

それが真実かどうかは遊介には分からない。しかし、これまでの立ち振る舞い、そして余裕の現れ方を考えると妙な説得力を遊介は感じている。

 

そして、このデュエルが始まる前に見せた絶対的な自信は、プロの世界で鎬を削ってきた経験が言わせていることも分かった。

 

(つまり……俺は脅威と認識されるほど強くないっている見立てなのか)

 

それは己への侮辱であり、遊介も内心穏やかではない。

 

ならばどうするか。その評価を変えるにはここからのデュエルで証明するしかない。

 

「さあ、かかって来いよ!」

 

空を走る。Dボードに乗っていて感じる空気抵抗。

 

それが目の前の強者から放たれる威圧であるかのような錯覚がする。

 

「上等……!」

 

遊介の心に火が付いた。

 

すでに新たな突破口は見えている。まずは相手のエースの動きを封じることから始めなければならない。

 

「俺はマジックカード『サポートプログラム・バスター』を発動! このカードは、フィールド上にサイバースリンクモンスターが存在するときに、ライフを半分支払って発動できる。相手フィールド上のモンスター1体を選択し、そのモンスター破壊する。その後自分フィールド上のサイバースモンスター1体の元々の攻撃力分のダメージを与える!」

 

遊介 LP2800→1400

 

「そうはいかない。プリズムフォースの効果、その発動は無効にさせてもらう。プリズムリフレクション!」

 

再び光輝の戦士の翼から光が放たれる。その光を浴びた魔法カードの動きが停止した。

 

「魔法カードの発動を無効にした場合。そのカードを再びフィールドにセット。このターン効果は発動できない。そして俺はカードを1枚ドローする」

 

シンクロ遊介は堂々と自らのエースの効果を語り、さらにドローをする。

 

しかし、その光景を最後まで見ることなく、遊介はここからさらに動き出す。

 

「アローヘッド確認!」

 

それはリンク召喚の合図。ここから遊介は新たにモンスターを呼び出そうというのだ。

 

2500、それほどのモンスターを持っているのは、シンクロ遊介だけではない、と言わんばかりに。

 

「召喚条件はモンスター2体以上! 俺は、リンク3のシューティングコードトーカーとガジェットトークンの2体をリンクマーカーにセット! サーキットコンバイン!」

 

向こうがエースならば、こちらもエースを投入する。

 

遊介は、エクストラデッキに待機している、自らの勝利の象徴である竜を呼び出した。

 

「これこそが、あらゆる敵を拒み、焼き尽くす、電脳世界の守護を司る竜。今、迫る敵を排斥するため、その姿を現せ! リンク召喚、来い、ファイアウォールドラゴン!」

 

召喚ゲートから現れるのは、天城ハルトという絶対的な敵をうち払った実績を持つ、遊介の守護竜。青い線、鋼の胴体、荒々しさではなく、荘厳な威圧を纏う竜

 

ファイアウォール・ドラゴン

リンクマーカー 上 下 左 右

LINK4/ATK2500

 

「来たな……待ってたぜ……!」

 

シンクロ遊介は、遊介の元に降臨した竜を見て満足そうに宣う。

 

「待ってた?」

 

「やっぱお前は、こいつを倒してこそだからな」

 

シンクロ遊介のエース破壊宣言。

 

それに対し、遊介の回答は、

 

「それを考える必要はない。このターンで仕留める気だからな」

 

と、自信満々に言葉を返してみせる。そして遊介をそこまで言わせる理由は、次の手にあった。

 

「墓地のスペースインシュレイターの効果! 自分フィールドにサイバース族リンクモンスターがリンク召喚された時に発動できる。そのモンスターのリンク先となる自分フィールドにこのカードを特殊召喚する。俺はファイアウォールの下にこのカードを特殊召喚」

 

そのモンスターは最初のターンに召喚し、その後墓地へ送られたモンスター。先ほどの償還時には存在に一切のメリットはなかったが、このモンスターの本領発揮はこの自分を蘇生させる効果である。

 

つまり、この瞬間こそ本領発揮ということだ。

 

スペースインシュレイター

リンクマーカー 上 下

LINK2/ATK1200

 

「このカードのリンク先のモンスターの攻撃力は800ダウンする」

 

「お前、わざわざ呼んだファイアウォールの攻撃力を下げるのか?」

 

「ああ。でもこれでいい」

 

これは遊介が最初のターン、手札にあるモンスターを見た時点で、最終的に目指していた盤面。如何に不利な状況でも逆転をするための一手として考えていた道筋だ。

 

「よく見ろよ。リンクマーカーの向きを」

 

そう勧められたシンクロ遊介はその言葉に従った。

 

「……相互リンク」

 

シンクロ遊介は納得する。スペースインシュレイターを何故その場所に召喚したか。

 

「そうだ。これならファイアウォールの効果を発動できる」

 

遊介は待ち望んだファイアウォールの活躍のためにその効果を宣言する。

 

「ファイアウォールドラゴンの効果。このカードと相互リンクしているモンスターの数につき1枚まで、フィールド・墓地のモンスターを手札に戻す。俺が選ぶのは、当然、プリズムフォースだ!」

 

遊介は己の前を走る白の戦士を指さした。ファイアウォールドラゴンはその指示に従ったかのように反応すると、効果発動の準備を始める。

 

――シンクロ遊介の口が開いた。

 

「甘いぜ、速攻魔法『禁じられた聖杯』を発動! フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。俺が対象にするのは、当然ファイアウォールだ!」

 

ファイアウォール・ドラゴン ATK1700→2100

 

効果の無効。遊介はこれは想定していなかった。

 

「くそ……」

 

効果の不発が決定的になった。

 

光の軍師。その異名は伊達ではないということか、と遊介は勝手に納得する。

 

前を走る自分と同じ顔のデュエリストは、プリズムフォースだけでなく、その他のカードをも使って、相手の攻撃を徹底的に封じていく。そして己の策に相手をはめていくのだ。

 

「ざんねんだったな」

 

遊介の手札は残り1枚であり、ここから先はやはり運任せになってしまうが、もはやなりふり構っていられない。残り8000の保有ライフをさらに賭けている現状、運任せでも勝たなければならない。

 

「マジックカード。『サイバース・キャッシュ』を発動! 自分フィールド上に元々の攻撃力が異なるサイバース族モンスターが居る時、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

遊介は残っていた手札1枚から、反撃を試みるための新たな手をデッキから呼び出す。

 

そして来たカード2枚を見て、

 

「これに懸ける」

 

と宣言する。その中にモンスターはなく1枚は魔法、1枚は罠だった。

 

遊介には予感があった。

 

それは次の自分のターンにプリズムフォースが無事であれば、どうあっても勝ち目はなくなるということ。

 

なんとしてでも、プリズムフォースを何とかしなければ。遊介は最後の希望を今引いたカードに託す。

 

「俺はカードを1枚伏せる」

 

「今更1枚か?」

 

「本命はこっちだ。マジックカード、『リンクアトロシティ』! 自分フィールド上のリンクモンスター1体をリリースし、その攻撃力分だけ俺の他のリンクモンスターの攻撃力をアップする! 俺はスペースインシュレイターをリリースし、ファイアウォールドラゴンの攻撃力を1200アップする!」

 

新たに発動された魔法の力で、スペースインシュレイターはこのカードの力によって、消滅しその力が赤い光となってファイアウォールドラゴンに宿る。

 

消滅によりデメリットは消える。

 

ファイアウォール・ドラゴン ATK2100→2900

 

ファイアウォールドラゴンは元々の攻撃力に戻りさらに、魔法カードを効果を受けたファイアウォールドラゴンの攻撃力は上昇する。

 

ファイアウォールドラゴン ATK2900→4100

 

「4100! まじか」

 

「行くぞ!」

 

遊介が引いた希望の1枚。

 

単純な攻撃力勝負であれば、ファイアウォールドラゴンは今、目の前の白い光の戦士を滅するに十分な破壊力を持つ。

 

遊介は敵を指さし、己の竜に命じる。

 

「バトル! ファイアウォールドラゴンで、アーティフィシャルウォリアー、プリズムフォースを攻撃!」

 

竜は咆哮をあげ、翼を大きくはためかせた。そして体を炎のような深紅に染め、翼は燃え盛る壁となる。

 

守護竜は戦士を滅ぼすだけのエネルギーの放射を準備した。

 

しかし、そこで邪魔が入る。

 

「甘いぜ。カウンタートラップ『攻撃の無力化』を発動!相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃を無効にする。その後、バトルフェイズを終了する!」

 

「なに」

 

まさかの2枚目までもが、プリズムフォースを守るための妨害カード。さすがにここまでしつこいとは、遊介は思っていなかった。

 

ファイアウォールドラゴンは発動された罠の力が放つ風圧によりバランスを崩しバトルは中断されることになった。

 

そしてバトルフェイスの終了。このターンの遊介の攻撃はこれで終了する。

 

「クソ……」

 

この1撃が決まってほしい。そう切に願っていた遊介の顔には悔しさがにじみ出る。

 

「マスター……」

 

「……大丈夫だ」

 

さすがに強がりだと分かるエリーは、遊介を心配せずにはいられなかった。

 

すでに自身に襲い掛かってきた火の粉を振り払った後で、遊介のデュエルを見守るだけである。

 

しかし、劣勢を強いられている己のマスターを見てしまえば、不安になるのも仕方なかった。

 

「情けないぜ。サイバース遊介」

 

「なんだよ」

 

「お前、そんな可愛い子に頼られているんだろ。無様な姿を見せて恥ずかしくないか?」

 

「うるせえ」

 

シンクロ遊介は優勢であることを実感している満足そうな顔で戯言を並べ始める。

 

「エリーちゃん。見ただろ? この男はこの程度の男だ。凡人の中の凡人。特別な力なんてない。こんな情けない奴なんか見限って、新しいマスターを探すことを提案するぞ」

 

「結構です」

 

「早! 即決だねぇ」

 

「私の世界のエリアマスターはこの人です」

 

「くだらない忠義に振り回されるのはよくないって」

 

「忠義ではありません」

 

エリーの意志は固かった。この程度の戯言に惑わされないくらいに。

 

「マスターはいい人です。だからこそ信頼しています。この前の闇の世界でも、足を引っ張ってばかりの私を見捨てないでくれた。自分の方が3倍も4倍も戦っていて大変なのに、私を生きていけるように精一杯サポートしてくれた。その恩は忘れることはありません。私はこの人が、あの世界のエリアマスターでよかったってそう思います」

 

このように聞いていて心地いい、褒めの言葉を言ってくれるくらいに。

 

「へえ……なら、たっぷり失望することになるぜ。これから」

 

シンクロ遊介の言葉を聞いても真っ向からエリーは睨み返す。

 

遊介はその様子を見て、消えてはいないが、徐々に弱まっていた心の火に再び油を注いだ。

 

「エリーにそこまで言わせて……ここで引き下がってなんかいられないな」

 

「でも、お前のターンはこれで終わりだ」

 

「まだ、俺は戦える」

 

「そうか、そう来なくっちゃな」

 

シンクロ遊介の優勢な状況は未だ覆せなくとも、エリーにこれ以上情けない姿は見せられない。

 

遊介は未だ希望を捨てない。

 

プリズムフォースがカード効果を無効にするのは1回。であれば、今伏せたカード、もしくは先ほど不発だったカードのどちらかが発動できると信じているからだ。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

遊介は次のターンに己の運命を託す。

 

ファイアウォール・ドラゴン ATK4100→2500

 

遊介 LP1400 手札0

モンスター ⑧ ファイアウォール・ドラゴン

魔法罠 伏せ2

 

(シンクロ遊介)

□ □ □   魔法罠ゾーン

□ □ □   メインモンスターゾーン

⑦   ⑧     EXモンスターゾーン 

□ □ □ メインモンスターゾーン

■ ■ ■   魔法罠ゾーン

(遊介)




前編です。
後編も同日12:00投稿するので、そちらもぜひお楽しみください。
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